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記事 18件
  • Vol.244 結城浩/優しく、美しく、気高い数学書 - 結城浩ミニ文庫/会計作業から執筆方針を考える/『数学ガール6』進捗報告/

    2016-11-29 07:00  
    220pt
    Vol.244 結城浩/優しく、美しく、気高い数学書 - 結城浩ミニ文庫/会計作業から執筆方針を考える/『数学ガール6』進捗報告/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年11月29日 Vol.244
    はじめに
    おはようございます。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    サイン本の話。
    結城浩の《サイン本》無料プレゼント企画を行っています。 今回は、結城の本のうち海外向けに翻訳されたものをプレゼントいたします。 具体的には以下の通りです。
     ・中文簡体字版『数学ガール/フェルマーの最終定理』(3冊)  ・中文繁体字版『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』(3冊)  ・中文繁体字版『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』(3冊)  ・中文簡体字版『第3版 暗号技術入門』(4冊)  ・ハングル版『暗号技術入門(第2版)』(6冊)  ・ハングル版『数学文章作法 基礎編・推敲編(合本)』(3冊)
    応募〆切は2016年12月6日(火)です。 ずっと先……ではなく、来週の火曜日ですね (来週はもう12月ですと!)
    詳しい応募方法については、 以下のブログ記事をごらんください。
     ◆中文版『数学ガール/フェルマーの最終定理』他多数!   《結城浩のサイン本無料プレゼント》  https://snap.textfile.org/20161123170454/
     * * *
    新刊の話。
    先月末に刊行した『数学ガールの秘密ノート/やさしい統計』Kindle版が、 数学の新着ランキングで第一位になっていました。感謝です!
    いくつか読者さんのカスタマーレビューもつき始めました。 うれしいですね。応援ありがとうございます!
     ◆『数学ガールの秘密ノート/やさしい統計』Kindle版  https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B01MSJMKMW/hyam-22/
     * * *
    「かける数」と「かけられる数」の話。
    Twitterでときどき「掛け算順序」の話題を見かけます。 検索すれば見つかるので、ここでは詳しく説明しません。
    以下は、結城の個人的な体験の話。
    学校で「かける数」と「かけられる数」という用語を習った記憶があります。 習った記憶はあるのですが、2×3のうちどっちが「かける数」であるか、 どっちが「かけられる数」であるかを覚えるのはあきらめました。 単純に覚えられなかったからです。 「覚えなくてもいいか」と子供ながらにスルーしたのは覚えています。
    ところで、そのころの記憶をたどってみると、
     「『かけられる数』という用語は美しくないな」
    と感じたのを覚えています。 「美しくない」と感じた子供のころの気持ちを、 大人になったいま正確に思い出すことはできません。 でも何とか再現してみると、2×3という式の場合、
     「2に3を右からかけている」
    ともいえるし、逆に、
     「3に2を左からかけている」
    ともいえるなあと感じたからかもしれません。 つまり「かける数」と「かけられる数」という用語は、 そのままでは左右の区別がつきません。 そこに違和感を覚えたのです。
    大人になってから、何かの代数の本で「右単位元」や「左逆元」 のような用語を見たとき「おお!」と感動したのを思い出します。 つまり明示的に「右」「左」を書く方法があると知ったからです。
    プログラミング言語で「右結合」や「左結合」という演算子の約束も、 なるほどなあと思いました。まあ、明示的に書いたとしても、 どっちがどっちか、私はよく覚えられないのですけれど。
    プログラミング言語での「右結合」の例はたとえば代入演算子(=)で、 「x=y=z」という式を「x=(y=z)」と解釈するもの。 「左結合」の例はたとえば加算演算子(+)で「1+2+3」を「(1+2)+3」 と解釈するものののことです。
    以上、結城の個人的な体験の話でした。
    掛け算順序問題は簡単にここで論じるわけにはいきませんが、 もし、へんな教え方があったとしても、 子供たちは何とかうまくスルーしてほしいと思います。
    つまらないことで、 算数や数学を嫌いになってほしくないのです。
     * * *
    数学の話。
    「数学ガール」や「数学ガールの秘密ノート」シリーズを書いている関係で、 結城のところには、老若男女さまざまな読者さんからメールがやってきます。 小学生から80歳を越える方まで。 いずれも、算数・数学の問題や理系の話題が大好きな方々です。 そういった方々からのメールを読んだり、 Twitterなどでやりとりしていると、人生がほんとうに楽しいですね。
    改めて考えてみますと、 結城の数学能力は理系の高校生+αくらいなのですが、 それでも数学には楽しめる話題があふれています。 結城はそういう話題をピックアップして物語にしていることになります。
    高校までで学ぶ基本的な数式を読めるだけでも、世界は広がるものです。 本を読んでいて数式が出てきても「こわがらない」のは大事なこと。 「数式は言葉」で、数式をこわがるのは、漢字をこわがるようなもの。 もったいないことです。
    ファンレターの中にはよく『数学ガール6』はまだですか? という質問が書かれています。現在がんばって書いてます! 『数学ガール6』の話題は後ほどもう少し詳しくお話ししますね。
     * * *
    会計の話。
    先日、月次の会計作業を行いました。 もう11月なので2016年全体の数字も眺めていました。
    書籍ごとに、ここ10年の状況などを表にまとめる作業も行っています。 この表は毎年アップデートしています。 毎月の細かな収入と支出だけではなく、 年単位での推移を見るのも大事ですね。数字はいろんなことを語ります。
    「紙の本に対する印税」だけではなく、 結城メルマガや、Web連載や、note(ノート)や、 翻訳書や、電子書籍というように、収入が多様化しているのを感じます。
    ただし、収入が多様化しているといっても、 収入のパス(やって来る道筋)が多様化しているだけで、 読者さんが結城を支えてくださっていることには変わりありません。 深く感謝です!
    会計の数字から考えたことを、 自分の執筆作業にどのように生かすかという話題は、 後ほどもう少し詳しくお話しします。
     * * *
    数学書の話。
    今回の結城メルマガでは「結城浩ミニ文庫」のコーナーで、
     「優しく、美しく、気高い数学書」
    と題して「結城が読みたいと思っている数学書」のお話をお送りします。
    これは、数学書房『この数学書がおもしろい(増補新版)』 に収録されている結城のコラムを再掲したものです。 現在刊行中であるにも関わらず、 再掲を快諾してくださった編集部に感謝します。
    なお、『この数学書がおもしろい(増補新版)』は、 数学者、物理学者、工学者、経済学者など計51名が、 おもしろい本、お薦めの書、思い出の一冊を紹介するという興味深い本です。
     ◆数学書房『この数学書がおもしろい(増補新版)』目次
     ◆数学書房『この数学書がおもしろい(増補新版)』  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903342646/hyam-22/
     * * *
    と、いうことで、そろそろ、 今回の結城メルマガを始めましょう。
    どうぞ、ごゆっくりお読みください!
    目次
    はじめに
    数学の問題を出す楽しみ(問題編)
    優しく、美しく、気高い数学書 - 結城浩ミニ文庫
    会計作業から執筆方針を考える - 仕事の心がけ
    『数学ガール6』進捗報告 - 本を書く心がけ
    数学の問題を出す楽しみ(解答編)
    おわりに
     
