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2022年1月の記事 4件

Vol.512 結城浩/新技術を学ぶ理解力/Townscaper/実力以上に評価されてつらい/二人きりだとネガティブな友人/

Vol.512 結城浩/新技術を学ぶ理解力/Townscaper/実力以上に評価されてつらい/二人きりだとネガティブな友人/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2022年1月18日 Vol.512 目次 Townscaperは街並みを手軽に作れるすてきなアプリ 理解力を高めるためにはどうすればいいか - 学ぶときの心がけ デリケートな話題とSNS - ショート 創作が実力以上に評価されることがつらい - 仕事の心がけ オール・オア・ナッシング - ショート 二人きりになるとネガティブなことを言う友人 - コミュニケーションのヒント はじめに 結城浩です。 書いている本がいよいよ出版に向けて動いています。 先週末には『数学ガールの秘密ノート/図形の証明』の初校ゲラを編集部に戻しました。今週末から来週の頭には再校ゲラがやってきます。そして再来週には再校ゲラを戻す予定。 刊行は二月の予定でしたが、出版スケジュールの関係で刊行は三月になるとのことです。刊行までもうちょっとお待ちくださいね。 今回の本も、数学が題材になっている対話形式の物語ですけれど、その内容は決して「数学」だけに留まらないと思っています。 そもそも今回の『図形の証明』に書かれている数学は、三角形の合同を中心としたごくやさしいものです。数学はやさしいのですが、扱っている内容は深いものを含んでいます。 何かを理解するとはどういうことなのか 何かを他の人に理解してもらうためにはどうしたらいいのか 自分の理解を深めるにはどうしたらいいのか 自分が知らない未知の問題に出会ったとき、どのように考えを進めていけばいいのか…… こういったことは、なかなか簡単に答えられるものではありません。仮に「◯◯すればいいよ」と答えが与えられたとしても、心の表面だけをさらりと流れてしまい、心の奥まではなかなか届きません。 今回の『図形の証明』は、いつものように数学ガールの登場人物たちが《対話》を繰り広げます。いつのまにか、その《対話》の中に読者も参加し、いっしょに考えたり、いっしょに悩んだりしながら、「学ぶこと」「理解すること」「教えること」を体験していきます。 『図形の証明』は、数学を学んでいる中学生や高校生はもちろんのこと、保護者の方々、そして教える立場にある人にも読んでいただきたい一冊です。 『図形の証明』では、『学ぶための対話』で「僕」と出会った「ノナちゃん」が再登場します。ぜひ、ノナちゃんの変化にも注目してくださいね(なお「数学ガールの秘密ノート」シリーズは、どの本からでも読み始めることができます。念のため)。 ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』(好評発売中)https://www.amazon.co.jp/dp/4815603995/?tag=hyuki-22 ◆『数学ガールの秘密ノート/図形の証明』(現在予約受付中、2022年3月刊行予定)https://www.amazon.co.jp/dp/4815609764/?tag=hyuki-22 それでは今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。 ※今回も「ショート」というごく短い文章をいくつか挟んでみました。 Townscaperは街並みを手軽に作れるすてきなアプリ Townscaperというアプリを使うと、3Dで街並みを手軽に作ることができます。 ちょっとコミカルな、ちょっとファンタジーっぽい街並みが、画面を適当にタップするだけですぐに作れます。 たとえば、何も考えなくてもTownscaperを1分くらい触っているだけで、こんなふうにかわいらしい建物が3Dイメージとしてできあがります。 ◆Townscaperで、たとえばこんな建物が作れます この建物を作っているようすを動画にしてみました。 ◆Townscaperは街並みを手軽に作れるすてきなアプリ - YouTubehttps://youtu.be/vpjtAJKXP2g 使い方は簡単です。タップすると新しい要素が加わる。要素をちょっと長押しする削除する。もっと長押しすると色も変えられる。単純なのにすごく楽しい。 あまりにも簡単にイメージが作れるので、さらに加工してみました。 Townscaperで風景を作ってDistressed FXという別のツールで加工したら、物語が始まりそうな一枚になりました。製作時間はたったの5分です。 ◆Townscaper + Distressed FXで作った画像の例 ◆Distressed FX - 画像加工ツールhttps://www.distressedfx.com 何点かInstagramにも上げてあります。 ◆Sketch from an old friend.(鉛筆のスケッチ風に仕上げました)https://bit.ly/3I8ioA6 ◆The DeConsTower.(とろけそうな効果を付けてタワー風にしました)https://bit.ly/3A2u8BF こんなふうに、手軽に画像を作れるアプリはとても好きです。短時間で、しかもiPhoneだけで作れるのがいいですね。 このTownscaperで作った画像を見ていると「この中にはどんな人が住んでるのかな?」や「どんな暮らしをしているんだろう?」のような発想まで湧いてきます。 Townscaperは有料アプリですが、とても楽しめます。 ◆Townscaper - App Storehttps://apps.apple.com/jp/app/townscaper/id1549531491  

