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記事 12件
  • お金にまつわる思考実験:その13(1,620字)

    2023-01-26 06:00  
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    人間というのは不思議なものだ。人の少ない集落では、住民同士必ず挨拶を交わすが、たくさんの人が住んでいる都会のマンションだと、挨拶を交わさないようになる。隣家の人の顔さえ知らないという人も多い。
    これは都会が「冷たい」からではなく、むしろ「暖かい」からだ。というのも、挨拶は必ずしも相手を信用しているときにするものではないからである。むしろその逆である。相手を信用していないときに、挨拶は発生する。
    例えば、都心のマンションに住んで隣家の人の顔も知らず、廊下ですれ違っても挨拶しない人でも、必ず挨拶するところがある。それは「登山道」だ。登山道で向こうから見知らぬ人が来ると、どんなに無愛想な人でも挨拶をする。特に、向こうから屈強な男性が来ると挨拶をする。
    なぜかというと、「恐い」からだ。山道で襲われたらたまったものではないから、襲われないことを確認するために挨拶するのだ。そうして登山道では、それが必

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  • お金にまつわる思考実験:その12(1,735字)

    2023-01-19 06:00  
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    最近広く知られるようになったのは、人間の脳は絶えず「予想」をくり返している――ということだ。絶えず「未来のシミュレーション」をくり返している。
    例えば、夜ご飯を食べる前に「何を食べたら美味しいか」を脳内でシミュレーションしている。そのとき、「夜ご飯という未来」に思いを馳せながら、一方では「過去の記憶」を辿っている。過去に食べたものを思い出しながら、何を食べたら一番満足度が高いかを検証している。
    そういうふうに、未来のシミュレーションをするときは、必ず過去が参照されるのだ。そこで記憶が用いられる。つまり、人間の脳は絶えず「未来と過去」とを行き来している。未来を予想するために昔のことを思い出している。
    その際、過去と未来とを同一世界の事象としてつなげるために、「共通項」が必要になる。その共通項こそ「自分」である。自分を主人公とする世界観だ。
    夜ご飯を決めるとき、過去の食事を思い出す。例えば、カ

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  • お金にまつわる思考実験:その10(1,533字)

    2022-12-29 06:00  
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    宝石の利点はいくつかある。
    一つは輝き。人は基本的に輝くものが好きだ。なぜ好きかというと、そこに「命」を感じるからである。まず太陽が好きで、その影響で「光」や「輝き」が好きになったのだろう。そして、宝石は無機物の中で最も輝く存在だ。
    また、「硬い」ということも宝石の大きな魅力の一つだ。単純に壊れにくいから、それだけ「永遠性」を感じられる。動物や植物などとは真逆である。生命は死ねば腐り、そのことによって「死」を感じさせられる。それは、人間が最も遠ざけたいものだ。
    輝き続け、硬いということともう一つ、宝石には「小さくて持ち運びが可能」という利点がある。いわゆる「ポータビリティ」が高いのだ。
    これは、見過ごされがちだが大きな魅力である。というのも、人はスペースを重視するからだ。宝石は、これを圧迫しない。
    いかに価値のあるものでも、大きなものはスペースを圧迫するので、扱いに苦慮する。なぜならスペー

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  • お金にまつわる思考実験:その9(1,639字)

    2022-12-22 06:00  
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    人には美醜を見分ける能力がある。それは生きていく上で必要であり重要だからだ。
    なぜ必要であり重要かというと、美醜は真贋を見極める上での物差しになるからだ。そして人は、真実に近づかないと長生きできない。逆に、贋に近づくと死んでしまう。だから、真贋を見分ける能力は生き死ににかかわるという意味で必要だし重要なのだ。
    真実は、たいてい美しい。そして贋物は、たいてい醜い。だから、真贋を見分けられる能力のある人が、長生きできるシステムにこの世界はなっているのだ。
    では、美しいとは何か? その逆に、醜いとは何か?
    答えは、美しいものは生命であり、醜いものは死である。人は生命を美しいと思い、死を醜いと思う。
    ところで、そうした価値体系とは別に、「生命ではないのに美しいと感じるもの」がある。それは宝石だ。宝石は、この価値体系にとっては例外的に、無機物なのに美しい。
    それは、人間の本質的な価値体系の外側の存在

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  • お金にまつわる思考実験:その8(1,628字)

    2022-12-15 06:00  
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    人間は宝石に無条件で根源的な美を感じる。だから、たとえばダイヤモンドに魅力を感じない人というのは、逆に狂っている。
    現代人は後天的に「ダイヤモンドに魅力を感じるのは『はしたない』」と教わる。その教えが強すぎて、ダイヤモンドに魅力を感じられなくなっている人がいるのだ。その意味で、変な宗教にハマっているのと同じだ。端的に言って洗脳されている。
    だから、ダイヤモンドを美しいと思えない人は、その洗脳を解いた方が、これからの時代は生きやすくなるだろう。もちろん、宝石の魔力に魅入られて、それで頭をおかしくしてしまう人もいるので感じすぎるのも良くないが、しかし美術館へ行って名画を楽しむくらいには、ダイヤモンドにも魅力を感じておいた方が無難である。
    美術品と宝石というのは、その魅力の本質が同じである。もちろん、人間が作った美術品の方が、宝石を模しているのだ。
    単純化していうと、人間には「美的感覚」がある。

