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  • Vol.061 結城浩/講演「数学ガールの誕生」(6)/コミックのコラムを書く/段取りと想像力/

    2013-05-28 07:00  
    220pt
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年5月28日 Vol.061
    はじめに - 段取りと想像力
    おはようございます。結城浩です。
    いつも結城メルマガのご愛読ありがとうございます。 最近は急に暑くなったり、かと思うと朝晩冷えたりと不規則な天候ですね。 薄着で寝たときに限って朝冷えこんで、しかも窓が開いてた!などという 事態が起きて困ってしまいます。ぐすん。みなさんはお元気ですか。
     * * *
    結城は夜に「明日はどんな仕事をどんな手順でやろうかな」 と考えることがよくあります。 一日にできることには限りがあるので、 うまく段取りを付けておかないと仕事が回らなくなるからです。
    それとは別に、朝起きてから「今日はこんな仕事をする一日になるだろうな」 ということもイメージします。あるとき、ふと昨晩メモしておいた 「明日の(つまり今日の)仕事の段取り」を読んでズレを発見しました。
    夜、疲れているときに考えた段取りは、 「朝の元気がよいうちに重要な仕事を片付けておき、 午後はゆっくり軽めの仕事をする」というものでした。
    でも、朝に考えた段取りは 「重要な仕事は後回しにして、軽めの仕事を先にする」 というものでした。まったく正反対です。
    客観的に考えた場合、そのときに正しいのは「夜の疲れているときの段取り」 の方でした。夜つかれているときに、
     「ああ、疲れているとなかなか重要な仕事を進めるのは難しいなあ」
    としみじみと思いました。そのため、 朝の元気なうちに大事な仕事を片付けた方がいい!と考えたわけです。
    でも朝になって元気になったら、昨晩のそんな思慮はどこへやら、 なぜか軽めの仕事に気持ちが向いてしまったわけですね。
    自分は統一的な主体である、とつい思いがちですが、 実際はぜんぜんそんなことはないのかもしれません。 実際には各時点での判断も危うく、矛盾だらけの存在なのかもしれません。
    なにしろ、段取りのメモ書きを見るまでは、 異なることを前夜に考えていたことすら忘れていたのですから!
    Evernoteでも何でもいいのですが、 自分がある時点で考えたことをメモしておき、それを振り返るだけで、 発見がたくさんあるものかもしれないな、としみじみ思いました。 誰かから言われたことなら、反発したり素直に聞けなかったりしがちですが、 他ならぬ自分が考えたことならば、素直に参考にできるのかも知れません。
     * * *
    結城は CodeIQ というサイトで、 IT技術者(プログラマ)向けの問題を出しています。 先週は結城が出した《ピッグデータ問題》の採点と 評価フィードバックを行いました。たくさんの解答を読み、 問題の解説文とともに解答者さんに評価を返すというお仕事です。
    一つの問題に対してたくさんの解答を読むことになりますから、 おのずと解答の違いに注目することになります。 ほとんどの人が正解しているような場合、解答もだいたい似たようなものになります。 書かれているポイントも(内容としては)同じようなものです。
    似ているのですが、その中にふっと目を引く答案があります。
     ・他の人とほんのちょっぴり違った観点で書かれた答案。  ・他の人よりもずっと読みやすく書かれた答案。  ・おもわず「なるほど」と膝を打ってしまうような答案。
    その違いがどこからくるのかを明文化するのは難しいですが、 確かに何かが違うのです。たくさんの答案の中で「ちょっと違うぞ」と思わせる、 それはいったい何なんだろう、ということを考えさせられました。
    単純に文章のうまさとかそういうことではないんですよね…
     * * *
    先日、こんなツイートをしました。
     若者の多くは、自分が立ち向かう老人が、  かつて自分のような若者であったことに気づかない。  老人の多くは、自分に立ち向かう若者が、  いつか自分のような老人になることを知っている。  残された時間が多い点では若者に勝ち目があり、  多くを知る点では老人に勝ち目がある。
    まあ若者と老人がいつも戦っているわけではないですが、 ここに書いたようなことをときどき思います。 結城は自分を老人だとも若者だとも思っていないのですが、 子供の「親」ではあるわけです。
    親として子供にあれこれ言いたくなることはあるし、実際言います。 子供はきっと親が言うあれこれを「うるさいなあ」と思っているだろうと 想像できます。「なんで親ってこんなにうるさいのかな」と。
