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ピエール瀧の悩みとピエール瀧的な価値観の終わり(1,797字)
2019-03-15 06:00110ptピエール瀧が逮捕されて、ぼく自身いろいろ思うところがあった。というのも、ぼく自身は、ピエール瀧をよしとする風潮があまり好きではなかったからだ。そのため、今回の逮捕は「ピエール瀧的な価値観の終わり」と読み解いた。今日は、そのことについて書いてみたい。
ぼくは、ピエール瀧自体に興味はなかったが、ピエール瀧を好きという人は嫌いだった。なぜなら、ピエール瀧を好きな人はほとんどが自分に能力がなく、またそのことを本当は悔しいと思っているくせに、見て見ぬ振りをしてごまかしている、自分に嘘をついているタイプだったからだ。そういう人にとって、ピエール瀧は憧れだった。自分は能力がある人に嫉妬してしまうが、能力がある人(石野卓球)に全く嫉妬をしないピエール瀧みたいな生き方がしたい――というわけである。自分のねじ曲がった願望をピエール瀧に仮託していたのだ。
ピエール瀧は、能力がなくても気持ち良く生きていけることを -
明日のライティング術:第18回(1,930字)
2019-03-14 06:00110ptここからは、ライティングの「構造」について見ていきたい。
ライティングをする際、「構造を知る」というのは不可欠のことだ。なぜなら、構造を知ると文章が強くなる。文章が強くなれば、その分魅力が増す。リーダービリティが高まり、読者に与えるストレスが軽減される。
もちろん、読者にストレスを与えないことが、必ずしもいいライティングとは限らない。激辛ラーメンのように、ときには強いストレスを与えた方が、かえってお金を払ってもらえる可能性が高まる場合もある。
それでも、基本的にはストレスの強いもの――辛すぎたりするものは敬遠される。それ以上に、シンプルに美味しいものの方が、多くの人が好む。
だから、文章もシンプルに構造の強いもの――分かりやすくリーダービリティの高いものが、多くの人に喜ばれる。そのため、文章の構造について、知っておいて損はないのだ。
では、文章の構造とはどのようなものか?
それを知るには、 -
[Q&A]どうすれば吃音を軽くすることができるか?(2,387字)
2019-03-13 06:00110pt[質問]私は化学メーカーの事務系管理職(貿易管理・営業推進・与信管理等)をしております40歳手前の男性です。しかし、会社運営の上で本質的に必要な事柄を理解しておらず、単に右から左へ流しているだけで貢献していないという自覚が強くあります。本質的に必要なこととは、製品開発、製造、営業といったライン業務、さらに会計・財務・人事といったスタッフ業務と考えておりますが、そのどれもが中途半端またはまったくわからないという状況です。会計・財務については個人的に興味があり、将来的な強みとしていきたいと考え就業時間外の時間を使って勉強を続けていますが、実務に携わる機会も現状ないため、まだまだ生兵法といった状況です。どういう訳か中途入社後(入社4年目です)の昇格は速く、周囲や上から期待していただいているようなのですが、まったく自信が持てないでいます。それでいて会計・財務を除き興味がわかず、化学製品の理解の難し -
これからどう生きたらいいのか?:第59回(2,096字)
2019-03-12 06:00110ptこれからの人間関係は、単に古い(リアルな)人間関係を捨て、新しい(インターネットの)人間関係を重視すればいい――というものではない。インターネットで知り合った人と、今度はリアルな関係を築いていかなければならないのだ。
ところで、リアルな人間関係を最も有効的に構築または継続するにはどうすればいいのか?
その問いについては、つまるところたった一つの答えに帰する。それは「与える」ということだ。つきあう相手に何かを与える。それができれば、友好的な関係が構築され、また持続される。いずれにしろ、あらゆる局面において何かを与えることが鍵である。
では、「与える」とは何か?
何を与えればいいのか?
与えるというと、真っ先に思いつくものに「お金」があるだろう。お金は、今でも人の居場所と自由を担保してくれる。だから、お金を介した関係は依然として成立しやすい。
例えば、あなたがスマホアプリの企画者だとして、プロ -
お金をかけずにたった三ヶ月で知的生産性を爆発的に飛躍させる方法:その14(1,889字)
2019-03-11 06:00110pt言葉は、知的生産性の一つの要だ。なぜなら、言葉は思考するための道具だからである。
道具が豊富にあれば、知的生産性はアップする。また、道具を上手く使えるようになっても、知的生産性はアップする。だから、道具が豊富にあり、しかも上手に使えるようになれれば、鬼に金棒なのである。
そして、「道具が豊富にある」というのが「語彙力を伸ばす」ということなら、「道具を上手に使える」というのが「言葉の使い方に習熟する」ということになる。
そこでここでは、言葉の使い方に習熟する――ということについて考えてみたい。特に、その「論理的な使い方」に習熟することについて焦点を当てる。
なぜなら、言葉を論理的に使う方法に習熟すれば、思考能力は最短で高まる。だから、短い期間で知的生産性を上げるにはもってこいだからだ。
そして、言葉の論理的な使い方に習熟するには、やはり本――それも哲学書を読むのが一番だ。なぜなら、哲学という -
お金をかけずにたった三ヶ月で知的生産性を爆発的に飛躍させる方法:その13(1,925字)
2019-03-08 06:00110pt「語彙力」というのは、単語を数多く覚えるだけでも身につくが、言葉の使い方――取り分け構成のエレガントさや、バランスの味わい深さといったものを知るとさらに豊かになる。
そして、それを知るにはやはり文章を読むのが一番いい。文章を読むことは、現代では手軽な上に読むものの選択肢も広いので、学習をするにはこの上なく効果的だ。
その際、もちろんたくさんの文章を読むに越したことはないのだが、この連載は「知的生産性を高めること」そして「お金をかけずにたった三ヶ月で」ということが大きなテーマなので、ここではある一冊の「本」にターゲットを絞ってみた。
お金をかけずにたった三ヶ月で知的生産性を爆発的に飛躍させるためには、一体どんな本を読めばいいのか? しかも、それをただ一冊で実現させるような本はどのようなものか?
