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記事 6件
  • Vol.385 結城浩/創作における挑戦と上手くいかないイライラ/ネットでの言葉の選び方/自分は理解しているのか/ナラティブ/図形問題と誤差/

    2019-08-13 07:00  
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    Vol.385 結城浩/創作における挑戦と上手くいかないイライラ/ネットでの言葉の選び方/自分は理解しているのか/ナラティブ/図形問題と誤差/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年8月13日 Vol.385
    目次
    学んだことを自分は理解しているのか - 学ぶときの心がけ
    「ナラティブ」を書く - 仕事の心がけ
    図形問題で誤差はどこまで許されるのか - 学ぶときの心がけ
    ネットでの言葉の選び方 - コミュニケーションのヒント
    創作における挑戦と上手くいかないイライラ
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    * * *
    「理想の書店」の話。
    「結城さんにとって『理想の書店』とは、どんなものですか」という質問をいただきました。
    「理想の書店とは何か」……これは、なかなか魅惑的な問いですね。しかしながら考えてみると答えるのが難しい問いでもあります。しばらく考え込んでしまいました。あなたもちょっと考えてみてください。あなたにとって「理想の書店」とは、どんなものですか。
    私は、ずばりと答えるのが難しいと判断して、「理想の書店」に必要な要素を考えることにしました。つまり、いやしくも「理想の書店」ならば、こういう要素は外せないというものを探すのです。さらに、現実的な制約を取っ払って考えることにしました。何しろ「理想の書店」なんですから。
    私が考えたのは「『理想の書店』は、そこに行くたびに何かしら新しい発見があるような書店である」ということでした。どういう本があるか、自分の家から近いか、本の値段がどうか、そういう要素も考えたのですが、どうも「理想の書店」に不可欠な要素とは思えません。でも、もしも、「そこに行くたびに何かしら新しい発見がある」としたら? うん、それは「理想の書店」にかなり近いのではないでしょうか。それが現実に実現できるかどうかはわかりませんけれど。
    「こういう本があるところが理想の書店」と自分で指定するのは、自分の思考の枠内に発想が収まってしまう危険性があります。どういう本が置いてあるか、どんな本の並びになっているかも含めて、私に発見をうながしてくれるような書店があるとしたら、それはすばらしい。自分の家から遠くても通いそうです。本の値段が高くても買ってしまいそうです。
    ネット書店が便利になるにつれ、リアル書店を利用する度合いが減っています。特に私の場合には「この本を買う」と決めて買うことが多いので、ネット書店が楽だからです。でも「何の本を買うべきかわからない」状態のとき、ネット書店はかなり非力です。ネット書店での散策はレコメンデーションにあふれすぎていて、ちっとも散策にならないからです。
    書名がわかっていて本を買うだけなら、あとは値段や到着までの時間くらいしか書店間に違いが生じません。でも「そこに行くたびに何かしら新しい発見があるような書店」が仮にあったとしたら、その書店の価値は非常に大きなものになります。代替困難な体験、他とは比較不可能な経験を提供してくれるからです。
    ところで、ここまで書いてきて気付いたのですが、「理想の書店」を引き合いに出すまでもなく、私はリアル書店に足を運ぶときには、そこに「何かしら新しい発見」を求めているようです。本を買うのが主目的としてリアル書店に行くのではありません。自分が知らない新しい本と出会い、ネットでは気付きにくい世の中のトレンドに触れるためにリアル書店に行くことが多いのです。
    しっかりしたクオリティコントロールがなされているならば、書店とカフェの併設にも魅力を感じます。そこに入場するだけでお金を払ってもいいくらいです。
    「理想の書店とは?」と問われたら、あなたは何と答えますか。
    * * *
    珍しいノマドワーカーの話。
    通常のオフィスではなくカフェなどを巡って仕事している人を「ノマドワーカー」と呼ぶことがあります。
    結城もノマドワーカーといえます。結城はカフェやファーストフード店や図書館などを使って仕事をしています。ネット経由で仕事ができるので、物理的に自分がどこにいるかはあまり重要ではありません。
    ところで先日、非常にめずらしいノマドワーカーを発見しました。
    がちゃがちゃとにぎわっているフードコートでアイスコーヒーを飲みながら、ふと斜向かいの席を見たところ、お爺さんが一人静かに「古文書の修復作業」をしていたのです。とても、びっくりしました。
    古文書の修復作業をしているノマドワーカー発見!
