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記事 105件
  • Vol.385 結城浩/創作における挑戦と上手くいかないイライラ/ネットでの言葉の選び方/自分は理解しているのか/ナラティブ/図形問題と誤差/

    2019-08-13 07:00  
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    Vol.385 結城浩/創作における挑戦と上手くいかないイライラ/ネットでの言葉の選び方/自分は理解しているのか/ナラティブ/図形問題と誤差/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年8月13日 Vol.385
    目次
    学んだことを自分は理解しているのか - 学ぶときの心がけ
    「ナラティブ」を書く - 仕事の心がけ
    図形問題で誤差はどこまで許されるのか - 学ぶときの心がけ
    ネットでの言葉の選び方 - コミュニケーションのヒント
    創作における挑戦と上手くいかないイライラ
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    * * *
    「理想の書店」の話。
    「結城さんにとって『理想の書店』とは、どんなものですか」という質問をいただきました。
    「理想の書店とは何か」……これは、なかなか魅惑的な問いですね。しかしながら考えてみると答えるのが難しい問いでもあります。しばらく考え込んでしまいました。あなたもちょっと考えてみてください。あなたにとって「理想の書店」とは、どんなものですか。
    私は、ずばりと答えるのが難しいと判断して、「理想の書店」に必要な要素を考えることにしました。つまり、いやしくも「理想の書店」ならば、こういう要素は外せないというものを探すのです。さらに、現実的な制約を取っ払って考えることにしました。何しろ「理想の書店」なんですから。
    私が考えたのは「『理想の書店』は、そこに行くたびに何かしら新しい発見があるような書店である」ということでした。どういう本があるか、自分の家から近いか、本の値段がどうか、そういう要素も考えたのですが、どうも「理想の書店」に不可欠な要素とは思えません。でも、もしも、「そこに行くたびに何かしら新しい発見がある」としたら? うん、それは「理想の書店」にかなり近いのではないでしょうか。それが現実に実現できるかどうかはわかりませんけれど。
    「こういう本があるところが理想の書店」と自分で指定するのは、自分の思考の枠内に発想が収まってしまう危険性があります。どういう本が置いてあるか、どんな本の並びになっているかも含めて、私に発見をうながしてくれるような書店があるとしたら、それはすばらしい。自分の家から遠くても通いそうです。本の値段が高くても買ってしまいそうです。
    ネット書店が便利になるにつれ、リアル書店を利用する度合いが減っています。特に私の場合には「この本を買う」と決めて買うことが多いので、ネット書店が楽だからです。でも「何の本を買うべきかわからない」状態のとき、ネット書店はかなり非力です。ネット書店での散策はレコメンデーションにあふれすぎていて、ちっとも散策にならないからです。
    書名がわかっていて本を買うだけなら、あとは値段や到着までの時間くらいしか書店間に違いが生じません。でも「そこに行くたびに何かしら新しい発見があるような書店」が仮にあったとしたら、その書店の価値は非常に大きなものになります。代替困難な体験、他とは比較不可能な経験を提供してくれるからです。
    ところで、ここまで書いてきて気付いたのですが、「理想の書店」を引き合いに出すまでもなく、私はリアル書店に足を運ぶときには、そこに「何かしら新しい発見」を求めているようです。本を買うのが主目的としてリアル書店に行くのではありません。自分が知らない新しい本と出会い、ネットでは気付きにくい世の中のトレンドに触れるためにリアル書店に行くことが多いのです。
    しっかりしたクオリティコントロールがなされているならば、書店とカフェの併設にも魅力を感じます。そこに入場するだけでお金を払ってもいいくらいです。
    「理想の書店とは?」と問われたら、あなたは何と答えますか。
    * * *
    珍しいノマドワーカーの話。
    通常のオフィスではなくカフェなどを巡って仕事している人を「ノマドワーカー」と呼ぶことがあります。
    結城もノマドワーカーといえます。結城はカフェやファーストフード店や図書館などを使って仕事をしています。ネット経由で仕事ができるので、物理的に自分がどこにいるかはあまり重要ではありません。
    ところで先日、非常にめずらしいノマドワーカーを発見しました。
    がちゃがちゃとにぎわっているフードコートでアイスコーヒーを飲みながら、ふと斜向かいの席を見たところ、お爺さんが一人静かに「古文書の修復作業」をしていたのです。とても、びっくりしました。
    古文書の修復作業をしているノマドワーカー発見!
    たぶん、お爺さんが個人的に所蔵している古文書なのでしょうけれど(でないと問題がありますよね)、「古文書の修復作業」はさすがに作業場所を選んだ方がいいのではないかと思います。何しろ、ジュースをコップに入れた子供達がすぐそばを走り抜けていく環境なんですから……。
    * * *
    では、今回も結城メルマガをどうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.384 結城浩/インクリメンタルな環境改善(5)/学びと共有/約束を破る人/のろけ話/質問に回答するコツ/

    2019-08-06 07:00  
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    Vol.384 結城浩/インクリメンタルな環境改善(5)/学びと共有/約束を破る人/のろけ話/質問に回答するコツ/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年8月6日 Vol.384
    目次
    のろけ話を聞くのがつらい - コミュニケーションのヒント
    専門知識の学びと共有のバランス - 学ぶときの心がけ
    インクリメンタルな環境改善(5)自動化 - 仕事の心がけ
    約束を破る人に怒りを感じる
    質問に回答するコツ - コミュニケーションのヒント
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    暑いですね!
    先週は燃えるように暑い日が続き、毎日「暑い……」とばかり考えていました。
    令和ちゃんには、気温の調節がもっとうまくなってほしいです。
    * * *
    クロスロードの話。
    『クロスロード』という新海誠監督が作った「Z会」の動画があります。
    都会に住む高校生男子と地方に住む高校生女子が、それぞれに勉強をして受験に臨み……というストーリーです。
    ◆新海誠監督『クロスロード』受験生応援ストーリー120秒Ver.|Z会 https://bit.ly/crossroad120
    結城は自分のことを「2017年にこの動画を世界で一番見ていた人間の一人」だと自負しています。『数学ガール/ポアンカレ予想』の執筆追い込み期に、毎日欠かさず何回も見ていたからです。
    『クロスロード』開始後1:14に出てくる試験開始のシーンは、何度見ても毎回涙が出てきます。自分の未来を切り拓こうとする若い人たちがいて、自分が学んできた力を試す場がある。そこに向かう緊張感と真剣さがあの一瞬に描かれていると感じるからです。
    そして「がんばれ、受験生!」とエールを送りたくなるのです。
    「がんばれ、受験生!」
    受験生に必要なのは、知識のサポートだけじゃありません。心のサポートも必要です。
    受験を控えている、あなたへ。
    応援しています。
    大事な一歩を今日もていねいに進めてくださいね。
     
