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記事 58件
  • Vol.377 結城浩/やりたいことが思いつかない/実力を越えた問題/手順の暗記/通学制の大学に行くか迷う/再発見の発想法/

    2019-06-18 07:00  
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    Vol.377 結城浩/やりたいことが思いつかない/実力を越えた問題/手順の暗記/通学制の大学に行くか迷う/再発見の発想法/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年6月18日 Vol.377
    目次
    知りたいことはあるけれど、やりたいことが思いつかない
    実力を越えた問題に挑戦することの是非 - 教えるときの心がけ
    手順の暗記とモデルの操作 - 学ぶときの心がけ
    通学制の大学に行くか迷う - 学ぶときの心がけ
    通知 - 再発見の発想法
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    * * *
    サイン本無料プレゼントの話。
    先週もアナウンスしましたが、7月刊行予定の最新刊、
     『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』
    の《サイン本無料プレゼント》の企画を行っています。
    この《サイン本無料プレゼント》はもうすっかり恒例となった、結城が個人的に行っている企画です。以前は「新刊を宣伝して下さった方」という条件を付けていたのですが、現在はそういう条件はなく、応募するためには単に応募するだけでOKなのです!
    〆切は2019年7月1日。どうぞご応募忘れがありませんように!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』《サイン本無料プレゼント》https://snap.textfile.org/20190610093524/
    今週は、再校ゲラが届く予定です。いよいよ執筆&校正も終盤に入りました。最後まで気を抜かないようにがんばります。
    ◆『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』https://bit.ly/hyuki-note11
    * * *
    「机上空論」の話。
    質問:一個の机の上に同じ型の机を何個まで積めるか、という問いは机上空論なのでしょうか。
    回答:机上机を積むのは屋上屋を架す典型ですね。こんなふうに二つの軽口を並べたときに何が起こるかはよく知られていて空論の法則といいます。
    (注意:この質問と回答はどちらも意味のない軽口です)
    * * *
    良い本を選ぶコツの話。
    質問:大きな書店で良い本を選ぶコツはあるでしょうか。
    回答:これは簡単です。
    単に「良い本」ではなく「私にとって良い本」を選ぼうと心がけることです。言い換えるなら、どこかに絶対的な基準があって「良い本」があるのではなく、現在の自分にとって良い本を探すという意味になります。
    大きな書店の場合には本がたくさんあって迷いますよね。でも、大きな書店では「読み比べ」ができるというメリットがあります。自分が探している分野の本の中で読み比べを行うことで「私にとって良い本」を探しやすくなります。
    ここでも、結城がよく書く《相手のことを考える》という愛の原則が有効になります。この場合の「相手」は自分ですけどね。《自分の理解に関心を持つ》という学びの原則を忘れていないなら、それほど難しくはありません。
    たとえば勉強の参考にする本だったら、少し読んでみて「正直、この本で自分の理解は深まりそうかなあ」と考えるのです。
    「そもそも自分はどうして本を探そうとしているんだっけ。どんなことが書かれている本を探しているんだっけ。どんな本を求めているんだろう」という問題意識を心に持った上で、本屋さんの棚の前に立つのです。
    世界中でたった一人のスペシャルなあなた。現在のあなたにとっての良い本と出会うことができますように!
    * * *
    それでは今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.368 結城浩/高校生の息子にメッセージ/客観性を身に付ける/数学的概念で遊ぶ/会話の話題/再発見の発想法/

    2019-04-16 07:00  
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    Vol.368 結城浩/高校生の息子にメッセージ/客観性を身に付ける/数学的概念で遊ぶ/会話の話題/再発見の発想法/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年4月16日 Vol.368
    目次
    客観性を身に付けるにはどうするか
    高校生の息子にメッセージを伝えたいが聞いてもらえない - 教えるときの心がけ
    数学的概念で遊ぶとはどういうことか - 学ぶときの心がけ
    会話をしたいけれど話題が見つからない - コミュニケーションのヒント
    実らなかった恋
    モックアップ - 再発見の発想法
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    最近はずっと『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』に取り組んでいます。
    第2章まではレビューアさんに送付が済み、現在は第3章の半ば。脱稿まではちょうど折り返し点くらいでしょうか。
    すでにアマゾンでは予約が始まっていますし、気持ちとしては4月中にすべてを仕上げたいところです。しかし、あわてずあせらず、じっくりと進まなくては。
    ◆『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』https://bit.ly/hyuki-note11
    * * *
    コンビニの話。
    先日コンビニに寄ったら、中学生くらいの女の子がスイーツの棚の前で目を輝かせながら「うっわ〜どれにしよっかな〜」と声に出していました。かわいいですね。
    ふと思ったんですが、イラスト描ける人って、こういう場面を見たら一枚絵をきっと作れますよね。そういうの、うらやましいと思います。
    * * *
    スーパーの話。
    スーパーでセロリを買うとき、とても幸せな気持ちになります。
    幼少期に、セロリから可愛がってもらった記憶が蘇るからでしょうか。
    結城栽培。
    * * *
    いっしょに生活する話。
    先日、子供が早朝から出かけるというので、いつもよりずっと早く起きて朝食を用意していました。
    ところが、起きてきた子供が「ごめん今日は遅く出る日だった」と言い出したのです。
     私「いやいや、そりゃないよね。遅く出る日だといつわかったの?」  子「昨日の夜」  私「だったら、なぜそのとき言わないの」  子「だって、お父さんもう寝てたから」  私「私にメッセージ送っておけば、お父さんが起きたときにそれ見て、またすぐ寝られたじゃん!」  子「その発想はなかった」  私「それに気付いてほしい。いっしょに生活してるんだから、相手のことを考えよう」
    * * *
    ランダムの話。
    何十年も前のこと、ある混乱した開発プロジェクトに関わるお手伝いをしました。
    そこでは、作業項目がたくさん集められていましたが、数がたくさんありすぎてどうしていいかわからなくなっていました。ろくに分類もされておらず、カオス状態。
    状況に対処するため、私が思いついた方法は「ランダムにピックアップする」というものでした。ランダムサンプリングの一種ですね。全部を調べたり、端から順に試したりする前に、まずは処理可能な個数だけ作業項目をランダムにピックアップし、全体の傾向を調べてはどうかと提案しました。
    残念ながら、既存チームの方からは一笑に付されてしまったのですが、いまでもあれはいい方法だったと思っています。
    「ランダムにピックアップする」というのは非常に重要な手法です。それはでたらめな方法ではなく、ちゃんとした意味があります。ランダムに選べば、より大きな割合を占めるものを選ぶ確率は高いからです。つまり、全部を自分が精査するまでもなく「多数派が自動的に選ばれる」といえます。
    もちろん、すべてを精査して「重要なもの」「大きな割合を占めるもの」「必須のもの」を選び出せればそれに越したことはありません。しかし、それには時間的・労力的なコストが掛かります。
    「ランダムにピックアップする」ならば、超・低コストで次のステップに進めます。「ランダムにピックアップする」という手法を覚えておくといいですよ。
    * * *
    ハッピーナンバーの話。
    まずは、好きな正の整数を選んでください。
    そして「その数を構成している各桁の数字を2乗して足し合わせる操作」を繰り返してください。
    すると、何から始めたとしても最終的に「1になる」か「8個の数をぐるぐる繰り返す」ことになるのだそうです。びっくりですね。
    たとえば、32から始めるとしましょう。
    3の2乗と2の2乗を足し合わせて、9+4=13になります。
    1の2乗と3の2乗を足し合わせて、1+9=10になります。
    1の2乗と0の2乗を足し合わせて、1になりました。
    たとえば、314から始めると、 314 → 26 → 40 → 16 → 37 → 58 → 89 → 145 → 42 → 20 → 4 → 16 → … となって、16,37,58,89,145,42,20,4という8個の数をぐるぐる繰り返します。
    以下に、自分で試すためのRubyスクリプトを置きました。
    ◆sqsum.rb - Squared digit sumを確かめるhttps://gist.github.com/hyuki/90b40e37cb6a5a2d049a78db8d1d2376
    以下のブログ記事も参照してください。
    ◆Squared digit sumhttps://www.johndcook.com/blog/2018/03/24/squared-digit-sum/
    なお、最後に1になる数のことを「ハッピーナンバー」と呼ぶらしいですね。
    ◆Happy numberhttps://en.m.wikipedia.org/wiki/Happy_number
    * * *
    では今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
    客観性を身に付けるにはどうするか
    質問
    結城さんこんにちは。
    私は自分を客観視することが苦手です。さまざまな場面(会話、人間関係、優先順位の決定、進路選択、自己分析など)で、いま自分はどのような立ち位置にいるのかが分からず、パニックに陥ってしまいます。
    客観性というものは、どうしたら身につけられるのでしょうか。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    あなたがおっしゃる場面で、冷静で客観的な判断をしようとする場合、結城は頭の中で考えるだけではうまく行かないですね。たいていはコンピュータや紙を使って「書く」という作業をします。考えていることを書く。そしてそれを読む。その二つのステップを踏まないと客観的に考えることは難しいです。
    あなたも状況が許すなら「書く」という作業を試してみてください。慣れないと、紙に「書く」というのは馬鹿馬鹿しく感じたり、すでにわかっていることを書いて何の役に立つのかと思ったりしがちです。でも、やってみるとかなり有効ですよ。
    あなたのご質問の中で「客観性を身につける」という話題が出て来ました。そのように表現すると、まるで自分がそのスキルを身につけると常時自分を客観視できると感じてしまいます。でも、それはちょっと違うと思います。
    感情的・主観的に行動するタイミングと、ふと冷静になって自分を客観視して「さっきのあれはまずかったぞ」と振り返るタイミング。その両方があるのが普通ではないでしょうか。常に冷静で客観的に行動してるように見える人はたまにいますけれど、それはもしかすると、切り替えがうまいのかもね。
    自分を客観視するというスキルは、自分の現在の行動を「ストップするスキル」と、そこからおもむろに自分を「振り返るスキル」の融合体なのかもしれません。
    あなたの質問の中にあった「さまざまな場面」には、リアルタイムな反応が必要なものと、時間を掛けてじっくり考えるものが混ざっています。どちらの場合でも、自分が「常に」客観性を保っている必要はありません。感情的・主観的なときと冷静になって客観視するときとを往復させるつもりでいいと思いますよ。
    あなたに当てはまるかどうかわかりませんが、関連する話題を少し書きます。「客観的に見る」のは「正解を見つける」のとは違います。いまこの場における「正解」を必ず見つけなくてはならないと考えたら、頭も心も動きません。「客観的に見る」というのは「正解を見つける」ことではなく、現在の状況をもとにして確かにいえる事実を積み重ねることです。
    パニックになったときに使える方法の一つは「自分は現在、うまく考えがまとめられず、パニックになっています」と唱えることです。私はよくこの手を使います。人と話すときに緊張がほぐれない場合に「自分は現在、緊張していてどうしたらいいかわからないようです」と言ってしまうのです。それは現在の状況をもとにして確かにいえる事実なので、パニックになっていてもスッと言葉にできるのです。
    自分一人で考えて混乱に陥ったときも使えます。「うーん、自分は混乱しているぞ」と言葉にします。そうやって言葉にした瞬間に、自分は自分のことを客観視し始めているともいえます。「混乱している自分」を自分が観察しているわけですから、まさに客観視です。そこから「なぜ混乱しているのだろう」や「混乱を止めるために順序立てて考えてみよう」と自分に言い聞かせて進むのです。言葉にすることで、パニックし混乱している自分を「ストップ」して、そこから態勢を立て直して「振り返る」のです。
    人によっては会話で生まれる空白の時間が恐い人もいます。意味のあることを次々に言わなければいけない! しかもそれは客観的な意見でなくてはいけない! 主観的な言葉を出してはいけない! と考えていると簡単に処理能力を越えてしまいます。もしもそうなりがちな場合には、前もって「自分のために時間を確保するセリフ」を用意しておくといいです。「うまく言葉にならないので、少し考えさせてください」や「すぐには答えられませんので、ちょっと待ってください」のように。そうやっていったん状況を「ストップ」するのですね。
    あなたの質問と、そこから関連して思ったことを書きました。何かの参考になればうれしいです。
    ご質問ありがとうございました。
     
