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Vol.152 結城浩/構造の伝達と「核になるもの」/信頼の価値/
2015-02-24 07:00220ptVol.152 結城浩/構造の伝達と「核になるもの」/信頼の価値/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年2月24日 Vol.152
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
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新刊の話。
『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』を読み直しています。 今年は「紙に手書き」を大事にしようと思っていますので、 読み返すときもプリントアウトして手を使って校正です。 赤ペンを持って、じっくり読み込んでいきます。
レビューアさんからの指摘もメールでたくさん来ているので、 そちらもプリントアウトして読みながら、 原稿のほうに反映しています。
プリントアウトして紙に向かっていると、 何というか直接「文章に向かっている」という感覚が強くなります。 紙というモノの持つ力なんでしょうかね。 単純に「残りの分量」が直観的にわかるからかもしれませんけれど。
微分を学校で習ったのはずいぶん昔のことです。 おそらく習った直後は「いったい何を言っているのだ?」 と思ったはずです。極限の概念とあいまって、 わかったようなわからないような……。
でもやがて、何かのタイミングで、 「あ、こういうことかも」 と「悟り」のようなものが開けます。 微分の概念が飲み込めたなら、 あとは便利な道具という感じで、 高校時代の微分と楽しくおつきあいできたはずです。 大学に入るとまた別の姿が現れるのですが……
ともかく、その「悟り」のところをうまく表現できないかな、 と思って『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』を書いています。 どうぞ、ご期待くださいね!
◆『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797382317/hyuki-22/
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カフェの話。
結城はカフェで仕事をしています。 結城メルマガの原稿も、Web連載「数学ガールの秘密ノート」も、 カフェで書くことが多いですね。
先日は「変幻ピクセル」という記事をカフェで書いていました。 めずらしくコンピュータに関連する回で、コンピュータガールのリサちゃんが登場し、 ビット反転(0を1に、1を0に変換する操作)についての話題になりました。
ディスプレイに表示される光の点や、プリンタで印字されるインクの点は、 ビット反転が起きると、白黒が反転します。 コンピュータでは、画像の処理がビットの処理に置き換えられるのです。
と、そこで、トイレに行きたくなりました。 トイレに行こうとしたら、目の前で他のお客さんがさっと入ってしまったので、 入り口前でしばらく待つことに。
やがて、その人は外に出るためにドアを開けようとして……ガタガタしています。 ドアが開きません。実はその人、入ったときに「鍵を掛ける」のを忘れ、 出るときに開けるつもりで「鍵を掛けて」しまったのでした。
それを見たとき、私は「あ、ビット反転だ」と思わず言いそうになりました。
「鍵を開ける」操作のつもりが、 単にビット反転して「鍵を掛けて」しまったわけですね。
* * *
なごむ動画の話。
先日Facebookで見かけた、 「鮫のかぶりものをした猫がルンバに乗っている動画」です。 教訓とか、学びとか、知見とか、 そういうものとはまったく無関係に「なごむ動画」です。 ネコが淡々とした態度でルンバに乗って等速度運動をしている様子がよい。
◆猫の動画 https://www.facebook.com/video.php?v=10152600949487140
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もう一つ動画の話。
これも先日話題になった動画です。
それっぽく格好を付けたり、間合いを持たせたり、 数字を出したりするという表面的なことだけで、 いかにも賢そうなプレゼンテーションができますよ、 というジョーク動画です。たいへんおもしろい。
◆頭良さそうにTED風プレゼンをする方法 http://www.aoky.net/articles/will_stephen/how_to_sound_smart_in_your_tedx.htm
しかしながら、こちらの方は猫動画とは違い、 笑いつつも考えさせられるものがありました。
今週のフロー・ライティングにも登場する「信頼」についてです。 上記の「頭良さそうなTED風プレゼン」を見て笑うのはいいけれど、 ふだん見ているTEDのプレゼンは、本来どこまで信頼できるんだろう。 自分は視聴者として単純にテクニックだけを見て判断しているのではないか。
そんなことを、ちょっと考えさせられました。
* * *
内容の信憑性・信頼度の続きで、 決まり文句と判断の話。
TwitterやWebの記事を読んでいて、 「決まり文句」について思うときがあります。
以下の「決まり文句」をみてください。 こういうの、よく見かけますよね。
・絶対に認められない。 ・満場一致が必要だろう。 ・反対者が一人でもいてはならない。 ・百パーセント確実なのかね。 ・ゼロにしなくては。 ・是々非々で。 ・広く意見を聞いて判断しよう。 ・ケースバイケースじゃないの? ・多様性を尊重。 ・許容範囲だよ。
この決まり文句《だけ》を見て、何かを判断できるでしょうか。 「何の話」なのか、あるいは「状況がどうか」をはっきりさせないと、 何も判断できませんよね(できる人もいるのかな)。
でも、これらの「決まり文句」を多用する人がいて、 これらの「決まり文句」に敏感に反応する人もいる。
偉そうに書いていますが、私自身も実際の状況を知りもせずに、 これらの「決まり文句」に反応してしまうことがあります。
これらの言葉狩りをしたいわけではありません。
・自分は本当に分かって言ってるのかな? ・単に決まり文句に反応しているだけじゃないのかな?
