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Vol.078 結城浩/数学文章作法 - 読者の迷い/
2013-09-24 07:00220ptVol.078 結城浩/数学文章作法 - 読者の迷い/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年9月24日 Vol.078
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
このあいだまで暑い暑いといっていたのがうそのように冷えてきました。 朝晩はほんとうに「寒い」と言えるくらいの日もありますね。 電車に乗っていてもマスクの人や咳き込む人も多く見かけたりします。 あなたはお元気ですか。
それはそれとして、空が澄み切ってとても気持ちの良い日があるのも事実。 ときおり、
「生きているってなんてすばらしいんだろう」
と言いたくなるときもあります。 秋晴れとはよく言ったものですね。 連休は特にどこに行くでもなく淡々と月曜日に仕事をしていましたけれども……
* * *
刊行された講演集『数学ガールの誕生』の感想がぞくぞくと届いていて感謝です。 「数学ガール」シリーズのファンの方はもちろんのこと、 教育関係の方や、物書きをなさっている方にも読んでいただけているようでうれしいです。 サイン本が、都内に限らず北は北海道、南は福岡にも行ったようで、 ある読者さんからは、サイン本がある書店まで車を飛ばしましたという連絡をいただきました。 恐縮です……
『数学ガールの誕生』の講演のうち、一つは公立はこだて未来大学で行ったものですが、 招いてくださった高村教授からは、
「このような形で講演会の記録が保存されたことが夢のようです」
とのメッセージをいただきました。 こちらこそ夢のようで感謝、感謝です。
恥ずかしながらお招きいただく前は未来大学について何も知りませんでしたが、 キャンパス全体がまさに「未来」という感じであり、 空間をふんだんに使った学びの空間は何ともうらやましいものでしたね……
* * *
別の話題。
CodeIQで公開していたナムドット問題は、この結城メルマガが配送される日(9/24)の 午前10時に締め切られます。おそらく200人くらいの挑戦者になるのではないかと思っています。 火曜日に集計を行い、 解説の文章と挑戦者のメッセージ抜粋をまとめて、 できるだけ早くフィードバックを返したいと思っています。
結城は夜眠るときよくCodeIQの問題を考えます。 目を閉じて、頭の中でデータ構造をいじるのはとても楽しいです。 わざと難しいデータ構造を頭の中に構築してそれを操作していると、 頭のスタックを消費するのか、あっという間にぐっすり眠れるんですよ!
CodeIQで、挑戦者の解答を読むのはとても楽しい仕事です。 結城の出題意図にぴったり沿って解答する方もいれば、 まったく違う発想ですばらしい解答をする方もいます。 解けなくてすごく悔しそうな感想を書いてくる方もいれば、 感想文はすばらしいのにケアレスミスで満点を逃す方もいます。 その何というかワイワイした感じを結城は楽しませてもらっています。
それにしても、プログラミングをする人の中には、 とてつもなく賢い方がたくさんいらっしゃいます。 自分と比べるのはおこがましいですが、 結城が必死に考えてやっと理解したような内容を、 一瞬で見抜いて解く人がたくさんいらっしゃるんですよね……
ともあれ、今回のナムドット問題にはどんな解答が寄せられるのでしょうか。 楽しみ楽しみ!