    たぶん、お爺さんが個人的に所蔵している古文書なのでしょうけれど(でないと問題がありますよね)、「古文書の修復作業」はさすがに作業場所を選んだ方がいいのではないかと思います。何しろ、ジュースをコップに入れた子供達がすぐそばを走り抜けていく環境なんですから……。
    * * *
    では、今回も結城メルマガをどうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.384 結城浩/インクリメンタルな環境改善(5)/学びと共有/約束を破る人/のろけ話/質問に回答するコツ/

    2019-08-06 07:00  
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    Vol.384 結城浩/インクリメンタルな環境改善(5)/学びと共有/約束を破る人/のろけ話/質問に回答するコツ/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年8月6日 Vol.384
    目次
    のろけ話を聞くのがつらい - コミュニケーションのヒント
    専門知識の学びと共有のバランス - 学ぶときの心がけ
    インクリメンタルな環境改善(5)自動化 - 仕事の心がけ
    約束を破る人に怒りを感じる
    質問に回答するコツ - コミュニケーションのヒント
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    暑いですね!
    先週は燃えるように暑い日が続き、毎日「暑い……」とばかり考えていました。
    令和ちゃんには、気温の調節がもっとうまくなってほしいです。
    * * *
    クロスロードの話。
    『クロスロード』という新海誠監督が作った「Z会」の動画があります。
    都会に住む高校生男子と地方に住む高校生女子が、それぞれに勉強をして受験に臨み……というストーリーです。
    ◆新海誠監督『クロスロード』受験生応援ストーリー120秒Ver.|Z会 https://bit.ly/crossroad120
    結城は自分のことを「2017年にこの動画を世界で一番見ていた人間の一人」だと自負しています。『数学ガール/ポアンカレ予想』の執筆追い込み期に、毎日欠かさず何回も見ていたからです。
    『クロスロード』開始後1:14に出てくる試験開始のシーンは、何度見ても毎回涙が出てきます。自分の未来を切り拓こうとする若い人たちがいて、自分が学んできた力を試す場がある。そこに向かう緊張感と真剣さがあの一瞬に描かれていると感じるからです。
    そして「がんばれ、受験生!」とエールを送りたくなるのです。
    「がんばれ、受験生!」
    受験生に必要なのは、知識のサポートだけじゃありません。心のサポートも必要です。
    受験を控えている、あなたへ。
    応援しています。
    大事な一歩を今日もていねいに進めてくださいね。
     
  • Vol.380 結城浩/緊張と体調不良/ほめることが苦手/漢字とひらがなの使い分け/思考の言語化/人に相談できない/

    2019-07-09 07:00  
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    Vol.380 結城浩/緊張と体調不良/ほめることが苦手/漢字とひらがなの使い分け/思考の言語化/人に相談できない/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年7月9日 Vol.380
    目次
    緊張と体調不良
    ほめることが苦手 - 教えるときの心がけ
    漢字とひらがなの使い分け - 本を書く心がけ
    思考を言語化するのが苦手
    辛いときや悲しいときでも人に相談できない - コミュニケーションのヒント
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
    緊張と体調不良
    質問
    作業に集中したり、ストレスを感じる環境にいたりすると、身体が緊張して、あとから肩こり・首こり・頭痛といった体調不良に悩まされます。
    結城さんはそのようなことはありますか。もしあれば、対処法をお聞かせ願いたいです!