そういう反省をしないとまずいな、と思っているのです。
* * *
考えるということの話。
以前、以下の対談記事を読みました。
◆【石井裕vs江渡浩一郎】 「ニコニコ学会β」にイノベーションとアーキテクトはいかにして生まれるかを語る https://codeiq.jp/magazine/2015/01/20915/
対談の中で石井教授がこのような発言をしていました。
-------- 石井:研究というのは、どこかの段階で、 抽象化(アブストラクション)、 原理原則化(プリンシプル)、 一般化(ジェネライゼーション)、 そしてグローバル化していく作業が求められます。 そうすることで、他の人もその研究成果や方法論を 自分の分野の問題解決に 応用することができるようになる。 --------
結城は、これに「なるほど」と思うと同時に、 「研究だけではなく、人に何かを伝えたり、 教えたり学んだりするプロセスに通じる考え方だ」 とも思いました。
ベタな知識をたくさん持っていることや、 誰も知らないことを知っているだけじゃない。 そこから、抽象化、原理原則化、一般化、グローバル化していく。
そこで思い出したのが、数学ガールに登場する「僕」 というキャラクタのことです。 彼は従妹のユーリや、後輩のテトラちゃんに数学を教える。 その際には、いくつか例を挙げた後、《一般化》をすることが多い。 一般化して、抽象化して、原理・原則を述べて、 さらには、自分の知っている世界以外へ適用する… こういう思考の進め方というのは、きっと大事なことなんだろうな。
そんなふうに改めて思いました。
あなたは、何かを学んだり、教えたりするとき、 どんなふうにその考えを進めていきますか。
* * *
不思議な立体の話。
筑波大学でCGの研究をなさっている三谷純さんがデザインした、 「見る方向によって正三角形・正四角形・正五角形が現れる立体」 だそうです。
言葉で聞いただけだと意味がわからないかもしれませんが、 以下の動画をご覧ください。 確かに、見る方向で「正三角形」「正四角形」「正五角形」が現れます。
◆A polyhedron which has regular triangle, square, and pentagon projection. https://www.youtube.com/watch?v=DMtMqBb5Z38
さらに、以下では展開図が公開されていますので、 実際に作ることもできます(!)。
https://twitter.com/jmitani/status/562613434936619008/photo/1
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さて、それでは今週の結城メルマガを始めましょう。
今週は「フロー・ライティング」のコーナーで「信頼の価値」 という話題をお届けします。 著者と読者の間にある「信頼」について考えましょう。
また、「数学文章作法のスケッチ」のコーナーでは、 「構造の伝達」という表現を練りながら、 文章を書く上で「核になるもの」の重要性を考えます。
それではお楽しみください!