CodeIQには「ウチにこない?」という分類の問題があり、 それを解くと企業のエンジニアから声がかかるということです。 公式には約48%のエンジニアに声が掛かるということで、 たいへん現代的な就職(転職)活動形態の一つになっています。 「ソーシャル・リクルーティング」などという呼び名があるそうです。
まあ実際、企業さんから見れば 「プログラム(コード)がちゃんと書ける人」が欲しいわけですから、 コードを見て声を掛けるというシステムは意味のあることなのでしょう。
◆CodeIQ https://codeiq.jp
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別の話題。
先日、財団法人「日本数学検定協会」さんからインタビューを受けました。 日本数学検定協会は、一松信先生が名誉会長になっておられ、 数学検定・算数検定・数学甲子園などを通じて数学・算数の普及につとめている財団法人です。
『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』の第二章にも書かれている 「答案は採点者へのメッセージ」というフレーズを鍵として、 記述式で答えるという意味について、数学を学ぶということについて、 採点者にうまく伝わる書き方について……といった内容のインタビューになりました。
インタビューは、 主に中学生・高校生へのメッセージを送るという形でまとめられると思います。 掲載されるのは協会が出している広報誌「マスマスプラス」(11月発行予定)です。 「マスマスプラス」は数学検定・算数検定の受検者さんや、 受検校の児童・生徒・職員さん向けに発行されている季刊誌です。
インタビュー掲載時には「数学ガール」関連の サイン本プレゼント企画(的な何か)があるはずです。
◆日本数学検定協会 http://www.su-gaku.net
協会の方とおしゃべりしていて、なるほどなと思ったことがあります。 数学検定協会では「数学甲子園」というイベントを開催しているのですが、 決勝では問題を参加者に作成してもらい、プレゼンテーションをしてもらうそうです。 見せ方で工夫が必要ということですね。
実際、スポーツの大会と違って、「数学で勝負」だと、 ヴィジュアル的に見せるのは難しいですからね。 協会の方によれば、
「もしも問題を解いている参加者の頭脳の動きを 可視化できたらすごいんですけどねー」
とのことでした。 それができたら確かにものすごいヴィジュアル効果がありそうですね!
ところで協会さんが行った結城のインタビュー。 結城は「クールにキメる」のにあこがれているのですが、 それがうまくいった試しがありません。 今回も、インタビューの最後には自分で盛り上がってしまって、 熱く語ってしまい、一人で涙ぐむほどでした。 「時間」について語るとき、結城はいつも涙ぐんでしまうんですよね。
問い「数学を学ぶ中高生にメッセージを」 結城「数学は時を越える言葉です。 本屋さんに行けばたくさんの数学書があります。 そこに書かれている言葉は、あなたがそれを開いて理解することを 何百年も待っていたんです…(涙涙涙)」
まったく、もう! 一人でなに泣いてんだよ! と自分に突っ込んでしまいます。
* * *
さて、そろそろ結城メルマガを始めましょう。 今回のメインコンテンツは『数学文章作法』の続編の第一章です。 PDFでお送りしますので、ダウンロードしてお読みください。
それではどうぞお楽しみください!
目次
はじめに
数学文章作法 - 読者の迷い(PDF)
本を書く心がけ - レビューをしてもらうということ
次回予告 - 再発見の発想法
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Vol.077 結城浩/フロー・ライティング/電子書籍の新企画/
2013-09-17 07:00220ptVol.077 結城浩/フロー・ライティング/電子書籍の新企画/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年9月17日 Vol.077
はじめに - 台風・楽しい仕事・ナムドット問題
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
この「はじめに」を書いているのは9月16日で、台風18号が日本上陸した日です。 窓から外を見ると木は大風で揺れに揺れ、雨はざんざん降り、 たいへんひどい状況です。
吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風をあらしといふらむ(文屋康秀)
「山+風」で「嵐」だそうですが、 それと同時に「あらし」は「荒らし」にも掛かっているのだそうですね。
そんな悠長なことは言ってられません。 全国各地で警報・注意報・避難勧告・避難指示が出ているとのことで、 少しでも被害が少なくなるようにと祈っています。
* * *
別の話。
一人で文章を書く仕事をしていると、 どうしても「仕事をする」ということに自覚的になります。 自覚的というのが正しいかどうかわかりませんが、 「これは仕事になるかな」や「こういう仕事はどうだろう」 といつも考えているという意味です。 「ワーカホリック」といえるのかもしれません。
「仕事が好きじゃないとフリーランスは続かない」けれど、 「『好きだけどあえて仕事しない』という日を作らないとそれはそれで続かない」 ような気がします。 私の場合、日曜日は「安息日」で仕事を入れないようにしていますけれどね。
