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記事 4件
  • Vol.165 結城浩/フロー・ライティング - メタな視点と講演準備/複雑さと戦う/学ぶことは楽しい/

    2015-05-26 07:00  
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    Vol.165 結城浩/フロー・ライティング - メタな視点と講演準備/複雑さと戦う/学ぶことは楽しい/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年5月26日 Vol.165
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    * * *
    ソフトの話。
    MacBookを使っています。 先日導入したPopClipというソフトがたいへん便利なのでお薦めします。
    Macを使っていて、たとえばブラウザの上で「テキスト範囲選択」しますよね。 範囲選択が終わるとすぐにその上に「カット|コピー|ペースト」 というメニューがポップアップ表示されるのです。 これはちょうど、iPhoneで指で範囲指定したときとそっくりなUIになるのです。
    これまでだったら範囲選択した後、Command + Cを使ってコピーしていました。 それがマウスクリック一発に変わるということですね。
    これが便利かどうか、さっぱりわからなかったのですが、 ものは試しと思って導入したらたいへん便利! そもそも、 一日のうちにこれほど何回も範囲選択していたのかと驚くほどです。 PopClipを使い始めてしばらくはポップアップするたびに「うわっ」 と驚いていました。 それだけふだんは無意識に範囲選択していたということなのでしょうね。
     ◆あんなことやこんなことも出来る「PopClip」ってMacアプリが便利すぎて悶絶  http://sinack.com/mac/popclip.html
     * * *
    先日の「母の日」の出来事。
    母の日なので、母に「ありがとう」のメールを送った。
    私を産んでくれてありがとう。 私を育ててくれてありがとう。 たくさんのはげましをいつもありがとう。
    すると、しばらくして母から返事のメールが来た。
     「ありがとうにありがとう」
    何とおしゃれな答え!
     * * *
    本の話。
    森博嗣さんの『喜嶋先生の静かな世界』が電子書籍になっていました。
     ◆『喜嶋先生の静かな世界』(森博嗣)  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00GD6ES2Q/hyam-22/
    この本は……と説明するのは難しい。 大学の先生、特に理系の研究者をめぐる物語ですね。
    いわゆる「あるある」な話もたくさん出てくるのですが、 全体としては、やはりこのタイトルに出てくる「静かな世界」が、 うまく全体の空気を表現しているように思います。
    研究の厳しさのような、研究の冷たさのような、 それから、研究に取り付かれた「狂気」のような。
    そんなことを思いつつ、「静かな世界」を感じる本です。
     * * *
    キーボードの話。
    スターウォーズのR2-D2が照らすライトを使ったバーチャルキーボード。 これはかっこいい。
     ◆imp. R2-D2 バーチャルキーボード IMP-101
     ◆imp. R2-D2 バーチャルキーボード IMP-101(アマゾン)  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00UT1HZT4/hyam-22/
    持ち歩くのも楽そうだけれど、タッチタイプには向かないような気がする。 どうなんだろう。
     * * *
    質問の話。
    ネットで質問をもらうことが多い。ask.fmのような質問サイト経由のこともあるし、 メールのこともある。もちろんTwitterでもらうこともある。
     ◆ask.fm(結城浩)  http://ask.fm/hyuki0000/best
    そんな中で、
     「◯◯は何の役に立つんですか?」
    という質問をもらうことも少なくない。たとえば、
     「数学は何の役に立つんですか?」
    などは典型的な質問である。
    ところで、この質問を聞いたとき、私は一瞬身構える。
     ・これは、素朴で真摯で純粋な問いなのだろうか。  ・それとも、レトリカル・クエスチョンの一種なのだろうか。
    つまり、ほんとうに質問なのか、質問の姿をした非難や愚痴や皮肉なのか、 そのどちらだろうということです。
     「○○は何の役に立つんですか?」
    というのは、ときに、
     「○○なんか役に立たない!」
    という意味で使われることがあるからです。
    自分がよく知らない人からの初めての質問なら「素朴で真摯で純粋な問い」 として、答える方がいいだろうなと私は思っています。
    レトリカル・クエスチョンに対して真面目に答えるのは、 答える人がちょっと馬鹿っぽく見える可能性もありますが、 私はそれの方が逆よりもいいだろうなと思います。
