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記事 107件
  • Vol.394 結城浩/短縮号/眠気対策/日記を書くために/行動の基準/「調べる」の先になかなか行けない/

    2019-10-15 07:00  
    220pt
    Vol.394 結城浩/短縮号/眠気対策/日記を書くために/行動の基準/「調べる」の先になかなか行けない/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年10月15日 Vol.394
    目次
    眠気対策 - 仕事の心がけ
    日記を書くために参考になる文章 - 文章を書く心がけ
    何を行動の基準とすべきか
    「調べる」の先になかなか行けない
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    みなさんご存じの通り、先週末には令和元年台風19号が猛威を振るいました。被災なさった方には心からお見舞い申し上げます。
    結城個人に関しては、特に直接的な被害はありませんでしたが(深く感謝)、関東に居住していますので、この台風の影響を大きく受けました。
    そのため、たいへん申し訳ありませんが、今回の「結城メルマガ」Vol.394は「短縮号」とさせていただきます。どうかご了承ください。
    * * *
    新刊の話。
    「数学ガールの秘密ノート」シリーズの最新刊『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』の初校ゲラがやってきました。
    今週は初校の読み合わせがあり、少しずつ少しずつ書籍の完成に向けて作業は進んでいきます。
    今回はシリーズの第12巻目になりますが、いつもと異なり数学的な内容はそれほど多くありません。数学的な内容もさることながら、学ぶことが苦手な「ノナちゃん」と「僕」との対話が中心テーマとなっています。
    「学ぶこと」や「理解すること」……これらはすべて大切な知的活動ですが、よく考えてみますと正面切って学校で学ぶことはありませんね。
    中学校や高校では「数学」という科目を学びますが、そもそも「学ぶ」とはどういうことなのか、「理解する」とは何をすることなのかについては教えられません。
    いや、教えられないというのは少しウソがありますね。科目を学ぶ中で、間接的に教えられるからです。
    授業を受けている中で、気の利いた生徒は「ははーん、学習はこうやるものなんだな」と気付きます。でも、それに気付かない生徒もたくさんいるでしょう。
    あるいはまた「要するに試験を突破するんだから暗記しちゃえばいい」と短絡的に考える生徒も少なくないはずです。でも、それは本当に正しい考え方なのでしょうか。
    『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』は、学校で直接学ぶことのない「学ぶこと」や「理解すること」を数学ガールの登場人物といっしょに体験的に学んでいく一冊となります。その意味では、たいへんユニークな本といえるでしょう。
    生徒さんや学生さんだけではなく、学校の先生や、保護者さんにも読んでいただきたい一冊です。
    あなたのお知り合いにも「やさしい数学が題材になっているけれど、もっと広く《学ぶこと》が題材になっている読み物」として、本書をご案内していただけるとうれしいです。
    ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』(アマゾン)https://bit.ly/hyuki-note12
    また『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』はWeb立ち読み版が公開されています。
    Web立ち読み版では、目次、はじめに、プロローグ、第1章全文、第1章の練習問題を読むことができます。
    ユーザ登録は不要で、アプリのインストールも不要です。
    ワンタップで読み始められ、もちろん無料です。ぜひ、お読みください!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』(Web立ち読み)http://ul.sbcr.jp/MATH-v2TrQ
    * * *
    それでは、今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.392 結城浩/働きたくない/専門的な話をするとき/暗記/試験が悪いと落ち込む/言いたいことばかり言う人/