  • Vol.243 結城浩/『和算書「算法少女」を読む』を読む - 結城浩ミニ文庫/

    2016-11-22 07:00  
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    Vol.243 結城浩/『和算書「算法少女」を読む』を読む - 結城浩ミニ文庫/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年11月22日 Vol.243
    はじめに
    おはようございます。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    新刊の話。
    先月末に刊行した『数学ガールの秘密ノート/やさしい統計』は、 ありがたいことに売れ行きが好調のようです。
    書泉グランデさんでは、2016年10月16日〜11月15日までの月刊ランキングで、 『数学ガールの秘密ノート/やさしい統計』が数学・物理で第1位でした! みなさん、ありがとうございます!
     ◆書泉グランデMATHさんのツイート  https://twitter.com/rikoushonotana/status/800157996387069952
    また、有隣堂藤沢店さんでは、理工学書の週間ランキングで、 『数学ガールの秘密ノート/やさしい統計』が第3位とのこと。 感謝です!
    出版社の営業さんから、 あちこちの書店さんでの展開の写真が送られてきました。
     ◆埼京線の北与野、ブックデポ書楽さん(@BD_syoraku)
     ◆大阪難波のジュンク堂書店さん
     ◆浦和駅近く、須原屋コルソ店さん(@SuhaCorso)
     ◆有隣堂藤沢店さん
    へんな話ですが、このようにあちこちの書店さんの写真を見ると、 「ああ、ほんとうに書店さんで売られているんだなあ〜」 と実感しますね。いつもありがとうございます!
     * * *
    LINEブログの話。
    LINEブログが一般ユーザでも開設できるようになっていました。 さっそく、結城も開設。
     ◆結城浩のLINEブログ  http://lineblog.me/hyuki/
     ◆スクリーンキャプチャ(MacBook)
    おもしろいと思ったのは、 書き込みはスマートフォンからしかできない点。 PCからは書き込みができないのです(閲覧はできます)。
    え、不便じゃないの? と思ったのは一瞬でした。 考えてみると、文章を書くのでも写真を貼り付けるのでも、 スマートフォンから作業してもそれほど不便じゃありません。
    もちろん長い文章を書くならばPCの方がずっといいのですが、 ちょっとした気持ちを書くだけなら、スマートフォンで十分。 むしろ、いちいちコンピュータを起動しなくていいので、 自分の気持ちをさっと書ける時代なのですね。
    まだ数個しか記事しか書いていないのですが、 感覚的には「ツイートよりも少し長いくらいの文章」 を書くのにいいみたいです。
    よろしければフォローしてみてください。
     ◆結城浩のLINEブログ  http://lineblog.me/hyuki/
     * * *
    正論と悪態の話。
    私は、たとえ「みんなに拡散したい正論」であっても、 「他人への悪態」が混じっているツイートを拡散するのはためらいます。 たとえば、こういうの(あくまで、たとえば)。
     --------  電車で老人に席をゆずるのは当然のことですよ。  そんなこともできないなんて、  あなた、××××じゃないの?  --------
    上記の××××には聞くに堪えない悪態が書かれていると思ってください。 悪いことをした相手を非難したり、 品質が悪いものに対して低い評価を下すことは悪ではありません。 でも「低い評価を下す」のと「悪態をつく」のは異なります。
    正論に悪態が混じるツイートをする人は、 よっぽど腹に据えかねる気持ちがあるのかもしれませんし、 あるいは単に悪態をつきたいだけかもしれません。
    と、ここまでイイコチャンで書いてきましたが、自分自身を振り返ります。 結城はTwitterで悪態をつくことは多くはないと認識していますが、 絶対につかないかと言われると、あまり自信はありません。
    「腹に据えかねている」ことがあって正論を振りかざす場合はありそうですし、 あるいはまた「悪態をついている自分に酔っている」場合もあるでしょうね。 どちらの場合でも、 ツイートを読んでいる人の存在を忘れかけている可能性は高いと思います。 自分のツイートを読んでいる人のことを考えると、 悪態を読ませたいとは思わないので、自制が働きそう……かな?
    別の点から話を続けます。 こんなツイートをしたらあの人からはこう思われるだろうな、 と考えることは悪くありません。 でも、あの人やこの人やその人……と考えすぎて配慮しすぎると、 なにも言えなくなってしまいます。 結局のところ、なにをどこまで考えて、 なにを言うか、いつ言うか、どういう言葉を使うかは、 話者の個性や性格になってくるのだと思います。
    結城は頻繁に《読者のことを考える》という話をしますが、 単純に読者のことを考えるだけではなく、 自分と読者の「境目」に注意を払うのもいい方法です。 「境目」といってもいいですし「境界線」といってもいいです。
    このツイートをしたという行為は自分の話。 このツイートでどう感じるかは相手の話。 ここに「境界線」があるのはわかりますか。 《自分の行為》と《相手の感じ方》はイコールではなく、 あいだに境界線があるのです。
    自分は相手ではないのだから、 相手がどう感じるかをコントロールするわけにはいきません。 相手が不愉快に感じないように配慮することと、 絶対に不愉快に感じないようにすることとは違います。 相手はロボットではないのですから、 フルコントロールすることはできないのです。
    読んでいる人のことを想像して、 ことさらに不愉快に受け取られる言い方をしないというのは良いことです。 でもあくまでそれは話者の側の考えに過ぎません。 相手がどう思うか、それは相手の自由です。
    人と人とのコミュニケーションは、そこが面白く、 また恐ろしく難しいのでしょう。 つながっているようで、つながっていない。 境界線がある。 相手のことを考えるのは意味があるけれど、 相手のことを考えるのは意味がない。
    その面白さと難しさが、 コミュニケーションの魅力ではないかと思っています。
     * * *
    時計を巻き戻す話。
    先日我が家で「もう一度、十代に戻りたいか」という話題になりました。 結城は即座に「もうあんなめんどくさい時代を繰り返したくない」 と思いました。十代ってややこしいパズルのような、 暴風雨のような時代だと思いませんか。
    人生をだいぶ過ぎると、 自分は若いときにこういうことをやればよかったんだな、 ということがちょっぴりわかってきます。 なので、つい自分の子供にも「こういうことをやればいいぞ」 と言いたくなります。 でもそれがどれだけ正しいかは判断が難しいところです。
    自分の経験を子供に適用できるかというと、 自分と子供は別の人間だから興味も適性も違う。 社会も大きく変化しているから、うまくいくとは限りません。
    そもそも自分を振り返って、 「ああ、自分はこういうことやればよかった」 という判断もどれだけ信用できるかわかりませんしね。
    自分の成功体験をもとにして子供に何かを伝えたくなりますが、 そこには危険性があります。子供に自慢げに言いたいために、 自分の過去の成功体験を武勇伝にしがちだからです。 自己の記憶は容易に改竄されます。 改竄しているのは自分自身。
    子供に何をどう伝えるかは、難しいです。 せいぜい、お父さんはこういうふうに考えて生きてきたけれど、 あなたはあなたでがんばりなさい。 くらいになってしまうんでしょうか。
    時計を巻き戻す話は、後ほどまた出てきます。
     * * *
    文章のライブ感の話。
    私にとって「おもしろい文章」というのは「何らかの発見がある文章」です。 ですから「文章の題材を見つけること」は「発見する題材を見つけること」 に似ています。
    けれど、何を発見するかは、発見するまでわからないものですね。 何が見つかるかはわからないけれど、 きっと何かは見つかるはずと思って進む。 文章が生み出すライブ感はそこにあるのではないでしょうか。
     * * *
    機械に負けないようにする話。
    以下のオピニオンペーパーをざっと読みました。
     ◆AI時代の人間の強み・経営のあり方  http://nira.or.jp/president/opinion/entry/n161102_831.html
    興味深かったのは、PDFの中ほどに書かれていた
     「(日本企業は)AIではなく外国企業に負ける」
    という観点です。以下引用。
     --------  特に日本のホワイトカラーの職務は、全般的に、  入出力が明確ではなく、成果の評価軸も必ずしも明確ではない。  そのため、上記の定義に従えば、ホワイトカラーの職務は、  AI で代替されにくいようにみえる。しかし、これは正しくない。  非効率的な形で明確化がされていないために、  AIを使わず人を活用している場合、当然のことながら、  より効率的にAIを活用して、  より低コストで生産やサービス提供を行う外国企業等に競争で負けてしまう。   その意味では、日本では AI に直接仕事を奪われるというよりは、  AIを活用する外国企業や新規参入企業に負けるという形で、  間接的にAIに仕事を奪われる局面のほうが多いのかもしれない。  --------
    なるほど、と言わざるをえません。AIと人間が直接勝負するのではなく、 AIを活用できている企業と活用できていない企業が勝負するのだと。
    作業のどの部分が機械化できて、 どの部分が機械化できないかをよく考えて、 的確に機械化を進めていかないと競争力は落ちてしまうでしょう。 それは企業でも個人でも変わりはありません。
    企業と同じように個々人も、 AIに仕事を奪われないように頭を使う必要があるでしょう。 いったいどのような仕事が将来もAIで代替できないのかを考える。 そのためにはAIでできることとできないことを弁別する必要があります。
    自分が機械に置き換えられないようにと考えて、 自分の作業を機械化しにくくしようと考えるのはたぶんまちがい。
    そうじゃなくて、自分の作業のうち「機械にできること」を真剣に探し、 それをどんどん機械化していく。 そして残った部分に自分の時間を注ぎ品質を上げる。 それが正しい対策だと思います。
    要するに自分の作業を積極的に機械化していく人ほど、 機械に負けないのではないでしょうか。 とても逆説的ですけれど。
    そういえば、Google翻訳の精度が上がったという話題がありました。 もちろんそれだけで翻訳者が仕事を失うわけではありません。 でも「自分の作業のどこかにGoogle翻訳を活用できないだろうか」 と考える翻訳者がいてもおかしくはありませんね。
     * * *
    人工知能関係でもう一つ、読む力の話。
    「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトの関連記事で、 湯浅誠さんによる以下のものは短くてわかりやすいものでした。
     ◆AI研究者が問う   ロボットは文章を読めない   では子どもたちは「読めて」いるのか?  http://bylines.news.yahoo.co.jp/yuasamakoto/20161114-00064079/
    ここで紹介されている新井紀子さんの話は、 十分考える必要があると感じます。
     --------  「文章の意味を理解できない東ロボよりも、   得点の低い高校生がいるのは、   どういうことだ?」  「この高校生たちは、   文章の意味を理解できているのだろうか?」  「義務教育で、   教科書の文章を読める力は本当についているのだろうか?」  --------
    このような「着目する問題の切り換え」は、 非常に重要な意味を持つと思います。 コンピュータが人間にいつ追いつけるかどころか、 コンピュータほども文章を読めていない子供たちがいるのではないか、と。 その後で、リーディングスキルテストの予備調査の話が出てきます。
     --------  本調査の結果が出ないかぎり、確定的なことは言えないが、  これまでのところ、テストを受験した公立中学校生340人のうち、  約5割が、教科書の内容を読み取れておらず、  約2割は、基礎的な読解もできていない  ことが明らかになってしまった。  --------
    これは確かにショッキングな内容でしょう。
     --------  国民の少なからぬ人たちが、  矛盾していたり、  センセーショナルなだけで中身のない発言の意味を吟味し、  その矛盾を見抜いたり、  実現可能性や妥当性を評価できる読解力を身につけていなかったら、  世の中は大変なことになってしまうのではないか、と。  --------
    若い人たちが、コンピュータほどの読解力もないとしたら、 学ぶことができず、話が通じず、科学的な知見が生かせず、 理屈も通らない社会が誕生するでしょう。 社会が成り立たなくなりますね。
    ところで、自分はどうだろう。 キーワードのパターンマッチング以上のことを、 しっかり考えているだろうか。
     * * *
    と、いうことで、そろそろ、 今週の結城メルマガを始めましょう。
    今回は久しぶりに「結城浩ミニ文庫」をお送りします。
     『和算書「算法少女」を読む』(小寺裕)
    という数学書の書評記事です。それから、 いささかセンチメンタルな読み物をいくつか。
    どうぞ、ごゆっくりお読みくださいね!
    目次
    はじめに
    『和算書「算法少女」を読む』を読む - 結城浩ミニ文庫
    恋について、愛について
    帰省の話、母の話
    精細な解説図つき、すごい問題解決手法
    おわりに
     