  • Vol.383 結城浩/能力の低さにイライラ/ストーリーが思いつかない/学ぶことのモチベーション/動機付けの多様性/心の機微を理解/

    2019-07-30 07:00  
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    Vol.383 結城浩/能力の低さにイライラ/ストーリーが思いつかない/学ぶことのモチベーション/動機付けの多様性/心の機微を理解/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年7月30日 Vol.383
    目次
    能力の低さにイライラしてしまう - 仕事の心がけ
    小説執筆に憧れているがストーリーが思いつかない - 文章を書く心がけ
    学ぶことのモチベーション - 学ぶときの心がけ
    動機付けの多様性 - 教えるときの心がけ
    心の機微を理解したい - コミュニケーションの心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつもご愛読ありがとうございます。
    * * *
    映画『天気の子』の話(ネタバレなし)。
    先日、彼女(妻)と二人で映画『天気の子』を観てきました。
    三年前『君の名は。』も彼女と二人で観ましたので、あれから三年も経ったんだなあとしみじみ感じながら、新海誠監督の美しい画面と、RADWIMPSの音楽を堪能してきましたよ。
    私たちが観たのはシネコンの中でも小さなスクリーンでしたが、スクリーンの大きさはまったく気にならず楽しめましたね。
    ◆映画『天気の子』公式サイトhttps://tenkinoko.com/
    映画公開に合わせてだと思いますが、アマゾンのプライムビデオでも新海誠監督作品が無料で視聴できるようになっていますね。結城は連作『秒速5センチメートル』の二つ目「コスモナウト」が大好きです。
    ◆『秒速5センチメートル』(アマゾンプライムビデオ)https://amzn.to/312pVew
    また「靴を作る」というメタファーが切なくも美しい『言の葉の庭』もいいですね。
    ◆『言の葉の庭』(アマゾンプライムビデオ)https://amzn.to/32WvkFD
    * * *
    仕事の種まきの話。
    「仕事の種まきをする」という表現があります。
    すぐに収入にはならないし仕事にも結びつかないけれど、将来になって芽が出て花が咲き実がなることを期待する活動のことです。
    ところで、いったん種が育って実を取り入れるころになると、自分が種まきしたときのことを忘れていることが多いもの。何だか昔から育っていた気分になるのです。あるいは、自分が最初から実がなることと確信して活動していたような錯覚に陥ることもあります。
    昔から大きい実がなっていて、最初からすべてがうまくいって、紆余曲折がなくスッと成功した……そんな気になってしまうのです。
    それって、きっとまちがった認識ですよね。
    いまは実を取り入れているけれど、昔はただの種だったことを思い出しましょう。育った種もあれば、そうでない種もあります。最初から大きな実がなる種だけをまいていたのではないことを忘れないようにしましょう。
    しっかり、思いだす。
    しっかり、覚えておく。
    さもないと、次の種まきに失敗するからです。
    * * *
    タバコの話。
    先日、公園でCMみたいな一場面に出くわしました。
    小さな孫娘に久しぶりに会ったらしいおじいちゃん。抱っこしたとたん「おじいちゃんタバコくさい!」と孫娘に嫌われていました。
    おじいさん、しょぼん……
    でも実際、タバコを吸っている人は吸っていないときも「タバコのにおい」がしていることがあります。
    電車で隣に座った人からタバコのにおいがしてびっくりしたけれど吸っているわけではない、ということが何回かありました。
    煙だけじゃないんですよね。
    * * *
    ちゃんと読めばわかるのかしら、という話。
    「数式まじりの文章はなかなか読めない」という状態を画像で表現してみました。
    ◆Statements.
    数式まじりの文章がこんなふうに「わけがわからないもの」に見えている人も多いだろうな、と想像します。こんなふうに見えている人に対して、やみくもに「ちゃんと読みなさい!」と言ったり、「しっかり読めばわかるでしょ!」と言ったりしてもしょうがありませんね。
    少しずつ解きほぐしたり、恐怖感をやわらげたり、読める部分を探したり……そんな工夫なしに「ちゃんと読みなさい!」と言われても、どうしようもありません。
    学ぶ人の状態を知らないことには、的確な指導はできないでしょうねえ。学校の先生の努力には頭が下がります。
    * * *
    人間関係を壊さないための投資の話。
    ずいぶん昔の話です。
    出かけていた彼女と駅で夕方待ち合わせて買い物して帰るという場面がありました。
    その日の私はたまたまコーヒーを飲み過ぎていて気分がやや悪く、しかも夕方で疲れていました。しかもノートパソコンの電池が少ない中で編集部と細かいやりとりをしていたところに、彼女から帰宅時間の通知が来たのです。
    カフェイン摂取多め。血糖値低め。バッテリー少なめ。仕事多め。その状態で、疲れた私が疲れた彼女を迎える……
    (ここで思案)
    私は、彼女と会う前にコンビニで小さなスイーツを買ってモグモグ。
    ふう、と一息つく。血糖値アップ。
    疲れた彼女をにこやかに迎え、買い物を二人でなごやかにすませて帰宅することができました。
    帰宅するまでのあいだには、駐車券の紛失や、待ち合わせ場所の誤認や、重い荷物の倍増や、サービスカウンターの大混雑……といった障害があったにも関わらず、私は彼女の疲れを増す失言をしないで済みました。疲れながらも二人でねぎらいつつ帰宅できたのです。
    私の人徳ではありません。
    あのときの「小さなスイーツを買ってモグモグ」が大正解でした。
    人間関係を壊さないための投資、129円(税込)。
    * * *
    では、今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.374 結城浩/整理して言葉にまとめる/解法パターン暗記では楽しくない/メモの管理/数学で気になるところがあると先に進めない/何となく生きてきて/

    2019-05-28 07:00  
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    Vol.374 結城浩/整理して言葉にまとめる/解法パターン暗記では楽しくない/メモの管理/数学で気になるところがあると先に進めない/何となく生きてきて/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年5月28日 Vol.374
    目次
    相談したいことを整理して言葉にまとめるコツ - コミュニケーションのヒント
    解法パターンの暗記では数学が楽しくない - 学ぶときの心がけ
    メモをどう管理するか - 仕事の心がけ
    社会人、数学で気になるところがあると先に進めない - 学ぶときの心がけ
    今まで何となく生きてきて、大学生になったけど
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』の原稿は二週間前に編集部に送り、先週はカバーとイラストの打ち合わせがありました。粛々と新刊刊行に向けて作業が進んでいきます。
    今週は初校ゲラが届く予定になっています。6月上旬に初校読み合わせ、6月中旬に再校ゲラ、6月下旬に再校読み合わせという段取りで進み、7月にはめでたく新刊の刊行となります。
    毎回のことですけれど、新しい本を出版するというのは深い喜びと読者への感謝の気持ちでいっぱいになるものです。もちろん準備や作業は大変といえば大変ですが「新刊が出る」と思うと自然に笑みが浮かびます。
    今回の「ビットとバイナリー」というテーマは数学とコンピュータのはざまにある話題といえるかもしれません。中学・高校ではあまり扱わない内容も含まれており、多くの方に楽しんでいただけると思います。
    応援よろしくお願いいたします。
    ◆『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』https://bit.ly/hyuki-note11
    * * *
    いろいろ再起動する話。
    『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』を(一応)脱稿してから、いろいろ再起動しています。
    まず「圏論の勉強」を再起動しました。2018年の秋に始めたものの、しばらく中断していた勉強です。しばらく中断というのは具体的には「2月〜4月」の期間のこと。どうして中断した期間がわかるかというと、勉強した日にはTwitterで「今日の圏論」というハッシュタグでツイートしているからです。検索してみると中断している期間がすぐにわかります。
    マックレーンの『圏論の基礎』を少しずつ読んでいて、あるとき「普遍性」とはそういうことか!と腑に落ちたことがありました。そのときレンスターの『ベーシック圏論』の「普遍性からの速習コース」という副題の意味も同時に腑に落ちました。いったん『圏論の基礎』はお休みにして『ベーシック圏論』の方を読んでいくことにします。
    ◆Twitterで結城の「今日の圏論」を検索するhttp://bit.ly/2QmDVve
    それから「筋肉体操」を再起動しました。こちらは2018年11月〜2019年4月まで中断していましたね。これもTwitterで「今日の筋肉体操」というハッシュタグでツイートしているので中断期間は明確です。
    いつのまにか「筋肉体操2」というYoutube動画もできていたので、継続していきたいと思っています。
    ◆Twitterで結城の「今日の筋肉体操」を検索するhttp://bit.ly/2woDNlK
    また、今年心がけようとしていた「インクリメンタルな環境改善」や「今年は意識的に本を読もう」もだいぶなおざりになっていたので、再起動していきたいと思います。
    Twitterは確かにライフログとして有効ですね!
    なお、from:hyuki のように from: というキーワードを使うと「自分のツイートだけを検索」することができて便利ですよ。
    * * *
    それでは今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.371 結城浩/創造性はみんなにあるか/何をやってもうまくいかない/高校時代の勉強/目標の公言/登場人物と仲良くなりたい/パラレリズム/