    2019-10-01 07:00  
    220pt
    Vol.392 結城浩/働きたくない/専門的な話をするとき/暗記/試験が悪いと落ち込む/言いたいことばかり言う人/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年10月1日 Vol.392
    目次
    専門的な話をするときのレベルで迷う - 教えるときの心がけ
    暗記の話 - 学ぶときの心がけ
    試験の結果が悪いと落ち込んでしまう
    自分の言いたいことばかり言う人が多すぎる - コミュニケーションのヒント
    働きたくない - 仕事の心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    * * *
    新作の話。
    『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』は、残っていた原稿も編集部に先週送付することができ、本当に脱稿となりました。感謝です!
    今週は本書のイラスト打ち合わせがあります。いつものメンバーでの打ち合わせですけれど、今回はいつもとはちょっと違う本なので、そのあたりの調整と意識合わせが中心になるでしょう。楽しみです!
    その後のイベントとして、初校と初校読み合わせ、再校と再校読み合わせ、著者サイン本の準備などが控えています。そうだ、恒例の《サイン本無料プレゼント》の準備もしなくては。
    本書では数学が苦手な「ノナちゃん」という女の子が新しく登場します。いつもの登場人物との《対話》がどのように繰り広げられるのか、どうぞお楽しみに!
    中学生・高校生はもちろんのこと、保護者の方や教育に携わる方に幅広く読んでいただきたい一冊です。
    ぜひ応援よろしくお願いいたします!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』(アマゾン)https://bit.ly/hyuki-note12
    * * *
    数学の魅力と五つの感受性の話。
    佐野岳人さんが松森至宏さんと語っているVoicyが公開されているのでご紹介します。Voicyというのは音声で情報提供するというボイスメディアです。
    佐野さんのVoicyは「働き方や学び方が多様化している現在、働きながら学んでいる方や、一度社会に出てから再び大学に入り直した方々をゲストにお招きして、個々人のライフスタイルに合った学び方を一緒に探るラジオ」とのことです。
    ◆「34歳からの数学博士」佐野岳人 - Voicyhttps://voicy.jp/channel/925
    「数学の魅力と五つの感受性」というタイトルで、仕事と数学の両立や、数学の魅力、大学数学にどう向かうかといった話題が語られています。10分単位で区切られているので聞きやすいです。
    ◆第1回 松森至宏さん - 数学の魅力と五つの感受性https://voicy.jp/channel/925/54149
    * * *
    Webサイトの話。
    先日、Twitterで「あなたはいま、このツイートをどんな環境で見ましたか」と尋ねたことがあります。回答数は1301個あり、四つの選択肢の割合は以下の通りでした。
    スマートフォンの類で見た(79%)
    タブレットの類で見た(4%)
    PCの類で見た(17%)
    正式なアンケートではなく、しかも結城のツイートが届く範囲というざっくりした問いかけですけれど、それでも「約8割がスマートフォンの類でツイートを読んでいる」ことは重要な意味を持ちます。
    もしもWebサイトをTwitterで宣伝するときには、スマートフォンでちゃんと読めるようになってないとたいへんまずいわけですよね。まあ、こんな話はいまさらですけれど。
    なぜこんなことを書いているのかというと、Twitterで宣伝されているWebサイトなのに、スマートフォンで読めない場合がしばしばあるからです。PCでは読みやすいのだろうけれど、スマートフォンでは読みにくかったり、そもそもうまく表示されなかったりするケースがあります。
    そういうとき結城は「この宣伝をした担当者は多くのユーザがこのWebサイトをどういう環境で見ようとするか考えなかったんだろうな」と想像します。これは《相手のことを考える》や《読者のことを考える》という姿勢に反しているわけですね。
    《相手のことを考える》という愛の原則は驚くほど広く応用できます。たとえばWebサイトにサポートの電話番号を書くならば、その番号に電話を掛けてみる。メールアドレスを公開するなら、そのメールアドレスにメールを出してみる。「詳しくはこちらをご覧下さい」とリンクを表示するなら、そのリンクをたどってみる。これらはすべて《相手のことを考える》態度といえるでしょう。
    具体的なWebサイトの批判が目的ではないので詳細は書きませんが、ある公共団体が運営する自然公園がありました。そこに行こうと考えて公式Webサイトを調べたところ、驚くことに「開園時間」の情報がありませんでした。さらに「駐車場の有無」ならびに「園内地図」も情報がありません。このWebサイトの作成者は、読む人が何を求めてこのWebサイトに来ると思ったのだろう……と首を傾げてしまいました。
    実は《相手のことを考える》というのは、それほどまでに難しいことなのかもしれませんね。
    私も他山の石としなければ!
    * * *
    両手を使う話。
    自分の生活の《丁寧度》を簡単にアップする方法を考えました。生活に潤いをもたらし、きちんとしたリズムと、落ち着きがやってくる簡単な方法です。
    それは「片手を使って物を持てる場面であっても、あえて両手を使う」という方法です。簡単でしょう?
    たとえばノートパソコンを取るとき。あるいは食卓のお皿を片付けるとき。誰かに本を渡すとき。コップで水を飲むとき。片手でできる場面であっても、あえて両手を使うのです。
    不思議なくらい気分が変わります。ぜひやってみてください。
    礼儀作法の心得でも似た話を耳にしたことがあります。自分が扱う物が、あたかも非常に高価な年代物で、しかも壊れやすい物であるかのように扱うのです。そうすると、自然に礼儀作法に適った所作になるんだそうです。なるほど。心と身体の関係って不思議ですね。
    そういえば、ある朝の私の体験です。
    妻が台所でスイカを小さく切って食べていたので、私は「そのスイカ、ちょっと両手で持って食べてみて」と依頼しました。
    彼女は両手でスイカを持ち直し、食べながら私を上目遣いで見ます。「こう?」
    たいへんかわいい。
    * * *
    それでは、今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.385 結城浩/創作における挑戦と上手くいかないイライラ/ネットでの言葉の選び方/自分は理解しているのか/ナラティブ/図形問題と誤差/

