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記事 23件
  • ぼくが東京芸大建築科に入った方法(1,835字)

    2018-03-16 06:00  
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    ぼくは高1の2学期までどの大学を志望するか決めていなかった。そのとき三者面談があり父親と一緒に出席したが先生に「志望大学は決まっていない」と話した。まだ高1だったので決まっていない方が当たり前で、とがめられることはなかった。
    するとその後家で父親がぼくにこう言ってきた。
    「もし決めかねているなら東京芸大建築科はおすすめできるぞ」
    父親曰く、おれは学歴なんざ屁とも思っていないが、この年になっても「出身大学は?」と聞かれることは驚くほど多い。そのときに「芸大建築科です」と答えるとたいてい感心されて物事がいろいろ有利に運ぶ。おれは三浪の末に東京芸大に入ったがこれに落ちたら芝浦工大に行くつもりだった。滑り止めで受けてすでに受かっていた。だけど芸大に受かったから芸大に行った。芸大に行っていなかったらおれの人生はだいぶ違ったものになっていたかもしれない。
    その言葉にすっかり乗せられて、ぼくは東京芸大建

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  • なぜ勉強するのか?:その12(1,975字)

    2018-03-15 06:00  
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    人は、算数に親しむうちに、やがてそこに単なる「お金の計算」だけにはとどまらない、また別の価値を見出すようになりました。そこに、もっと深い魅力を見出すようになったのです。
    その魅力とは、大きく三つあります。
    一つは、汎化、抽象化というものの練習。
    二つは、思い込みを廃した、客観的な視点を得られること。
    三つは、そこに独特の美しさがあること。
    そこでここでは、以上の三つについて、順に見ていきたいと思います。
    まず一つ目の「汎化、抽象化の練習」というのは、ある種の必然でした。
    人間の脳は、そもそも汎化の能力を高めることで、飛躍的に効率が良くなりました。汎化の能力が高まったおかげで、知能の劇的な向上がなったわけです。
    逆の言い方をすれば、汎化こそが人間の脳の本質なのです。ですから、汎化の技術を高めていきたいというのは、人間の本能的な欲求の一つなんですね。
    例えば他の動物は、天気が変わることに疑問を

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  • [Q&A]『シェイプ・オブ・ウォーター』の感想は?(2,403字)

    2018-03-14 06:00  
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    1
    [質問]
    『シェイプ・オブ・ウォーター』を観て来ました。どの人物にも感情移入できるような、いい映画でした。舞台設定も絶妙で細部まで工夫が凝らされていました。画面を見ていて飽きるということがありませんでした。岩崎さんは、この映画をどのようにご覧になりましたか?
    [回答]
    この映画が傑作であることは疑いようがありません。特におっしゃるようにディテールが素晴らしかった。登場人物の一人がキャデラックを買いに行くのですが、そこでセールスマンのトークが素晴らしいし、色に込められた思いを知られるところも最高でした。控えめに言って最高の映画でした。
    ただそれだけに大きな嫉妬を抱きもしました。嫉妬を抱いたのは最高の映画でありながら通俗的なテーマを扱って大向こうの受けをてらいなく狙っていたところです。ぼくはあそこまで人気を得るということに命をかけられない。それこそ照れや恥があってなかなかダイブできないのです。

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  • これからどう生きたらいいのか?:第12回(1,753字)

    2018-03-13 06:00  
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    これからの時代は、社会の変化が急激に、しかも大きくなる。そういう時代に重要なのは、「変化に抗わないこと」である。変化に対応することだ。変化に合わせることが必要になってくる。変化の激しい時代に、未来のことをあれこれ予測するのはとてもだいじなことではあるが、あまりやりすぎるのも良くない。なぜかといえば、予測をし過ぎると今度はそれに縛られて、かえって身動きが取れなくなるからだ。例えば、今の時代は公務員を志望する人が増えている。変化の激しい時代だからこそ、それに振り回されないようにと安定した職業を志望するとき、選択肢としてまず浮かび上がるのが公務員だからだ。しかし、これでは変化に対応したことにはならない。そうではなく、変化を避けることとなる。変化から逃れようとしている。実は、こういう考え方が一番危険なのだ。なぜかというと、変化というのは避ければ避けるほど、むしろそれに直面する事態に追い込まれるから

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  • 遊びがぼくの人生を遊びが助けてくれた(1,489字)

    2018-03-12 06:00  
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    仕事というか、人生というのは一見無駄に思えるものが実は一番役に立つ。
    ぼくの実体験でいえば、小中学生のときは本当にマンガが好きで親から毛嫌いされるほどマンガを読んでいたのだが、その経験が今の生き方に本当に役立っているし、ゲームを死ぬほどやりこんだことも、今の仕事をする上で本当に役に立っている。
    ちなみにぼくの「死ぬほど」というのは比喩的な表現ではなく文字通りの意味で、ゲームをするしないで親と殴り合いの喧嘩をし、ご飯を抜かれたこともあれば、養っていくのを拒否されたこともあった。親はぼくがゲームをすることを心から嫌っていた。それでもぼくは親の意向には従わずだましだましというよりは強硬に押し切ってゲームをしていた。それが良かったのだ。あのとき日和ってゲームを放棄しなくて本当に良かった。
    そういう遊びというものをいつでもする必要があるのだということを、最近は思っている。
    それでいうと、ぼくの20代