  • Vol.231 結城浩/小学生への手紙 - 数式って言葉なんだよ/Web連載の書籍化タイムライン/

    2016-08-30 07:00  
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    Vol.231 結城浩/小学生への手紙 - 数式って言葉なんだよ/Web連載の書籍化タイムライン/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年8月30日 Vol.231
    はじめに
    おはようございます。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    この「はじめに」を書いているのは2016年8月29日(月)です。 大型の台風10号の話題があちこちからやってきます。 先日の日曜日は西日本で局所的な豪雨だったもよう。
    今回の結城メルマガが配信される火曜日には、 日本に上陸するかという流れになっていますね。 どうぞ、お気をつけて……
     * * *
    降水ナウキャストの話。
    現在の雨の状況を知るサービスとして、 東京では「東京アメッシュ」が有名です。
     ◆東京アメッシュ  http://tokyo-ame.jwa.or.jp
    ところで、以下の「高解像度降水ナウキャスト」では、 全国の雨の状況がわかり、しかもこれから一時間《後》の雨までわかるので、 たいへん助かります。
     ◆高解像度降水ナウキャスト  http://www.jma.go.jp/jp/highresorad/
    台風の時期に限らず「これから雨なの?」「この雨はどのくらい続くの?」 という気持ちに答えるいいサイトだと思いました。
    この「高解像度降水ナウキャスト」は以下のブログ記事で知りました。
     ◆アメッシュより便利な降雨情報サイトの紹介 〜梅雨・台風への備え〜  http://k5khrs.hatenablog.jp/entry/2015/05/13/111605
     * * *
    最新刊の話。
    『数学ガールの秘密ノート/やさしい統計』がようやく脱稿し、 現在は初校ゲラができあがるのを待っている段階です。 今週末か、来週頭にはやってくるでしょう。 そこからは初校ゲラに赤を入れる毎日が始まります。
    今回の「やさしい統計」はタイトル通り、 統計のやさしい内容を扱っています。でも教科書ではないので、 ゆったりした作りで、大事なポイントを押さえる書き方になっています。
    最近「やさしい統計」を書いている影響なのか、 「平均年収○○万円……」といったニュースの見出しを見ると、 「中央値は? 標準偏差は?」と考えるようになりました。
    中央値は以前から意識していたのですが、 標準偏差を意識するようになったのは最近のこと。 年を取っていても「自分の視点が変化する」 というのはあるものなのだなと、 変なところで感心しています。
    後ほど、「本を書く心がけ」のコーナーで、 Web連載を書籍化する際に結城がやったことを、 時系列でお話しします。
     * * *
    「聖なるもの」の話。
    「聖なるもの」といっても、キリスト教固有の話ではありません。 もう少し一般的な話。
    あなたは、自分にとっての「聖なるもの」を何か持っていますか。
    「聖なる場所」でも「聖なる日」でも「聖なる人」でもかまいません。 その場所、その日、その人に関わるときには身を正したくなる存在のことです。 そういう存在について考えたことがあるでしょうか。
    「聖なるもの」というのは「おかしてはならないもの」 とも言い換えられるでしょう。 単純に「大切にすべきもの」というよりも強い意味ですね。 それを大切にすることによって、自分に何らかの影響があるものです。 自分勝手に取り扱えない、自分の理屈でどうこうできない存在。
    そのような「聖なるもの」というのは、 必ずしも宗教的なものとは限らず、多くの人が持っていると思います。 自分の身を正す何か。
    そしてその「聖なるもの」というのは人によって違うことも多いでしょう。 ある人にとっては「聖なるもの」であっても、 他の人にとっては「とるにたりないもの」なんてことはよくありそうです。
    「聖なるもの」を持っている人は、ある意味では不自由です。 聖なるものの前では自分の意志を曲げる必要が生じたり、 自分の生活を変化させられる必要が生じたりするからです。 でも、別の言い方をすれば、「聖なるもの」を持つ人は、 「自分の《外》に基準がある」とも言えるでしょう。
    現代では、自分を基準とする人が多いと感じます。 そしてまた、自分を基準とすることをよしとする考え方もあります (特にそれがいけないというわけではありません)。
    進路を選ぶときには、自分の好きな道を選ぼうとする。 食べるものは何で、飲むものは何で、どこへ行こうか何をしようか、 どんな人と付き合って、何を読んで、どんなことを考えるか。 そのすべてを「自分を基準」にすることがよしとされる。
    それは確かに悪いとはいえないけれど、 「でも、そんなに自分だけを基準にしていていいのだろうか」 という疑問が浮かぶことがある。 そんなに、自分のことを信頼できるのかな。 そんなふうに思うのです。
    「自分の行動を自分で決める、決められる」というのは、 圧政からようやく逃れた人や、 横暴な親からやっと逃れた人には福音であり、千金の重みがあります。 そして、その自由の権利をおかすのは間違っているでしょう。
    しかし、その一方で、 「自分の行動を自分が決めるなら、自分は幸福になる」 というのは真だろうか、とも思うのです。
    私はよく思います。自分以外に基準があるのは良いことではないか、と。 もしも、私が、自分の基準だけで生きたとしたら、 それは大きく道を外した人生になりそうだな、と思います。
    あなたは「聖なるもの」や「行動の基準」について、 どう思いますか。
     * * *
    放物線の話。
    NHKの大科学実験で行われた「放物面に物体を垂直落下させると焦点を通る」 というようすの動画が公開されていました。
     ◆みんなここに集まってくる−ハイライト/大科学実験  http://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005300886_00000
    パラボラアンテナの表面は放物面(断面が放物線になるような曲面)で、 その曲面の性質から、どの位置にボールがあたっても焦点を通過します。 放物面の(放物線の)その性質を生かして、 パラボラアンテナが電波を効率的に送受信できるのですね。
    という理屈は分かっていましたが、 このような動画を実際に見るのはほんとうに楽しいものです。 数学的な理屈と、パラボラアンテナの美しさと、 電波の送受信という実用性。 それらがボールの動画で可視化されている楽しさ。
     * * *
    本音の話。
    先日、ある報道関係者(特派員を名乗る人)が、
     「相手の嫌がる質問をぶつけて本音を引き出す」
    という取材手法があると語っていました。 結城はそれについて大きな違和感を感じましたし、 私以外にも、違和感を感じていた人がいたようです。
    まあ、そのような話はネットではよくあることなので流していたのですが、 私の中にひっかかるものがありました。 それは「本音を引き出す」とはどういうことなのか、という疑問です。
    たとえば、私がある人(Aさん)を大嫌いだとします。 私はAさんが大嫌いだけれど、Aさんには恩義がある。だから、 公の場でAさんにはきちんとした応対をしたいと思っている……としましょう。 あくまで仮定の話ですよ。
    そうすると、 「私はAさんに礼儀を尽くしているが、Aさんは心の中では大嫌い」 という状況になりますよね。 このとき、ある報道関係者が私に乱暴なことを言い、 つい私がAさんへの文句を言ったとしましょう。 これって、私の「本音」なのでしょうか。
    私がAさんに感じている気持ちというのは単純じゃありません。 Aさんは大嫌いだけど大事でもある。 私のAさんに対する「本音」というのは一つではありません。 「大嫌い」も本音だし「大事にしたい」も本音です。
    そこまで仮想的な状況を考えてきて少し整理が付きました。 さきほどから書いている報道関係者が語る「本音を引き出すテクニック」 というものはたいへん薄っぺらなのです。 本音を引き出すといいつつも、 自分が記事にする題材を要領良く奪い取るだけの手法にすぎないじゃないか。
    もともとの話は、オリンピック選手への乱暴な質問から発していました。 大きな権力を持ち、多数の住民に影響を及ぼす政治家相手なら、 相手が嫌がる質問で「本音」(?)を引き出すのも、 まあわからないでもありません。 でも、オリンピック選手相手にそれはないよなあ、と思うのです。
    ある人が大嫌いだけど大事にしたいという気持ちは誰でもありますし、 憎らしいけれど尊敬しているということもある。 報道関係者に求めるとすれば、 懸命に戦ったアスリートを質問で不愉快にさせることではなく、 広い視野と深い洞察&人脈により、 一般人が見逃したり知ることが難しい情報を、 わかりやすく公平に知らしめることではないのかな、と思います。
     * * *
    方程式の話。
    ときどき、
     「これこそ成功の方程式」  「うまくいく恋愛方程式はこれだ」
    のような表現を見かけます。そして数学読み物を書いている身としては、 「方程式」という言葉にぴくっと反応するわけです。
    といっても「方程式というのはそういうもんじゃない」 と目くじらを立てたいわけではありません。 ここでは比喩の一種として使われているわけですから。 むしろそこで、「方程式という用語は、 ここでどういうニュアンスを表現するために使われているのだろう」 と考えたくなるのです。
    数学でいう方程式は、たとえば x + 3 = 0 という一次方程式のように、 未知数(x)を含む等式です。 そして、その未知数が満たす数を求める(解を求める) ことが主な関心事になります。 そういう意味では「成功の方程式」や「恋愛方程式」 のニュアンスとはずいぶん違うな、と感じます。
    「成功の方程式」や「恋愛方程式」は、
     ・こんなふうにすれば成功する  ・こんなふうにすれば恋愛がうまくいく
    というニュアンスで、 しかもそれがゆるがない「法則」であるかのように表現しています。
    そこまで考えてくると、 ここで使われている「方程式」という比喩は、 数学の方程式よりも物理学の方程式に近いようです。 物理学の方程式は、たとえば運動方程式F=maのように、 物理学上の法則を等式によって表現したものが多いからです。
    ……いや、そういう考察をしたからといって 何かが起きるわけではないのですが、 自分の中で「なるほど、確かに」という納得感が得られたので、 よしとしましょう。
     * * *
    本の話。
    おともだちの大上丈彦さん( @otakehiko )は、 メダカカレッジという会社の主宰です。
     ◆メダカカレッジ  http://www.medaka-college.com
    「大上」という名前からか、 オオカミのキャラクタがアイコンになっています。
    大上さんの「ワナにはまらない〜」という数学の読み物は楽しいです。 タイトルを耳にするたびに、
     「『オオカミさん』が『ワナにはまらない方法』を語るのは、   動物の世界的な意味でぴったりだな!」
    と思っています。
     ◆『ワナにはまらない微分積分』(大上丈彦)  https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774155683/hyam-22/
     ◆『ワナにはまらないベクトル行列』(大上丈彦)  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774176354/hyam-22/
     * * *
    「がんばる」ことの危険性の話。
    本当に賢い人は「自分が考えなくても正しい答えを得る方法」を考えます。 それは、本当にお金を儲けるのがうまい人が 「自分が稼がなくてもお金が入ってくる方法」を考えるのに似ています。 自分の「がんばり」には期待せず、 本当に意味のあることを考え、何を考えるべきかを考える。 それこそが知恵というものでしょう。
    その意味で「がんばりさえすればいい」という考え方は危険です。 がんばることが悪いわけではないし、ときにはがんばる必要はあります。 絶対にそういう場面はあります。 でも、がんばる前に「いまはがんばりどきか?ここはがんばりどころか? 自分はしっかり考えたか?」の問いかけも大事です。 やみくもにがんばるのは思考停止であり、 それは全然がんばってないともいえそうです。
    「ここでがんばろう」というのは、 「ここに大きなコストをかけよう」という意思表示です。 しかも「自分ががんばろう」というのは、 「自分しかかけられないコストをかけよう」ということです。 自分のがんばりどころはここなのか、 というのは、考える価値のある問題だと思います。
    安易な美談の危険性もここにありそうです。 安易な美談は、メリット・デメリットの的確な判断を鈍らせるからです。 その瞬間の感動と引き換えに、多大なデメリットを引き受けてしまう危険は、 誰にでもあると思います。
    また、安易な美談や、華麗な問題解決を求める気持ちも危険です。 日々をトラブルなく過ごせるように考えている主婦や事務方や情シスよりも、 炎上している開発案件に颯爽と現れ、 あっという間に問題解決する天才プログラマを優遇する危険性です。
    炎上案件を華麗に火消しする様子は誰にでもよくわかります。それに対して、 昨日と同じ今日を大過なく送れているのはいったいなぜか、 それを見抜ける人は少ないでしょう。 それを見抜くためには「目」がいるからです。 さらに言うなら、目を持っていることを見抜くにも「目」が要りますね。
     * * *
    数学トークの話。
    結城はカフェで仕事をしています。 あるとき、 『数学ガールの秘密ノート/やさしい統計』の原稿を読んでいると、 カフェの隣の席で、高校生カップルが勉強を始めました。
    しかし、二人とも参考書を目の前に広げてはいるものの、 さっきからずっとおしゃべりをしています。 クラブの話や共通の先輩の話、ネットの話題に芸能人の話題…… 話はずっと続きます。参考書も問題集もさっぱり進みません。
    ねえねえ、きみたち。せっかくカフェで勉強してるんだからさ、 おしゃべりはそのくらいにして、参考書を進めようよ。 ……などとおせっかいなことを言いたくなるほどおしゃべりは続きます。
    しかしながら、ふと心から声が聞こえます。
    ねえねえ、結城さん。せっかくカフェで仕事しているんだからさ、 隣のおしゃべり聞くのはそのくらいにして、原稿を進めようよ。
    まったくその通りだ! と思って原稿を進めたのでした。
    しかし、その原稿の中では、 テトラちゃんやミルカさんが「僕」と数学トークを続けています。 結局仕事でも、高校生たちのおしゃべりを聞いているじゃん!
    とオチが付いてしまいました。
     * * *
    では、今週の結城メルマガを始めましょう。
    どうぞ、ごゆっくりお読みください!
    目次
    はじめに
    数学の問題を出す楽しみ(問題編)
    『数式って言葉なんだよ』 - 結城浩ミニ文庫
    Web連載の書籍化タイムライン - 本を書く心がけ
    数学の問題を出す楽しみ(解答編)
    おわりに
     
