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今の子供たちは生きていくのが大変だという話(2,178字)
2018-11-16 06:00110ptぼくにはもうすぐ子供が生まれる予定だ。それで、自然と街中でも見知らぬ子供に目が行ったり、彼らの生活に思いを馳せたりするのだが、そういうときに思うのは、今の子供は生きていくのが大変だろうなということだ。
先日もたまたま幼稚園の前を歩いていたら、幼稚園が終わる時間に合わせてお母さんたちが集合していた。お母さんたちは、自分の子供が幼稚園から出てくるのを待っていたのだが、その空気が微妙なのである。
というのも、お母さんたちは彼ら同士、けっして仲がいいわけではない。しかし、子供たちの手前、あるいは幼稚園の手前、仲良くしなければならないという空気がある。それが良識的な母親とされているからだ。
だから、他の母親に対して非常に気を遣っている。ときには非常識な人が紛れ込んでいたりもするのだろうが、それにさえも気を遣わなければならない。
そういうお母さん同士の集まりというのは、必ずしもフラットな関係ではなく、 -
明日のライティング術:第3回(1,945字)
2018-11-15 06:00110ptライティングにおいてしてはいけないことの3つ目が「「オチがない」ということである。
では、「オチ」とは何か?
それは、オチがない話しをしたとき、多くの人がするリアクションから定義することができる。オチがない話しをされると、ほとんどの人はこうリアクションする。
「だから何?」
つまり、その話しの「ポイント」が分からないのだ。その話しによって「何を伝えたかったか」が分からないのである。だから、「だから何?」と聞き返すのだ。
逆に考えると、人は誰かの話を聞くとき、必ずと言っていいくらいにそこにオチを求める。オチを求めるということは、そこから「相手の言いたいことは何か?」ということを汲み取ろうとするのである。話しのポイント、話すことの理由を読み取ろうとする。
これは、文章を読むときも全く一緒である。いや、文章を読むときの方が、人の話しを聞くとき以上にそうした気持ちが強いかも知れない。読者は、その文 -
[Q&A]老害とどうつき合うか?(2,171字)
2018-11-14 06:00110pt1[質問]
少し前から連載が始まった「明日のライティング術」を楽しみにしています。そこで第1回目に書かれていた「ノリで書く」ことに関して質問があります。
「ノリの悪さ」に関しては、新聞などの事例を書かれていますが、逆に「ノリで書かれた文章」に関して、もう少し詳しく具体的な事例を知りたいです。
[回答]
具体的にいうと、以下のリンクにあるような文章です。
中田敦彦発言に見る「家事をフローで理解せず、イベント実行する」男たち
「やばいインタビュー記事を読んでしまった。(中略)読んで即「モラ山ハラ男さんじゃないですか!ちっす!」と挨拶するレベルでサイコがパスしているスメルがものすごかった。ブラウザの先で瘴気にやられるレベル。香ばしいとはこのことか。」
読んでいただくとお分かりいただけるかと思うのですが、非常にノリがいいです。
ただ、こういうノリのいい文章が必ずしもダメというわけではなく、ここまでや -
これからどう生きたらいいのか?:第45回(1,905字)
2018-11-13 06:00110ptお金というのは道具である。それは、二つの意味でそうだ。
一つは、文字通りの意味である。
これまで見てきたように、お金の本質は「信用」だ。お金自体は、それを数値化、あるいは実体化したものである。
信用が実体化されていると、信用をベースに形成されている人間社会においては、いろいろと便利なことが多い。そのため、お金というのは道具として大変重宝されている。
では、なぜお金が道具として便利なのか?