    2019-05-07 07:00  
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    Vol.371 結城浩/創造性はみんなにあるか/何をやってもうまくいかない/高校時代の勉強/目標の公言/登場人物と仲良くなりたい/パラレリズム/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年5月7日 Vol.371
    目次
    パラレリズムで生じる「飽き」の解消 - 文章を書く心がけ
    創造性はすべての人にあるのか
    目標を公言するのがこわい - 仕事の心がけ
    何をやってもうまくいかない状態を抜け出すには
    高校時代にどのくらい専門的な勉強をしていたか - 学ぶときの心がけ
    ルート2は存在するのか
    自分の書く物語の登場人物と仲良くなりたい - 文章を書く心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    ようやく『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』の第5章までレビューアさんに送りました!
    あとはエピローグなど。がんばろう、がんばろう!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』https://bit.ly/hyuki-note11
    今回の結城メルマガ、どうぞごゆっくりお読みください。
     
  • Vol.369 結城浩/塾講師、生徒におもしろさを伝えたい/多種多様な仕事をこなす/数学のポスドク、将来への不安/メタ認知/

    2019-04-23 07:00  
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    Vol.369 結城浩/塾講師、生徒におもしろさを伝えたい/多種多様な仕事をこなす/数学のポスドク、将来への不安/メタ認知/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年4月23日 Vol.369
    目次
    数学のポスドク、将来への不安
    多種多様な仕事をどうやってこなすか - 仕事の心がけ
    塾講師、生徒におもしろさを伝えたい - 教えるときの心がけ
    知ったことをどう記録するか - 学ぶときの心がけ
    メタ認知を教えたい - 教えるときの心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    最近はずっと『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』に取り組んでいます。
    先週末にようやく第3章までレビューアさんに送付が済みました。後半戦もがんばって進めます!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』https://bit.ly/hyuki-note11
    * * *
    インタビューの話。
    技術評論社の技術誌WEB+DB PRESS Vol.109に掲載された結城浩のインタビューがWebで公開されました。インタビューしてくださったのは竹馬光太郎さんです。
    執筆一本で食べていけるのか?
    「無駄」な作業が良い本を生む
    技術書典は書き手と読み手をつなぐ
    「読者」というテキスト処理系
    良い文章を書く原則はたった一つ
    という内容が含まれていますので、ぜひお読みください。
    ◆「at the front―前線にて」第3回「筆一本はいかにして実現したか?……」http://gihyo.jp/dev/serial/01/at-the-front/0003
    * * *
    では今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
    数学のポスドク、将来への不安
    質問
    大学院で数学のポスドクをしています。
    今までは大学に残り研究を続けるつもりでしたが、最近このままで良いのだろうかと思うようになっています。
    現在収入が少なく経済的に不自由になっていることや、ポストの少なさなどアカデミアの将来への不安が主な理由です。一つの分野に閉じこもってしまうこと自体への不安もあります。
    一方で研究自体は楽しく感じています。数学以外にも興味のある分野はありますが、たとえばもし企業に入ったとして今以上に好きなことができるかどうかわからないのです。
    今後の生き方について指針となる言葉を頂ければと思います。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    将来は見えないのでどうしても不安になるものですよね。
    とにもかくにも、まずは「情報収集」ではないでしょうか。たとえばあなたが念頭に置いている企業に知人はいないでしょうか。
    経済的な不安についても同様に「情報収集」です。まずは概算でもいいから年齢と能力と相場を考えつつ、自分の今後の収支を予測するところから。出回っている情報を鵜呑みにしないように注意しながら「情報収集」です。私自身はアカデミアにいたわけでもありませんし、会社勤めをしていたのはずいぶん以前のことなので、具体的な情報は提供できません。ごめんなさい。
    研究自体を楽しく感じていることはたいへん結構なことだと思います。ただ、それと同時に、自分の人生を長い目で見るスタンスも必要になります。あなたにご家族がおありになるか不明ですが、もしいらっしゃるなら、今後のことについて時間を取り、よく話し合うのは必要です。
    ともあれ、いろんな方と話してみることは悪くありません。「そもそも私はどんなふうにこれから生きていきたいか」が他者との対比の形で明確になる部分もあると思います。
    がんばってくださいね。
    後日、質問主さんから届いた文章
    以前「将来が不安なポスドク」として質問させていただいた者です。
    今回は質問ではありませんが、お礼も兼ねてそれからのことを報告させてください。
    情報収集が大切だとのことだったので、大学の相談窓口や就職サイトなどを利用して情報を集めるようにしました。
    その結果、自分と合う企業でアルバイトをさせてもらったり、また進路についても「自分にできそうなこと」「自分がやりたいこと」が明確になりました。
    運の良いことに、任期付きではありますがしばらく数学の研究を続けられることになったので、もうしばらくは研究をするつもりです。
    ですが、色々な人と話したおかげで、さらに先の人生についての不安はかなり少なくなったと感じています。
    アドバイスありがとうございました。
     
  • Vol.361 結城浩/面接が苦手/劣等感と向き合う/数学を楽しむために/インクリメンタルな環境改善(4)/建設的な議論/

    2019-02-26 07:00  
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    Vol.361 結城浩/面接が苦手/劣等感と向き合う/数学を楽しむために/インクリメンタルな環境改善(4)/建設的な議論/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年2月26日 Vol.361
    目次
    面接が苦手だけれど、どうしたらいいですか
    インクリメンタルな環境改善(4) - 仕事の心がけ
    口論と建設的な議論との違い
    どのように劣等感と向き合うか
    数学を楽しむために - 学ぶときの心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    もうすぐ三月になりますね……毎回書いていますが、時間が過ぎるのは本当に早いです。

    * * *

    マグカップの話。
    「結城浩のマグカップ」を作りました!
    スレッドお化け坊やと数式をあしらったマグカップです。
    ◆結城浩のマグカップ
    左手で持つと数式は相手に向かい、右手で持つと数式は自分に向かうようにデザインしています。
    ここに描かれている数式は「数学ガール」や「数学ガールの秘密ノート」シリーズで、本のカバーを外すと現れるもので「恋の冪級数」と呼んでいます。この数式が何を表しているかは自由に想像してください。
    このマグカップ、私も自宅で毎日使っていますが、なかなか素敵ですよ。にっこりしているスレッドお化け坊やを見ていると、こっちまでにっこりしてしまいます。
    以下のページで販売していますので、よろしければぜひどうぞ!
    ◆結城浩のハートとシグマ マグカップ - SUZURI(スズリ)https://suzuri.jp/hyuki0000/1613145/mug/m/white