    「○○は何の役に立つんですか?」という問いに対して、 私が情報や知識を持っていないこともあります。 その場合でも、質問に対してはできるだけ、 礼儀正しく真摯に答える方がいいでしょうね。
    質問者というものは答えそのものを求めているだけではありません。 自分が質問をするほど信頼している「先生」が、 どう答えるかという姿勢にも注目しています。 真摯に答えようとする姿勢もまた、 答えの一部になっているのだと思います。
     * * *
    言葉の話。
    Webであちこちを歩いていると、
     「何かの能力が低い人を罵倒する人」
    を見かけることがよくある。 「何かができない」ことや「できるけれど完成度が低い」ことを馬鹿にしたり、 むやみと怒ったりする人のことである。
    そしてまたややこしいことに、 そのような「能力が低い人を罵倒する人」を罵倒する人もいる。 「能力が低い人を罵倒するなんて!」と怒りに燃える人である。
    でも、「能力が低い人を罵倒する人」というのは、 「言葉を使う能力や影響を想像する能力が低い人」 かもしれないので、優しく接するのがいいですね。
    さもないと、自己矛盾を起こすことになってしまうから。
     * * *
    学びのエッセンスの話。
    数学ガールを書いていて思うのは、 数学の中には「学びのエッセンス」が純粋な形で含まれているということ。 そして、柔らかく真剣な対話を通して、 その「学びのエッセンス」が学びの場に香り高く広がっていくということ。
    学びは一人で進めるものだけど、要所要所には出会いがある。 誰かのちょっとした一言がブレークスルーになることがある。 答えではなく問いかけが、大きなヒントになることもある。 それを生み出すのは、信頼できる相手との対話であることが多い。
    そういう体験は、数学と同じように「時を越える」ものだと思う。 その記憶が、一人の人の心の中でずっと命を持ち続けていることもあるし、 語り継がれ、本に描かれて伝わることもある。 発見や、体験や、経験が、時を越えて人々に感動を与える。
    数学は、そのような「学びのエッセンス」を私たちにしっかり教えてくれる。 その厳密さやその堅さを通して。その精密さやその美しさを通して。
     * * *
    さて、それでは今週の結城メルマガを始めます。
    今回は、「フロー・ライティング」のコーナーで、 「メタな視点と講演準備」という読み物をお送りします。
    では、結城メルマガをゆっくりお楽しみください!
    目次
    はじめに
    フロー・ライティング - メタな視点と講演準備
    複雑さと戦う
    学ぶことは楽しい - 学ぶときの心がけ
    「連ツイ」を書き換えてブログ風に
    おわりに
     
  • Vol.164 結城浩/数学文章作法 - パラグラフ・ライティング/愛の原則/お金と時間/

    2015-05-19 07:00  
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    Vol.164 結城浩/数学文章作法 - パラグラフ・ライティング/愛の原則/お金と時間/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年5月19日 Vol.164
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    『数学ガール6』を書いています。現在は第3章。 だいぶまとまってきたのですが、まだまだあらが目立ちます。
    気持ちとしては、 今月中に第3章と第4章を…と皮算用していたのですが、 さてどうなりますかという感じですね。
    まあ、でも、あせらずじっくりと進むしかないのですけれど。
     * * *
    リサージュ図形の話。
    以前もお伝えしたかもしれませんが、 『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』に登場した「リサージュ図形用紙」は、 無料で以下からダウンロードできます。どなたでもご自由にどうぞ。
     ◆『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』  http://www.hyuki.com/girl/note3.html
     ◆リサージュ図形用紙の使用例
    この使用例では、x = cosθと y = sin 2θを使って描画をしています。 x = cosθとy = sinθを使うと円になります。
    「リサージュ図形用紙」は線が等間隔ではありません。 この線はどんなふうに描いたかというと……
     原点から点P(1,0)に向けた線分を考える。  その線分を、原点中心に反時計回りに回転させると、点Pは移動する。  回転した角度が0,30,60,...,360度のときのPの位置を見て、  そこから、水平、垂直に線を引く。
    等間隔にならないのは、cosとsinの性質からきています。 詳しい説明は書籍『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』をご覧くださいね。
     ◆『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』  http://note3.textfile.org/