  • Vol.362 結城浩/やりたいことがあるけれど時間が足りない/数学の点数が取れない/再発見の発想法/対話形式の困難/言葉の行き先/

    2019-03-05 07:00  
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    Vol.362 結城浩/やりたいことがあるけれど時間が足りない/数学の点数が取れない/再発見の発想法/対話形式の困難/言葉の行き先/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年3月5日 Vol.362
    目次
    アルバイトについて
    数学トークと《対話》について - 文章を書く心がけ
    やりたいことがあるけれど時間が足りない
    評価関数 - 再発見の発想法
    数学の点数が取れないので得意と言いにくい - 学ぶときの心がけ
    言葉の行き先と着地させない問いかけと - 文章を書く心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    この冬は寒くありませんねえと思っていたら、三月になって急に寒くなりました。寒い寒い。
    三月はいろんな人にとって変化のときですね。新しい何かが始まる。新しい何かに切り替わる。そんなときを迎えている人が多いと思います。
    あなたはいかがですか。

    * * *

    マグカップの話。
    「結城浩のマグカップ」を作りましたというお話は、先週の結城メルマガにも書きました。
    ◆結城浩のマグカップ
    ありがたいことに、さっそくたくさんの方からご購入いただいています。ありがとうございます。
    ところで、Twitterで宣伝するときに、文章をこんなふうに書きました。
    >>>
    おしゃれでかわいい結城浩のマグカップです。私も自宅で使っています。左手で持つと数式は相手に向かい、右手で持つと数式は自分に向かうようにデザインしました(はーと)
    ◆ツイートのスクリーンショット(一部)
    <<<
    この文章、まちがったことは書いていないのですが、大事なことを書いていません。書いていないのは、
     このマグカップは一般の方が購入できるものです。  リンク先で売っていますので買って下さいね!
    というメッセージです。「買えます。買ってください!」と書いていないのです。実際、複数の方から「このマグカップは購入できるんですか」というご確認や質問をいただいてしまいました。わかりにくくてごめんなさい!
    購入してくださると、その一部は結城の収入になりますので、ぜひ買ってください!(明示的に書いていくスタイル)
    ◆結城浩のハートとシグマ マグカップ - SUZURI(スズリ)https://suzuri.jp/hyuki0000/1613145/mug/m/white

    * * *

    確率の話。
    先週からWeb連載「数学ガールの秘密ノート」で新しいシーズンが始まりました。今回は「確率の冒険」と題して《確率》がテーマになります。
    ◆「確率の冒険」シーズンのイメージカット(トランプのクイーン)
    数学で多くの方が苦手と感じる分野はありますが、《確率》はまちがいなくその一つに入るでしょう。その理由の半分は《場合の数》に関係しているからで、もう半分は「何かが起きるか起きないかという不確かなもの」を確かさの権化のような数学で扱う意味の難しさがあるのだと思います。
    実際、確率の計算はできるけれど、そこにどんな意味があるのかがわからないと感じる人もたくさんいらっしゃるでしょう。
    「確率の冒険」シーズンでは、いつものように本当に基本的なところから素朴な疑問を通して《確率》に迫ってみたいなと思っています。もちろん、迫っていくのは数学ガールの登場人物たち。結城は彼女たちの思考や発想をていねいに追いかけていくのです!
    第1回目は「二回に一回起きるとは」(前編)です。「コインを投げたときに表が出る確率が1/2である」とはどういう意味かを考えていきましょう。
    ◆確率の冒険:二回に一回起きるとは(前編)https://bit.ly/girlnote251
    「数学ガールの秘密ノート」はひとつのシーズンが十週間に渡ります。ぜひ応援よろしくお願いいたします。毎週最新回は一週間無料で読めますので、リンクを宣伝していただければうれしいです。もちろん、cakesの有料会員になって結城のページを読んでいただくことも直接的な助けになります(明示的に書いていくスタイル)。
    ◆Web連載「数学ガールの秘密ノート」https://bit.ly/girlnote

    * * *

    レビューア募集の話。
    結城は現在「数学ガールの秘密ノート」シリーズの第11冊目、
     『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』
    という本を執筆中です。数学とプログラムの話題が入り交じった対話形式の物語になります。本書の執筆にあたり、この原稿を読んでレビューしてくださる方を募集しています。
    以下のリンク先に書かれていることをよくお読みの上、もしもやってみたいというお気持ちがあるならば、ぜひご応募ください。
    ◆レビューア募集『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』https://math.hyuki.net/20190301120025/
    募集開始は3月1日でした。3月4日現在十数名の応募があるという状況です。先着順や抽選ではありませんが、ご参考まで。
    〆切は2019年3月15日(数学の日の次の日)になります。

    * * *

    空腹感の話。
    つらいとき、ストレスかかったとき、どうしても食べ過ぎちゃう人は多いと思います。
    食事のときにお腹に手を当てて「自分、お腹空いてるかな?」と問うと、自分にストレスがかかっているのかどうかわかるかもしれません。
    「胃袋を埋めるため」ではなく、「心を埋めるため」に食べようとしているかどうか。
    「空腹感をなくすため」ではなく、「空虚感をなくすため」に食べようとしているかどうか。

    * * *

    古今和歌集の話。
    結城はnoteで「古今和歌集を読む」というマガジンを不定期連載しています。
    ◆古今和歌集を読む - notehttps://mm.hyuki.net/m/mfa4fe40c022b
    古今和歌集からおもしろそうな歌を見つけては現代語訳をつけて文法事項を簡単に解説する短い読み物集です。
    先日から、noteに掲載したものを、少しずつScrapboxに転載しています。といってもnoteを削除しているわけではありません。Scrapboxに記事を載せてリンクをつけていくと、さくさくとネットワークが作られていくのが楽しいのです。
    また、文法事項をリンクすると、あちこちの歌に出てくる同じ項目がまとまりを見せてくれるのもうれしいですね。まだほんの少しですけれど、長い目で見ていただければと思います。
    ◆古今和歌集を読む - Scrapboxhttps://scrapbox.io/kokin/
    ◆「推量の助動詞」という項目を介して「なむ」と「らむ」が自然に結びついたようす(スクリーンショット)

    * * *

    インタビュー記事の話。
    結城がインタビューされている記事が、技術評論社刊行『WEB+DB PRESS Vol.109』(2019年2月23日発売)“at the front”のコーナーに掲載されています。
    インタビューアはフリーランスの竹馬光太郎さん(@mizchi)で、以下のような話題を話しています。
    執筆一本で食べていけるのか?
    「無駄」な作業が良い本を生む
    技術書典は書き手と読み手をつなぐ
    「読者」というテキスト処理系
    良い文章を書く原則はたった一つ
    ぜひ、お読みください(以下のリンクはアマゾンの電子版です)。
    ◆『WEB+DB PRESS Vol.109』https://www.amazon.co.jp/dp/B07NW8637Q/?tag=hyuki-22

