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記事 22件
  • 「生きた記憶」を手に入れる方法(1,640字)

    2021-07-16 06:00  
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    最近では、「脳」の使い方やトレーニング方法などもだいぶ解明されてきた。それらを使えば能力も上がってそれなりに生きやすくなるのだろうが、しかし一方でそもそもそういう概念に辿り着かない人(脳を鍛えるという発想を持てない人)たちがいて、脳を鍛えた人との差は開く一方だ。
    イラストレーターの木内達朗さんが、Twitterで面白い動画をしていた。
    Kim Jung Gi - How to Become a Master
    How to Draw like Kim Jung Gi
    これは英語の動画だが、ぜひ見てほしい。韓国人イラストレーターのキム・ジョンギ氏が、どのようにイラストを描くかについての動画なのだが、これを見ると、彼が脳をフル活用して描いていることがよく分かる。
    脳というのは、インプットよりもアウトプットによって鍛えられる。記憶でいえば、知るよりも伝えるとき、より深く定着する。それも、一度ではな

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  • マンガの80年代から90年代までを概観する:その15(2,353字)

    2021-07-15 06:00  
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    人間の目は、シルエットで対象をとらえる。だから、シルエットが好きだ。影絵を見たら、特にそれが人の形で動いていたら、興味を引かれるし、何をしているのかもだいたい分かる。
    人は、人形劇や紙人形が好きだ。それが進化した表現であるところのアニメも好きだ。それは、これらがシルエットでできているからだ。
    そもそも人間は、基本的に目で見るものも、そのシルエットをとらえているので、人形やアニメが動けば、それは人が動いているように(生きているように)見える。だから、人形劇や紙人形やアニメを、ストレスなく面白がれるのだ。
    それは、夢も同じである。夢では、背景がぼやけるので、シルエットはより強調される。それどころか、輪郭の内側さえぼやけるので、なおさらシルエットが強調される。むしろ、シルエット以外何も見えなくなるのだ。
    そんな「シルエットだけしかない状態」のものを、人は「お化け」と呼ぶ。シルエットの中が黒いと亡

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  • [Q&A]飲食業を起業するならどのような店にするか?(4,464字)

    2021-07-14 06:00  
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    [質問]
    これは私自身ではなくてパートナーの話ですが、現在は会社員として働いていますが、数年内に退職して起業しようとしています。子どもの頃から植物や食文化(日本の郷土料理や海外料理や食材)に精通していて、それらの業界で働いている人と話していると「同業者だよね?」と勘違いされてしまうこともしばしばあります。英語や中国語などがネイティブレベルという能力も持っています。農村部に築100年の古民家と広い土地を持っています。本人曰く、新大久保に新しくできた施設(https://kdc-foodlab.com/)とやりたいことが似ていると言っていましたが、具体的にどこから手をつけたらいいのか分かりません。
    もしハックルさんがこのような条件を持っていたら、どういった起業を考えられますか?
    [回答]
    書かれているスキルはどれも有用で素晴らしいものだと思うのですが、飲食業は(今はコロナで元気がないですが)そ

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  • 情報リテラシーはどうやったら身につくのか?:その40(1,618字)

    2021-07-13 06:00  
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    この連載では、「情報リテラシーの身につけ方」について考えてきた。その過程で、浮かび上がった基本となる考え方がある。
    それは、人間はそもそも失敗するようにできている、ということだ。これを前提として認識しておかないと、そもそも情報リテラシーは身につかないだろう。
    そして、世の中には「失敗を前提とする」ということをよしとしない集団がいる、ということも、しっかりと認識しておかなければならない。なぜなら、彼らは我々の敵であって、「失敗するようにできている」という前提を否定しようと、攻撃をしかけてくるからだ。我々の失敗を許さず、失敗を縦に追い詰めようとしてくるからだ。
    もしその攻撃に屈してしまったら、我々は失敗できなくなる。そして失敗できなくなると、情報リテラシーも失われてしまう。そうして誤った情報を鵜呑みにしてしまい、やがて身を滅ぼすことになるのだ。
    そこで、ここでは二つのことが重要になってくる。

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  • 好きなことを見つける方法:その9(1,731字)

    2021-07-12 06:00  
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    人は、自分の幼少期のことをほとんど知らない。ぼくも知らなかった。そこで、自分なりに調べてみた。すると、いろいろ腑に落ちるところがあった。そうして、自分への理解も一歩進んだ。自分をより客観的に見られるようになったのだ。
    自分を知る鍵は、自分の幼少期を知ることにある。そして、好きなことが見つからずに悩んでいる人も、その原因は必ず幼少期にある。幼少期に、なんらかの形でわがままであることを阻害されたのだ。わがままを抑圧された。そのおかげで、心にある「好き」という感情に蓋がされてしまった。以降、何が好きか分からなくなったのだ。
    従って、「好き」を見つけるためには、その蓋を取る必要がある。それには、幼少期の自分について知り、どんな抑圧を受けたのかを知るといい。
    ぼくの場合だったら、引っ越しと弟の誕生という環境の激変が、強い抑圧を生んだ。以降、他人というものを信頼しなくなった。ぼくが他人と上手くいかない

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  • 頭がとても良くないと満足に生きていけないつらい社会(1,637字)

