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  • Vol.297 結城浩/登場人物は命を持っている - 数学ガールの執筆メモ/いま、書こう/

    2017-12-05 07:00  
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    Vol.297 結城浩/登場人物は命を持っている - 数学ガールの執筆メモ/いま、書こう/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2017年12月5日 Vol.297
    はじめに
    おはようございます。結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    クイズの話。
    ある日のことです。
    結城が夜遅く家に帰ってくると、 家族がみんな眠っていました。
    家中の明かりはつけっぱなし。 いろんな活動はぜんぶやりかけ。
    家族全員、 それぞれの部屋で活動途中の状態で深く眠り込んでいます。
    結城は部屋の電気を消し、 ふとんに入って寝るように家族をうながしました。
    ではここでクイズです。 帰宅した結城は、家のようすを見てグリム童話『○○○○○』を連想しました。 それは何でしょうか。○○○○○はひらがな五文字です。
    答えは後ほど。
     * * *
    『数学ガール6』の話。
    『数学ガール6』の執筆、 現在は第8章に取り組んでいます。
    第8章、第9章、第10章という三章が絡み合っているので、 そこをうまく解きほぐす必要があるのですが、 なかなかやっかいです。
    もちろん、 執筆を開始するときには各章に何を書くかを決めます。 書籍の全体像を想像して、 その全体像を作るために必要な要素を各章に分けるのです。
    「だったら、第8章に何を書くか決まっているのでは?」
    確かにその疑問は正当です。 正当なのですが、現実はなかなかそうはいきません。 どうしても書き進めていくうちに変更を余儀なくされます。
    変更を余儀なくされるのは、なぜでしょうか。
    理由はいくつかあります。
    もっとも大きな理由は、
     「私自身の理解が変化する」
    という点にあります。
    結城は、書籍に書く内容を、 それなりに理解して書き始めます。 でも、書き進めるうちにその理解は変化していきます。 各章でいろんな内容を説明するために勉強しますので、 理解が深まるのはもちろんです。 また、自分が誤解していた部分が修正されることもよくあります。 自分が浅く理解していたときに考えた章立ては、 適切ではないと気づくことも多いですね。
    バランスを調整したり、章の順序を入れ換えたり、 章の内容を変更したりするのは日常茶飯事となります。
    自分の理解が変化すること以外にも、 もう一つ、執筆途中で変更を余儀なくされる理由があります。 それは、
     「分量の見積もりを誤る」
    場合があるからです。ある内容を説明するのに、 これだけのページ数があれば十分だろうと見積もりますが、 その見積もりはしばしば誤ります。 多くの場合、見積もった分量をはるかに超えてしまいます。 不思議なことに逆はほとんどありません。
    自分の頭の中では、 よっぽど情報が圧縮されているのでしょうね。 頭の中の理解を文章に展開し、 読者に伝えるために言葉を補っていくと、 あっという間に分量は増えてしまうのです。
    二十数年も本を書いているのに、 いまだに分量の見積もりを誤るというのは困ったものですが、 しかたがないのかもしれません。 それだけ、「自分の理解」を理解するのは難しいのでしょう。
    ともかく、現在は第8章〜第10章までを解きほぐすと共に、 第8章を固めていく作業を続けています。 今週いっぱいで第8章はかたをつけたいところですが……
    文章を書くとき、あなたは分量の見積もりをしていますか。
     * * *
    Web連載の話。
    そんなふうに『数学ガール6』の執筆が佳境を迎えているため、 毎週金曜日に更新しているWeb連載をしばらくお休みすることにしました。 具体的には、2018年1月末までWeb連載は更新しません。
    「無限を探そう」シーズンを始めて四週目での中断は、 あまり望ましいとは思っていません。 でも、自分のキャパには限りがあるので、 思い切ってお休みすることに。
    どうぞご理解ください。
    その代わりといってはなんですが、 毎週金曜日には「過去記事の時間限定無料公開」 を行いたいと思います。アナウンスはTwitterで行いますので、 ご興味がある場合にはフォローをお願いします。
     https://twitter.com/hyuki/
     * * *
    自分に自信を持つ話。
    先日、匿名の読者さんから、こんな主旨の質問をいただきました。
     自分に自信を持つにはどうしたらいいでしょうか。
    結城はこの人が誰かわかりません。 背景情報がほとんどない状態で、 このような一般的な質問に答えるのは難しいものです。
    でも、わかることもあります。 それは、この方は「自分に自信を持っていない」ということ。 そして「自分に自信を持ちたい」と願っていること。
    さらに少し想像を巡らせるなら、 「自分に自信を持ちたいと思っているが、 何をどうやっても、なかなか自信が持てない」 という状況であるとも思えます。
    その状況をふわふわと思い浮かべると、 さまざまな活動をするけれど、 その活動や結果に満足できない姿が想像できます。
    勝手な想像なので、 実際はどうかわかりませんが、 少なくともそのような人はたくさんいるでしょう。
    そこまで想像した上で、結城はこんな回答を書きました (当初の回答をもとにして修正しています)。
    小さくてもいいので実績を積み重ねること。 事実に立脚して考えること。 そして、自分の評価を信用しないこと。
    「何かを作った」や「何かを発表した」は実績であり事実です。 どんな小さなものでもいいから何かを作りましょう。 どんな小さなことでもいいから何かを発表しましょう。 作ることや発表することにこだわるわけではありませんが、 とにかく、あなたの環境で「事実」として認識できる「実績」を重ねましょう。
    それに対して、 「作ったけど、大したものじゃない」や 「発表したけど、すごくもなんともない」は、 自分がくだした評価にすぎません。