目次
はじめに
フロー・ライティング - 信頼の価値
数学文章作法のスケッチ(8) - 構造の伝達と「核になるもの」
考えて、書いて、公開する楽しみ
おわりに
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Vol.151 結城浩/数学文章作法のスケッチ(7)/手書きノートのスナップショット(12)/
2015-02-17 07:00220ptVol.151 結城浩/数学文章作法のスケッチ(7)/手書きノートのスナップショット(12)/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年2月17日 Vol.151
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
* * *
新刊の話。
『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』は、 いったん作業が編集部に移ったものの、 結城の方でも並行してレビューアさんの指摘事項の検討に入ります。
レビューアさんからのメールは、 すでにメールボックスにたくさんたまっています。 これから、ひとつひとつを吟味しつつ、 指摘事項のどれをファイルに反映すべきかを検討するのです。
レビューアの指摘を検討するときには、 まず全体をよく把握して、「どこまでが反映済みか」 「どこからが未反映か」をしっかり管理することが必要です (当然のことですけれど)。
こういった「レビューのやり方」については、 以前書いた『数学文章作法 推敲編』にまとめました。 あらためて考えてみると、そこに書いたやり方は確かに有効ですね。 自分の本が自分自身に役立つのはうれしいものです (〆切を守りなさいと書かれた自分の文章がぐさぐさと刺さります)。
今回の『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』は、 そのタイトルの通り「微分」がテーマです。 「微分」は高校数学で重要な役割を果たしていますが、 「三角関数」と並んで嫌われたり苦手意識を抱かれたりしがちな分野でしょう。
数学ガールたちとの楽しい対話とていねいな歩みによって、 本書の読者さんが微分に親しんでもらえたらいいなと思っています。
新刊が出るのはいつも楽しみ!
がんばって校正を続けなくては……
◆『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797382317/hyuki-22/
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SNSの話。
SNSはいろんな問題を引き起こすきっかけになることもあるけれど、 よい可能性もたくさんあると結城はよく思います。 結城はTwitterがとても居心地がよく、いつも入り浸っています。
毎日、TwitterやFacebookで、 さまざまな人のつぶやきが流れているのを見ていると、 しみじみと幸せな気持ちになります。 まあ「さまざまな人」といっても、 自分のタイムラインに流れている人のつぶやきですけれどね。
いろんな人のつぶやきが流れていると、
「ああ、日常が流れているなあ」
と感じるから幸せなのかもしれません。 たわいもないジョークもよし、日常のあいさつもよし、 ときには議論も少し。おもしろいニュースもちらほら。 そんなTwitterから日常を感じるのですね。
あ、それで思い出した。
映画"Gravity"でサンドラ・ブロック演じる主人公の宇宙飛行士が、 たった一人で宇宙に残されたときのワンシーン。
緊急事態が発生し、宇宙船の中で孤独の中にいる主人公。 そこに地上からの無線が偶然入ってくる。 懸命に主人公は緊急事態を訴えるけれど、 どうも通信相手は英語を介さないようだ。
そこから犬の吠え声が聞こえる。 通信相手が犬の真似をして「ワオーン」という声を上げる。 それに合わせて主人公が「ワオーン」と声を上げる。
"Gravity"の宇宙飛行士は、たった一人で宇宙にいる。 地球に帰れる可能性はとても低い。 でも地球は地球で回っていて、日常生活を送っている。 半泣きの主人公と通信相手が「ワオーン」と声を合わせる。
あのシーンは強く印象に残っている。 とても本能的な、他の存在と同期したいと思う気持ちとでもいうのだろうか。 あれは何だろう。
あなたは生きている。わたしも生きている。 直接は会えないし、環境も違う。 でも、同じ時をいま生きている。
「ワオーン!」
そんな叫びを共に上げたくなる気持ち。
SNSを通して、一度も会ったことのない人とメッセージを交わす。 現代は何という不思議な時代だろう。
結城は、SNSで出会う多くの人に向けて、 「私のそばにいてくれて、私にメッセージを送ってくれて、ありがとう」 と言いたくなることがよくある。
あなたは生きている。わたしも生きている。 直接は会えないし、環境も違う。 でも、同じ時をいま生きている。
「ワオーン!」
* * *
亡くなった方の話。
先日、とある事情があって「弔電の打ち方」を調べていました。 あたりまえですけれど、クレジットカードがあれば ネット経由ですぐに弔電を打てるのですね。
◆弔電の申込み http://www.ntt-east.co.jp/dmail/okuyami/
上のページを読んでいたら「故人がキリスト教徒の場合には、 仏教用語を使わないようにしましょう」と書いてあり、なるほどと思いました。 仏教用語というのはたとえば「お悔やみ」「冥福」「成仏」「供養」「弔う」 「仏」「僧」などですね。もちろん、故人がクリスチャンかどうかを 知らない場合には配慮は難しいですけれど。
