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記事 4件
  • Vol.191 結城浩/何をねらって本を書くか/読者を置いてけぼりにしない/正当な評価 - 仕事の心がけ/

    2015-11-24 07:00  
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    Vol.191 結城浩/何をねらって本を書くか/読者を置いてけぼりにしない/正当な評価 - 仕事の心がけ/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年11月24日 Vol.191
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    月刊群雛の話。
    先週もお伝えしましたが、 結城浩は『月刊群雛』という電子雑誌の12月号(11月24日売)に、 ゲストコラムを寄稿しました。タイトルは、
     「セルフブランディングで大切にしていること」
    です。この文章は、 これから売り出すクリエイタさん向けに書いたもの。 ちょうどこの結城メルマガが届く日に、 電子書籍ストア各店から配信される予定です。
     ◆群雛ポータル  http://www.gunsu.jp/p/books.html
    なお、編集長から転載許可を得ていますので、 もしかしたら「結城メルマガ」に結城のこのコラムを、 後日掲載することになるかもしれません(未定です)。
     * * *
    書店さんの話。
    先日はSBクリエイティブ営業さんの案内で、 書店さん何件かへご挨拶にうかがいました。 結城浩の本を読者さんに届けてくださることに感謝し、 新刊『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』のお願いのためです。 お忙しい中、お時間を取ってくださった多くの方々に感謝します。
    主にプログラミング関連書籍と数学・理学関連書籍のコーナーをまわりました。 店長・副店長さんへのご挨拶はもちろんのこと、 書店員さんに直接お礼を言えたのがうれしかったですね。 読者さんのようす、結城の本を買ってくださる方々の話など、 現場でなければわからないことを多々うかがいました。
    書店員のみなさんはとても本が大好きで、 みなさんそれぞれに熱く自分の現場のことを語ってくださいました。 わたし自身もすごくいい刺激を受けましたね。 結城は著者として、読者さんのことを注目しているつもりですが、 書店員さんの目というのは、また独特です。大変勉強になりました。
    ある書店員さんは、結城の本のことを熟知していて、 わたし自身が圧倒されるほどでしたよ。 わたしの本がいつ、どれだけ売れてるか、詳細に把握しているのです。 『暗号技術入門』の動きにはみなさん口々に驚いておられました。
    結城は多くの仕事の時間を一人で過ごしますが、 今日のようにわたしの本をていねいに・熱心に取り扱い、 売ってくださる書店員さんの話を聞くのは非常に良い経験でした。 その信頼に応えるため、しっかり書かなくては! と心を新たにしています。 今回座持ちをしてくださったSBクリエイティブの営業さんにも感謝します。
    ところで、ジュンク堂書店池袋本店さんでは、 ずっと「結城浩書店」という企画を行ってくださっています。 とっても強く「結城推し」してくださり、たいへん感謝です。 「結城浩書店」コーナーでは、結城の本はもちろんのこと、 さまざまなジャンル(プログラミング、数学、絵本……)で、 結城がオススメする本が並べてあります。
    今回お邪魔したときに、色紙とPOPを書かせていただきました。 実はここには、結城が10年前に書いた色紙もあるのです(!)。 びっくりですね。
    以下のツイートでは、結城の書いた色紙の写真がありますが、 そこでは「2005年4月」と「2015 11/6」という日付も見えますね。
     ◆ジュンク堂書店池袋本店さんの色紙写真ツイート  https://twitter.com/junkudo_ike_pc/status/662551826336604161
    本を書く仕事をしている身として、 結城はいつも書店さんに深く感謝をしています。 何しろ、読者さんに本を渡す「アンカー」の役目を果たしているわけですから。
     * * *
    営業さんの話。
    先日、上でお話ししたように、 SBクリエイティブの営業さんと書店さんに行き、 書店員さんの話を聞いたり、書棚を巡ったりしました。
    そんな中、本のPOP(宣伝用の小さな紙の広告)が倒れていたり、 平積み本が斜めになっていたりすると、 営業さんはそれをこまめに直していることに気付きました。
    書棚の間を結城とおしゃべりしつつ、 営業さんは倒れたPOPを立て、本を揃えていきます。 とても自然なしぐさで、おそらく無意識に。 たとえ、斜めになっているのが他社の本であっても。
    とっても素敵ですね。
     * * *
    誤植の話。
    誤植がゼロという本は恐らくほとんどないと思います。 結城の本は誤植がかなり少ない方ですけれど、 残念ながらゼロにはならないですね。
    誤植が多い本は読むのがつらいものです。 先日、ある数学系の参考書を読んでいて、 誤植が多くてつらい思いをしました。
    本を読んで「内容」に集中したいのですけれど、 少しの間隔をあけて誤植が見つかるので、 頭がそのたびに「校正モード」に切り替わってしまうのです。