    実績と事実に注目して、自分の評価はとりあえず信用しない。 このような態度は、 もしかしたらあなたが自信を得る助けとなるかもしれません。
    なぜそう思うかというと、 もしかしたら、あなたが自分に下す評価自体がゆがんでいるために、 自信を得られないのかもしれないと思ったからです。
    最初から「自分はダメ」というハンコを押している。 自分で自分に押している。そんな可能性を考えたのです。
    「自分はダメ」とハンコを押してばかりいると、 他者が自分を高く評価してくれたときに、 それを受け入れることができなくなります。 また、他者が自分を褒めてくれたときに過剰にそれを否定しがちです (そうすると、ほめる人を減らす結果にもつながります)。
    ですから、少なくともいったんは、 自分が自分に下す評価ではなく、 実績と事実を積み重ねることに力を注いではいかがでしょうか。
    私はあなたのことを知りませんので、 まったく見当外れのことを書いている可能性も高いです。 結城は、あなたの状況を勝手に想像し、 それに答えているわけですから。
    それでも、あなたの、 何かの参考になればいいのですが。
     * * *
    プログラミングの話。
    先日、自動販売機でコーヒーを買っているときにふと、 プログラミングの課題として、
     「自動販売機のシミュレータを作れ」
    というのはいい題材ではないかと思いました。
    どうしていい題材と思ったかというと、
     ・親しみがあり、どんなものかみんな知っている。  ・基本的な入力(お金と購入ボタン)と出力(商品とお釣り)が明確である。  ・難易度がいくらでも変えられる。  ・できたものをプログラミングに詳しくない人にも説明しやすい。
    という特徴を持っているからです。
    自動販売機のシミュレータというと、 商品が出てくる実際の機械をイメージしてしまいますが、 もっとも簡単なものは、次のようなものです。
     ・金額を入力するフォームとボタンが画面に表示される。  ・金額を入力してボタンを押す。  ・金額が十分あるときには、   「ご購入ありがとうございます。お釣りはXXX円です」   とメッセージが出る。  ・金額が不足しているときには、   「金額がXXX円不足しています」   とメッセージが出る。
    これは自動販売機の一部をシミュレートしているといえます。
    でも、すぐに不満が出てきます。
     ・たくさんの種類の商品をあつかってほしい。  ・購入を取り消すボタンがほしい。  ・入力は100円玉何個、10円玉何個のように、   金種を考えるべきではないか。  ・商品が在庫切れになるところもシミュレートしたい。  ・釣り銭切れもありうるぞ。  ・購入者だけじゃなくて、   商品や釣り銭補充をする管理者も相手にすべきでは。
    つまり、現実の自動販売機をよく知っているために、 自分が作ったシミュレータの限界がわかりやすいのです。
    金種を考慮するなら、シミュレータの内部では、 現在自動販売機内にある「金額」だけではなく、 「金種」を管理する必要があるとわかります。
    管理者も考慮するなら、 管理者であることをしめす「鍵」が必要だとわかります。
    そのように考えを進めていくなら、 大げさに言えば、
     「世界を見る目が変わる」
    と思います。自動販売機のようにありふれたものでも、 たくさんのことを考えなければ実現できないと体感できるからです。
    また、ふだんは入力と出力しか見えないもの、 つまりブラックボックスの中を想像したり、 実現したりするようになるでしょう。 それは、世の中の仕組みを知る上でも重要です。
    プログラミングを学ぶ点では、 いったんプログラムができたあとに 「仕様変更」を考えるといいですね。 そうすると、 自分が作ったプログラムの拡張性の高さを実感できるからです。
    仕様変更の例としては、商品の名前や値段を変える、扱い数を変える、 日本専用ではなく海外でも使えるようにする……といろいろ考えられます。 海外でも使えるようにするためには、メッセージを変更したり、 金種を変更したりする必要もあるでしょうね。
    「自動販売機」と「ECサイトのショッピングカート」 とを構造的に比較する課題もおもしろそうです。 ログインの有無、商品の購入取り消し、商品配達のトラッキング……
    プログラミングを通して世の中のプロセスやフローが見えるようになるのは、 大切な技能の一つです。 また、複雑なプロセスやフローを見たときに、個々の要素に注目し、
     「ここを変えれば別のことができるんじゃないだろうか?」
    と思うことも大切です。
    TeXを作った有名なコンピュータ科学者&数学者のKnuth先生が書いた、 The Art of Computer Programming Vol.1 (通称TAOCP Vol.1) には、
     「エレベータのシミュレータを作る話」
    が出てきます。 エレベータは自動販売機とは違う要素(刻々変化する状態と、 複数人の処理)が入ってきますね。
    TAOCP Vol.1 の練習問題(日本語版p.289)に「我が意を得たり」 と言いたくなるものがありましたのでご紹介します。
    (引用開始)
    次のことを記すことはおそらく大事なことである。 筆者〔Knuth先生〕はエレベータを何年間も使ってきて、 エレベータについてはもう十分に知っていると思っていた。 ところが、実際にこの節を書き始めたら、 エレベータシステムが次に向かう方向を選ぶ方法について、 それまでには知らなかった事実がいくつも存在した。 (中略) われわれは、ものごとについて十分知っていると思っていても、 それについてコンピュータのシミュレータを書こうとするまで、 まったくわかっていないと気づかないことが多い。
    (引用終了)
     ◆The Art of Computer Programming Volume 1 Fundamental Algorithms Third Edition 日本語版  https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4048694022/hyuki-22/
    あなたは、ふだん使っている自動販売機やエレベータを、 どのくらい理解しているでしょうか。
     * * *
    それではそろそろ、 今回の結城メルマガを始めましょう。
    どうぞ、ごゆっくりお読みください!
