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[Q&A]「許し」と「感謝」について(1,871字)
2016-10-19 06:00110pt2[質問]
個人的に人間の感情行動言動の中で難しさがあるのは「許し」と「感謝」だと思っています。「サンキュー」「ごめん」「ありがとう」「助かった」「悪かった」が口にできない。お金がないから。心に余裕がないから。納得いかないから。汲み取れない労ってあげれない。疲労困憊。苦しい。迷惑。裏切り。キモイ。嫉妬。価値観。邪魔。嫌悪。ウザイ。生理的に。この2つがあれば戦争もなくなるし夫婦も友人も親戚も兄弟も姉妹も兄妹も知人も同期も上司も部下も親子も恋人もご近所さんも芸能人政治家のあれこれもお店の人の関係も駄目にならないはず。しかし人にはそれぞれ違った異なった意見やプライバシーや育った過程生きてきた考えプライドがあるから自分から引くことができない。ゆずれない。へりくだれない。相手に「こうあって欲しい」と身勝手に期待をしてるから自分が一番可愛い大切だから。守りたいから。最悪自分さえ良ければいいと。僕もなかな -
世界的なプロダクトを生み出す日本の美的感覚:その40(1,876字)
2016-10-18 06:00110pt『機動戦士ガンダム』というアニメが切り開いたのは、作品の内容もそうだが、それ以上に制作やビジネススキームの面が大きかった。一つのコンテンツが多様なファン層を生み出し、また莫大なビジネスを創出するということを、『機動戦士ガンダム』は証明してみせたのである。
中でも、ビジネスを大きく牽引したのが「プラモデル」であった。機動戦士ガンダムに登場する「モビルスーツ」という名前のロボットをかたどったプラモデルが、ブームを巻き起こすほど爆発的に売れた。
『機動戦士ガンダム』のプラモデルは、略して「ガンプラ」などとも呼ばれているが、特徴的なのはそのバリエーションの豊富さである。単に主役が搭乗するガンダムのプラモデルが売れただけではなく、ライバル役の搭乗するモビルスーツをはじめ、10以上のバリエーションがどれも人気を博したのである。
それは、かつて『サンダーバード』が切り開いたプラモデルの可能性をさらに押し -
『中年童貞』という本が心にしみた(1,604字)
2016-10-17 06:00110pt『中年童貞』という本が心にしみた。新書版も面白かったが、それを原作にしたマンガ版もとても面白かった。『中年童貞』 - Amazon漫画ルポ 中年童貞 - Amazonなぜかといえば、ぼく自身、中年童貞になっていた可能性があるからだ。一歩間違えれば、その可能性が高かった。だから、中年童貞には強い共感を覚えるし、彼らを見て、「自分は中年童貞にならなくて良かった」と、しみじみせずにはいられない。ぼくは、高校一年生のとき、親ともクラスメイトとも、一年間一度も口をきかなかった。その間は真の孤独だった。おかげで、コミュニケーション能力はだいぶん減退した。今思えば、このときは人生の大ピンチだった。もしその状況に安住していたら、ぼくは今頃中年童貞だった。しかしぼくは、その状況に安住しなかった。若いなりに危機感を覚え、なんとかその状況から抜け出そうとした。そうして、一発逆転を狙った。自分に箔をつけて、状況を -
台獣物語38(2,372字)
2016-10-15 06:00110pt38
「あの子は……英二は、おまえのお父さんのことが大好きですね」 智代は、遠くを見るような顔つきになって話を続けた。
「いつもお兄ちゃんの背中ばかり追いかけて。歳がちょうど一回り離れていたから、喧嘩なんていうのも全くなくて。あの子は、おまえのお父さんを本当に尊敬していた」 その話に、サト子は食い入るようにして聞き入った。サト子が昔の話をするというのは滅多にないことなのだ。「だから、あの変な生き物――台獣が現れてからは、ますます尊敬するようになって」「えっ?」とサト子が驚いた顔で尋ねた。「――どうして?」「あら、話してなかったかい?――」と智代は、苦笑いをするような顔になって言った。「あの子は、生物学っていうのかい? それの研究者だったんだ。だから、台獣が現れてからは本当に忙しくなってね。あの子の大学が、政府の依頼だかなんだかで、代表して調査することになっていたんだ」 それを聞き、エミ子の -
電通について考える(1,674字)
2016-10-14 06:00110pt1電通の女子社員が自殺したというニュースにはいろいろと考えさせられた。
特に、Twitterに言葉が残っていることから、いろいろ想像させられることもあった。
そこで今日は、そのことについて書いてみたい。
世の中では、彼女の自殺は「長時間労働」が原因ということになっているが、ぼくは、それは本質的な問題ではないと思う。
おそらく、彼女の自殺の本当の原因は別のところにある。それは、以前にも書いたがイジメだ。
ただし、彼女の受けていたイジメは、法律に違反するような分かりやすいものではない。また、いわゆる世間一般的な「イジメ」とも異なる。
それは、ある種の「アレルギー反応」だ。彼女と電通との間で起きた、強烈な摩擦だった。
電通の社員は俗に「電通マン」などとも呼ばれるが、ほとんどが共通の独特なプライドを持っている。それは、「自分たちには能力がない。自分たちは普通の人間である」というプライドだ。
そして彼 -
あしたの編集者:その17「ミスリードの『核心』とは?」(2,102字)