    自分では温める、ストレッチするくらいしか思いつきません。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    私は以前たいへんな頭痛持ちでしたが、肉類よりは野菜類を多くとり、ヨーグルトなどでお腹の調子を整えるようになってから、頭痛はほとんどなくなりました。
    体を冷やしたり疲れたりすると、私の場合には喉が痛くなります。喉の痛みは私の体調をはかる指標になります。
    対処法というほどではありませんが「あ、何だか変かも……」と思ったら「すぐに葛根湯を一包飲む」ようにしています。携帯しやすいスティック型のものを箱買いして、つねに数本持ち歩いています。
    葛根湯を飲んで少し経つと身体が温まり急激に喉の痛みが引いて楽になるのがわかります。外に出ているときに身体を温めるのは難しいので、葛根湯はとてもいいですよ。水分を多めにとります。
    家にいるときには葛根湯の他に「お腹にドライヤーの温風を当てる」という対処法もよくやります。体調が崩れかけているとき、とても効くんです。
    私は洗面所だけじゃなくて寝室にもドライヤーを常備しています。旅行用の小型ドライヤーを「お腹あたため専用ドライヤー」としているのです。気分が低調なとき、夜眠る前、朝起きて何となく気分が乗らないとき、どんなときでもドライヤーの温風をお腹や背中や太ももやお尻に当てるとすごくいいです。もしやってみるなら火傷には注意してくださいね。
    外でも自宅でも、ストレスを感じたり疲れたりしたときには「目を閉じる」という対処法もなかなかいいものです。十分でも、五分でも、それが難しいならたとえ一分でもいいから目を閉じてぼうっとするのです。眠りこむのが恐いなら数分後にタイマーをセットします。これは驚くほど気分が変わります。
    なお、私は医者ではありませんし、健康に関わる話ですので、以上はあくまで「私の場合の話」です。試す場合にはご自身の判断でお願いします。
    ご質問ありがとうございました。
     
  • Vol.376 結城浩/人と楽しく話す/数学的な図版/言語化が苦手/線型代数を学ぶ意味/プログラミングを初学者に教える/魅力とは/

    2019-06-11 07:00  
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    Vol.376 結城浩/人と楽しく話す/数学的な図版/言語化が苦手/線型代数を学ぶ意味/プログラミングを初学者に教える/魅力とは/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年6月11日 Vol.376
    目次
    人と楽しく話す方法 - コミュニケーションのヒント
    数学的な図版をどう作るか - 本を書く心がけ
    イメージを言語化するのが苦手
    線型代数を学ぶ意味 - 学ぶときの心がけ
    プログラミングを初学者に教えるには - 教えるときの心がけ
    魅力とは何だろうか
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    新刊の話。
    『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』は出版に向けて少しずつ作業が進んでいます。
    先週は編集部で初校ゲラの読み合わせがありました。編集者と椅子を並べて座り、初校ゲラ用紙を机に置き、一ページずつめくっていくのです。今回は私が事前にファイル整理を済ませていたので、思ったよりも短時間で終了しました。
    「読み合わせ」についてはずいぶん以前(Vol.028)になりますが、この「結城メルマガ」でも簡単にご紹介したことがありますね。この記事から7年近く経過しました(!)けれど、現在でも同じような方法で進めています。
    ◆書籍の品質を向上させる「読み合わせ」の進め方(本を書く心がけ)https://mm.hyuki.net/n/n24cc7c12d4f5
    今後の予定としては、来週に再校ゲラ到着、再来週に再校読み合わせ、そして7月の3週目ごろに刊行になります。いよいよです!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』https://bit.ly/hyuki-note11
    それから恒例となりました《サイン本無料プレゼント》の企画も開始しました! あなたもぜひご応募ください。
    ◆『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』《サイン本無料プレゼント》https://snap.textfile.org/20190610093524/
    * * *
    古本購入の話。
    先日、伝統のある出版社から刊行されている古典的な数学書を買おうと思いました。仕事の都合上、すぐに調べたい本なので電子書籍があるといいなと思ったものの、あまり電子書籍に力をいれてなさそうな出版社なので、もしかしたらないかもしれないなあと思って検索。
    ところが、その古典的な数学書は、電子書籍になっているどころか「版元品切れ」になっていました。たいへんがっかりです。しかたがないのでアマゾンのマーケットプレイスで買いました。定価の倍の値段がしましたが、仕事で必要なものなのでしょうがないですね。
    とにかくすぐに入手したいというのは私の希望であり、その希望には市場原理が働くので、値段が高くなるのは避けがたいでしょう。数日かけて探せば、どこかの古本屋でもっと安い本が見つかるかもしれません。でも高くてもすぐに買える方を選ぶことが多いです。それは「自分の時間を買っている」のだと考えているからです。