    あっと、その前に冒頭のクイズの答え。
    正解は『いばらひめ』でした。
    目次
    はじめに
    登場人物は命を持っている - 数学ガールの執筆メモ
    いま、書こう - 文章を書く心がけ
    おわりに
     
  • Vol.296 結城浩/言葉と思考のどちらを追っているか/何のために、そうするの? - 教えるときの心がけ/

    2017-11-28 07:00  
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    Vol.296 結城浩/言葉と思考のどちらを追っているか/何のために、そうするの? - 教えるときの心がけ/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2017年11月28日 Vol.296
    はじめに
    おはようございます。結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    知っている人にはすぐわかるクイズの話。
     「あれがカッパ?」  「そうだね。これがエプシロン」
    この会話がなされた「場所」を、 「アルファベット3文字」で答えてください。
    知ってる人にはすぐわかりますが、 知らない人にはわからないので、 あまり長時間考えないでくださいね。
    答えは後ほど。
     * * *
    うたう声の話。
    先日、とあるお店で買い物をしました。
    そのお店では、レジの人はみな「うたう」んですよ。
    歌をうたうというわけではないですね。 独特の音程で品物を読み上げるということです。
     ニンジン〇〇え〜ん  キャベツ〇〇え〜ん  トマト二点で○○え〜ん
    のように。しかも、ある特定の個人がうたうのではなく、 レジの人がみんな、同じ音程でうたうんです。
    そんな話をツイートしていたら、@uni1000yama1000 さんから、 「そろばんの読上算の名残かなぁ」というコメントをいただきました。
    なるほど! 確かに、耳をすましてよく聞きますと、 そのような雰囲気はありますね。 最初に「ご破算で願いましては〜」と言ってもおかしくありません。
    複数のレジが並んでいるので、さながらコーラスか、 教会の交読文のような風情があります(大げさにいえば)。 その店で働き始めた人は、 きっとその「うたいかた」を練習するのでしょう。
    ところで、19世紀フランスの哲学者アランの小文に、 「うたう叫び声」というものがあります。 そこには日常での「うたう声」について書かれています。 以下、ちくま哲学の森6『詩と真実』所収、 アラン「芸術に関する101章より」(高橋正二訳)から引用:
     ----
     朝になると、往来のほうで、  物売りのうたう叫び声を、あなたは聞く。  その叫び声を耳にすると、  いま何時ごろになったかということが、  あなたにはわかる。
     ----
    結城は、この書き出しがとても好きです。 何でもない、当たり前のことを書いているのに、 この文章にはすっと引き込まれるような魅力があるからです。 別の箇所からもう少し引用しますね。
     ----
     遠方へ伝える言葉は、おのずから、音楽的になる。  遠方へ伝える言葉は日常の言葉のアクセントから、  旋律を借用する。  しかし、この旋律は、よりよく理解されるように、  より遠くまでとどくように、  純粋化され、単純化される。
     ----
    いいなあ! こういう文章、大好きです。 この文章自体が、うたうように書かれているみたい。 アランのこの文章を初めて読んだのは、 結城が大学生のころでした。私が書く本のあちこちには、 この文章の香りがほんのわずか残っているかもしれません。
     ----
     「孤独な人は手紙を書く」とミルカさんが言った。  「孤独な数学者は論文を書く。  未来の誰かに伝えるために、論文という名の手紙を書く」
     『数学ガール/フェルマーの最終定理』
     ----
    うたう声が、そこにある。
     * * *
    最大値の話。
    哲学者ベンサムは「最大多数の最大幸福」や「最大幸福原理」を論じたそうです。 社会の幸福は個人の幸福の総和であり、 幸福を最大にするような行為が好ましいといった論です。
    以下、それを耳にして思ったこと(ベンサムとは関係ありません)。
    実数xが 1 < x < 100 の範囲にあるとします。 つまりxは1より大きく、100より小さいとしましょう。 このときxの最大値は存在しません。
