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『月とスッポン』の登場人物・藤波正平のモデルは、作者である柳沢きみおの同級生だった。そう考えると、藤波が恋をする星野くんのモデルも、やはり柳沢きみおの同級生だったのではないだろうか。
そもそも、この『月とスッポン』を読み込むと、主人公の2人、土田新一と花岡世界にはリアリティがない。それは、作者の「読者の妄想を具現化した」という証言からも分かるように、空想の産物だからだろう。どこまでも人工的なのだ。
それに比べ、主人公ではないため気軽に作った藤波くんや星野くんのキャラは、戯画化されていない分リアリティがある。身近な人物をモデルにしたため、かえって深みを宿したのだ。
しかも、キャラが動きやすいために話も作りやすく、人気も出た。それでマンガが延命したのだから、なんとも皮肉な話だ。人気を取るために作った主人公より、手を抜いた脇役の方が活躍したのだ。
70年代は、そういう「価値の転換期」にあったと思
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