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記事 38件
  • Vol.394 結城浩/短縮号/眠気対策/日記を書くために/行動の基準/「調べる」の先になかなか行けない/

    2019-10-15 07:00 10時間前 
    220pt
    Vol.394 結城浩/短縮号/眠気対策/日記を書くために/行動の基準/「調べる」の先になかなか行けない/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年10月15日 Vol.394
    目次
    眠気対策 - 仕事の心がけ
    日記を書くために参考になる文章 - 文章を書く心がけ
    何を行動の基準とすべきか
    「調べる」の先になかなか行けない
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    みなさんご存じの通り、先週末には令和元年台風19号が猛威を振るいました。被災なさった方には心からお見舞い申し上げます。
    結城個人に関しては、特に直接的な被害はありませんでしたが(深く感謝)、関東に居住していますので、この台風の影響を大きく受けました。
    そのため、たいへん申し訳ありませんが、今回の「結城メルマガ」Vol.394は「短縮号」とさせていただきます。どうかご了承ください。
    * * *
    新刊の話。
    「数学ガールの秘密ノート」シリーズの最新刊『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』の初校ゲラがやってきました。
    今週は初校の読み合わせがあり、少しずつ少しずつ書籍の完成に向けて作業は進んでいきます。
    今回はシリーズの第12巻目になりますが、いつもと異なり数学的な内容はそれほど多くありません。数学的な内容もさることながら、学ぶことが苦手な「ノナちゃん」と「僕」との対話が中心テーマとなっています。
    「学ぶこと」や「理解すること」……これらはすべて大切な知的活動ですが、よく考えてみますと正面切って学校で学ぶことはありませんね。
    中学校や高校では「数学」という科目を学びますが、そもそも「学ぶ」とはどういうことなのか、「理解する」とは何をすることなのかについては教えられません。
    いや、教えられないというのは少しウソがありますね。科目を学ぶ中で、間接的に教えられるからです。
    授業を受けている中で、気の利いた生徒は「ははーん、学習はこうやるものなんだな」と気付きます。でも、それに気付かない生徒もたくさんいるでしょう。
    あるいはまた「要するに試験を突破するんだから暗記しちゃえばいい」と短絡的に考える生徒も少なくないはずです。でも、それは本当に正しい考え方なのでしょうか。
    『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』は、学校で直接学ぶことのない「学ぶこと」や「理解すること」を数学ガールの登場人物といっしょに体験的に学んでいく一冊となります。その意味では、たいへんユニークな本といえるでしょう。
    生徒さんや学生さんだけではなく、学校の先生や、保護者さんにも読んでいただきたい一冊です。
    あなたのお知り合いにも「やさしい数学が題材になっているけれど、もっと広く《学ぶこと》が題材になっている読み物」として、本書をご案内していただけるとうれしいです。
    ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』(アマゾン)https://bit.ly/hyuki-note12
    また『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』はWeb立ち読み版が公開されています。
    Web立ち読み版では、目次、はじめに、プロローグ、第1章全文、第1章の練習問題を読むことができます。
    ユーザ登録は不要で、アプリのインストールも不要です。
    ワンタップで読み始められ、もちろん無料です。ぜひ、お読みください!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』(Web立ち読み)http://ul.sbcr.jp/MATH-v2TrQ
    * * *
    それでは、今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.393 結城浩/文章のリズムを整えるテクニック/書籍のシリーズを構成するときに考えていること/高価な買い物/継続して努力するのが苦手/

    2019-10-08 07:00  
    220pt
    Vol.393 結城浩/文章のリズムを整えるテクニック/書籍のシリーズを構成するときに考えていること/高価な買い物/継続して努力するのが苦手/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年10月8日 Vol.393
    目次
    文章のリズムを整えるテクニック - 文章を書く心がけ
    書籍のシリーズを構成するときには何を考えているのか - 本を書く心がけ
    高価な買い物をするときの心がけ
    継続して努力するのが苦手
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    まずは大事なニュースから。
    『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』のWeb立ち読み版を公開しました!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』のWeb立ち読み版http://ul.sbcr.jp/MATH-v2TrQ
    こちらのWeb立ち読み版では、目次、はじめに、プロローグ、第1章全文、第1章の練習問題を読むことができます。
    ユーザ登録は不要で、アプリのインストールも不要です。
    ワンタップで読み始められ、もちろん無料です。ぜひ、お読みください。
    今回の『学ぶための対話』は、学ぶこと、教えること、理解することという大切な話題を扱っています。
    生徒さんや学生さんだけではなく、学校の先生や、保護者さんにも読んでいただきたい一冊。
    あなたのお知り合いにも、本書をご案内していただけるとうれしいです。
    ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』のWeb立ち読み版http://ul.sbcr.jp/MATH-v2TrQ
    * * *
    今回の『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』はシリーズ第12巻目となります。
    これだけ長いシリーズを書くのは初めての体験。いろんなことを考えます。後ほど「本を書く心がけ」のコーナーで「書籍のシリーズを構成するときには何を考えているのか」というお話をしようと思います。
    ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』https://bit.ly/hyuki-note12
    * * *
    科学クイズ。
    コップ一杯の水の中に、水の分子はおおよそ何個あるでしょうか。以下の中から最も適切なものを選んでください。
    約六千万個
    約六千億個
    約六千兆個
    もっと多い
    正解は少し後で。
    * * *
    スーパーで買い物しているときの話。
    結城は毎晩帰りがけにスーパーに寄ります。晩ごはんのための買い物をするのです。
    あるとき、スーパーで「今日は唐揚げ〜」と歌いながら踊っている小さな女の子がいました。
    きっと、唐揚げ大好きなんでしょうね!