    2019-08-13 07:00  
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    Vol.385 結城浩/創作における挑戦と上手くいかないイライラ/ネットでの言葉の選び方/自分は理解しているのか/ナラティブ/図形問題と誤差/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年8月13日 Vol.385
    目次
    学んだことを自分は理解しているのか - 学ぶときの心がけ
    「ナラティブ」を書く - 仕事の心がけ
    図形問題で誤差はどこまで許されるのか - 学ぶときの心がけ
    ネットでの言葉の選び方 - コミュニケーションのヒント
    創作における挑戦と上手くいかないイライラ
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    * * *
    「理想の書店」の話。
    「結城さんにとって『理想の書店』とは、どんなものですか」という質問をいただきました。
    「理想の書店とは何か」……これは、なかなか魅惑的な問いですね。しかしながら考えてみると答えるのが難しい問いでもあります。しばらく考え込んでしまいました。あなたもちょっと考えてみてください。あなたにとって「理想の書店」とは、どんなものですか。
    私は、ずばりと答えるのが難しいと判断して、「理想の書店」に必要な要素を考えることにしました。つまり、いやしくも「理想の書店」ならば、こういう要素は外せないというものを探すのです。さらに、現実的な制約を取っ払って考えることにしました。何しろ「理想の書店」なんですから。
    私が考えたのは「『理想の書店』は、そこに行くたびに何かしら新しい発見があるような書店である」ということでした。どういう本があるか、自分の家から近いか、本の値段がどうか、そういう要素も考えたのですが、どうも「理想の書店」に不可欠な要素とは思えません。でも、もしも、「そこに行くたびに何かしら新しい発見がある」としたら? うん、それは「理想の書店」にかなり近いのではないでしょうか。それが現実に実現できるかどうかはわかりませんけれど。
    「こういう本があるところが理想の書店」と自分で指定するのは、自分の思考の枠内に発想が収まってしまう危険性があります。どういう本が置いてあるか、どんな本の並びになっているかも含めて、私に発見をうながしてくれるような書店があるとしたら、それはすばらしい。自分の家から遠くても通いそうです。本の値段が高くても買ってしまいそうです。
    ネット書店が便利になるにつれ、リアル書店を利用する度合いが減っています。特に私の場合には「この本を買う」と決めて買うことが多いので、ネット書店が楽だからです。でも「何の本を買うべきかわからない」状態のとき、ネット書店はかなり非力です。ネット書店での散策はレコメンデーションにあふれすぎていて、ちっとも散策にならないからです。
    書名がわかっていて本を買うだけなら、あとは値段や到着までの時間くらいしか書店間に違いが生じません。でも「そこに行くたびに何かしら新しい発見があるような書店」が仮にあったとしたら、その書店の価値は非常に大きなものになります。代替困難な体験、他とは比較不可能な経験を提供してくれるからです。
    ところで、ここまで書いてきて気付いたのですが、「理想の書店」を引き合いに出すまでもなく、私はリアル書店に足を運ぶときには、そこに「何かしら新しい発見」を求めているようです。本を買うのが主目的としてリアル書店に行くのではありません。自分が知らない新しい本と出会い、ネットでは気付きにくい世の中のトレンドに触れるためにリアル書店に行くことが多いのです。
    しっかりしたクオリティコントロールがなされているならば、書店とカフェの併設にも魅力を感じます。そこに入場するだけでお金を払ってもいいくらいです。
    「理想の書店とは?」と問われたら、あなたは何と答えますか。
    * * *
    珍しいノマドワーカーの話。
    通常のオフィスではなくカフェなどを巡って仕事している人を「ノマドワーカー」と呼ぶことがあります。
    結城もノマドワーカーといえます。結城はカフェやファーストフード店や図書館などを使って仕事をしています。ネット経由で仕事ができるので、物理的に自分がどこにいるかはあまり重要ではありません。
    ところで先日、非常にめずらしいノマドワーカーを発見しました。
    がちゃがちゃとにぎわっているフードコートでアイスコーヒーを飲みながら、ふと斜向かいの席を見たところ、お爺さんが一人静かに「古文書の修復作業」をしていたのです。とても、びっくりしました。
    古文書の修復作業をしているノマドワーカー発見!
    たぶん、お爺さんが個人的に所蔵している古文書なのでしょうけれど(でないと問題がありますよね)、「古文書の修復作業」はさすがに作業場所を選んだ方がいいのではないかと思います。何しろ、ジュースをコップに入れた子供達がすぐそばを走り抜けていく環境なんですから……。
    * * *
    では、今回も結城メルマガをどうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.384 結城浩/インクリメンタルな環境改善(5)/学びと共有/約束を破る人/のろけ話/質問に回答するコツ/

    2019-08-06 07:00  
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    Vol.384 結城浩/インクリメンタルな環境改善(5)/学びと共有/約束を破る人/のろけ話/質問に回答するコツ/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年8月6日 Vol.384
    目次
    のろけ話を聞くのがつらい - コミュニケーションのヒント
    専門知識の学びと共有のバランス - 学ぶときの心がけ
    インクリメンタルな環境改善(5)自動化 - 仕事の心がけ
    約束を破る人に怒りを感じる
    質問に回答するコツ - コミュニケーションのヒント
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    暑いですね!
    先週は燃えるように暑い日が続き、毎日「暑い……」とばかり考えていました。
    令和ちゃんには、気温の調節がもっとうまくなってほしいです。
    * * *
    クロスロードの話。
    『クロスロード』という新海誠監督が作った「Z会」の動画があります。
    都会に住む高校生男子と地方に住む高校生女子が、それぞれに勉強をして受験に臨み……というストーリーです。
    ◆新海誠監督『クロスロード』受験生応援ストーリー120秒Ver.|Z会 https://bit.ly/crossroad120
    結城は自分のことを「2017年にこの動画を世界で一番見ていた人間の一人」だと自負しています。『数学ガール/ポアンカレ予想』の執筆追い込み期に、毎日欠かさず何回も見ていたからです。
    『クロスロード』開始後1:14に出てくる試験開始のシーンは、何度見ても毎回涙が出てきます。自分の未来を切り拓こうとする若い人たちがいて、自分が学んできた力を試す場がある。そこに向かう緊張感と真剣さがあの一瞬に描かれていると感じるからです。
    そして「がんばれ、受験生!」とエールを送りたくなるのです。
    「がんばれ、受験生!」
    受験生に必要なのは、知識のサポートだけじゃありません。心のサポートも必要です。
    受験を控えている、あなたへ。
    応援しています。
    大事な一歩を今日もていねいに進めてくださいね。
     