     * * *
    昔の話。
    ある店でコーヒーを注文しました。 どうも店員さんが慣れていないバイトさんだったようです。
     結城「アイスコーヒー、ショートでお願いします」  店員「は、はい、コーヒーですね。ホットでよろしいですか?」  結城「いえ、アイスで」  店員「し、失礼いたしましたっ! アイスコーヒー。大きさは?」  結城「ショートで…」  店員「SとLがございますがっ!」
    まるで漫才のような会話になって苦笑したけれど、 特に不快ではなく、逆にほっこりした気分になりました。
    「アイスコーヒーをホットでお願いします」や 「それではショートをLでお願いします」と言ったらどうなるんだろう、 と考えちゃいましたけれど。
    * * *
    ゲームの話。
    文章を書いていて疲れたとき、頭をリセットするために iPhoneのゲームをやることがあります。 「やることがあります」というか「よくやります」ですね。 頭をリセットするつもりが、ゲームに夢中になることもよくあります。
    《TwoDots》というゲームは、ずいぶん長期間にわたって楽しんでいます。 「同じ色の着いたドットを結びつける」という単純なルールなのに、 非常に楽しめます。 結城はこういうシンプルなルールのゲームが好きなのです。
     ◆TwoDots  http://weplaydots.com/twodots.html
    《Hitman GO》というゲームは、敵の攻撃から身をかわしながら相手を倒すゲーム。 というとまるでシューティングゲームのようですが、 これはどちらかというと将棋に似ているボードゲームですね。 マス目をこちらが一歩進めば、敵も一歩進むというゲーム進行で、 運の要素もタイミングもありません。 とても頭を使わせられる楽しさがあります (頭をリセットするのに、頭を使わされていいのだろうか……)。
     ◆Hitman GO  https://itunes.apple.com/jp/app/hitman-go/id731645633?mt=8
    * * *
    さて、それでは今週の結城メルマガを始めます。
    今回は、『数学文章作法 執筆編』の第3章、 「パラグラフ・ライティング」の結城メルマガ版をお送りします。
    その他に、村上春樹の「村上さんのところ」 というサイトの電子書籍化に関連して思ったことを少し書きます。
    「本を書く心がけ」のコーナーでは「愛の原則」について、 また「仕事の心がけ」のコーナーでは「時間とお金」 の関係についてお話ししましょう。
    では、結城メルマガをゆっくりお楽しみください!
    目次
    はじめに
    数学文章作法 - パラグラフ・ライティング
    「村上さんのところ」で思うこと
    愛の原則 - 本を書く心がけ
    時間とお金 - 仕事の心がけ
    おわりに
     
  • Vol.163 結城浩/『老いに備える知的生活』 - 結城浩ミニ文庫/世の中を渡っていけないという若い人へ/

    2015-05-12 07:00  
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    Vol.163 結城浩/『老いに備える知的生活』 - 結城浩ミニ文庫/世の中を渡っていけないという若い人へ/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年5月12日 Vol.163
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    Web連載の話。
    Web連載「数学ガールの秘密ノート」は、 「行列が描くもの」という仮題を掲げて、 「行列」をテーマに書いています。
    行列は高校で扱わなくなってしまいましたが、 非常に大切な分野になります。 Web連載では、行列の基本的な内容をみんなでおしゃべりしています。
    「数学ガール」の語り部である主人公の「僕」は、 まわりの女の子たちと数学にまつわるおしゃべり(数学トーク)をします。 そのうちに、次第に何かが動き出し、おもしろいことが起こり出す。
    行列にはややこしい計算がたくさん出てくるんですが、 計算しているだけではつまらない。計算をしているうちに、 テトラちゃんがおもしろいことを「発見」して騒ぎ出す。 「僕」はそれをきちんと受け止める。 ミルカさんはそれをおもしろい方向に発展させてくれる。 結城は、そんな彼女たちの「数学トーク」を、 いったいどうなるんだろうと思いながら、 かたずをのんで見守っています。
    毎週、Web連載を書くときに結城のまわりで起きているのは、 そういう数学イベントです。ああ楽しい。 私が制御している部分、私が支配している部分というのは少なくて、 登場人物と役割分担をしています。
    素朴で素直なテトラちゃん。 空気読まずに竜巻を起こすユーリ。 いつもクールにゴールを示すミルカさん。 全部を受け止める「僕」。 ……そして、すべてを記録する結城。 そういう役割分担です。
    単に数学の知識を伝える物語ではなく、 読んだ後に、思わず自分で計算してみたくなる物語。 自分で調べ、自分で「研究」したくなる物語。 楽しみが待っている。わくわくする数学。 自分から学びたくなるきっかけ。 そんな感じのWeb連載ですね!