どうしてワーカホリックになるかというと、仕事が楽しいからです。 もちろん、生活のためにがんばって働き続けなければいけないですし、 家族にも「あなたたちのためにがんばって働いてるよ」アピールはするのですが、 実際は単純に「仕事が楽しいから」働いている気がします。 家内はそんなことはとっくに見抜いていて、 私が冗談交じりに「あなたたちのためにがんばって働いているよ」と言うと、 すかさず「ほんとは楽しいからでしょ」と返してきます。
上司が見てないと仕事サボるというタイプの人が、
「自分の好きなように仕事ができるからフリーランスになりたい」
というのは、大変リスキーだと思っています。 気持ちはわからないではないですが。 上司が見てるかどうかには無関係に自分の仕事を作り・ 考え・実行するタイプの人の方が向いていると思います。 サボるのが悪いわけではありません。 自分の自由時間を増やすために効率化を考えるのはとてもいいことです。 ただ、それを、上司が見てても見てなくても同じようにやるタイプのほうがいいと思います。 何しろ、フリーで働くとほんとうに誰からも何も言われません。 こわいくらいの自由があるのですから。
そういえば、TeXを作ったコンピュータ科学者(数学者)の クヌース先生のWebページにこんなのがありました。 Retirement(退職、引退)というページ。 「退職した大学教授というものはほとんど普通の大学教授と変わらないが……」
Being a retired professor is a lot like being an ordinary professor, except that you don't have to write research proposals, administer grants, or sit in committee meetings. Also, you don't get paid. http://www-cs-faculty.stanford.edu/~uno/retd.html
話がそれました。 「仕事が楽しい」という話でした。 私は仕事が楽しくて、いそいそ仕事するわけですけれど、 それでも自分の好きな気分そのままで書き物をしているわけではありません。 特に、その日の書き始めはいつもつらいものです。 ついだらだらと仕事に着手するのが遅れてしまいます。 その対策のうち、二つをご紹介。
一つはTwitterです。Twitterは楽しくていくらでも時間を使ってしまいます。 なので、こんな方法を考えて実行しています。
◆Twitterの誘惑を振り切って仕事を始める方法 http://d.hatena.ne.jp/hyuki/20130108/twitter
これはTwitterで「これから仕事を始めるので離脱する」と宣言する方法です。 しかも、離脱のためのフレーズを仮名漢字変換の日本語入力ソフトに単語登録して、 すばやく入力できるようにするのです。これは効きます。 今年の初めからこれを実行して、かなり成果を上げています。
もう一つは〆切の決め方です。 原稿の仕事を引き受けるときに、必ず自分から、 「〆切は何月何日にします」あるいは「何月何日に連絡を入れます」 などと相手に伝えるのです。そのときに具体的に「何月何日」と言い切るのがポイントです。 「だいたい月の半ばくらい」みたいな日付にせず、 はっきりした日付を〆切として、しかも自分から約束することで、 仕事に掛かるスピードがかなり早くなるように思います。
* * *
次の話題。
CodeIQの「クロッシング問題」がとても楽しかったので、 新作問題をずっと考えていました。 シンプルで楽しい問題のアイディアがひらめいて、 ちょうどいい難易度に調整をして公開しました。 今度は「ナムドット問題」です。
◆古代文献を復元しよう!(ナムドット問題) https://codeiq.jp/ace/yuki_hiroshi/q468
このナムドット問題に対して、 CodeIQの運営さんがすてきな賞品を用意してくださいました。 最高評価の方から抽選で一名様に、 アマゾン限定の特典小冊子つき「数学ガール五冊セット」をプレゼント。 プログラムを使っても使わなくても挑戦できますので、ぜひどうぞ。
結城が作った問題は今回のナムドットで13問目。 のべ解答者の総数はなんと2000人を越えています(!)。 とても驚きました。
◆結城浩の出した問題と挑戦者数 https://codeiq.jp/ace/yuki_hiroshi/
前回も書きましたが、CodeIQでの出題はほんとうに楽しいです。 結城は子供の頃からクイズやパズルを出題するのが大好きでした。 特に「解いて楽しめる問題」に仕上げるのが好きでしたね。 難易度がそこそこあって、解いた時間が決して無駄にならない。 そんな問題です。 CodeIQでの出題はちょうどハマった感があります。
出題ばかりしていてもなんなので、@cielavenir さんが作ったRestricted Wordsという 問題にJavaで挑戦してみました。
◆Restricted Words (@cielavenirさん) https://codeiq.jp/ace/cielavenir/q431
問題を出題するのと問題に挑戦するのではまったく気分が違いますね。 ただ、似ているところがあります。それは、 自分が書いたものを「絶対に間違いない」と確信するまで何度も何度も読み返すというところです。 出題するときには出題ミスがあってはたいへんなので、 何度も読み返します。 誤解がありそうなところを中心にして細かく直します。 解答するときは立場はちょうど逆ですが、読み返すのは同じです。 出題意図を誤解していないかを何度もチェックして直します。 そして、
よし、現在の自分はこれ以上の改善はできない。 これが現在の自分の最善だ。 これで送信!