    100という最大値があるじゃないか、と勘違いしそうですが、 xは100より小さいというのですから、 xは100という値をとることはないのです。
    xは99になるし、99.9にもなるし、99.99にもなるし……と、 いくらでも大きくなれるのですが、100にはなれません。 いくらでも大きくなれるということは、 最大値は存在しないといえるのです。
    こんなことを考えるのは、 Web連載の第131回と第132回で、 ちょうどそういう話題を扱っていたからです。 「いくらでも大きくなれる」というのは、 必ずしも「無限大になってしまう」というわけではないのですね。
     * * *
    注文の話。
    カフェで注文をします。
    毎日のように同じ店で同じ注文を繰り返していると、 売り手の側が最終的に必要な情報はおおよそわかってきます。 たとえば、
     ・基本的な注文  ・飲み物のサイズ  ・ホット/アイスの区別  ・砂糖とミルクの要不要  ・ポイントカードの有無  ・支払いの方法
    などのことです。店頭では、売り手と私(買い手)の対話を通して、 これらの情報を伝えることになります。
     店「いらっしゃいませ。ご注文は?」  私「コーヒーで」  店「大きさはどうしましょう」  私「スモールで」  店「ホットでよろしいですか」  私「アイスにしてください」  店「ミルクはお使いですか」  私「いえ、いりません」  店「ポイントカードをお持ちでしょうか」  私「いいえ」  店「了解しました。お支払いは」  私「現金でお願いします」
    毎日のようにこういった対話がなされることになりますね。 あるとき、相手に必要な情報をぜんぶまとめて言ったらどうなるかな? と考えたことがあります。すると……
     店「いらっしゃいませ。ご注文は?」  私「アイスコーヒーのスモールで、ミルクは不要。   ポイントカードはありません。支払いは現金で」  店「了解いたしました……えっと、ミルクはご不要でしたよね。   恐れ入ります。大きさはスモールでよろしかったですか?」
    こんな対話になってしまいました。 こちらの都合で情報を圧縮して相手に渡しても、 相手がその準備が出来ていなければうまく情報は伝わりません。
    対話は双方向。片方が勝手に最適化しても、 やりとりのプロトコルは最適化されるとは限らないのですね。 むしろ、売り手の想定外の情報がやってくることで、 やりとりに余計な時間が掛かる場合もありました。
    必要な情報を前もって押さえておき、 相手からの問いの順番に乗り、 一つずつ答えていった方がスムーズに行くようです。
    日常のちょっとしたことですが、 こういうところにも「コミュニケーションのあり方」が見え隠れするなあ、 と感じた次第です。
    自分がいて、相手がいる。それでこそ対話。 自分だけの都合でコミュニケーションを整えるのは難しいのですね。
     * * *
    では、クイズの解答です。
    冒頭に出題したクイズの正解は「SFC」でした。
    SFCというのは慶應大学の湘南藤沢キャンパスの略称で、 ここには、カッパ、エプシロン、イオタ、オミクロンという名前の棟があります。 その他にも、アルファとか、オメガとか、シグマとか…… 施設にはギリシア文字にちなんだ名前が多くつけられているようです。
     ◆慶應大学の湘南藤沢キャンパス  https://www.sfc.keio.ac.jp/about_sfc/campus_map.html
    結城は以前、 パターン・ランゲージなどの研究活動をなさっている 井庭崇先生の研究室を訪問しました。 そのとき、キャンパス内で迷った結城は研究室までたどり着けず、 通りかかった学生さんと冒頭のクイズのような会話をしたことがありました。 結城は、
     「あれがカッパになるんですか?」
    と親切な学生さんに尋ねつつ、 我ながらユーモラスなセリフだなあと思ったのです。
    建物が四棟並んでいて、 カッパ、エプシロン、イオタ、オミクロンという名前がついています。 なんて不規則な名前を付けるんだろうといぶかしがっていますと、 その学生さんは「慶應(KEIO)なんですよ」と教えてくれました。
     κ カッパ  ε エプシロン  ι イオタ  ο オミクロン
    なんと! すぐ気がつかないなんて、私はにぶいですねえ。
     * * *
    それではそろそろ、 今回の結城メルマガを始めましょう。
    どうぞ、ごゆっくりお読みください!