     ◆Web連載「数学ガールの秘密ノート」  https:/bit.ly/girlnote0
     * * *
    本の紹介。
    日本評論社から刊行された『ガードナーの数学娯楽』のオビに、 推薦文を書きました。
    マーティン・ガードナーというのは、 レクリエーショナルな数学読み物を非常に多数書いた数学者です。 結城は子供のときに、 ガードナーが書いたブルーバックスの『数学ゲーム』が愛読書でした。 私のあこがれの一人ですね。
    以下の本は、「完全版マーティン・ガードナー数学ゲーム全集」の1巻目と2巻目です。 機会がありましたら、ぜひお読みください。 監訳は岩沢宏和先生と上原隆平先生です。
     ◆『ガードナーの数学パズル・ゲーム』  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4535604215/hyam-22/
     ◆『ガードナーの数学娯楽』  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4535604223/hyam-22/

     * * *
    結城は「当たり前の毎日の中に、新しい意味を見いだす」のが好き。
    「一秒でも長く生きたい」と言ってもいつか死ぬ。
    だから、 「この世に生きることには意味がある。どんな意味がある?」 という問いの答えを探すのは、大きくて楽しい謎解き。
    そんなふうに思うのです。
     * * *
    学ぶときの話。
    数学を学ぶとき「学校で習ったかどうか」ってそんなに気にすることだろうか。
    おもしろい小説があったとき、 そこに出てくる語句が学校で習ったかどうかは重要じゃない。
    数学もそれと同じ。 雰囲気しか伝わらなくてもいいから、 飛び込むのもいいんじゃないだろうか。 学校で習ったかどうかとは関係なく。
    「学校でもう習ったから…」も「学校でまだ習ってない…」も、 使い方をまちがえるともったいない結果を生みそうだ。
     ・「学校」で「習う」こと  ・「自分」が「理解する」こと
    この二つの間には非常に大きな差がある。
    結城のところにはときどき、 けっこうな年配の方からこんなメールが来る。
     学校時代は数学は不得意で嫌いだった。  でも数学ガールを読んでから不得意だけど好きになった。
    「不得意だけど好きになった」って、すばらしい。すごく嬉しい!