    その「唐揚げの舞」とでもいうべき踊りを見ていて、結城は、あずまきよひこさんが描く『よつばと!』というコミックを思い出しました。この「唐揚げの舞」はよつばと!的な風景だなあと感じたからです。
    ◆あずまきよひこ『よつばと!』https://www.amazon.co.jp/dp/4048690663/?tag=hyuki-22
    * * *
    パズルゲームの話。
    結城はスキマ時間にiPhoneでゲームをするのが好きです。
    好みはパズルゲームです。△や□といった形が並んだものを動かすというのは特に好きです。
    逆に苦手なのは実世界に模した舞台で行うアドベンチャーゲームのようなものです。グラフィクスは綺麗なのですが、あまり気持ちがすっきりしないからですね。取れそうな物体に見えるのに取れなかったり、そんなにジャンプできないだろうというところまでジャンプできたり。そんな「ゲームの制約」がわかりにくいのが気になるのです。それは、ユーザインタフェースの問題なのかもしれません。
    ところで最近知った「The Gardens Between」というパズルアドベンチャーゲームは、リアルなユーザインタフェースに近いのですが、たいへん気に入りました。
    操作は単純なのですが、時間や因果をいじっていろんな「あり得た世界」を旅するような感覚を味わえます。
    うたい文句は「時間を操って確かめ合う友情」とのこと。最初は意味不明でしたが、プレイしてみると確かにそういうゲームでしたね。
    とはいえ、最後はどうしても「すべての世界を総当たりで試す」というブルートフォースに近い解き方に陥ってしまうのですが、それでも楽しめます。「おお、そう来るのか!」というプチ発見と感動がちりばめられており、飽きが来ないように工夫されています。
    うん、やはりユーザインタフェースの問題なのでしょう。実世界を模しているからといって下手に自由度を上げなかったゲームバランスがいい。実際には決まり切った操作をしているのだけれど、あたかも実世界を旅している感覚がある。そんなゲームです。
    原稿を書くあいまにプレイしてコンプリートしたのですが、大変素敵なゲームならではの体験でした。最初から最後までゲームの難易度バランスが私にはぴったりでしたね。
    ◆The Gardens Betweenhttps://thegardensbetween.com
    美しい庭園の島が連なる不思議な世界に迷い込んだ、親友同士のArinaとFrendtを追いかけます。パズルを解き、島の持つ秘密を見つけるために時間を操りましょう。(公式Webサイトより)
    ◆App名: The Gardens Between、デベロッパ: The Voxel Agentshttps://apps.apple.com/jp/app/the-gardens-between/id1371965583
    ◆The Voxel Agentshttps://www.thevoxelagents.com
    * * *
    機械学習に関する対話。
    こんな対話がふと心に浮かびました。人間と機械の対話です。
     人間「機械には〇〇はできないんだ!」  機械「〇〇ってなあに?」  人間「〇〇っていうのは、これがこうなって…」  機械「たとえば、どういうもの?」  人間「たとえば、やってみせようか。こんな感じのもの」  機械「学習して〇〇できるようになったで」  人間「機械には○○はできても、△△はできないんだ!」
    この対話の背景を話します。
    人間が○○を明確に理解したことの証は、○○をプログラムとして表現できること。人間がよく理解していないことはプログラミングできない。つまり、機械にも実行させられないのです。少なくとも近年まではそういう認識が強くありました。
    でも近年は、機械学習とコンピュータ自体が大きく進歩しています。そのため、人間がよく理解してなくても「○○はこんな感じのもの」とやって見せられるなら、機械は○○を非常によく真似てくれるのです。人間は「機械にはこれができない」と思っているけれど、実は、具体例をたくさん示すだけで機械ができるようになることはとても多いといえるでしょう。
    プログラミングすることで明示的に○○を示す手間と、たくさんの具体例を出すことで暗黙的に○○を示すことの手間は大きく違います。ネットを通じてたくさんの具体例が集まりやすい時代ですから、機械の能力はこれからもどんどん高くなるでしょう。機械学習のニュースでもよく「たくさんの具体例から、何かを判断する」というケースが報道されていますね。
    機械学習への第一歩は『プログラマの数学 第2版』の付録にもまとめてあります。
    ◆『プログラマの数学 第2版』https://www.hyuki.com/math/
    * * *
    科学クイズの答え。
    正解は「もっと多い」です。
    コップ一杯の水を仮に180グラムで考えることにします。
    コップ一杯の水に含まれる水分子は、約六千兆個の約1,000,000,000倍になります。
    ものすごい数ですね!
    簡単に解説します。水の分子量は18なので、水18グラムに含まれる水分子の個数は1モル個です。1モル個というのは聞き慣れない人もいるかもしれませんが、おおよそ6の後に0が23個ついた数になります。つまり、約600,000,000,000,000,000,000,000個です。
    これは水18グラムの場合なので、180グラムならこの10倍で、水分子は約10モル個です。つまり、約6,000,000,000,000,000,000,000,000個です(0が24個)。
    選択肢の中に「六千兆個」というものがありました。これは6の後に0が15個ついた数です。
    六千兆個は6の後に0が15個、コップ一杯の水では6の後に0が24個。ということは、コップ一杯の水に含まれる水分子の個数は、六千兆個の約1,000,000,000倍になります。0が24-15=9個並んでいます。
    最初に「コップ一杯の水を180グラムで考える」と書きましたが、もしもこれを100分の1にして1.8グラムだとしても、水分子の個数は六千兆個の約10,000,000倍ということになります。
    このように考えてくると、分子の個数というのは、私たちが日常的に扱う数よりもはるかに、はるかに、信じられないくらい多いということがわかりますね!