    特に、今回ひっかかった本は、 本全体のテーマに関わるキーワードを著者がコピペミスしていて、 しょっちゅうまちがった単語が登場するのです。 これは、読んでいてかなりつらい体験でした。
     ◆誤植が多い本を読んでいるときの結城(イメージ図)
    誤植が多いと読みにくいのはもちろんですが、 テキストに関する信頼が落ちる難点もあります。 読者が、入り組んだ文章を読み解いたり、 細かい数式を追うためには、本に対する「信頼」が必要なのです。
    「ここにはきっと大事なことが書いてあるはず」や、 「この数式を追うことには意味があるはず」と思って読者は読む。 でも、誤植があちこちに見つかると、 読者の心には「ほんとにちゃんと校正したのかなあ」や、 「数式にまちがいがあったらいやだなあ」という思いが浮かびます。 もちろんこれらの思いは読み進める意欲を落としてしまいますね。
    今回は、あまりにも誤植が多かったので、 途中から「この本を校正してやろう」という気持ちに切り換えました。 すると、意外に理解が進むこともわかりました(苦笑)。
     * * *
    本と旅の話。
    村上春樹の『遠い太鼓』が電子書籍化予定とのことです。 異国で暮らしながら作品を書く、ギリシャとイタリアの滞在記ですね。 結城はこの本、すごく好きです。何度も読み返しました。
    どうしてこの本が好きなのか、うまく説明できないんですが、 郷愁を感じるというのか。旅情を感じるというのか。
     ◆『遠い太鼓(講談社文庫)』(村上春樹)  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B01710YP4I/hyam-22/
    そういえば、妻からよく「あなたはどこででも仕事できるんだから、 海外を旅しながら仕事をしてもいいわけよね?」と言われる。
    確かに理屈はそうだし、 「海外を旅しながら文章を書いて生活する」 なんて生活ができたらいいのかもしれないけれど、 なぜか毎日同じカフェの同じ席で文章を書いている。
    判で押したように同じ生活の方が、 文章の微妙な手触りを明確に感じ取れるというのだろうか。 自分でも、よくわからない。
     * * *
    旅といえば。
    つい先日、町を歩いていて外国から来た方とおしゃべりした。 観光で東京に来ている若いご夫婦だ。 スイスから来たという。 スラッとした奥さんとひげもじゃの旦那さん。
    そのときのきっかけは、 道路で奥さんの方がカメラを構えていたので、 結城がちょっと立ち止まったことだった。 結城はそういうことがよくある。
    結城は、 「日本はいい国でしょう? ぜひ楽しんでくださいね。 外国からのお客様を歓迎していますよ!」 と拙い英語で言う。
    ご夫妻のほうも拙い英語で、 「ありがとう、 この国はとっても素敵だよ。安全だし、明るいし、 みなさん優しいし!」 と答える。
    たったこれだけの会話だけど、 小さいながらも大切な外交ではないだろうか。 と思った。
    これだけのちょっとしたやり取りでも、英語だ。 スイスの若夫婦と日本の文章書きを繋ぐのは、英語だ。
    学校で学んだ英語で小さな外交ができる。 異国の人とちょっぴり話し合って、握手ができる。 これはすばらしい「言葉の力」ではないだろうか。
     * * *
    理解と説明の話。
    いつも思うし、結城メルマガにも何度も書いていること。 「本を書く」のは、自分が学ぶいい機会である。 本を書くということは、知らない人にもわかるように説明しようとすること。 そして、真剣に説明しようと試みてはじめて、 「自分がほんとうには理解していなかった」と気付くことになる。 ひとは、自分が理解してないことを本に書くことはできないからだ。
    『数学ガール/フェルマーの最終定理』を書いてはじめて、 「互いに素」を理解したような気がする。
    『数学ガール/ガロア理論』を書いてようやく、 線形空間(ベクトル空間)と「お友達」になれた感覚がある。
    『数学ガール/ゲーデルの不完全性定理』を書いてはじめて、 「形式的体系」や「証明可能性と真偽の差異」を理解したかもしれない。
    『数学ガール/乱択アルゴリズム』を書いてはじめて、 確率分布が腑に落ちた感じがする。
    「数学ガール」シリーズに登場する高校生の「僕」は、白い紙が好きだ。 『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』で「僕」が、 いとこのユーリに言ってたことを思い出す。
     ほら、ここに白い紙がある。  ここに図を描いて説明してごらんよ。
    そうやって「僕」はユーリに cosθの説明をうながす。 白い紙を渡され、何も見ずにそこに書けたことだけが、 あなたの理解していることなのだと言わんばかりに。
    結城はいつも自分に対して、同じように言い聞かせている。 本を書いてみよ。そこに書けたことだけが、 自分の理解していることなのだよ、と。
     * * *
    手紙の話。
    私はこの「結城メルマガ」を手紙のような感覚で書いています。 もちろんメールなんですから、 あたりまえといえばあたりまえなんですが。 「あなた」への手紙という感覚で書いていると、 何だかとてもしあわせな気持ちになるんです。
    手紙といえば、よく使われる表現として「未来への手紙」 というフレーズがあります。 でも、考えてみるとすべての手紙は「未来への手紙」ですよね。 「過去への手紙」を出すのは極めて困難ですから!
     * * *
    さて、それでは、 そろそろ今週の結城メルマガを始めましょう。
    あなたへの手紙、未来への手紙を、 どうぞ、ごゆっくりお楽しみください!