    学生時代に点数が悪くても、数学の問題がそんなに解けなくても、 数学の問題を解くことを一生楽しめるなら、 数学的な読み物で頭をリフレッシュできるなら、すばらしいことだと思う。 学校がどうとか、教育現場がどうとかというのとは独立した話。 数学を自分なりに楽しめるって素敵なことだ。
    数学は奥が深いから、どんな天才がいくらがんばっても、 すべてを知るわけにはいかない。 ということは、みんなレベルは違えども、小さな数学徒といえる。 自分のレベルで楽しむ。 もちろん、自分のわかるところ、わからないところは正直に認めつつ楽しむ。 それは素敵なことだと思う。
    こういう文章は、結城が書いている「数学ガール」の宣伝ともいえる。 でも、それに留まらないはず。 本屋さんや図書館に行けば、うなるほどたくさんの数学読み物があふれてる。 いろんな難易度の、いろんな方向性を持った本が。 楽しまなきゃもったいないよね。
    学ぶ、ってそういうことじゃないだろうか。 それ自体が楽しみ。それ自体が喜び。 役に立つならそれに越したことはない。でも、知らないことを知るだけでも、 人類が達した知の深みにちょっとでも触れるだけでも大きなことだ。 少し歩けば書店がある。図書館がある。 そこには読まれるべく本が待っている。 そんな環境を生かさなきゃもったいない。
    学ぶことって楽しい。本を読むって喜び。 「学校で習う」こととは独立した楽しみであり喜びなんですよね!
    * * *
    さて、それでは今週の結城メルマガを始めます。
    今回は、「結城浩ミニ文庫」のコーナーで『老いに備える知的生活』 という文章をPDFでお送りします。 結城が最近感じている「老い」と、それに対する思いをエッセイ風に書きました (特別なハウツーが書かれているわけではありません)。
    その他「学ぶときの心がけ」「文章を書く心がけ」などをお届けします。
    では、結城メルマガをゆっくりお楽しみください!
    目次
    はじめに
    『老いに備える知的生活』 - 結城浩ミニ文庫
    「数学」と「ガール」の意味 - 学ぶときの心がけ
    メルマガを書きながら思うこと - 文章を書く心がけ
    「私は世の中を渡っていけない」と思っている若い人へ
    おわりに
     
  • Vol.162 結城浩/再発見の発想法/Evernote活用法/「次の一歩」を進めよう!/

    2015-05-05 07:00  
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    Vol.162 結城浩/再発見の発想法/Evernote活用法/「次の一歩」を進めよう!/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年5月5日 Vol.162
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    世の中は連休のようですが、結城は連休ではありません (結城メルマガ書いているため……)。
    でも、歩いていると、とてもさわやかな風が吹いてきますね。 春から夏へ向かう、いい季節です。
     * * *
    第6巻の話。
    先日刊行された『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』は、 「数学ガールの秘密ノート」シリーズの第5巻になります。 このシリーズはどの巻からでも読めるように書いてありますけれど、 第5巻まで刊行されたというのは感慨深いものがあります。 本編となる「数学ガール」シリーズに追いついたわけですから。
    さて結城は現在『数学ガール6』を書いています。 予定では今年2015年中に脱稿して、2016年に刊行したいと思っています。 でもそれよりも先に、 「秘密ノート」シリーズの第6巻目が今年の秋に刊行になります。
    ややこしいですね。
     2015年春 「秘密ノート」第5巻  2015年秋 「秘密ノート」第6巻  2016年? 『数学ガール6』
    ということです。 つまり、2015年はふたつの「第6巻」を並行して書くことになりますね! 「秘密ノート」第6巻は「ベクトル」がテーマになりますので、どうぞお楽しみに。
     * * *
    作家の藤井太洋さんのツイートに、 赤ちゃんを育てる場面がときどき出てきます。 子育てツイートを見るたびに、心からエールを送りたくなります。 自分が赤ちゃんを育てていた時代を思い出すからです。
    結城は、むずかる赤ちゃんを寝かせるのが得意です。 だっこして、背中をすりすりしたり、ぽんぽん叩き、 ゆっくり甘い声で歌ってやって、寝かせる自信がありますよ。 ただし、手を温かくしておかないと逆効果の場合もありますけれど。
