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どうすれば事象を構造的に見られるか?(2,218字)
2018-09-28 06:00110pt先日、友人と話していて「そういえば渋谷に今、若者の姿が少ないな」となった。特に制服姿の女子高生が少ない。20世紀の終わり頃にはあれだけ街を闊歩していたいわゆるコギャルたちを、今はとんと見かけなくなってしまった。それから20年が経過したが、なぜ女子高生は渋谷に来なくなったのか?それをしばし考察すると、出てきた結論はとてもシンプルなものだった。それは、「女子高生にはお金がない」というものだ。そのため、彼らには渋谷に遊びに来るような余裕がない。放課後は、大方バイトにでもいそしんでいるのだろう。では、20年前の女子高生はなぜお金があったのか? なぜ渋谷に遊びに来ることができたのか? なぜバイトをする必要がなかったのか?その答えも、考えてみると、しごく真っ当なものが出た。それは、「親が与えていた」のだ。親が小遣いをそれなりに与えていた。その上で、彼らはときどきバイトをしていた。もちろん、ブルセラや -
なぜ勉強するのか?:その38(1,780字)
2018-09-27 06:00110pt2第二次大戦後、世界はいよいよ「次に戦争をすれば世界が滅ぶ」という雰囲気に包まれました。
その一方で、戦勝国であるアメリカとソ連がお互いの勢力を伸ばそうと競い合うことになり、アメリカが日本に二発落としてその威力を世界中にまざまざと見せつけた原子爆弾――原爆の開発競争に、両国ともしのぎを削ることとなります。
そうしてアメリカとソ連は、科学力を競いながらどんどんと原爆を開発していきました。
その一方、勢力を伸ばすために他国に侵攻し、領土を増やすということも続けます。しかし、武力で正面からぶつかると、原爆によってお互いに壊滅的な打撃を被ることが避けられないと予測されたため、ずっと直接の戦争をせずにいました。おかげでこの両国間の競争は、冷たい戦争――いわゆる「冷戦」と呼ばれることとなったのです。
冷戦中のアメリカとソ連は、原爆を開発するときに培った科学力でロケットを作ります。ロケットは、 -
[Q&A]おすすめの宇宙本があれば教えてください(1,213字)
2018-09-26 06:00110pt[質問]
スペースXのBFRやそれが目標とする火星探査・開発を目にするニュースが増えてきたこともあり、宇宙や宇宙開発のことを体系的に学びたいと思うようになりました。
そのようなことが初心者でもわかりやすく書かれた本やそんな人にオススメできる本があればいくつか紹介して下さい。
[回答]
それはやっぱり「イーロン・マスク 未来を創る男」ではないでしょうか。
「イーロン・マスク 未来を創る男」
今の民間宇宙事業を牽引しているのはイーロン・マスクだと思いますが、彼の生い立ちや考え方、会社の成立の仕方がよく分かる本です。
それから、イーロン・マスクとの関係で「ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望」もお勧めです。
ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望
あと、手前味噌で恐縮なのですが、これも凄くいい本です。
宇宙って面白いの?
この本では、そもそも人はなぜ宇 -
これからどう生きたらいいのか?:第38回(1,865字)
2018-09-25 06:00110pt種存続の本能は、豊かな社会だと子供の数を少なくし、逆に貧しい社会だと子供の数を多くする。今の日本は豊かだから、それに従って子供を生まない人が多い。
しかしながら、そういう時代にも子供を生む人がいる。
では、どういう人が子供を生むのか?
今、子供を生んでいる人の特徴というのは、大きく二分される。それは、経済的に貧しいか、あるいは経済的にきわめて豊かか、ということである。つまり、いわゆる中間層以外が子供を生んでいる。
まず、経済的に貧しい人が子供を生むというのは、これまで見てきたように、「種存続の本能」からすると順当な話しだ。そして、多くの人が豊かになった現代においても、貧しい人というのは存在する。
ただ、その貧しさは以前と比べると少し様相が違う。昔の貧しさは、それこそ食べていくことそのものが困難――つまり餓死の危険性を伴うものだったが、しかし今の貧しさにそういう危険性はない。どんなに貧しい人 -
事象を構造的に見られる人がいまだに少ない(2,037字)
2018-09-24 06:00110pt今、就活に悩んでいる人が多いという。
しかし就活に悩んでいる人は、そもそも就活という「社会ルール」があるように規定している場合がほとんどだ。そして「自分はその社会ルールに馴染めない」と思っているから悩んでいる。さらに、その社会ルールから外れると生きていけない――つまりある種の死だと思っているから悩んでいる。
しかし、それらはどれも勘違い甚だしい。いうなれば正体が枯れ尾花のお化けに怯えているようなものだ。その実態を捉えていない。
そういう実態をとらえていない人が、最近目につく。そういう実態をとらえない人は、昔はそれでも生きていけたが、しかし今は生きていくのが難しい。
ぼくが学生の頃は、社会の実態をとらえている人は少なかった。それは、社会が高度にシステム化されていて、実態が見えにくかったからだ。
おかげでほとんどの学生は、就活するのが当たり前と思っていた。そのことに疑問を挟む者はほとんどいなか -
