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西中へと続くなだらかな上り坂を、エミ子は息を喘がせながら懸命に駆け上がっていた。そのとき、後ろからオートモービルの駆動音が聞こえてきた。そこでエミ子は、スピードを少し緩めると、道の端に避けオートモービルを先に行かせようとした。
このとき、エミ子は俯きながら走っていたので(ただしパンはくわえたままだった)、オートモービルの車内までは見なかった。見ていたら、その後部座席にぼく――榊圭輔が乗っていて、それとはなしにエミ子を見ていたことに気づいたかもしれない。
結局、エミ子はぎりぎりで学校に間に合った。始業のチャイムが鳴ると同時に、後ろのドアを音を立てて開くと、よたよたとした足取りで教室の中にまろび込んだ。そこから、なおもよろけた足取りで窓際の一番後ろにある自分の席に辿り着くと、ドカッと派手な音を立てて着席した。
このとき、もう食パンはくわえていなかった。ただ、口はモグモグとさせていた
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