    子育て時代には睡眠不足がつらかったのを覚えています。 奥さんと交代で寝かしつけたりあやしたり、 こっちがいらいらしてしまうと、 寝かしつけるのもうまくいかなくなったりして。
    背中をぽんぽん叩いて、ようやく眠ったので、 そっと、そおっと、布団に下ろそうとしたときに、 子供のおもちゃをけとばしてしまい、からんころん! その音で子供が目を覚ましたりすると、あーもー! となっちゃいますね。
    子育てはとても大変。でも、子供はすぐに大きくなってしまう。 赤ちゃんを育てている期間はあっというまに過ぎてしまう。 過ぎてから振り返ると、貴重な時間だったのだと思う。
    はっと気がつくと、 あのときの小さな赤ちゃんはどこにもいなくて、 その代わりに「ねえ、お腹へったんだけど、何かない?」 という男の子がいる。
    そんなとき、 うれしいような、ちょっとさみしいような、 変な気分になります。
     * * *
    ブログの話。
    Twitterが大好きである。 他の人のツイートを読むのも好きだし、 自分でツイートするのも大好き。
    その関係なのか、ここしばらくブログを読む習慣がほとんどなくなっていた。 以前はWebサイトを巡回したり、RSSをチェックしてたのだけれど。
    何となく「新たな栄養素」が欲しくなって、まだブログ巡回も再開しようかな、 と思っている。以前巡回していたのはWindowsを使っていた時代だから、 Mac用の適当なツールがないかを探していた。
    いくつか試して、RSS Botというアプリを入れてみた。 RSSフィードの一覧は、livedoor Readerで巡回していたものを利用。 OPMLというフォーマットでエクスポートして、RSS Botでインポートする。
    結城がRSS Botで気に入った点は、
     ・メニューバーの色が変わって通知する   (静かな通知)  ・記事のタイトルをメニューで一望できる  ・Mark all as Readでさくさく読み飛ばしできる
    などである。 ニュースサイトなどはタイトルだけ見て飛ばすことも多いので、 情報が適度に少ない方がありがたいと感じた。
     ◆RSS Bot  https://itunes.apple.com/jp/app/rss-bot-news-notifier/id605732865?mt=12
    さて「新たな栄養素」は手に入るかな。
     * * *
    Twitter誕生日の話。
    いえ、Twitter「の」誕生日ではなくて、 Twitter「での」誕生日の話です。
    結城はTwitterを始めたのが2007年4月21日。 つまり、4月21日が結城の「Twitterでの誕生日」ということ。 いいかえると、結城は現在「Twitterで8歳」といえますね!
    Twitterを始めた日や、自分の総ツイート数はすぐに調べることができます。 確かめてみると、結城はこれまでに「12万3千ツイート」したことになりますね。 うーん、これは多いんだろうか、少ないんだろうか……
    平均すると、一日に約42ツイートくらいとのこと。 うん、きっと、多い方ですよね。
     * * *
    Twitterの仕様変更の話。
    先日、TwitterのDM(ダイレクトメッセージ)の仕様が変わりました。
     ◆プライベートな会話がより簡単になります  https://blog.twitter.com/ja/2015/0421
    これまでは「自分がフォローしている人」からしかDMは来ませんでした。 言い換えると「Aさんがフォローしていない人」はAさんにDMを送れませんでした。
    これは妥当な仕様です。つまり「フォロー」という行為で、 相手に「あなたは私にDMを送れますよ」という権限を与えるわけです。 これによって、変な人からスパムのようなDMが送られるのを防げますから。
    その一方で、不便な点もあります。 公開ではできないメッセージのやりとりをしたいときに、 フォローという行為が必要になるからです。
    今回の変更で、 ユーザは「フォローしてない人からのDMも受け取るかどうか」 を選択できるようになりました。
    結城はさっそくこの設定をオンにしました。 スパムが来たらブロックすればいいからです。
    その結果、どうなったか。
    何名か、フォローしていない人からの有益な情報がやってきました。 DMでの話なので詳しくは書けませんが、 著作物に関する許諾の話や、公開できない感想文などです。 言い換えると、ちょうどメールの代替となるようなやりとりです。