    どんな親も子供の時代があったはずなのに。 そして親に対してある種の「反抗」や「理解されなさ」に ついて思ったはずなのに。 自分が親になってみると、親としての立場の難しさに驚きます。 どうしても、よかれと思ってあれこれ言いたくなるんですよね。 自分が子供のときは親からあれこれ言われたくなかったくせに。
    親になってみて思うのは、 自分は子供に対して何もできてないなということ。それに比べると、 私の親は自分に対していろいろとうまくやってくれたんだな、 と思わざるを得ません。 つくづく「子を持って知る親の恩」という言葉の深さを考えます。
    どうして自分は子供のとき、 親も自分のような若い時代があったのだと想像できなかったんだろう。 親も同じように悩んだのだ、とどうして思えなかったんだろう。 そんなことを考えます。
    人間の想像力というのはその程度のものなのかもしれません。 実際にその立場になってみないとわからないことはたくさんある。
    うん。そうだね。
    自分はこれから年齢を加えていくのが楽しみです。 きっと、若い人にはまだまだ理解できない世界を体験し、 理解していくチャンスがやってくるわけですから。
    そんなこんなですが、 さあ、今日の一日もていねいに過ごしていきましょう!
     * * *
    今回の結城メルマガのメインコンテンツは「数学ガールの誕生」(6)です。 早く書籍にまとめたいと思っていますので、今週から何回かこの企画が 連続するかもしれません。どうぞよろしくお願いします。
    それでは、お読みください!
    目次
    はじめに - 段取りと想像力
    本を書く心がけ - 講演「数学ガールの誕生」(6)
    文章を書く心がけ - コミックのコラムを書く
    次回予告 - 講演「数学ガールの誕生」(7)
     
  • Vol.060 結城浩/再発見の発想法/たったひとつのこと/雨が降ると、とても静か/

    2013-05-21 07:00  
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    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年5月21日 Vol.060
    はじめに - 雨が降ると、とても静か
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    ……というのは毎回ほぼ同じ書き出しなのですが、 コピー&ペーストしているわけではなく、実は毎回タイプしているのです。 なぜかというと、ごあいさつの文章を書くと、 比較的スムーズに文章が出てくるからです。不思議なものですね。
    この「はじめに」を書いている現在は5月20日の月曜日です。 朝、森を抜けて仕事場に行く途中はずっと小糠雨が降っていました。
    雨が降ると、とても静かです。
    そんな中、今日一日の仕事のことを思い浮かべながら歩いておりました。 雨は確かにうっとうしいものですが、どこか心を鎮めてくれる効果があるようです。
    気が付けば今年2013年も早くも21週目に入りました。 以前も書きましたが、今年はずっと「第n週目」という概念に注目しています。 ずっと「第1x週目」だったのが「第20週目」になった先週も軽い感動が ありましたが、今週になって「第21週目」になるのもなかなかのものでした。 大げさに言えば20世紀が21世紀になったように。
     * * *
    ぜんぜん関係ないですけど「20世紀フォックス」が「21世紀フォックス」という 新会社を作ったらしいですね。2013年4月のニュース。
     ◆新会社「21世紀フォックス」が誕生!「20世紀フォックス」は存続  http://www.cinematoday.jp/page/N0052198
    ほんとにぜんぜん関係がないですね。すみません。
     * * *
    さ、さて、 現在結城が書いている本の最前線は『数学ガールの秘密ノート(式とグラフ)』です。 数日前は『数学ガールの秘密ノート』書籍化の打ち合わせがありました。 「数学ガール」シリーズの作成に関わっているメンバーが集まって、 今後の進め方について話を詰めました。
    書籍はテキストだけでできているわけではなく、 版面のレイアウトやカバーデザイン、イラストなど、 さまざまな要素を含んでいます。 それを結城が一人で作るわけにはいきません。 きちんと著者として考え方をみなさんに伝えて、 一貫性を持った書籍に仕上げていくのです。