    私は本を書いて生活していますし、古本屋やマーケットプレイスで買っても著者にお金が1円もいかないことを知っています。ですから、私の心がけとしては、たとえ古本が安くても新品が買えるなら新品を買います。それは著者に利益還元するためです。しかしながら、存在しないものは買えません。
    ですから「出版社さん、どうか古典的な本を品切れにしないでほしい。せめて電子書籍で置いてほしい」というのが私の正直な気持ちになります。出版社には出版社で言い分があるのでしょうけれど。
    * * *
    数学に興味を持ったきっかけの話。
    「結城先生が数学に興味を持たれたのはいつ頃なのでしょうか。きっかけなどはありますか」という質問をいただきました。
    数学というか、理系っぽいことには昔から興味はありました。理科教師の父の影響が大きいと思います。父からは多くのことを学びましたね。以前の「結城メルマガ」で詳しく書きました。
    ◆父から学んだ「教える」ということ[Part 1](教えるときの心がけ)https://mm.hyuki.net/n/n478ee16c8dc7
    ◆父から学んだ「教える」ということ[Part 2](教えるときの心がけ)https://mm.hyuki.net/n/n10830453d0c8
    ◆父の思い出 - TK-80 -http://www.hyuki.com/dream/tk80.html
    自分の父という存在は一人しかいません。だから、実際のところ父の影響がどれだけ大きいのかを推し量るのは難しいです。「別の父だとしたら」と想像するしかないためです。しかしながら、年経るごとに父の影響は大きいなあとしみじみ思います。
    * * *
    それでは今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.374 結城浩/整理して言葉にまとめる/解法パターン暗記では楽しくない/メモの管理/数学で気になるところがあると先に進めない/何となく生きてきて/

    2019-05-28 07:00  
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    Vol.374 結城浩/整理して言葉にまとめる/解法パターン暗記では楽しくない/メモの管理/数学で気になるところがあると先に進めない/何となく生きてきて/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年5月28日 Vol.374
    目次
    相談したいことを整理して言葉にまとめるコツ - コミュニケーションのヒント
    解法パターンの暗記では数学が楽しくない - 学ぶときの心がけ
    メモをどう管理するか - 仕事の心がけ
    社会人、数学で気になるところがあると先に進めない - 学ぶときの心がけ
    今まで何となく生きてきて、大学生になったけど
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』の原稿は二週間前に編集部に送り、先週はカバーとイラストの打ち合わせがありました。粛々と新刊刊行に向けて作業が進んでいきます。
    今週は初校ゲラが届く予定になっています。6月上旬に初校読み合わせ、6月中旬に再校ゲラ、6月下旬に再校読み合わせという段取りで進み、7月にはめでたく新刊の刊行となります。
    毎回のことですけれど、新しい本を出版するというのは深い喜びと読者への感謝の気持ちでいっぱいになるものです。もちろん準備や作業は大変といえば大変ですが「新刊が出る」と思うと自然に笑みが浮かびます。
    今回の「ビットとバイナリー」というテーマは数学とコンピュータのはざまにある話題といえるかもしれません。中学・高校ではあまり扱わない内容も含まれており、多くの方に楽しんでいただけると思います。
    応援よろしくお願いいたします。
    ◆『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』https://bit.ly/hyuki-note11
    * * *
    いろいろ再起動する話。
    『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』を(一応)脱稿してから、いろいろ再起動しています。
    まず「圏論の勉強」を再起動しました。2018年の秋に始めたものの、しばらく中断していた勉強です。しばらく中断というのは具体的には「2月〜4月」の期間のこと。どうして中断した期間がわかるかというと、勉強した日にはTwitterで「今日の圏論」というハッシュタグでツイートしているからです。検索してみると中断している期間がすぐにわかります。
    マックレーンの『圏論の基礎』を少しずつ読んでいて、あるとき「普遍性」とはそういうことか!と腑に落ちたことがありました。そのときレンスターの『ベーシック圏論』の「普遍性からの速習コース」という副題の意味も同時に腑に落ちました。いったん『圏論の基礎』はお休みにして『ベーシック圏論』の方を読んでいくことにします。
    ◆Twitterで結城の「今日の圏論」を検索するhttp://bit.ly/2QmDVve
    それから「筋肉体操」を再起動しました。こちらは2018年11月〜2019年4月まで中断していましたね。これもTwitterで「今日の筋肉体操」というハッシュタグでツイートしているので中断期間は明確です。
    いつのまにか「筋肉体操2」というYoutube動画もできていたので、継続していきたいと思っています。
    ◆Twitterで結城の「今日の筋肉体操」を検索するhttp://bit.ly/2woDNlK
    また、今年心がけようとしていた「インクリメンタルな環境改善」や「今年は意識的に本を読もう」もだいぶなおざりになっていたので、再起動していきたいと思います。
    Twitterは確かにライフログとして有効ですね!
