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記事 23件
  • マンガの80年代から90年代までを概観する:その48(1,747字)

    2022-03-31 06:00  
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    第二次世界大戦とその敗戦が日本人に与えた影響は計り知れないくらい大きい。あまりに大きすぎて、ほとんどの人がそれを直視できず、無意識下に押しやった。
    おかげで、今ではほとんどの人がそのことを忘れ、表面的には影響が勘案されることがない。歴史も文化もそこで分断されてしまっている。従って、戦後生まれの人はまるで戦争などなかったかのように感じているし、振る舞ってきた。
    しかしながら、戦争は日本を激変させた。それによって、いいこともあれば悪いこともあった。
    いいことは、変化を受け入れ、明るく前向きに生きられたことだ。それによって、高度経済成長を成し遂げることができた。
    悪いことは、内面の傷と向き合わなかったため、それ以降の変化への対応が極端に下手になってしまったことだ。高度経済成長以降は、現状を守ることに汲々とする文化が醸成され、それがいまだに続いている。
    そのことによる弊害は、21世紀も20年が経過

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  • [Q&A]「旅」とは何か?(1,614字)

    2022-03-30 06:00  
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    [質問]
    ユーチューブでガーシーが人気です。これは芸能人の暴露的なものですが、同様に政治の重鎮の暴露をして老害政治家を一掃するユーチューバーも今後出てきて、人気になると思いますか?
    [回答]
    ありうると思いますね。思えば、芸能界も力が弱まったから暴露が流行するようになったという背景があるように思います。政界も同様に力が弱まっているので、暴露をする人物が現れても不思議はありません。
    [質問]
    「カッコいい」は時代と共に変わると思います。今の日本はどちらかというと、「脱成長」とか「革命」みたいな雰囲気がカッコいいと言われているような気がしますが、ハックルさんはどのようなことが「カッコいい」と感じていらっしゃいますか?
    [回答]
    今は「左翼」がカッコ悪いので、その反対をすればかっこいいと思います。ただし、それは「右翼」というわけではなく、もっと純粋に「反左翼」を唱えるというスタンスがいいですね。

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  • 生きるとは何か?:その27(1,767字)

    2022-03-29 06:00  
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    生きるとは何か?――そう考えることが、ふと気づくとぼくのライフワークとなっていた。このこと事態は、きわめて「倒錯したできごと」といえよう。
    というのも、ぼく自身は紛れもなく現に(すでに)生きているわけだから、「生きるとは何か?」ということは考えなくとも、特段の問題はないわけだ。すでにできていることについてあれこれ考えるのは、ほとんど意味がない(ように見える)。
    しかしながら、ぼく自身は意識的に、意図してそのことを考えているわけではない。無意識的に、ほとんど本能的に、気がついたら「生きるとは何か?」ということを考えずにはいられなくなっていたのだ。
    それは、自然発生的に湧き上がってきた。しかも、今なお「逃れられないもの」としてある。ぼく自身、「生きるとは何か?」などと考えなくなれれば、どれだけ楽かとも思ったりする。しかしながら、これまでは考えられなくてはいられない状態になっていたし、今なおなっ

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  • 知らないと損をする世界の裏ルール:その12「嘘をついた方が良い」(1,958字)

    2022-03-28 06:00  
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    世の中の常識は、なぜか「嘘をついてはいけない」になっているが、本当は「嘘はついた方がいい」だ。「嘘も方便」などという言葉があるが、そんな生やさしいものではない。実際のところ、「嘘をつかなければならない」くらいの高いレベルが求められる。
    子供を観察していて気づくのは、彼らは生得的に、しかもナチュラルに嘘をつくということだ。そして、それでいい。そうでないと、生きていく上で大きな支障となるだろう。
    例えば、母親が「もう寝なさい」と言うとき。子供は、本当のところはまだ寝たくないのだから、嘘をつかないとなると「まだ寝たくない」と答えることになる。しかし、そんなふうにいちいち正直に答えるのは手間だし、角が立つ。だから、寝たくないときは聞こえなかった振りをする。つまり「聞こえていないよ」と嘘をつくのである。
    思えば、子供の頃のぼくはそれができなかった。もちろん、「絶対できない」というくらいの頑なさではな

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  • トヨタ生産方式について考える:その14(1,911字)

    2022-03-25 06:00  
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    この世の中は、「優秀さ」ということについての価値が高い。人は、優秀な人を評価する。
    ところが、驚くことにその「優秀さ」の定義が、きわめて曖昧なのだ。そのせいで、人間そのものの評価も曖昧になっている。特に、日本企業ではその傾向が強いだろう。
    ドラッカーは、「何が成果かを問え」とくり返し唱えた。つまり、「この会社は何をすることで社会に貢献を果たすのか、考え続けろ」ということだ。
    考え「続けろ」と言ったのは、それをしない人が多いからである。特に、一度は考えたとしても、継続して考えない人が多い。
    しかし、「何が成果か」ということの答えは、時間経過とともに変化する。ドラッカーの生きていた時代でも変化していたのだから、今はもっと激しく変化しているといっていいだろう。
    そうした状況に対応するには「変化こそ前提」という価値観を周知徹底させることがだいじだ。会社はもちろん、自らも変わり続けていくことを念頭に

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  • マンガの80年代から90年代までを概観する:その47(1,756字)