という一種の決意を持って送信するのです。 この緊張感が私は大好きなのです。
* * *
さて、そろそろ結城メルマガを始めましょう。 今回はまず、現在私が考えている「電子書籍の新企画」について (より正確には、ここ二年くらいの仕事の流れについて)お話しします。 まだまとまっていない考えですが、 生の形でざくざくと書いてみようと思います。
それから、前回予告した「フロー・ライティング」をお送りします。 こちらはPDFでお送りしますので、ダウンロードしてお読みください。
それではどうぞお楽しみください!
目次
はじめに - 台風・楽しい仕事・ナムドット問題
本を書く心がけ - 電子書籍の新企画を考える
フロー・ライティング - 年齢に応じた文章の書き方
次回予告 - 数学文章作法
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Vol.076 結城浩/七年後/再発見の発想法/サイン本について/
2013-09-10 07:00220ptVol.076 結城浩/七年後/再発見の発想法/サイン本について/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年9月10日 Vol.076
はじめに - 七年後
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
ニュースは2020年東京オリンピックの話題で持ちきりです。 結城の誕生年は1963年ですから、1964年東京オリンピックのときは一歳。 それでも何となく覚えているような気がするのは、 あとからテレビで何度も見たからでしょうか。 確か我が家でもカラーテレビを買ったはずです。 妙に赤いジャケットが記憶に残っています。 東京オリンピックが再びやってくるとは驚きです。
オリンピックについては特に新しい情報も意見もありませんが、 各方面の方々がこれをきっかけに良い動きをしてくださるとうれしいなと思います。
オリンピックそのものよりも「七年後」という概念に考えさせられます。 七年後、自分は何をしているんだろう(とか)。そもそも生きているのかな(とか)。 何冊本を書けるだろう(とか)。子供たちはどうしているだろう(とか)。 七年後なんて想像つきません。
想像つかないのですが「何かが変化している」のはまちがいないですね。 大人は大きな変化はないかもしれません、でも子供は? オリンピックが東京で開かれるというニュースの中で、 たくさんのスポーツジムの子供たちの笑顔が映りました。 いまは幼いこの子供たちも七年後には大きく成長しているのでしょう。
結城自身はスポーツマンでもありませんし、 スポーツに造詣が深いわけでもありませんが、 子供たちに励みとなる目標があるのは良いことだと感じます。
* * *
別の話題。
七日前、CodeIQのクロッシング問題の採点とフィードバックを行いました。 いつもは100名、200名くらいの解答者なのですが、 今回は432名と非常に多くの解答をいただきました。うれしいです。
前回の「ディーペスト問題」が大がかり過ぎたので、 今回の「クロッシング問題」は少々軽めに作りました。 こんなに多数の方に楽しんでいただけるとは。
解答の中には、みなさんが自由に感想を書いてくださるのですが、 アルゴリズムというものの力、プログラミングの楽しさを味わっておられる方が多く、 出題者としても大喜びです。
今回の「クロッシング問題」は、超難問というわけではなく、 手慣れた方なら、ちゃちゃっと解いてしまう問題です。 それでも、いろんな方々がそれぞれに試し、悩み、知恵を絞ってチャレンジする。 それはとてもワクワクすることですね!