    * * *
    それでは、今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
    文章のリズムを整えるテクニック - 文章を書く心がけ
    質問
    いつも有益な作品や情報を発信してくださりありがとうございます。
    結城さんは文章を書く上で活用しているリズムはありますか。
    「数学ガール」シリーズに登場する女の子たちの名前が三文字である理由も気になります。
    文章のリズムでいうと、七五調(支点力点作用点、ペンパイナッポーアッポーペンなど)のような耳に残るリズムを用いることはあるのでしょうか。
    先日、この「七五調」というものの存在を知ったもので、他にも文章のリズムを整えるテクニックがあれば教えていただきたいです。
    よろしくお願いします。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    文章のリズムはとても大切です。
    耳に残る、記憶に残るからという理由だけではなく、文章のリズムは《読みやすさ》に大きな影響を与えるからです。
    文章のリズムが心地よいと「もっと先を読みたい」という気持ちが湧いてきます。逆に文章のリズムが乱れていたり、ぎこちなかったりすると「もう読みたくない」という気持ちになります。内容とは別次元の話ですね。文章のリズムは、読者が読んでいく意欲に強く働きかけるのです。
    「数学ガール」に登場する女の子はミルカ、テトラ、ユーリという三文字が多いですが、リサ、ノナという二文字もありますね。その他にエィエィという四文字もあります。名前は大切ですが、短いことが多いのでリズムといえるかどうかは微妙です。
    文章のリズムを整えるテクニックとして最も有効な方法は「音読」です。
    音読というのは、自分が書いた文章を声に出して読み上げるということです。これは文章のリズムを自分が把握するためにとても大切なことです。
    文章のリズムを整えたかったら、音読しましょう。
    文章全体を書き上げてから全文を読み上げるのも悪くはありませんが、もっと大事なのは「書きながら読み上げる」ということです。
    ずっと声に出し続けていたら疲れるので、頭の中だけでもいいですけれど、一文を書くごとにその文を読み返してみるのです。頭の中で声に出すつもりで読み返します。ここぞというところでは、実際に声に出すのもいいでしょう。
    そしてもちろん、音読して気に入らなかったら直していくことになります。
    ここではやや難しい行動が要求されていることがわかります。
    意味が通じるように文を書きなさい。
    文を書いたら声に出すつもりで読み返しなさい。
    リズムが乱れていると感じたら書き直しなさい。
    ただし、意味を変えるような書き直しはいけません。
    書き直してリズムを整えると読みやすくなりますが、それで文章が不正確になっては困ります。かといって文章の正確さだけを追求してリズムが悪くなり、読者の読み進める意欲を失わせてはいけません。なかなか難しい要求ですね。
    そこで大事なのは「言い換えの力」であることがわかります。意味を変えずにどれだけ別の言い方ができるか。表現を変えられるか。それは単語レベルでもそうですし、文の形式についてもそうです。いま自分が考えていることを一通りにしか表現できないなら、リズムが悪くても直しようがありません。別のリズムを持つ表現を試みるためには「言い換えの力」が必要になります。
    実際、結城はここまでの回答を書いてきて、細かい修正を何度も行いながら書いています。そこでは必ず「意味(正確さ)」と「リズム(読みやすさ)」の両方が妥当な範囲に収まるように心がけています。
    いずれにしても、文章のリズムを整えるために「音読する」ことは大事です。音読しましょう。
    「七五調」はいいですね。たとえば以下のフレーズは『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』のプロローグの一部です。七・五・七・五・七・七が二回繰り返されています。
     たった二つの手がかりで、何ができるというのだろう。  二つあるなら、何でもできる。
     たった二人の君と僕、何ができるというのだろう。  二人いるなら、何でもできる。
    もっとも、音の数を数えてこの部分を書いたわけではなく、何度も読み返して整えていったらこうなったというのが実際の執筆です。
    七五調に限らず、たくさんのリズムがあります。名前はついていないけれど、読んでいて心地よいリズムというものはあるものです。「なんとか調」が先にあるのではなく「具体的なたくさんの音の経験」がとても大事なんだと思いますよ。
    ご質問ありがとうございました。
     
  • Vol.392 結城浩/働きたくない/専門的な話をするとき/暗記/試験が悪いと落ち込む/言いたいことばかり言う人/

    2019-10-01 07:00  
    220pt
    Vol.392 結城浩/働きたくない/専門的な話をするとき/暗記/試験が悪いと落ち込む/言いたいことばかり言う人/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年10月1日 Vol.392
    目次
    専門的な話をするときのレベルで迷う - 教えるときの心がけ
    暗記の話 - 学ぶときの心がけ
    試験の結果が悪いと落ち込んでしまう
    自分の言いたいことばかり言う人が多すぎる - コミュニケーションのヒント
    働きたくない - 仕事の心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    * * *
    新作の話。
    『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』は、残っていた原稿も編集部に先週送付することができ、本当に脱稿となりました。感謝です!
    今週は本書のイラスト打ち合わせがあります。いつものメンバーでの打ち合わせですけれど、今回はいつもとはちょっと違う本なので、そのあたりの調整と意識合わせが中心になるでしょう。楽しみです!
    その後のイベントとして、初校と初校読み合わせ、再校と再校読み合わせ、著者サイン本の準備などが控えています。そうだ、恒例の《サイン本無料プレゼント》の準備もしなくては。
    本書では数学が苦手な「ノナちゃん」という女の子が新しく登場します。いつもの登場人物との《対話》がどのように繰り広げられるのか、どうぞお楽しみに!