人にものを教える能力を身につけたい(1,606字)
2018-09-21 06:00110pt1ぼくが30代のときはずっと人生のどん底のような感じだった。ぼくは29歳で離婚し、寂しいままに30歳を迎えた。1998年のことだった。私生活が寂しいだけではなく、仕事も段々と目減りしていった。31のときの年収が99万円で、32のときの年収が95万だった。ここからさらに税金や保険を引かれるのである。今なら生活保護を受ける資格があったともいえよう。少なくとも税金や保険はもっと減額されてしかるべきだったが、ぼくは生活が荒れ、心もすさんでいたので、そういうことをする余裕がなかった。ただ生きているという感じだった。ただ、未来に希望がないわけではなかった。それは蜘蛛の糸のようにごく細い、ほんのかすかな希望だったが、ぼくは小説が好きで、小説を書きたいと思っていた。そして実際に小説を書いていた。この小説がいつか売れたらぼくはもう少し生きていられる……そう思うことが当時の唯一の希望だった。今思えば、それがある -
なぜ勉強するのか?:その37(1,893字)
2018-09-20 06:00110pt第一次大戦は世界で初めての「大戦」でした。それは1914年に始まり1918年に終わるのですが、戦争中だけではなく戦後の世界にも大きな混乱をもたらしました。
というのも、人類は史上初めて世界大戦を経験したため、その後処理の仕方をよく分かっていなかったのです。もっというと、その戦後処理に失敗してしまいました。
まず、それまで貴族社会だったヨーロッパの封建主義国が相次いで倒壊すると、そこに新しい国家体制を持った国々が誕生しました。それらは、1922年に誕生したソ連を筆頭とする共産主義国家でした。彼らは、これまでの階級制度や身分制度を撤廃し、全員が平等な民主主義国家を築こうとしました。
ただ、共産主義は民主主義ではあるものの、全体主義でもあったため、その政治体制は上手く機能しませんでした。簡単にいうと、働いても働かなくても給料は同じだったため、誰も働かなくなってしまったのです。
おかげで、共産主義 -
[Q&A]樹木希林さんの思い出はありますか?(2,496字)
2018-09-19 06:00110pt2[質問]
地震が起きると、これは誰々の陰謀だ! と騒ぐ人がいます。9・11のようなテロの場合は、そりゃあ誰かの陰謀でしょうけど、3・11は人工地震だ、と信じている人もいます。ハックルさんは、陰謀論についてどう思われていますか?
[回答]
陰謀論というのは、この世界の不条理さが認められない人が生み出すんですね。
この世界は不条理です。物事には基本的に理由がありません。例えば、まさに地震は人間の思いとは無関係に発生します。
しかし、それに耐えられない人がいるんです。そういう人は、何かの理由を、嘘であっても必要とする。
そういう人たちにとって、陰謀論というのは非常に有用なんです。だから、陰謀論を信じ込む。
陰謀論を信じ込むのは、基本的にこの世の不条理さに耐えられない人です。なぜ耐えられないかはいろいろ理由があるのですが、基本的に無知ということと、心が弱いということはいえると思います。
[質問]
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これからどう生きたらいいのか?:第37回(2,023字)
2018-09-18 06:00110pt戦後の日本には、興味深い現象が見受けられる。
それは、特徴的な「社会現象」が、世界のあらゆる国に先駆けて起こっているのだ。
例えば、高度経済成長、オイルショック、バブル経済、バブル崩壊、そしてバブル崩壊後のデフレ。あるいは、人口爆発と、その後の少子化。いずれも、世界に先駆けて起こり、世界がそれを追随している。
日本という国は、立地的・文化的に世界から適度に隔絶し、また国民が軽佻浮薄で新しいもの好き(変化に敏感)ということもあって、新たな社会現象が発生しやすい。そのため、日本で起きたことが、やがて他の国々でも起こるということが珍しくない。特にデフレや少子化は、最初は日本に固有の現象だったのが、今は先進国を中心に世界中にじわじわと広まりつつある。
この中で、「少子化」については経済との密接な関連性があるといわれている。
それは、経済が豊かになればなるほど少子化が進み、経済が悪化すればするほど逆 -
人は自分が3歳までの経験を軽視しがち(2,486字)
2018-09-17 06:00110ptドラッカーを学ぶ勉強会があって、それに定期的に参加している。
その会は、ドラッカーを研究しているIさんという方が主催しているのだが、彼はドラッカーの幼少期の経験や、その時代背景を調べている。なぜかといえば、それを知れば知るほど、それがドラッカー自身に及ぼした影響は大きいと考えるようになったからだ。そのため、ドラッカー研究がより捗るのである。
影響の一例を紹介すると、ドラッカーの父親は経済学者で、かつオーストリア政府の高官で、首都ウィーンのいい場所に住んでいた。そのため、ドラッカーの生家は一種のサロンのような状況となっていて、フロイトやシュンペーター、あるいは当時の世界的なインテリたちが頻繁に出入りしていたという。
ドラッカーは、幼少期にその空気をたっぷりと吸って育ったから、超のつくインテリに育ったし、かつインテリに対するある種の「懐疑的な目」を持つようにもなった。子供心に、そういうインテリ
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