クロッシング問題のようなものは、 それを解いたからといって何が起きるわけでもありません。 でも自分のマシンとともに力を尽くし、 プログラムを直すたびに何百倍もスピードアップする快感は格別です。 そんな感動をみなさんと分かち合えたらいいな、 と思いつつ問題を作っています。
そして、さらに。
このCodeIQの問題をいつか書籍の形でまとめたいという願いも強く持っています。 少しずつ準備はしているのですけれど、解決すべき課題が多くあり、 なかなか大変です。がんばらなくては。
CodeIQでは最高評価を出した人には「バッジ」が付与されます。 これは実際のバッジではなくサイト上で表示することができるものです。 実際のバッジという「もの」が手に入るわけではありませんが、
「やった!最高評価のバッジもらった!」
という喜びの声をTwitterでたくさん見かけました。 「評価を形にする」というのは大切なことなんだなあと思います。
そういえば、前回の問題でも記事を書いてくださった やねうらおさんが今回も詳しい記事を書いてくださいました。感謝です。
◆やねうらおさんのブログ http://d.hatena.ne.jp/yaneurao/20130904#p1
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別の話題。
結城が書いている「数学ガール」シリーズは三作がコミック化されています。 その第三弾『数学ガール/ゲーデルの不完全性定理』をコミカライズした茉崎ミユキ先生のイラストを使って、 いわゆる「痛車」を作った方がいます(!)
しょいんさん(@shoin39)という方で、車のボンネットやドア全体で数学ガールたちが笑顔を振りまいています。 (しかも、指で1, 1, 2, 3のフィボナッチサインを出している……。背景にはペアノの公理が書かれている……) イラストは茉崎ミユキ先生の描きおろしだそうです。 これはすごい……
◆秋葉原UDX駐車場[痛車SNAP]NO:1019しょいんさん[神奈川県]数学ガール ミルカ&テトラ&ユーリ仕様 #TOYOTA カルディナ http://akihabaraudxparking.blogspot.jp/2013/09/udxsnapno1019-toyota.html
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さて、そろそろ結城メルマガを始めましょう。 今月は『数学ガールの誕生』が刊行される月ですので、 それに関連して「サイン本について」および「書名について」をお届けします。
また、前回予告したとおり「再発見の発想法」として、 Random Sampling(ランダムサンプリング)をお送りします。 こちらは技術評論社Software Design誌とのコラボ企画となっています。
それではどうぞお楽しみください!
目次
はじめに - 七年後
本を書く心がけ - サイン本について
本を書く心がけ - 書名について
再発見の発想法 - Random Sampling(ランダムサンプリング)
次回予告 - フロー・ライティング
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Vol.075 結城浩/16年前のイギリス旅行/数学文章作法続編(PDF)/秋の夜長に書く本は/
2013-09-03 07:00220ptVol.075 結城浩/16年前のイギリス旅行/数学文章作法続編(PDF)/秋の夜長に書く本は/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年9月3日 Vol.075
はじめに - 16年前のイギリス旅行
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
先週も触れたCodeIQでの「クロッシング問題」は、 たくさんの解答者さん(432人)にご解答いただき終了しました。 〆切は9/2の朝10時だったのですが、受付人数が午前3時頃にオーバーしてしまい、 時間前の終了になってしまいました。 まさか一日で100人以上解答者が増加するとは思いもよらないことでした……
それにしても、たくさんの方に参加していただけると、 出題者としては本当にうれしいものです。 がんばって評価&フィードバックのテキストを書こう! 次の問題もなおいっそうおもしろいものにしよう! と元気がでてきますね。 お仕事の「手応え」ってモチベーションに密着しています。
* * *
実は、前回の結城メルマガを発行したとき、 結城は家族と一緒に夏休みの小旅行に出かけていました。
旅行といえどもMacBook Airは当然持って行きますので、 原理的なことをいえば、旅先から結城メルマガを発行することも可能。 でもさすがに何が起きるかわかりませんし、 うまくインターネット接続が確保できるかどうかもわかりませんから、 旅行に出かける前に配送予約をしていきました。 いつもよりも一日二日早い配送予約です。
いつもメルマガ発行前日に書いているのを見ている奥さんは、 旅行前に早めの配送予約をしている結城を見て、
「なんだ、やる気になれば、早めに発行することもできるんじゃない」
とひとこと。そ、そうですね。すみませんです……
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家族旅行とコンピュータといえば思い出すのは、 家族でイギリスにいったときのこと(1997年)です。
いまから16年も前の話。そのときも結城はノートパソコンを持って出かけました。 当時はまだモバイルなんて表現もあまり聞かれず、それどころかホテルに無線LANもなく、 なんとホテルの電話線をミノムシクリップ(ワニグチクリップ)ではさんで、 回線を確保したのです(!) 何だか「いまは昔」の珍道中になっていますが、お時間がある方はお読みください。
◆イギリス旅行記 http://www.hyuki.com/tripeng/
このとき教会で購入した絵はがきを、当時の結城のWeb日記読者のために、 無料プレゼントしたのも懐かしい記憶です。 現在は自分の著書を無料プレゼントしたりしていますが、 やっていることは十六年経ってもさっぱり変わりませんね!