  • Vol.226 結城浩/『読み・書き・自己言及』 - 結城浩ミニ文庫/どうしてあの人は/教えるときの心がけ/

    2016-07-26 07:00  
    220pt
    Vol.226 結城浩/『読み・書き・自己言及』 - 結城浩ミニ文庫/どうしてあの人は/教えるときの心がけ/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年7月26日 Vol.226
    はじめに
    おはようございます。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    特別授業の話。
    この結城メルマガが配信される火曜日に、 結城はある中学校で特別授業(講演会)を予定しています。 人前で話すのは年に一回か二回ほどのことなので、 少し(かなり)どきどきしています。
    飛行機に乗るのも久しぶりで、 乗り遅れたらどうしようなどと子供のようなことを考えています。
     ◆飛行機に乗ります(「いらすとや」のイメージイラスト)
    講演会は書籍を書くこととずいぶん違いますので、 その準備の中でいつもと違う学びがあります。 どんなときでも「人に何かを伝えよう」とするときには、 学びがあるものです。なぜなら、人に何かを伝えるためには、 その「何か」のことをよく理解している必要があるためです。
    しっかり伝えようと願えば願うほど、 その気持ちは「何か」を深く理解しようという気持ちへつながっていきます。 深く理解しようという気持ちが、学びを生まないわけがありません。
    広い意味での「熱意」といえます。
    特別授業の様子は、スライドつきの読み物に変換して、 後日この結城メルマガで配信する予定です。 これまでも、
     「数学ガールの特別授業」
    として何回か配信してきました。 どうぞお楽しみに!
     ◆数学ガールの特別授業  http://www.hyuki.com/girl/lesson.html
     * * *
    重版出来の話。
    先日、出版社より、 『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』の増刷決定の連絡がありました。 いわゆる「重版出来(じゅうはんしゅったい)」の連絡ですね。 読者さんの継続的な応援に感謝です!とってもうれしいです。
     ◆『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』  http://note1.textfile.org/
    「重版出来!」のドラマで、
     「重版出来は、本に関わる人みんなが幸せになれる言葉」
    という主旨のセリフがありました。私もそう思います。 自分の本の重版出来はもちろんうれしいですけれど、 他の人の本の重版出来を聞いても、とてもうれしいですね。 思わずにこにこしてしまうニュースです。
    重版出来は「版を重ねる」ということですが、 「刷(すり)を重ねる」という方が実際に近いでしょう。 第1版が第2版になるわけではなく、 第1版第1刷が第1版第2刷になるということですから。
    一回の刷り部数は本によってさまざまですから、 刷数が多い方が出版部数が多いとは限りません。 「なんとすでに○○刷突破!」という宣伝文句だけで、 何部売れたかまではわからないのです。
    しかし、それでも重版出来のニュースはうれしいものです。 「本が売れている・本を買う人がいる・本を読む人がいる」 ということが集約されている言葉だからなのかもしれませんね。
     * * *
    文章を書く話。
    結城は「文章を書く」ということについて、いつも考えています。
     ◆文章を書く(「いらすとや」のイメージイラスト)
    どうして文章を書くことについていつも考えているかというと、 それが「考える」に直接的に結びついているからだと思います。 誰しも毎日いろんなことを考えますよね。 見たものについて、聞いたことについて、感じたことについて。
    結城の場合には、その「考える」というプロセスと、 「文章を書く」というプロセスが分かちがたいほどに絡み合っています。 そういう人は少なくないはずです。 文章を紡ぎながら、ああかな、こうかな、と考えているのです。
    プログラミングのときもそうですね。考えながらプログラムを書く。 書いているうちに、自分の考えていることが明確になり、 不思議な感慨に至る。
     「ああ、私が考えていたことは、こういうことだったんだ」
    文章でも同じことが起きます。考えながら文章を書き、 考えるために文章を書いているうちに気付く。
     「ああ、私が考えていたことは、こういうことだったんだ」
    変な話ですよね。自分のことなのに、改めて書かないことには、 自分が何を考えていたのかわからないなんて。 あなたはそういう経験はありませんか。
    頭の中で考えているというのは、 考えることの途中の段階にすぎないんじゃないでしょうか。 書き上げてはじめて、考えるという行為が完成する。 いや、もっとかな? 書き上げて、人に伝えて、そして人に伝わって、 はじめて完結するのかもしれません。
     * * *
    縦書きと横書きの話。
    先日、村上春樹の文庫をKindleで読んでいて、 何となく横書きで読みたくなりました。 固定レイアウト型ではなく、リフロー型でしたから、 横書きに切り換えることができてもよさそうですが、 どうもできないみたいです。
     ◆『風の歌を聴け』(村上春樹)  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B01G6MF4J2/hyam-22/
    iPhoneのKindleアプリで読むとき、縦書きより横書きの方が読みやすく感じます。 視線の動きが少ないからかもしれませんし、 横書きに慣れているからかもしれません。 何しろ、いまや私が読むもののほぼすべては横書きですからね。
    紙の本だったら縦書きでもいいのですが、 iPhoneで読むなら横書きの方がしっくりくるようです。
    あなたはいかがですか。
     * * *
    Webページの見え方の話。
    結城はふだん小さなWebサイトを作って遊んでいます。 だいたいは自分がユーザなのですが、 公開しているWebサイトは他の人もアクセスします。 そうすると気になるのが、 「他の人にはどう見えているんだろう」ということです。
    Twitterのフォロワーさんから、 NetRendererというサイトを教えていただきました。 指定したURLをWindowsで見たらどのようになるかという、 まさに結城が求めているようなサイトです。 たとえば、結城のWebサイトトップページの見え方は、 このように違います。
     ◆Windowsで見たトップページ(NetRenderereによる)
     ◆Macで見たトップページ(MacBook Safariによる)
    だいたいのレイアウトは同じですが、 フォントの違いで印象は少し変わりますね。
     ◆NetRenderer  http://netrenderer.com/
    その他に、Microsoftが提供している同様のページも教えていただきました。
     ◆Browser screenshots  https://developer.microsoft.com/en-us/microsoft-edge/tools/screenshots/
    こちらも、URLをいれるだけで、 OSとブラウザでの見え方の違いがわかるようになっています。
    結城はMacとiPhoneで見ているので、 WindowsユーザやAndroidユーザにどう見えているのが気になります。 こういう気持ちも《読者のことを考える》の一つなのでしょうか。
    それにしても「こういうの、ほしいな」 と思うツールがすでに存在しているのは、 驚くと共にありがたいことですね。 それにすこし「ほっ」とします。 それは、自分が考えることが見当違いでないと気付くからです。
     * * *
    時間の話。
    先日 @key1jp さんのこんなツイートを読んで感動しました。
     ---------  https://twitter.com/key1jp/status/750174169086636033  息子は年齢を聞くみたいに「パパは今何時?」「ママは今何時?」って  個別に聞くんだけど、ああ、時間がすべての人に共通に流れるって  前提がないんだなーと思うとなんか宇宙が見えた  ---------
    これを読んで感動した理由はいろいろあります。 一つはこのような「各人が時間を固有に持っている」かのような 息子さんの言葉に。
    また、その息子さんの行動を 「時間がすべての人に共通に流れるって前提がない」 と表現した @key1jp さんに。
    それから結城は「でも、私たちは本当に共通の時間を生きているのかな」 と考え始めました。たとえば、基本的な話として「時差」がありますよね。 海外と日本とでは時刻が異なります。海外とやりとりをしている人は特に、 時差を意識して活動していると思います。
    さらに「同じ時間を過ごす」ってどういうことなんだろう、 とも考え始めました。好きな人とデートして、 同じ場所で時間を過ごすのは楽しいものです。 そしてそれは確かに「同じ時間を過ごしている」感覚があります。 でも、現代では遠くの人とチャットしたり、ゲームしたり、 物理的な制約からは自由になっています。 だから、必ずしも物理的に同じ場所にいる必要はありません。
    さらにいうなら「古い本」を読むとき。 すでに著者はこの世にいない。でもその本の中では言葉が生きていて、 読んでいる自分に強く語りかけてくる。 まるで同じ時間を過ごしたかのような気持ちになることは、 決してめずらしくありません。
    先日の @key1jp さんのツイートから、 そんなことを考えて、私はとても豊かな時間を過ごしたのでした。
     * * *
    「作戦」の話。
    最近、一週間単位で自分の「作戦」を考えるのが好きです。 最初はただの「目標」にしていたのですが、 ある方から「ガールズ&パンツァー」に出てくる「作戦」みたいですねと言われ、 それから「作戦」と呼ぶようになりました。
    たとえばある週は「わざとゆっくり作戦」を掲げました。 その週は何かにつけて「わざとゆっくり」するという作戦です。 文章を書くときに、あわてて手を動かさない。 まずはゆっくり考える。ゆっくり考えて、 自分の「手」が書きたがったとしても、すこし焦らす。 そのくらいゆったりと時間を掛け、そこから書き出す。
    作業を切り換えるときもそうです。 作業Aが終わってすぐに作業Bを始めない。 作業Aが終わったらゆっくり作業Aでやったことを振り返る。 少し休憩する。そして作業Bに移る。 それが「わざとゆっくり作戦」なのです。
    「わざとゆっくり作戦」の他に、 「背筋をピンと作戦」や「まずは、深呼吸作戦」 をこれまでに実行してきました。 何だか子供みたいな話ですけれど、 こういう「作戦」を自分で決めてそれを守るのは、 意外におもしろいものですよ。
    あなたは今週、どんな「作戦」で行きますか。
     * * *
    では、今週の結城メルマガを始めましょう。
    どうぞ、ごゆっくりお読みください!
    目次
    はじめに
    『読み・書き・自己言及』 - 結城浩ミニ文庫
    わかりやすい説明 - 教えるときの心がけ
    どうしてあの人は、私が思ったように動いてくれないんだろうか
    おわりに
     
