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記事 24件
  • あしたの編集者:その34「バッターボックスに立ち続ける方法:前編」(1,706字)

    2017-02-16 06:00  
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    編集者にとって、成功以上に重要なのが失敗である。なぜなら、人は失敗の中でこそ成長するからだ。そして、失敗は成長の種でもある。失敗なくして成功はない。だから、成功するためにも失敗はする必要がある――いやし続ける必要があるのだ。
    では、失敗をするにはどうすればいいか?
    失敗というのは、実はするのが難しくもある。なぜかというと、失敗をすると周囲からの評価が厳しくなり、なかなか次のチャンスをもらえないからだ。野球でいうと、凡退し続けているとやがてレギュラーから外され、バッターボックスに立たせてもらえない。そうなると、もはや成功(つまりヒット)も覚束なくなる。
    だから、人が失敗し続けるためには、たとえ失敗しても「バッターボックスに立ち続ける能力」が必要となるのだ。
    では、人はどうすればバッターボックスに立ち続けられるのか?
    それには、以下の三つの能力が求められる。
    一、政治力
    二、代替力
    三、演出力

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  • [Q&A]漫画にイノベーションを起こすとしたら?(1,561字)

    2017-02-15 06:00  
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    [質問]
    ディズニー長編映画のなかで、「ジャングルブック」以降から「トイストーリー」以前までの内、岩崎先生の一番好きな作品はなんでしょうか?
    つまり、ウォルト・ディズニー氏が亡くなり、ジョン・ラセターが現れるまでの間の、ディズニー作品のなかで推しの作品というのがおありでしたら教えていただけないでしょうか?
    [回答]
    こう申し上げるのは少しはばかられますが、しかし驚くことに、一つも見ておりません。
    [質問]
    岩崎さんは、度々「新しい作り方」を話題にされますが、今、『漫画』の世界で何か新しい作り方を考えるとき、開拓の余地のある部分はどのような場所にあるのでしょうか?
    お考えでしたら教えていただけないでしょうか?
    [回答]
    漫画において新しい作り方を構築――すなわちイノベーションを起こせるとしたら、それは「編集」においてではないかと思います。ぼくは、自分で編集を始めてから新しい編集方法を続々と開

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  • 世界的なプロダクトを生み出す日本の美的感覚:その56(2,231字)

    2017-02-14 06:00  
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    『スーパーマリオブラザーズ』における最大のコンセプトは、「大きなキャラクターを動かす」ということにあった。
    これまでくり返し述べてきたとおり、ファミコンはとても非力なマシンであった。そのため、動かせるキャラクターの大きさには限界があり、それは16×16ドットだ。それ以上多いキャラクターは、動かすのが難しかった。
    しかしそこで、逆に「大きなキャラクターを動かしたい」という欲求がプレイヤーの間に育まれるようになった。そこに目をつけた任天堂の制作チームは、プレイヤーのそうした欲求を叶えるべく、「大きなキャラクターを動かすこと」を一つの目標に据えた。そうして2年間にわたるハード研究の末、ついにそれが成し遂げられるようになったのである。
    ちなみに、『スーパーマリオブラザーズ』の最初の面では、その大きなキャラクターを動かす快感を味わってもらえるよう、あえて小さなキャラクターからスタートし、すぐにキノコ

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  • 新しい能力を身につける方法:前編(1,651字)

    2017-02-13 06:00  
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    新しい能力というのは、まず「知識」がなければ身につかない。
    新しい能力というのは、他者を説得できるもの(他者にすごいと思ってもらえるもの)ではなければならないが、人はものを知っている人、つまり知識のある人に説得される(すごいと思ってしまう)。その意味で、知識というのは本当に強い。だから、能力の前提としての知識は身につけておくべきだろう。
    では知識はどうやって身につけたらいいのか?
    それは歴史を知ることである。
    例えば、これからカメラの能力を身につけようと思ったら、まずはカメラの歴史というものを勉強する。映画の能力を身につけようと思ったら、映画の歴史というものを学ぶ。
    そしやって、とにかくいろんな知識を身につける。それもできれば体系的に身につける。それが知識を最も手っ取り早く吸収する方法だろう。
    あるいは「百聞は一見にしかず」ということわざもある。
    知識は、ただ見たり聞いたりするだけより、自

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  • 台獣物語53(2,950字)

    2017-02-11 06:00  
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    53
    「怖い。大変なことが起きた。今緊急で書き留める。
     今は朝の五時二〇分だ。先ほど連絡あり、台獣が北上中とのこと。姿は確認できていない。しかし、風は確実に強くなってきた。
     今、パニックだ。研究隊の何人かは、逃げ出した。しかし、走って逃げられる距離ではない。車は、ない。ヘリコプターは、朝にならないと来ない。全く失敗した。もっと慎重になっておくべきだった。
     今、タヱ子が様子を見に行ってる。まだ、帰ってこない。風は強くなるばかりだ。予想外だった。ここまでのスピードとは思わなかった。我々の考えを越えているのは間違いない。
     我々は浅はかだった。台獣を制御しきれると思っていた。それは愚かなことだった。
     もうダメかも知れない。クリヤビトの長は助かる方法があると言った。我々はそれを聞き流していた。くだらないと一蹴してしまった。
     なんてことだ。我々は全く失敗だ。太陽に近すぎたイカロスのようだ。