    中学生・高校生はもちろんのこと、保護者の方や教育に携わる方に幅広く読んでいただきたい一冊です。
    ぜひ応援よろしくお願いいたします!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』(アマゾン)https://bit.ly/hyuki-note12
    * * *
    数学の魅力と五つの感受性の話。
    佐野岳人さんが松森至宏さんと語っているVoicyが公開されているのでご紹介します。Voicyというのは音声で情報提供するというボイスメディアです。
    佐野さんのVoicyは「働き方や学び方が多様化している現在、働きながら学んでいる方や、一度社会に出てから再び大学に入り直した方々をゲストにお招きして、個々人のライフスタイルに合った学び方を一緒に探るラジオ」とのことです。
    ◆「34歳からの数学博士」佐野岳人 - Voicyhttps://voicy.jp/channel/925
    「数学の魅力と五つの感受性」というタイトルで、仕事と数学の両立や、数学の魅力、大学数学にどう向かうかといった話題が語られています。10分単位で区切られているので聞きやすいです。
    ◆第1回 松森至宏さん - 数学の魅力と五つの感受性https://voicy.jp/channel/925/54149
    * * *
    Webサイトの話。
    先日、Twitterで「あなたはいま、このツイートをどんな環境で見ましたか」と尋ねたことがあります。回答数は1301個あり、四つの選択肢の割合は以下の通りでした。
    スマートフォンの類で見た(79%)
    タブレットの類で見た(4%)
    PCの類で見た(17%)
    正式なアンケートではなく、しかも結城のツイートが届く範囲というざっくりした問いかけですけれど、それでも「約8割がスマートフォンの類でツイートを読んでいる」ことは重要な意味を持ちます。
    もしもWebサイトをTwitterで宣伝するときには、スマートフォンでちゃんと読めるようになってないとたいへんまずいわけですよね。まあ、こんな話はいまさらですけれど。
    なぜこんなことを書いているのかというと、Twitterで宣伝されているWebサイトなのに、スマートフォンで読めない場合がしばしばあるからです。PCでは読みやすいのだろうけれど、スマートフォンでは読みにくかったり、そもそもうまく表示されなかったりするケースがあります。
    そういうとき結城は「この宣伝をした担当者は多くのユーザがこのWebサイトをどういう環境で見ようとするか考えなかったんだろうな」と想像します。これは《相手のことを考える》や《読者のことを考える》という姿勢に反しているわけですね。
    《相手のことを考える》という愛の原則は驚くほど広く応用できます。たとえばWebサイトにサポートの電話番号を書くならば、その番号に電話を掛けてみる。メールアドレスを公開するなら、そのメールアドレスにメールを出してみる。「詳しくはこちらをご覧下さい」とリンクを表示するなら、そのリンクをたどってみる。これらはすべて《相手のことを考える》態度といえるでしょう。
    具体的なWebサイトの批判が目的ではないので詳細は書きませんが、ある公共団体が運営する自然公園がありました。そこに行こうと考えて公式Webサイトを調べたところ、驚くことに「開園時間」の情報がありませんでした。さらに「駐車場の有無」ならびに「園内地図」も情報がありません。このWebサイトの作成者は、読む人が何を求めてこのWebサイトに来ると思ったのだろう……と首を傾げてしまいました。
    実は《相手のことを考える》というのは、それほどまでに難しいことなのかもしれませんね。
    私も他山の石としなければ!
    * * *
    両手を使う話。
    自分の生活の《丁寧度》を簡単にアップする方法を考えました。生活に潤いをもたらし、きちんとしたリズムと、落ち着きがやってくる簡単な方法です。
    それは「片手を使って物を持てる場面であっても、あえて両手を使う」という方法です。簡単でしょう?
    たとえばノートパソコンを取るとき。あるいは食卓のお皿を片付けるとき。誰かに本を渡すとき。コップで水を飲むとき。片手でできる場面であっても、あえて両手を使うのです。
    不思議なくらい気分が変わります。ぜひやってみてください。
    礼儀作法の心得でも似た話を耳にしたことがあります。自分が扱う物が、あたかも非常に高価な年代物で、しかも壊れやすい物であるかのように扱うのです。そうすると、自然に礼儀作法に適った所作になるんだそうです。なるほど。心と身体の関係って不思議ですね。
    そういえば、ある朝の私の体験です。
    妻が台所でスイカを小さく切って食べていたので、私は「そのスイカ、ちょっと両手で持って食べてみて」と依頼しました。
    彼女は両手でスイカを持ち直し、食べながら私を上目遣いで見ます。「こう?」
    たいへんかわいい。
    * * *
    それでは、今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.391 結城浩/感情をコントロールしたい/文章は映像に負けるのか/数学の記述で省けること/小学校の教員、数学好きを増やしたい/

    2019-09-24 07:00  
    220pt
    Vol.391 結城浩/感情をコントロールしたい/文章は映像に負けるのか/数学の記述で省けること/小学校の教員、数学好きを増やしたい/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年9月24日 Vol.391
    目次
    文章は映像に負けてしまうのか - 文章を書く心がけ
    数学の記述では何を省けるか - 学ぶときの心がけ
    どうすれば感情をコントロールできるか - コミュニケーションのヒント
    小学校の教員、数学好きを増やしたい - 教えるときの心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    * * *
    新作の話。
    執筆中の『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』は先週末に本文を脱稿し、編集部に送付しました。
    まだまだ残っている執筆作業はたくさんありますし校正も続きますが、まずは一段落です。感謝!