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  • 小さな子供を持つお母さんと思わずした話について(1,931字)

    2018-03-09 06:00  
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    相も変わらず教育について考えているのだが、最近小さなお子さんを三人も育てているお母さんに話を聞く機会があって、彼女の目下のテーマというのも、「子供にどのような教育を受けさせるか」ということにあった。やっぱり、教育は高い水準のものを受けさせたいと考えているのだが、その場合、中高は私立がいいのか公立がいいのか、あるいは中高一貫がいいのか別がいいのか、なかなか答えが出ないのだそうだ。
    しかしながら、高校を受験するというのはあまり意味がないような気がしているから、一貫校の方がいいとも考えているらしい。今は公立でも一貫校がぽつぽつできてきているので、そういうところに行かせるのもありかと考えているとのことだった。
    それを聞いて、ぼくはふと反射的に自分の意見を述べていたのだけれど、そこでの論旨は主に二つあった。
    一つは、中高、あるいは大学の勉強というのは、基本的にそれほど大切ではないということ。なぜなら

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  • なぜ勉強するのか?:その11(2,065字)

    2018-03-08 06:00  
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    ここで、数学について見る前に、まずは「算数」について、少し見ていきます。
    日本では、数学と算数を分けています。小学校のときは算数を学びますが、中学からは数学になります。このことの理由について、知らないという方も多いのではないでしょうか。ぼくも、子供の頃はよく分かっていませんでした。同じようなことをしているのに、なぜわざわざ分けているのか?――と疑問に思っていました。
    しかしながら、実はこの両者は、似て非なるものなんですね。根幹の「学ぶ目的」のところで、大きな違いがあるのです。
    そこでまずは、その両者の違いから見ていきます。
    数学を学ぶ意味が分からないという人は、けっして少なくないと思います。ところが、算数を学ぶ意味が分からないという人は、逆にほとんどいないと思います。というのも、算数は我々の生活に密接に関係しているからです。生活の中のある場面で、必ず算数が必要になります。
    そのある場面とは

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  • [Q&A]モテる女性が最終的に変な男とつき合うのはなぜですか?(1,495字)

    2018-03-07 06:00  
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    [質問]
    いろんなタイプの男性と付き合っているのに中々結婚しないと思ったら、「よりによって何でこんな男と結婚するの?!」というモテる女性が時々います。一体どういう心理が働いているんでしょうか?
    [回答]
    そういう女性は、自分がイニシアチブを握りたいと思っているのでしょうね。恋多き女性は、得てして恋愛に「報酬性」を求めています。恋愛から何か利益を得ようとする。だから恋愛に積極的なんですね。きっと、最初の恋愛で何か利益を得られたのでしょう。おかげで、それが病みつきになってしまった。
    恋愛から得られる最大の利益といえば相手からの「サービス」ですから、そういう女性は、最終的にサービスの最も充実している男性と付き合うことになるんですね。そして、サービスが最高の男性というのは、あまりモテる男で花合い場合が多いですから、そういうことになるのではないでしょうか。
    [質問]
    第90回アカデミー賞が発表されま

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  • これからどう生きたらいいのか?:第11回(1,690字)

    2018-03-06 06:00  
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    人類の歴史は古い。
    我々ホモ・サピエンスより前にいたネアンデルタール人などの旧人が現れたのは、今からおよそ100万年以上前だ。我々ホモ・サピエンスが現れたのも、今から数10万年前といわれている。そしてそこから約1万年前まで、長い間狩猟採集生活を営んでいた。
    「狩猟採集生活」とは、基本的には森の中に入って落ちている植物やたまにとれる動物などを食べる生活のことだ。魚を食べたりもしただろう。
    このとき、人類は食料を得るために1日のうちにほんの3時間ほどしか働かなかった。おかげでその頃は、まだ「仕事」という概念がなかった。人間は数10万年もの間、ずっと落ちている食料を拾うだけのいわゆる「その日暮らし」を続けてきた。
    そして、ほんの1万年前に農耕生活を始めた。これに伴って、人々は一日中働くようになった。そのため、初めて「仕事」という概念ができた。
    つまり、人類の歴史の中で仕事をしてきたのはほんの1万

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  • 本当にこだわりのあるものはビジネスになるかもしれない(1,873字)

    2018-03-05 06:00  
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    今本を作ることを仕事にしているが、本を作ることは年々難しくなっている。人々が本を読まなくなっているからだ。そういう中で新しい本を作る形を模索しているのだが、最近ぼくが面白いと思うのはこだわりのある人である。何かにこだわりのある人の話を聞くのは面白い。例えば先日紹介したスニーカー収集の人の話もそうだし、ぼくはカメラにこだわりのある人の動画というのもよく見ている。岡田斗司夫さんはコンテンツに異常に詳しく、その鑑賞方法のこだわりをニコ生で見るのも面白いし、村上隆さんFacebookでは、彼の美術とか美に対する知識の奥深さに触れられるので面白い。
    今、ぼくが面白いと思うのは世界で一番ともいえるようなこだわりを持っている人のこだわりの話だ。先日も、絵本『いきもの特急カール』の作者である木内達朗さんに、そのこだわりの一端を伺ってきた。木内さんはイラストというものに異常にこだわっているが、それがどのよう

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