    目次
    はじめに
    何のために、そうするの? - 教えるときの心がけ
    「読み手の都合」を優先する - 数学ガールの執筆メモ
    言葉と思考のどちらを追っているか - 教えるときの心がけ
    おわりに
     
  • Vol.295 結城浩/意味の深掘り - 数学ガールの執筆メモ/たった一人のために書こう - 本を書く心がけ/

    2017-11-21 07:00  
    220pt
    Vol.295 結城浩/意味の深掘り - 数学ガールの執筆メモ/たった一人のために書こう - 本を書く心がけ/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2017年11月21日 Vol.295
    はじめに
    おはようございます。結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    何だか、ここ数日で急激に寒くなってきました。
    冬、到来ですね。
    結城はのどが弱いので、 外出するときにはマフラーとマスクを愛用しています。 マフラーは首を温めるため。 そしてマスクは冷たく乾燥した外気を吸わないようにするため。
    あなたも、どうぞ風邪など召しませぬように……
     * * *
    新刊の話。
    『プログラマの数学 第2版』が2018年1月に刊行になります。
    先日アマゾンに商品ページが公開され、 ありがたいことに、 数学の新着ランキングで第1位となりました。 応援ありがとうございます!
     ◆数学ランキング(新着)  http://amzn.to/2B1rAEF
     ◆数学ランキング(新着スクリーンショット)
    現在は初校のゲラ読みをしているところで、 今週は編集部での初校読み合わせがあります。
    第2版では書籍全体に細かい語句の修正が入りますが、 メインとなるのは、
     機械学習への第一歩
    という付録の加筆になります。
    どうぞこの第2版も、 いろんな方を新しい世界へ導くきっかけとなりますように。
    応援よろしくお願いいたします。 目次などは、以下のページをご覧ください。
     ◆『プログラマの数学 第2版』(結城のページ)  http://www.hyuki.com/math/
     ◆『プログラマの数学 第2版』(アマゾン)  https://bit.ly/hyuki-math
     * * *
    『数学ガール6』の話。
    先週の結城メルマガで、 「ともかく、現在は第7章に集中、集中」 と書いていた『数学ガール6』の執筆。
    土曜日に第7章がなんとかまとまり、 残りは第8章、第9章、第10章となりました。 これまでに書いたものをすべてプリントアウトしてみたところ、 「どさっ」という分量の紙の束となりました。
    第8章を書き始める前に、 第1章から第7章までを紙で読み返すためです。
    大変といえば大変ですが、 むしろ楽しさの方が強いですね。 そのつどがんばって書いている内容なので、 読み返すと自分にとってしっくりくるからです。 もちろんアラは見つかりますが、それはむしろ執筆への力となります。 アラが見つかるとなぜ力になるかというと、
     「ここまで出来ているんだから、もう少し頑張ろう!」
    という気持ちになるからです。 自分で自分の目の前に、 ニンジンをぶら下げて走ってるようなものですね。
    ともかく、次は第8章!
     * * *
    数学を学ぶ人の話。
    『数学ガール』の第1巻(いわゆる無印)が刊行されたのは2007年でした。 つまり「数学ガール」シリーズは今年で十年になります。
    十年前に中高生で、 『数学ガール』という本を読み始めました、 と言っていた読者さんがいます。
    十年経ったいま、そんな読者さんが、
     「結城がさっぱり理解できない難しい数学の話」
    をしているのを見かけることがあります。 そのような体験は、率直に言って、すごくうれしいものです!
    そのうれしさというのは、 「未来に対する貢献」を自分なりにできたのかも、 といううれしさかもしれません。
    十年前に書いていたときには、 「未来に対する貢献」などということ、 まったく考えていなかったのですけれど。
     * * *
    ミュートの話。
    Twitterには「ミュート」という機能があります。
    Twitterアカウントの「ミュート」は、 相手を「ブロック」したり「フォローの解除」をしたりせずに、 相手のツイートがタイムラインに流れなくなるという機能です。
     ◆Twitterアカウントのミュート  https://support.twitter.com/articles/20171588
    結城は、ミュートのことをたいへんいい機能だと思っており、 できるだけブロックせず、気軽にミュートするようにしています (念のため:定期的に見直してミュート解除もしています)。
    Twitterは、みんなが自由に書き、 みんなが自由に読めるところが魅力だと考えています。 相手に「こんなことをツイートするな!」と押しつけることはしない。 相手のツイートを読みたくなかったら、 相手を黙らせるのではなく、自分の側で相手をミュートする。 これは、とても平和です。