    * * *

    それでは今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
    アルバイトについて
    質問
    結城先生は、学生時代にアルバイトをやっていましたか。
    もしもやっていたら、どんなバイトだったか教えて欲しいです。あと「こういうバイトやっとくといいかも」みたいなのがありましたら教えてください。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    学生時代にやったアルバイトは、家庭教師とちょっとした原稿書きくらいですね。それほどたくさんバイトはしませんでした。
    「やった方がいいバイト」は具体的には思いつきません。強いて言うなら、自分が特に「どうしてもこれはやってみたいと思うバイト」や、「自分が学んでいることに関連性のあるバイト」は悪くないと思います。
    「やらない方がいいバイト」は思いつきます。できるならば「自分の時間を売るだけのバイト」は避けた方がいいと思います。
    それから、バイト先の場所柄や、バイト先の雰囲気には十分に注意しましょう。直観的に、あなたが「雰囲気が良くないぞ」と感じたり、「何だかギスギスと荒れた感じだな」と感じるところは注意深く避けた方がいいと思います。
    若い時代というのは感受性が豊かなものです。その分、誘惑も大きく、経験が浅いのでうまくかわせない可能性もあります。その結果、たとえばバイト先に集まった人から良くない影響を受けてしまう可能性が高いと思います。
    それから、「親や友人に言えない類のバイト」は避けましょう。
    学生にとってバイトは貴重な収入源ですが、できれば長期的な視野に立って選んでほしいと思います。投資と同じです。自分が何と引き換えにそのお金を手に入れているか。自分を損なうことがないか。老婆心ながら気になります。
    以上、参考になれば。
     
  • Vol.355 結城浩/数学の勉強方法を教えてください/「ノナちゃん」の書籍化/再発見の発想法/生きる気力/人生を共にする/センター試験/

    2019-01-15 07:00  
    216pt
    Vol.355 結城浩/数学の勉強方法を教えてください/「ノナちゃん」の書籍化/再発見の発想法/生きる気力/人生を共にする/センター試験/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年1月15日 Vol.355
    目次
    生きる気力を失っている
    センター試験直前のアドバイス - 学ぶときの心がけ
    数学の勉強方法を教えてください! - 学ぶときの心がけ
    人生を共にする相手としての「好き」とは
    数学苦手な新キャラ「ノナちゃん」の書籍化へ向けて - 本を書く心がけ
    アーカイブ - 再発見の発想法
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

    * * *

    結城は、物理学者ファインマン先生の名言を紹介するbot (@ProfFeynman)をフォローしています。含蓄のある明言が多いのですが、先日は、こんなツイートがありました。
    >>>
    There is no authority who decides what is a good idea.
    https://twitter.com/ProfFeynman/status/1080146955022553090
    <<<
    翻訳すると「何が良いアイディアかを判断する権威など存在しない」とでもなるでしょうか。
    ファインマン先生がどういう意図でこの言葉を出したのかはわからないので、以下に書くのはこの言葉からの連想です。
    確かに、権威によって「これは良いアイディアである」や「これは良いアイディアではない」と判断することはできません。
    もちろん、えらい先生や有名な先生が何かを言ったとき、それを尊重するのは悪いことではないでしょう。経験が豊かで、他の人が知らないことや気付かないことに目を向けることができている可能性があるからです。
    しかし、「これは良いアイディアである」という主張が「なぜならば」という理由を持たないとき、その権威はいささか怪しくなります。それは、つまり「権威のみ」が根拠になることの危うさともいえるでしょう。
    数学や自然科学では特によく当てはまります。どんなにえらい先生が何かを考え何かを主張したとしても、数学の論理やこの自然のあり方をねじまげることはできませんから。数学や自然科学の研究においては、謙虚さが必要なのです。
    そこで私はふと、cakesでのWeb連載「数学ガールの秘密ノート」第249回で「僕」が語ったことを思い出しました。
    >>>
    僕「そこに、数学のおもしろさの一つがある。誰がなんと言おうとも、正しいものが正しい。話す人がどれだけ偉いか、どれだけ年が上か、どれだけパパッと答えるか、どれだけ大声を出すか、そんなことは、正しさとは無関係」
    ユーリ「《ささやき声でも真理は真理》」
    https://bit.ly/girlnote249
    <<<
    私も同じように感じます。ここでユーリが言っている《ささやき声でも真理は真理》というのは、数学ガールに登場する双倉図書館に掲げられている言葉です。
    権威というものについて、あなたはどう思いますか。

    * * *

    二つの軸で整理する話。
    湊川あいさん(@llminatoll)が一つの図と共に、こんなツイートをしていました。
    >>>
    A.楽しいしお金になる活動 B.楽しくないけどお金になる活動 C.楽しくてお金にならない活動 D.楽しくないしお金にもならない活動
    Cの時間を意識して増やすと、引きずられるようにAが自然と現れる
    https://twitter.com/llminatoll/status/1074282798003810304
    <<<
    ◆「楽しいかどうか」と「お金になるかどうか」という二つの軸で活動を整理した図(湊川さんによる)
    この図は「楽しいかどうか」と「お金になるかどうか」という二つの軸で整理しています。二つの軸があるので四つに分かれるというのは、当たり前といえば当たり前です。でも、一つ一つを見てじっくり考えるのは意味がありそうです。
    湊川さんが書いているように「Cを育ててAにする」(お金にならないけれど楽しい活動を育てて、楽しい上にお金になる活動にする)というのは素敵な考えですね。
    もしかしたら、たとえばBとCの活動しか経験がない人もいるかもしれません。つまり「B.楽しくないけどお金になる活動」と「C.楽しくてお金にならない活動」という二つです。そういう人は、楽しくてしかもお金になる活動(つまりA)の経験がないので「お金をもらう仕事は楽しくなくて当然」という発想になるかもしれません。
    また、こんなケースもありそうです。お金を度外視して楽しいからやっている活動(つまり右下のCの部分)があった。でもふと気がつくと右下のCから、右上のAにポンと移動していたというケース。言い換えると「お金にならないと思っていたのに、お金になった!」というケースです。
    活動を育てているという意識はなかったのに、 自分の「楽しい!」という気持ちを追求して活動した結果、他の人にも「楽しい!」というインパクトを与えて、結果的に収入につながるような場合といえます。
    右上のA「楽しくてお金になる」は楽しいので、注意しないとワーカホリックになりそう!
    「楽しくなくてお金にもならない」(つまり左下のD)という部分を、「お金にはならないとしても楽しい」(つまり右下のC)という部分に移動する試みも生活の品質を上げてくれそうです。
    たとえば「確定申告の準備」という活動は、左下のDに相当すると私は感じます。でも「確定申告の準備のためのプログラムを作って使う」という活動に変化させれば右下のCに移動してくれるのです。
    湊川さんのこの図は、そんな発想をうながす図になっています。
    この図では、自分の活動を「楽しいかどうか」と「お金になるかどうか」という二つの軸で整理しています。でも他の軸を持ってくることもできるでしょう。ちょっと考えると以下のような軸が思いつきます。
    未来につながるかどうか
    自分のためか社会のためか
    これまでの継続か新規開拓か
    インプットかアウトプットか
    あなたなら、自分の活動を俯瞰するのにどんな軸を考えますか。
    なお、湊川あいさんは『わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門』など、楽しい本をたくさん書いていらっしゃいます。
    ◆湊川あいさんの著者ページ(アマゾン)https://amzn.to/2CnPcFk

    * * *

    映画の原題の話。
    映画『アナと雪の女王』の原題は『Frozen』です。直訳すれば「凍り付いて」ということになります。『アナと雪の女王』の方が未視聴段階でも内容がわかりますが『Frozen』の方が深みがあってすごいと感じます。深みがあるというのは、凍り付くという表現が、この映画の中では多義的で比喩的な意味も持っていることに気付くからです。登場人物の心理の変化ですね。
    映画『塔の上のラプンツェル』の原題は『Tangled』で、こちらは「もつれて」という意味。ラプンツェルの長い髪の毛がからみあいもつれるだけではなく、状況がもつれているのも表現しているのでしょうか。
    映画『カールじいさんの空飛ぶ家』の原題はすごいです。何と『Up』という一単語ですから。確かに「上へ」ですし、一度聞いたら忘れませんが、タイトルをこの一単語にするという思い切りに感動します。
    スティーヴン・キングの『IT』は有名なので、さすがに邦画になっても『IT』です。でも副題が付いて『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』となります。
    タイトルを付けるのは難しいものですね。
    拙著『数学ガール』は、たいへんうまくいったタイトルだと思っていますが、最初のアイディアでは『数学ガール/ミルカさんとテトラちゃん』というタイトルにする予定でした。でも編集長から『数学ガール』だけにしましょうという提案を受けて修正したのです。いまにして思えばその提案は大正解だと思います。
    『数学ガール』という五文字は短くてインパクトもあり、しかも内容をよく表しているからです。