例えば、外国へ旅行に行ったとする。そのとき、空港からホテルまでタクシーに乗る。そこで、旅行者と運転手は知らない者同士だ。その場だけの、一期一会の関係である。
だから、普通なら信用を築けない。そして信用が築けなければ、タクシーの運転手としては、旅行者をタクシーに乗せることができない。乗せたとしても、自分にメリットがない危険性があるからだ。
しかし、旅行者がお金を持っていれば、それが信用になる。タクシーの運転 -
子供を学校に行かせることにメリットはあるのか?(1,531字)
2018-11-12 06:00110pt -
ぼくが学びを得ている消費や遊び(1,882字)
2018-11-09 06:00110pt現代はどう仕事を上手くするかということだけでは足りなくて、どう消費を上手くするかとかどう上手く遊ぶかということが重要になっている。消費とか遊びが仕事にフィードバックしなければならない。
昔、芸能人は「遊びも芸の肥やし」などと言っていた。遊ぶことがそのまま芸の上達にもつながるという意味だ。
ぼくが放送作家をしていたときも、先輩から同じことを言われた。例えば女の子とデートするとき、会話で笑わせたり、デートを上手く企画したりすることが、テレビの会議で上手く話せたり、すぐれた企画を立てられたりすることにつながるのだと。日常が仕事の稽古場だった。
そういうことは、昔は芸能人や放送作家だけで良かった。しかし今は全ての人に当てはまる。今は全ての人が、消費や遊びを仕事につなげなければならない。そこでここでは、ぼくが仕事につなげている消費や遊びについてご紹介したい。
「サイゼリヤ」
サイゼリヤに行って感心す -
明日のライティング術:第2回(1,734字)
2018-11-08 06:00110ptライティングで「してはいけないこと」の第二が「スラングを多用する」だ。
一でも述べたが、「書いてはいけない文章」というのを、ここでは「読者の心を離れさせる」と定義する。まずは読者の心をつかむことから始めなければならない。文章のプライオリティの一番にそれを持ってきている。
なぜかといえば、今の時代は読むものがたくさんあるので、少しでも読者の読む気が失せると、とたんに読まれなくなってしまうからだ。そして読まれなくなると、書く意味が激減してしまう。
書くことの意味は、まずは第一に読んでもらうことにある。自分が書きさえすれば思考が整理されていいという人もいるが、そういう人でも他人に読んでもらえれば、頭が整理される度合いが飛躍的にアップするということは容易に想像つくはずだ。単に書くだけなのと、多くの人に読んでもらって多数のフィードバックをもらうのとでは、頭の整理され具合に格段の差が出る。
そのため、 -
[Q&A]コンテンツを制作することの苦しさをどう受け止めたらいいのか?(2,934字)
2018-11-07 06:00110pt[質問]
今、コンテンツ制作について行き詰まっています。
人事異動でプロデューサーに任命され、コンテンツ制作を始めて3年たちました。第一期から岩崎夏海クリエイター塾でクリエイションについて多くを学び、そのエッセンスをコンテンツ制作に取り入れ、業界は斜陽ながらもおかげさまでまずまずの成果を収めています。岩崎先生には、感謝してもしきれないほど、本当に大切な学びを数多くいただきました。
しかし、成果を収めていく過程で、ともに制作、販売するスタッフは、「価値を届ける」という使命を考える者はおらず、その場での自己実現や都合を優先し、経営は現実離れした短期的な成果のみを求め一喜一憂し、コンテンツをもって伝えるべき本質は置き去りにされたまま、プロセスは軽視され、疲弊しつつある今日この頃です。
決まったルーチンで制作、販売を済ませたい人々とどうにか妥協点を見出しながら説得し、届けるべきコンテンツの価値をギ -
これからどう生きたらいいのか?:第44回(2,179字)
2018-11-06 06:00110ptなぜ、お金を支払う場に「信用」が発生するのか?
それは、お金というのは基本的に「未来」に対して支払われるからだ。
それゆえ、そこに信用がないと、そもそも成立しないのである。
例えば、トマトを買う場合、その恩恵にあずかれるのは買ってからしばらく後に食べたときである。トマトを買うことの価値が発生するのは、買った時点から見て「未来」なのだ。
それゆえ、買った時点では価値が発生しない。トマトに限らず、お金を支払った時点で価値が発生するものというのはほとんどないだろう。
それゆえ、お金を介在する取引には、そこに信用が不可欠なのである。信用がないと、そもそも取引が成立しない。お金という概念そのものが成立しないのだ。
あるいは、我々は「お金」というものを、そもそも信用している。お金というのは、それ自体は紙切れであったり金属片であったり、古代においては貝殻であったりした。そこには、物質的な価値はほとんどな -
最短で知識が身につく勉強法の試案(2,475字)
2018-11-05 06:00110ptその0
■勉強法の概念を知る
・人は、ある体型だった知識について、その8割までだったら簡単に身につけられるという。それを前提に勉強を進める。
・イメージとしては、10時間あったとしたら、全体の8割の知識を習得するのに2時間かかり、残りの2割の知識を習得するのに8時間かかる。つまり残りの2割がめちゃ大変。
・ただ、逆に最初の8割は簡単なんだから、まずそれを習得しようという考え方。
・しかもいくつかのジャンルでその8割を習得できれば、掛け合わせで知識の個性が出せるようになる。
その1
■勉強するべき「ジャンル」を選定・概観する
・勉強するべきジャンルは、自分に向いており、なおかつ世の中から受け入れられるものである必要がある。どちらも適度にないと、モチベーションが低下し勉強の妨げになる。
《自分に向いているかを知る》
・自分を客観的に見て、好き嫌いを判別する。
・例えばこれまでの人生を振り返り、
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