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記事 20件
  • トヨタ生産方式について考える:その20(1,591字)

    2022-05-06 06:00  
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    子供ための自由な環境を作るという教育(以降「自由教育」という)は、すでに世界中で行われている。モンテッソーリ、シュタイナー、そしてアメリカのサドベリースクールなど、みんな同じ教育方針だ。現在の北欧の公教育も、そういう方針で一貫している。特にフィンランドの教育は進んでいて、生徒が自分で学びたい科目を選べるくらいだ。
    その具体的な様子は、この映画で知ることができる。
    マイケル・ムーアの世界侵略のススメ(字幕版)
    このように、自由教育は既知のもので、しかも大いに結果が出ている。それなのに、日本はいまだにそれとは正反対のことをしている。
    理由は、明治以降に導入した日本型教育が、あまりにも効果絶大だったからだ。おかげで、その幻影をいまだに引きずっている。
    しかし、それが効果絶大だったのは「近代化の導入」という大きな目的があったからだ。もっというと「機械人間を作る」という大きな目的があった。
    しかしそ

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  • トヨタ生産方式について考える:その19(1,608字)

    2022-04-29 06:00  
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    これからの子供に必要なのは、学校ではない。研究室だ。そして、研究ならだいたい10歳くらいからできる。
    イチローや鈴木誠也が本格的に野球の研究を始めたのも10歳くらいだろう。ちなみに、20世紀最大の天才・ノイマンが学校に通い始めたのは10歳である。それまでは家で勉強していた。ウィトゲンシュタインは発話が遅かったため、14歳まで家で勉強していた。
    ノイマンとウィトゲンシュタインには共通点がある。2人ともオーストリア生まれで、20世紀前半にギムナジウムに通っていたことだ。彼ら以外にも、この時期のオーストリア生まれ、ギムナジウム育ちの天才は多い。
    なぜこの時期、オーストリアのギムナジウムで天才がぽこぽこと生まれたのか?
    理由は一つしかなく、「環境」が良かったからだ。
    ぼくは、天才は大きく2つの理由で生まれると考える。この2つとは、言うまでもないが、「才能」と「環境」だ。才能がないと天才にはなれない

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  • トヨタ生産方式について考える:その18(1,698字)

    2022-04-22 06:00  
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    イチローという野球選手がいる。彼は1973年の生まれでもうすぐ50歳だが、「新しい子供」の先駆けではなかったか。つまり、「道路で遊べなくなった最初の世代」だ。町が遊び場でなくなった最初の世代である。
    そのことが、イチローという選手の偉大さを生んだ。イチロー選手は、彼より年上の野球選手たちとは明らかに違う。野武士のような荒々しさや雑味がない。純粋培養の過激さがある。
    だから、あれほどの選手になったのだ。日本史上最強の野球選手になった。それは、彼の純粋培養という養育環境が強く影響していると思う。
    ぼくは1968年の生まれだ。同い年には野茂英雄投手がいる。一つ上には桑田、清原、佐々木主浩などがいる。この世代は、ソフィスティケートされている部分もいくらかあるが、しかし野武士的な面が強い。そういうものの最後の世代だ。
    それに対し、イチローはソフィスティケート第一世代である。松井秀喜もそうだ。彼は風貌

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  • トヨタ生産方式について考える:その17(2,123字)

    2022-04-15 06:00  
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    最近、『アポロ10号 1/2 宇宙時代のアドベンチャー』という映画を見て感動した。
    これは、1960年生まれの監督が、少年だった頃(9歳の頃)の1969年を振り返って作った作品だ。フィクションだが、自伝的要素も強い。監督はテキサスの生まれで、近くにはNASAがあった。父はNASAの職員だった。だから、アポロの月面着陸という史実が、一つの主要なテーマとなっている。
    1969年当時、ぼくはアメリカのマサチューセッツ州に暮らしていた。まだ1歳で全く覚えていないが、間違いなくアポロの月面着陸が引き越した喧噪は体験したはずだ。そのせいか、この映画はなんともいえず懐かしい。とにかく、とても良い映画だ。
    この映画で印象に残ったのは、「当時は子供たちがたくさんいて、遊び場や遊び相手には困らなかった」という回想が挟まるところだ。これは、監督よりは8歳年下だが、ぼくの体験とも重なる。
    1968年生まれのぼくも

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  • トヨタ生産方式について考える:その16(1,736字)

    2022-04-08 06:00  
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    1970年代まで、子供たちは放っておかれた。それは数が多かったからだ。大人たちは、とてもではないが子供の面倒を見切れなかった。しかし、それが良かった。数が多いからこそ放っておかれた子供たちは、そこで自由を謳歌し、能力を育んだ。
    しかし、80年代に入った頃から次第に大人たちの数が増え、また子供の数が減りだした。おかげで、大人が子供にかまうようになった。逆に言えば、子供は大人から干渉を受けるようになった。それだけではなく、監視されるようにもなった。そうして自由が次々に奪われ、それに伴って能力を育む機会を逸してしまったのだ。
    その傾向が、なんと40年経った今も継続している。この40年の間に、干渉の度合いは深まるばかりだ。監視の目は増えるばかりである。
    そのため、今こそ子供たちには逃げ場所が必要である。大人たちから干渉されない、自由な空間が必要だ。
    だから、本当は学校をそういう空間にすべきなのだ。

