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アメリカ大統領選はトランプが当選するのではないだろうか(1,928字)
2016-02-29 06:00110pt共和党のアメリカ大統領選候補者指名争いで、トランプが優位に立っている。3月1日のスーパーチューズデーで、その勢いを決定づけるとの予測もある。
ぼくは、トランプが大統領になるのではないかと予想している。それは、今の時代に全く相応しい大統領だと思うからだ。以下に、その理由を記す。
アメリカ大統領というのは、2000年が一つのターニングポイントだった。ここでブッシュが僅差で当選した。
すると、ニューヨークで同時多発テロがあり、さらにイラク戦争などもあって、ブッシュは史上最悪の大統領といわれたりした。それでいながら、ちゃっかり8年の最大任期を全うした。
ブッシュを悪く言う人は多いが、ぼくは昔から彼が好きだ。というのは、アメリカ大統領というのは、政治家というよりも象徴のような役割が強いので、能力よりもメンタルタフネスが求められるからだ。一人の人間にとっては重すぎるほど責任を担っても平気でいられる、精 -
1980年代とフルシチョフ(1,948字)
2016-02-26 06:00110pt最近、興味があるのは1980年代とフルシチョフだ。80年代は、よく「バブルの時代」といわれる。なぜかというと、バブルの時代のど真ん中で、その影響があまりにも大きかったからだ。しかし、80年代はもちろんバブルの時代というだけではなく、それ以外にもいろいろなことがあった。しかし、そんな80年代を魅力的に描いた、あるいは回顧したコンテンツというのはなかなかない。先日、マンガ家の大井昌和さんのニコ生に出させていただいて、ちょっとそういう話になった。例外的に「アオイホノオ」は成功したが、それ以外の好例が見当たらない。それは、60年代や70年代と比べたらもちろん、90年代に比べても少ないのだ。なぜかといえば、かつて「バブルへGO!!」という映画があって、これが大失敗したためではないだろうか。そのトラウマが大きく、「80年代を描いても当たらない」という評価が定着してしまった。しかしぼくは、この映画は単に -
教養論その26「言語能力における美的感覚(中編)」(1,754字)
2016-02-25 06:00110pt「言葉の美しさ」というのは、以下の四つの要素から構成されている。1、音の美しさ2、機能としての美しさ3、概念としての美しさ4、形の美しさここで、この四つについてそれぞれ見ていく。まず、「音としての美しさ」。これは、別の言い方をすれば「朗読したときの聞こえ方の良さ」ということになろう。口から音として出したときの美しさだ。その最も代表的なものといえば、「七五調」ということになる。「古池や蛙飛び込む水の音」「ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは」これらを音読したときの、独特のリズム。また収まりの良さ。そうした要素が、聞く者に音としての美しさを感じさせる。あるいは、七五調でなくとも美しい音の言葉というものはある。例えば、ぼくが好きなのは「百年の孤独」の書き出しだ。「長い歳月が流れて銃殺隊の前に立つはめになったとき、恐らくアウレリャノ・ブエンディア大佐は、父親のお供をして初めて氷と -
[Q&A]童顔を直すには?(1,919字)
2016-02-24 06:00110pt[質問]僕は既に30歳を過ぎているのに、童顔なのも多少あるかもしれませんが、「学生ですか?」と言われることもザラにあります。それが、最近は一種の「コンプレックス」です。高卒してから、ほぼ、親元を離れ自活してきましたが、「実家暮らし?」「お子ちゃま」ってからかわれます。「俺は苦労や努力が足りないのだろうか?」と思ったりします。自分なりに分析すると、他者から身なりや振るまい、言動、話し方声のトーン、「仕事で責任感がでてない。」「女性関係がなさそうなのがなんとなくでてる」「大した生き方してないんだろうな?こいつは!」みたいな。虫けらは元に何か自分なりに具体的に対策や心構えみたいなものはありますか?[回答]「苦労を買ってでもする」というのを日頃からすることですね。ぼくはよく街に落ちているカンからを拾ってゴミ箱に捨てていますがそういう功徳を積まれてみてはいかがでしょうか。それと、ボランティア活動に従 -
世界的なプロダクトを生み出す日本の美的感覚:その7(1,919字)
2016-02-23 06:00110pt『日本人は盗む』日本の美的感覚を大きく変化させるできごとが、一九世紀の後半に起きた。明治維新だ。明治維新は、日本の美的感覚のみならず、さまざまなものを変化させた。まず、明治維新によって西洋の文化が日本に入ってきた。それも、雪崩を打って入ってきた。まるで洪水のように押し寄せてきた。日本人は、それを意識的に招き入れた。政府が主導して、多くの外国人教師を雇ったのである。彼らは「お雇い外国人」と呼ばれ、さまざまな分野において西洋式の考え方ややり方を日本人に教えていった。ここまでは比較的によく知られていることだが、この先に、あまり知られていない二つの事柄がある。それは、こうしたお雇い外国人たちは、比較的短期間で契約が解除されたということだ。たいていは数年、長くても一〇年ほどしかいなかった。そうして、ほとんどの人が彼らの国に帰っていった。なぜか?それは、彼らの報償が高額だったため、払い続けるのが難しか -