そういえば教会では「クリスチャンが亡くなる」ことを、 「神さまのみもとに召される」や「帰天する」や「召天する」などと表現しますね。 クリスチャン本人にとっての死は、自分の住まいが用意されている天国へ帰り、 神さまに会えるときだからです。
会社などでは、 宗教色を減らしたニュートラルな表現が必要になる場合もあるでしょう。 ある方から「謹んで哀悼の意を表します」という表現を教えていただきました。 これもまた、なるほどです。 故人が「成仏」するのか「帰天」するのかには言及せずに、 自分の側の気持ちとして「哀悼の意」を表すというわけですから。
そんなことをつらつらと考えました。
* * *
映画の話。
今年(2015年)の3月に、 映画「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」が公開されます。 アラン・チューリングの伝記をもとにしたもので、主演はカンバーバッチとのこと。
◆カンバーバッチ主演映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』 http://www.fashion-press.net/news/12758
「エニグマ」というのは暗号機械の名前で、確か「謎」という意味だったと思います。 ナチス・ドイツが戦争の暗号通信に使い、 チューリングはその解読に大きな役割を果たしました。 どんな映画になるんでしょうか。
◆『エニグマ アラン・チューリング伝』(アマゾン) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4326750537/hyuki-22/
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数学的な彫刻の話。
「スタンフォード大学でデザインを教えているジョン・エドマークが、 幾何学とアートを混ぜ合わせたクールな動く彫刻を3Dプリンターで制作した」 (下記Webサイトより)
◆フィボナッチ数列が生み出した、幻想的な動く彫刻(動画あり) http://wired.jp/2015/01/21/fibonacci-zoetrope-sculptures/
この動画は確かに不思議です。ストロボ撮影をうまく使って、 幾何学的な立体図形がうにゅうにゅと動いているのです。 無機的なような有機的なような、美しいけれど、少し気持ち悪くもある立体。 見てはいけないものを見てしまったような、そんな感覚も引き起こします。
こういう感覚を生み出すものをデザインできる力は、 いったいどこから来るんでしょうね。
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「真似る」という話。
先日、TEDxSeeds2011での平田オリザ氏(演出家)の講演が話題になっていました。 人型ロボットを「自然な動き」にするために、演出家が指示するという話題です。
◆人型ロボットの動きはなぜ不自然なのか? 研究者の難問を20分で解決した、ある演出家の結論 http://logmi.jp/36575
---- 「ここは0.3秒縮めてください」とか 「手の角度も少し上げてください」とか20個くらいダメ出しをしました。 20分くらいかけてプログラマーが改良してパッとやると、 格段にリアルになったんです。 ----
何か背後の理屈を作るのではなくて、 ともかくこういう動きにするというアプローチのようです。
演出家のいう通りの動きをするようにプログラミングすると、 ロボットの動きは見違えるように自然な動きになるらしいですね。 当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが、興味深く思いました。
「まなぶ」は「まねぶ」から来ているとか、 「意は似せ易く、姿は似せ難く(本居宣長)」に通じるものを感じます。
話は逸れるかもしれませんが、プログラミングを学ぶときに、 プログラムを書き写す「写経」という方法があります。 ただ目で見るだけではなくて、自分でそのプログラムをタイプする。 それによって何かが身についていく。それもまたおもしろい話です。
さらに話は逸れて、Blekというゲームを思い出しました。 これはAppleの「BEST OF 2014 今年のベスト」として選ばれたものの一つ。
◆Blek https://itunes.apple.com/jp/app/blek/id742625884?mt=8
このゲームでは、複雑に配置された丸いターゲットを消すのが目標なのですが、 その消し方がおもしろい。
「自分がなぞった一筆書きの動きが繰り返される」
ことでターゲットを消すのです。つまり、人間はコンピュータに「こう動いてね」と お手本を示す。具体的にはタブレットを指でなぞって経路を示すわけです。 コンピュータはユーザの行動を機械的に繰り返すことで、 ゲームを進めていくのです。
ターゲットの配置から正しくパターンを見抜き、 そのパターンの一つを「うまく例として提示」できれば、 ステージを解くことができます。
Learn by Example (例によって学ぶ)に通じる発想だなあと思いました。
* * *
さて、それでは今週の結城メルマガを始めましょう。
今週は「数学文章作法」シリーズの第三弾「執筆編」(仮題) の執筆状況をライブで(?)お届けする「数学文章作法のスケッチ」です。
Web連載を書いているときの「手書きノートのスナップショット」 と合わせて、どうぞお読みください!
