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子供の育て方(2,107字)
2019-11-29 06:00110pt今週末に長崎県の壱岐島でドラッカー学会がある。この大会は、ドラッカー学会会員で友人でもあるOさんがプロデュースし、そのため彼が住んでいる壱岐島で行われる。だから、きっと面白い大会になるだろう。
この大会で、ぼくも登壇する。お話しするのは子育てについてだ。そこで、森俊介さんという方と対談する。
森さんは、東京・渋谷で「森の図書室」をプロデュースし、その後は壱岐に移り住んで、「壱岐しごとサポートセンター・Iki-Biz」の所長をされている方だ。彼も、ぼくと同じく2018年に娘が生まれたとのこと。それで、子育てについてもいろいろと考えているので、今回の対談となった。
そこで今日は、ぼくが現時点で思っている「子育て」について語ってみたい。
まず、今の時点でいえるのは、子育ては「非常に費用対効果が高い営み」ということだ。例えば今、月給15万円の仕事をしているのなら、そんなのはすぐにやめて子育てに専念 -
子どもたちに伝えたい「仕事がなくなる時代」のドラッカーのマネジメント:第29回(1,867字)
2019-11-28 06:00110pt2ドラッカーは、イノベーションを行う上で最も重要なことの一つは「小さくスタートすること」だと述べている。大がかりな計画や準備はせず、思いついたことをとりあえずパッと始めてみることがだいじというのだ。
ところで、試作品のことを「プロトタイプ」という。「試作品」とは、文字通り試しに作ってみる品ことだ。何か新しいものを作るとき、正確な図面を描く前に、とりあえず手を動かして形にしてみる。そうすると、制作が捗る。
この「プロトタイプを作る」という行為は、文字通り「小さくスタートする」という思想を体現するものに他ならない。そこでここでは、「小さくスタートする」という考え方のことを「プロトタイプ思考」と呼ぶことにする。そして、プロトタイプ思考によってどういった効果が得られるかや、それを実践するためには何が必要かということを体系的に考えてみたい。
まず、プロトタイプを作ることの効果を考えてみたい。それは大き -
[Q&A]ネーミングについての本を教えてください(1,689字)
2019-11-27 06:00110pt[質問]
ネーミングについての良書をいくつか教えてほしいです。
また、岩崎さんは、名前から思いついてその後に企画やコンテンツの中身を作ったことはありますか?
[回答]
ネーミングについての良書――というか専門的な本は、そういえば読んだことがないですね。ヨーロッパの地名の由来、みたいな本を流し読んだくらいです。
ただ、名前についての感性を磨くなら、ぼくは断然『百年の孤独』をおすすめします。なぜかというと、この小説では名前と、それの持つ「祝い」と「呪い」がきわめて重要なテーマとして描かれているからです。特に、名前の持つ反復性、可変性、連続性などが小説の筋とも大きく関係してきます。
それから、実はぼく自身は以前に挫折したまま読めていないのですが、ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』もいいと思います。ぼくもこれを機会にもう一度挑戦してみようかと思います。
百年の孤独
薔薇の名前
さらに、東京の坂 -
映画のサンプリングについて研究する:その1「群衆に紛れて逃げる」(1,841字)
2019-11-26 06:00110pt2人には既視感というものがあって、そこに訴えかける――というコンテンツの作り方がある。その昔、山口百恵のプロデューサーをしていた酒井政利さんが、何かのインタビューで「ヒットする曲は初めて聞いたときに『どこかで聞いたことがある』と思わせる」と語っていて、なるほどなと膝を打った。
映画においてもそういうことがある。先日、岩崎夏海クリエイター塾で映画『ジョーカー』についての議論をしていたとき、塾生のSさんが「この映画は既視感を覚えるシーンに満ちているのが魅力だ」と話していて、なるほどと思わされた。
そこでSさんは、例えばジョーカーが犯罪を犯して街へ逃げると、そこにはピエロの格好をした群衆による暴動が起きていて、ジョーカーはそれに紛れてまんまと逃げおおせる――そのシーンを既視感を覚えると語っていた。
それを聞いて、ぼくははっと気づかされた。確かに、この映画は既視感に満ちたシーンが連続しているのだが、 -
糸島に来ていきなり大変なことが起きた(2,029字)
2019-11-25 06:00110pt今(日曜)は吉田さんのパーティーに出たためまだ東京にいるのだが、火曜日に糸島に帰る。その間、東京でいろんな人に会ったりしているのだが、必ず「糸島はどうですか?」と聞かれる。
そこで最初、あまり面白い返事をできなかった。なぜかというと、糸島での生活はだいたい想像通りだったからだ。特段の事件が起きたわけでもないし、それほど不便も感じない。あるいは引越しのごたごたがまだ続いているので、面白いできごとに遭遇するチャンスも少ない。それで、「まあ想像通りです」と答えていた。
ところが、そんなときに大変なことが起きた。それは、金曜日の深夜のことだった。
その日は疲れていたので早めに眠りについたのだが、夜中に起きてしまった。そこでもう一度寝ようとしたが、結局眠ることができず、仕方がないのでスマホを開いた。するとそこで、とあるニュースが目に入ってきたのだ。