  • Vol.214 結城浩/ソシャゲと確率/手抜きをしない/

    2016-05-03 07:00  
    220pt
    Vol.214 結城浩/ソシャゲと確率/手抜きをしない/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年5月3日 Vol.214
    はじめに
    おはようございます。
    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    早いもので、もう五月ですね! 今年の三分の一がすでに終わってしまったなんて驚きです。
    今日は、多くの方は連休後半を楽しんでいらっしゃると思いますが、 結城は通常営業でふつうに原稿を書いているはずです。
    今年は何としても『数学ガール6』を仕上げたいと思っています。 何とか四月中に第4章に形を付けたいと思っていたのですが、 結局は間に合っていませんね(しょぼん)。
    でも、停滞していた原稿も少しずつ動き出しているので、 何とかじわじわ進めていきたいと思っています(前向き)。
     * * *
    会計の話。
    四月といえば新しい季節。新年度。 新しい場所でそれぞれの活動が始まる月です。
    それはけっこうなのですが、 家族持ちからすると、出費がかさむ月でもありました。 たまたま大きな出費が重なったところに、 学費やら何やらがまとまってやってきて、 やりくりがなかなか大変でした。
    タイミング良く出版社からの入金があり、 たいへん助かりました。
    春ですね……(ひー)
     * * *
    『作家の収支』の話。
    会計といえば、 森博嗣さんの『作家の収支』という本を読みました。
     ◆『作家の収支』(森博嗣)  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B018FT9OLI/hyam-22/
    最近はあまり読んでいませんが、 数年前は森さんの作品をよく読んでいました。 おそらく続けて数十冊は読んだと思います。
    この『作家の収支』は、タイトルの通り、 森さんの収入と支出について書かれている一冊です。 十五億円の収入を自慢をするわけでもなく、 もちろん卑下するわけでもなく、 持論を得意げに語るわけでもない。 研究会で発表するような淡々としたトーンで、 データが並べられていきます。
    森さんの考えはエッセーなどでもよく見ていましたから、 『作家の収支』というタイトルから、 恐らくは率直にデータが展開される本だろうと想像していましたが、 果たしてその通りの本でした。
    森博嗣さんの文章は読みやすいですね。 文章として読みやすいだけではなく、 そこに書かれているものの「含み」を推し量る労力が少なくて済むと感じます。 書かれていることをそのまま受け取っていい、という感覚は心地よいものです。
    興味深いのは、そのような淡々とした文章でありながら (いや、淡々としているからこそ?)、 きちんと本人の考えが伝わってくるということです 声高に「自分の考え」を主張しなくても、 自然と伝わってくるというのがおもしろい。 そもそも文章ってそういうものなのかもしれませんけれど。
    森さんは合理的な考え方をする人ですから、 出版社のビジネスのありかたにも疑問を投げかけます。 原稿料があまりにも一律であることや、 思い切った販売施策を打たないこと、 作家のプロモーションに力を入れないことなどですね。
    この『作家の収支』の中では、原稿用紙一枚でいくらになるか、 本一冊を書いたらいつの時点でどれだけのお金が入ってくるか、 そういう話を具体的な書名と年つきで語っていきます。 もちろん、森さんと結城とでは収入の桁がいくつも違うので、 直接の参考にはなりません。でも考え方は参考にできます。
    森さんが提示している考え方でたいへん共感するのは、 作家の仕事の基本は、
     「常に新作を出すこと」
    という点です。たった一作を書いて、 その評判が上がるのをじっと待つのではない。 そんな暇があったら、次の作品を出す。それは、 読者に忘れられないようにするため……というのは、 きっとそうあるべきなのだな、と結城も思います。
    「点」として作品を発表するけれど、 それだけでは注目してくれる人は少ない。 点を繋いで線とし、さらには面にしていく。 そのような努力が必要なのだと感じます。
    作家の(他の職業に対する)強みは、 何も仕入れることなく、たった一人で作品を生み出す点にあります。 他のほとんどの職業はたくさんの人が必要になってしまうのに。 森さんはそのことを、こんなふうに表現します。
     ----  思ったのは、「よほど大きく当らないかぎり、  ゲームでは元が取れないだろう」ということだった。  つい自分一人だけで作れてしまう小説と比較をしてしまう。  (略)  小説は、1万人が買えば商売として成立する。  10万人が買えばベストセラである。  しかし、映画は100万人が見ても、  成功とはいえない。もう1桁上なのだ。  ----
    そして森さんは「小説のマイナさは、ここが強みだということ」と結ぶ。
    なるほど。
    森さんが淡々と書いている話を読みながら、 そのひとつひとつに対して、 「この点について、私としてはどう思うか。 自分はどのように対処しているか」 と考えを広げ、たいへん勉強になりました。
    知的生産物を作り出して生計を立てようとする人には、 なかなか参考になる本だと思います。
     ◆『作家の収支』(森博嗣)  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B018FT9OLI/hyam-22/
     * * *
    ものを探す話。
    結城は「探し物をする」というトラブルがあまりありません。 何かがどこにあるかわからない。 あっちかな、こっちかな、どこにもないぞ…… そんな状況に陥ることは多くありません。
    何がどこにあるかを覚えている記憶力が特にいい、 というわけではありません(妻に言わせると、 「あなたは記憶力が異常にいい」らしいですが)。
    ものの場所をすべて記憶しているというわけでもありません。 私が探し物をしないで済むのは、ものを片付けるときに、
     「次回自分がコレを探すとしたら、   どういう発想に立って、どこを探そうとするだろう」
    と考えることが多いからだと思います。
     ・コレが必要になるのはいつだろう。  ・コレを必要とするとき、どこを探そうとするだろう。  ・コレは、いっしょに使うもののそばに置いておこう。
    そんなふうに考えて片付けるのです。
    自分で勝手なルールを作って整理をしても、 いざ探すときになってみるとそんなルールはとうに忘れているはず。 だから、整理して片付けた場所がわからなくなるのです。
    たとえば、たまにしか着ない礼服用のハンカチと靴下。 きれいにしたあと、ハンカチは礼服のポケットに、 靴下は、この礼服を着るときに履くであろう革靴のところに置きます。 そうすれば、次回礼服を着るタイミングですべて見つかるはずです。
    と、ここまで話してきて思ったのですが、 「自分がコレを探すとしたら、 どこを探そうとするだろう」という問いかけでうまく行くのは、 私の中に「一貫した行動を取りたい」 という気持ちがもともとあるからかもしれません。
    ところで今度は何かを探す状況になったときの話。 何かを探す状況のときに私が考えるのは、
     「アレを片付けたときの過去の私は、   現在の私の気持ちをわかってくれていただろうか」
    と考えます。つまり、
     「『アレを探そう』としている現在の自分は、どこを探そうとするか。   それを、過去の自分は推測できていただろうか」
    と考えるのです(ややこしいですね)。
    過去の自分と現在の自分では、行動原理は同じかしら。 もしそうならば、探し物はすぐに見つかるでしょう。 それは、過去の自分と現在の自分が遠隔通信をしているようなものですね。 うまく周波数が合えば、探し物はすぐに見つかるのです。
    あなたはしょっちゅう探し物をする方ですか?
     * * *
    講演の話。
    先日、とある学校から講演の依頼が来ました。
    夏休み期間中に行われる特別授業的な位置づけということで、 現在、お引き受けする方向で進めているところです。
    結城は基本的に本を書くのが仕事で、 積極的に講演は行っていないのですが、 うまく条件が合えばお引き受けすることがあります。
