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記事 2件
  • 「きみは勉強ができないんじゃない、勉強の仕方を知らないだけなんだ」第19回(1,508字)

    2017-07-13 06:00  
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    小説『百年の孤独』はこのような書き出しで始まる。「長い歳月がすぎて銃殺隊の前に立つはめになったとき、おそらくアウレリャーノ・ブエンディーア大佐は、父親に連れられて初めて氷を見にいった、遠い昔のあの午後を思い出したにちがいない」この一文の中に、ぼくが一見して興味を引かれた語句が二つある。一つは「銃殺隊」、もう一つは「氷」である。「銃殺隊」というのは、実に含蓄のある言葉だ。意味は、文字通り「銃で人を殺す人たち」のことである。だから、「銃殺隊の前に立つはめになった」というのは、簡単にいうと「死刑になった」ということなのだ。この「死刑」というのは、単に「殺される」よりも興味深い。まず、大佐は以前に「死刑になるほど悪いことをした」ということになる。そうなると、「それは一体何なのか?」という疑問がまずふくらむ。あるいは、「なぜ捕まったのか?」や「どうして死刑を宣告されたのか?」ということなど、あれこれ

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  • 「きみは勉強ができないんじゃない、勉強の仕方を知らないだけなんだ」第16回(1,603字)

    2017-06-22 06:00  
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    「翻訳言語」とは何か?日本語というのは、その多くが翻訳言語でできている。日本語の伝統的な言い回しのように思えるものでも、意外と翻訳言語だったりする。翻訳言語の象徴的な存在として有名なのは、「事ほどさように」である。もともと英語に「so that's why」という言い回しがあって、それを日本語に訳したのがこの言葉だ。それがやがて定着し、一般にも使われるようになって、日本語の言い回しの一つになった。つまり、日本語には元来なかった言葉なのだ。あるいは日本の文学そのものも、翻訳言語とは切っても切り離せない関係にある。日本の近代文学を確立させたのは夏目漱石だが、彼自身英語の先生で、翻訳とはきわめて深い関係にあった。その彼が書いた日本語が、現代文学の、あるいは口語体の基礎になっている。いうならば、今の日本語は翻訳者が創造したのだ。さらには、夏目漱石が日本語を完成させるときに大いに参考にしたのが二葉亭

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