    * * *

    それでは今回の結城メルマガを、どうぞごゆっくりお読みください。
    面接が苦手だけれど、どうしたらいいですか
    質問
    自分は面接が苦手で、面接の試験になるとすぐ選考に落ちてしまうのが悩みです。
    面接が得意になるにはどのようなことを心がけるといいと思いますか。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    面接のどういうところが苦手なのかを調べる必要があると思いますが、ここでは一般的な話を書いてみますね。
    「正しい答えを書けばいい」という筆記試験とは違い、面接は「こうすればいい」という判断が難しいものだと思います。でも、不利にならないという方法はありそうです。まずは、自分がどんな「印象」を相手に与えているかを確認することです。
    誰かに協力してもらって面接の練習をしましょう。できれば面接官の経験がある人がいいです。そして、気になる点がないか率直に言ってもらいましょう。自分の見た目、態度や、振る舞い、それに話し方の癖などを自分一人で気づくことは無理ですから。
    印象は馬鹿に出来ません。たとえば面接のときに、
    信頼できそうもない印象
    おどおどして自信がなさそうな印象
    逆に、自信たっぷりに見せているが空回りしている印象
    を与えるのは明らかに損です。協力者に練習を見てもらい、自分がどんな印象を相手に与えているか、それを率直に言ってもらうことは大事です。
    協力者を確保することがどうしても難しいなら、次善の策として自分の姿を録画してみましょう。自己アピールの様子や、何かを説明している様子や、あるいは典型的な質問に答えているようすを撮影するのです。スマートフォンがあればすぐにできますよね。
    撮影したものをじっくり見てみましょう。もしやったことがないなら、自分の姿にたぶん驚くと思います。気付いたことをメモして、何回かやってみてください。練習すると変化していくことがわかります。
    結城は、会社の入社面接官をした経験が少しあります。面接は多くのことを伝えます。印象で損をする方はたくさんいると思いますよ。たとえば、ちゃんと考えて答えているのに、ちゃんと考えて答えているように見えないというのは損です。
    ちょっと注意したいのは、立て板に水でペラペラ話せることや、質問に対して即答できることが必ずしも最優先ではないという点です。質問されている内容をよく聞き、意味を理解し、それに対して答えているかどうかは大事ですね。要するに、きちんと受け答えできているかということです。
    あなたの実力が大事なのはいうまでもないですが、相手の話をきちんと聞いて、きちんと答える力も大事ですね。そして、あなたの実力に見合った適切な印象を与えることも大事です。
    主に「印象」を中心にお答えしました。自分の考えだけで面接の判断や対策をするのではなく、他者の目を借りることを検討してみてください。
    面接、がんばってね!
     
  • Vol.359 結城浩/職場を選ぶとき/気になる異性/共同執筆を支える技術/教える側が最初に伝えるべきこと/専門書の読み方/

    2019-02-12 07:00  
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    Vol.359 結城浩/職場を選ぶとき/気になる異性/共同執筆を支える技術/教える側が最初に伝えるべきこと/専門書の読み方/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年2月12日 Vol.359
    目次
    共同執筆を支える技術 - 文章を書く心がけ
    気になる異性の注目を集めたい
    教える側が最初に伝えるべきこと - 教えるときの心がけ
    専門書の読み方 - 学ぶときの心がけ
    職場を選ぶとき、就職や転職を決断するときには何が重要か - 仕事の心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    寒いです。
    このあいだまで「確かに暖冬だなあ」や「あまり冬という感じがしない」と思っていたのがウソのようです。
    寒いです。
    気温の変化、気候の変化、気圧の変化は、心と身体に負担になるので注意しつつ進みたい今日このごろです。
    あなたも、どうぞお身体を大事にしてくださいね。

    * * *

    ファンタジーの効用の話。
    先日私は、とあるお店で「○○味噌」を探していました。愛用している特定の銘柄のお味噌です。いつもはこのお店にあるのですが、今日は見つかりません。
    そこで店長さんに尋ねました。以下、私と店長さんとの会話。
     私「〇〇味噌が棚にないんですが、在庫もないんですか」  店長「ないですねえ」  私「いつ入荷しますか」  店長「すみません」  私「いつ入荷しますか」  店長「今週は入りませんねえ」  私「来週は入りますか」  店長「ご迷惑おかけします」  私「来週は入りますか」  店長「売り切れておりますので…」
    私は○○味噌の入荷時期を知りたかったのですが、店長さんはかたくなに入荷時期を言いません。もしも来週に入荷するなら待つけれど、入荷しないなら別の味噌を購入したい。ところが、入荷時期がわからなければ判断できません。
    どうしてこの店長さんは入荷時期を言わないのだろう!と解せない気持ちになりました。
    それと同時に、こんなふうに思いました。
    もしかしたら、この店長さんは幼少期に「お味噌の入荷時期を言ってはいけない魔法」を悪い魔女からかけられてしまったのかもしれない! だとしたら、入荷時期を言わないのも納得だなあ……
    「お味噌の入荷時期を言ってはいけない魔法」というのは、グリム童話の「いばら姫」(眠れる森の美女)の物語に似ていますね。お城の地下室にはお味噌が醸してある。そこに入った幼少期の店長はついうっかり蓋を開けてしまう……などと空想が広がりました。悪い魔女の造形は実写版のディズニー映画『マレフィセント』で行きましょう。
    そのようにファンタジー風味で考えると、コミュニケーションのイライラが緩和されるのでお勧めです。
    不思議なことに、この店長さんとの会話を続けているうちに、店長さんの様子から「入荷時期は来週になることがほぼ確実だけど、もしかしたら再来週になってしまう可能性もある。どちらになるか確実なことはいえない」という気配を感じ取ることができました。人間のテレパシー能力ってすごいです。
    ところで内緒の話ですが、私も編集者さんからの問いに対して、この店長さんと同じような返答をする場合があることに気付きました。
     編集者「いつ脱稿になりますか」  私「だいぶコアになる部分はつかめてきました」  編集者「いつ脱稿になりますか」  私「あとはこの章を突破すれば」  編集者「いつ脱稿になりますか」  私「えーと……」
    私は幼少期に「脱稿時期を言ってはいけない魔法」を悪い魔女から(以下略)。
    真面目な話をすると、入荷時期を聞かれた店長さんと、脱稿時期を聞かれた私とは同じ誤りに陥っています。それは自分を守る方に意識が向かい、質問者のことを考えられなくなっているという誤りです。質問者は状況を知りたいと思っている。もちろん早いに越したことはないけれど、状況がわからないことには判断を下すことができない。でも回答者は質問者の意図にまで気を回すことができず、口ごもってしまう。そういう誤りですね。
    結論? ○○味噌は、次の週に無事入荷しましたよ!
    めでたし、めでたし。