    不愉快なことを言ってくる人はミュート。 みんなリツイートしてくるけれど、 自分はその人のツイートを読みたくないときにはミュート。 とにかく気軽にミュートして、タイムラインを平和に保ちます。
    ミュートとブロックはちょっと似ていますが、実はずいぶん違います。
    相手をミュートすると、相手のツイートは自分には見えなくなります。 相手をブロックすると、相手のツイートは自分に見えなくなると同時に、 相手がこちらをフォローできなくなります。
    ミュートは「私はあなたのツイートを見ませんけれど、 あなたは自由にツイートしてください。それはそれとして、 私のツイートは自由にお読みください」 というもの。
    ブロックは「私はあなたのツイートは見ませんけれど、 あなたは自由にツイートしてください。そしてさらに、 私のツイートも読まないでください。また、 私のフォローもしないでください」 というもの。
    結城の正直な気持ちとして、 「私のツイートは読まないでください。 私のフォローもしないでください」 となることは、今のところありません。
    ブロックは積極的な拒否ですけれど、 現実的には意味がありません。 だって別のアカウント作れば読めるからです。
    ミュートは違います。 私が何を読むかは、私のこと。 あなたが何を読むかは、あなたのこと。 このように分けて考えられるので、とても平和。 結城にとってのミュートは、そういう世界を作る機能です。
    ミュートする相手は、必ずしも嫌な相手とは限りません。
    誰しも、 「最近、じぶんは調子が悪いから、友達の幸福そうなツイートはつらい」 ということがあります。 その友達が嫌だというのでもないし、友達が幸福なのが嫌なわけでもない。 ただ、友達の幸福そうなツイートをいま見せられるのはかなわない…… というタイミングです。
    そのような、一時的に距離を置きたいときにブロックで対処していたら、 かえってややこしいことになる場合もあるでしょう。 ここひと月だけミュート。ここ半年だけミュート。 そのような工夫は、SNS時代の心の健康術といえるでしょう。
    大切な時間、大切な心を守るために、 ミュートを活用するのはよいことだと思っています。
     * * *
    仕事の見極めの話。
    結城は個人で仕事をしており、上司はいません。 ですから、 自分の仕事の管理は自分でしなければなりません。
    自分の仕事の進め方を振り返ったり、 何か違和感がないか内省したりするのは大切なことです。 この結城メルマガ自体も、そのための一助となっています。 仕事について文章を書こうとすると、 自分の仕事を自然に振り返ることになりますから。
    最近、気になっているのは、
     疲れるまで仕事をしがち
    という傾向です。
    言い換えると、 「今日の仕事をどこまで進めるか」 そして「今日の仕事をどこでやめるか」を判断するときに、
     もう疲れたからやめよう
    と考えるということ。それが気になります。
    言うまでもなく、疲れたときに無理して仕事を進めるのはよくありません。 疲れても無理して進めなくては!という言いたいのではなく、 自分の心の中に、
     疲れるまで仕事をしなければいけない
    という気持ちがある点を問題にしています。
    少し考えれば、その背後にある論理も見えてきます。 私は自分に対して「言い訳」をしたいのです。
     こんなに疲れたんだから、  今日はもう仕事をやめてもいいよね!
    と。でも、私はいったい誰に言い訳しているんでしょう。 そして何のために言い訳しているんでしょう。 そこに引っ掛かるのです。
    一日の仕事を終える判断には、いくつか選択肢があります。
     (1)定時になったから、仕事を終えます(時間で判断)  (2)今日のやるべきことを終えたから、仕事を終えます(成果で判断)  (3)疲れたから、仕事を終えます(疲労で判断)
    コンスタントに毎日の仕事を続けるなら、 時間で判断する(1)は無難。 でも、(1)だけを続けていると予定通り進まなくなるかも。
    進捗をきっちり出していくなら、 成果で判断する(2)がいい。 でも、成果が出せなかったら無理してしまい、 継続性があやうくなりそうです。
    そう考えると、自分の体調を基準にした、 疲労で判断する(3)は安全? 進捗を出しつつも、継続性を保てるから? でも、それは本当でしょうか。
    自分の胸に手を当てて考えると、 どうも自分は「仕事がしたくない」ときに、 無意識のうちに「疲れる作業をチョイスする」 という傾向があるようです。
    やっても無駄だとうすうすわかっている作業を始めたり、 難しすぎて読みこなせない本を読み始めたりするということです。 それで自分を早めに疲れさせて、
     あー、もー、疲れちゃった。  こんなに疲れたんだから、  今日はもう仕事をやめてもいいよね!
    と自分に言い訳をしたがっているみたい。
    そんなことに気づきました。
    人間の心って、何てめんどくさいんでしょう。 いや、単純なのかな?
    あなたは、 勉強や仕事の終わりをどう判断していますか。
     * * *
    それではそろそろ、 今回の結城メルマガを始めましょう。
    どうぞ、ごゆっくりお読みください!