    目次
    はじめに
    何をねらって本を書くか - 本を書く心がけ
    読者を置いてけぼりにしない - 文章を書く心がけ
    正当な評価 - 仕事の心がけ
    お絵描きマイブーム
    おわりに
     
  • Vol.190 結城浩/子供は、親の言葉ではなく行動を見る/フロー・ライティング - 恐れずに、あたりまえを書く/

    2015-11-17 07:00  
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    Vol.190 結城浩/子供は、親の言葉ではなく行動を見る/フロー・ライティング - 恐れずに、あたりまえを書く/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年11月17日 Vol.190
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    新刊の話。
    さて2015年11月17日(火)つまり本日ようやく、 『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』が刊行の運びとなりました。 やっと! 本日以降、全国の書店さんに本書が並ぶことになります。 今年三冊目の本です! 感謝です!
     ◆『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』  https://bit.ly/girlvector
    それに先だって、先週末から結城のサイン本が先行販売されています。 数が限られているので、 すでに完売になってしまった書店さんが多いかと思います。 すみません……ただし、 今回は一部のチェーン店さんで「メッセージカード」 特典つき販売企画もありますので、 ご興味のある場合にはぜひ以下のページを確認してくださいね。
     ◆サイン本&メッセージカード 取り扱い店舗一覧  https://bit.ly/vectorshop
    メッセージカードは結城の手描きメッセージを印刷したもので、 裏面には「数学ガール」シリーズの名セリフ(?)の抜粋が印刷されています。
    いよいよ刊行の『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』を、 ぜひ応援くださいね!
     * * *
    著書の話。
    先日作成した「結城浩の著書一覧」を更新しました。 『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』で結城の著書は44冊になります。 この冊数は「本という物理的な形になったもの」をカウントしています。 電子書籍は数えず、上下巻は2冊として数え、改訂版なども別の本としてカウントしています。
     ◆結城浩の著書一覧(PDF)  http://www.hyuki.com/pub/pubs.pdf
    ちなみに、上下巻を1冊としてまとめてカウントし、 改訂版・増補改訂版・新版などもまとめてカウントした場合、 いわば「タイトル数」としては28タイトルになりました。
    二十二年で44冊(28タイトル)。 読者さんの継続的な応援に深く、深く感謝します。
     * * *
    文章を書くスピードの話。
    あるライターさんから、 「一時間に何文字くらい書きますか」というご質問をいただいたので、 それに対して、以下のような返事を書きました。
    難しい質問です。 これまで何回か「一時間に何文字くらい書くか」は測ったことがありますが、 毎回忘れてしまうんです。
    私の仕事の場合、書くプロセスの中で「単位時間あたりに執筆できる文字数」は、 あまり重要ではないことと、 ばらつきがとっても大きいというのが毎回忘れる理由だと思います。 つまり「自分は一時間に何文字くらい書けるから、○○できる」 という言葉にあてはまる「○○」はほとんどないという意味です。
    必要な調べ物などがすっかり済んで、 「あとは書くだけ」という状態になった状態なら、 おそらく「一時間に3000文字くらい」文章を書くことができます。
    でも、短いメールならいざ知らず、普通の文章の場合、 一回書いて完成!となることはほとんどありません。 読み返す回数を増やせば増やすほど、 「一時間に書ける文字数」としては減っていくことになりますね。
    ただもちろん、より大きな単位では、自分の書ける分量を把握しています。 たとえば、結城メルマガの場合には丸一日掛ければ一回分を書き上げられるとか、 Web連載の一回分も丸一日掛ければ書き上げられる、 といった把握は(当然ながら)必要です。
    『数学文章作法 推敲編』にも書きましたが、品質を上げるためには、 繰り返し読み返すことがどうしても必要になります。 繰り返して読むのは「へんなところ」「気になるところ」「ひっかかるところ」 を見つけるのが基本です。そして、それらをちまちまと直していく。 ちょうどざらざらした表面に紙やすりを掛けていくようなものですね。 少しずつ目の細かい紙やすりに取り替えながら。
    そして最後には、できるだけすべすべの手触りのよい表面にする。 そういう感じでしょうかね。
    早く書く能力が必要になるとしたら、 この「読み返す時間を確保するため」といえるでしょう。 早く第一稿を書き上げることができれば、 それだけ多くの読み返す時間を確保できるからです。
     * * *
    月刊群雛の話。
    結城浩は『月刊群雛』という電子雑誌の12月号(11月24日売)に、 ゲストコラムとして「セルフブランディングで大切にしていること」 という文章を寄稿しました。『月刊群雛』は、 インディーズ作家を応援するマガジンとのこと。僭越ながら、 これから売り出そうとしているクリエイタさんへ向けて書いたつもりです。 よろしければお読みください。2015年11月24日発売です。
     ◆群雛ポータル  http://www.gunsu.jp/p/books.html
    なお、編集長から転載許可を得ていますので、 もしかしたら「結城メルマガ」に結城のこのコラムを、 後日掲載することになるかもしれません(未定です)。