    * * *

    では、今回の結城メルマガを始めましょう。
    どうぞごゆっくりお読みください。
    共同執筆を支える技術 - 文章を書く心がけ
    ブログ記事の紹介です。
    『ゼロからわかるRuby超入門』(五十嵐邦明+松岡浩平)という書籍の著者の一人、松岡さんが、Qiitaで「執筆活動を支える技術」という記事を公開しています。
    ◆執筆活動を支える技術https://qiita.com/machu/items/4a133e83f58f82459e56
    ◆『ゼロからわかるRuby超入門』https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07KQXFF6D/hyuki-22/
    この記事では「複数人が共同して作業をするためにどのような技術を使ったか」が以下の四ステップに分けられて具体的に書かれています。
    原稿を書く (Asciidoc, Atom, Visual Studio Code)
    共有する (GitHub, Slack)
    HTML/PDF形式に変換する (Rakefile, CircleCI)
    限定公開する (docker, nginx)
    この記事は、書籍執筆者、編集者、技術文書の関係者は必見でしょう。簡潔ではありますが、どんな道具をなぜ使ったかという知見が書かれています。たとえここに書かれていることが自分の環境では実現できなくても、その精神や考え方を自分の執筆・編集作業に取り入れることは有益でしょう。
    この記事を見ていると、技術の力は個人のパワーを増幅させて、さらに技術を使える人が複数人集まるとそのパワーがさらに何倍にもなるということがよくわかります。
    この記事を読みながら、大事なのは「Slackを使ったからうまくいく」や「GitHubを使ったからうまくいく」という話ではないのだろうと思いました。「執筆者たちが自分たちのワークフローを考え、適切なツールを選んだからうまくいく」ということではないでしょうか。
    この記事のあちこちに「この技術を選んだ」や「こういうやり方もできるが、それは選ばなかった」ということが書かれています。そのような選択ができること自体が技術力の一つでもあるなと思いました。技術力があるというのは、自分たちには何が適切なツールなのかを判断できるということでもあるのです。
    また、執筆者たち・イラストレータ・編集者との間に信頼関係があるから、この記事に書かれているようなコミュニケーションがうまくいくのだろうとも思いました。それは、記事中に示されたやり取りの例を読みながら感じたことです。ある程度以上の信頼関係がなければ、いくらツールを揃えてもこうはいかないでしょう。
    そもそも「今回私たちはこういうやり方で執筆を進めました」という記事を書けること自体がすごいことです。なぜなら、執筆の内容を意識するだけではなく、執筆の進め方も意識している証拠ですから。プログラミングが得意な人は、そのようなメタな発想が得意な人が多いと私は感じています。
    ◆執筆活動を支える技術https://qiita.com/machu/items/4a133e83f58f82459e56
    なお、以下はイラスト担当のべこさん(@becolomochi)視点からの別記事です。
    ◆Ruby超入門のかわいいキャラクターたちが生まれるまでhttps://note.mu/becolomochi/n/nbfac9ad3a8d0
     
  • Vol.356 結城浩/インクリメンタルな環境改善(1)/人生の決断/失敗と挑戦/パズルゲームから得られる知見/

    2019-01-22 07:00  
    216pt
    Vol.356 結城浩/インクリメンタルな環境改善(1)/人生の決断/失敗と挑戦/パズルゲームから得られる知見/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年1月22日 Vol.356
    目次
    人生で決断をくだすとき
    インクリメンタルな環境改善(1) - 仕事の心がけ
    失敗が怖くて挑戦できない
    パズルゲームで遊ぶときに考えていること - 学ぶときの心がけ
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    今回は「おわび」から。
    先週のVol.355でnote(ノート)での配信が1日遅れるという事故がありました。
    これは、結城が配信予約の際に設定ミスしていたためです。
    たいへん申し訳ありませんでした。
    なお、今回のミスは講読者さんからご連絡いただいて初めて気付きました。連絡がなかったら、さらに配信が遅れてしまうところでした。ご指摘くださった講読者さんに深く感謝します。

    * * *

    確定申告の話。
    毎年、いまごろの時期になると「確定申告」が気になります。結城は個人事業主なので、2018年1月1日から12月31日までが「2018年度」となり、そのあいだの収入や支出などをまとめる必要があるのです。
    もちろん会計仕事は毎月やっているのですが、あちこちに細かいミスや漏れがあったりするので、確認作業が意外にたいへんなのです。
    「ええと、どこから手を付けたらいいかな」と思ったときに私は気付きました。
     「2018年の自分」は「2019年の自分」に対して、申し送りの情報を残しておいたはずだ!
    探してみると「いかにも私が探しそうなところ」に、確定申告作業リストがチェックボックス付きでまとめられていました。2018年の自分、えらいぞ!
    ……大げさでしたね。
    それはそれとして「確定申告」の機会に、2018年という一年間の活動を振り返るのは重要なことだと思っています。自分の活動というと結城の場合は「本を書くこと」なのですが、それを「一年間のお金の出入り」という視点から見直すというわけです。
    ふだんは「この文は誤解を招くから直そう」や「ここの『は』は『が』の方がいいな」のようにミクロな視点で仕事をすることが多いです。それに対して「一年間のお金の出入り」という視点に立つと、自ずから全体を俯瞰することになります。
    全体を俯瞰するとは、たとえばこんな問いに答えることです。
    本の売上は、収入全体の何割に当たるか。
    紙の本と電子書籍の売上は、どういう比率か。
    新刊と増刷の売上は、どういう比率か。
    何年も増刷を繰り返している本の、売上推移はどうか。
    国内と海外の売上は、どういう比率か。
    つまり、自分の収入を構成する要素をよく知り、全体像を正しくとらえようとしているのです。
    必要な会計データはスプレッドシートに入れてあるので、並べ替えをしたりグラフを描いたりして全体を俯瞰します。個々の会計データを入力するのは決しておもしろい作業ではありませんが、全体を俯瞰する作業は非常におもしろいです。見ているのは世界のここにしかない会計データだからですね。
    たとえば、次のようなことがわかります(もちろん実際はもっと深く調べます)。
    電子書籍は安定して伸びている。
    海外の売上も伸びている。特に中国。
    新刊と増刷の比率には大きな変化はない。
    「結城メルマガ」は貴重な安定収入源である(あなたがいま読んでいるこれのことです。感謝!)
    結城は、会計データをおもしろがっているだけではありません。全体を俯瞰する作業を通して現状を理解した上で、自分の「未来の活動」に結びつけようと思っています。売上が上がるのは重要です。しかし、そこだけに注目するのではなく「自分が望むポートフォリオになっているか」という確認が重要だと私は思っています。
    ……などと書いてきましたが、実は、売上に関しては単純な法則がわかっています。それは「新刊を出すことは、全体に多大な好影響を与える」という身も蓋もない法則です。
    ということで、2019年もがんばって新しい本を書かねば!

    * * *

    アイコンの話。
    結城さんのアイコン「スレッドお化け坊や」がかわいいので、自分のアイコンにしたいのですが、大丈夫でしょうか……というお問い合わせをいただきました。
    それに対して結城は、「スレッドお化け坊や」は結城浩のアイコンなので、あなたご自身のアイコンとして使うことはご遠慮ください……というお返事をしました。
    アイコンやアバターは重要です。特にネットではそれが「顔」の代わりになりますから。ツイートでも、ブログ記事でも、結城浩のアイコンが表示されることで「あ、結城浩が書いてるんだな」と認識できます。「名前もIDも覚えていないけど、アイコンだけは覚えている」というケースもよくありますよね。
    ネットでの活動を大事だと考えている方は、アイコンをよく考えて決め、それを継続的に使うことをお勧めします。クリエイタ系の人は特に当てはまると思います。「この作品はあの人が作ってる」ということを認識してもらうための大きな手がかりがアイコンになるからです。
    結城は「スレッドお化け坊や」という同じアイコンを20年近く使っています。
    ◆結城浩のアイコンhttp://www.hyuki.com/icon/

    * * *

    コミックの話。
    Web連載「数学ガールの秘密ノート」に登場した新キャラ「ノナちゃん」は絵を描くのが好きなようです。ノナちゃんからのご紹介でこんなコミックを知りました。
    『ブルーピリオド』は藝大を目指す高校生の物語です。自分に何ができるのかを考えること、言葉ではなく絵を使って表現すること、自分の生きていく方向を見定めていくこと……そのようなテーマが青春群像として描かれている作品です。
    ◆山口つばさ『ブルーピリオド』https://amzn.to/2U6rhRT