Vol.512 結城浩/新技術を学ぶ理解力/Townscaper/実力以上に評価されてつらい/二人きりだとネガティブな友人/

Vol.511 結城浩/問題を解くことと説明すること/作業ログの活用例/一人で過ごす/紙を広げて推敲/

Vol.511 結城浩/問題を解くことと説明すること/作業ログの活用例/一人で過ごす/紙を広げて推敲/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2022年1月11日 Vol.511 目次 問題を解くことと説明することの違い - 学ぶときの心がけ 「結城浩の作業ログ」活用例と公開のメリット 一人で過ごすのは悪いことなのか - コミュニケーションのヒント たくさんの紙を床の上に広げて推敲する話 - 本を書く心がけ はじめに 結城浩です。 新年になったと思ったらもうすぐ1月も半ばになりますね! 最近の結城はずっと、来月刊行予定の『数学ガールの秘密ノート/図形の証明』を進めています。 現在は「初校ゲラ」を読み返しているところ。今週中には、数百箇所を修正したPDFを編集部に戻します。そのあと「再校ゲラ」が届いて、それを戻せば結城の手から原稿は離れることになります。 今回の『図形の証明』もすごくおもしろく、いい本になりますよ。何度も読み返していますが、読み返すたびにしみじみと「ああ、これはいい本だ……」と思います。 今回の『図形の証明』はもちろん証明が話の中心にありますが、『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』で登場した新キャラの「ノナちゃん」が再登場し、図形の証明に挑戦するところが何ともおもしろいです。書きながら、そして読みながら、私自身がいろんなことを学んでいます。 数学を学んでいる中学生や高校生はもちろんのこと、保護者の方々、そして教える立場にある人にも読んでいただきたい一冊になります。 『学ぶための対話』は「理解すること」について学ぶノナちゃんの物語ですが、同時に「教えること」について学ぶ「僕」の物語ともいえそうです。数学的な内容はやさしいですけれど、読み込むとなかなか深い題材を扱っているのがわかります。 ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』(好評発売中)https://www.amazon.co.jp/dp/4815603995/?tag=hyuki-22 『図形の証明』では「読むこと」や「書くこと」や「伝えること」を学ぶ物語にもなっています。どうぞご期待くださいね。 ◆『数学ガールの秘密ノート/図形の証明』(現在予約受付中)https://www.amazon.co.jp/dp/4815609764/?tag=hyuki-22 それでは今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。  

