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記事 16件
  • 『ブルーピリオド』を読んであらためて実感した日本の「危うさ」(1,838字)

    2021-01-29 06:00  
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    先日『ブルーピリオド』というマンガを読んだので、今日はその話をしたい。
    まず結論から言うと、このマンガはとても面白いので読むことを強くおすすめする。内容は、芸大の油絵科を目指す高校生の日常を描いているのだが、ぼくも芸大受験をしたので大変楽しめた。ただ、芸大受験をしたことがない人にも楽しめるだろう。ここには、現代高校生の生態が鮮やかに切り取られている。今の高校生のありようが強いリアリティを伴って描かれている。それを感じるためだけでも、このマンガは読む価値がある。
    これを読んでいろいろなことを考えさせられたのだが、最も強く思ったのは「やっぱりもう日本の大学には行く必要がないな」ということだった。今の日本の大学は、能力のない人が行くところである。また、そこで能力が育めるわけでもない。それをあらためて実感した。
    それが実感できたのは、このマンガがちゃんとそういう現実を描いているからだ。大学は、能力

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  • 正解はあります:その16(1,770字)

    2021-01-28 06:00  
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    「正解はない」という考え方は、論理的には簡単に論破できる机上の空論に過ぎない。しかし、これを信じ込む人が現代において圧倒的多数なのは、それだけ「机上」に生きている人が多いからだろう。「机上に生きている人」にとっては、空論の方がむしろ実感に近いのである。
    では、「机上に生きる」とはどういうことか?
    一言で言うならば、「人生をコントロールできると『誤解』していること」だ。自分はこの世界を管理できている――と思い込むことである。
    そういう人は、台風や地震などの天災に出くわして初めて、「当たり前だと思っていたことが、実は当たり前ではないと分かった」などと言う。みなさんも、この台詞を何度も聞いたことがあるのではないだろうか。
    この、彼らの言う「当たり前」と思っていたことが、まさに「机上の空論」である。そして、多くの現代人は、そうしたことを天災にでも遭わない限り自覚できない。
    しかし、現代においても「

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  • [Q&A]便利グッズを教えてください(3,324字)

    2021-01-27 06:00  
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    [質問]
    私は鼻づまりで、先週マスクの質問をさせていただきました。回答をいただき器具を使ったおかげで鼻を隠せるようになりました。世の中には便利なものがあるものです。そこで質問です。
    ハックルさんが知っているけど世の中の人があまり知らないであろう便利なものがあれば教えてください。
    [回答]
    これは知っている人も多いかも知れませんが、段ボール開封用のカッターですね。
    長谷川刃物 の 長谷川刃物 カッター 開封のこ カイちゃん フッ素 DC-130F ピンク 全長:13.5 刃渡り:3(cm) - Amazon
    ぼくはこれを妻に教えてもらったのですが、それ以来10本は買いましたかね。とにかくあると便利……というよりないと不便なので、家や会社はもちろん、あらゆる場所に置いています。最近は特にAmazonで買い物をする機会が増えているので、これは生活必需品ですね。
    [質問]
    大相撲のことです。今場所

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  • 情報リテラシーはどうやったら身につくのか?:その16(1,583字)

    2021-01-26 06:00  
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    「美的感覚」は、一見シンプルなようで実は複雑である。なぜかというと、まずそもそも「単純なものは美しくない」ということがあるからだ。人は、複雑なものほど美しく感じる。
    ただ、だからといって「複雑であれば何でもいい」というわけではない。あまりに複雑すぎると、人の頭はパンクしてしまい、やはり美しいとは感じられなくなる。そのため、複雑さの中に理解のよすがとなるシンプルさが、やっぱり必要となるのだ。そういうメタレベルでの複雑さも必要とする。
    「複雑かつシンプル」というのは、例を出すなら「里山の光景」だ。杉山や稲が実った田、藁葺き屋根など光景を見て美しいと感じない人はほとんどいないが、これらは全て「人の手の入った自然」である。杉は人間が植えたものだし、稲も人が管理している。藁葺き屋根も当たり前ながら人が作ったもので、いずれも自然の複雑さと人工物のシンプルさがブレンドされている。そんなふうに、人間は「管

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  • 学生に伝えたいお金のこと:その13(1,651字)

    2021-01-25 06:00  
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    お金を稼ぐため「弟子」になるのは一つの方法ではあるが、必ずしも長くできるスキームではない。事実、弟子を長く続けているとどんどんお金を稼げなくなる。お金を稼ぐには、基本的に「一国一城の主」にならなければならない。独立独歩で一人で生きていくことが、お金を稼ぐことの最終目標と言えよう。
    実は、この世は意外にも一国一城の主に対してやさしい。一国一城の主を優遇するような文化が世界にはもちろん、日本にもある。日本はサラリーマンが優遇されているようで、実際はそうではない。「宮仕え」という言葉にある種侮蔑的なニュアンスが含まれることからも分かるように、会社員であることは社会的には信用されても、尊敬を集めるところまではいかないのである。
    その点、一国一城の主はそれだけで尊敬を集める。また、ビジネスに成功すれば同時に信用も集められるから、サラリーマンが一生涯かかって稼ぐようなお金を一年で稼ぐこともそう難しいこ