    月刊群雛に書いたコラムには、 SNSとの付き合い方の話も書いたのですが、 それを書きながら思っていたことを少し書きます。 原稿には書かなかったことです。
    Twitterをどう使うか、Twitterでどう振る舞うべきかというとき、 フォロワー数によって、まったく「見える景色」が違うだろうな、 と思います。 フォロワー数が数人、数十人、数百人、数千人、数万人、数十万人、 それ以上で、状況はおそらく驚くほど違うはずです。
    たとえば、作品について質問がある読者が、 「著者に直接Twitterで聞く」のはいいことでしょうか。 著者によって考え方は違うし、 また、フォロワー数によってもずいぶん意味が変わってくるでしょう。
    フォロワー数が多ければ、質問数も多くなるだろうし、 それに答えていたら本業が進まなくなってしまう。 でも、現在売り出し中の著者ならば、 読者の質問に答えることは重要な販促活動になりえる。 いちがいに「こうすべき」とは言えないと思います。
    ちなみに、結城はどんなことでも、 Twitterで聞いてもらえるのはウエルカムである。 答えられるかどうかは別だし、答えるかどうかも別だけど、 聞いてもらうこと自体はありがたいと思っている。
    でも、著者によっては「直接聞かれても困る」という人もいるだろう。 それを一律にこうせよ、と決めるわけにはいかない。 これは、現代的なコミュニケーションの課題なのだ。
    SNSはリアルタイムである。 著者は、どんなSNSのどんなチャネルを誰に向けてどう開くのか。 それを使って何をアピールするか(しないか)。 どんなサービスをするか(しないか)。 クリエイタは、そのグランドデザインを自分で考える必要がある。 他の人は誰も考えてくれないからだ。
    結城は「こういうこと」が大好きだから、 ネットでもいろいろ書くし、リアルタイムなやりとりもする。 誰からのどんな話も基本的には答える心づもりはある。 でも、もし、フォロワー数がいまの10倍になったら、 変わるかもしれない。
    基本的にはウエルカムと言っても、 答えられないときもあるし、答えないこともある。 場合によってはミュートしたり、ブロックしたりもする。 それは「相手が悪い」というよりは、相手と私との相性や、 タイミングが悪いということが多いのだけれど。
    そんなことを考えながら『月刊群雛』のコラムを書きました。
     * * *
    LaTeXの記号入力の話。
    Detexifyというサイトを @Sangyoh_sus さんのツイートで知ったのでご紹介。 ここは、ユーザが「手書き」した記号を、 LaTeXでどうしたら出せるか教えてくれるサイトです。
     ◆Detexify  http://detexify.kirelabs.org/classify.html
    たとえば、合同式でよく使う三本線のイコールは、 以下のように手書きすると、equivというコマンドであることがわかります。
     ◆Detexify(スクリーンショット)
    同じように三重積分の書き方もこんなふうにわかります。
     ◆Detexify(スクリーンショット)
    何だか楽しいですね。
     * * *
    手描きといえば……お絵描きツイートの話。
    先日から何回か「手描きイラスト」や、 「数学の問題を手描きで出題」という話題を書いています。 手描きで数学の問題を出すというのは出題側の都合です。 要するに手描きは「楽」で「楽しい」のです。 Twitterでは簡単に数式を出すことはできません。 けれど手描きなら簡単に数式を書くことができます。
    たとえば、先週も紹介したように、 こんな感じの画像になります。

    数学の問題の内容はさておき、 このような画像をどうやって作っているかを簡単に書きます。
    おもしろそうな問題のアイディアが湧いたので、 描いてみたいなと思ったとします。 そのときにけっこういいのが「小さなスケッチブック」です。
    スケッチブックというと絵を描く人が持っている大きなものを想像しますが、 普通のノートの半分の大きさ(つまりB6)のスケッチブックなんてものがあるんですよ。 これは持ち運びも楽ですし、とても気軽に描けてよいです。
     ◆マルマン スケッチブック B6  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001DHJK5K/hyam-22/
    スケッチブックを開いて、そこに手描きで図や文章を書いていくとき、 私がいつも使っているのはフリクションボール。 これはきれいに描けるのでオススメです。
    フリクションボールというのは、 一言でいえば摩擦熱で消えるボールペンですね。 まちがっても簡単に消せるのでとってもいい。 消しゴムカスも出ず、きれいに消えます。 いろんな色があり、太さも0.35, 0.5, 0.7などを選べます。
     ◆パイロット フリクションボール  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B008JHQCU8/hyam-22/
    なお、結城も最近知ったことですが、 フリクションタイプの「蛍光ペン」もあるようです。 つまり、かきまちがったら消すことができる蛍光ペンですね。 これも、機会があったら使ってみたいところです。
     ◆パイロット 蛍光ぺン フリクションライト  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00F6N56F0/hyam-22/
    さて、スケッチブックにフリクションボールで絵や文字を描いた後、 どうやってツイートするか。まずは、iPhoneで撮影します。 普通にカメラで撮ってもいいですが、 結城はScannable や Instagram というアプリを使っています。
    Scannableは自動的にドキュメントとして画像処理を行う機能があります。 つまり、細かいヨゴレやゴミや変な影を取り除き、 紙に印刷されたモノクロ文書のように変換してくれるということです。
     ◆Scannable  https://evernote.com/intl/jp/products/scannable/