  • Vol.383 結城浩/能力の低さにイライラ/ストーリーが思いつかない/学ぶことのモチベーション/動機付けの多様性/心の機微を理解/

    2019-07-30 07:00  
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    Vol.383 結城浩/能力の低さにイライラ/ストーリーが思いつかない/学ぶことのモチベーション/動機付けの多様性/心の機微を理解/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年7月30日 Vol.383
    目次
    能力の低さにイライラしてしまう - 仕事の心がけ
    小説執筆に憧れているがストーリーが思いつかない - 文章を書く心がけ
    学ぶことのモチベーション - 学ぶときの心がけ
    動機付けの多様性 - 教えるときの心がけ
    心の機微を理解したい - コミュニケーションの心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    * * *
    映画『天気の子』の話(ネタバレなし)。
    先日、彼女(妻)と二人で映画『天気の子』を観てきました。
    三年前『君の名は。』も彼女と二人で観ましたので、あれから三年も経ったんだなあとしみじみ感じながら、新海誠監督の美しい画面と、RADWIMPSの音楽を堪能してきましたよ。
    私たちが観たのはシネコンの中でも小さなスクリーンでしたが、スクリーンの大きさはまったく気にならず楽しめましたね。
    ◆映画『天気の子』公式サイトhttps://tenkinoko.com/
    映画公開に合わせてだと思いますが、アマゾンのプライムビデオでも新海誠監督作品が無料で視聴できるようになっていますね。結城は連作『秒速5センチメートル』の二つ目「コスモナウト」が大好きです。
    ◆『秒速5センチメートル』(アマゾンプライムビデオ)https://amzn.to/312pVew
    また「靴を作る」というメタファーが切なくも美しい『言の葉の庭』もいいですね。
    ◆『言の葉の庭』(アマゾンプライムビデオ)https://amzn.to/32WvkFD
    * * *
    仕事の種まきの話。
    「仕事の種まきをする」という表現があります。
    すぐに収入にはならないし仕事にも結びつかないけれど、将来になって芽が出て花が咲き実がなることを期待する活動のことです。
    ところで、いったん種が育って実を取り入れるころになると、自分が種まきしたときのことを忘れていることが多いもの。何だか昔から育っていた気分になるのです。あるいは、自分が最初から実がなることと確信して活動していたような錯覚に陥ることもあります。
    昔から大きい実がなっていて、最初からすべてがうまくいって、紆余曲折がなくスッと成功した……そんな気になってしまうのです。
    それって、きっとまちがった認識ですよね。
    いまは実を取り入れているけれど、昔はただの種だったことを思い出しましょう。育った種もあれば、そうでない種もあります。最初から大きな実がなる種だけをまいていたのではないことを忘れないようにしましょう。
    しっかり、思いだす。
    しっかり、覚えておく。
    さもないと、次の種まきに失敗するからです。
    * * *
    タバコの話。
    先日、公園でCMみたいな一場面に出くわしました。
    小さな孫娘に久しぶりに会ったらしいおじいちゃん。抱っこしたとたん「おじいちゃんタバコくさい!」と孫娘に嫌われていました。
    おじいさん、しょぼん……
    でも実際、タバコを吸っている人は吸っていないときも「タバコのにおい」がしていることがあります。
    電車で隣に座った人からタバコのにおいがしてびっくりしたけれど吸っているわけではない、ということが何回かありました。
    煙だけじゃないんですよね。
    * * *
    ちゃんと読めばわかるのかしら、という話。
    「数式まじりの文章はなかなか読めない」という状態を画像で表現してみました。
    ◆Statements.
    数式まじりの文章がこんなふうに「わけがわからないもの」に見えている人も多いだろうな、と想像します。こんなふうに見えている人に対して、やみくもに「ちゃんと読みなさい!」と言ったり、「しっかり読めばわかるでしょ!」と言ったりしてもしょうがありませんね。
    少しずつ解きほぐしたり、恐怖感をやわらげたり、読める部分を探したり……そんな工夫なしに「ちゃんと読みなさい!」と言われても、どうしようもありません。
    学ぶ人の状態を知らないことには、的確な指導はできないでしょうねえ。学校の先生の努力には頭が下がります。
    * * *
    人間関係を壊さないための投資の話。
    ずいぶん昔の話です。
    出かけていた彼女と駅で夕方待ち合わせて買い物して帰るという場面がありました。
    その日の私はたまたまコーヒーを飲み過ぎていて気分がやや悪く、しかも夕方で疲れていました。しかもノートパソコンの電池が少ない中で編集部と細かいやりとりをしていたところに、彼女から帰宅時間の通知が来たのです。
    カフェイン摂取多め。血糖値低め。バッテリー少なめ。仕事多め。その状態で、疲れた私が疲れた彼女を迎える……
    (ここで思案)
    私は、彼女と会う前にコンビニで小さなスイーツを買ってモグモグ。
    ふう、と一息つく。血糖値アップ。
    疲れた彼女をにこやかに迎え、買い物を二人でなごやかにすませて帰宅することができました。
    帰宅するまでのあいだには、駐車券の紛失や、待ち合わせ場所の誤認や、重い荷物の倍増や、サービスカウンターの大混雑……といった障害があったにも関わらず、私は彼女の疲れを増す失言をしないで済みました。疲れながらも二人でねぎらいつつ帰宅できたのです。
    私の人徳ではありません。
    あのときの「小さなスイーツを買ってモグモグ」が大正解でした。
    人間関係を壊さないための投資、129円(税込)。
    * * *
    では、今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.374 結城浩/整理して言葉にまとめる/解法パターン暗記では楽しくない/メモの管理/数学で気になるところがあると先に進めない/何となく生きてきて/

