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記事 22件
  • 「きみは勉強ができないんじゃない、勉強の仕方を知らないだけなんだ」第32回(1,937字)

    2017-10-17 06:00  
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    遊びの本質とは、人を一生涯縛る「理性という名の心の枷」から解放される喜びの中にこそある。その意味で、遊びは人間の理性と不可分の関係だ。理性という名の枷があるからこそ、初めて遊びが成立する。
    ところで、人間の理性は何のために心を縛っているのか?
    その答えは、単純にして分かりやすい。それは、心身を危険から守るためである。自らを死の危険から遠ざけるためだ。
    まだ生まれて間もない頃、身体も上手く使えないときの人間は、走って転んだりはしゃいで身体をどこかにぶつけたりして、何度も痛い目に遭う。
    このとき、人は死の恐怖を感じるのだが、それがトラウマとなって心の奥底にも焼きつく。だから、次第に走ったりはしゃいだりすることはやめておこうと、誰かから強制されなくとも自然と思うようになるのだ。
    そういうふうに子供たちの心に根づいた心の枷は、心身を守るためには必要なものなのだが、一方でそのことに対する息苦しさとい

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  • ドイツのフランクフルト空港で書いている(1,694字)

    2017-10-16 06:00  
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    今、ドイツのフランフルト空港でこれを書いている。現地時間の2017年10月15日の午前11時頃だ。日本時間なら同日の18時頃。これから1時間ほどで飛行機に乗り、日本に帰る。
    今回の旅をちょっと振り返ってみる。ぼくが社長を務める岩崎書店は児童書の出版社で、本を出すのが主たる事業である。日本人が書いた本ももちろん出すが、外国の本を翻訳して出したりもする。その翻訳する本を買い付けに来るのが今回のフランクフルト行の一番のミッションであった。
    フランクフルトはドイツの都市である。人口は100万人ほど。それほど巨大ではないが、ヨーロッパのハブ空港があるので交通の便は良い。
    このフランクフルトでブックフェア――つまり本のメッセが開かれている。世界中から出版社が集まって新作や旧作を展示する。
    それと同時にまだ発売されていない本も、取引のある外国の出版社にエージェント経由で翻訳を打診する。つまり、ここに来る

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  • フランクフルトで思いついたこれからの出版界の方向性(2,007字)

    2017-10-13 06:00  
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    今ぼくはドイツのフランクフルトで行われているブックフェアに来ている。岩崎書店の社長として、海外の児童書を買い付けをするためだ。具体的にいうと、面白そうな海外の絵本を見つけ、日本で翻訳したいとのオファーを出す。もちろん、小説を出したいという気持ちもあるけれど、絵本と違って小説はすぐには読めないから、買い付けするにはもう少し時間がかかる。
    ぼくは、フランクフルトのブックフェアに来るのはこれが初めてだ。今年の春にイタリアのボローニャで児童書のブックフェアが行われ、それには参加したので海外のブックフェアに参加するのは2度目になる。正確にいうと、以前に『もしドラ』が台湾で翻訳されたとき、台湾のブックフェアに招いてもらったので、それを入れると3回目だ。
    そういうふうに、ぼく自身は海外のブックフェアへの参加経験が少なく、だから過去とは比べることができないのだが、それでもなんとなく寂しい雰囲気を味わったの

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  • 「きみは勉強ができないんじゃない、勉強の仕方を知らないだけなんだ」第31回(1,925字)

    2017-10-12 06:00  
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    勉強ができるようになるためには、将来に対して予感を抱けるようになる必要がある。将来に対して予感を抱ければ、そこに良くも悪くも「変化の可能性」を見出すことができるので、勉強をすることのモチベーションが高まるからだ。
    では、将来に対する予感はどうすれば抱けるか?
    それは、遊びや虚構に親しむことである。遊びや虚構に親しむことによって、そこで得られる知識や経験が、将来に対する予感をより豊かなものにしてくれる。
    だから、子供は(大人も)もっと遊びや虚構に親しんだ方がいい。そうすれば格段に勉強ができるようになる。
    ところが、世の中にはそうもいかない事情がある。それは周囲の反対だ。遊びや虚構に接することを、特に子供の場合は親が反対する。子供を遊びや虚構から遠ざけようとする本能のようなものが、どの親にも備わっている。
    だから、多くの子供は遊びや虚構から引きはがされ、結果として勉強ができなくなってしまうのだ

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  • [Q&A]オンライン英会話教室の売上げを伸ばす方法は?(2,012字)

    2017-10-11 06:00  
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    [質問]
    オンライン英会話を運営する中小企業で働いています。教育市場でみたらマーケットも大きく可能性もある市場だと思うのですが、弊社がどれだけ頑張っても売上が伸びない現実があります。上場企業であるレアジョブの数字を見ても昨年比売上で10%程度しか伸びていなく時価総額も30億しかありません。どこも広告を出しても成果が出にくくなっています。このような伸びが緩くなっている中で次のステップとしてはBtoBの営業や他国の英会話学習者を狙っていくことだと思うのですがいかがでしょうか。
    [回答]
    おっしゃる通りで、普通は海外進出を狙う上場企業や中国市場を狙うということになるのでしょうが、それはそれでライバルも多くて大変そうです。結局、参入障壁が低いのが伸び率が低いことの最大の要因ではないかと思います。
    そうなると、やがては価格競争が巻き起こり、ますます苦しくなるでしょう。その苦境を脱するには、結局オンリ