    こういう機能を持ったアプリは一般に「スキャナアプリ」 と呼ばれています。結城はScannableの他に、 TurboScanやOffice Lensというスキャナアプリを使っています。
     ◆TurboScan  http://turboscanapp.com
    撮影した画像はiPhoneの写真「カメラロール」に保存されます。 結城はそこからAutodesk Pixlrというアプリで少し加工します。
     ◆Autodesk Pixlr  https://pixlr.com/mobile
    加工と言ってもたいした話ではなく、 色を整えたり、背景を設定したりというくらい。 それで変換した画像もやはり、カメラロールに保存します。
     ◆スケッチブックを撮影した直後の画像
     ◆画像をスキャナアプリでドキュメントに変換し、背景を設定した画像
    最後に、Twitterアプリを開いて、 カメラロールに保存していた画像を添付して送信します。 これでみなさんに楽しんでいただけるツイートになりました。
    そういえば余談ですが、 最近結城が「手描きツイート」を気に入っている理由を一つ思い出しました。 『三省堂国語辞典』の編集委員をなさっている飯間浩明さんが、 よく「手描きツイート」をするんですよ。 たとえば、こういうツイート。
     https://twitter.com/IIMA_Hiroaki/status/660465722326298624
    なかなか手描きが良い味を出しているなあ……というのが印象に残っていて、 それは「手描きツイート」を始めた一つのキッカケかもしれません。
     * * *
    さて、それでは、そろそろ今週の結城メルマガを始めましょう。
    どうぞごゆっくりお楽しみください!
    目次
    はじめに
    フロー・ライティング - 恐れずに、あたりまえを書く
    働くことと選択と - 仕事の心がけ
    子供は、親の言葉ではなく行動を見る - 教えるときの心がけ
    何のために生きるのかという問い
    おわりに
     
  • Vol.189 結城浩/再発見の発想法 - 公開鍵暗号/著者として、図書館について思うこと/ほめられることほめること/

    2015-11-10 07:00  
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    Vol.189 結城浩/再発見の発想法 - 公開鍵暗号/著者として、図書館について思うこと/ほめられることほめること/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年11月10日 Vol.189
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    新刊の話。
    いよいよ『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』 の刊行が来週に迫ってきました。今週の金曜日には、 書店さんに配本される「サイン本」を作るために編集部へ行きます。 その頃までには、印刷所から編集部にサイン用のベクトル本が送られ、 山のように(大げさな比喩)積まれているはずです。
    サイン本を作るのは(作れるのは)感謝な作業です。 一冊一冊感謝を込めながら「スレッドお化け坊や」のアイコンを描きます。
    サイン本にはもちろん限りがありますが、 今回はその他に「メッセージカード」が封入されている書籍も用意されます (一部の書店さん)。サイン本への要望が多いことと、 物理的にサイン本を作るのには限界があること、 でも一人でも多くの読者さんに喜んでもらえるようにと用意するものです。
    詳しい情報は、 出版社さんからアナウンスの許可を得てから展開する予定です。
    出版までもう少し。もうちょっと、お待ちください!
     ◆『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』  http://note6.textfile.org/
     * * *
    Twitterで使う数学記号の話。
    数式を含む文章を公開するときには、 LaTeXを使ってPDFにしたり、MathJaxでWebページを作ったりします。 でも、簡単な数式をツイートしたいときもあります。 たとえば、以下のようなものです。
     ◆簡単な数式(Twitterのスクリーンショット)
    ここには、xの3乗やxの2乗のように、 右上に小さく指数の数字が表示されています。 実はこれ、普通にUnicodeで規定されている文字なので、 入力さえ出来ればふつうにTwitterで使えます。
    結城はiPhoneの Uniconsole というアプリを使っていますが、 「Unicode 入力」などで検索すれば、 さまざまなサービスやアプリが見つかると思います。
     ◆Uniconsole (公式サイト)  http://www.uniconsoleapp.com
    指数の数字以外にも、実数を表すRや有理数を表すQなど、 数学で使う文字が入力できて便利です。 さらに、それらを「じっすう」や「ゆうりすう」などで登録しておくと便利です。
     ◆Twitterでのやりとり(スクリーンショット)
     * * *
    Twitterの「投票」機能の話。
    Twitterに「投票」機能が付きました。 でも「投票」というよりは「ネタ」として遊んでいる人が多いみたいです。 結城は「投票」というよりは「クイズ」のように楽しんでいます。
    たとえば、プログラマ向けのクイズとして、 「false xor true(は何になるか)」という問題を出しました。
    xorというのは「排他的論理和」と呼ばれる演算子で、 二つの値が不一致のときにtrueとなるものです。 falseとtrueでは不一致なので、答えはtrueになります。
     ◆false xor true(スクリーンショット)  https://twitter.com/hyuki/status/658586117353025536
    このクイズには76%の人が正解していましたね。
    Twitterでフォロワーさんとやりとりするのはとっても楽しい!