    残っているいくつかの執筆は今週中に仕上げていく予定。がんばりましょう。
    今回はいままでの「数学ガールの秘密ノート」とは違い、数学が苦手な新キャラ「ノナちゃん」が登場します。
    「数学を学ぶ」という内容よりはむしろ「学び方を学ぶ」や「考え方を学ぶ」という側面が強くなります。
    これから多くのことを学び始めるという中学生・高校生はもちろんのこと、保護者の方や教育に携わる方に幅広く読んでいただきたい一冊になります。
    11月刊行予定の本書、ぜひ応援してくださいね! 書店ではすでに予約が始まっております。
    ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』(アマゾン)https://bit.ly/hyuki-note12
    * * *
    科学史に関するクイズ(問題編)。
    科学の歴史に関するクイズです。1961年から1972年にかけて行われたアポロ計画では、有人の月面着陸に何回成功したでしょうか。以下の中から最も適切なものを選んでください。
    1回
    2回
    3回
    4回以上
    あなたもぜひ考えてみてください。正解は少し後でお知らせします。
    * * *
    Twitterのbioの話。
    Twitterには自己紹介やプロフィールを書いておく欄があります。その内容はしばしば「bio(バイオ)」と呼ばれます(biographyの略なのでしょう)。
    bioには自分の経歴、趣味、年齢、それに自分の利用方針を書いたりしますね。クリエイタなら自分の作品名を書くこともあります。
    よく見かけるのはbioに「ツイートは組織の意見を反映したものではありません」と書かれているもの。「個人としての立場としてツイートしているのに、組織の意見代表と思われたら困る」という気持ちを表現しているbioですね。
    ふと「ツイートは私の意見を反映したものではありません」という変なbioを想像してしまいました。「もしかして、アカウント乗っ取られてるのか?!」もちろん、こんなbioの人はいません……たぶん。
    ちなみに結城のbioは現在こんなふうになっています。
     『数学ガール』作者。結城メルマガとWeb連載を毎週書いてます。文章書きとプログラミングが好きなクリスチャン。気軽に絡んでくださいね。
    自分がフォローしている人のbioをときどき眺めてみるとおもしろいものですよ。「あ、この人はこんな本が好きなのか!」と気付いたり、「この人はこんな仕事をしていたんだね」と知ったり。意外な発見があるかもしれません。
    * * *
    100日を1セットでとらえる話。
    たとえば現在50歳の人が80歳まで創作活動をしたいとしましょう。単純計算で30年間ありますね。閏年とか細かいこと言わずに365を掛けると10950日。これを約10000日としておきましょう。つまり、現在50歳の人が持っている残り時間は約10000日になります。
    10000日というと大きさがピンと来ないので、
     「100日を1セットでとらえる」
    ことにしましょう。100日あったら何かしらまとまった活動ができそうですよね。1セットでまとまった活動が1個できると考える。
    そうすると残り時間10000日というのは、
     「まとまった活動が100個できる」
    と言い換えることができます。100個。さあこれを多いと見るか少ないと見るか。
    同じ計算を20歳に対して行ってみます。単純計算で残り時間は60年間。すると、100日を1セットでとらえるなら、
     「まとまった活動が200個できる」
    といえます。200個。ふーむ……
    100日を1セットとすると、1日はその1パーセントになりますね。3〜4ヶ月で1セット。1年は3〜4セット。
    自分に残された時間は何セットあるか。
    そのうちの何セットを使って自分は何をするか。
    そのように考えるのは新しい視点になりそうです。
    * * *
    科学史に関するクイズ(解答編)。
    先ほど出題したアポロ計画のクイズの話。
    選択肢のうち最も適切なものは「4回以上」です。アポロ11号から17号までのうち13号以外が有人の月面着陸に成功しています。すなわち、
     有人の月面着陸に、6回成功している
    ということになります。
    Twitterで結城が同じ問題を出題したところ、1221人が解答し、正解率は28%でした。
    1回(44%)
    2回(16%)
    3回(12%)
    4回以上(28%)
    思ったよりも正解率は低いですね。あなたは正解できましたか。
    * * *
    それでは、今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.390 結城浩/数学のどこが好きか/文系の大学生、数学が使えるようになりたい/受験生、劣等感と自己満足/再発見の発想法/

    2019-09-17 07:00  
    220pt
    Vol.390 結城浩/数学のどこが好きか/文系の大学生、数学が使えるようになりたい/受験生、劣等感と自己満足/再発見の発想法/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年9月17日 Vol.390
    目次
    note(ノート)のマガジン利用
    数学のどこが好きか - 学ぶときの心がけ
    何を考えて、どう勉強しているか - 学ぶときの心がけ
    文系の大学生、数学が使えるようになりたい - 学ぶときの心がけ
    受験生、劣等感と自己満足
    中間者攻撃 - 再発見の発想法
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    * * *
    最初に、訂正&再告知です。
    この「結城メルマガ」は、まぐまぐ!とブロマガ(ニコニコチャンネル)とnote(ノート)という三つのプラットホームで同一内容を配信しています。
    2019年10月からの消費税アップに伴った税込価格変更の告知をVol.389で行いました。
    都合により、その内容の一部に訂正があります。正しくは以下の通りになります。
    消費税アップに伴う2019年10月からの「結城メルマガ」税込価格変更内容:
     ◎まぐまぐ!での購読の場合  旧:毎号216円(毎月864円)  新:毎号220円(毎月880円)
     ◎ブロマガ(ニコニコチャンネル)での購読の場合  旧:毎号216円(毎月864円)  新:毎号220円(毎月880円)
     ◎note(ノート)での購読の場合  旧:毎号216円(毎月864円)  新:毎号216円(毎月864円)(変更なし)
    すなわち、note(ノート)での購読のみ税込価格が据え置きになります。お詫びして上のように訂正&再告知いたします。
    * * *
    新作の話。
    シリーズ第12作目となる『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』の執筆は第5章で奮闘中。
    今回はいままでの「数学ガールの秘密ノート」とは違い、数学が苦手な新キャラ「ノナちゃん」が登場します!