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  • 究極の教育は「研究所」(1,656字)

    2021-01-22 06:00  
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    下のネット記事で「オースティン・ラッセル」という人のことを知った。
    日本人はまだ知らない… 世界が注目する「25歳の自力億万長者」の天才すぎる正体
    彼はLiDAR(Light Detection and Ranging)という光センサーを開発していて、これは自動運転にとってきわめて重要な装置だ。ぼくはLiDARのことは知っていた。ぼくが注目している中国の電気自動車メーカー・シャオペンも、このLiDARを近々採用すると公表しているからだ(LiDAR自体は、ラッセルだけではなくいろんな会社が作っている)。
    一方で、テスラはLiDARを否定している。イーロン・マスクは、既存のカメラ技術とAIとで、完全自動運転を実現しようとさせている。なぜなら、その方が価格が安いからだ。
    LiDARは、性能は抜群にいいものの、価格も抜群に高い。特に、ラッセルが作っているLiDARは1台4000万円もして、乗用車に

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  • 正解はあります:その15(1,765字)

    2021-01-21 06:00  
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    「人間とは何か?」
    そうした質問をする人が、今日では格段に減った。なぜなら、現代では時代遅れの古くさい問いに聞こえるからだ。青臭い、哲学かぶれの、幼い子供のような問いに聞こえる。
    昔はそうではなかった。70年代くらいまで、哲学的な議論は盛んに行われていたし、またそれをバカにする人もいなかった。
    しかし80年代辺りから急速にバカにされ始め、90年代に入るとそれを議論しないことが主流になり、0年代に入ると誰もそれを問わなくなった。それどころか、多くの人がこうした問いがあることすら知らなくなった。
    ところで、こうしてみると「哲学的な問いの盛衰」は、必ずしも「景気の良し悪し」とは無関係と分かる。なぜなら、世の中が好景気に沸いた80年代から衰退し始め、景気が落ち込んだ90年代以降もそれが継続したからだ。つまりこれは、半世紀近くに渡る長いスパンのトレンドなのである。
    なぜこうしたトレンドが起こったか?

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  • [Q&A]大統領選の不正についてどう思いますか?(1,826字)

    2021-01-20 06:00  
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    [質問]
    1/14にハックルさんがtwitter上で以下のように投稿されていました。
    「自分の方が他人より優れてる」っていう視点てめちゃくちゃだいじなのに、ほとんどの人がそれを持っていないのはなぜなのだろうか。
    「価値観は人それぞれ」って考え方って、本当に心が貧しいよね。心が貧しい生き方をしている人って、まず間違いなくそういう考え方を持っている。人生を全然楽しめていない。
    この発言について、もう少し詳しく書いていただけないでしょうか?
    [回答]
    まず、前段の「「自分の方が他人より優れてる」っていう視点」について。
    なぜこういう発言をしたか、文脈は忘れてしまいましたが、元々「謙虚さがだいじだ」的なことをTweetしている人がいて、「け、何言ってやがんだ」と思ったから書いたように思います。
    ぼくはいつも、「ぼくのどこが他人より優れているか」を考えながら生きているのですが、それがぼくの人生を大い

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  • 情報リテラシーはどうやったら身につくのか?:その15(2,158字)

    2021-01-19 06:00  
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    ちょうど情報リテラシーについて書き始めたタイミングで、アメリカ大統領選挙が行われた。そこで、トランプ現大統領がさんざん嘘を言い放った結果、それに踊らされる人が多数現れ、以前に比べてますます情報リテラシーの欠落している人が顕在化する格好となった。つまり、嘘やデマに流されやすい人が以前より目につくようになった。
    そうして、あらためて情報リテラシーの重要性を知るとともに、嘘やデマに騙されないことがいかに難しいかということも知ることになった。特に、それは現代において難しい。現代では、賢くいることが非常に困難なのだ。
    いや、この言い方は正しくない。歴史的に見て、多くの人が賢かった時代など皆無だ。人間の歴史の中で、大多数の人々が嘘やデマに惑わされなかった時代など一つもない。人間はずっと、大多数の人が間違う中で生きてきた。
    ただ、これまでの時代は間違っていてもそれほど大きな損失を被るわけではなかった。大

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  • 学生に伝えたいお金のこと:その12(1,452字)

    2021-01-18 06:00  
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    「お金」というのは、単に「現金」のことだけを指すのではない。そのことは、「お金の本質」を知るとよく分かる。
    ここまで見てきたように、お金の本質には「交換のための道具」ということと「価値の保存」という二つの側面がある。そして、それらはいずれも「市場」でないと役に立たないから、我々はまず「市場に参加する必要」があるということが分かる。
    「市場」とは、「何かとお金を交換するところ」なので、市場に参加するにはその「何か」が必要だ。その「何か」とは、既述のように「面白い話」だ。面白い話をできれば、市場に参加できる。
    では、「面白い話」はどうすればできるのか?
    それは、「経験」をすることだ。特に「失敗」は貴重な経験になるため、「面白い話」には必要不可欠なものといえよう。
    ただ、「失敗」には常に「生命の危機」がつきまとう。だから、保険を掛けておく必要がある。失敗して命を失ってしまっては、文字通り元も子も

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