    『数学ガールの秘密ノート』は「難易度を下げてはいるものの数学ガールの香りを保つ」 というなかなか難しいミッションに取り組もうとしています。 早ければ6月下旬、もしかすると少しずれ込んで7月初旬くらいになるかもしれません。 ともかく夏休みまでには刊行になると思います。 難しい数学をこなす方には物足りないかも知れませんけれど、 応援していただければ感謝です。
     * * *
    さて、今回の結城メルマガです。
    「一貫性を持つ」というのは大きなものを作る際には大切になりますよね。 一貫性がないとバラバラな印象を与えてしまいますから。 今回お届けする『再発見の発想法』はConsistent(一貫している)という キーワードが中心になっています。
    読者さんの質問に答えるQ&Aのコーナーでは、 メルマガの読者さんから、
     『数学文章作法』を読む文学ガール(ボーイ)達へのメッセージを!
    という質問(ご要望)をいただいたのでそれにお答えいたします。
    それでは、どうぞお読みください!
    目次
    はじめに - 雨が降ると、とても静か
    再発見の発想法 - Consistent(コンシステント)
    Q&A - たったひとつのこと
    次回予告 - 講演「数学ガールの誕生」(6)
     
  • Vol.059 結城浩/フロー・ライティング「音楽と文章」/自著の宣伝/自己紹介が苦手/

    2013-05-14 07:00  
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    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年5月13日 Vol.059
    はじめに - 自分の身体を動かして
    おはようございます、結城浩です。 いつも結城メルマガをご愛読くださり、ありがとうございます。
    先日、道を歩きながらふとこんなことを考えました。
     どこか決まった場所に行くことや、  机に向かうことが仕事の本質ではない。
    こんな言葉がふっと頭に浮かんだのですね。 これは正しいと思います。 仕事を進めるためには仕事をするためにしっかり考えることが本質なのであって、 特定の場所(たとえば会社)に行くことが本質ではありません。 極端なことをいえば、会社に行かなくてもきちんと仕事ができればよいわけです。
    でも、即座に反論が浮かびました。
     確かに、どこか決まった場所に行くことや、  机に向かうことが仕事の本質ではない。  しかし、決まった場所に行ったり  机に向かうことが仕事を進めてくれることはある。
    これもまた真理です。
    いつも仕事をしている場所に行くことでスムーズに仕事を開始できたり、 お気に入りの席に着くと仕事の質が上がったりする。 そういうことは確かにありますね。 簡単に「なになには仕事の本質ではない」と言い切れるものでもなさそうです。
    たとえば結城は喫茶店やカフェ(この二つは何が違うんだろう)に 出かけていって仕事をするわけですが、 そこには自分のノートPCを持っていきます。 でも、変な話ですよね。いつものPCにいつもの自分。 違っているのは仕事をしている場所だけです。 喫茶店に行ったからといって テーブルに置かれたメニューに重要なデータが記載されているわけでもないし、 コーヒーカップに並んで参考文献が置いてあるというわけでもない。 でもなぜか、この喫茶店に行くとメルマガの執筆が捗るという場所がある。 慣れというべきなのか、習慣というべきなのか。
    そういえば執筆に入る前のジンクスを聞いたことがあります。 どなただったか忘れましたが、鉛筆をたくさん削っておくとか、 顔や手を念入りに洗わないと執筆を開始しないとか。 自分の執筆のスタートをするための「儀式」があるのですね。
    そう考えると、どのカフェで仕事をするのかというのも、 あながち軽視できないのかもしれません。
    どこででも仕事ができるのは確かにそうなんですが、 そうそう決めつけるものではなくて、
     「自分の身体を特定の場所に動かしたときの効果」
    を見極めることが大切なのかな。
     * * *
    さて、そんなところで今回の結城メルマガです。 まずは《夢中になって書く》『フロー・ライティング』のコーナーです。 今回は「音楽と文章」というタイトルでお届けします。 文章を書くときに音楽をかけるのはなぜかな、という読み物です。
    それから「本を書くときの心がけ」では「自著の宣伝」について 思うことをつらつらと書きました。題して「遠いところにボールを投げる」です。
    Q&Aのコーナーでは「自己紹介が苦手です」という方にお返事しました。 このご質問、実はずいぶん以前にいただいていたのですが、 返信するのを忘れていました。遅くなってしまい、もうしわけありません!