目次
はじめに
数学文章作法のスケッチ(7) - 順番を練り直そう
手書きノートのスナップショット(12)
おわりに
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Vol.150 結城浩/再発見の発想法/ゴールとプロセス/実家で引きこもっていたときに母が言ったこと/
2015-02-10 07:00220ptVol.150 結城浩/再発見の発想法/ゴールとプロセス/実家で引きこもっていたときに母が言ったこと/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年2月10日 Vol.150
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
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新刊の話。
『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』は、第5章までまとまりました。 現在はプロローグ、エピローグ、あとがきをまとめようとしています。 レビューアさんからのレビューメールもぞくぞく来ているので、 その反映の準備も進めます。
『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』がアマゾンなどで予約開始しています。 (まだ、カバー絵はダミーで、価格も予価です)
さっそくアマゾン「微積分・解析」のランキングで第一位になっていました。 みなさん応援ありがとうございます!
◆『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』(アマゾン) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797382317/hyuki-22/
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pplogというサイトの話。
最近 pplog というサイトがちょっと気に入っている。 一言でいうなら「最後に書いたエントリだけが表示されるブログサイト」だろうか。
pplogではブログの書く記事のことを「ポエム」と呼んでいる。 といっても詩を書かなければならないわけではない。 のぞいていると、Twitterのツイートのようなつぶやきや、 ブログ記事のような真面目な話や、日常の身辺雑記などが混在している。
興味深いのは「最後に書いたエントリだけが表示される」という制約である。
つまり、書き手がたくさんのエントリ(ポエム)を書き込んだとしても、 その書き手のページに表示されるのは最後の一つだけなのだ。 表示されるのが一つだけだから、ブログサイトでよくあるような、 permalink(記事ごと個別のURL)というものは存在しない。
ユーザのトップページのURLが、最新ポエムのURLであり、 そのユーザが書いたもののうち読める全ポエムのURLでもある。
この強烈な制約によって不思議なレア感が生まれる。 体験というか、なんというか。何しろ、いま読んでいるこの書き手のポエムは、 次に来たときには、読めなくなっているかもしれない。 いましか読めない!
pplogには「コメントが付けられない」という別の制約もある。 これもまた興味深い。ブクマを付けることはできるけれど、 ポエムごとのpermalinkがないから「このポエム」に言及することはできない。
これは気楽なSNSとも見ることもできるし、 Twitterの「ひとりごと」版のようにも見える。
◆結城浩のポエム - pplog https://www.pplog.net/u/hyuki
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コミックの話。
『ダンジョン飯』というコミックを読んだ。 ダンジョンの中で魔物を「食材」にして料理を作るというユニークなコミックである。 もちろん架空の料理だから味は想像つかないのだけれど、なぜかおもしろい。 こういう発想は、いったいどこから来るんだろうか。
魔物をどう調理するかという「理性の部分」と、 食べねば死ぬという「本能の部分」がせめぎ合うところがおもしろいのだろうか。 絵も魅力的である。
◆『ダンジョン飯1』(九井 諒子) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00S0E4JW8/hyam-22/
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さて、それでは今週の結城メルマガを始めましょう。
今回は「再発見の発想法」のコーナーで「ブルートフォース」をお送りします。 技術的な用語の背後に隠れている「発想」をつかんでください。
「仕事の心がけ」のコーナーでは「ゴールとプロセス」に関したお話を。
その他にもいくつかの読み物をお送りします。
どうぞ、お読みください!