    * * *

    では、そろそろ今回の結城メルマガを始めましょう。
    どうぞごゆっくりお読みください。
    生きる気力を失っている
    質問
    愛する人に疎ましがられ、いまの私は生きる気力を失っています。
    こういうとき、どうしたらよいのでしょうか。
    回答
    時間です。
    時間を味方につけましょう。つらいつらいつらいときは私もありました。つらいつらいつらいときを、何とかやり過ごすだけの力をかき集めましょう。気持ちをしっかり持って時間を過ごすのです。
    あくまで私の場合ですが「信頼できる他者」が、大きな助けになりました。自分じゃない誰かと関わること。それは大事な一手です。
    愛する人に疎ましがられることは本当につらいです。愛する人との関係は、人の心と身体に直接的な影響を与えます。気力を失い、どうすればいいか、まったく困り果てます。こんな状態が永遠に続くなんてと感じます。
    しかし、信じられないかもしれませんが、人は変わり、状況は変化します。
    ですから、時間を味方につけるのです。自分一人では難しいことが予想されるので、何とか「信頼できる他者」と関わり、乗り切りましょう。
    あなたのこと、祈っています。
    センター試験直前のアドバイス - 学ぶときの心がけ
    質問
    センター試験が近づいてきて、不安や何やらで押しつぶされそうです。何かアドバイスを頂けないでしょうか。
    回答
    センター試験はとても大きな試験ですから「不安やら何やら」で押しつぶされそうになるのは無理もありません。当然といってもいいです。
    アドバイスといっても、すでにあなたがいろんな方から聞いているアドバイスしかできません。落ち着いて・体調に気を付けて・睡眠をよく取って・これまでの勉強の成果を生かして……のようなアドバイスです。
    不安は、結果がどのようになるかわからないところから生じます。人間には未来が見えませんから、それは当然です。それを完全に消すというのは人間わざではないでしょう。でも、できることは何もないかというと、そうでもありません。
    これまでのノートを振り返ったり、スケジュールを再確認したり、会場までの交通手段をチェックしたり、持ち物を確かめたり、そのような「具体的に自分の身体を動かしてでき、しかも無駄にならないこと」があります。それをしましょう。
    そして、受験生は、多かれ少なかれ、あなたと同じように「不安」を感じてるはずです。表面上はつくろっているかもしれませんが、それぞれにそれぞれの不安を感じています。決して、あなただけではありません。
    私に言えるのはそのくらいです。不安は不安として、具体的にできることをしましょう。そして勇気を持って試験に立ち向かってください。実力を発揮できますように。結果は後からついてくるものです。がんばってください。応援しています。
     
  • Vol.338 結城浩/模試の問題が解けない/簡単音声合成/数学科に進むか迷う/ひとりSlack/再発見の発想法/

    2018-09-18 07:00  
    216pt
    Vol.338 結城浩/模試の問題が解けない/簡単音声合成/数学科に進むか迷う/ひとりSlack/再発見の発想法/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年9月18日 Vol.338
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    10月刊行になる『数学ガールの秘密ノート/行列が描くもの』の表紙がやって来ました!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/行列が描くもの』表紙
    もちろん今回もイラストはたなか鮎子さん、装丁は米谷テツヤさんです。
    いつもの「秘密ノート」ではミルカさんとテトラちゃんとユーリの三名が表紙になりますが、今回は「四名」の数学ガールがいますね!
    さて、今回も恒例の《サイン本無料プレゼント》の企画を行っています。以下のページをごらんの上、ぜひご応募ください。
    ◆『数学ガールの秘密ノート/行列が描くもの』《サイン本無料プレゼント》https://snap.textfile.org/20180916170229/
    先週は、やってきた再校ゲラを読んでいました。今週末には再校ゲラ読み合わせがあります。現在は最終チェック中。さすがに再校ともなると大きな修正はなくなり、とても細かい部分の手直しが多くなりますね。完成は間近です!
    ぜひ、応援してくださいね!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/行列が描くもの』https://bit.ly/hyuki-matrix

    * * *

    では、今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
    目次
    例題は解けるのに、模試の問題が解けない - 学ぶときの心がけ
    Amazon Pollyを使って簡単音声合成
    大学一年生、数学科に進むか迷う - 学ぶときの心がけ
    「ひとりSlack」で知的生活のパワーアップ(3) - 仕事の心がけ
    オーバーエンジニアリング - 再発見の発想法
    例題は解けるのに、模試の問題が解けない - 学ぶときの心がけ
    質問
    数学を勉強しています。でも、なかなか問題を解けるようになりません。
    教科書の例題などは解けます。でも、模試や問題集の問題は解けません。
    自分の勉強のやり方が悪いのでしょうか。
    オススメの勉強法などありましたら教えてください。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    教科書の例題は解けるとのことですね。あなたは教科書の例題を解いたとき、自分として「理解したぞ」と感じていますか。それとも「理解していないし、何が何だかわからないけど、教科書に書かれている通り手順を進めたら解けた」と感じていますか。
    どんな勉強法をしようとも「理解したぞ」といえるかどうかが重要です。どんな勉強のやり方をとろうとも「自分は理解しているだろうか」と振り返ることがなかったらその勉強のやり方は効果激減です。あなたは、そう考えて勉強していますか。《自分の理解に関心を持つ》という原則を適用しましょう。
    数学の教科書の例題というのは、数学的な概念をあなたに伝えたり、数学的なものの考え方を伝えるためにあるものです。その例題を通じて、教科書は「何か」をあなたに伝えようとしています。あなたはその「何か」を捕まえているでしょうか。
    「何か」というのは、たとえば「二次関数」や「因数定理」や「三角関数の加法定理」といったもののことです。教科書には単元があり、さらにひとつひとつの概念を細分化して詳しく説明していますよね。その一つ一つのことです。表面的な数式の操作や、教科書に書かれている字面を丸暗記することが「捕まえる」ことではありません。そうではなくて、自分が「なるほど、これはこういうことなんだ」と納得することです。
    教科書の例題が伝えている「それ」を、自分のものとして理解し、自分でその概念をいじって遊びましょう。その概念を十分にあなたが理解したかどうかが重要です。問題集や模試で出てくる問題は、要するにあなたの理解を確かめようとしているのですから。
    模試になると、複数の概念を組み合わせて問うてきます。概念の合わせ技がやってくるのです。ということは、例題を通して一つ一つの概念を自分のものにした上で、組み合わせる方法も練習する必要がありますね。さらにはスピードも要求されるかもしれません。
    模試の問題を解いたあと、解説を読みます(読んでいますよね?)。書かれている解説は理解できますか。解説の文章を読んで「なるほどね」と思えますか。そして、自分の理解のどこが足りなかったかをていねいに確認していますか。
    初めて出会う問題が解けるか解けないかというのは大したことではありません。それよりも問題を解く体験を通して自分の理解の間違いや不足を修正することが大事なのです。ですから、問題の解きっぱなしは意味がありません。自分の理解を検証するというところに模試の「命」があります。
    どんな勉強法をあなたが選ぼうとも、学ぶときの基本姿勢は《自分の理解に関心を持つ》ことです。解けたかどうかだけではなく、自分の理解が正しいかどうかにいつも関心を持ちましょう。
    自分の理解を検証するためには、数学的な概念ひとつひとつに対して「自分の理解はこうである」と言えることが大事になります。その意味では、先生に質問しに行くのはとてもいい経験になります。模試の解説を読んでわからないとき、あなたは先生に質問しに行ったことはありますか。そこで先生に「自分はこう思うのですが、解説にはこう書いてあります。ここがわからないです」と説明するのは非常にいい勉強法です。
    先生にいちいち聞くのはちょっと……とためらう場合には、自分自身に説明するのでもいいですよ。頭の中で「理解した」と思うだけではなく、何をどのように理解したかを自分に向けて言葉で説明してみるのです。あなたを慕っている後輩に説明するという仮想的なシチュエーションを想像してもいいでしょう。あなたがきちんと説明できれば、その概念を理解できているといえます。でもどこかで説明がしどろもどろになるようなら、その部分は理解できていないといえるでしょう。誰かに説明しようと試みるのはたいへん効果的な勉強法です。
    数学で学ぶ内容はたくさんあるんだから、そんなふうに丹念に学んだら膨大な時間が掛かってしまう!……と躊躇する人は多いのですが、実はそうではありません。というのは学習は加速するからです。特に数学は、基本的な重要概念を深く理解すると、無数の問題に対処できるようになる性質があります。逆に、深く理解しないと多数のことを丸暗記しなければならなくなり、たいへん苦痛です。
    《自分の理解に関心を持つ》という原則を心にとめてがんばってみてください。そしてこの原則は、数学に限らず他の科目の学習にも効くのです。ぜひ、試してみてください。
    関連した内容はVol.331にも書きました。
    ◆Vol.331 高校二年生、簡単な問題以外がさっぱり解けない - 学ぶときの心がけhttps://bit.ly/hyuki-mm331http://ch.nicovideo.jp/hyuki/blomaga/ar1638417
     
