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記事 22件
  • アーティストとして生きるには:その28(1,770字)

    2023-10-31 06:00  
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    今は「新しい生き方」が求められている。それは、一つには多くの人が、ほとんどの場合で「潜在的に」ではあるが、今の生き方に窮屈さを感じているからだ。
    それでいて、多くの人がそこから抜け出せていない。それは、まさに彼らが「潜在的に」窮屈さを感じていることが主な原因だが、たとえ「顕在的に」意識できたとしても、心のしがらみが強すぎて、なかなか一歩が踏み出せない。
    そのため、自分の代わりに一歩を踏み出してくれる誰かを求めている。誰かが一歩を踏み出してくれれば、自分もフォローしやすくなるからだ。ファーストペンギンやセカンドペンギンは難しいが、サード以降ならそう難しくはない。そのため、まずはファーストペンギンとして新しい生き方を提示、もしくは実践してくれるアーティストを求めているのである。
    そういう需要に対し、今から5年ほど前、西野亮廣氏や中田敦彦氏、DaiGo氏や田村淳氏、そして箕輪厚介氏など、インフル

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  • 石原莞爾と東條英機:その21(1,801字)

    2023-10-30 06:00  
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    「1920年代」はどういう時代だったのか?
    今が2023年なのでちょうど100年前である。
    1920年は、大正9年である。そして大正は15年――つまり1926年までだ。そこから昭和が始まる。そのため1920年代は、前半が大正、後半が昭和という形になる。だから、「大正から昭和に移り変わった時代」だといえよう。
    石原莞爾は1889年の生まれなので、1920年には31歳だった。東條英機は1884年生まれなので、36歳である。ともに30代から40代の、若く勢いのある時期をこの年代にすごしている。
    ちなみに、永田鉄山も1884年生まれなので36歳、板垣征四郎は1885年生まれなので35歳。皆まだ若い。
    「バーデン=バーデンの密約」は、1921年に行われた。大正10年である。この頃にはまだ山縣有朋も元気で、若き陸軍将校たちの目は「藩閥体制の打倒」に向けられていた。そして、陸軍の改革が彼らの急務だった。

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  • 庭について:その51(1,694字)

    2023-10-27 06:00  
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    厳島神社には「奥行き」がある。これはイングリッシュガーデンにはないものだ。
    どういうことかというと、イングリッシュガーデンはどこか美術館的、博物館的なのである。周遊はできるが、ベクトルのようなものが希薄だ。指向性、方向性が曖昧なのである。フラットで、さまざまな植栽が均一だ。
    一方の厳島神社は、強烈なベクトルがある。むしろ、ベクトルの前に全てが従属しているといっていい。本殿があって、その先に鳥居がある。鳥居は人がくぐるためのものだ。そのため、たとえ道がなくとも、人はそこに強烈な指向性を見出す。もっと具体的にいえば、その鳥居に向かって歩き、下をくぐりたくなる。
    厳島神社の面白いところは、そういうふうに「くぐりたい」という奥行きを演出しながら、ときとしてそれが適わないところである。つまり、干潮のときはできるが、満潮になると海に覆われて歩けない。
    そのため人は、そこに「幻の道」を見出す。これは壮大

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  • 偽物の個人時代:その14(1,702字)

    2023-10-26 06:00  
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    これからの10年で、「偽物の個人社会」は暴走する。いや、その暴走はすでに始まっているといっていい。
    では、「暴走」とは具体的にどのような事象を指すのか?
    ぼくは、それが端的にあらわれているものに「婚活」があると考えている。また、その先の「家」さらに「子育て」が暴走している。つまり、夫婦や家族を巡る状況が、混沌とし、混乱をきたしているのだ。
    おそらく、偽物の個人時代において、あるいは本物の個人時代においても、最大の懸案となるのは「家族」だろう。家族の扱いをどうするのか――というのが問われざるをえないのだ。
    そして、偽物の個人時代と本物の個人時代の違いは、「偽物」の方が古い家族観を引きずっているのに対し、「本物」の方は新しい家族観を構築しているということである。その意味で、新しい家族観の構築こそが、本物の個人社会の到来に欠かせない要件ということになるだろう。
    ただ、いずれにしろそれはまだ先の話

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  • [Q&A]男性が不利な今の世の中でどう生きていけばいいのか?(1,822字)

    2023-10-25 06:00  
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    [質問]
    日本人が真面目に頑張って働いて納めた税金は、官僚や外国人やNPO連中にかすめ取られ、弱者だ女性だと言えば子供の連れ去りや助成金泥棒がまかり通るような酷い逆差別の今の日本。我々労働者や男性はこんな世の中でどう生きるべきでしょうか?
    [回答]
    ぼく自身も、中年男性ですので社会の中で差別される羽目に何度も陥りました。が、次第にそれだけではないなと気づきました。自分にも優位性はあったんです。むしろ、特権的なものもいくつか持っていました。だから、そこで戦うことにしました。勝つことを目的にして、フィールドにはこだわらなくなったんです。
    今、世間で差別されている人のほとんどは、「フィールドを選んでいる」ことが原因の大きな部分を占めていると思います。例えば、「子育て」という分野は女性が強い。男性差別がまかり通っている世界ですが、そこで男性が戦っても圧倒的に不利なので、最善の選択は「そのフィールド

