• このエントリーをはてなブックマークに追加

記事 23件
  • 人間は戦争をしないということに慣れていない(2,157字)

    2015-07-17 06:00  
    110pt
    2
    ぼくは今日、山手線に乗った。山手線は五反田の次が大崎で、その次が品川である。
    ぼくは大崎で降りることがほとんどない。あるとしたらりんかい線に乗り換えるときだけだが、それに比べると品川で降りることが多い。それは、品川には東海道新幹線や京急など、ぼくがよく使う路線が接続しているからだ。
    だから、山手線に乗って品川に向かうとき、五反田から大崎を経由して品川に行くと、いつもちょっと苛ついた気持ちになる。五反田と品川は目と鼻の先なので、大崎を経由せずに真っ直ぐ品川に行ってほしいと思うからだ。
    ぼくは以前、品川にある会社に勤めていた。だから、五反田あたりの地理についてはよく知っている。裏道を抜けると、五反田と品川は本当にすぐなのだ。
    しかし、山手線は大崎を迂回して、品川に至る。地図で見ると分かるのだが、この迂回がどうにも不自然なのだ。いかにも強引なカーブを描いている。そこに山があるので避けているという

    記事を読む»

  • 教育考:その27「旅の成長効果について」(2,036字)

    2015-07-16 06:00  
    110pt
    「かわいい子には旅をさせよ」という諺があるが、これは比喩的な意味――つまり「子供には試練を与えるべきだ」というのもあるが、もっと直接的な意味もある。つまり、子供は実際に旅をした方がいいのである。そうすることで、大きな成長を果たせる。
    今日は、そのことについて書いてみたい。
    旅の成長効果というのは、大きく分けて三つある。
    旅の成長効果の一つ目は、そこでさまざまに新奇なものと出会える――ということだ。そして、好奇心が刺激されるということである。
    旅というのは、もちろんいろんな目的ですることがあるが、そのうちの最も大きなものの一つに「観光」がある。つまり、新奇なものを見に行くため――ということだ。
    新奇なものを見ることの最大の効果といえば、そこで好奇心が刺激されるということである。日常の中ではなかなか湧き出てこないそれを、一気に解き放つ機会が旅なのである。
    前述したように、好奇心というのは生きる

    記事を読む»

  • [Q&A]アートとクリエイションの違いは?(2,641字)

    2015-07-15 06:00  
    110pt
    [質問]
    この頃、ニコ生の放送で「面白いもの」についてたびたびお話されていますが、実際、今の世の中には面白いものが減っているのでしょうか。それとも、多くの人はそれほど面白いものを求めてはいないのでしょうか。
    [回答]
    面白いものが減っているということはないと思います。むしろ溢れかえって飽和状態になっているのではないでしょうか。面白いものが増えすぎたために、人々の「自ら面白さ見つける力」が減退しているほどです。「面白さの飽食の時代」ですね。
    [質問]
    ハックル先生はブルーハーツがお好きだと公言されておりますが、ブルーハーツのベストアルバムを企画するとしたら、どのような構成にしますか?
    [回答]
    真島昌利さんと甲本ヒロトさんの曲を分けて構成し、別々のディスクにするなど、二人の特徴を打ち出したものにすると思います。それから曲を年代順に並べて、二人がどのような軌跡を辿ったのか、そういうものも聞いて

    記事を読む»

  • 亡くなった任天堂、岩田聡社長のこと(1,843字)

    2015-07-14 06:00  
    110pt
    任天堂の岩田聡社長が亡くなった。ぼくは岩田氏とは面識はなかったが、メディアなどを通じてずっとファンであったのでショックだ。
    そこで今日は、ぼくが見てきた岩田氏のことについて書いてみたい。
    岩田社長のことを初めて知ったのは「ほぼ日刊イトイ新聞」だった。そこでのインタビューがとても面白かった。
    ほぼ日刊イトイ新聞 - 社長に学べ!
    そこで初めて、「岩田氏というのは非常にユニークな存在である」というのを知った。
    何がユニークといえば、そもそも任天堂の生え抜きではなかったこと。前社長の山内溥氏とも血縁関係にないこと。それにずいぶん若いこと(社長就任は42歳)だった。
    その若い外部の人間が、経営手腕を見込まれて前社長に一本釣りされ、社長に就任したのである。それはまるでドラマのようなできごとだと思った。その昔、カエサルがまだ若いアウグストゥスを後継者に指名したということがあったが、それに近いものを感じ

    記事を読む»

  • 新しい国立競技場の建設に賛成するたった一つの理由(1,891字)

    2015-07-13 06:00  
    110pt
    最近、国立競技場の建設を巡って反対の声が喧しい。平野啓一郎さんや為末大さんが反対の声を上げて、その流れが加速している。
    しかしながら、これはけっして逆張りでいうのではなく、ぼくは新しい国立競技場の建設には大賛成だ。今日はそのことについて書く。
    新しい国立競技場の喧噪を見てぼくが思い出すのは、都庁建設時の喧噪だ。今の都庁はぼくが大学生だった25年前に完成したが、完成する前というのは、それはもう世間のバッシングがもの凄かった。バベルの塔になぞらえて「バブルの塔」と呼ばれ、あらゆるメディアがさんざん扱き下ろした。
    ところが、それが完成したときの反転ぶりもまた凄まじかった。今度は一転、お祭り騒ぎになったのである。テレビで特集が組まれ、雑誌の表紙を飾り、CMにも登場した。さながら大スターがデビューしたといったような扱いだった。建てられる前のバッシングムードは一掃され、今度は東京の新しいシンボルとして