  • Vol.333 結城浩/探し物を減らす/「好き」という感覚/プログラミング学習/手を動かすことが苦手/高校二年生の進学/

    2018-08-14 07:00  
    216pt
    Vol.333 結城浩/探し物を減らす/「好き」という感覚/プログラミング学習/手を動かすことが苦手/高校二年生の進学/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年8月14日 Vol.333
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    結城はカレンダー通りに仕事をしていますが、世の中はお盆休みでしょうか。
    今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
    目次
    「好き」という感覚
    高校二年生、数学科への進学に不安を感じる - 学ぶときの心がけ
    探し物を減らすための情報整理 - 仕事の心がけ
    プログラミング学習と「自分が作りたいもの」 - 学ぶときの心がけ
    「勉強すること」が先か「手を動かすこと」が先か - 学ぶときの心がけ
    木構造 - 再発見の発想法
    「好き」という感覚
    質問
    結城先生にとって「好き」ってどういう感覚ですか。
    回答
    すばらしい質問をありがとうございます。
    私にとって「好き」という感覚は「長い時間を費やしたい」という感覚にとても近いです。
    あることが「好き」ならば、そのことについて長い時間を費やしたいと思う。
    ある人が「好き」ならば、その人と長い時間を一緒に過ごしたいと思う。
    「好き」という感覚が「長い時間を費やしたい」という感覚に近いというのは、そういう意味です。
    あなたの質問を読んで、奥華子さんの「ガーネット」という曲を思い出しました。結城はこの曲を聴くたびに涙がこぼれそうになるのですが、この中に、こんな一節があります。
     好きという気持ちが分からなくて  二度とは戻らないこの時間が  その意味をあたしに教えてくれた
    ◆奥 華子/ガーネット(弾き語り)https://youtu.be/X_Irpw_LL2o
    この曲は2006年の映画「時をかける少女」の主題歌です。「時をかける少女」はタイムリープの物語で、まさに「時間」が物語の重要な要素になっていました。
    私たちは、この世で何かを体験するためには必ず「時間」が必要になります。あの物語の中で主人公は途中「ちょっとしたこと」にタイムリープを繰り返し、私はそこで胸が苦しくなります。
    自分は限られている「時間」を何に使うか。自分に与えられている「時間」を何に費やすか。たくさんあると思っている「時間」は、ほんとうにたくさんあるのだろうか。そんな思いが心の中に浮かぶからです。
    そういえば先月、テレビで「時をかける少女」を放映していましたね。実は結城が『数学ガール』を執筆しているとき奥華子さんの「ガーネット」をよく聞いていたんですよ。なので、2007年に「書籍無料プレゼント企画」をしたときにそのCDも付けたんですよね。もういまから11年前のことです。
    ◆(すでに終了)結城浩『数学ガール』無料プレゼント(「時をかける少女」のCDも合わせてプレゼント)http://d.hatena.ne.jp/hyuki/20070601/girl
    あれから11年という「時間」が過ぎたんですね。私はきちんと「好き」なことに「時間」を注いできたかなあ……
    ご質問ありがとうございました。
    高校二年生、数学科への進学に不安を感じる - 学ぶときの心がけ
    質問
    高校二年生です。
    僕は、ある先生に高校で出会い、数学がとても好きになりました。その先生を見ていると数学が好きなことがひしひしと伝わってきます。その先生に憧れて数学科への進学を考えています。
    しかし、その先生はもちろんのこと、同級生には自分より数学のセンスや才能がある人がたくさんいるように思え、数学科への進学に不安を感じています。
    どうすれば数学ができるようになりますか。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    まず基本原則として「自分が何かを学びたい」ということと「自分の能力が他人と比べてどうであるか」ということは、直接は関係がありません。ですから、あなたよりも数学ができる人が同級生にいたとしても、あなたが数学を学ぶことをためらう理由はありません。
    あなたはまだ高校二年生であり、あなたがこれまで出会った数学は、本当に小さな一部分にすぎません。また、あなたがこれまで出会った人々も本当に少数です。そもそも、誰かを見てその人の数学の能力がどうであるかを判定するというのは非常に難しいことです。自分の能力の判定ですら難しいことであり、さらにいうなら高校であなたが体験する「数学の能力」ということ自体も、数学という学問で求められることからすればほんの一部に過ぎません。
    要するに、あなたが考える「同級生には自分より数学のセンスや才能がある人がたくさんいるように思える」という状況判断は、まったくあてにならないといえるでしょう。
    とはいえ、高校二年生で自分の能力に不安を感じるのは無理もありません。また、その不安を学ぶ力に変換できるなら悪いことばかりでもありません。必要以上に不安にならず、力一杯やってみることです。
    自分の状況判断はあてになりませんから、軽々に自分の能力を過小評価したり、何かの学びを断念するのは危険であると思います。
    「どうすれば数学ができるようになるか」に私は直接答えることはできません。そもそもそんな方法は知らないからです。ただし、数学の本をきちんと読み、自分でよく考えることが必要でしょうね。数学の分野はそれはそれは広大なので、「数学ができるようになる」という問いは気が遠くなるくらい広大な問いといえます。「どうすれば数学ができるようになるか」は「どうすれば文章が書けるようになるか」と同じくらい広大な問いに見えます。
    実のところ、あなたの悩みは数学という分野に限った話ではありません。高校時代、大学時代、そしてそれを過ぎても「自分は○○でやっていけるだろうか。自分のまわりには自分よりもはるかに優秀そうな人がひしめいているのに」という不安が完全に消えることはありません。誰しも、ときにその不安に直面したり、不安を回避したり、不安を飼い馴らしたりしつつ、何とか前進しようとしているのです。
    不用意に自分の進路をせばめたりしないように注意しつつ、がんばってください。
     
  • Vol.329 結城浩/再発見の発想法 - 二要素認証/知識を関連付けられる人/集中して仕事する/他人との比較/小学一年生の子供に算数・数学を教えたい/

    2018-07-17 07:00  
    216pt
    Vol.329 結城浩/再発見の発想法 - 二要素認証/知識を関連付けられる人/集中して仕事する/他人との比較/小学一年生の子供に算数・数学を教えたい/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年7月17日 Vol.329
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    ここ数日、異常なまでの暑さでとろけそうになっています。
    クーラーの効いた部屋に入るたびに「おお!クーラーよ!文明の利器よ!」と脳内合唱団が高らかに歌い上げますね。
    あなたはいかがお過ごしでしょうか。
    西日本は豪雨の影響でたいへんなことになっているようです。心からお見舞い申し上げます。
    それでは、今週の結城メルマガを始めましょう。どうぞごゆっくりお読みください。
    目次
    他人と自分とを比べてしまう
    知識を関連付けられる人と、そうできない人の違いは何か - 学ぶときの心がけ
    「集中して仕事しよう」というときに - 仕事の心がけ
    二要素認証 - 再発見の発想法
    小学一年生の子供に算数・数学を教えたい - 教えるときの心がけ
    他人と自分とを比べてしまう
    質問
    こんにちは。
    他人と自分を比べてしまうことで悩んでいます。
    たとえば定期テストって、自分がどのくらい理解できているかを知るためのテストだと思います。なので、単位が取れる程度の点数がとれているなら、点数が多少悪くてもちゃんと復習すればいいだけのことのはずです。
    ですが、自分より点数がいい人がいると「自分はその人に劣っているのだ」と「劣化なのだ」と深く考えてしまいます。疲れます。
    どうすれば他人と自分を比べず自分の世界に入ることができるでしょうか。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    世の中には、あなたとまったく同じように感じる人は、とても多いと思いますよ。他人と比べなくてもいいのに、つい比べちゃって、「自分は劣ってる」と考えてしまう。他人と比べても意味がないと頭ではわかっているのに、比べてしまって「自分は劣っている」と考えてしまう。
    もともと人間というのは、人間に関心があるものです。それは健全なことでもあります。そして、学校生活において定期テストは大きなイベントですから、その結果で他人と自分とを比較してしまうのは、ある意味とても自然なことです。それに、自分の定期テストの結果を考察する上で他人の点数を気にすることは必要なことでもあります。
    大事なのは「分離」だと思います。
    「点数の良し悪し」と「自分自身の良し悪し」を分離する。
    「成績の良し悪し」と「自分自身の良し悪し」を分離する。
    あの人の点数と、自分の点数を比較したら、自分の点数の方が低かったとします。事実は事実。事実は曲げられませんし、事実は変わりません。ですから、そのまま受け止める。それは良い悪いではなく、事実なのですから。
    問題は「点数の良し悪し」や「点数の比較」にはありません。問題は「点数」と「自分自身」を同一視しているところにあります。あなたは点数ではありません。あなたは成績ではありません。もちろんあなたが比べている「誰か」も点数ではなく、成績でもありません。
    テストの点数というのは、私たちのほんの一部を切り取ったものにすぎません。点数に限らずそうです。姿形の美醜も、背の高さも、お金の量も、頭の回転も、話のうまさも、記憶している知識の量も、私たち自身ではないのです。そのことをしっかり心に留めることが大事だと思います。
    点数が悪いことはこわくありません。こわいのは点数と人間を同一視することです。この違いをわかってない人は大人にもたくさんいます。
    収入や、財産や、社会的地位や、職業や、性格や、家族のあり方や、国籍や、性別や、住んでいるところや、配偶者の属性や、とにかくありとあらゆることを、人間そのものの価値と結びつける人はたくさんいます。点数の良し悪しなんかよりも、そのような考え方の方がずっとこわいのです。どうしてこわいかというと自分の中に「ゆがんだ幸福観」を育てていくことに結びつくからです。
    点数を他人と比べること自体は悪いことではありませんし、ある程度は必要なことです。しかし、それを人間の優劣に結びつけては絶対にいけません。それは、無限次元のベクトルの大きさを一つの成分の大小で測ろうとするくらい愚かなことです。
    そのような考えに陥らないためには、普段からしっかりと意識してないとまずいです。世の中は、単純な指標で人間の価値が決まるという主張であふれていますから。どうしてそういう主張であふれているかというと、単純な指標で人間の価値が決まると信じている人には、その指標に関わるものを売りつけやすいからです。
    高い点数を取ろうとするのは悪ではありませんし、そのような努力を否定するわけではありません。他人の点数と自分の点数を比較することも悪ではありません。でも、他人の点数よりも自分の点数が低いときに「自分は劣っている」と考えるのはまずいです。というのはその考えを裏返すなら、他人の点数よりも自分の点数が高いときに「相手は劣っている」と考えてしまいますから。
    一つの指標で人間の価値を決める人は、自分がその指標で優位に立ったときに他者を見下しはじめます。世の中には絶え間なく他者を見下す行為を取る人がいます。スキあらば、いわゆる「マウント」を取りにいく人のことです。そのような行動の背後には、少ない指標で人の価値を判断するせまい認識と、自分が一つの指標で下になったら人間として価値がなくなるという深い誤解と劣等感が存在します。そのようなせまい認識と深い誤解を自分の中に育てないように注意しましょう。
    話がだいぶそれてしまいました。点数の比較そのものは必要なことです。でも、点数の優劣は人間の優劣とは何の関係もありません。そもそも人間が人間の優劣を論じるのは思い上がった考えですし。そのことを心に留めておいてくださいね!
    ご質問ありがとうございました。
     