Vol.511 結城浩/問題を解くことと説明すること/作業ログの活用例/一人で過ごす/紙を広げて推敲/

Vol.510 結城浩/数学ガールのおもしろさ/本棚/TAOCP/恋人の自己肯定感/学ぶこと/つらい気持ちを人に話すとき/

Vol.510 結城浩/数学ガールのおもしろさ/本棚/TAOCP/恋人の自己肯定感/学ぶこと/つらい気持ちを人に話すとき/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2022年1月4日 Vol.510 目次 「数学ガール」を書いていておもしろいと感じるところ - 本を書く心がけ 本棚の本をどのように並べるか TAOCPの読み方 恋人の自己肯定感が低いことが関係の障害になっている - コミュニケーションのヒント 「学ぶこと」をめぐって思うこと - 学ぶときの心がけ つらい気持ちを人に話したいけれど、ためらってしまう - コミュニケーションのヒント はじめに 結城浩です。 あけましておめでとうございます。 いつもご愛読感謝です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 それでは、どうぞごゆっくりお読みください。 「数学ガール」を書いていておもしろいと感じるところ - 本を書く心がけ 結城が「ミルカさん」という小さな1シーンを描いたのは2004年のこと。数学に関わる物語を書き始めてからおよそ18年経ち、もうちょっとで20年となります。 ◆ミルカさんhttps://www.hyuki.com/story/miruka.html これまでに「数学ガール」シリーズを6冊、「数学ガールの秘密ノート」シリーズを14冊、「数学ガールの物理ノート」シリーズを1冊刊行しました。2022年2月には『数学ガールの秘密ノート/図形の証明』が刊行される予定で、いまはせっせと初校ゲラを読んでいます。 ◆『数学ガールの秘密ノート/図形の証明』https://www.amazon.co.jp/dp/4815609764/?tag=hyuki-22 cakesでのWeb連載「数学ガールの秘密ノート」はこれまでに第1回〜第344回までを書き、まだまだ継続していくつもりです。 ◆結城浩「数学ガールの秘密ノート」cakes Web連載と刊行書籍対応表https://link.hyuki.net/cakesbook そうやって「数学ガール」をせっせと書きながら「おもしろいなあ」と一人でしみじみと感じ入ることがあります。その「おもしろい」と感じるところについて、つれづれに書いてみたいと思います。まとまった話ではありません。 * * * 「数学ガール」はどんなところがおもしろいか。物語の中に出てくる数学の知識がおもしろいというのはありますが、それだけではありません。 数学の知識を、登場人物たちが何からどうやって見つけるか、理解するか、発展させるか。物語を読んでいるうちにその場に自分も参加する。そして、登場人物といっしょに体験する。そういう体験的なところもまたおもしろいんだと思います。 そこに書かれている知識を効率よく覚えておしまい……じゃない。そうじゃなくて、学んでいくプロセスを体験するから、ぜんぜん違うところまで応用が効くようになっている。そこが何ともおもしろいのです。 もちろん、おおもとには「そもそも数学がそういうおもしろさを持っている」という事実があります。書かれていることをちゃんと読んで、頭を使って考えて、手を使って試したり確かめたり話し合ったりすると、そこに書かれている以上のところまで応用が効くようになっている。 「数学ガール」を書いていると、彼女たちの対話にずっと耳を傾けることになります。そして、書いている私自身がすごく勉強になり、もっと学びたくなってくるのです。 * * * たとえば、似ている二つの概念があって「この二つは同じかな、それとも違うのかな」と思ったとしましょう。そのとき単に検索して調べて「ああ、この二つは同じか」や「なーんだ違うのか」だけで終わらせるのはつまらないものです。 「同じかな、違うかな」となったときに、どちらが正しいかどちらが間違いかで話を終わらせない。もっとていねいに考えを進めて、「じゃあ、どういうところが同じで、どういうところが違うんだろう」という一歩を進めるのがめちゃめちゃ大事なんだと思います。 似ていると感じるのなら、何らかの意味では「同じ」といえるし、異なると感じるのなら、何らかの意味では「違う」といえるはず。