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  • 人から好かれるための最も簡単な方法(2,305字)

    2017-02-10 06:00  
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    人に好かれるのは簡単だ。誰にでもできる方法が、一つだけある。
    その方法とは――と、説明を始める前に、まずは「人が人を好きになるメカニズム」について見ていきたい。
    人が人を好きになるとき、そこでは必ず「エゴ」が働いている。
    人が人を好きになる場合、そこで本当に好きになっているのは、好きになった「他者」ではなく、「その他者を好きになった自分」なのである。その他者といるときの自分が好きだから、その他者を好きになったのだ。逆にいえば、その他者が自分の好きな自分を引き出してくれるので、ついでにその他者のことも好きになるのである。
    試しに、自分が今好きな人、あるいは好きだった人のことを思い浮かべてほしい。
    ぼくが中学校のとき好きになった塚原さんは、ぼくのことを「面白い」と言ってくれた。それでぼくは、なんともいえない快感を覚えた。そうして、塚原さんにもっと面白いと言ってもらいたいと思った。
    そのため、以

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  • あしたの編集者:その33「編集者に必要な未熟さ」(1,501字)

    2017-02-09 06:00  
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    驚くべきことに、人間の「成功」というものを論理的に突き詰めていくと、そこには「未熟さ」が欠かせない、ということが分かってくる。無鉄砲さや軽薄さ、腰の軽さや考えのなさが必要となってくるのだ。
    なぜかというと、人間の「成功」というものは、ほとんどが失敗に依拠しているからである。失敗なくして成功はあり得ない。成功は失敗の中からこそ生まれる。
    そして失敗というものは、無鉄砲さや軽薄さ、腰の軽さや考えのなさがないと、なかなか体験できないのだ。そこに至れないのである。神話のイカロスのようにはなれないのだ。
    編集者においても、それは同じである。編集者が良い仕事をするとき、そこでは必ず未熟さによる失敗が礎となっている。成功は、それを基礎として初めて成立する。
    そのため、ここで重要になってくるのは「そうした未熟さをどうやって担保するか?」ということだ。
    人間というものは、どうしても成長の過程で未熟さが失われ

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  • [Q&A]オシャレになるにはどうすればいいか?(1,802字)

    2017-02-08 06:00  
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    [質問]
    本日配信された
    [Q&A]目標設定について(2,149字)
    というメルマガですが、その中で
    >ところで、堀江さんに人気のあるもう一つの理由は、人から好かれることを受け入れているところだと思います。
    >その意味で、やさしいし、懐が深い。
    >人から好かれることを受け入れるというのは、度量の深さの為せるわざです。
    とのご説明がありました。
    この真意がよく理解できなかったのですが、どういうご意図だったのでしょうか?
    僕は堀江さんはきっと他人から好かれたいと思いながら生きていて、
    他人から好かれることを自然とあるいは当然のように受け入れていると思います。
    なので、自然と行っていることですから好かれることに度量がいると考えていらっしゃらないのじゃないかと思います。
    ハックルさんは、なぜ好かれることを受け入れる必要があるとお考えなのか、
    受け入れるには度量が必要とお考えなのか、
    ぜひその理由を

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  • 世界的なプロダクトを生み出す日本の美的感覚:その55(1,759字)

    2017-02-07 06:00  
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    『スーパーマリオブラザーズ』における操作感覚の最も特異なところは、ジャンプ後に方向転換ができることだろう。一度空中に飛び出しても、その後に反転することができるのだ。これは、もちろん現実にはあり得ない。そしてゲームクリエイターというのは、現実ではあり得ないことをゲームの世界で再現することに、大きな躊躇いが生じるものである。実際、『スーパーマリオブラザーズ』でも、現実世界の有り様をとても重視している。例えば、ジャンプにおける慣性の法則、あるいは水中における手をかいてから落下するまでのスピードなど、とても滑らかに見えるよう、細かな計算の元、さまざまな試行錯誤の末、演出している。なぜなら、その動きが非現実的だと(ぎこちないと)、プレイヤーが興ざめし、なかなかゲーム世界にのめり込んでくれないからである。実際、当時の他のアクションゲームは、どれもぎこちない、機械的な動きしかできなかった。おかげで、プレ

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  • なぜ勉強するのか?(2,299字)

    2017-02-06 06:00  
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    人はなぜ勉強をするのか?
    一言でいえば、「楽しい」からだ。それも直接的な楽しさだ。勉強すると脳内麻薬が出て、気持ちいい。その気持ちよさを求めて、人は勉強するのである。
    さて、しかしここからが難しい。その難しさは、大きく二つある。
    一つには、「気持ちよさを上手く出せない」ということだ。
    勉強をしても、脳内麻薬を上手く出せない人がいる。こういうと、「ほとんどの人が出せないだろう」と思われるかもしれないので、ここでは「ゴルフ」にたとえてみる。ぼく自身、ゴルフをほとんど楽しめないのだが、しかし世の中の多くの人は、ゴルフをとても楽しんでいる。
    ぼくだって、きっと上手くやればゴルフでも脳内麻薬を出せるようになるだろう。ここでいう「上手く」いは、ゴルフの「技術」が上手いということではない。たとえ技術が下手でも、脳内麻薬を上手く出せる人はいる。脳内麻薬が上手く出せるようになれば、ゴルフもきっと面白くなるは

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