  • Vol.325 結城浩/再発見の発想法/「ひとりSlack」で知的生活のパワーアップ(2)/角の立たない伝え方/書いたものへの攻撃/

    2018-06-19 07:00  
    216pt
    Vol.325 結城浩/再発見の発想法/「ひとりSlack」で知的生活のパワーアップ(2)/角の立たない伝え方/書いたものへの攻撃/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年6月19日 Vol.325
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    月曜日(2018年6月18日)の朝、大阪方面で震度6弱というたいへん大きな地震がありました。
    被害に遭われた方へ、心からお見舞いを申し上げます。
    目次
    「自分の得意なもの」を判断する基準
    角の立たない伝え方 - 教えるときの心がけ
    自分が書いたものに対する攻撃への対処 - 本を書く心がけ
    エクスポート/インポート - 再発見の発想法
    「ひとりSlack」で知的生活のパワーアップ(2) - 仕事の心がけ
    「自分の得意なもの」を判断する基準
    質問
    学部三年の者です。
    結城さんは「自分の得意なもの」を判断する基準は何だとお考えですか。
    そろそろインターンを含む就活や院進を意識して動かないといけないのですが、将来何をしたいのか決まりません。
    「何もしたくない」のではなく「やりたいことや興味関心のある分野が多すぎて決められない」という状態です。
    そこで「自分の得意なもの」 を基準に考えてみようとしたところ、今度は自分の得意なこととは一体何なのかという問題にぶつかり先に進めずといった状況です。
    これまで「自分の得意なもの」は何かを探るために、数学、生物、法律、経済、プログラミング、哲学というさまざまな分野に手を出してきましたが、どれも自分では得意だと確信はできません。
    ぜひお考えをお聞かせください。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    まず、「好き・嫌い」が自分で判断するものなのに対し、「得意・不得意」は他人から判断されるものじゃないでしょうか。
    この活動は好き、この分野は嫌い、というのは自分の気持ちですが、得意・不得意というのは他人の判断や評価も大事になるという意味です。
    その意味では、普段からさまざまな種類のアウトプットを出し、他者から何らかの評価を受けておくというのは、得意・不得意を知る上で大切なことだといえると思います。これまであなたは、自分の活動で第三者から評価を受けたことはあるでしょうか。
    わたくしごとで恐縮ですが、結城は周りの人から「説明がうまい」「わかりやすい文章を書くのがうまい」という評価をいただくことがよくあります(感謝)。なので、それが得意なのだなと認識している部分があります。自分自身ではなかなか判断はできないものです。
    ところで、あなたのように、自分のやりたい分野がいっぱいあって決められないというのは結構なことです。多くの人が「やりたいこと」を見つけられないでいます。
    その一方で「どの分野が得意か」に対する自己理解ではなく、もう少し抽象度を上げた自己理解が必要なのではないかとも感じました。たくさん関心があるように見えても、そのコアのところ、核になる部分に「共通の何か」はないでしょうか。
    人は変化するものです。これが不得意だと考えていたのに実際にやってみたら得意だった。あるいは、これは嫌いだと考えていたけれど実際にやってみたら意外に好きだったということもあります。少なくとも表面的な活動に関しては変化する場合があります。でも自分のコアの部分の価値観や興味・関心はあまり変化しないように思います。
    ということで「自分の得意なもの」を判断するときには、
    自分の考えだけではなく、他者からの評価はどうか
    関心のある具体的な分野だけではなく、抽象度を上げたときの「共通の何か」はないか
    を考えてみてはどうでしょうか。この二つをまとめるなら「自分自身を多面的に見る」ということになるわけですけれど。
    あなたが、よい進路を見つけることができますように。
    ご質問ありがとうございました。
    角の立たない伝え方 - 教えるときの心がけ
    質問
    「自分の考えていることを伝えたい」と思っています。
    人と話しているときに「この人とは考えが違うな」ということが多いです。
    そんなとき、うまく自分の考えを相手に伝えたいのですが、伝える時点で相手に反対しているようになってしまい、角が立ってしまいます。
    しかし、結城先生の文章にはそのような印象を感じません。
    先生がご自分の考えを相手に伝えるとき、角が立たないようにされているのでしょうか…
    もしあれば、どのような工夫をなさっているか、教えてほしいです。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    以下はあくまで自分の「心がけ」とご理解ください(つまり、実際にできてるかどうか怪しい場合もよくあるという意味です)。
    結城は「角が立たないようにしている」というよりも「相手を動かそうとしていない」ように思います。
    多くの人は、自分の考えや行動について他人からあれこれ指図されるのを嫌います。「あれしろ、これしろ、こう考えろ」なんて言われたくないのが多くの人の気持ちです。そうですよね。ふだんと違うことを強制されるのは好みません。
    他人からあれこれ指図されたくはありませんが、でもその一方で、自分とは違う人の新しい話やおもしろい話を聞きたいという気持ちも同時に持っているものです。つまりふだんと違うことを求める気持ちもあります。
    ふだんと違うことを強制されたくはないが、ふだんと違うことを求める気持ちもある。そのように、ちょっぴり矛盾しているのが多くの人の状態ではないでしょうか。
    さて、自分の考えを相手に伝えようとするとき、少なからぬ人が「相手に伝える」ではなく「相手を動かす」ことをねらってしまいます。つまり新しい情報を与えて相手が自分から動くことを期待するのではなく、相手を直接的に自分の言葉で動かそうとしてしまうのです。それをやってしまうと相手は自分の身を防衛するような気持ちになってしまいますね。
    書き言葉でも話し言葉でも同じですが、言葉は人の心を浮き彫りにしてしまいます。自分の考えを「相手に伝えたい」だけと思っているつもりでも、心の中に「あわよくば、自分の考えを認めさせたい。相手の考えを変えさせたい」という気持ちを持っていると、それは相手に伝わります。
    人は、誰かから何かを言われて考えを変えることは滅多にありません。たいていは自分で納得して初めて考えを変えるものです。
    また、考えを変えるよりもずっと以前の話として、多くの人は、他人の話を上の空で聞いています。多くの人は、大事だと思う人の話や、自分が「これは重要だ」と感じた話にしか耳を傾けないものです。
    そしてまた多くの人は「他人の話を聞くこと」よりも「自分の話を他人に聞いてもらうこと」を求める場合が多いものです。自分が伝えたいことを受け入れてくれる人を求めるのが人情です。ちょうど、あなたと同じように(そして私と同じように)。
    そのように人間というものを考えてみるならば、自分の考えていることを相手に伝えるには三つのことが大切だとわかります。
    相手の行動を変えようと思わないこと。
    相手に信頼してもらうこと。
    先に、相手の話を聞くこと。
    この三点は、とても逆説的です。
    あわよくば相手の行動を変えたいなら、そんなことは思うな。
    信頼してもらうために自分の考えを伝えたいなら、まず信頼してもらえ。
    相手に伝えたいなら、まず聞け。
    まるで、自分のやりたいことと真逆なことが要求されているようですけれど、よく考えれば当たり前のことです。「自分がしてほしいことを相手にする」こと、そして「自分がされたら嫌なことは相手に対してもしない」こと。それはコミュニケーションの黄金律ですから。それを守るのは大事ですね。
    あなたの質問への直接的な回答ではありませんが、以上です。
    ご質問ありがとうございました!
     