     * * *
    楽しいといえば、手描き問題の話。
    前回の結城メルマガでも書きましたが、 「イラスト」というか「お絵描き」のマイブームは続いています。
     ◆Web連載の紹介イラスト
    ここでは「1の2乗、2の2乗、3の2乗……をnの2乗まで加えたらどうなるか?」 というWeb連載のテーマをイラストにしています。 お化け坊やの腕ぐみ、できてませんが。
    描くのがどんどんおもしろくなってきたので、 スレッドお化け坊やのキャラを使って、 やさしい数学のお話を描いて楽しんでいます。
    まずは、四角形の分類のいちばん楽しいところ。 長方形・ひし形・正方形の分類のお話です。
     ◆長方形・ひし形・正方形のお話。
    それから、数式の展開のお話。 このように動きがある説明には絵が便利ですね。
     ◆数式の「展開」についてのお話(その1)
     ◆数式の「展開」についてのお話(その2)
    この「展開」のお話を踏まえて、因数分解の問題はいかがでしょう。 答えは後ほど。
     ◆数式の「因数分解」についての問題
    他にもたくさん問題を作りましたので、 あわせて後ほど紹介しますね。
     * * *
    お仕事時間の話。
    結城は毎日のように仕事をしながらツイートをしています。 その結果、一日の終わりには、 まるで自分の作業記録のような連ツイ(連鎖ツイート)ができます。
    ある日、2015年10月29日(木)の執筆の様子は以下のような感じでした。 この日は木曜日なので、金曜日更新のWeb連載を書く一日です。
     08:56 家を出て散歩がてら「森を抜けて仕事場へ」向かいます。  09:31-11:13 執筆(約1時間半)  12:50-13:59 執筆(約1時間)  14:48-15:42 執筆(約1時間)  16:22-17:10 執筆(約50分)  17:15-17:34 執筆(約20分)  18:11-20:23 執筆(約2時間)
    ここまでで、累計執筆時間は7時間になっています。 ここでいったん「ひとさまにお見せできる状態」になったので、 Webページ更新のための予約投稿を行い、 あとは時間が続く限り推敲と校正を行いました。
    執筆時間の推移をみますと、 午前中はまだ元気なので1時間や1時間半の執筆ができていますが、 午後から夕方に掛けて疲れが出てきたのか時間が短めになっています。 でも、投稿直前には急に元気を出して2時間連続の活動をしています。 確かに、主観的にもそんな感じを受けます。
    おもしろいなあと思うのは、 別に時間を見て休憩を入れているわけではないのに、 ほぼ一定時間に区切りを入れたくなるという点。 やっぱり執筆は労働なのかもしれないなあと、 いまさらながら思います。休憩大事です。
     * * *
    休憩といえば、リラックスするアプリの話。
    結城は文章を書いている頭をリセットするときに、 iPhoneでちょっとパズルゲームを楽しむことがあります。 この結城メルマガでもこれまでにいくつかのゲームを紹介してきましたね。
    今日は、先日WIRED.jpで見かけた「Pause」というアプリのご紹介。
     ◆デジタルインクの「しみ」に我を忘れる、美しいアプリ「Pause」(WIRED.jp)  https://wired.jp/2015/10/26/beautiful-new-app-pause/
    といってもこれはパズルゲームではありません。 分類は何だかわかりませんが、しいていえば「リラックスアプリ」でしょうか。
    アプリを起動して、iPhoneの画面で指をゆっくり動かすと、 指のまわりに美しいグラデーションの粒子がふわふわふわっと集まってきて、 だんだん大きな「しみ」を作っていく。そんなアプリです。
    言葉で説明するのもなんなので、 実際に結城がiPhoneで動かしているところを「録画」してみました。 指の動きに合わせて「しみ」が動いて大きくなっていきます。
     ◆じわじわと「しみ」を広げてリラックス。アプリ"Pause"  https://youtu.be/S0sG6Kb4PkE
    最初は「何じゃこれ?」と思ったのですが、 何回か使ってみるとだんだん楽しくなってきました。
    子供の頃、醤油ラーメンを食べたときのことを思い出します。 ラーメンのスープの上に細かい油の粒が浮かんでいる。 それをつつくと、次第に粒が集まって大きなマルを描く。 夢中になって遊んでいて、 親に「早く食べなさい」と言われたことを思い出しました。
    そんな個人的な思い出はさておき、 こういう美しいグラフィクスのアプリ、 自分でも作ってみたくなりますね……
     ◆PauseAble - Relaxation at your fingertip(公式ページ)  http://www.pauseable.com/
     * * *
    それでは今週の結城メルマガを始めます。
    今回は「再発見の発想法」のコーナーで、
     公開鍵暗号
    についてお話しします。
    また「本を書く心がけ」のコーナーでは、
     「著者として、図書館について思うこと」
    をお話しします。この文章は、 図書館の関係者から強い賛同を受けた、 結城の連ツイをもとにしています。
    どうぞごゆっくりお楽しみください!