    これまでにお引き受けしたのは、ほとんどが学校関係ですね。 一度、出版&数学関係者向けにお話させていただいたこともあります。 不特定多数へ向けての講演会のようなものは基本的にお断りしています。
    最近引き受けた講演については、文字起こしと加筆修正をし、 「数学ガールの特別授業」と銘打って、 この結城メルマガでも配信してきました。
     ◆「数学ガールの特別授業」  http://www.hyuki.com/girl/lesson.html
    当然のことながら、特別授業のためには準備が必要です。 スライドはLaTeXで書き、PDFを準備します。 そして、話すことをすべて書いた原稿を前もって作ります。 アドリブで講演ができるほど、結城は能力が高くないからです。
    どのページでどういうジョークを言うかまで考え、 文章として書きます。 また、時間が余ったときのための予備スライドも作ります。 生徒さんに問題を出して、 それがあまりにもあっけなく解かれたときのために、 予備の問題も用意します。 講演はリアルタイムで進行するので、 不測の事態にできるだけスムーズに対処するためです。
    原稿を書きながら、脳内で講演のリハーサルをします。 当日しゃべっている自分のようすを想像し、 そのときの生徒の反応を想像します。 このスライドを見た生徒は、 どういうことを考え、次に何を見たいと思うだろうか。 そんなことを想像するのです。
    スライドが完成したら、実際に声を出して練習をします。 原稿を見ながら練習をしますが、 その時点ではすでに話の流れは頭に入っています。 余裕があれば、家族に聞いてもらいます。 講演の当日も、朝からスライドを見直して、 全体の流れを復習します。
    しかし、実際の講演本番では、 原稿は極力見ません(見る余裕もありません)。 それよりも生徒さんの方をよく見ます。 そして、みんなが話について来ているようならば、 テンポや難易度やトーンを少し上げます。 いま一つ反応が鈍かったら、 テンポを落とし、例の解説を少していねいにします。 場合によっては難易度の高いスライドは飛ばします。
    前もって講演の原稿を文章として作っておくのは、 そのように臨機応変な動きをするためです。 「この通り話せばぐだぐだになることはない」 という最低ラインが保証されている安心感を前もって持ちたい。 それがあれば、生徒さんの反応を感じる方に、 自分のCPUパワーを使うことができるからです。
    さて、この夏の講演会(特別授業)はどんなものになるでしょう。 とっても楽しみです。
    この時のスライドもまた、 結城メルマガで配信していきますね。 どうぞお楽しみに!
     * * *
    校正の話。
    毎日新聞・校閲グループさん(@mainichi_kotoba) のツイートを楽しんでいます。
    先日「オンラインゲームに課金する」という表現が話題になっていました。
     https://twitter.com/mainichi_kotoba/status/724408351996563456
    「課金する」という用語の本来の意味を考えると、 ゲームの運営者が、ユーザに対して「課金する」わけなので、 お金を支払う側のユーザが「課金する」という表現は引っかかるというのです。 毎日新聞・校閲グループさんは「課金する」を「お金を使う」 に直していました。
    恥ずかしながら、このツイートを見るまで、 そのような発想はまったくありませんでした。 でも確かに言われてみれば「課金」というのは、 お金の支払いを相手に課すということですね。
    でも、もう一度あらためて考えると、 「オンラインゲームに課金する」という表現は、 ユーザ側でも、非常によく使われていますよね。 そしてまた「課金する」と「お金を使う」というのは、 ニュアンスが多少異なるような気もします。
    「課金する」の方が、「お金を使う」よりも、 ゲームへの《のめり込み感》をよく表現しているように感じるのです。 「課金勢」や「課金兵」などという表現も、 単にお金を使っているというニュアンスよりも、 ゲームへのめり込んでいる感じ、 あるいは逆にそれを勲章にする感じがあります。 おそらく「課金」という簡潔な熟語が新しい意味を獲得しているのでしょう。
    ある方は「『募金する』という表現も似ている」 と主張していました。確かに「募金」という言葉も、 「お金を募っている」わけですから、運営側の言葉ですよね。 けれど「震災のために募金しましょう!」という表現は、 新たな募金を運営開始するという意味ではなく、 お金を支払うという意味で使います。 ここでも「募金」という簡潔な熟語が、 新しい意味を獲得しているように思います。
    言葉って面白いですね。
     * * *
    ちょっとした、言葉の話。
     「ありがとうございます」
    って言うたびに、うれしさが倍増します。
    感謝の言葉を口に出すことは、 毎日を幸福で満たす秘訣ですね。
     * * *
    初任給の話。
    四月末近くに「初任給」の話題を見かけました。
    社会人一年生の方は、もしも親御さんがご存命ならば、 初任給から親御さんへ何かプレゼントをなさることをおすすめいたします。
    「プレゼントといってもなあ……」 という方は、たとえばお給料から一万円を送るのでもいいですね。 私の親の世代なら「給料袋の一番上のお札を」というところですが、 いまは銀行振込でしょうからね。
    「うちの親とはそういう間柄じゃない」 という方は、プレゼントなど送らなくても、 親御さんへせめてご報告を……
    できれば「ありがとう」の一言を添えて……
     * * *
    敬体と常体の話。
    日本語の文には、 「です・ます」で終わらせる敬体と、 「だ・である」で終わらせる常体とがあります (たとえばいまの文は「〜あります」で終わっているので敬体になります)。
    先日「結城メルマガでは敬体と常体が混じってますが、使い分けの基準は?」 という主旨の質問をいただきました。
    敬体は親しみやすく、優しい印象を読者に与えます。 その一方で、感情や意図が過多に感じられる場合もあり、 客観的な文章には向かないこともあります。
    常体はその逆ですね。事実を端的に述べたり、 率直に語っている印象を与える反面、 ぶっきらぼうで冷たい印象を与えます。
    それから大事なこととして、 敬体は、常体に比べて文が長くなる傾向がありますので、 まどろっこしい感じを与えることも多いです。 実際に、たくさんの情報を伝えるのに敬体は向きません。
    基本的に、一つの文章の中で敬体と常体を混ぜて使うことはありません。 これは日本語の文章を書く上での基礎になります。 結城も、書籍ではどちらかに揃えます。
    ただ、こういうルールはときどきやぶると面白い効果があります。
    たとえば結城は、敬体で書いている書籍であっても、 「箇条書き」の部分に限って常体にすることがあります。 それは、
     ・箇条書きは、情報を端的に伝えるためにある。  ・箇条書きは、本文とは独立している。
    という理由からです。 そして実際、敬体の文章中で箇条書きの部分だけが常体になっていても、 それほど違和感は感じないものです。
    それから、かなり実験的な試みではありますが、 読者に強く訴えるような文章では、 優しい敬体の中に強い常体を混ぜるのもおもしろいものです。 敬体でずっと文章を書いてくる。 「ここぞ」という箇所に来る。 敬体から常体に切り換える。 短い文で畳みかける。 一つの文章で敬体と常体を混ぜて使うと、 そのような緩急を作り出すことができるのです。 使える場面は限られているかもしれませんが、 なかなかおもしろい方法だと私は思います。
     * * *
    チャレンジとは。
    チャレンジとは、実は「壮大なこと」ではないのかもしれない。
    いつもいつも、
     「これやらなくちゃな。やったほうがいいな」
    と気に掛けていたけれど、ずっとできなかったこと。
    でも、あるとき、それを思い切ってやってみる。
    なぜかずっとできなかったことを、ふと、始めてみる。
    それこそ「チャレンジ」なのかもしれない。
    いつもの自分と比べたら、少しだけ違う自分になる。
    あなたの今日の「チャレンジ」は何ですか。
     * * *
    では、今週の結城メルマガを始めましょう。
    どうぞ、ごゆっくりお読みください!
    目次
    はじめに
    『ソシャゲと確率』 - 結城浩ミニ文庫
    手抜きをしない - 本を書く心がけ
    おわりに
     