    2019-05-28 07:00  
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    Vol.374 結城浩/整理して言葉にまとめる/解法パターン暗記では楽しくない/メモの管理/数学で気になるところがあると先に進めない/何となく生きてきて/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年5月28日 Vol.374
    目次
    相談したいことを整理して言葉にまとめるコツ - コミュニケーションのヒント
    解法パターンの暗記では数学が楽しくない - 学ぶときの心がけ
    メモをどう管理するか - 仕事の心がけ
    社会人、数学で気になるところがあると先に進めない - 学ぶときの心がけ
    今まで何となく生きてきて、大学生になったけど
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』の原稿は二週間前に編集部に送り、先週はカバーとイラストの打ち合わせがありました。粛々と新刊刊行に向けて作業が進んでいきます。
    今週は初校ゲラが届く予定になっています。6月上旬に初校読み合わせ、6月中旬に再校ゲラ、6月下旬に再校読み合わせという段取りで進み、7月にはめでたく新刊の刊行となります。
    毎回のことですけれど、新しい本を出版するというのは深い喜びと読者への感謝の気持ちでいっぱいになるものです。もちろん準備や作業は大変といえば大変ですが「新刊が出る」と思うと自然に笑みが浮かびます。
    今回の「ビットとバイナリー」というテーマは数学とコンピュータのはざまにある話題といえるかもしれません。中学・高校ではあまり扱わない内容も含まれており、多くの方に楽しんでいただけると思います。
    応援よろしくお願いいたします。
    ◆『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』https://bit.ly/hyuki-note11
    * * *
    いろいろ再起動する話。
    『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』を(一応)脱稿してから、いろいろ再起動しています。
    まず「圏論の勉強」を再起動しました。2018年の秋に始めたものの、しばらく中断していた勉強です。しばらく中断というのは具体的には「2月〜4月」の期間のこと。どうして中断した期間がわかるかというと、勉強した日にはTwitterで「今日の圏論」というハッシュタグでツイートしているからです。検索してみると中断している期間がすぐにわかります。
    マックレーンの『圏論の基礎』を少しずつ読んでいて、あるとき「普遍性」とはそういうことか!と腑に落ちたことがありました。そのときレンスターの『ベーシック圏論』の「普遍性からの速習コース」という副題の意味も同時に腑に落ちました。いったん『圏論の基礎』はお休みにして『ベーシック圏論』の方を読んでいくことにします。
    ◆Twitterで結城の「今日の圏論」を検索するhttp://bit.ly/2QmDVve
    それから「筋肉体操」を再起動しました。こちらは2018年11月〜2019年4月まで中断していましたね。これもTwitterで「今日の筋肉体操」というハッシュタグでツイートしているので中断期間は明確です。
    いつのまにか「筋肉体操2」というYoutube動画もできていたので、継続していきたいと思っています。
    ◆Twitterで結城の「今日の筋肉体操」を検索するhttp://bit.ly/2woDNlK
    また、今年心がけようとしていた「インクリメンタルな環境改善」や「今年は意識的に本を読もう」もだいぶなおざりになっていたので、再起動していきたいと思います。
    Twitterは確かにライフログとして有効ですね!
    なお、from:hyuki のように from: というキーワードを使うと「自分のツイートだけを検索」することができて便利ですよ。
    * * *
    それでは今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.371 結城浩/創造性はみんなにあるか/何をやってもうまくいかない/高校時代の勉強/目標の公言/登場人物と仲良くなりたい/パラレリズム/

    2019-05-07 07:00  
    220pt
    Vol.371 結城浩/創造性はみんなにあるか/何をやってもうまくいかない/高校時代の勉強/目標の公言/登場人物と仲良くなりたい/パラレリズム/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年5月7日 Vol.371
    目次
    パラレリズムで生じる「飽き」の解消 - 文章を書く心がけ
    創造性はすべての人にあるのか
    目標を公言するのがこわい - 仕事の心がけ
    何をやってもうまくいかない状態を抜け出すには
    高校時代にどのくらい専門的な勉強をしていたか - 学ぶときの心がけ
    ルート2は存在するのか
    自分の書く物語の登場人物と仲良くなりたい - 文章を書く心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    ようやく『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』の第5章までレビューアさんに送りました!
    あとはエピローグなど。がんばろう、がんばろう!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』https://bit.ly/hyuki-note11
    今回の結城メルマガ、どうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.369 結城浩/塾講師、生徒におもしろさを伝えたい/多種多様な仕事をこなす/数学のポスドク、将来への不安/メタ認知/