    * * *

    毎日「お題」を与えられる話。
    Daily UIという企画を知っていますか。
    メールアドレスを登録すると、ユーザインタフェースの「お題」が毎日ひとつ与えられ、そのお題に答えるデザインをする。そういう無料企画のようです。
    ◆Daily UIhttp://www.dailyui.co
    ユーザインタフェースのお題というのは、たとえば「Advertisement(広告)」や「Calculator(計算機)」や「Search(検索)」のような単語として与えられます。それをもとに自由にWebやアプリをデザインし、それをツイートする。それだけといえばそれだけ。
    毎日、お題が与えられ、それをデザインすることで、デザイン力をつけていくというチャレンジ企画なのでしょう。
    DailyUIというハッシュタグを検索すると、たくさんの人が日々チャレンジしているようすをうかがうことができます。
    ◆TwitterでDailyUIを検索するhttp://bit.ly/hyuki-dailyui
    結城がこの企画を知ったのは、灰色ハイジさん(@haiji505)が「100日続けたDaily UIの記録」という記事をnoteに書いていたからです。
    ◆100日続けたDaily UIの記録|灰色ハイジ @haiji505|note(ノート) https://note.mu/haiji505/n/n4c58da2f6154
    これを見て結城が思ったのは、同じノリで「Daily ○○」というサービスが作れそうだなということでした。Webサービスの仕組みとしてはそれほど難しくはないでしょう。登録されたメールアドレスに、毎日一個ずつメールを送るだけですから。気の利いた「お題」を100個(あるいは256個)用意するところがポイントですね。
    たとえば「Daily Math(毎日1つ問題を解く)」や「Daily Blog Topic(毎日ブログ記事を書く)」や「Daily Programming(毎日プログラムを一つ書く)」というのはどうでしょうね。
    「Daily ○○」に挑戦するのもいいけれど「自分が作れるDaily ○○は何だろう」という発想はおもしろそうです。チャレンジするとおもしろい項目を自分は100個見つけられるだろうか。それはどんな分野だろうか。そういう発想です。
    あなたなら、どんな「Daily ○○」を作りますか。
    私なら「Daily 「Daily ○○」」を作りたくなります。毎日「○○」が送られてきて「Daily ○○」に使える単語を100個作るチャレンジ企画です。メタだ!

    * * *

    では、そろそろ今回の結城メルマガを始めましょう。
    どうぞごゆっくりお読みください。
    人生で決断をくだすとき
    質問
    結城先生は、人生で何か決断をくだすときに、何を基準にしていますか。
    回答
    ご質問ありがとうございます。
    「決断の基準」といっても、人生の決断は規模や種類や重大性がさまざまなので一概には言えません。答えるのがすごく難しい質問です。
    選択肢がある場合には、割と「エイヤ」で決めちゃいます。決めてから、がんばる。十分がんばったら、うまくいってもうまくいかなくても後悔しない。そういうパターンが多いようですね。
    どういう選択肢を選ぶかについては、感覚的な話で恐縮ですが「未来に広がる方を選択する」ように心がけています。つまり、すぐには役立たないかもしれないが、長期的には望む方向になる選択肢を選ぶという意味です。
    ◆未来に広がる一手https://mine.place/page/0687be6b-1aaa-471b-9ba6-03dff459adbd

    * * *

    人生の決断という話になると、論理的に割り切れないものも多数ありますし、そもそも未来は目に見えないので「確実にこうなる」とはいえない中で判断することになりますよね。人生は簡単には割り切れない、と腹をくくって決断します。
    結城はクリスチャンですから、決断においては「神さまに祈る」ことが欠かせません。また、結城の決断には「聖書に基づくキリスト教的な価値感」が大きな影響を与えていると思います。
    ◆将来の住まいについて考えるhttp://www.hyuki.com/dig/tolive.html
    「決断の基準」という話からは少し離れますが、結城は「全部賭け」が好きな傾向があるようです。特に大事なものほどそうです。一つのことに集中する。一つのことに時間を注ぎ込む。一点買いする。そんな感覚です。

    * * *

    決断するときには、自分の人生全体に思いを馳せることは重要です。いま私が立っている場所はどこか。何のためにいまここに立っているのか。何のためにいまこの決断と向かい合っているのか。そのような大きな問いに必ずしも答えが得られるとは限りませんが「思いを馳せる」ことは重要です。大きな決断は、自分の人生に大きなインパクトを与えるからです。
    ◆あなたがもし、このような時に黙っているならばhttps://story.hyuki.net/20180623075359/

    * * *

    重大な決断は当然ながら重大です。しかし、決断しない方がいい場合もあります。特に体調が良くないとき。結城は、体調が良くないときには重大な決断はしないように心がけています。
    ◆心の状態が良くないときにはhttps://story.hyuki.net/20150926224914/

    * * *

    決断することは重要で、一度決断したことは守った方がいいと思います。しかしながら、どうしても上手く行かないときには、大胆に決断を翻すこともときには大事です。矛盾しているようですが、割り切れないのが人生です。
    自分を律するという意味で、あるいは多少の困難に負けないという意味で、いったん行った決断を大事にするのはいいことです。しかしながら、過去の決断にこだわることが「関係者の誰も幸せにしない」ということも人生にはよくあります。
    決断を翻すことで、一時的に自分が非難されたり恥をかいたりするけれど、長期的には関係者が幸せになるというケースです。その場合には「決断を翻す」という「新たな決断」が大事なこともあるのです。
    以上、「決断の基準」に限らず「決断というもの全般」について思うことを書きました。あなたに何か伝わるものがあればうれしいです。
    ご質問ありがとうございました。
     
  • Vol.352 結城浩/カスタムキャストで遊びたい/計画/表現するときの恐怖心/問題を解くときの詰めの甘さ/

    2018-12-25 07:00  
    216pt
    Vol.352 結城浩/カスタムキャストで遊びたい/計画/表現するときの恐怖心/問題を解くときの詰めの甘さ/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年12月25日 Vol.352
    はじめに
    結城浩です。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    一年は早いもので、もうクリスマスですね……あなたはどんなクリスマスを過ごしておられるでしょうか。
    今回が2018年最後の「結城メルマガ」配信となります。
    今年もたいへんお世話になりました。
    新年もよろしくお願いいたします(ぺこり)。