それは、テスラの新車発表会の話題だった。この日、テ -
吉田正樹さんとの数奇な縁(2,600字)
2019-11-22 06:00110pt吉田正樹さんという、ぼくがお世話になった方の還暦のパーティーがあって、今(2019年11月21日)ぼくは東京に来ている。芝公園にあるプリンスパークタワー東京というホテルでそのパーティーは行われるので、ぼくは妻と娘を連れて福岡から上京してきた。
吉田さんとはぼくがまだ放送作家として駆け出しの1993年に出会った。ぼくが25 歳のときだ。まだ最初の結婚もしていなかった。仕事を始めて3年目(放送作家としては2年目)で、なんとか仕事を形にしないと――ともがいていた時代だ。
その時代に吉田さんは、輝くフジテレビの輝くバラエティ班の輝くプロデューサーだった。エースの一人だった。だからある種絶対的な権力があって、その輝きは目映かった。
ぼくと吉田さんは9歳離れているので、そのとき彼はまだ34歳だったが、それにもかかわらずすでに大きな実績もあり、圧倒的な存在感を誇っていた。
昔のフジテレビは本当にすごかっ -
子どもたちに伝えたい「仕事がなくなる時代」のドラッカーのマネジメント:第28回(1,880字)
2019-11-21 06:00110ptイノベーションを起こすためには、まず考え、次にすぐれたアイデアを生み出し、最後にそれを実行することが必要である。このうち、きわめて重要で、かつ難しいのが三番目の「実行」だ。
というのも、イノベーションに限らず人間は、考えただけで満足してしまったり、あるいは失敗するのを恐れたりして、実行しないことが多いからだ。特に、一人ではなく二人以上の組織になると、失敗したときの責任がより重く感じられるので、なおさら実行に移さないことが多くなる。
しかし実行をしなければ、人も組織もやがて衰退し、滅びてしまう。人だったら死んでしまうし、組織だったら消滅の憂き目を見る。つまり、実行するというのは「生きること」に等しい。人も組織も、実行を伴って初めて生き続けることができるのだ。
だから、実行することの重要性は何度唱えても多すぎるということはないし、またそれの難しさは、いつでも社会の健全さを保つ上で大きなボトルネ -
[Q&A]できもしない約束をしなくなるにはどうすれば?(3,168字)
2019-11-20 06:00110pt[質問]
年末年始10日間でアフリカに行こうと思ってます。ズバリ、アフリカで行ってみたい国や地域はどこですか?
[回答]
ガーナに行ってみたいですね。というのも、ガーナはいうなればぼくの生まれ故郷だからです。ぼくは、両親がガーナにいるときに懐妊したそうです。ただし、出産は日本です。
それと、ケニアコーヒーが好きなので、ケニアのコーヒー農園にも行ってみたいです。あるいは、南アフリカも行ってみたいですね。今、新しいビジネスがいろいろ立ち上がって面白いらしいです。
[質問]
沢尻エリカ容疑者逮捕を受けて、NHK大河ドラマの代役は誰? という話題に興味を示す人が私の周りに多いです。そんなに大河ドラマに興味のない人まで、女優予想のネット記事を熱心に読んでいます。人は、こういう代役とか、変更後とか、どうしても興味を持つようにできているのでしょうか?
[回答]
それは、不幸な人のことを見たり考えたりする -
沢尻エリカの逮捕がきな臭い(1,572字)
2019-11-19 06:00110ptぼくは陰謀論というのはあまり好きではないのだが、しかしこれは疑わざるを得ない。というのも、沢尻エリカが麻薬をしているというのは、こういってはなんだが誰でも想像できることだ。だから、警察が調べればそんなことはすぐに分かる。そのため、逮捕はいつでもできた。実際、この後に明らかになるかもしれないが、ずいぶん前から警察は情報をつかんでいたのではないだろうか。そう考えると、このタイミングで逮捕されるのに、どうしたってきな臭さを感じてしまうのである。
こういう考えは「陰謀論」として忌み嫌われるところもあるが、陰謀論であったら何もかもがおかしいというわけではなく、世の中には本当の陰謀というのも実際にある。そして、警察と政府がぐるになって陰謀を企てるのはむしろ普通のことであって、ないと考える方が不自然ともいえる。
それに今、警察は弱体化の危機に瀕しているから、余計に陰謀へのモチベーションは高い。なぜかとい -
引越した糸島という場所について(1,803字)
2019-11-18 06:00110ptぼくが引越したのは福岡県糸島市にある筑肥線の「筑前前原」という駅だ。「ちくぜんまえばる」と読む。以前は「前原市」だったのが、2010年に市町村合併をして糸島市になった。江戸時代は福岡県と唐津藩に挟まれた宿場町として栄えたらしい。今は福岡市のベッドタウンだ。
糸島市は、近年、福岡市が都市として栄えているのに歩調を合わせ、そのベッドタウンとして人口を増やしてきた。これは人口が減っている日本においては希有なことだ。しかも地価が安いために福岡で働く若い人が住んでいるから、若者や子供も多い。そのため、安い価格の集合住宅が多いのも特徴である。
筑前前原から博多までは快速だと30分である。これは、ぼくが昔住んでいた東京の日野市が新宿駅まで30分だったのと似ている。そして日野は、昔はそこかしこに田畑が残っていたが、こちらもそんな感じだ。しかし日野市は、やがて東京のベッドタウンとして開発され、田畑が消えてい
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