    2019-04-23 07:00  
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    Vol.369 結城浩/塾講師、生徒におもしろさを伝えたい/多種多様な仕事をこなす/数学のポスドク、将来への不安/メタ認知/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年4月23日 Vol.369
    目次
    数学のポスドク、将来への不安
    多種多様な仕事をどうやってこなすか - 仕事の心がけ
    塾講師、生徒におもしろさを伝えたい - 教えるときの心がけ
    知ったことをどう記録するか - 学ぶときの心がけ
    メタ認知を教えたい - 教えるときの心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    最近はずっと『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』に取り組んでいます。
    先週末にようやく第3章までレビューアさんに送付が済みました。後半戦もがんばって進めます!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』https://bit.ly/hyuki-note11
    * * *
    インタビューの話。
    技術評論社の技術誌WEB+DB PRESS Vol.109に掲載された結城浩のインタビューがWebで公開されました。インタビューしてくださったのは竹馬光太郎さんです。
    執筆一本で食べていけるのか?
    「無駄」な作業が良い本を生む
    技術書典は書き手と読み手をつなぐ
    「読者」というテキスト処理系
    良い文章を書く原則はたった一つ
    という内容が含まれていますので、ぜひお読みください。
    ◆「at the front―前線にて」第3回「筆一本はいかにして実現したか?……」http://gihyo.jp/dev/serial/01/at-the-front/0003
    * * *
    では今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
    数学のポスドク、将来への不安
    質問
    大学院で数学のポスドクをしています。
    今までは大学に残り研究を続けるつもりでしたが、最近このままで良いのだろうかと思うようになっています。
    現在収入が少なく経済的に不自由になっていることや、ポストの少なさなどアカデミアの将来への不安が主な理由です。一つの分野に閉じこもってしまうこと自体への不安もあります。
    一方で研究自体は楽しく感じています。数学以外にも興味のある分野はありますが、たとえばもし企業に入ったとして今以上に好きなことができるかどうかわからないのです。
    今後の生き方について指針となる言葉を頂ければと思います。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    将来は見えないのでどうしても不安になるものですよね。
    とにもかくにも、まずは「情報収集」ではないでしょうか。たとえばあなたが念頭に置いている企業に知人はいないでしょうか。
    経済的な不安についても同様に「情報収集」です。まずは概算でもいいから年齢と能力と相場を考えつつ、自分の今後の収支を予測するところから。出回っている情報を鵜呑みにしないように注意しながら「情報収集」です。私自身はアカデミアにいたわけでもありませんし、会社勤めをしていたのはずいぶん以前のことなので、具体的な情報は提供できません。ごめんなさい。
    研究自体を楽しく感じていることはたいへん結構なことだと思います。ただ、それと同時に、自分の人生を長い目で見るスタンスも必要になります。あなたにご家族がおありになるか不明ですが、もしいらっしゃるなら、今後のことについて時間を取り、よく話し合うのは必要です。
    ともあれ、いろんな方と話してみることは悪くありません。「そもそも私はどんなふうにこれから生きていきたいか」が他者との対比の形で明確になる部分もあると思います。
    がんばってくださいね。
    後日、質問主さんから届いた文章
    以前「将来が不安なポスドク」として質問させていただいた者です。
    今回は質問ではありませんが、お礼も兼ねてそれからのことを報告させてください。
    情報収集が大切だとのことだったので、大学の相談窓口や就職サイトなどを利用して情報を集めるようにしました。
    その結果、自分と合う企業でアルバイトをさせてもらったり、また進路についても「自分にできそうなこと」「自分がやりたいこと」が明確になりました。
    運の良いことに、任期付きではありますがしばらく数学の研究を続けられることになったので、もうしばらくは研究をするつもりです。
    ですが、色々な人と話したおかげで、さらに先の人生についての不安はかなり少なくなったと感じています。
    アドバイスありがとうございました。
     
  • Vol.361 結城浩/面接が苦手/劣等感と向き合う/数学を楽しむために/インクリメンタルな環境改善(4)/建設的な議論/

    2019-02-26 07:00  
    220pt
    Vol.361 結城浩/面接が苦手/劣等感と向き合う/数学を楽しむために/インクリメンタルな環境改善(4)/建設的な議論/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年2月26日 Vol.361
    目次
    面接が苦手だけれど、どうしたらいいですか
    インクリメンタルな環境改善(4) - 仕事の心がけ
    口論と建設的な議論との違い
    どのように劣等感と向き合うか
    数学を楽しむために - 学ぶときの心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    もうすぐ三月になりますね……毎回書いていますが、時間が過ぎるのは本当に早いです。