そこから「どういうところが同じ?」や「どういうところが違う?」と考えを進めるのはとても自然なことです。 そして、「どういうところが?」に答えるためには、二つの概念をよりしっかりと観察し、分析していく必要があります。それは、自分の疑問を解決したいと思うがゆえの観察であり分析です。一言で言えば「主体的な学び」といえるでしょう。 * * * 数学は、とても微妙で複雑な構造を扱えるから、その「どういうところ」の表現も多様になります。数学に限らず、プログラミングでもそうかもしれません。 ものすごく簡単な例は『数学ガール/ポアンカレ予想』にも出てきた「合同」と「相似」に出てきます。二つの形がある意味では「同じ」だけど、ある意味では「違う」と言いたくなるときのこと。 「合同」や「相似」を学ぶときには、「合同とはこういうもの」「相似とはこういうもの」で終わりにしたくありません。どういう意味で「同じ」なのか。どういう意味で「違う」のか。そこまで考えを進めたいものです。 その「どういう意味」にはとてもたくさん種類がありえます。「あれとこれが同じって、どういう意味で同じ?」という問いかけはとても自然だし、考える価値があります。『数学ガール/ポアンカレ予想』では「合同」「相似」に加えて「同相」という概念が提示されます。 * * * そんなふうに一般化して考えを進める体験を繰り返すなら、数学を学ぶことが、数学という枠を越えたところにも大きな影響を与えることがよくわかります。たとえば、誰かと話し合いをしているときに、お互いの使っている言葉が擦り合わせできなかったら、建設的な議論にはなりようがありません。そんなときに「あなたが言う◯◯とはどういう意味ですか」という問いは大きな役目を果たすでしょう。 「数学ガール」を読んでいると、対話の中で頻繁に質問が出てきます。何度も何度も出てきます。《数学トーク》をしている登場人物たちは、互いにその質問に誠実に答えようと試みます。彼女たちは互いに信頼し合っていて、安心して質問し合っているのです。 相手を倒すために議論を重ねるのではありません。そうではなくて、自分たちの理解を深めるために議論を重ねていくのです。 * * * 「数学ガール」では「どういう意味で?」を確かめるだけではありません。 「数学ガール」の中ではまた、頻繁に議論のスピードを制御しようと試みます。「ちょっとお待ちください」とテトラちゃんが言う。「ちょっと待った!」とユーリが叫ぶ。それは、よりよく理解したいと願うからです。議論に参加したいと願うからです。 「数学ガール」の中ではさらに、答えを待つ場面もよく出てきます。一人で考える時間を確保する。計算する時間を確保する。ここまでの話をまとめる時間を確保する。それもまた、自分の理解をより確かなものにしたいと願うからです。 数学に限りません。信頼し合う仲間と知的な議論を交わすことができるなら、どれほど楽しいでしょうか。どれほど豊かな時を過ごせるでしょうか。 「数学ガール」がおもしろいのは、そこに出てくる知識が頭に入るからだけではありません。 信頼できる仲間と、互いに学び合い理解を深め合う場がそこにあるからおもしろいのです。 そんなことを思いました。 これからも「数学ガール」「数学ガールの秘密ノート」「数学ガールの物理ノート」の応援をよろしくお願いいたします。 ◆「数学ガール」https://www.hyuki.com/girl/  

Vol.510 結城浩/数学ガールのおもしろさ/本棚/TAOCP/恋人の自己肯定感/学ぶこと/つらい気持ちを人に話すとき/
結城浩の「コミュニケーションの心がけ」

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」は、読みやすくわかりやすい書籍を20年以上書き続けてきた結城浩が「わかりやすい文章を書く心がけ」や「人に教えるときの心がけ」を読者のみなさんと分かち合う有料メールマガジンです。

著者イメージ

結城浩

数学青春物語『数学ガール』シリーズ著者。20年以上にわたり、Java, Perl, Cなどのプログラミング言語入門書、デザインパターンなどの技術書、数学入門書など多数執筆。 Twitter: @hyuki

https://www.hyuki.com/
メール配信:ありサンプル記事更新頻度:毎週火曜日※メール配信はチャンネルの月額会員限定です

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