少子化について考える(1,958字)
2016-02-22 06:00110pt最近、またぞろ少子化がネットで話題である。
もとははてなの増田で「保育園落ちた日本死ね!!!」というエントリーがあって、それにいろんな人が反応した。
「保育園落ちた日本死ね!!!」
「保育園落ちた日本死ね!!!」って言われたけど、むしろ東京都は保育園をつくるべきではない理由
「保育園落ちた日本死ね」と叫んだ人に伝えたい、保育園が増えない理由
政治が子育て層を簡単に無視できる、投票率以外の大きな理由
この問題が根深いのは、「少子化」というのが構造的な問題ということだ。どう構造的かというと、少子化が進むと子育てする人が少なくなる。そうなると民主主義の世の中なので子育てする人が有利な政策は多数決で否決され通りにくくなる。そうして世の中はますます子育てしにくくなる。そうなるとまた子育てする人が減り――という悪循環に陥っているのだ。負のスパイラルが止まらない。
また、もう一つの根深い構造もある。それ -
『her/世界でひとつの彼女』という映画を見た(1,895字)
2016-02-19 06:00110pt『her/世界でひとつの彼女』(以下『her』)という映画を見た。あらすじを簡単に紹介すると、近未来、主人公のセオドアは手紙の代筆(文章を考える)を仕事としている。仕事は順調だが、最近奥さんと別居中(離婚係争中)で一人暮らし。とても寂しい思いをしている。そんなとき、新発売のOSを買う。そのOSは人工知能でできていて、人間みたいな会話が可能だ。いろいろとお喋りができる。それで、主人公は次第にそのOSと仲良くなっていく。ちなみに、主人公は最初にそのOSの設定を「女性」にしたので、彼女は女性だ。それで『her』というタイトルなのだ。紆余曲折がありながらも、主人公はそのOSが好きになっていく。同時に、奥さんとの離婚届にサインをしたり、仕事にこれまで以上に打ち込んだりと、さまざまにいい変化が訪れる。しかしやがて、今度はOSの方に新しい変化が現れ始め、その関係がまた変わっていく……という話だ。この映画 -
教養論その25「言語能力における美的感覚(前編)」(1,587字)
2016-02-18 06:00110pt「教養」とは、ほとんど「言葉を知っている」ということと同義である。なぜなら、言葉というのは「知識」であり、同時に「思考の道具」であり、さらには「さまざまな事象の概念、本質を表しているもの」でもある。だから、それを知れば知識、思考力、物事の本質という三つの教養にとって重要なことを同時に習得できるのだ。
それゆえ、教養を高めるには言葉を習得するのが一番なのだが、言葉の習得というのは、主に以下の四つに分類される。
1、知識力
2、構成力
3、想像力
4、美的感覚
1の知識力とは、文字通りたくさん言葉を覚えること。2の構成力とは、その覚えた言葉を巧みに構成すること。3の想像力とは、その言葉を使ってやり取りする相手との間に言語外言語での関係を構築すること。そして4の美的感覚とは言葉の持つ芸術的要素である。
今回は、この4の「美的感覚」について見ていく。
ところで、「美的感覚」というのは言葉に限らず人 -
[Q&A]好きな絵本はなんですか?(1,728字)
2016-02-17 06:00110pt[質問]
僕は若い頃に一時期、入院したことがありまして、その時、見舞いに来てくれたのが、親族だけで切ない気持ちになった覚えがあります。僕は、正直、結婚願望も低いですし、子供もどうしても欲しいわけではありません。しかし、適度には見舞いに来て欲しいですし、人生の中盤、後半にかけて人には、ある程度かこまれていたいです。やはり他者に貢献できる人間を目指した方がいいですか?
若い頃は自分しか見ていなかったところはあります。
[回答]
「他者に貢献できる自分」ということですが、なぜ「自分」が中心になるのでしょうか。自分というのはそれほど大した存在ではないので、目指すとしたらやはり「他者に貢献できる『人間』」かと思います。
それに、お見舞いに来てくれるかどうかというのは大した問題ではないので、それに思い悩んでいるうちはなかなか「他者に貢献できる人間」にはなれないと思います。「他者に貢献できる人間」という -
世界的なプロダクトを生み出す日本の美的感覚:その6(1,639字)
2016-02-16 06:00110pt日本人と絵の関係:その1「江戸時代に花開いた庶民文化としての絵」
日本という国は、ある統計によると「人口における絵描き」の比率が最も高いのだそうである。絵を描くことを職業とする人がどの国よりも多い。
これが、日本人の絵、あるいは絵描きに対する独特の感情につながっている。
日本では、絵、あるいは絵描きが多いからこそ、絵や絵描きに対する「尊敬の度合い」が他国よりも薄い。絵や絵描きが多いために、その存在がコモディティ化しているのだ。
しかしこれは、違ういい方をすれば、それだけ絵描きの描く絵が生活に溶け込んでいるということでもある。それが日常として、特に珍しい存在ではなくなっている。
それは、日本という国に絵の需要が多いからでもある。多くの日本人は、絵を特別な楽しみというよりは生活の中で必要とし、それにお金を払っている。
その意味においては、日本はどの国よりも絵に対して尊敬を払っているということも
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