  • Vol.195 結城浩/セルフブランディングで大切にしていること/自称「コミュ障」のあなたへ/本を書いて生計を立てる/

    2015-12-22 07:00  
    220pt
    Vol.195 結城浩/セルフブランディングで大切にしていること/自称「コミュ障」のあなたへ/本を書いて生計を立てる/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年12月22日 Vol.195
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    今週はクリスマスの週ですね。
    町を歩くとあちこちからクリスマスソングが聞こえてきて、 思わず私も口ずさんでしまいます。
    (などと書くと、 いかにもブログの書き出しの定型文みたいですが、 実際、口ずさんでしまうんですよね)
    クリスマスシーズンになると、 妻の影響もあって、ヘンデルの「メサイア」を聞くことがよくあります (妻の好きな曲なのです)。特に、
     ...Wonderful Counsellor,  The mighty God,  The everlasting Father,  The Prince of Peace.
    という部分が感動です。 聖書のイザヤ書9章6節の部分ですね。 救い主が生まれてくる預言のところで、 彼が「何と呼ばれるべき方」なのかが歌われている部分。
     「不思議な助言者、  力ある神、  永遠の父、  平和の君」(新改訳より)
    これもまた「名前重要」な話ですね。
    自分は、他の人に何と呼ばれたいだろう。
    あなたは、他の人に何と呼ばれたいですか。
     * * *
    CodeIQの話。
    ここしばらく、CodeIQで「マヨイドーロ問題」 というアルゴリズムの問題を出題していました。 先日、無事に終了し、 CodeIQ MAGAZINEに解説記事を書きました。
     ◆結城浩の「マヨイドーロ問題」解説  https://codeiq.jp/magazine/2015/12/35521/
    出題編PDFと解説編PDFも上のページからたどれますので、 よろしければお読みください。
     * * *
    忘年会の話。
    先日、編集部の忘年会にお呼ばれしたときのエピソードです。
    みなさんと楽しくおしゃべりして、夜遅くなって、 「良いお年を!」と言って別れました。
    しばらく歩いて駅に着いて「さてツイートしよう」と思って……
    「あれ? iPhoneどこだ?」
    カバンを探っても出てこない。
    「しまった、さっきのお店にiPhone忘れたんだ!」
    終電近いし、お店まで戻るのにも時間が掛かるし、かなり焦る。
    「そうだ、電話しよう……その電話がないんだよ!」
    と一人ツッコミ。いまどき少なくなった公衆電話を見つけて、 お店に電話。
    「すみません! iPhone忘れました!」
    お店の中を探してもらったけれど、見つからない。
    音で探しましょうということになり、 お店の人に電話番号を教えて鳴らしてもらう。
    すると、あれれ!? なんと、私の胸ポケットが震え出しました。
    「すみません。胸ポケットにiPhone入ってました……」
    お店の人に良かったですねと言われて、 ほっとしつつも、ちょっと恥ずかしかった一幕でした。
    人というものは、連絡手段がなくなると、 かなり焦るものですね! (と、一般化して照れくささをごまかしてみる)
     * * *
    それでは、今週の結城メルマガを始めます。 今週は、
     「セルフブランディングで大切にしていること」
    という読み物をお送りします。
    これは「月刊群雛」2015年12月号に掲載されたゲストコラムを、 「結城浩ミニ文庫」のPDFに再パッケージしたものです。
    再掲するだけではなく、それにプラスして、
     「「セルフブランディングで大切にしていること」を書くということ」
    という読み物も結城メルマガ本文に用意しました。
    このゲストコラムを書くに当たって考えたこと、注意したことなど、 いわば「執筆の裏話」をメタな視点でお届けしましょう。 両方合わせてお読みいただくと、 多層的に「文章を書く」話が浮かび上がる仕掛けです。
    それではどうぞ、ごゆっくりお楽しみください!
    目次
    はじめに
    『セルフブランディングで大切にしていること』 - 結城浩ミニ文庫
    『セルフブランディングで大切にしていること』を書くということ - 文章を書く心がけ
    自称「コミュ障」のあなたへ
    「他人を批判したくなる時」に思うこと
    本を書いて生計を立てる - 本を書く心がけ
    おわりに
     