    目次
    はじめに
    意味の深掘り - 数学ガールの執筆メモ
    たった一人のために書こう - 本を書く心がけ
    おわりに
     
  • Vol.294 結城浩/機械学習への第一歩/数学ガールの執筆メモ/平和なSNS/

    2017-11-14 07:00  
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    Vol.294 結城浩/機械学習への第一歩/数学ガールの執筆メモ/平和なSNS/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2017年11月14日 Vol.294
    はじめに
    おはようございます。結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    新刊の話。
    『プログラマの数学 第2版』が2018年1月に刊行になります。
    ここしばらく『数学ガール6』と並行して作業を進めていましたが、 先日ようやくアマゾンにも商品ページが公開されました。 ただし、書影はまだダミーになっています(2018年11月14日現在)。
     ◆『プログラマの数学 第2版』(アマゾン)  https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797395451/hyuki-22/
     ◆書影(まだダミーです)
    『プログラマの数学』の第1版が刊行されたのは2005年のこと。 結城が生まれて初めて「数学」という言葉を書名に入れた本となりました。 たいへんな人気となり、ネット書店やリアル書店で、 何週にもわたってランキング入りしたのを覚えています。
    現場で働いているプログラマは、 必ずしも理数系の専門的な学びをしてきたとは限りません。 「文系プログラマ」と自称する方もときどきいらっしゃいます。 『プログラマの数学』は、そんな方向けに、 基本的な離散数学とコンピュータ科学の話題を書いた本です。
    「数学」の本ではありますが、 数式はほとんど出てきません。 クイズと図と説明文を使って、 プログラミングにもよく出てくる「数学の考え方」 に親しんでもらおうという本です。
    ところで『プログラマの数学』と銘打ちましたが、 実際の読者さんはプログラマばかりではありませんでした。 理数的な読み物を純粋に楽しむ一般の方や、 中高生、大学生などにもたいへん人気となったのです。
    さて、今回の第2版でのもっとも大きな変更は、
     「機械学習への第一歩」
    と題した付録を巻末に付けたことです。
    最近は、機械学習、ニューラルネットワーク、 ディープラーニング(深層学習)、強化学習、 人工知能(AI)といった用語がニュースなどでもよく登場します。
    『プログラマの数学 第2版』では、 「機械学習」を学び始めるための第一歩として、
     ・機械学習とは  ・予測問題と分類問題  ・パーセプトロン  ・機械学習における「学習」  ・ニューラルネットワーク  ・人間は不要になるのか
    といった項目についてお話ししています。 数式も少し登場しますが、ごくごく基本的なものだけで、 登場する数式はすべてていねいに解説しています。
    機械学習は、現在たいへんホットな分野ですし、 そのカバーする範囲は広大、話題もいっぱいあります。 当然ながら、 本書ですべてがわかるわけではありません。
    機械学習を学び始める「とっかかり」として、 本書を読んでいただければいいなあと思っています。
    刊行は2018年1月になります。 応援よろしくお願いいたします。
     ◆『プログラマの数学 第2版』  http://www.hyuki.com/math/
     * * *
    Web連載の話。
    毎週金曜日に、 cakes(ケイクス)で「数学ガールの秘密ノート」というWeb連載を書いています。
    先週から、10週にわたる新シーズンが始まりました。 今回のテーマは、
     「無限を探そう」
    です。数学では「無限」という概念があちこちに登場しますし、 しかも非常に重要な意味を持っています。
    その一方で「無限」はなかなかとらえどころのない面を持っています。 数学以外でも「無限」という単語はしょっちゅう出てきますね。 新シーズンでは、 数学ガールたちにいろんな無限を探してもらいたいな、 と思っています。
    そこであなたにお願いがあります。
     ・「無限」のイメージ  ・「無限」のここがわからない  ・「無限」ってこういうものだ!
    というあなたの考えを、 ぜひ結城あてに送っていただけませんか。 数学の話である必要はありません。 「無限」という単語を聞いたときの、 あなたの心に浮かんだことを教えてください。
    TwitterのDMで @hyuki あてにお送りいただければ感謝です。 もちろん、 この結城メルマガへの返信という形でもかまいません。
     ◆結城浩  https://twitter.com/hyuki/
    なお、個別に返信するのは難しいので、 その点はご了承ください。「無限はこれでいいんですか?」 という質問にもお答えはできかねます。ごめんなさい。
    また、お送りいただいたDMの内容は、 無断で使用させていただく場合がありますので、 その点もご了承ください(ご本人の名前やユーザ名は出ません)。
    先日Twitterで同様のお願いをしたところ、 たくさんのDMをいただきました。 ぜひ、あなたもお送りください。
    先週は「無限ポテチ」の前編を公開しました。 今週はその後編になります。 一週間は無料で読めますので、ぜひどうぞ。
     ◆Web連載「数学ガールの秘密ノート」  https://bit.ly/girlnote
    また後ほど「数学ガールの執筆メモ」のコーナーで、 「無限ポテチ」(前編)での「発見」のお話をしましょう。