2016-10-13 06:00110pt前回は、「『ミスリード』こそが面白さの神髄」と述べた。つまり、ある方向性を予測させておいて、その上で裏切ることが重要だ、と。なぜミスリードが面白さの神髄かといえば、人間に「分からない」ということと「分かる」ということを両方体験させるからだ。そして人間は、「分かる」ということと「分からない」ことが両方体験できたときにこそ、好奇心が活性化され、それをまた味わいたいと思うのである。ところで、この「分かる」ということと「分からない」ということを同時に味わうことのできる、一つの感情がある。あるいは、その両者を含有する、一つの概念がある。それは「驚き」である。驚きこそは、「分かる」ということと「分からない」ことを同時に体験できる、面白さにとっては最も大切なものなのだ。どういうことかというと、例えば誰かがサプライズで誕生日会を催してくれたとき、もし驚いたなら、そこには「自分の誕生日会を準備してくれていた -
[Q&A]いじめを解決するには?(2,741字)
2016-10-12 06:00110pt2[質問]現実は「今」「この時」しかありません。頭では「今をこの瞬間だけを生きたい大切にしたい」と分かっていますが考えるクセか。はたまたそれが無意識に好きなのか依存的に、過去を思い返して「あの時あーしていれば」「たらればのパラレルワールド」に行く後悔の念。また、来るか分からない未来。将来。に対する「こうなったら。あーなったらどうしよう」的なまさに不安のファンになるケース。電車や街中や会社での他人の話に自然に耳に入り揺さぶられるケースどこかの映画じゃないですが過去も未来も関係ない「いまを生きる」にはどうすればいいですか?「人生の机の上に上り立つには」「違った景色を見るには」「教科書破り捨てるには」「他人は関係ない自分は自分と割り切るには」どうすれば?????オーキャプテン。マイキャプテン。[回答]「たられば」を考えてしまうのは、ある意味自然な行為だともいえますが、そこに過剰に依存しているのは、 -
世界的なプロダクトを生み出す日本の美的感覚:その39(2,262字)
2016-10-11 06:00110pt1970年代は、アニメというものの需要のされ方が大きく変化した年代だった。
どう変化したかといえば、それまで子供しか見なかったのが、大人も見るようになったのだ。
なぜそうなったかといえば、新たに大人の視聴者が生まれ始めたからである。
それまでアニメというのは、子供の頃は見るものの、大人になったら「卒業」するのが当たり前だった。ところが、「卒業」しない大人たちが現れ始めた。大人になってもアニメを楽しむ人たちが出現したのだ。それは、映画版『宇宙戦艦ヤマト』の大ヒットで顕在化した。これをヒットに導いたのは、大人になってもアニメを卒業しないファンたちであった。
後に「オタク第一世代」と呼ばれるこうしたファンたちが、アニメの有り様を大きく変えていくのである。この頃はまだなかった「オタク」という言葉は、その後どんどん大きくなっていく。そして、アニメのメインターゲットになるのはもちろん、オタク向けに作ら -
この世は弱肉強食である(2,387字)
2016-10-10 06:00110ptYahoo!知恵袋にこんな質問があったそうだ。
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弱者を抹殺する。
不謹慎な質問ですが、疑問に思ったのでお答え頂ければと思います。
自然界では弱肉強食という単語通り、弱い者が強い者に捕食される。
でも人間の社会では何故それが行われないのでしょうか?
文明が開かれた頃は、種族同士の争いが行われ、弱い者は殺されて行きました。
ですが、今日の社会では弱者を税金だのなんだので、生かしてます。
優れた遺伝子が生き残るのが自然の摂理ではないのですか。
今の人間社会は理に適ってないのではないでしょうか
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これに対する回答は、詳しくはリンク先を見ていただきたいのだが、ここでは論旨だけを抽出する。
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え~っと、、、よくある勘違いなんですが、自然界は「弱肉強食」ではありません
弱いからといって喰われるとは限らないし、強いからといって食えるとも限りませ -
台獣物語37(2,360字)
2016-10-08 06:00110pt第一〇章「アイル・ビー・ゼア」
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ぼくたちは、碧への挨拶もそこそこに劇場を後にすると、大急ぎでエミ子の家へと向かった。
家に着いて食堂に入ると、机の上に二通の封書が几帳面に並べられていることに気がついた。二通にはそれぞれに宛名が書かれており、一通は智代、もう一通はエミ子宛だった。
「英二からだ!」
と智代が言った。その通り、裏を見るとどちらにも「大宮英二」と記されている。
智代は、その二つの封書を手に取ると自分宛のものを自分が受け取り、エミ子宛のものをエミ子に手渡した。
「読んでみて! 私も読んでみる」
「うん!」
それで、二人はその場で封筒を開き、中から便箋を取り出すと、そこに書かれている文面に目を通したのだった。
ぼくは、固唾をのんでその様子を見守った。
やがて、便箋から顔を上げた智代が、エミ子を見てこう言った。
「どうだった?」
するとエミ子は、訝しげな顔でこう答
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