    * * *

    マグカップの話。
    「結城浩のマグカップ」を作りました!
    スレッドお化け坊やと数式をあしらったマグカップです。
    ◆結城浩のマグカップ
    左手で持つと数式は相手に向かい、右手で持つと数式は自分に向かうようにデザインしています。
    ここに描かれている数式は「数学ガール」や「数学ガールの秘密ノート」シリーズで、本のカバーを外すと現れるもので「恋の冪級数」と呼んでいます。この数式が何を表しているかは自由に想像してください。
    このマグカップ、私も自宅で毎日使っていますが、なかなか素敵ですよ。にっこりしているスレッドお化け坊やを見ていると、こっちまでにっこりしてしまいます。
    以下のページで販売していますので、よろしければぜひどうぞ!
    ◆結城浩のハートとシグマ マグカップ - SUZURI(スズリ)https://suzuri.jp/hyuki0000/1613145/mug/m/white

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    それでは今回の結城メルマガを、どうぞごゆっくりお読みください。
    面接が苦手だけれど、どうしたらいいですか
    質問
    自分は面接が苦手で、面接の試験になるとすぐ選考に落ちてしまうのが悩みです。
    面接が得意になるにはどのようなことを心がけるといいと思いますか。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    面接のどういうところが苦手なのかを調べる必要があると思いますが、ここでは一般的な話を書いてみますね。
    「正しい答えを書けばいい」という筆記試験とは違い、面接は「こうすればいい」という判断が難しいものだと思います。でも、不利にならないという方法はありそうです。まずは、自分がどんな「印象」を相手に与えているかを確認することです。
    誰かに協力してもらって面接の練習をしましょう。できれば面接官の経験がある人がいいです。そして、気になる点がないか率直に言ってもらいましょう。自分の見た目、態度や、振る舞い、それに話し方の癖などを自分一人で気づくことは無理ですから。
    印象は馬鹿に出来ません。たとえば面接のときに、
    信頼できそうもない印象
    おどおどして自信がなさそうな印象
    逆に、自信たっぷりに見せているが空回りしている印象
    を与えるのは明らかに損です。協力者に練習を見てもらい、自分がどんな印象を相手に与えているか、それを率直に言ってもらうことは大事です。
    協力者を確保することがどうしても難しいなら、次善の策として自分の姿を録画してみましょう。自己アピールの様子や、何かを説明している様子や、あるいは典型的な質問に答えているようすを撮影するのです。スマートフォンがあればすぐにできますよね。
    撮影したものをじっくり見てみましょう。もしやったことがないなら、自分の姿にたぶん驚くと思います。気付いたことをメモして、何回かやってみてください。練習すると変化していくことがわかります。
    結城は、会社の入社面接官をした経験が少しあります。面接は多くのことを伝えます。印象で損をする方はたくさんいると思いますよ。たとえば、ちゃんと考えて答えているのに、ちゃんと考えて答えているように見えないというのは損です。
    ちょっと注意したいのは、立て板に水でペラペラ話せることや、質問に対して即答できることが必ずしも最優先ではないという点です。質問されている内容をよく聞き、意味を理解し、それに対して答えているかどうかは大事ですね。要するに、きちんと受け答えできているかということです。
    あなたの実力が大事なのはいうまでもないですが、相手の話をきちんと聞いて、きちんと答える力も大事ですね。そして、あなたの実力に見合った適切な印象を与えることも大事です。
    主に「印象」を中心にお答えしました。自分の考えだけで面接の判断や対策をするのではなく、他者の目を借りることを検討してみてください。
    面接、がんばってね!
     
  • Vol.359 結城浩/職場を選ぶとき/気になる異性/共同執筆を支える技術/教える側が最初に伝えるべきこと/専門書の読み方/

    2019-02-12 07:00  
    220pt
    Vol.359 結城浩/職場を選ぶとき/気になる異性/共同執筆を支える技術/教える側が最初に伝えるべきこと/専門書の読み方/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年2月12日 Vol.359
    目次
    共同執筆を支える技術 - 文章を書く心がけ
    気になる異性の注目を集めたい
    教える側が最初に伝えるべきこと - 教えるときの心がけ
    専門書の読み方 - 学ぶときの心がけ
    職場を選ぶとき、就職や転職を決断するときには何が重要か - 仕事の心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    寒いです。
    このあいだまで「確かに暖冬だなあ」や「あまり冬という感じがしない」と思っていたのがウソのようです。
    寒いです。
    気温の変化、気候の変化、気圧の変化は、心と身体に負担になるので注意しつつ進みたい今日このごろです。
    あなたも、どうぞお身体を大事にしてくださいね。