すると、いろいろな候補に浮かび上がったのだが、最終的にはある哲学の本に辿り着いた。その本は、ある哲 -
明日のライティング術:第17回(1,956字)
2019-03-07 06:00110pt連想というのは、対になるものを探すのが一つの道筋となる。なぜなら「2」というのは人間にとって極めて特別な数字だからだ。
現実世界は、「男」と「女」の2種類の性別があることをはじめ、二元論的な考えを持つような「きっかけ」であふれている。1から9の一桁の数字には、古来よりどれも象徴的な意味合いがあるが、中でも2は、1と並んで最も重要なものの一つなのである。
これはけっして極端な物言いではなく、どんなものにも「対」になる概念はある。それゆえ、対義語辞典などというものも成り立つのだ。何にでも「反対」がある。
そのため、もし何かを連想するときには、積極的に対になるものを探すといい。そうすれば、そこから一つの道筋が見出され、仮説の構築に結びつく場合が多い。
以上、見てきたように「クイズ問題」というのは、仮説を構築するためのヒントに満ちている。だから、クイズ問題に習熟することで、仮説の構築力はぐっと高ま -
[Q&A]「ハックルベリーに会いに行く」と「文脈ノート」との違いは?(3,800字)
2019-03-06 06:00110pt[質問]
早速ですが『文脈くん』のnoteを定期購読させていただきました。
ハックルさんの文章をブロマガだけでなくnoteでも定期的に読めるようになって更新を楽しみにしています。
そこで『文脈くん』に書かれた内容に関連した質問なのですが、私自身が「社会の文脈」と「自身の来歴」を結びつけながら、2年以上、毎日文章を書き続けてブログ上で公開してきました。
あるカテゴリーに属したブログなのですが、個人ブログにしてはアクセス数もある方だと思います。
ただ、ここ最近になってtwitter上で私のブログに対して「批判」や「冷やかし」のような書き込みを見かけるようになりました。
そういった書き込みに対して反論する時間も惜しいため無視しています。
私の方は自分の来歴を語ることを中心に書いているので、特定の誰かを批判したことはありません。
自分の来歴を淡々と語るというスタイルに終始していると批判するポイント -
これからどう生きたらいいのか?:第58回(1,563字)
2019-03-05 06:00110pt1ここであらためて社会の「人間関係」をめぐる状況を整理しておきたい。今、三つの状況が並行して起こっている。
第一に、たまたま近くにいた人と友好的な人間関係を育む必要がなくなった。学校や職場でたまたま隣り合わせた人と仲良くなる必要がなくなった。そういう人とは、必ずしも付き合わなくてよくなった。それで問題なく生きていけるようになったのだ。
第二に、インターネットで親しくなる人を探し、仲良くなる人間関係のスキルが必要になった。現代では、たまたま近くにいた人と友好的な関係を築く必要はなくなったものの、「誰かと仲良くなって友好的な関係を築きたい」という欲は、相変わらず残っている。そして、そういう関係を築ける相手は、インターネットの出現によって桁違いに探しやすくなった。今は、けっして大袈裟ではなく、地球上の70億人の誰とでも、その気になれば連絡を取れるし、仲良くなれる。そういう時代になった。
だからそこ -
村上隆さんのバブルラップ展を見た(1,977字)
2019-03-04 06:00110pt村上隆さんのバブルラップ展という展覧会を見た。今日はそのことを少し書いてみたい。
日にちは2019年3月3日で、展覧会の最終日だった。朝一番の飛行機で熊本に向かったが、熊本空港が霧で降りられず、なんとせっかく熊本上空まで行ったのにまた羽田空港まで戻ってきてしまった。それで仕方なく別の飛行機に乗り換え、再度熊本まで飛んだ。今度も霧がかかっていたが、なんとか降りられた。それで結局朝の7時に羽田を出発して、熊本空港に着いたのが14時だった。長かった。
それから急いで熊本市現代美術館へ行き、村上隆さんのトークショーを見た。14時から16時までのショーで、会場に着いたのが15時過ぎだったので、半分弱しか聞けなかったが、それでも面白かった。
実は、これより前に東京のカイカイキキギャラリーでも村上さんはバブルラップ展のトークショーをしていて、それを聞いて大変刺激を受けた。そこで村上さんは、現代アートにお
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