目次
はじめに
プログラミング言語を学ぶこと
再発見の発想法 - 再発見の発想法 - Brute Force(ブルートフォース)
線型性と分割統治
ゴールとプロセス - 仕事の心がけ
結城が実家で引きこもっていたときに母が言ったこと
おわりに
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Vol.149 結城浩/数学文章作法のスケッチ(6)/フロー・ライティング - 自分のために書く時間/
2015-02-03 07:00220ptVol.149 結城浩/数学文章作法のスケッチ(6)/フロー・ライティング - 自分のために書く時間/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年2月3日 Vol.149
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
* * *
現在、結城は「数学ガールの秘密ノート」シリーズの第五弾、
『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』
の第5章に取り組んでいます。 本来は1月末に全体を脱稿するはずだったのですが、 どうにも間に合わず、第1章から第4章までを編集部に送った状態。 がんばって第5章やエピローグなどを終わらせなくては。
* * *
ありがたいことに、継続的に『数学文章作法 推敲編』は人気のようです。 何名かの読者さんから、
「推敲編の電子書籍はまだですか?」
という問い合わせをもらっています。 正式なアナウンスはありませんが、結城が得ている情報からの推測ですと、 今年の4月までには『数学文章作法 推敲編』 の電子書籍版も刊行になるのではないかと思います。 正式な情報ではないので、予定が変わる可能性もありますが、 引き続き応援いただければ感謝です。
◆『数学文章作法 推敲編』 http://mw2.textfile.org/
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仕事の話。
結城は自分のタスク管理ツールを「結城タスク(YukiTask)」として公開しています。 といっても非常に単純なツールの集まりで、 しかもコマンドラインで主な作業をする人にしか有用ではありませんけれど……
◆結城タスク http://yukitask.textfile.org/
以前は手動で「色つき星取表」として管理していたものが、 現在は自動的にグラフになって表示されます。
◆結城タスクで自分の毎日の活動を「グラフ」で見る
これは確かに便利です。 自分は、意識しているよりも多くのタスクをこなしているなあ、 と感じることもありますし、逆に、 うわ、このプロジェクトにぜんぜん手が着いていない! と気付いて焦ることもあります。
自動化されて便利にはなったのですが、その反面、 意識の度合いが変化していると感じることもあります。 手動で自分のタスクの記録をつけたときの方が、 「仕事全体に目配りできていた」かもしれないという意味です。
ふと思ったのですが、もしかするとタスク管理やプロジェクト管理というのは、 「慣れてはいけない」ものだったりしませんかね。 いつも何らかの新鮮味というか、驚きが必要なのではないかということです。 慣れてしまったら、意識がそれてしまう。見逃してしまう。
適切なゆさぶりを自分に掛けて、 「新鮮な目」を持って自分の仕事を見直すというのは、 プロジェクト管理の上で大事な要素かもしれないな、と思いました。
あなたは、自分の仕事に「慣れていたために失敗した」という経験はありますか。 そして「慣れないようにする工夫」をしていますか。
* * *
言葉の話。
「偶然短歌bot」というTwitterのbot(自動的にツイートするプログラム)を知りました。 ウィキペディアの記事の中でたまたま「五・七・五・七・七」 になっているフレーズを切り出してツイートするbotだそうです。 おもしろいことを考える方がいますねえ……
◆偶然短歌bot https://twitter.com/g57577
以下「偶然短歌bot」のツイートから「偶然短歌」をいくつかご紹介します。
アルメニア、アゼルバイジャン、ウクライナ、中央アジア、およびシベリア (ウィキペディア日本語版「モロカン派」より)