    11月刊行予定の本書、ぜひ応援してくださいね!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』(アマゾン)https://bit.ly/hyuki-note12
    ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』(honto)https://honto.jp/netstore/pd-book_29855540.html
    ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』(紀伊國屋書店)https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784815603991
    ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』(ヨドバシ.com)https://www.yodobashi.com/product/100000009003185177/
    * * *
    ラノベの話。
    『転生したらトランプ大統領になっていた件』というラノベのタイトルを思い付きました。
    日本の高校生がある日突然アメリカ大統領の中の人になってしまう。自分の知識だけで大統領職を果たそうとするが大混乱必至。本人は最善を尽くそうとするけれど真逆な結果ばかりになる。その過程を通じてアメリカと日本の社会の仕組みが浮き彫りになっていく……そんな話です。
    さらにスピンオフとして逆パターンもありそう。トランプ大統領が日本の高校生になってしまう。変な振る舞いのせいでその高校生(中身はトランプ大統領)は周りから孤立していき……あとは書く人に任せました。
    そんな戯れ言を言ってたら、チャップリンの『独裁者』が似てるらしいとの指摘をいただきました。
    結城は書かないので誰か書いてください。読んでみたい……
    * * *
    ワンタップサーチの話。
    Twitterでは「from:ユーザ名」と書くことで特定ユーザの発言に絞った検索ができます。たとえば結城が自分の発言から「結城メルマガ」を検索したいときには「from:hyuki 結城メルマガ」と検索するのです。
    ところでTwitterの検索窓でしょっちゅう「from:hyuki 検索する単語」を入力するのがめんどうになったので「ワンタップサーチ」というサービスを作りました。
    ◆ワンタップサーチhttps://onetap-search.hyuki.net/
    発言した人と検索する単語を入力すると、ツイートから検索すると共に、同じ検索を行うボタンを自動生成します。つまり、一度検索した後はワンタップで同じ検索ができることになります。検索した単語はボタンとなって画面に並び、その情報は使用しているブラウザに保存されます。
    また、姉妹サービスにあたる「引用リツイート検索」もどうぞごひいきに。
    ◆引用リツイート検索https://retweet-search.hyuki.net/
    * * *
    それでは、今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
    note(ノート)のマガジン利用
    note(ノート)には「マガジン」という機能があります。これは、自分のノートであれ他人のノートであれ、複数のノートを「まとめる」機能です。note(ノート)で配信している「結城メルマガ」も、マガジンの機能を利用していますし、「結城メルマガ」の過去記事から読み物を切り出してまとめるときにもマガジンの機能を利用しています。
    ◆記事をマガジンに追加する(noteヘルプセンター)https://note.pieceofcake.help/hc/ja/articles/360009034333
    ところで最近結城は、もう少しカジュアルにマガジンを使ってもいいかなと思うようになりました。自分の作品を整理して並べる感じではなく、ブックマーク代わりに使うのです。
    たとえば、2012年ごろに結城メルマガに書き、2014年ごろにnoteに切り出した読み物「父から学んだ「教える」ということ」を、先日独立したマガジンにまとめました。このマガジンにはノートは4個しか含まれていませんし、これから増える予定もないのですが、こうやっておくと読者さんに紹介しやすくなるのでなかなか便利です。
    ◆ 父から学んだ「教える」ということ(マガジン)https://mm.hyuki.net/m/med8d57103df4
    また、結城はnote(ノート)で漫画家さんが描くコミックを見るのが好きです。ちょっとした隙間時間に読んで楽しむのですが、「これ後から読み返したいな」というコミックをまとめるマガジンを作りました。他の人に見せるマガジンというよりは、自分の読み返し用のブックマークに近いですね。
    ◆また読みたいコミック(マガジン)https://mm.hyuki.net/m/m2dd5a9baf690
    そういえば先日、note(ノート)で結城をフォローしてくださる方が3万8千人を越えていました。すごい人数ですね。感謝です。3万8千人というと、静岡県熱海市や徳島県の阿波市くらいらしいです(Wikipediaで調べました)。
    結城をフォローしてくださる方はずっと増えているのですが、その背後にはnote(ノート)自体のユーザ数の伸びがあるのでしょうね。
    せっかくnote(ノート)を使っているので、これからも活用していきたいと思っています。
    ◆結城浩のnote(ノート)https://mm.hyuki.net/
    ◆結城浩のマガジン一覧https://mm.hyuki.net/magazines
     
  • Vol.388 結城浩/蔵書読み返し/将来の夢を見つける/勉強と研究の違い/勉強途中の不安/どのように生きるべきか/

    2019-09-03 07:00  
    220pt
    Vol.388 結城浩/蔵書読み返し/将来の夢を見つける/勉強と研究の違い/勉強途中の不安/どのように生きるべきか/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年9月3日 Vol.388
    目次
    「蔵書読み返し」のススメ - 学ぶときの心がけ
    将来の夢を見つけるために
    勉強と研究の違いとは - 学ぶときの心がけ
    難関資格を目指し勉強しているけれど不安にかられる - 学ぶときの心がけ
    どのように生きるべきかを模索する学生
    質問に答える目的は何か
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    現在結城は「数学ガールの秘密ノート」シリーズ第12作目となる『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』を執筆しています。
    数学が苦手な新キャラ「ノナちゃん」が登場する物語はすでにネット書店などで予約が始まっています。
    ぜひ、応援してくださいね!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』https://bit.ly/hyuki-note12
     
  • Vol.386 結城浩/理解を確かめる/編集者との関わり/考えることに無関心な生徒/対話とマウンティング/新しいカバン/

    2019-08-20 07:00  
    220pt
    Vol.386 結城浩/解を確かめる/編集者との関わり/考えることに無関心な生徒/対話とマウンティング/新しいカバン/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年8月20日 Vol.386
    目次
    どんなときに「理解できた」と感じるか
    編集者は著者の文章にどこまで手を入れていいのか - 本を書く心がけ
    考えることに関心がない生徒 - 教えるときの心がけ
    専門知識でマウント取りたがっていると思われないために
    新しいカバンと一貫性
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    先週はとんでもない暑さでした……
    今週はだいぶやわらいでいるようですが、それは比較しているからであって、正直暑いです……
    世の中はお盆明けでしょうか。学校の生徒さんは、そろそろ夏休みの宿題が気になる頃? 暑さに負けずがんばってくださいね。
    私は先週もいつもと変わらず仕事を続けておりました、暑かったけど!