    2022-03-24 06:00  
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    マンガは、人間の無意識につながりやすい。しかも、フィルターなしでダイレクトにつながりやすい。それがマンガという表現形式(メディア)の最も大きな魅力の一つだ。
    だから、ある一個人が自分の無意識を表現したいとき、マンガはとても適している。また、誰かの無意識を受け取りたい読者にとっても、マンガは最適なのである。
    そんなふうに、マンガは「作者と読者の無意識の交歓」といえる。この構造は、手塚治虫の時代から現在に至るまで変わっていない。
    ただし、それゆえ作者には疲弊するところがある。そもそも無意識を発露し続けるというのは、自動車のアクセルを踏み続けるようなもので、やがてエンジンが焼き切れてしまう。あるいはガス欠になって、いずれにしろ走れなくなる。事故を起こす場合だってある。
    マンガ家が継続的に作品を描き続けられないのはそのためだ。とにかく無意識を疲弊してしまう。そして無意識を疲弊すると、人はいとも簡単

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  • [Q&A]ホワイト革命についてどう思うか?(3,035字)

    2022-03-23 06:00  
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    [質問]
    岡田斗司夫さんの『ホワイト革命』という考え方がとても興味深いです。自分もホワイトになった方が生きやすいのかも知れませんが、本質的にはホワイトにならないとしても『ホワイト革命』に適応した生き方を続けていくと人間的な面白さが失われていく気がします。岩崎さんはこの『ホワイト革命』をどう思いますか?
    [回答]
    ぼく自身も、実はここ10年でかなりホワイト化しました。特にネットの公開された場所での発言は、ほとんどブラックではなくなりましたね。
    以前は、ブラックな発言をすることで狂人を装い、多くの人が吹き上がるのを楽しんでいたこともあったのですが、今はそういうことができなくなりました。理由は、それこそ岡田さんが言うように、炎上のダメージが以前とは桁違いに大きくなったからです。
    このホワイト革命は、今後もますます拡大していくと予想しますが、そこで重要になってくるのが、「何がホワイトか?」の定義だ

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  • 生きるとは何か?:その26(1,529字)

    2022-03-22 06:00  
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    野蛮人のように生きる――それが、これからの人類にとって幸せの鍵となるだろう。ただし、単純な意味での野蛮人ではなく、「情報時代の野蛮人」という意味でだ。現代社会を受け入れながら、古代の本質を取り戻すのだ。
    「情報時代の野蛮人」を連想して、ぼくが真っ先に思いつくのは、やはり桜井章一さんだ。桜井章一さんは、都会に生まれ、育ちながら、野生の感性を育んだ。では、彼はどのように野生の感性を育んだのか?
    その基本は、やはり生活にある。まず、食べない。代わりに、動く。歩いたり、泳いだりする。
    桜井さんは、睡眠もあまりとらない。野蛮人のように浅い眠りで、いつでも神経を研ぎ澄ませている。
    「眠らない」ことは、現代の常識では健康に悪いとされている。実際、眠らない(眠れない)現代人も多い。
    しかしながら、現代人の「眠らない」と、桜井さんの「眠らない」とでは、少し様相が違うと思う。
    現代人が眠らないのは、仕事などで

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  • 知らないと損をする世界の裏ルール:その11「『いつう』と『うつ』のトレードオフ」(2,145字)

    2022-03-21 06:00  
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    この世界には、ルールがあるようで実はない。例えば法律やお金、宗教や常識・社会習慣も、全てその価値体系が実在するということに社会のルールとしてはなっているけれども、実際は存在しない。そういう本当に見える嘘のことを、社会学では「共同幻想」と言ったりする。
    この共同幻想の存在を根底から疑わない人は、これからの時代、生きることに苦しむだろう。ただし、ルールの存在を疑う人も、やっぱり苦しむ。そういう難しい時代になってきた。
    例えば今、まさに発生したロシアのウクライナ侵攻について、国際社会はこれを「ルール違反」と糾弾している。しかしながら、ロシアはロシアで「ウクライナの方がルール違反」と主張し、軍事侵攻はそれに対する報復だとの見解を示している。
    そして、ロシアは国際社会の一員であるのみならず、大きな立場や発言権を有している。そのため、彼らの主張を完全に排除することはできない。そうなると、露呈されるのは

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  • トヨタ生産方式について考える:その13(2,591字)

    2022-03-18 06:00  
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    トヨタ生産方式の大野耐一は、部下への教育において「手取り足取り教えない」ということを信条としていた。部下が自分で問題解決方法や、あるいは問題そのものを見つけるまで、ひたすら待つことにしていた。
    ただし、漫然・超然と待っていたわけではなく、強い圧力をかけていた。無言で部下を工場へ連れ出し、長い時間見回ったりしていた。あるときなどは、工場の一角にガムテープで四角を描き、その中に部下を一日中立たせたこともあったという。そこから見える景色に製造工程の問題点があるから、自分で気付というわけである。
    そうやって圧力をかけられると、部下も追い詰められ、血眼になって問題点を探した。そうしてようやく見つけると、そこで初めて「改善方法を考える」というプロセスが始まるのだ。
    また、大野は部下を絶対に褒めなかった。部下の示した改善案に納得したときも、何も言わなかった。しかしそれが常態化してくると、やがては部下も学

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