  • Vol.320 結城浩/数学の素養/文章をまとめるコツ/恋し続ければ/本を書くテンション/再発見の発想法/高校生が数学力をつける/

    2018-05-15 07:00  
    216pt
    Vol.320 結城浩/数学の素養/文章をまとめるコツ/恋し続ければ/本を書くテンション/再発見の発想法/高校生が数学力をつける/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年5月15日 Vol.320
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    ここ数日の温度変化がとても大きいです。コートがいるかもという日の次が半袖という気温。身体への負担も少なくありません。とはいうものの、いまの季節は寒いよりは温かい方がいいですけれど。
    もうちょっとすると雨の季節になるのでしょうか。春の気候ももうすぐ終わりです。
    最近「結城浩の数学ノート」というWebサイトを作り始めました。この「結城メルマガ」でも何度か書いていますが、結城は「シンプルで小さなWebサイト」を作るのが大好きで、定期的にのめりこむようにしてWebサイトを作っています。
    「結城浩の数学ノート」というWebサイトは、ちょっとした数学の話題を紹介するものです。まだページは少ないですけれど、少しずつ継続して書き溜めていきたいと思います。ぜひちらっとのぞいてみてください。
    ◆結城浩の数学ノートhttps://math.hyuki.net
    こういうWebサイトを作るときには、何をどんなふうに考えているかについてもまたいつか文章にしてみたいと思います。
    それでは、今回の結城メルマガを始めましょう。
    目次
    はじめに
    目次
    数学の素養の有無とプログラマ
    思い浮かぶことを一つの文章にまとめるのが苦手です - 文章を書く心がけ
    恋し続けたならば必ず逢える - 古今和歌集を読む
    本を書くテンションを保つ工夫 - 本を書く心がけ
    ブートストラップ - 再発見の発想法
    高校生が数学力をつけるには「復習あるのみ!」ですか? - 学ぶときの心がけ
    おわりに
    数学の素養の有無とプログラマ
    質問
    「数学の素養があるプログラマ」と「数学の素養がないプログラマ」の大きな違いは何だと思いますか。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    なかなか難しいので、ものすごくざっくり答えますね。
    数式に関して
    「数学の素養」と呼べるかどうかわかりませんが、たとえばそれは技術文書や仕様書に「数式」が出てきたときに「数式を読もうとするか否か」という態度に現れるのではないでしょうか。くだけた表現を許していただけるなら「数式にビビるかどうか」ともいえます。
    プログラミングが扱う問題は多岐に渡りますので、数学のことをあまり知らなくても問題なくプログラミングできる場合はたくさんあります。その一方で、機械学習や3Dグラフィクスの問題などで、数学の深い理解が必要になる場合もありますね。
    「数学の素養」といっても「ある・なし」の二段階ではありません。でも、どんなものであれ「数式」が出てきたとたん思考をストップさせてしまうようでは困ると思います。
    「数式」が出てきたときに「ビビる」ことなく、
    まずは読んでみようとする
    自分が理解できるかどうか判断できる
    すぐに理解できない場合でも、調べれば理解できそうか判断できる
    などの点が重要になるのではないでしょうか。
    定義に関して
    「数学の素養」に入れるかどうかはわかりませんが「概念を定義して適切に名前を付ける」というのは、プログラミングにおいて重要な活動であると思います。「定義」が重要であることは数学ではもちろんのこと、プログラミングにも当てはまります。
    そしてしばしば、プログラマはとても抽象的な概念をきちんと「定義」することを要求されます。一見ばらばらに見える概念の共通点を見つけ出してそれを定義し、名前を付け、それを利用してプログラミングを行うというのは珍しいことではありません。抽象クラスやインタフェースなどはそのようにして作られています。
    もちろん、プログラミングで適切な「定義」を行うためには数学を学ぶ必要があるといいたいわけではありません。ただ「数学の素養」がある人は、プログラミングで抽象的な概念が登場したときも理解が早かったり、その概念の良し悪しを判断する力がある可能性は高そうです。
    論理に関して
    数学で論理が重要なのはいうまでもありませんが、プログラミングでも論理は必要です。プログラムを書く上で重要なだけではなく、デバッグをしてプログラム中の誤りを見つける作業においても論理は重要です。
    これは「数学の素養」というよりも「科学者の素養」かもしれませんね。「プログラムを動かしたら、このような現象が起きた。ということは、あのライブラリが悪いのではないか」のように考えるのは科学者が行う「自然現象の観察」に似ています。また「あのライブラリが悪いということは、こういう入力を与えたなら、こういう出力が出るのではないか」と考えることは、科学者が行っている「仮説の検証」に似ています。
    他にもありそうですが、私は以上のように考えました。
    ご質問ありがとうございました。
    思い浮かぶことを一つの文章にまとめるのが苦手です - 文章を書く心がけ
    質問
    はじめまして。
    恥ずかしながら、私は文章を書くということがまったくできません。
    いくつか思い浮かぶことがあっても、それらの関係性を考え、論理的なひとつの文章にまとめることがどうにも苦手です。完成まで何とか持っていけたとしても、そのためには途方もなく時間がかかります。
    このような状況を克服するために有用な練習方法をおうかがいしたいです。
    現在は、人の文章から構成を読み取ってそれを参考にするといったことをしています。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    三点お話ししましょう。
    まず第一点目。あなたは、頭の中だけで最終的な文章を考えていませんか。
    「いくつか思い浮かぶこと」をあなたは紙やコンピュータに書いていますか。自分の頭の中から思い浮かぶことを取り出すことはとても大切です。思い浮かんだことを頭の中に保持し、関係性を考え、文章にまとめるなんていうのは大変な作業です。思い浮かんだことをまず書くのは基本。たくさんの短文として頭から取り出します。そして、コンピュータの上で並べ替えたり、関係を考える方がずっと楽です。
    コンピュータの操作に慣れている人やタイピングが速い人は、ツールを使ってコンピュータ上で考えるのもいいですが、そうでない場合はいったん紙にプリントアウトして、順番を考えたり、関係を考えたりする作業をします。そしてもう一度コンピュータ上で短文の入れ換え作業を行うということを繰り返します。
    いずれにせよ、「頭の中」で作業をするのではなく、いわば「頭の外」で作業をするのが大事です。
    第二点目。あなたは、言いたいことをずばりと言い切ることを恐れていませんか。
    先ほど書いた「思い浮かんだことを短文として取り出す」ときでもそうですが、自分の考えをずばりと言い切ることは重要です。「ずばりと言い切る」というのは、「AはBである」や「CとDは違う」や「EとFは合わせるとGになる」のように書くという意味です。
    「AはBだけれど、Bとはいいがたい場合もあるし、Xという条件があると、Bには絶対ならないし……」のように、ふわふわっと話を展開するのはやめます。
    そうではなくて、ずばりと言い切った短文として、頭の中から取り出すのです。

    「AはBである」 「AはBにならないこともある」 「Xという条件では、絶対にBにならない」

    というように。そして頭の中から取り出したこれらの短文を眺めて、気付いたことを書いていきます。

    「AはBである」(いつも?) 「AはBにならないこともある」(どんなとき?) 「Xという条件では、絶対にBにならない」(X以外の条件では?)

    そうして、それらの気付いたことをさらに膨らませていくことになります。
    第三点目。あなたは、いっぺんに全体を完成させようとしていませんか。
    頭の中からまず考えていることを取り出すのもそうですし、ずばりと言い切る短文を操作するのもそうですが、いっぺんに全体を完成させるのではなく、ステップ・バイ・ステップで、ちょっとずつ整えていくのが大事です。
    人間は全体をまとめるのが苦手です。それに対して、細かい部分に注目してちょっと付け加えたり、ちょっと順番を正したり、他のケースをちょっと考えたりするのは難しくありません。
    時間は掛かります。それはしょうがありません。何度も読んで、少しずつ「前よりはちょっぴり整った状態にしていく」というのは、文章を書く上でめずらしいことではありません。
    あなたが書いていた「人の文章から構成を読み取ってそれを参考にする」というのも決して悪いことではありません。それは自分が「整えていく先」の例を見つけていることになりますね。
    まとめます。
    「頭の外」で作業しよう
    ずばりと言い切る短文を集めよう
    ステップ・バイ・ステップで整えていこう
    参考にしていただければうれしいです。
    ご質問ありがとうございました。
     