底にある振動板を高速で振動させて汚れを落とす (ウィキペディア日本語版「洗濯機」より)
その直後、直子は部屋を引き払い、僕の前から姿を消した (ウィキペディア日本語版「ノルウェイの森」より)
空洞になっているため、大きさを支えきれずに壊れてしまう (ウィキペディア日本語版「マリモ」より)
フクロウが鳴くと明日は晴れるので洗濯物を干せという意味 (ウィキペディア日本語版「フクロウ」より)
* * *
教師の話。
結城はよく、カフェで書き物をしています。
先日のこと、カフェで仕事をしているときに、 隣の席でマンツーマンの英語レッスンが始まりました。 これはよくあることです。
どういう仕組みになっているかは知りませんが、 日本人と外国人が二人ペアでやってきて、 世間話から始まり、日本人が自己紹介の練習や、 最近興味を持っていることなどの話をするのです。
講師役の外人さんは、日本人の表現をときどきチェックしたり、 たまにテキストを取り出して説明したり。
ところで、先日の講師役の先生、英語が非常に聞きやすくて説明もうまい。 無関係な仕事をしている結城も、講師の説明につい聞き入ってしまうほどでした。 教え方がうまい教師というのは魅力的なものだなあ……と感服しました。
何が「うまい」のかを観察してみると、「変化」がうまいようですね。
・声の大きさの変化 ・話のスピードの変化 ・話題の変化
それらを駆使して、生徒の注意をそらさない。 現在のトピックに意識を集中させる。 そして「次は何?」という気持ちを絶やさない。
なるほどなあ、と思いました。
……などと感心していては、結城自身の仕事が進まないので、 その日はそうそうに引き上げることにしたのですけれどね。
* * *
数学の話。
大学入試センター試験の数学に《平均変化率》の話題が出ました。 これは、ちょうどいま書いている『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』 に登場する話題でもあるので、興味深く読みました。
以下問題文。
◆2015年センター試験 数2B 第2問 http://www.toshin.com/center/sugaku-2b_mondai_2.html
読んだついでに手書きで解答を作りました。以下の通り。
◆2015年センター試験 数2B 第2問(1)
TwitterでつぶやいたらたくさんRTしていただきました。 問題そのものは《平均変化率》や《微分》の定義をよく理解していれば簡単で、 理解していなければ難しいものだと思います。 時間制限なしで一問だけ解くのと、 たくさんの問題を限られた時間内で解くのとでは状況はまったく違いますし。
特に、(1)が解けないと先がまったく進まなくなるので、 出鼻をくじかれてしまって焦った受験生もいるのではないでしょうか。
毎年、受験生はこの寒い季節に受験するわけですが、 なんとかみんなが実力を十分に発揮できますように!
* * *
「ゆるす」ということについて。
以下は結城の連続ツイート(連ツイ)です。 最初のツイートが「キリスト教とは関係のない話」となっていますが、 内容的にはばっちり関係があるので、 そういう話が嫌いな方はスルーしてください。
◆人をゆるすとか、ゆるさないとかいうときに、結城個人が考えていること。 http://rentwi.textfile.org/?557166681206689795
* * *
さて、それでは今週の結城メルマガを始めましょう。
今回は、最近連載中の「数学文章作法のスケッチ(6)」をお届けします。 アウトラインをいじるだけではなく、 「ベタ」な文章の部分を書くときに「何をどう考えるか」という話題です。
そして、数学文章作法に相反するような、相反しないような、 そんな内容の「フロー・ライティング」をお送りします。
Q&Aのコーナーでは、 購読者さんからの質問「結城さんの蔵書は何冊ですか?」 にお答えします(答えているかどうかは微妙ですが……)。
自己矛盾をはらみつつも進む今週の「結城メルマガ」。 どうぞ、お読みください!
目次
はじめに
数学文章作法のスケッチ(6) - 一つの文から始まる展開
フロー・ライティング
Q&A - 結城さんの蔵書は何冊ですか?
おわりに
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