    * * *

    場所と記憶の話。
    結城はあちこちのカフェを移動しながら仕事をしています。
    ある日、何気なく、いつもと違うカフェに行きました。ところが、そこに足を踏み入れたとたん、ぱああっと記憶がよみがえりました。あっ、ここは『数学ガール/ポアンカレ予想』がなかなか進まないときに来てたカフェだ! 書いては消し、書いては消し、もがいていたあのカフェだ……
    「数学ガール」シリーズの第6巻目『数学ガール/ポアンカレ予想』を刊行したのは今年2018年の春。苦労していたころのことはすっかり忘れていました。でも、そのカフェという場所がまるで私の代わりに記憶してくれていたかのように、一気に記憶がよみがえったのです。大変だったときの記憶が。
    過去を振り返り過ぎるのは良くありませんが、自分の過去はすべて順調だったと自己の歴史を改竄するのも良くありません。一つの仕事が完成するまでには、紆余曲折があったこと。どうしても進まない時期があったこと。けれどもめげることなく(何度めげても)続けたこと。そういう記憶は大事です。
    そういう記憶は「現在と未来の自分」を支えてくれるからです。
    私は「どうも最近うまく行かないなあ、これまではいつもうまく行ったのに」という錯覚に陥ることがよくあります。でも、実は、昔だってそれほど順調じゃなかったのです。つまずいたり、ころんだりした。思うように進まないこともあった。進んだと思ったけど、また振り出しに戻ることもあった。でも、ジグザグながらも進んできた。単に自分が忘れてるだけで、実際はそうだった。
    だから、たとえ、最近うまく行かなくても、順調でなくても、つまずいても、ころんでも、思うように進まなくても、振り出しに戻っても、またきっとジグザグながらも進める。過去の、大変だったときの記憶が、現在と自分の未来を支えてくれる。
    その日。久しぶりに『数学ガール/ポアンカレ予想』執筆当時によく使っていたカフェに行ったとき。私はそんなふうに考えていました。大変だったときの記憶をきちんと味わいながら。ほんとに、今年刊行できてよかった……
    ◆『数学ガール/ポアンカレ予想』http://www.hyuki.com/girl/poincare.html

    * * *

    テキスト+静止画像→動画の話。
    以前から「簡単に動画を作ることはできないかな」と思っています。YouTuberの話題を読んでいると動画の編集はたいへん時間を食いそうで二の足を踏んでいます。
    次善の策として「テキストを自動読み上げした音声と静止画像を組み合わせた動画」はどうだろうと思うことがあります。以前Vol.338の結城メルマガで紹介したAmazon Pollyという自動読み上げサービスはとても手軽で便利です。
    Amazon Pollyでmp3ファイルを作り、静止画像のjpgファイルを用意し、ffmpegというプログラムを動かすと、Twitterに直接投稿できるmp4ファイルが作れます。簡単な手順を以下にまとめました。
    ◆画像ファイル(jpg)と音声ファイル(mp3)から動画ファイル(mp4)を作成する(ffmpegを使う)https://snap.textfile.org/20181129204816/
    ◆テキストから音声を合成し、Twitterで公開できる動画に変換する手順(Amazon Pollyとaudio2videoを使う)https://snap.textfile.org/20180902204857/
    たとえばWeb連載「数学ガールの秘密ノート」の宣伝動画(動いてないけど)は次のようにツイートできます。
    ◆宣伝動画ツイートhttps://twitter.com/hyuki/status/1068114990643593218
    ◆宣伝動画ツイート(スクリーンショット)
    自動読み上げのためにAmazon Pollyに与えたテキストは、静止画像に貼られているものと(改行を除いて)同じです。画像一枚とテキストから自動生成した音声をもとにツイートができるのはなかなか手軽でいいと思っています。
    ◆Amazon Pollyを使って簡単音声合成(結城メルマガVol.338)https://bit.ly/hyuki-mm338
    後ほど、VTuberの話題も少し書こうと思います。

    * * *

    行列の話。
    黒狐さん(@inaba_darkfox)が、『数学ガールの秘密ノート/行列が描くもの』に出てくる「行列による線形変換」をヴィジュアル的に表現するWebアプリを作って下さいました。ありがとうございます!
    2×2行列の四つの成分を入力すると、座標平面上に描いたたくさんの点を動かして表示してくれます。
    ◆黒狐さんのツイートhttps://twitter.com/inaba_darkfox/status/1069333381844938752
    ◆線型変換ビジュアライザー(ver3.1)https://inaridarkfox4231.github.io/LT/
    ◆線型変換ビジュアライザーIIhttps://inaridarkfox4231.github.io/LT_2/
    ◆スクリーンショット(2,2,3,1を入力した例)
    このような変換は『数学ガールの秘密ノート/行列が描くもの』の中でコンピュータ少女のリサちゃんがやってみせたものでした。黒狐さんはそれを実際のWebアプリにしてくださったのですね。感謝です!
    ◆『数学ガールの秘密ノート/行列が描くもの』https://note10.hyuki.net/

    * * *

    教えるときの話。
    「人に教えるときには、何を意識すれば上手に教えられるでしょうか」という質問をいただきました。
    結城が思うに、人に教えるときには「上手に教えること」ではなく「相手がわかること」を目指すのが大事です。
    これは言葉のあやではありません。「上手に教える」というときには意識が「自分」に向かっています。意識を「自分」に向けるのではなく「相手」に向けることはとても大切。教えるという活動では「相手がわかること」がゴールの一つですから。
    極論をいうならば、どんなに下手くそな教え方でも、相手の思考パターンにぴったりと合って「なるほど!」という状態になるならば、それはいいことです。《相手のことを考える》のが大原則といえます。
    「相手がわかること」を考えるなんて、当たり前のように思えますよね。実際、当たり前のことです。でも教える人の多くがこれを忘れています。また、覚えていても実践するのはとても難しいもの。相手のことではなくて、教える側である自分のことだけを考えがちだからです。
    「相手がわかること」を考えるなんて抽象的な話ではなくて、もっと具体的なコツはないのかね……と尋ねたくなるかもしれません。でも、具体的なコツは《相手のことを考える》という原則を真剣に考えると無数に見つかるものです。そして《相手のことを考える》ということが腹に落ちていないと、具体的なコツを知っても効果は激減するでしょう。
    以下のWebページには、結城が考える「教えるときの心がけ」の要点がまとめてあります。
    ◆教えるときの心がけhttp://www.hyuki.com/writing/teach.html
    もちろん、noteにもたくさん書いています(多くは「結城メルマガ」からのピックアップです)。
    ◆教えるときの心がけ - マガジンhttps://mm.hyuki.net/m/md7abcdf8eaf5
    《相手のことを考える》というのは、単純だけど、とても奥が深いスローガンだと思います。

    * * *

    長文をまとめる話。
    Ryoto_Sawadaさん(@Qhapaq_49)が、長文をまとめるサービスIMAKITAを公開していました。
    ◆長文を3行ぐらいで纏めてくれるエンジン IMAKITAを作ってみましたhttp://qhapaq.hatenablog.com/entry/2018/12/09/234447
    さっそく試してみました。結城が書いた文章をIMAKITAで要約させてみます。
    ◆文章を書く心がけ(原文)http://www.hyuki.com/writing/writing.html
    上の「文章を書く心がけ」は約1万2千文字ありますが、5行で要約する(!)と以下のようになります。なかなかいいですよね。
     (「文章を書く心がけ」を5行にしたもの)  したがって、読者のことを考えるのは当然のことと言える。  読者は何を知っているかを考えよう 。  読者は何を知っているだろう。  あなたの文章を「そこまで読んできた」読者は何を知っているだろう。  読者にまずうなずかせよう。
    次に「教えるときの心がけ」(約1万文字)を5行で要約してみましょう。これもいいですね。
    ◆教えるときの心がけ(原文)http://www.hyuki.com/writing/teach.html
     (「教えるときの心がけ」を5行にしたもの)  生徒に安心して質問させるように心がけよう。  生徒はびくびくしている。  生徒はこんなことを考えながら質問しようか迷っている。  生徒に安心して質問させよう。  生徒をおどかしてはいけません 。
    小説のようなものは難しいですが、記事や説明文ならばかなりいい感じに要約されると思います。ぜひあなたも試してみてください。
    ◆IMAKITA Document Squeezerhttps://www.qhapaq.org/imakita/