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  • お金にまつわる思考実験:その7(1,840字)

    2022-12-08 06:00  
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    もともと「人間」はネアンデルタールとホモ・サピエンスの2種類がいた(他にもいたが割愛)。そしてネアンデルタールの方が脳は大きかったのだが協力する力はホモ・サピエンスの方が上だったので、ホモ・サピエンスが戦争に勝利し、やがてネアンデルタールを根絶やしにした。
    そうした経緯もあって今の人間(ホモ・サピエンス)は生き方の前提が「協力」になっている。また人間社会はその人間の生き方の前提が組み合わさってできるものなので、「協力」は欠くことのできない要素となっているのだ。
    ただし、協力は人間にとって「アンビバレンツ」な要素がある。それは自分の利益を阻害することだ。非利己的になるということである。
    非利己的になって他者に協力ばかりしていると、やがて個としての存続が危ぶまれる。人を助けてばかりいたのでは命がいくつあっても足りないというわけだ。そうして非利己心が強すぎる個もまた自然淘汰されていった。
    結果、

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  • お金にまつわる思考実験:その6(1,764字)

    2022-12-01 06:00  
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    はじめ、人々は採集をして暮らしていた。
    やがて、道具が採集を便利にすることが分かった。そこで、道具を作る技術や、生み出す「頭脳」が求められるようになった。
    中でも、貯蔵するための壺と、尖った金属は有用だった。この2つが、人類の生産性を飛躍的に高めた。
    生産性が高まると、人口が増える。それだけ養う力が増すからだ。
    ただ、人口は一足飛びには増えないので、その前段階として、あるいは平行して「余暇」が増えた。生産しなくてもいい時間というものが生まれたのだ。
    この時間に、人々は争い事をした。だから、それを取り締まったり裁定したりする「判事」と「警察」が必要になった。昔は、これを村落の「長」が担った。
    また、余剰物は交換を生み出した。以前も述べた通り、交換は社会運営の潤滑油だ。誰もが夢中になる。
    だから、あっという間に広まった。交換に必要なのは余剰な食物を保管したり運搬したりするための壺だ。まず壺があ

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  • お金にまつわる思考実験:その5(1,712字)

    2022-11-24 06:00  
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    古代の人はどうやって暮らしていたのだろうか?
    まず「採集」がはじめにあった。動物でも植物でも、食べるものを採って集める必要があった。
    その際、道具があると便利なことにはすぐに気づいた。ぼく自身、外仕事を始めると道具のありがたみをつくづく実感した。これは、古代人も同様だろう。
    だから彼らは、まずは「石」を道具にした。いわゆる「石器」というやつである。また、この石器を使って木工を発展させていった。そうして、石と木の組み合わせで道具をあれこれと作っていった。
    さらに、やがて「土を焼くと固まって二度とほぐれない」ということが分かってきた。そこで早速、いろいろな土を焼いてさまざまなものを作った。いわゆる「土器」だ。
    ただ、これには「硬さが足りない」という難点があった。だから、主に食器などに使われるのにとどまった。ただ、それでも重宝した。特に、食料を保存する壺が有用だった。だから、古代の出土品には壺が

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  • お金にまつわる思考実験:その4(1,717字)

    2022-11-17 06:00  
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    なぜ人間は「取引」をするのか?
    それには、以下のような理由があるだろう。
    1.相手との協力関係を築き、社会参画できる。
    2.自分がいらないものを差し出し、欲しいものを得られるので、利益が出る(得をする)
    3.公平を保てるため「正義を果たした」という快感を得られる
    こんなところだろうか。
    1は、人間にとって最もほしい「安全」を得られる。取引(交換)をすることで、人はホッとする。これは、みなさんも経験があるのではないだろうか。
    例えば家を借りるとき、探して、決めて、いざ契約書を交わすとき、なんとなくホッとできる。ふと顔を上げると、契約相手の大家(不動産屋)もホッとした顔をしている。そういう共依存、共犯関係を築ける。これは「社会参画」そのものだ。交換(取引)こそが、社会を構築しているともいえよう。
    もっというと、交換をするためにこそ社会は存在するのだ。「社会があるから人は生きていられる」というこ

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  • お金にまつわる思考実験:その3(1,566字)

    2022-11-10 06:00  
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    人間は、太古の昔から社会の中でないと生きていけない。その意味で、原始時代から「社会主義」だった。
    社会主義の村落では、和を乱す者は殺された。そのため、和を乱す者の子孫は残らなかった。
    だから、和を尊ぶ者の遺伝子が優位となった。
    しかし一方で、村の中の競争に勝ち抜かないと、子孫(遺伝子)を残せないという条件もあった。そこで、和を乱さないようにしつつ、自分が目立つという難しい立ち回りが課せられた。
    この難しい立ち回りをこなすには、二つの方法があった。
    一つは、Win-Winの「取引」を上手に構築するということだ。商売上手になるということだ。あるいはマネジメント上手になるということだ。社会の潤滑油になるということである。
    これなら、自分が目立ち、伴侶を得られる一方で、社会に必要とされるため、殺されもしなかった。
    もう一つの方法が、陰謀である。自分が目立たないように、他の人を殺すのだ。
    原始時代、

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