    なお、from:hyuki のように from: というキーワードを使うと「自分のツイートだけを検索」することができて便利ですよ。
    * * *
    それでは今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.368 結城浩/高校生の息子にメッセージ/客観性を身に付ける/数学的概念で遊ぶ/会話の話題/再発見の発想法/

    2019-04-16 07:00  
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    Vol.368 結城浩/高校生の息子にメッセージ/客観性を身に付ける/数学的概念で遊ぶ/会話の話題/再発見の発想法/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年4月16日 Vol.368
    目次
    客観性を身に付けるにはどうするか
    高校生の息子にメッセージを伝えたいが聞いてもらえない - 教えるときの心がけ
    数学的概念で遊ぶとはどういうことか - 学ぶときの心がけ
    会話をしたいけれど話題が見つからない - コミュニケーションのヒント
    実らなかった恋
    モックアップ - 再発見の発想法
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    最近はずっと『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』に取り組んでいます。
    第2章まではレビューアさんに送付が済み、現在は第3章の半ば。脱稿まではちょうど折り返し点くらいでしょうか。
    すでにアマゾンでは予約が始まっていますし、気持ちとしては4月中にすべてを仕上げたいところです。しかし、あわてずあせらず、じっくりと進まなくては。
    ◆『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』https://bit.ly/hyuki-note11
    * * *
    コンビニの話。
    先日コンビニに寄ったら、中学生くらいの女の子がスイーツの棚の前で目を輝かせながら「うっわ〜どれにしよっかな〜」と声に出していました。かわいいですね。
    ふと思ったんですが、イラスト描ける人って、こういう場面を見たら一枚絵をきっと作れますよね。そういうの、うらやましいと思います。
    * * *
    スーパーの話。
    スーパーでセロリを買うとき、とても幸せな気持ちになります。
    幼少期に、セロリから可愛がってもらった記憶が蘇るからでしょうか。
    結城栽培。
    * * *
    いっしょに生活する話。
    先日、子供が早朝から出かけるというので、いつもよりずっと早く起きて朝食を用意していました。
    ところが、起きてきた子供が「ごめん今日は遅く出る日だった」と言い出したのです。
     私「いやいや、そりゃないよね。遅く出る日だといつわかったの?」  子「昨日の夜」  私「だったら、なぜそのとき言わないの」  子「だって、お父さんもう寝てたから」  私「私にメッセージ送っておけば、お父さんが起きたときにそれ見て、またすぐ寝られたじゃん!」  子「その発想はなかった」  私「それに気付いてほしい。いっしょに生活してるんだから、相手のことを考えよう」
    * * *
    ランダムの話。
    何十年も前のこと、ある混乱した開発プロジェクトに関わるお手伝いをしました。
    そこでは、作業項目がたくさん集められていましたが、数がたくさんありすぎてどうしていいかわからなくなっていました。ろくに分類もされておらず、カオス状態。
    状況に対処するため、私が思いついた方法は「ランダムにピックアップする」というものでした。ランダムサンプリングの一種ですね。全部を調べたり、端から順に試したりする前に、まずは処理可能な個数だけ作業項目をランダムにピックアップし、全体の傾向を調べてはどうかと提案しました。
    残念ながら、既存チームの方からは一笑に付されてしまったのですが、いまでもあれはいい方法だったと思っています。
    「ランダムにピックアップする」というのは非常に重要な手法です。それはでたらめな方法ではなく、ちゃんとした意味があります。ランダムに選べば、より大きな割合を占めるものを選ぶ確率は高いからです。つまり、全部を自分が精査するまでもなく「多数派が自動的に選ばれる」といえます。
    もちろん、すべてを精査して「重要なもの」「大きな割合を占めるもの」「必須のもの」を選び出せればそれに越したことはありません。しかし、それには時間的・労力的なコストが掛かります。
    「ランダムにピックアップする」ならば、超・低コストで次のステップに進めます。「ランダムにピックアップする」という手法を覚えておくといいですよ。
    * * *
    ハッピーナンバーの話。
    まずは、好きな正の整数を選んでください。
    そして「その数を構成している各桁の数字を2乗して足し合わせる操作」を繰り返してください。
    すると、何から始めたとしても最終的に「1になる」か「8個の数をぐるぐる繰り返す」ことになるのだそうです。びっくりですね。
    たとえば、32から始めるとしましょう。
    3の2乗と2の2乗を足し合わせて、9+4=13になります。
    1の2乗と3の2乗を足し合わせて、1+9=10になります。
    1の2乗と0の2乗を足し合わせて、1になりました。
