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記事 23件
  • なぜ勉強するのか?:その23(2,063字)

    2018-05-31 06:00  
    110pt
    学問というのは歴史から始まりました。歴史を学ぶこと自体は、自分のルーツを知りたいという人間の根源的欲求と重なるため、きわめて自然のことだったのですが、それを学ぶ過程で、「学ぶ」ということが人間の生活にさまざまな影響を及ぼすと言うことが次第に分かってきたのです。そうしてそこから派生して、どんどんと「学問」が生まれてきました。
    その歴史から派生した学問のうちの一つが「言語学」です。違う言い方をすれば国語です。言葉について学んだり考えたりする分野です。
    なぜ歴史から言語学が派生したかといえば、それは言語を学べば学ぶだけ歴史の語り方が豊かになるからです。正確にもなるし、人に伝わりやすくもなる。
    そもそも、人は何かを語るときにとても苦労します。それは言葉が一筋縄ではいかないからです。何かの事実を言語に変換しなければならない。その変換作業に最初は誰でも戸惑うため、それをもっとスムーズにしようと、自然に

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  • [Q&A]ロシアワールドカップに期待することは?(2,480字)

    2018-05-30 06:00  
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    [質問]
    ロシアワールドカップ(W杯)が近づいてきました。ハックルさんは、この大会をどのように楽しもうと思っていますか?
    [回答]
    ぼくは熱心なサッカーファンではありませんが、やはりハリルホジッチが解任されたことによって、どのような結果が出るか、ということはとても気になります。勝ったらみんな手のひらを返すでしょうが、負けたらそれこそ選手スタッフ協会全員がぼろくそに叩かれるでしょう。それはほとんど再起不能なまでに叩かれるのではないでしょうか。
    ですので、もちろん勝って喜びたいという気持ちもあるのですが、もう一方で、負けてボロカスに叩かれるところも見てみたい、という気持ちもあります。そういう気持ちを持っている人は、今回、意外と多いのではないでしょうか。
    [質問]
    岩崎さんにとって「よい書評」とは、どのような書評ですか?
    [回答]
    それはもちろん、面白がり方を教えてくれる書評です。
    ぼくに書評の

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  • これからどう生きたらいいのか?:第23回(1,728字)

    2018-05-29 06:00  
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    ここからは、これからの結婚について考える。
    ところで、結婚とは何のためにするのだろう?
    理由はいくつかがあるが、最も本質的なのは「より生きやすくなる」ということだ。生き残れる可能性が高まるということだ。生存確率を高める――という言い方もできるかもしれない。
    とにかく、ここが第一の目的だ。後はおまけのようなものと考えていい。
    そして、昔の結婚は良かった。なぜなら、結婚することによって生存確率が高まっていたからだ。つまり、目的が果たせていた。
    昔は、男でも女でも、結婚しないことには上手く生存していけなかった。昭和の時代までは、ほとんどの仕事は男にしか許されていなかった。しかしその分、家事にも膨大な時間がかかったため、男も一人で生きていくことが難しかった。
    結果として、男も女も結婚を求めた。なぜなら、結婚をしないと上手に生きていけないという、切羽詰まった事情がそこに横たわっていたからだ。
    それで

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  • 映画『犬ヶ島』が描く美しい主従関係(ネタバレなし)(2,026字)

    2018-05-28 06:00  
    ウェス・アンダーソン監督の新作映画『犬ヶ島』のことを知ってから、ずっとそのことを考えてきた。
    それは、以前このメルマガにも書いた。
    最近は、ずっと「犬ヶ島」のことを考えている。(1,577字)
    また、それ以降も『犬ヶ島』のことを考え続け、ついにはフィギュア付きの前売りチケットまで買ってしまったくらいだ。
    そんなふうに、ぼくの中では『犬ヶ島』のことがどんどん大きくなっていったのだが、ついに2018年5月25日、公開初日にぼくは『犬ヶ島』を見たのだった。
    見たのは金曜日だ。初日だからもう少し入っているかと思ったけれど、だいた七割くらいしか埋まっていなかった。つまり、あまり入っていなかった。これではヒットしないかもしれない。
    しかし、この映画はヒットしてもらいたい。なぜかというと、これがヒットするとウェス・アンダーソン監督の素晴らしい映画を再び見られる可能性が高まるからだ。
    ぼくは、アンダーソン

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  • 日大アメフト部の事案について(1,756字)

    2018-05-25 06:00  
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    日大アメフト部のあのタックルは、あまりにも異常だった。そのニュアンスは、アメフトをよく知らない人にも伝わったのだろう。だからこれだけの炎上になった。
    アメフトのルールでは、クォーターバックを守るため、投げた後のタックルを厳しく罰している。ちょっとでも押したら「レイトヒット」といって、即15ヤードの罰退だ。
    そして、アメフトにおける15ヤードの罰退は、すごく重い。これによってゲームの流れは大きく変わるし、そのまま試合に負けてしまうことだってある。それほど重い罰なのだ。
    だから、普通はレイトヒットをしてしまったプレイヤーは、「しまった!」という顔をする。それから、チームメイトは思わず、その違反をした選手に「おまえ、なにしてくれてんねん!」という顔をする。
    もちろん、違反した選手を慰める場合もあるが、とにかく、レイトヒットをすることは何より味方の選手に迷惑をかけることなので、「試合に勝ちたい」と