    (さっきから「暑い」しか言ってない)
    * * *
    そ、それでは、今回の結城メルマガ、どうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.385 結城浩/創作における挑戦と上手くいかないイライラ/ネットでの言葉の選び方/自分は理解しているのか/ナラティブ/図形問題と誤差/

    2019-08-13 07:00  
    220pt
    Vol.385 結城浩/創作における挑戦と上手くいかないイライラ/ネットでの言葉の選び方/自分は理解しているのか/ナラティブ/図形問題と誤差/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年8月13日 Vol.385
    目次
    学んだことを自分は理解しているのか - 学ぶときの心がけ
    「ナラティブ」を書く - 仕事の心がけ
    図形問題で誤差はどこまで許されるのか - 学ぶときの心がけ
    ネットでの言葉の選び方 - コミュニケーションのヒント
    創作における挑戦と上手くいかないイライラ
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    * * *
    「理想の書店」の話。
    「結城さんにとって『理想の書店』とは、どんなものですか」という質問をいただきました。
    「理想の書店とは何か」……これは、なかなか魅惑的な問いですね。しかしながら考えてみると答えるのが難しい問いでもあります。しばらく考え込んでしまいました。あなたもちょっと考えてみてください。あなたにとって「理想の書店」とは、どんなものですか。
    私は、ずばりと答えるのが難しいと判断して、「理想の書店」に必要な要素を考えることにしました。つまり、いやしくも「理想の書店」ならば、こういう要素は外せないというものを探すのです。さらに、現実的な制約を取っ払って考えることにしました。何しろ「理想の書店」なんですから。
    私が考えたのは「『理想の書店』は、そこに行くたびに何かしら新しい発見があるような書店である」ということでした。どういう本があるか、自分の家から近いか、本の値段がどうか、そういう要素も考えたのですが、どうも「理想の書店」に不可欠な要素とは思えません。でも、もしも、「そこに行くたびに何かしら新しい発見がある」としたら? うん、それは「理想の書店」にかなり近いのではないでしょうか。それが現実に実現できるかどうかはわかりませんけれど。
    「こういう本があるところが理想の書店」と自分で指定するのは、自分の思考の枠内に発想が収まってしまう危険性があります。どういう本が置いてあるか、どんな本の並びになっているかも含めて、私に発見をうながしてくれるような書店があるとしたら、それはすばらしい。自分の家から遠くても通いそうです。本の値段が高くても買ってしまいそうです。
    ネット書店が便利になるにつれ、リアル書店を利用する度合いが減っています。特に私の場合には「この本を買う」と決めて買うことが多いので、ネット書店が楽だからです。でも「何の本を買うべきかわからない」状態のとき、ネット書店はかなり非力です。ネット書店での散策はレコメンデーションにあふれすぎていて、ちっとも散策にならないからです。
    書名がわかっていて本を買うだけなら、あとは値段や到着までの時間くらいしか書店間に違いが生じません。でも「そこに行くたびに何かしら新しい発見があるような書店」が仮にあったとしたら、その書店の価値は非常に大きなものになります。代替困難な体験、他とは比較不可能な経験を提供してくれるからです。
    ところで、ここまで書いてきて気付いたのですが、「理想の書店」を引き合いに出すまでもなく、私はリアル書店に足を運ぶときには、そこに「何かしら新しい発見」を求めているようです。本を買うのが主目的としてリアル書店に行くのではありません。自分が知らない新しい本と出会い、ネットでは気付きにくい世の中のトレンドに触れるためにリアル書店に行くことが多いのです。
    しっかりしたクオリティコントロールがなされているならば、書店とカフェの併設にも魅力を感じます。そこに入場するだけでお金を払ってもいいくらいです。
    「理想の書店とは?」と問われたら、あなたは何と答えますか。
    * * *
    珍しいノマドワーカーの話。
    通常のオフィスではなくカフェなどを巡って仕事している人を「ノマドワーカー」と呼ぶことがあります。
    結城もノマドワーカーといえます。結城はカフェやファーストフード店や図書館などを使って仕事をしています。ネット経由で仕事ができるので、物理的に自分がどこにいるかはあまり重要ではありません。
    ところで先日、非常にめずらしいノマドワーカーを発見しました。
    がちゃがちゃとにぎわっているフードコートでアイスコーヒーを飲みながら、ふと斜向かいの席を見たところ、お爺さんが一人静かに「古文書の修復作業」をしていたのです。とても、びっくりしました。
    古文書の修復作業をしているノマドワーカー発見!
    たぶん、お爺さんが個人的に所蔵している古文書なのでしょうけれど(でないと問題がありますよね)、「古文書の修復作業」はさすがに作業場所を選んだ方がいいのではないかと思います。何しろ、ジュースをコップに入れた子供達がすぐそばを走り抜けていく環境なんですから……。
    * * *
    では、今回も結城メルマガをどうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.384 結城浩/インクリメンタルな環境改善(5)/学びと共有/約束を破る人/のろけ話/質問に回答するコツ/

    2019-08-06 07:00  
    220pt
    Vol.384 結城浩/インクリメンタルな環境改善(5)/学びと共有/約束を破る人/のろけ話/質問に回答するコツ/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年8月6日 Vol.384
    目次
    のろけ話を聞くのがつらい - コミュニケーションのヒント
    専門知識の学びと共有のバランス - 学ぶときの心がけ
    インクリメンタルな環境改善(5)自動化 - 仕事の心がけ
    約束を破る人に怒りを感じる
    質問に回答するコツ - コミュニケーションのヒント
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    暑いですね!