    目次
    はじめに
    再発見の発想法 - 公開鍵暗号
    著者として、図書館について思うこと - 本を書く心がけ
    数学の問題を手描きイラストで出題
    ほめられることほめること、愛されること愛すること - 教えるときの心がけ
    おわりに
     
  • Vol.188 結城浩/村上春樹『職業としての小説家』を読みながら/結城浩ミニ文庫/自分がユーザになるツール/

    2015-11-03 07:00  
    216pt
    Vol.188 結城浩/村上春樹『職業としての小説家』を読みながら/結城浩ミニ文庫/自分がユーザになるツール/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年11月3日 Vol.188
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    この「はじめに」を書いているのは11月2日なんですが、 すっごく、寒いんです! 雨だし!
    ……すみません。こほん。
    気を取り直して……もう、11月なんですね。早いです。
     * * *
    新刊の話。
    いよいよ、『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』の刊行が間近に迫ってきました。 たなか鮎子さんのイラスト、米谷テツヤさんの装丁によるカバー画像ができたので、 いそいそとランディングページを作りました。
     ◆数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実 | 結城浩  http://note6.textfile.org/
    ランディングページはいつもの通り「でんでんランディングページ」 というツールを利用しています。
     ◆でんでんランディングページ  http://lp.denshochan.com
    このツールはTumblrというサイトのテーマとして実現されています。 Tumblrの無料アカウントに設置することで、 無料で自分の本のランディングページが作れることになります。 とてもたすかります。
    そして、サイン本。
    『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』の、 サイン本無料プレゼントという企画を行っています。 この結城メルマガが配信される2015年11月3日(火)が〆切ですので、 忘れずに、ぜひお申し込みくださいね。
     ◆『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』《サイン本無料プレゼント》  http://snap.textfile.org/20151017123720/
     * * *
    「私だけは特別」の話。
    あるとき、道を歩いていて出し抜けにこんなことを考えました。
     「自分は他の多数の人とは違う考え方をしている。   だから自分だけはそんな失敗を絶対しない」  ……と考えて失敗する人が、実はとても多いのではないか。
    ちょっとややこしすぎますかね。
    要するに、こういうことです。 誰か他の人の失敗を見て「あーあ、だから言わんこっちゃない」 と思う場合って、程度の差はあれ、誰しも経験あると思います。
     あの人はこういうふうに考えてうまくいくと思ったんだろうな。  そういう人、確かに多いかもしれない。  でも、私は違う。私だけは特別。  私はそんなふうには考えないから、同じような失敗はしない。
    ……と考える状況を想像してください。 でも、そういうふうに考えて、 その上で(他の大多数と同じようなルートをたどって)失敗する人、 多いのではないかなあということです。
    一言でいえば「他山の石」ということわざを軽視する人が多い、 ということですが。
    この話のポイントの一つは、 「自分は他の多数の人とは違う考え方をしている」という考え、 その考えそのものが、実はありふれた考えであるという点です。 つまり「私は他のみんなとは違う」「私だけは特別」と考えるのは、 多数の人と同じ考え方なんじゃないでしょうか。
    で、注意を怠るから、失敗が多い。
    あなたは、以下のどちらの傾向が強いですか。 誰かが失敗しているのを見たときに、どう思いますか。
     1.こういう失敗をする人は多い。    でも、私は違う。私だけは特別。
     2.こういう失敗をする人は多い。    ということは、私も同じ失敗をする可能性がある。
    え、結城は「1」と「2」のどちらかって?
    私は、たいてい「2」のように考えますね。 自分も他の人と同じように失敗する可能性がある、と考えますねえ。 他の人と違って「2」のように考えられる私ってすごい! 私だけは特別!……あれれ、おかしいな?
    あなたは、どちらですか。
     * * *
    ナブラ演算子ゲームの話。
    先日「ナブラ演算子ゲーム」というものがあると聞きました。 ナブラ演算子というのは数学で使う演算子で「∇」 という記号で表現されます(いま「なぶら」で変換できました)。
    ナブラ(一階微分)、ラプラシアン(二階微分)、 インテグラル(積分)、ログ(対数)、逆関数、極限などを使って、 相手の基底を0にしていくというカードゲームです。 演算子で関数を変換するというところは数学ですけれど、 ルールと仕組みがわかれば(たぶん)楽しめるゲームなのでしょう。
     ◆ナブラ演算子ゲーム  http://nablagame.com
     ◆ナブラ演算子ゲーム公式Twitterアカウント  https://twitter.com/nablagame
     * * *
    数学といえば……
    結城は『数学ガール』のような数学読み物を書いています。 そのため、ときどき読者さんから、 「結城さんは数学者なんですね」と誤解されることがあります。
    でも、はっきりと、
     「結城浩は数学者ではありません」
    と明言するようにしています。