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  • なぜ勉強するのか?:その22(2,148字)

    2018-05-24 06:00  
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    人間が本来持っていた美的感覚を取り戻すための第三の方法は、「バランスを見極める」ということです。なぜなら、「美」というのもはバランスの中にしかないからです。違う言い方をすれば、美というのはバランスそのものです。バランスがいいものを人は美しいと思い、バランスが悪いものを人は醜いと思います。
    ですから、バランスを見極めることによって人は、赤ん坊の頃に持っていた美的感覚を取り戻すことができるのです。
    では、バランスを見極めるにはどうすればいいのか?
    そこで重要なのは、「アシンメトリー」です。
    人は、バランスというとえてして「シンメトリー」を想起します。「シンメトリー」は、違う言い方をすれば「五分五分」です。五分五分で均衡が取れている状態を、人はつい「バランスが取れているもの」と思い込む節があります。
    しかしながら、五分五分というのは実はあまりいいバランスではありません。なぜかというと、五分五分の

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  • [Q&A]今まで一番笑った事は何ですか?(2,413字)

    2018-05-23 06:00  
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    [質問]
    これから益々グローバル化が進み、日本人だけと関わり日本人とだけ生活を営むというのは考えにくい世の中になっていくと思うのですが、日本人の良い所や日本の観光地を海外の人に教えるとしたら、何と答えますか?
    [回答]
    外国人とつき合うときには、日本人の良いところや日本の観光地を教えても、あまり受けません。それよりも、日本人のユニークさを自分自身が体現する方がいいのではないでしょうか。
    例えば、日本人ならではの名刺の出し方や挨拶の仕方(何度もおじぎ)をすると、外国人は喜ぶと思います。あるいは、外国人は日本のトレンドや日本人の趣向を聞きたがるので、そういうことを教えてもいいでしょう。
    そもそも外国にいる外国人はほとんど日本に興味がない場合が多いですし、日本に来る外国人はそれなりに調べてから来ているので、日本人の良いところや観光地をわざわざ教える必要はないかと思います。
    [質問]
    今まで一番笑

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  • これからどう生きたらいいのか?:第22回(1,945字)

    2018-05-22 06:00  
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    これから仕事をする上で、まずは経験がだいじになる。ただし経験できない場面では、それに先立つ「想像力」も重要になる。
    そこで想像力を鍛える必要があるのだが、それには以下の三つが有効だ。
    一、美しい絵を見る
    二、歴史小説を読む
    三、会話をする
    ここまで一、二と見てきたので、今回は三の「会話をする」ということについて見ていきたい。
    我々は、美しい絵を見ると画家の想像力を学べ、歴史小説を読むと作家の想像力を学べた。これに対して「会話をする」というのは、何かを学ぶというよりは、それを働かせることの練習をする――という行為となる。
    では、どういう練習になるのか?
    それは、「相手を喜ばせるようなことを言って、実際に喜んだかどうか確かめられる―」ということである。
    なぜこれが練習になるかというと、自らの想像力を働かせられたかどうか、すぐに確かめられるからだ。
    例えば、相手を喜ばせるような言葉を想像し、試し

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  • 東京芸大出身の女性のサロンに行った話の続き(1,991字)

    2018-05-21 06:00  
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    前回、こういう記事を書いた。
    東京芸大油画科出身の女性のサロンに行ってきた話(2,229字)
    続きを読みたいという方がいらっしゃったので、続きを描く。
    さて、そのサロンにはおそらく25名くらいが参加していただろうか。40代以上はぼくだけかと思ったら60歳のおじさんがいた。このおじさんが少し寒かったので、まずはそのことを書く。
    そのサロンの主催者は22歳なのだが(大学を出たて)、イベントのコンセプトはというと、「サロン主には知識も社会経験もないので参加してきてくれたみんなに自分の人生をこれからどうしたいいか考えてもらう」というものだった。サロンというと、普通は主催者が参加者のこれからの人生を考えるところなのだが、その会では参加したみんなが逆にサロン主のこれからを考えるという趣旨で、それはそれで面白いと思った。
    ただしそれは、議論が有意義になればの話しだ。残念ながら、そのサロンでの議論は有意義

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  • 東京芸大油画科出身の女性のサロンに行ってきた話(2,229字)

    2018-05-18 06:00  
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    先日、東京芸大油画科出身の女性がサロンイベントをするというので、客として参加してきた。今日はそのことを書きたい。東京芸大は生徒数が極端に少ないので(油画科はそれでも50人)一般にどんな学校かというのはほとんど知れていない。ただイメージだけは極端にいい。それは学校をよく知らない人とってはもちろん、学校に入る前の受験生にとってもそうだ。だから芸大に受かった受験生は浮かれ気分でとてつもない大きな期待を抱いて芸大に入学することになる。そのため、そこでがつんと絶望することになる。東京芸大がとてもではないがいい学校とはいえないということが分かるのは、ほんのひと月もあれば十分だからだ。ぼくは、東京芸大の一年生のときに体育の授業があって、「これは仕方ないのだろうな」とは思いつつも、「何のためにここに来たのだろう」と疑問に思った。それは英語の授業のときもそうだ。英語の授業でトルーマン・カポーティの『夜の木』

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