    記事を読む»

  • 現代の「子供社会におけるいじめ」について考える(1,938字)

    2015-07-10 06:00  
    110pt
    現代の日本は人口縮小局面だ。数年前から、徐々に減少へと転じた。
    これは、人間がその動物的本能で「数が増えすぎた」と判断したからだろう。それで、「種」としての生存を計るため、数を減らしているのだ。
    日本の人口がどこまで縮小するか分からないが、8千万人とも5千万人ともいわれたりしている。
    日本人の年間の出生数は1949年の269万人がピークで、これがまさに「団塊の世代」と呼ばれた。その後、1973年に団塊の世代の子供――いわゆる「団塊ジュニア」が209万人生まれてもう一度大きなピークを迎えるが、その後は減少に転じる。1983年は150万人、1993年は113万人と、20年間で100万人減る。その後も緩やかな減少が続いて、2013年には103万人となった。
    そういうふうに、団塊の世代がまだ生きている状態(1949年生まれの人は今年66歳)で赤ん坊の数だけ減っているから「少子高齢化」といわれている

    記事を読む»

  • 教育考:その26「喧嘩から学べること」(2,033字)

    2015-07-09 06:00  
    110pt
    子供を育てるとき、親は彼らを危険な目に遭わせなければならない。なぜなら、危険な目というものこそ、子供が「好奇心」を養う絶好の機会だからである。
    「好奇心」というのは、何かを知りたいという気持ちだ。人は、好奇心が満たされると強い快感を覚える。そうして、好奇心を湧き上がらせることにどんどん積極的になっていく。好奇心の量が多くなるのだ。
    しかし、そうした成功体験がないと、好奇心を湧き上がらせようという気力が生まれない。そうしてそれは、どんどん萎んでいってしまう。
    だから、子供のうちから「好奇心が満たされる」という成功体験を与える必要があるのだが、それには、彼らが最も好奇心を抱きやすい「危険な目」に遭わせる必要があるのである。
    なぜそこまでして「好奇心」を養うかといえば、「好奇心」というのは「生きる力」とほとんど同義だからだ。人は、好奇心を源にさまざまな行動を起こす。好奇心がなければ行動しようとい

    記事を読む»

  • [Q&A]ピンチョンの面白さとは?(703字)

    2015-07-08 06:00  
    110pt
    [質問]
    以前ハックルさんがおすすめされていたトマス・ピンチョンに興味を持ち、デビュー作の『V.』を読んでいます。面白いです。ピンチョン作品の面白さというのは、どういうところにあるのでしょうか。
    [回答]
    ピンチョンの面白さは、まずは衒学的なところですね。人間の知の奥義みたいなのが繰り出されるところが面白いです。それからその箱庭的な世界観ですね。ちょっとクレージーでちょっと人間味に溢れる、というところに神話性を感じます。

    [質問]
    例えば、飲食店やコンビニなど店員さんに好意を持って仲良くなりたい、くっつきたいと思ってしまった時、そこで、一緒に働くのが手っ取り早いのでしょうが、それが難しい場合、何かいい方法ありますか?
    [回答]
    そうですね。まずは常連になるということではないでしょうか。お店をやっていると、リピーターというのは本当にありがたい存在だというのが実感できます。ですので、リピータ

    記事を読む»

  • ライトノベルの書き方:その26「交渉の天才としての桃太郎(1,748字)」

    2015-07-07 06:00  
    110pt
    旅に出た桃太郎は、その端緒で犬と出会う。
    面白いのが、この桃太郎と犬との関係である。この両者の関係もまた、主体性と他動性の絶妙なハイブリッドとなっているのだ。
    それを、童謡「桃太郎」の歌詞から見てみたい。
    桃太郎さん 桃太郎さん
    お腰につけた きびだんご
    一つわたしに 下さいな
    やりましょう やりましょう
    これから鬼の 征伐に
    ついて行くなら やりましょう
    これを見ると、最初に行動を起こしたのは「犬」であることが分かる。彼は食べ物に飢えていた。あるいはきびだんごが食べたかった。
    そうした欠落状態にある能力者が、何らかの行動を起こした。桃太郎は、その機先をとらえるのである。その行動に乗じて、こちらからのオファーを出すのだ。
    この間合いが、すぐれた武道家のように見事である。
    武道には「先の先」と「後の先」という考え方がある。
    「先の先」とは、相手の動作を始めようとする心を読み取り、その直前に行

    記事を読む»

  • なぜ憲法を変えない方がいいのか?(2,193字)

    2015-07-06 06:00  
    110pt
    近頃は憲法改正の論議が喧しい。が、ぼくは憲法改正には基本的に反対だ。九条は九条のままの方がいいと思っている。
    その理路を以下に説明する。
    憲法九条に反対する人は、それが「GHQから与えられたものだから反対する」という。「外国から与えられたものだから、価値がない」と。「これだと日本はいつまでも敗戦国のままだ」という。
    このロジックは、「日本という国体を信奉するあらゆる人」にとって非常に強力だ。だから、いつかは多くの日本人がこれに説得されるだろう。
    このロジックに打ち勝つには、それを超えるロジックを構築しなければならない。ただそのロジックは、なかなか多くの人が納得しがたいものになるだろう。なぜならそれは、非常に理解が難しいからだ。
    どういうロジックかといえば、「そもそも国体というのは『考え方』の一つに過ぎない」というロジックである。「国体よりも重要なことがある。それは『人が生きる』ということだ

    記事を読む»