    では、今回の結城メルマガをお楽しみください!
    目次
    はじめに - 自分の身体を動かして
    フロー・ライティング - 音楽と文章
    本を書く心がけ - 遠いところにボールを投げる
    Q&A - 自己紹介が苦手です
    次回予告 - 再発見の発想法
     
  • Vol.058 結城浩/講演「数学ガールの誕生」(5)/キミ、書いてみない?/文章を書く心がけ

    2013-05-07 07:00  
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    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年5月7日 Vol.058
    はじめに - キミ、書いてみない?
    おはようございます。いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    このメールが配送される日(5/7)はゴールデンウイークが明けた日ですね。 昨日までお休みという方も多かったのではないでしょうか。 結城はといえば、あまりゴールデンウイークは関係なく、 淡々といつもの仕事を続けておりました。
    フリーランスの場合には「連休」は特にうれしくはなくて、 むしろいつもと違うペースに巻き込まれることが多いですね。 たとえば、いつも執筆で使っているファミリーレストランが混んでいるとか、 カフェが朝からいっぱいでいつもの席に座れないとか。 というわけで、実は連休が終わってちょっぴりほっとしていたりするのです。
     * * *
    連休中、4月29日は、R-Styleの倉下さん(@rashita2)とランチさせていただきました。
     ◆R-Style  http://rashita.net/blog/
    倉下さん(ふだんは「らしたさん」と呼んでいます)はEvernoteの使い方や、 ライフハックなどの題材で文章や書籍を出していらっしゃる方で、 結城がふだんから親しくしていただいています。 今回ランチを食べながら、書き物やワークスタイルなどのおしゃべりを楽しみました。
    その中で、結城はちゃっかりEvernoteの便利な使い方について個人教授を受けちゃいました。 結城が、
     「本が刊行された後、  執筆中に使ったノートブックはどうしたらいいのでしょうね。  (チラッチラッ)」
    と尋ねると、らしたさんは親切に、以下のようなTipsを教えてくださいました。
     ・その書籍用のタグを作る。  ・ノートブック内のノートすべてにそのタグを張る。  ・ノートすべてをアーカイブ役のノートブックに移動する。  ・もとのノートブックは削除してしまう。
    アクティブな作業は「ノートブック」で行い、 以前のものは「タグ」で処理をするのがうまいやりかたなのだそうです。 「なるほど!」と思って、さっそく試しているところです。 Evernoteの著者さんにライブで教えてもらっちゃいました♪
    とっても楽しいひとときをありがとうございました。
     * * *
    さて、別の話。 最近Facebookである方が紹介していた、以下のWebページを読みました。
     ◆音楽家(作曲家)になるには・なれれば・なれたら  http://yoshim.cocolog-nifty.com/office/2013/03/post-51db.html
    これは、 作曲家の吉松隆さんという方の文章で「作曲家になる」ということを めぐっての読み物です。いくつか興味深い話がありました。特に結城の 心にとまったのは以下の点です。
     ・「一万時間の法則」ひとつのことをモノにするには一万時間の鍛錬が必要。
     ・1日作曲を怠ると3日取り戻せない、   2日休むと1週間は元に戻らない、   3日休むと取り返しが付かない。
     ・「キミ、書いてみない?」と声を掛けられるのが、   作曲家としての仕事をやるきっかけになるパターンが多い。
    長い文章なので話はこれだけではないのですが、 上記の三点は特に結城の心にとまりました。
    一万時間