    先週は燃えるように暑い日が続き、毎日「暑い……」とばかり考えていました。
    令和ちゃんには、気温の調節がもっとうまくなってほしいです。
    * * *
    クロスロードの話。
    『クロスロード』という新海誠監督が作った「Z会」の動画があります。
    都会に住む高校生男子と地方に住む高校生女子が、それぞれに勉強をして受験に臨み……というストーリーです。
    ◆新海誠監督『クロスロード』受験生応援ストーリー120秒Ver.|Z会 https://bit.ly/crossroad120
    結城は自分のことを「2017年にこの動画を世界で一番見ていた人間の一人」だと自負しています。『数学ガール/ポアンカレ予想』の執筆追い込み期に、毎日欠かさず何回も見ていたからです。
    『クロスロード』開始後1:14に出てくる試験開始のシーンは、何度見ても毎回涙が出てきます。自分の未来を切り拓こうとする若い人たちがいて、自分が学んできた力を試す場がある。そこに向かう緊張感と真剣さがあの一瞬に描かれていると感じるからです。
    そして「がんばれ、受験生!」とエールを送りたくなるのです。
    「がんばれ、受験生!」
    受験生に必要なのは、知識のサポートだけじゃありません。心のサポートも必要です。
    受験を控えている、あなたへ。
    応援しています。
    大事な一歩を今日もていねいに進めてくださいね。
     
  • Vol.383 結城浩/能力の低さにイライラ/ストーリーが思いつかない/学ぶことのモチベーション/動機付けの多様性/心の機微を理解/

    2019-07-30 07:00  
    220pt
    Vol.383 結城浩/能力の低さにイライラ/ストーリーが思いつかない/学ぶことのモチベーション/動機付けの多様性/心の機微を理解/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年7月30日 Vol.383
    目次
    能力の低さにイライラしてしまう - 仕事の心がけ
    小説執筆に憧れているがストーリーが思いつかない - 文章を書く心がけ
    学ぶことのモチベーション - 学ぶときの心がけ
    動機付けの多様性 - 教えるときの心がけ
    心の機微を理解したい - コミュニケーションの心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    * * *
    映画『天気の子』の話(ネタバレなし)。
    先日、彼女(妻)と二人で映画『天気の子』を観てきました。
    三年前『君の名は。』も彼女と二人で観ましたので、あれから三年も経ったんだなあとしみじみ感じながら、新海誠監督の美しい画面と、RADWIMPSの音楽を堪能してきましたよ。
    私たちが観たのはシネコンの中でも小さなスクリーンでしたが、スクリーンの大きさはまったく気にならず楽しめましたね。
    ◆映画『天気の子』公式サイトhttps://tenkinoko.com/
    映画公開に合わせてだと思いますが、アマゾンのプライムビデオでも新海誠監督作品が無料で視聴できるようになっていますね。結城は連作『秒速5センチメートル』の二つ目「コスモナウト」が大好きです。
    ◆『秒速5センチメートル』(アマゾンプライムビデオ)https://amzn.to/312pVew
    また「靴を作る」というメタファーが切なくも美しい『言の葉の庭』もいいですね。
    ◆『言の葉の庭』(アマゾンプライムビデオ)https://amzn.to/32WvkFD
    * * *
    仕事の種まきの話。
    「仕事の種まきをする」という表現があります。
    すぐに収入にはならないし仕事にも結びつかないけれど、将来になって芽が出て花が咲き実がなることを期待する活動のことです。
    ところで、いったん種が育って実を取り入れるころになると、自分が種まきしたときのことを忘れていることが多いもの。何だか昔から育っていた気分になるのです。あるいは、自分が最初から実がなることと確信して活動していたような錯覚に陥ることもあります。
    昔から大きい実がなっていて、最初からすべてがうまくいって、紆余曲折がなくスッと成功した……そんな気になってしまうのです。
    それって、きっとまちがった認識ですよね。
    いまは実を取り入れているけれど、昔はただの種だったことを思い出しましょう。育った種もあれば、そうでない種もあります。最初から大きな実がなる種だけをまいていたのではないことを忘れないようにしましょう。
    しっかり、思いだす。
    しっかり、覚えておく。
    さもないと、次の種まきに失敗するからです。
    * * *
    タバコの話。
    先日、公園でCMみたいな一場面に出くわしました。
    小さな孫娘に久しぶりに会ったらしいおじいちゃん。抱っこしたとたん「おじいちゃんタバコくさい!」と孫娘に嫌われていました。
    おじいさん、しょぼん……
    でも実際、タバコを吸っている人は吸っていないときも「タバコのにおい」がしていることがあります。
    電車で隣に座った人からタバコのにおいがしてびっくりしたけれど吸っているわけではない、ということが何回かありました。
    煙だけじゃないんですよね。
    * * *
    ちゃんと読めばわかるのかしら、という話。
    「数式まじりの文章はなかなか読めない」という状態を画像で表現してみました。
    ◆Statements.
    数式まじりの文章がこんなふうに「わけがわからないもの」に見えている人も多いだろうな、と想像します。こんなふうに見えている人に対して、やみくもに「ちゃんと読みなさい!」と言ったり、「しっかり読めばわかるでしょ!」と言ったりしてもしょうがありませんね。
    少しずつ解きほぐしたり、恐怖感をやわらげたり、読める部分を探したり……そんな工夫なしに「ちゃんと読みなさい!」と言われても、どうしようもありません。
    学ぶ人の状態を知らないことには、的確な指導はできないでしょうねえ。学校の先生の努力には頭が下がります。
    * * *
    人間関係を壊さないための投資の話。
    ずいぶん昔の話です。
    出かけていた彼女と駅で夕方待ち合わせて買い物して帰るという場面がありました。
    その日の私はたまたまコーヒーを飲み過ぎていて気分がやや悪く、しかも夕方で疲れていました。しかもノートパソコンの電池が少ない中で編集部と細かいやりとりをしていたところに、彼女から帰宅時間の通知が来たのです。
    カフェイン摂取多め。血糖値低め。バッテリー少なめ。仕事多め。その状態で、疲れた私が疲れた彼女を迎える……
    (ここで思案)
    私は、彼女と会う前にコンビニで小さなスイーツを買ってモグモグ。
    ふう、と一息つく。血糖値アップ。
    疲れた彼女をにこやかに迎え、買い物を二人でなごやかにすませて帰宅することができました。
    帰宅するまでのあいだには、駐車券の紛失や、待ち合わせ場所の誤認や、重い荷物の倍増や、サービスカウンターの大混雑……といった障害があったにも関わらず、私は彼女の疲れを増す失言をしないで済みました。疲れながらも二人でねぎらいつつ帰宅できたのです。
    私の人徳ではありません。
    あのときの「小さなスイーツを買ってモグモグ」が大正解でした。
    人間関係を壊さないための投資、129円(税込)。
    * * *
    では、今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。