    * * *

    Skebの話。
    先日Skeb(スケブ)というサービスを知りました。同人作家さんなど、個人として活動しているクリエイタにお仕事を発注できるサービスです。
    ◆Skebhttps://skeb.jp
    ◆同人作家にイラスト発注できる「Skeb」公開 海外からの依頼も自動翻訳、未払い回避もhttp://www.itmedia.co.jp/news/articles/1811/30/news137.html
    このサービスの大きな特徴は、クライアント(発注する側)よりもクリエイタ(作成する側)に大きなメリットがあるように設計してある点ですね。
    短文+自動翻訳による発注(依頼内容の確認などのコミュニケーション負担がない、海外からの依頼も受けやすい)
    リテイクなし(描き直しが発生しない)
    報酬の未払回避(報酬はクライアント先払いで、納品するとクリエイタに支払い)
    権利はクリエイタ側に(クライアントが使えるのは限られた用途のみ)
    もしもこれがうまく回るならばクリエイタ側にとてもいいシステムになりそうです。
    「クライアントは鑑賞目的の他、SNSアイコンなど一部の用途に限り二次利用可能」という制約があるので、大きなイラスト仕事発注用というわけではありません。サービス名の「スケブ」が方向性を明示していますね。同人作家さんなどにスケッチブックを渡してそこに描いてもらうことをスケブ依頼といいますが、Skebはそれのオンライン版なのです。
    Skebのクライアントガイドラインによると「リクエストは140文字以内で入力してください。URLなど外部への誘導は禁止されています。金額は3,000円以上300,000円未満で設定できます」とのこと。140文字でリクエストを出すというのは「ツイートで発注する」感覚といえるでしょう。
    ◆クライアントガイドラインhttps://skeb.jp/client
    Skebのクリエイターガイドラインも大変興味深い。「クライアントは作品の原寸ファイルをダウンロードすることができます。クライアント以外には横幅最大800pxの縮小画像が表示されます」「作品の権利はクリエイターに帰属しますが、作品の販売に関する一切の責任もまたクリエイターが負います」なるほど。
    リクエストに対して「再アップロード不可」だから本当に一発勝負。リテイクは不可能になっています。このサービスは、割り切りが明確なところがポイントなのでしょう。利用規約に併記して「重要なポイント」を併記してあるのはわかりやすいし、好印象です。
    ◆クリエイターガイドラインhttps://skeb.jp/creator
    たとえば、このSkebのサービスを経由して、電子書籍の表紙を描いてもらうのはなかなかいいアイディアかもしれません。「個人利用の範疇を超える二次利用を行いたい場合には、別途クリエイターの許可を取るか、リクエストに記入してください」とクライアントガイドラインにあるので「電子書籍の表紙」はたぶんセーフでしょう。むしろクリエイターさんの方でもそのポイントでアピールチャンスかも。
    結城はKDPの表紙を自分で作っていましたが、こういうところに発注するというのも世界が広がって楽しいかもしれませんね。
    ◆結城浩の個人出版(KDP)http://www.hyuki.com/pub/kdp.html
    このSkebというサービスのポイントに「コミュニケーションをこれ以上削れないくらい減らしている点」があると思います。クライアント、クリエイターどちらにとっても大きな負担になりうる「やりとり」の部分をルールによって回避しています。
    Skebのようなサービスが増えてくるのは、個人クリエイタがマネタイズする選択肢が増えるのでとてもいいことだと思います。それは個人が自分の力を発揮する場面が増えるということであり、また個人のニーズに合わせた多様な働き方を支えてくれることだからです。

    * * *

    そんなところで、今回の結城メルマガを始めましょう。
    どうぞごゆっくりお読みください。
    目次
    カスタムキャストで遊んでみました
    計画はどのように立てていますか - 仕事の心がけ
    表現するときの恐怖心に対処する - 本を書く心がけ
    問題を解くときの詰めの甘さを解消する - 学ぶときの心がけ
    カスタムキャストで遊んでみました
    「カスタムキャスト」というのは、3Dのキャラクタを簡単に作り、VTuberのモデルを作ったり、ネット配信を行ったりできるスマートフォン向けのアプリです。
    ◆カスタムキャストhttps://customcast.jp
    結城はいまのところVTuberになる予定はないのですが、こういうおもしろそうなものは一度触れてみたくなります。スクリーンショットを撮るだけで「数学を学んでいる女性のイラスト」を以下のように簡単に作ることができます。ちなみに、この方は数学ガールに出てくるミルカさんではありません(タイプとしては近いですが)。
    ◆Studying epic morphism
    この画像を作るには以下のような手順を踏みました。
    まず、カスタムキャストのアプリで体型、洋服、髪形、表情、眼鏡などを設定し、ポーズを選びます。
    ◆カスタマイズのようす(洋服を選んでいる画面)
    好みの場面が作れたら画像ファイルに落とし、レタッチソフトのPixelmatorで背景を透明にし、以前結城が作った板書の画像と合成します。
    それだけだと、ジャギーがやや目立つ画像になるので、DistressedFXとPixlrという二つのアプリを使ってイフェクトを掛け、雰囲気を出しました。
    先ほどの画像(Studying epic morphism)の製作に掛かった所要時間は合計で30分ほどです。作成に使った道具はiPhoneのみ。 はっきり言って、とても手軽。しかも楽しい!
    結城はいまのところVTuberになる予定はないのですが、本当にないのですが、試しに女性に動きをつけて、Amazon Pollyの音声と合わせた動画を作ってみました。
    ◆最近、結城さんは圏論を勉強しているようですね - YouTubehttps://youtu.be/fJAb7oEZ_Qg
    この女性の口の動きは、Amazon Pollyの音声とはあまり同期していませんが、結城の口の動きと同期しています(リップシンク)。カスタムキャストの機能で、カメラで発話者の口や顔の動きに合わせてキャラクタの動きも同期するのです。上の動画では、Amazon Pollyで合成した音声を結城が耳で聞きながら発声し、リップシンクでキャラクタの口を動かすという迂遠な方法を取っているのであまりうまく行ってないのですね。
    それはそれとして、自分の動きに合わせてキャラクタが動くというのは非常に強い魅力があります。VTuberの動きを見るのと、自分のキャラクタの動きを見るのとでは感覚がずいぶん違います。
    しかも、カスタムキャストで「外カメラAR」にするとリアルな世界を背景にしてキャラクタを表示することもできます。自分の生活空間に、アニメのキャラクタが登場するというのはかなりの衝撃です。リアルな世界の黒板をARの背景にしてキャラクタがしゃべるというのもすぐにできちゃいますね。
    バーチャルな美少女になることを「バ美肉(バーチャル美少女受肉)」と呼ぶそうです。バ美肉して、やさしい数学トークをする……なんて、楽しそうです!
    残る問題は、声です。自分の声で動画配信はあまりやりたくないので、男声女声のリアルタイム変換ができればなあ……実際「バ美肉」を検索すると「ボイチェン(ボイスチェンジャ)」が検索候補に出るので、みんな同じこと考えているのでしょうね。
    結城はいまのところVTuberになる予定はないのですが、もうちょっとで始めたくなるかも……と思う最近の技術進歩です。

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    すでに、学問的なことを解説するVTuberの活動はさかんに行われています。たとえば以下の「VRアカデミア」ではVTuberのみなさんが、バーチャル講師としてバーチャル空間で講義を行っています。
    ◆VRアカデミアhttps://sites.google.com/view/vr-academia
    講義情報などは、Scrapboxにある以下の「VRアカデミア公式Wiki」を参照してください。
    ◆VRアカデミア公式Wikihttps://scrapbox.io/vr-academia-wiki/