    2021-07-09 06:00  
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    世界全体は今、大きな価値観の変革期を迎えている。その中で、旧来からの価値観にしがみつく人は生活が厳しくなっているのだが、日本人には旧来からの価値にしがみつく人があまりにも多いために、日本社会全体に鬱屈が貯まっているという状態だ。
    ただし、「旧来からの価値観」ということの意味が、昔とは大きく違ってきている。実は、「旧来からの価値」というのは、従来のイメージとは逆なのである。
    例えば、「オリンピック」について。ネットでは反対する人が多いが、こちらの方が「旧来からの価値観」である。そして、オリンピックに反対しない人の方が、新しい価値観なのだ。
    どういうことかというと、そもそもオリンピックを開いたからといってコロナになって死ぬような人は、この社会で生き抜く力がきわめて弱い。そして社会では、きわめて弱い人を生き抜かせておくと、そのしわ寄せが全体に及び、不幸の総和が増える。トロッコ問題ではないが、全体

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  • マンガの80年代から90年代までを概観する:その14(1,721字)

    2021-07-08 06:00  
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    夢で見る映像は――
    ・スイッチング
    ・俯瞰
    ・焦点がほやける
    ・シルエット
    という現実とは少し違う4つの特徴がある。
    このうち「焦点がぼやける」というのは、かつての絵ではポピュラーな技法として用いられた。また、写真もレンズの性能が悪いときは、自然と中心以外ボケる効果があったから、この技法に則っていた。ただ、レンズの性能が上がるに連れ、その効果は徐々に薄まっていった。
    ところが、やがて人々は、ボケのない写真の魅力が以前より下がっていることに気がついた。レンズの性能が高まり、ボケがなくなったことによって、逆にボケることの価値に気づいたのだ。そのためレンズメーカーは、今度は「ボケを大きくする」という逆の方向に針を振った。特にニコンとキャノンは、ボケに特化したレンズをいくつも出した。
    すると、それはよく売れ、おかげでボケは日本のレンズメーカーの専売特許ともなった。おかげで今では、写真のボケを英語で

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  • [Q&A]実子誘拐とどう戦うか?(3,324字)

    2021-07-07 06:00  
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    [質問]
    私はハックルさんのように自分で考えていることをうまく文章化して書けるようにしたいです。
    ハックルさんはロードマップやフレームワークのようなものを何かお持ちでしょうか?
    ご教示頂きたく存じます。
    [回答]
    質問を受けて考えてみたのですが、ぼくはそもそも「文章化することを前提」にして思考していました。ぼくが文章を書くときは、「読む人がいてその人に伝える」ということを念頭に置いているのですが、そのときまず「どう伝えるか?」ということから考えます。ここで最も重視するのが「概念化」です。事象の構造を解き明かし、それを説明できるようにする――ということをいつも考えています。
    「構造を解き明かす」というのは、ある事象に対し「なぜそれが起きたのか?」というのを順序立てて説明することです。例えば先日の熱海の土砂災害だったら、なぜ土砂災害が起きたのかをまず可能な限り考える。そうすると、「温暖化」によ

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  • 情報リテラシーはどうやったら身につくのか?:その39(2,009字)

    2021-07-06 06:00  
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    人間は、間違う。これは他の動物にはないきわめて個性的な特徴だ。
    例えば、人間はぶつかる。物にもぶつかるが、人間同士もぶつかる。何にもぶつかったことがない人間は、この世に一人もいないのではないだろうか。
    それに対して、鳥はぶつからない。もちろん、ごく希にぶつかる鳥もいるが、それは高速で走る電車や車だったり、あるいは透明なガラスだったりと、かなり避けがたいものに限る。自然のものはもちろん、鳥同士ぶつかるということはまずない。だから、死ぬまで何にもぶつからない鳥も少なくないだろう。
    これは当たり前のように思える一方、驚くべきことでもある。なぜなら空というのは三次元だから、前後左右だけではなく上下にも気を配らなければならない。それゆえ、ぶつからないことの難易度は人間よりも格段に高い。それにもかかわらず、鳥はぶつからないのだ。
    それに対し、人間は基本的に地表を二次元的に移動している。それにもかかわら

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  • 熱海の土砂災害が起きた3つの理由(1,998字)

    2021-07-05 06:00  
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    土曜日に熱海の土砂災害があり、思うところがあったので、今回は連載を休み、そのことについて書きたい。ぼくは、この熱海の災害は、現代日本を象徴し、また日本の未来を暗示するできごとでもあるととらえている。理由は、土砂崩れが起こった理由そのものにある。
    土砂崩れが起こった理由は、以下の3つだ。
    1.気候変動による温暖化によって雨量が増えた。
    まず、温暖化によってここ数年雨量が増えた。そのため日本全国で水の災害が増えているが、これは今後ますます増えると予想される。今回の熱海も、記録的な雨量だったという。
    水は怖い。水は高いところから低いところに流れるという性質があるが、ある部分でせき止められるととんでもない力になる。
    土砂崩れが発生したところは、もともと谷だったのだが、そこに土を埋めて造成していた。その埋め立てた土がせき止められた水によって一気に押し流されたのが、今回の事故の直接の原因である。
    なぜ

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