    * * *

    ファンタジーの効用の話。
    先日私は、とあるお店で「○○味噌」を探していました。愛用している特定の銘柄のお味噌です。いつもはこのお店にあるのですが、今日は見つかりません。
    そこで店長さんに尋ねました。以下、私と店長さんとの会話。
     私「〇〇味噌が棚にないんですが、在庫もないんですか」  店長「ないですねえ」  私「いつ入荷しますか」  店長「すみません」  私「いつ入荷しますか」  店長「今週は入りませんねえ」  私「来週は入りますか」  店長「ご迷惑おかけします」  私「来週は入りますか」  店長「売り切れておりますので…」
    私は○○味噌の入荷時期を知りたかったのですが、店長さんはかたくなに入荷時期を言いません。もしも来週に入荷するなら待つけれど、入荷しないなら別の味噌を購入したい。ところが、入荷時期がわからなければ判断できません。
    どうしてこの店長さんは入荷時期を言わないのだろう!と解せない気持ちになりました。
    それと同時に、こんなふうに思いました。
    もしかしたら、この店長さんは幼少期に「お味噌の入荷時期を言ってはいけない魔法」を悪い魔女からかけられてしまったのかもしれない! だとしたら、入荷時期を言わないのも納得だなあ……
    「お味噌の入荷時期を言ってはいけない魔法」というのは、グリム童話の「いばら姫」(眠れる森の美女)の物語に似ていますね。お城の地下室にはお味噌が醸してある。そこに入った幼少期の店長はついうっかり蓋を開けてしまう……などと空想が広がりました。悪い魔女の造形は実写版のディズニー映画『マレフィセント』で行きましょう。
    そのようにファンタジー風味で考えると、コミュニケーションのイライラが緩和されるのでお勧めです。
    不思議なことに、この店長さんとの会話を続けているうちに、店長さんの様子から「入荷時期は来週になることがほぼ確実だけど、もしかしたら再来週になってしまう可能性もある。どちらになるか確実なことはいえない」という気配を感じ取ることができました。人間のテレパシー能力ってすごいです。
    ところで内緒の話ですが、私も編集者さんからの問いに対して、この店長さんと同じような返答をする場合があることに気付きました。
     編集者「いつ脱稿になりますか」  私「だいぶコアになる部分はつかめてきました」  編集者「いつ脱稿になりますか」  私「あとはこの章を突破すれば」  編集者「いつ脱稿になりますか」  私「えーと……」
    私は幼少期に「脱稿時期を言ってはいけない魔法」を悪い魔女から(以下略)。
    真面目な話をすると、入荷時期を聞かれた店長さんと、脱稿時期を聞かれた私とは同じ誤りに陥っています。それは自分を守る方に意識が向かい、質問者のことを考えられなくなっているという誤りです。質問者は状況を知りたいと思っている。もちろん早いに越したことはないけれど、状況がわからないことには判断を下すことができない。でも回答者は質問者の意図にまで気を回すことができず、口ごもってしまう。そういう誤りですね。
    結論? ○○味噌は、次の週に無事入荷しましたよ!
    めでたし、めでたし。

    * * *

    では、今回の結城メルマガを始めましょう。
    どうぞごゆっくりお読みください。
    共同執筆を支える技術 - 文章を書く心がけ
    ブログ記事の紹介です。
    『ゼロからわかるRuby超入門』(五十嵐邦明+松岡浩平)という書籍の著者の一人、松岡さんが、Qiitaで「執筆活動を支える技術」という記事を公開しています。
    ◆執筆活動を支える技術https://qiita.com/machu/items/4a133e83f58f82459e56
    ◆『ゼロからわかるRuby超入門』https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07KQXFF6D/hyuki-22/
    この記事では「複数人が共同して作業をするためにどのような技術を使ったか」が以下の四ステップに分けられて具体的に書かれています。
    原稿を書く (Asciidoc, Atom, Visual Studio Code)
    共有する (GitHub, Slack)
    HTML/PDF形式に変換する (Rakefile, CircleCI)
    限定公開する (docker, nginx)
    この記事は、書籍執筆者、編集者、技術文書の関係者は必見でしょう。簡潔ではありますが、どんな道具をなぜ使ったかという知見が書かれています。たとえここに書かれていることが自分の環境では実現できなくても、その精神や考え方を自分の執筆・編集作業に取り入れることは有益でしょう。
    この記事を見ていると、技術の力は個人のパワーを増幅させて、さらに技術を使える人が複数人集まるとそのパワーがさらに何倍にもなるということがよくわかります。
    この記事を読みながら、大事なのは「Slackを使ったからうまくいく」や「GitHubを使ったからうまくいく」という話ではないのだろうと思いました。「執筆者たちが自分たちのワークフローを考え、適切なツールを選んだからうまくいく」ということではないでしょうか。
    この記事のあちこちに「この技術を選んだ」や「こういうやり方もできるが、それは選ばなかった」ということが書かれています。そのような選択ができること自体が技術力の一つでもあるなと思いました。技術力があるというのは、自分たちには何が適切なツールなのかを判断できるということでもあるのです。
    また、執筆者たち・イラストレータ・編集者との間に信頼関係があるから、この記事に書かれているようなコミュニケーションがうまくいくのだろうとも思いました。それは、記事中に示されたやり取りの例を読みながら感じたことです。ある程度以上の信頼関係がなければ、いくらツールを揃えてもこうはいかないでしょう。
    そもそも「今回私たちはこういうやり方で執筆を進めました」という記事を書けること自体がすごいことです。なぜなら、執筆の内容を意識するだけではなく、執筆の進め方も意識している証拠ですから。プログラミングが得意な人は、そのようなメタな発想が得意な人が多いと私は感じています。
    ◆執筆活動を支える技術https://qiita.com/machu/items/4a133e83f58f82459e56
    なお、以下はイラスト担当のべこさん(@becolomochi)視点からの別記事です。
    ◆Ruby超入門のかわいいキャラクターたちが生まれるまでhttps://note.mu/becolomochi/n/nbfac9ad3a8d0