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  • トヨタ生産方式について考える:その15(1,621字)

    2022-04-01 06:00  
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    人類は、いまだに「人が成長する構造」というものをよく分かっていない。理由は、「理解が難しいから」ということと、「直感に反している」ということによる。
    おかげで、今日でも教育は迷走している。特に、長い間信じられていた「飴と鞭」の法則が20世紀半ばに崩れ去った後、その代替として浮かび上がった「褒めて育てる」が全く機能しなかったため、どうしたらいいか分からなくなってしまったのだ。
    そうした状況の中で、やがて各人が各所で勝手なことを無責任に言い始めた。そのため、事態はますます混沌としている。人々はもはや、「人がどうやって育つか」ということを完全に見失い、おかげで教育は混乱の度合いを深め、多くの子供たちがその犠牲となっている。
    しかしながら、そんな中で見えてきた光明もある。教育が全体としては機能しなくなりながらも、例外的に「この方向だと上手くいく」という可能性がぼんやりとではあるが浮かび上がってきた

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  • トヨタ生産方式について考える:その14(1,911字)

    2022-03-25 06:00  
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    この世の中は、「優秀さ」ということについての価値が高い。人は、優秀な人を評価する。
    ところが、驚くことにその「優秀さ」の定義が、きわめて曖昧なのだ。そのせいで、人間そのものの評価も曖昧になっている。特に、日本企業ではその傾向が強いだろう。
    ドラッカーは、「何が成果かを問え」とくり返し唱えた。つまり、「この会社は何をすることで社会に貢献を果たすのか、考え続けろ」ということだ。
    考え「続けろ」と言ったのは、それをしない人が多いからである。特に、一度は考えたとしても、継続して考えない人が多い。
    しかし、「何が成果か」ということの答えは、時間経過とともに変化する。ドラッカーの生きていた時代でも変化していたのだから、今はもっと激しく変化しているといっていいだろう。
    そうした状況に対応するには「変化こそ前提」という価値観を周知徹底させることがだいじだ。会社はもちろん、自らも変わり続けていくことを念頭に

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  • トヨタ生産方式について考える:その13(2,591字)

    2022-03-18 06:00  
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    トヨタ生産方式の大野耐一は、部下への教育において「手取り足取り教えない」ということを信条としていた。部下が自分で問題解決方法や、あるいは問題そのものを見つけるまで、ひたすら待つことにしていた。
    ただし、漫然・超然と待っていたわけではなく、強い圧力をかけていた。無言で部下を工場へ連れ出し、長い時間見回ったりしていた。あるときなどは、工場の一角にガムテープで四角を描き、その中に部下を一日中立たせたこともあったという。そこから見える景色に製造工程の問題点があるから、自分で気付というわけである。
    そうやって圧力をかけられると、部下も追い詰められ、血眼になって問題点を探した。そうしてようやく見つけると、そこで初めて「改善方法を考える」というプロセスが始まるのだ。
    また、大野は部下を絶対に褒めなかった。部下の示した改善案に納得したときも、何も言わなかった。しかしそれが常態化してくると、やがては部下も学

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  • トヨタ生産方式について考える:その12(2,425字)

    2022-03-11 06:00  
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    先週、ネットを見ていたら「ファインマンテクニック」という勉強法が話題になっていた。
    本当に理解できる勉強法「ファインマンテクニック」が効果的。やっぱり丸暗記は無意味だった
    この「ファインマン」とは、ぼくの好きな「ファインマンさん」のことである。

    ご冗談でしょう,ファインマンさん 上
    勉強法の概要はというと、「勉強するときには、人に教えながらすると効果的だ」というものだ。上記の記事には、具体的なステップも記されている。それは以下の4つである。
    1.白紙を用意して、知識を深めたいテーマを書く
    2.テーマについて知っていることを、人に説明するつもりで書く
    3.うまく説明できなかった部分を、調べて書き足す
    4.できあがった説明文を読み、さらに簡単な言葉に書き直す
    この勉強法は、トヨタ生産方式における「平準化」そのものだ。
    平準化は、まず作業長が、作業表(平準化された作業工程の表)を若い工員のため

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  • トヨタ生産方式について考える:その11(1,772字)

    2022-03-04 06:00  
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    トヨタ生産方式の定義を一言で説明するのは難しい。なぜなら、重要なポイントがいくつかあるからだ。そのうちの一つが「平準化」である。平準化とは、「作業の流れを作る」という意味だ。作業の基本を策定し、それに則って作れば誰でもできるような方式に落とし込むことである。
    「作業の流れを作る」というのは、作業の構造を徹底的に読み解いた上で、それを誰でも行えるように再構成しなければならない。その再構成する際に、工夫を凝らし、可能な限りムダムラムリを排除していく。それでも、排除しきれないムダムラムリは残るから、この改善に終わりはない。
    この平準化こそ、トヨタ生産方式の肝といえるかもしれない。トヨタでは、これを工場の作業責任者が行う。ベテランの職工がまず、工程表を作るのだ。
    そこで重要なのは、作業を徹底的に噛み砕き、新人でも無理なくできる工程に落とし込むことである。これを果たすには、工程表を作る人間が作業を十

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