    結城浩は数学者ではありませんし、数学の研究者でもありません。 なぜなら、非自明な数学の定理を証明したこともないし、 数学を進展させる論文を書こうとしているわけでもないからです。 結城が書いているのは数学を楽しむための読み物であり、 数学の論文ではありません。
    結城浩は数学者ではありません。 でも、私は数学愛好者です。 また、数学者・数学研究者・数学徒・数学愛好者を、 何らかの形で応援したいと心から思っています。
    以上、自己紹介の一種として。
    同じ主旨のことを、日本数学会出版賞を受賞したときに、 受賞のことばとして以下のように書きました。
     ◆2014年度日本数学会出版賞受賞者のことば  http://mathsoc.jp/publication/tushin/1902/2014pubprize.pdf
    こちらもまた、結城の考えを表すものですので、 もしご興味がある方はお読みください。
     * * *
    ことりつぎの話。
    Wired.jpで「ことりつぎ」というサービスを知りました。
     ◆どこでも、だれでも「書店をつくれる世界」にするしかない  本を読むプロがはじめるイノヴェイション「ことりつぎ」  http://wired.jp/2015/10/15/kotori-tsugi-ynst/
    誰でも本屋をつくることができるようにする、そのための小さな「取次」なので、 「ことりつぎ」なのだそうです。 詳しくは公式サイトをみていただくとして、 結城がおもしろいなと思ったのは、 お店の一部分を「書店スペース」にするアイディアです。
    雑貨屋さんや自転車屋さんのお店のスペースの一部を「書店」にしちゃう。 そうして、そのお店にくるお客さんがほしがるような本をそこに並べる。 「ことりつぎ」がそういうことを可能にするそうです。 これは確かにいい仕組みであると思いました。
    というのは「そのお店に来る」という時点で、 お客さんが持っている興味や関心は、かなり想像が付くわけですよね。 雑貨屋さんに来る人、自転車屋さんに来る人それぞれに。
    しかも、何かを買いたいと思ってやってきている。 その人の興味関心ににぴったりの本を並べておくというのは、 うまいアイディアだと思うのです。
    本を買うためには本屋さんに行く、 というのは本という商品を中心にした発想といえます。 でも、この「ことりつぎ」が考えている書店スペースの発想は、 お客さんが欲しいと思うようなものを売る(そして、 それがたまたま本である)という形になっているのです。
    さらには、「本」というものが持つ雰囲気やメッセージ性もいいですよね。 「自分の店ではこういう本に象徴されるものをお客さんに提供している」 という主張をさりげなく演出することができるからです。
    この「ことりつぎ」というサービスが現実的にどのように機能するのか、 採算が取れるように回るのかは私にはわかりませんが、 その発想はとてもいいものであると感じました。
    「自分が本屋さんをするとしたら、どんな本を並べて、 どんなスペースを作るだろう」
    そう考えるだけでも、何だか楽しくありませんか。
     ◆ことりつぎ  http://kotoritsugi.jp
    なお、Twitterで #ktr2g というハッシュタグで検索すると、 「こんな本屋を作ってみたい」というツイートが見つかるらしいです。
     * * *
    「お大事に」の話。
    TwitterやFacebookで、体調が悪いようなツイートを見かけたら、 何はともあれ「お大事に」と返信するように心がけています。
    返信前に、
     「声を掛けたら、煩わしく思われるかも」  「そっとしておいてほしいかも」  「機械的にリプしていると思われたくない」
    などという思いがチラッと頭をかすめるのですけれど、 多くの場合、まずは「お大事に」と言ってしまいます。 それは、自分がつらいとき、 返信してもらうのがうれしかったからです。
    もちろん、 ケース・バイ・ケースで状況は変わるものですし、 人に強制することではありませんけれどね。
    せっかくSNSをやっているのですから、 自分が「よいかも」と思うことは、 一歩、踏み出してみたい。
     * * *
    ハロウィンの話。
    先日10月31日はハロウィンとのことで、 渋谷のスクランブル交差点の混雑ぶりが報道されていました。 マリオとルイージが歩いてたり、白雪姫とゾンビが手を繋いでたり。
    ところで、たまたまではありますが、 少し用事があって結城は妻と二人でまさにその日、 東京は渋谷のスクランブル交差点を通っておりました。
    (スレッドお化け坊やのスタイルで歩いたわけではありません)
    まだ早い時間帯だったので人混みはそれほどではなかったのですが、 それでもやはり人にぶつからずには歩けないほどの混み具合ではありました。
    何しろ人が多いので、普通の仮装(?)ではあまり目立たず、 よっぽど趣向を凝らさないと注目は浴びないようです。 結城が見た中でいちばん「なるほど」と思ったのは、 映画上映前に放映される「映画泥棒」に出てくる、 カメラ男とパトランプ男の二人連れでしたね。
    ネットには批判記事などもあるようですが、 結城は単純に「おもしろかった」という、 小学生並の感想を抱いて帰宅しました。 妻は、歩行者の半分以上が仮装している状況を想像していたらしく、 「仮装している人、少ないのね」と期待外れだったようですけれど。
     * * *
    それでは今週の結城メルマガを始めます。
    今回は「結城浩ミニ文庫」のコーナーで、
     「賞について」
    という文章をお送りします。 この文章は、村上春樹の自伝的エッセー 『職業としての小説家』を読みつつ書いたものです。
    それから「仕事の心がけ」のコーナーでは、 「自分がユーザになるツール」として、 先日Tweeterというツールを作ったときの体験をお話しします。
    どうぞごゆっくりお楽しみください!
    目次
    はじめに
    『賞について』 - 結城浩ミニ文庫
    自分がユーザになるツール - 仕事の心がけ
    おわりに