    「一万時間の法則」というのは別のところでも聞いたことがあります。 一万時間というと、たとえば3時間×365日×10年だと10950時間。 毎日欠かさず3時間かけると、一万時間を達成するのに10年かかるのですね。 極端に毎日8時間だとすると、一万時間を達成するのに3年半。 さてこれは長いか短いか。 オーダーとしてはあっているような気がします。
    これと並べて語っていいかどうかはわかりませんが「10年」という区切りには それなりに意味があるように結城は感じます。 というのは、結城が「C言語」というプログラミング言語に出会ってから、 C言語の本を出版するまで約10年の月日が経っているからです。 もちろんその間ずっとC言語の鍛錬をやっていたわけではないのですが、 約10年くらい時間を掛けると何かしら語れることはまとまるかも… と思うのです。
    一日怠ると
    「1日作曲を怠ると3日取り戻せない」というのはどうでしょうか。 タイピングやプログラミングで似たようなことを感じた経験はありますね。 ある程度頭をふだんから使っていないとどこかさびついてしまう感覚はあります。 言葉がうまく出てこないとか、適語選択に時間が掛かるとか、そういう感覚です。
    キミ、書いてみない?
    「キミ、書いてみない?」という言葉には強く頷くところがあります。 結城自身も、本を書き始めたのはこれに近い言葉を掛けられたことが きっかけになっているからです。
     「結城さんは本を書かないんですか?」
    そういうひとことです。そのひとことで
     「あ、そうか、私も本を書いていいんだ」
    という気持ちになったのです。 たぶん、そのひとことを聞くまで自分が本を書くということを 具体的に考えた経験はなかったと思います。 自分が本を書けるか書けないかではなく、 そもそもそういう選択肢すら考えたことがなかったのです。 でも、いまやそれで生計を立てている状態です。 人生はまったくわからないものですね。
    ただ、大学時代から文章を書く練習のようなものは自主的にやっていました。 系統だってはいなかったけれど、とにかく原稿用紙をたくさん埋める練習です。 身辺雑記のようなものをたくさん書いていました。 当時は原稿用紙に万年筆で手書きでした。大量に書く練習もやっていました。 そういえば、なぜそんなことをしてたんだろう。
    文章を書くことは好きでしたし、自分が書いた文章を読み返すのも大好きでした。 心地よさがいつもそこにありました。表現するために苦悩する感覚は少なく、 むしろ書くことで気持ちよくなる。語ることで何かのカタルシスを得る。 そういう感覚で書いていたことが多かったように思います。
    二十代には二十代の悩みや苦しみもあったわけですが、 書くことによって、文章によって、 それを自分が受容できる形態に変容させていたのかもしれません。
    若い時代には、何らかの強いエネルギーが発散する方向を求めて動いている。 そしてそれが何かの出会いや何かのきっかけで道を見つけて人生が流れていく。 そんな感覚があります。 クリスチャンなら「神さまの導きによって」と表現したくなるような、 「神の配剤」といいたくなるような、偶然とは思えないできごともあります。 まあ、また、それについてはいつか筆の勢いで書くことにして――
    今日のところは、結城メルマガを始めることにいたしましょう。
    今回の結城メルマガのメインコンテンツは、 昨年の講演「数学ガールの誕生」を読み物化したものの第5回目です。 PDFをダウンロードしてお読みくださいね。
    それから「文章を書く心がけ」のコーナーでは、 「知っていること」を書くのか「調べたこと」を書くのか、 そのバランスについてお話しします。
    「Q&A」では、進路について「就職を考えたくない」 と思っている方からのメールにお答えします。
    では、結城メルマガをどうぞお読みください!
    目次
    はじめに - キミ、書いてみない?
    本を書く心がけ - 講演「数学ガールの誕生」(5)
    文章を書く心がけ - 「知っていること」と「調べたこと」
    Q&A - 就職を考えたくない
    次回予告 - フロー・ライティング