十六年前のこの旅行のときは長男はいましたが、 次男はまだ生まれていませんでした。 今回の家族旅行では、私と家内と次男の三人で出かけました。 長男は自分の活動が忙しくて、家族旅行に来てくれませんでした(^^;
時間の流れというのは何だか不思議ですねえ。 十年でも二十年でも振り返ってみれば一瞬のようでもあり、 はかりしれないような、気が遠くなるような長さのようでもあり。 十六年前の珍道中を思い出すと、なんだか「にっこり」しちゃいます。
十六年前。あなたはどんなことをしていましたか。
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結城はCodeIQでアルゴリズムの問題を出しています。 アルゴリズムというのは、どのような手順で情報処理を行うかを明確に表現したものです。 プログラムと似ていますけれど、もう少し抽象度は高いですね。
アルゴリズムの代表的なものはソーティング(Sorting)と呼ばれるもので、 並んでいるデータをある順番で整列するための手順です。 ソーティングにもたくさんの種類があります。 速いもの・遅いもの・特殊な目的のものなど……。
ネットを見ていたら、15種類のソーティングのアルゴリズムを 音と画像で表現した動画がありました。 でたらめに並んだ数(棒グラフで表現されています)を どのようにして小さい順に整列するかがイメージとしてつかめます。
アルゴリズムの知識のある人もない人も 「へえ……」と言いながら見ることができますね。 結城も「へえ……」と言いながら見ていました。
◆15 Sorting Algorithms in 6 Minutes https://www.youtube.com/watch?v=kPRA0W1kECg
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今年の四月に刊行された『数学文章作法 基礎編』ですが、 筑摩書房の編集部から先日連絡があり、増刷が決定したとのことです(!) 早くも今回で第四刷になります。感謝なことです。 これもひとえに応援してくださるみなさんのおかげです。 ありがとうございます。
そして先週もお話ししたとおり『数学文章作法』の続編も少しずつ書いていきたいと思います。 基礎編と同様に続編のほうも、この結城メルマガでプレビュー版を配信していきますので、 どうぞご期待くださいね。
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さて、そろそろ結城メルマガを始めましょう。
今回の結城メルマガでは、 上に書いたとおり、まずは「数学文章作法」をお届けします。 今回はまだ続編の「はじめに」です。 本全体をどのようなものにしていくかを探りつつ行きます。 今後変更する可能性もありますが、全体を見据えた話ですね。
それから「本を書く心がけ」では、 今年の残りの時間をどのように過ごし、 来年のお仕事につなげていくかを考えようと思います。 「本を書く」のは長丁場の継続的なお仕事ですから、 長期的な展望が必要なのはそうなんですが、 それだけじゃなくて「次の一歩」を明確にすることも大事だ、 ということを書きたいと思います。
それではどうぞお楽しみください!
目次
はじめに - 16年前のイギリス旅行
数学文章作法 - はじめに(PDF)
本を書く心がけ - 秋の夜長に書く本は
次回予告 - 再発見の発想法
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