  • Vol.316 結城浩/春に言語を学ぶ/再発見の発想法/本の大手術/数学の応用問題への適切なアプローチ/

    2018-04-17 07:00  
    216pt
    Vol.316 結城浩/春に言語を学ぶ/再発見の発想法/本の大手術/数学の応用問題への適切なアプローチ/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年4月17日 Vol.316
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    ついに『数学ガール/ポアンカレ予想』が刊行されました!
    先週末からTwitterを見ていて、たくさんの(ほんとうにたくさんの)読者さんが「買いました」「ゲット!」「入手できました」「買いに行こう」と書いてくださっていて、ずっと感激していました。ありがとうございます。
    アマゾンのランキングでも書籍全体で第92位まで上ったようで、読者さんの応援に心から感謝です。
    その一方で、《サイン本》もほぼ同時に販売されたのですが、すぐに完売になった書店さんも多く、入手できずに悲しい思いをなさった方もいらっしゃるようです。数が少なくてたいへん申し訳ありません……
    今回の『数学ガール/ポアンカレ予想』は6年ぶりの「数学ガール」シリーズの新刊。執筆にずいぶん長い時間がかかったので、刊行の喜びはひとしおです。どうか、この本を必要とする読者さんのところに無事に届きますように!
    ◆『数学ガール/ポアンカレ予想』http://www.hyuki.com/girl/poincare.html
    目次
    はじめに
    目次
    「古今和歌集を読む」と古典の意味
    Go言語で「結城メルマガ」の処理ツールを作る
    再発見の発想法 - ファイアーウォール
    大手術がうまくいったときに感じたこと - 本を書く心がけ
    数学の応用問題には、どうアプローチすればいいのか - 学ぶときの心がけ
    おわりに
    「古今和歌集を読む」と古典の意味
    結城はnote(ノート)で「古今和歌集を読む」というマガジンを更新しています。
    ◆古今和歌集を読むhttps://note.mu/hyuki/m/mfa4fe40c022b
    このマガジンは、ぽつぽつと古今和歌集の現代語訳と文法解説をここ数年の趣味として書いているものです。いままでで50首くらい書いています。記憶力が弱って暗記はできないけど、とても楽しいですね。
    こういう書き物をしていると、中学高校時代に学校で古文を学んでいてよかったなあとつくづく思います。基本的な活用や係り結びなどを知っているだけでもかなり読めますし、古語辞典を引くときの「あたり」もつけやすい。まったく学んでいなかったら、こんなことを始めようとすら思わなかったでしょうし。
    母は短歌が好きでよく作っていました。祖母は古典の世界が好きで、百人一首なら家族の誰にも負けませんでした。その影響で孫の私も何首か暗記しています。その記憶のストックも役立っています。
    結城の場合、個別の歌を暗記して古典に親しむのには家庭の影響が大きかったといえます。でも、古典の文法を暗記したのは学校で授業があったからですね。中学高校の暗記が、数十年後のいま、個人的な楽しみとして役立っています。こ・き・く・くる・くれ・こよ(こ)なんて、いまから暗記できません。あの頃それなりにちゃんと学んでいた自分に感謝したいです。
    ところで、古今和歌集の歌をあれこれ散策していると、現代に通じる感覚がなんと多いのだろうと驚きます(だからこその古典なのですけれど)。最近は春の歌をいくつかピックアップしていました。
    例えば、読人しらずのこんな歌があります。
    ◆春ごとに花の盛りはありなめど逢ひ見む事はいのちなりけりhttps://mm.hyuki.net/n/n9d4f805fc3e4
    「花ははかないと言われるけど、春が来るごとにしっかりと咲きます。でも人の方は?毎年咲く花を見ることができるのは人が生きているからこそ。命が尽きれば見ることはできません。花に出会うのは命しだいなのですね」という気持ち。そんな気持ちは、昔も今も変わりません。
    あるいはこんな恋の歌があります。
    ◆逢ひ見ずは恋しきこともなからまし音にぞ人を聞くべかりけるhttps://mm.hyuki.net/n/n98ab2161ca55
    「もしもあなたに逢わなかったならば、これほど恋しく思うこともなかったでしょうに。あなたのことはただの噂としてだけ聞くべきだったのでしょうねえ」という気持ち。「噂として聞くべきだった」というけれど、もちろん「もう逢いたくない」という気持ちではありません。相手が恋しくて、恋しくて「もっと逢いたい」と歌っているのです。
    ◆わが恋を人知るらめやしきたへの枕のみこそ知らば知るらめhttps://mm.hyuki.net/n/n41290a6fc016
    「私の恋する気持ちをあの方は知っているでしょうか。いえいえ、知らないでしょう。私の枕だけが、知っているとしたら知っているでしょうね」という気持ち。私の枕だけが知っている、私の恋心。
    人が心に抱く気持ちというものは、何百年前から変わりません。きっと何百年後も変わらないでしょう。それを描いてこその古典なのですね。
    ところで、実は趣味として楽しんでいたこの世界を、今回の『数学ガール/ポアンカレ予想』ではちょっぴり生かすことができたんですよ。新刊のあちこちに顔を出しています。
    Go言語で「結城メルマガ」の処理ツールを作る
    春になると、新しいことを学びたくなります。そこで、Goというプログラミング言語を学んでみることにしました。春にNHK英語会話のテキストを買いにいく気分です。
    ◆The Go Programming Languagehttps://golang.org
    最初はチュートリアル(A Tour of Go)を順番に読んでいたのですが、ある程度進んだところで「自分が実際に作るプログラムを作っちゃおう!」と考えました。
    ◆A Tour of Gohttps://tour.golang.org/
    ◆A Tour of Go(日本語版)https://go-tour-jp.appspot.com/
    題材に選んだのはこの「結城メルマガ」を処理している自作ツール(mm-convert)です。これまでPerl言語で書いていたものをGo言語に「移植」しようと考えました。その理由は以下の通り。
    「結城メルマガ」で実際に使っているツールなので、実用的である。
    すでにPerlで動くバージョンがあるので、もしもGoへの移植が失敗しても困ったことにはならない。
    Perlで書いたプログラムも結城が自分で作ったので、どういう動きをしているかよくわかっている。
    分量もそれほど多くない(Perlで書かれたプログラムは447行)。
    このような理由から、題材にぴったりだと思ったのです。
    * * *
    プログラムのあまり細かい話には踏み込みませんが、簡単に「結城メルマガ」のために作ったツール(mm-convert)の機能を書いておきます。
    テキストファイルから、まぐまぐ!用のepubファイル、ニコニコチャンネル用のHTMLファイル、それにnote(ノート)用のHTMLファイルを生成する。
    テキストファイルの中に画像のURLが書かれていたら、自動的に画像をダウンロードしてepub中に含める。
    テキストファイルの中に矛盾した情報(Vol番号やファイル名など)が書かれていないかどうか、書式的におかしなことが書かれていないかをチェックする。
    「結城メルマガ」はまぐまぐ!とニコニコチャンネルとnote(ノート)という三つの異なるプラットホームで配信しています。一つ一つのプラットホーム向けにファイルを整形していたら手間が掛かってしまいますので、そこを自動化するのがmm-convertの役目なのです。
    実は今回の「結城メルマガ」から、Goで移植したバージョンを使って配信しています(なので、何か大きな不具合があったら教えてくださいね)。
    ◆「結城メルマガ」用のツール(mm-convert)
    プログラムで自分用のツールを作るというとものすごく高度なことのようですが、mm-convertでやっていることは実は大したことはありません。というのは、
    epubへの変換はpandocという別のプログラムを呼び出して行う。
    HTMLへの変換もpandocという別のプログラムを呼び出して行う。
    画像のダウンロードはwgetという別のプログラムを呼び出して行う。
    というように、難しくてややこしい部分はすべて「別のプログラム」におまかせしているからです。結城が自分で作ったものは、結城がふだん手書きするテキストファイルを入力として「別のプログラム」たちに必要な情報を与えるためのものなのです。
    mm-convertが行っていることは、結城が手作業で行っていたことを「機械化」し「自動化」したものにすぎません。言い換えるなら、機械的な作業はツールにまかせて自動的に行うようにし、人間である結城は自分にしかできない作業(原稿を書く作業)に時間を使うようにしたのです。
    * * *
    自分が実際に使うツールをプログラミングするのは楽しいものです。まずはプログラムの「きれいさ」ということは無視して、「とにかく動かす」ことに専念して進みます。そして実際に何とか動き始めるととても大きな達成感があります。新しい言語を学ぶときにこの達成感はとても大きく感じます。
    この達成感の背後には大きく二つの要因があります。一つは私の側。これまでにPerlやRubyで似たコードをたくさん書いた経験がありますから、移植作業はそれほど大変ではなかったということ。もう一つはGoの側。Goではサンプルコードやドキュメントが充実していますので、少し検索するだけで必要な情報がすぐに得られるのです。
    特に感動したのは、golang.org にある多数の技術ドキュメントとPlaygroundと呼ばれるサイトの存在です。プログラムの例が表示されているのですが、その場ですぐに実行して結果を見ることができるのです!これはすばらしい。
    たとえば以下のリンク先はstringsパッケージのJoinという関数の説明です。
    ◆strings - The Go Programming Languagehttps://golang.org/pkg/strings/#Join
    ◆Join関数の説明の下には実際に動かせる例が書かれている(スクリーンショット)
    このスクリーンショットを見てもわかる通り、すぐに実行(Run)できるようになっており、しかも自分で書き換えて再実行したり、書式を整えたり(Format)そのプログラムを他人と共有したり(Share)できるのです。これはいいですね。
    「新しいプログラミング言語で自分が作るツールをさくさく書ける自分ってすごい!」と自画自賛してしまいたくなりますが、このように、プログラミング環境を整えてくださる多くの方々がいるからさくさく書けるということを忘れてはいけませんね。感謝です。
    * * *
    mm-convertをPerlからGoに移植するついでに、以前から気になっていた部分を手直しすることにしました。以下のような点です。
    手で書くファイルのエンコーディングをShift_JIS(cp932)からutf-8に変える。
    無料パートと有料パートの区切りを分量から自動的に判定する。
    書式としておかしなところをより詳細に自動判定する。
    まぐまぐ!用のepubに表紙画像を自動的に入れる。
    技術的な詳細や、結城が作業しているリアルな場面についてはTwitterで「#今日のGolang」というハッシュタグを検索してみてください。いろいろ泥縄で学んでいるようすが観察(?)できます。
    ◆「#今日のGolang」を検索するhttp://bit.ly/2IW5tCW
    表紙画像を自動的に入れる部分はGoじゃなくてRubyで書きました。以下にソースコードを公開しています。Vol番号を元画像の中に埋め込む処理を行っています。
    ◆メールマガジン用に毎回表紙画像にVol番号をプログラムで埋め込みたいhttps://gist.github.com/hyuki/9da18a1a8d04fcb67fd1af5ecd13266b
    * * *
    慣れない言語でプログラミングをしているとストレスが掛かるものです。というのは「自分が慣れている言語だったらこう書けば動くのに!」とついつい思ってしまうからですね。また、新しい言語で動いたとしても「これでいいのかなあ」という疑問も生じます。
    結城は学びながら、自分の疑問や成果物をどんどんツイートしていきます。そうするとありがたいことに詳しい方からツッコミがやってきたり、疑問への回答がやってきたりするからです。
    成果物の公開はGithub.comのGistを使ったり、先ほども書いたPlaygroundを使ったりします。ほんのちょっとした成果物でも公開すると勉強になります。ひとさまの目に触れると思ったら、何度も読み返したくなるからです。
    ◆結城浩のGisthttps://gist.github.com/hyuki/
    ◆疑問を投げかけたら教えてもらったようす(スクリーンショット)https://twitter.com/tetsu_koba/status/984330868054355968
    * * *
    以上のように結城は最近Goという言語で遊んでいます。
    春。新しい季節に新しいことを学ぶのは楽しいものですね!