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  • お金の話:第13回「質が良くなるということ」(1,853字)

    2017-10-10 06:00  
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    お金のことを知るには、お金の「使い方」に習熟する必要がある。
    お金の使い方の基本は「投資」である。投資こそが、最も良いお金の使い方だ。
    では、「投資」とは何か?
    それは、明るい未来のためにお金を使うことである。
    では、「明るい未来」とは何か?
    それは、「質が良くなる」ということである。けっして「量が多くなる」ということではない。
    ここで気をつけたいのは、20世紀までは「量が多くなる」というのが明るい未来と考えられていた。それが変化したのはここ20年ほどの話しだ。だから、まだ世の中には「量が多くなる」ことこそ明るい未来だ――という考え方が根強く残っている。そのため、それに騙されたり、足を引っ張られたりしないことが肝要である。
    では、「質が良くなる」とはどういうことか?
    それを一言で表すならば「洗練」である。「熟達」という言い方をしてもいい。何かが以前より極まることこそ、質が良くなるということ

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  • 詳しくないことについて印象論的に書くこと(1,814字)

    2017-10-09 06:00  
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    今回は、詳しくないことについて印象論的に書きたい。ところで、「詳しくないことについての印象論」は、今や貴重である。なぜかというと、「詳しくないことについての印象論」は、ネットで公の目にさらされると徹底的に叩かれるので、みんな書かなくなったからだ。最近では、匿名のサイトですら「詳しくないことについての印象論」は叩かれる。叩かれると、たとえ匿名であっても傷つけられるので、そういうのが極端に書きにくくなっているのだ。たしかに、「詳しくないことについての印象論」は弊害が大きい。それに騙されて、世の中がおかしくなることもあるだろう。昔は、「詳しくないことについての印象論」が跋扈していたので、ずいぶんおかしな世の中だった。小林秀雄なんかは、「詳しくないことについての印象論」ばっかりで、当時はずいぶんもてはやされたものの、今では明確に否定されている。しかし、「詳しくないことについての印象論」は、ある種の

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  • 最近、考えていること(1,497字)

    2017-10-06 06:00  
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    最近、考えていることがある。それは本屋さんを出すことだ。本屋さんを営みたいと思っている。というのも、出版社を営む中で、新しい本屋さんのアイデアが出てきたからだ。
    ぼくは、今の本屋さんというのは、品揃えや便利さで勝負しようと思ったら、Amazonには絶対に勝てないと思っている。だから、それ以外の長所を打ち出す必要があるのだが、意外にもそれをしている本屋さんは少ない。だから、そこで商機があるのではないかと感じているのである。
    例えば、今のAmazonには「店主の顔が見える」という要素がなかったりするから、まずは「店主の顔が見える本屋」にすれば、それだけで優位性が築けるだろう。
    それから、「少ない種類の本しか置かない」ということも、Amazonはしていないことだから、それも個性になるのではないだろうか。単なる思いつきではあるが、例えば40種類くらいで勝負してみたい。それ以上でもいいのだが、要は自

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  • 「きみは勉強ができないんじゃない、勉強の仕方を知らないだけなんだ」第30回(1,833字)

    2017-10-05 06:00  
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    勉強ができるためには、将来に対する「予感」を抱けなければならない。それは、前向きな予感も後ろ向きな予感でもいいが、肝心なのは、「現状に対する不安」を抱くことだ。現状に不安を抱ければ、人は勉強をするモチベーションが抱ける。そして勉強するモチベーションを抱ければ、勉強ができるようになるのは至って簡単なのだ。
    では、予感を抱けるようにするにはどうすればいいのか?
    それは、経験を積むこともそうだが、それだけでは足りない。経験には物理的や時間的な制限があるからだ。
    そのため、人は「遊びと虚構」に親しむ必要がある。遊びと虚構は、人が経験できるものやことのレンジを大幅に拡大してくれる。
    多くの人は、死ぬまでに「殺されるような危険な目」に遭うことがほとんどない。だから、普通に生活していたら殺されるということに対する危機意識を抱きにくいのだが、しかし遊びや虚構においては、それを模擬的ではあるものの、簡単に経

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  • [Q&A]おすすめのドラマはありますか?(1,126字)

    2017-10-04 06:00  
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    [質問]いつも素晴らしいメルマガをありがとうございます。私は、街の小さな写真館に勤めるものです。記念系の撮影&証明写真撮影を自社スタジオで細々としつつ、小中学校などの卒業アルバムの仕事が主力です。少子化で先行き不透明ですが、このような写真館ビジネスの今後はどうなると予測されますか。[回答]すぐになくなるとは思いませんが、しかし拡大するということもなく、微減が続くのではないでしょうか。今後、10年以上は事業を続けていこうとお考えなら、今のうちから新規事業について、あれこれと研究を重ねておく必要があると思います。テレビで見たのですが、どこかの写真館ではドローンやジンバルなどの最新撮影機材に実際に触れたり、あるいはレンタルしたりネットで販売したりする事業で、業績を着実に伸ばしているそうです。そのような形ではなくとも、写真業界の最先端に常にキャッチアップすることは、少なくとも必要なのではないかと思

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