     * * *
    アイキャッチ画像の話。
    「無限を探そう」シーズンのアイキャッチ画像は結城が作りました。
     ◆「無限を探そう」のアイキャッチ画像
    結城はいつも、MacのPixelmatorというアプリを使います。 適当に選んだイフェクトを試しに掛けてみて、 何となくそれっぽいものが作れたら完成!という雑な作り方なので、 同じ画像は二度と作れません。それはそれとして、 自分が書く文章のアイキャッチ画像を自分で作るのは、 とても楽しい作業ですね。
    今回は「無限」がテーマなので「無限大」の記号をあしらい、 ふわふわっとした背景に半分とけこんだものを作りたい! と思って作り始めました。うまくいったでしょうか。
    妻にこの画像を見せて「これどう思う?」と聞いたら、 「まあいいんじゃない」という塩対応。 「私がゼロから作ったんだけど」と言ったら 態度ががらっと変わって、 「え、えええっ!絶対どこかからダウンロードしたと思った!」 とほめられました。
    先日、妻とお出かけしたときに見たミナペルホネンのお店や、 渋谷Bunkamuraのオットー・ネーベル展を妻に誘われて見た経験が、 この画像のどこかに影響しているような気もします。
     ◆オットー・ネーベル展(渋谷Bunkamura)  http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_nebel/
     * * *
    イヴァンカ氏の話。
    トランプ大統領の娘、イヴァンカ氏の話。
    とある場所で「イヴァンカ氏の服装」についてからかって笑い合い、 それに絡めてイヴァンカ氏の能力を批判している人たちを見かけました。
    ふだんは「女性の活躍」について述べたり、 「見た目で人を批判するな」と言ってる人たちだったので、 私は、とてもがっかりしました。
    私自身は、イヴァンカ氏の服装や能力を判断できません。 またそもそも、 彼女の服装や能力について議論したいわけでもありません。
    私ががっかりしたのは二点。 その人たちが、ふだんの自分の主張と矛盾している行動をとっている点。 そして、その矛盾に気づいていない点。
    誰かを批判しようとするとき、 自分の倫理基準が甘くなるものかもしれません。 これが高じるといわゆるダブルスタンダード(Aに対する基準と、 Bに対する基準を恣意的に切り換えること) につながりそうです。
    特に「この相手ならいくら批判しても、 自分の仲間から賛同されるから大丈夫」 というときがあぶない。 安全圏にいて誰かを批判するときには注意が必要でしょう。
    他山の石とします。
     * * *
    『数学ガール6』の話。
    『数学ガール6』第7章を書いています。
    「なかなか進まないなあ」と思っていて、あるとき、 ふと「盛り込み過ぎかも」ということに気づきました。 ものは試しで、読み返して大手術をしてみました。 後半部分をばっさりと別の章に移動します。
    『数学ガール6』はぜんぶで10章になるのですが、 どこかの章の題材がどっとあふれたときのために、 第8章は「空き」にしていたのでした。 これでおそらく第1章から第10章までがうまくフィットすることになる(はず)です。
    大手術の後全体を読み返して、 30〜40ページに収まるはずという目算が立ちました。 おそらく大手術して正解。 そして、第7章もいい感じに収まりそうです。すばらしい!
    大手術の成果か、登場人物の声が聞き取りやすくなりました。 とても楽しいですね。私が勝手に話を進めると、 引っかかりが生じてあまり気持ちがよくありません。 でも、登場人物にとって自然な流れにすると、 節のつながりもスムーズになり、 たいへん気持ちがいいのです。
    第7章もがんばって仕上げなくてはなりません。 第8章と第9章の分担がまだ決まっていませんが、 「未来の私」がきっとがんばって考えることでしょう。 よろしくね!未来の私! ……なんてことを言ってると「未来の私」 から反発をくらうのですけれどね。 「そういうのはやめてくれないかなあ」って! いや、反発するのも考えるのも「現在の私」なのか?
    ともかく、現在は第7章に集中、集中。
     * * *
    ほめて、ほめて、ほめ続ける話。
    先日公園を通りかかったときのことです。
    公園には木がたくさんあり、 落ち葉が一面に広がっていました。
    そんな中に、足元がおぼつかない小さな子と、 そのママさんらしき人がいました。
    小さな子は、両手でいっぱいに落ち葉をつかんでは、 よたよたと歩いて、ぱあああっと散らしています。 何度も何度も繰り返して、散らしています。 あたりまえですが、どこかに落ち葉を集めるわけでもなく、 落ち葉を選んできれいに並べるわけでもありません。 ただ単に、ぱあああっと散らしているだけです。
    でもそのあいだ、ママさんは子供の隣でずっと、
     じょうず、じょうず! じょうずだね!
    と言い続けています。
    子供はうれしそうに、落ち葉散らしを繰り返し、 ママさんもうれしそうに、ほめ続けます。 ほめて、ほめて、ほめ続けているのです。
    通りかかった私は、そのようすを見て、 とても幸せな気持ちになりました。
    私も、文章を書きながら、自分自身に対して、
     じょうず、じょうず! じょうずだね!
    とほめ続けましょう。
    それはきっと、 うまずたゆまず繰り返すための、 大きな力となるはずだから。
     じょうず、じょうず! じょうずだね!
    きっと、あなたにとっても。
     * * *
    それではそろそろ、 今回の結城メルマガを始めましょう。
    どうぞ、ごゆっくりお読みください!
    目次
    はじめに
    平和なSNS
    再発見の発想法 - 過学習
    無限ポテチの「発見」 - 数学ガールの執筆メモ
    おわりに