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  • アーティストとして生きるには:その27(1,729字)

    2023-10-24 06:00  
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    みなさんは「ひとりキャンプ」についてどう思うだろうか? ぼくは、「ひとり」というのは比較的好きだが、「キャンプ」にはほとんど興味を抱いたことがない。それでも、数年前にヒロシ氏がひとりキャンプブームを巻き起こしたとき、そこに何か新しいものを感じた。そうして、率直に魅力を感じた。
    そこで今日は、なぜぼくが「ひとりキャンプ」に魅力を感じたのかについて考えてみたい。ただし、「魅力を感じた」といってもひとりキャンプをしたくなったわけではない。それを始めたヒロシ氏の心情や、それを支持する人々のありように魅力を感じたのだ。
    では、それはどんな魅力か? 結論からいうと「発明」の魅力である。もっというと、「アート」の魅力である。そこには、これまでの価値観を打破するアートのような、革新性が感じられたのだ。
    どういうことかというと、この世の「ひとり」が好きな人に、新たな可能性を拓いたのである。皆、それまでの「ひ

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  • 石原莞爾と東條英機:その20(1,852字)

    2023-10-23 06:00  
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    第一次世界大戦に、日本は同盟を結んでいたイギリスを助ける形で、いうならば「つき合い」で参加した。そうして、惰性で連合国側につくこととなったのだが、結果的に戦勝国となった。
    ただし、おかげでそれまで親しかったドイツと敵対することとなった。陸軍の若手幹部候補生だった永田鉄山は、開戦のまさにそのときまでドイツの首都ベルリンにいた。そこで開戦の報を受け、慌てて出国した。そうして、連合国をいくつか回りながら、最終的に帰国した。
    この戦争での日本は、親しかったドイツと敵対したことをはじめ、なかなか難しい立場に置かれた。まず、ドイツよりよっぽど仲が悪く、長い間の仮想敵国であったロシアと連携することとなったのだが、そのロシアがなんと、第一次世界大戦の最中に革命が起こり、転覆してしまった。ロシア革命である。これによって、ついにソ連が始まった。
    日本は、その混乱に乗じてロシアの要所を侵略しようと口実を作って攻

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  • 庭について:その50(1,687字)

    2023-10-20 06:00  
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    厳島神社の2番目の大きな特徴は「8割しか管理しない」ということである。それは、厳島神社の象徴である大鳥居を、あえて海の中に浮かべているということだ。いや、より正確に言うと湾内の砂浜の上に「置いている」ということである。
    そうして、その砂浜には潮の満ち引きがある。だから、潮が引いているときには下の土台が露わになるが、潮が満ちてくるとそれが波の下に隠れ、柱より上の部分だけ見えるようになる。
    そうして人は、当たり前だが「潮位」をコントロールできない。だから、鳥居がどう見えるかは完全に潮任せ、自然任せなのだ。そこのところで、管理していない。いや、むしろ管理を手放している。
    ただし、完全に管理していないわけではない。潮の満ち引きによって潮位がどう移ろうかはだいたい分かっているから、最高位のところではこう見えて、最低位のところではこう見えるというのもちゃんと計算している。むしろ、ぎりぎりまで計算し尽く

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  • 偽物の個人時代:その13(1,683字)

    2023-10-19 06:00  
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    団塊ジュニアは今、急速に自信を失い始めている。きっかけは「子供たち」だ。自分たちの子供世代であるα世代を見て、長年保持してきた強固な自信が揺らぎかけているのだ。
    しかしながら、それはまだ表面化していない。つまり、意識できていない。彼らはまだ、意識の上では自信がある。しかし、深層の無意識のところで、自信が微妙に揺らぎ始めているのだ。
    なぜかというと、Z世代が社会に出て、α世代が成長するに連れ、言いようのない不安を覚え始めたからである。その不安とは、「自分たちの教育が間違っていたのではないか」という疑念だ。特に、「子供を支持し、応援する」という教育方針に、拭いがたい疑義が生じ始めている。
    最近、ネットはもちろんリアルでも、ホワイト化社会に対するバックラッシュが起きている。つまり、ホワイト社会、リベラル社会を否定する、昔ながらの考えを持つ人が増えてきた。特に子供に対して、「もっと厳しく躾けるべき

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  • [Q&A]テレビはなぜつまらなくなったのか?(1,678字)

    2023-10-18 06:00  
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    [質問]
    働いている会社の経営者(かなり高齢)が数千万、数億単位のコンサルとの契約を次々としています。それで何か職場が改善されていればよいのですが何も改善されておらず、コンサルからの指示で無駄な打ち合わせと資料作りにどこの部署も追われています。経営者も具体的な目的もなくコンサルと契約をして漠然とした作業指示をしているので、コンサル側も「とりあえずお金が貰えるから適当に対応しておこう」という態度です。他の大手会社に勤務している人と話していてもコンサルが介入しているケースが多くなっているようです。ハックルさんならコンサルとどう付き合っていきますか?
    [回答]
    以前、『もしドラ』を出した直後にマッキンゼーの人と仕事をしたとき、相手がぼくのニュアンスを全く理解できていなかったので「こりゃあダメだ」と思ったことを強く覚えています。ぼくのニュアンスを理解できる人はそれなりにいるので、そう難しいことでは

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