    メールとDMの大きな違いは「ある程度、あいての身元がわかるかどうか」です。 知らない人からメールが来たとき、 その人がどんな人であるかという情報はほとんどありません。 メールアドレスのドメイン名で所属会社がわかったり、 メールアドレスで検索してブログが見つかったりすれば話は別ですけれど。
    でもDMならば、その人のTwitterアカウントが見えますから、
     ・ふだんどんなことを話題にしている人なのか  ・他の人からどんなふうに見られている人なのか   (リストに入っている場合)
    などがわかります。 ふだんどんなことを話題にしているかを見るだけで、 おおよその様子はわかりますよね。 これは、メールでなんの情報もない場合に比べたら大きなメリットです。
    TwitterのDMがさらに整備されれば、 メールでのやりとりをもっと少なくできるかも知れません。
    これからの継続的な改良に期待したいです。
     * * *
    大学入試の話。
    今年2015年の大学入試に『数学ガール』からの出題がありました。 文教大学教育学部学校教育課程(数学専修)の推薦入試の小論文の問題です。 ミルカさんが「約数の和」を求め方を話すシーンと、 テトラちゃんが「僕」に手紙を渡すシーンが引用されて、 「ミルカさんはどんな説明をするかを予想せよ」 「テトラちゃんにアドバイスせよ」という二問が出題されました (問題文は概略です)。
    これまでにも何回か結城の本(『数学ガール』や『暗号技術入門』) から大学入試問題などが出題されたことがあります。 結城はたいていそのニュースを、受験者や出版社から聞きます。
    出版社というのは結城の本を出している出版社ではなくて、 受験参考書を出している出版社です。 つまり、そういう出版社は入試問題の問題集を作るために、 問題文に登場する書籍の著者に許可を取らなくてはならないのです。 著作権料を支払うためですね。
    回数が少ないし、事務処理の方が煩雑なので、 結城はいまのところ、入試問題の問題集などで使われた場合、 「著作権料は不要です」と無料で使用許諾を出しています。
    いずれにせよ、 結城の書いた文章を試験問題に使っていただけるというのは、 非常に光栄なことだと思っています。感謝ですね。
     * * *
    会話の話。
    会話をしているとき、発言を否定から始める人と、肯定から始める人がいる。 たとえば、「でも/けれど/そうはいっても」から会話を始める人と、 「なるほど/そうだね/うんうん」から会話を始める人といってもいい。
    私は、どちらかといえば、 肯定的な表現から会話を始める人との方が話しやすい。 あなたは、いかがですか。
    数学ガールの主人公「僕」は、相手をほとんど否定することがないようだ。 相手の発言を「なるほど」や「そうだね」と受けることが多い。
     * * *
    未来の話。
    アマゾンが有名になりはじめたころ、 「アマゾンの本質はWebにあるのではなく、物流の方にある」 という記事を見た覚えがある。 「Webで買う」ということが現代ほど一般的ではなく、 「Webで買う」という部分だけがクローズアップされがちな時代の話である。
    賢い人は何年も先のことが見えているのかもしれない、と思った。
    いや、もしかしたら、違うのかも。 「あるべき姿」や「向かうべき方向」がわかっていて、 それを追求しているだけかもしれない。 つまり、未来を見ているのではなく、未来を作っているということだ。
    時代は流れていく。
    時代の流れにつれて、どんどん変わっていくものがある。 また、まったく変わらないものもある。
    変わらないでいたために、廃れてしまうものがある一方で、 変わらないからこそ、輝き続けるものがある。
    世間はさておき、 自分にとって、その「輝き続けるもの」は何だろうか。
    今日の一歩を、明日に繋がる一歩にしよう。
    今日の一滴を、いつかきちんと海まで届けよう。
    春から夏へ向かおうとしているこの季節、 しっかりと方向を定めよう。
    柔らかな春から、力強い夏へ向かうために。
     * * *
    さて、それでは今週の結城メルマガを始めます。
    今回は、「再発見の発想法」でIdle(アイドル)というキーワードをお届けします。 また「仕事の心がけ」のコーナーでは「Evernote活用法」のお話をしましょう。
    では、結城メルマガをゆっくりお楽しみください!
    目次
    はじめに
    再発見の発想法 - Idle(アイドル)
    Evernote活用法 - 仕事の心がけ
    「次の一歩」を進めよう!
    おわりに