    たとえば、314から始めると、 314 → 26 → 40 → 16 → 37 → 58 → 89 → 145 → 42 → 20 → 4 → 16 → … となって、16,37,58,89,145,42,20,4という8個の数をぐるぐる繰り返します。
    以下に、自分で試すためのRubyスクリプトを置きました。
    ◆sqsum.rb - Squared digit sumを確かめるhttps://gist.github.com/hyuki/90b40e37cb6a5a2d049a78db8d1d2376
    以下のブログ記事も参照してください。
    ◆Squared digit sumhttps://www.johndcook.com/blog/2018/03/24/squared-digit-sum/
    なお、最後に1になる数のことを「ハッピーナンバー」と呼ぶらしいですね。
    ◆Happy numberhttps://en.m.wikipedia.org/wiki/Happy_number
    * * *
    では今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
    客観性を身に付けるにはどうするか
    質問
    結城さんこんにちは。
    私は自分を客観視することが苦手です。さまざまな場面(会話、人間関係、優先順位の決定、進路選択、自己分析など)で、いま自分はどのような立ち位置にいるのかが分からず、パニックに陥ってしまいます。
    客観性というものは、どうしたら身につけられるのでしょうか。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    あなたがおっしゃる場面で、冷静で客観的な判断をしようとする場合、結城は頭の中で考えるだけではうまく行かないですね。たいていはコンピュータや紙を使って「書く」という作業をします。考えていることを書く。そしてそれを読む。その二つのステップを踏まないと客観的に考えることは難しいです。
    あなたも状況が許すなら「書く」という作業を試してみてください。慣れないと、紙に「書く」というのは馬鹿馬鹿しく感じたり、すでにわかっていることを書いて何の役に立つのかと思ったりしがちです。でも、やってみるとかなり有効ですよ。
    あなたのご質問の中で「客観性を身につける」という話題が出て来ました。そのように表現すると、まるで自分がそのスキルを身につけると常時自分を客観視できると感じてしまいます。でも、それはちょっと違うと思います。
    感情的・主観的に行動するタイミングと、ふと冷静になって自分を客観視して「さっきのあれはまずかったぞ」と振り返るタイミング。その両方があるのが普通ではないでしょうか。常に冷静で客観的に行動してるように見える人はたまにいますけれど、それはもしかすると、切り替えがうまいのかもね。
    自分を客観視するというスキルは、自分の現在の行動を「ストップするスキル」と、そこからおもむろに自分を「振り返るスキル」の融合体なのかもしれません。
    あなたの質問の中にあった「さまざまな場面」には、リアルタイムな反応が必要なものと、時間を掛けてじっくり考えるものが混ざっています。どちらの場合でも、自分が「常に」客観性を保っている必要はありません。感情的・主観的なときと冷静になって客観視するときとを往復させるつもりでいいと思いますよ。
    あなたに当てはまるかどうかわかりませんが、関連する話題を少し書きます。「客観的に見る」のは「正解を見つける」のとは違います。いまこの場における「正解」を必ず見つけなくてはならないと考えたら、頭も心も動きません。「客観的に見る」というのは「正解を見つける」ことではなく、現在の状況をもとにして確かにいえる事実を積み重ねることです。
    パニックになったときに使える方法の一つは「自分は現在、うまく考えがまとめられず、パニックになっています」と唱えることです。私はよくこの手を使います。人と話すときに緊張がほぐれない場合に「自分は現在、緊張していてどうしたらいいかわからないようです」と言ってしまうのです。それは現在の状況をもとにして確かにいえる事実なので、パニックになっていてもスッと言葉にできるのです。
    自分一人で考えて混乱に陥ったときも使えます。「うーん、自分は混乱しているぞ」と言葉にします。そうやって言葉にした瞬間に、自分は自分のことを客観視し始めているともいえます。「混乱している自分」を自分が観察しているわけですから、まさに客観視です。そこから「なぜ混乱しているのだろう」や「混乱を止めるために順序立てて考えてみよう」と自分に言い聞かせて進むのです。言葉にすることで、パニックし混乱している自分を「ストップ」して、そこから態勢を立て直して「振り返る」のです。
    人によっては会話で生まれる空白の時間が恐い人もいます。意味のあることを次々に言わなければいけない! しかもそれは客観的な意見でなくてはいけない! 主観的な言葉を出してはいけない! と考えていると簡単に処理能力を越えてしまいます。もしもそうなりがちな場合には、前もって「自分のために時間を確保するセリフ」を用意しておくといいです。「うまく言葉にならないので、少し考えさせてください」や「すぐには答えられませんので、ちょっと待ってください」のように。そうやっていったん状況を「ストップ」するのですね。
    あなたの質問と、そこから関連して思ったことを書きました。何かの参考になればうれしいです。
    ご質問ありがとうございました。