  • Vol.192 結城浩/村上春樹『職業としての小説家』を読みながら/どうやって生きていく?/漢字変換ソフトは何を?/

    2015-12-01 07:00  
    220pt
    Vol.192 結城浩/村上春樹『職業としての小説家』を読みながら/どうやって生きていく?/漢字変換ソフトは何を?/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年12月1日 Vol.192
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    早いもので、もう2015年も12月ですね。 うう……このあいだ 「あけましておめでとう」と言ったばかりなのに、 もうそんなに時間が過ぎてしまったのですか。 軽くショックを受けてしまいますね。
    あれも、これも、何にもやってないのに、 もう一年が過ぎちゃうのか、なんて…… そんな気持ちを抱きそうになります。
    でも、焦ってもしょうがないですよね。 今日もたいせつな一日ですから、 あわてず焦らず、ていねいに行きましょう。
     * * *
    CodeIQの話。
    CodeIQというのは、ITエンジニア向けに、 プログラミングなどの問題を出しているサイトです。
     ◆CodeIQ  https://codeiq.jp
    結城は2014年の終わりまで、 CodeIQでたくさん出題していましたが、 気がつくとまる一年も出題が止まっていました。 先日CodeIQの運営さんからご依頼を受けたので、 またぼちぼち再開しようかなと思っています。
    以前結城が出題していたときから、 CodeIQもリニューアルされており、 ずいぶんさまがわりしたようです。
    まずは近日中に軽めの自動採点問題を出題します。 プログラミング言語には依存せず、 自分の好きな言語で書くことができる、 アルゴリズムの問題です。
    また、今回の問題に正解した人には、 抽選でプレゼントも出る予定ですので、 問題が公開されましたらぜひご参加くださいね。
     ◆結城浩のCodeIQ  http://www.hyuki.com/codeiq/
     ◆結城浩の「マヨイドーロ問題」(イメージ画像)
     * * *
    今週の結城メルマガでは、 「結城浩ミニ文庫」のコーナーで、
     「オリジナリティについて」
    という文章をお送りします。 この文章は、村上春樹の自伝的エッセー 『職業としての小説家』を読みつつ書いたものです。
    その他の読み物と合わせて、 どうぞ、ごゆっくりお楽しみください!
    目次
    はじめに
    『オリジナリティについて』 - 結城浩ミニ文庫
    プログラミング言語をめぐってふと思うこと
    品質担保に掛かるコスト
    どうやって生きていく?
    漢字変換ソフトやスニペット支援ソフトは何を? - Q&A
    おわりに
     
  • Vol.188 結城浩/村上春樹『職業としての小説家』を読みながら/結城浩ミニ文庫/自分がユーザになるツール/

    2015-11-03 07:00  
    220pt
    Vol.188 結城浩/村上春樹『職業としての小説家』を読みながら/結城浩ミニ文庫/自分がユーザになるツール/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年11月3日 Vol.188
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    この「はじめに」を書いているのは11月2日なんですが、 すっごく、寒いんです! 雨だし!
    ……すみません。こほん。
    気を取り直して……もう、11月なんですね。早いです。
     * * *
    新刊の話。
    いよいよ、『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』の刊行が間近に迫ってきました。 たなか鮎子さんのイラスト、米谷テツヤさんの装丁によるカバー画像ができたので、 いそいそとランディングページを作りました。
     ◆数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実 | 結城浩  http://note6.textfile.org/
    ランディングページはいつもの通り「でんでんランディングページ」 というツールを利用しています。
     ◆でんでんランディングページ  http://lp.denshochan.com
    このツールはTumblrというサイトのテーマとして実現されています。 Tumblrの無料アカウントに設置することで、 無料で自分の本のランディングページが作れることになります。 とてもたすかります。
    そして、サイン本。
    『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』の、 サイン本無料プレゼントという企画を行っています。 この結城メルマガが配信される2015年11月3日(火)が〆切ですので、 忘れずに、ぜひお申し込みくださいね。
     ◆『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』《サイン本無料プレゼント》  http://snap.textfile.org/20151017123720/
     * * *
    「私だけは特別」の話。
    あるとき、道を歩いていて出し抜けにこんなことを考えました。
     「自分は他の多数の人とは違う考え方をしている。   だから自分だけはそんな失敗を絶対しない」  ……と考えて失敗する人が、実はとても多いのではないか。
    ちょっとややこしすぎますかね。
    要するに、こういうことです。 誰か他の人の失敗を見て「あーあ、だから言わんこっちゃない」 と思う場合って、程度の差はあれ、誰しも経験あると思います。
     あの人はこういうふうに考えてうまくいくと思ったんだろうな。  そういう人、確かに多いかもしれない。  でも、私は違う。私だけは特別。  私はそんなふうには考えないから、同じような失敗はしない。
    ……と考える状況を想像してください。 でも、そういうふうに考えて、 その上で(他の大多数と同じようなルートをたどって)失敗する人、 多いのではないかなあということです。
    一言でいえば「他山の石」ということわざを軽視する人が多い、 ということですが。
    この話のポイントの一つは、 「自分は他の多数の人とは違う考え方をしている」という考え、 その考えそのものが、実はありふれた考えであるという点です。 つまり「私は他のみんなとは違う」「私だけは特別」と考えるのは、 多数の人と同じ考え方なんじゃないでしょうか。
    で、注意を怠るから、失敗が多い。
    あなたは、以下のどちらの傾向が強いですか。 誰かが失敗しているのを見たときに、どう思いますか。
     1.こういう失敗をする人は多い。    でも、私は違う。私だけは特別。
     2.こういう失敗をする人は多い。    ということは、私も同じ失敗をする可能性がある。
    え、結城は「1」と「2」のどちらかって?
    私は、たいてい「2」のように考えますね。 自分も他の人と同じように失敗する可能性がある、と考えますねえ。 他の人と違って「2」のように考えられる私ってすごい! 私だけは特別!……あれれ、おかしいな?
    あなたは、どちらですか。
     * * *
    ナブラ演算子ゲームの話。
    先日「ナブラ演算子ゲーム」というものがあると聞きました。 ナブラ演算子というのは数学で使う演算子で「∇」 という記号で表現されます(いま「なぶら」で変換できました)。
    ナブラ(一階微分)、ラプラシアン(二階微分)、 インテグラル(積分)、ログ(対数)、逆関数、極限などを使って、 相手の基底を0にしていくというカードゲームです。 演算子で関数を変換するというところは数学ですけれど、 ルールと仕組みがわかれば(たぶん)楽しめるゲームなのでしょう。
     ◆ナブラ演算子ゲーム  http://nablagame.com
     ◆ナブラ演算子ゲーム公式Twitterアカウント  https://twitter.com/nablagame
     * * *
    数学といえば……
    結城は『数学ガール』のような数学読み物を書いています。 そのため、ときどき読者さんから、 「結城さんは数学者なんですね」と誤解されることがあります。
    でも、はっきりと、
     「結城浩は数学者ではありません」
    と明言するようにしています。
    結城浩は数学者ではありませんし、数学の研究者でもありません。 なぜなら、非自明な数学の定理を証明したこともないし、 数学を進展させる論文を書こうとしているわけでもないからです。 結城が書いているのは数学を楽しむための読み物であり、 数学の論文ではありません。
    結城浩は数学者ではありません。 でも、私は数学愛好者です。 また、数学者・数学研究者・数学徒・数学愛好者を、 何らかの形で応援したいと心から思っています。
    以上、自己紹介の一種として。
    同じ主旨のことを、日本数学会出版賞を受賞したときに、 受賞のことばとして以下のように書きました。
     ◆2014年度日本数学会出版賞受賞者のことば  http://mathsoc.jp/publication/tushin/1902/2014pubprize.pdf
    こちらもまた、結城の考えを表すものですので、 もしご興味がある方はお読みください。
     * * *
    ことりつぎの話。
    Wired.jpで「ことりつぎ」というサービスを知りました。
     ◆どこでも、だれでも「書店をつくれる世界」にするしかない  本を読むプロがはじめるイノヴェイション「ことりつぎ」  http://wired.jp/2015/10/15/kotori-tsugi-ynst/
    誰でも本屋をつくることができるようにする、そのための小さな「取次」なので、 「ことりつぎ」なのだそうです。 詳しくは公式サイトをみていただくとして、 結城がおもしろいなと思ったのは、 お店の一部分を「書店スペース」にするアイディアです。
    雑貨屋さんや自転車屋さんのお店のスペースの一部を「書店」にしちゃう。 そうして、そのお店にくるお客さんがほしがるような本をそこに並べる。 「ことりつぎ」がそういうことを可能にするそうです。 これは確かにいい仕組みであると思いました。
    というのは「そのお店に来る」という時点で、 お客さんが持っている興味や関心は、かなり想像が付くわけですよね。 雑貨屋さんに来る人、自転車屋さんに来る人それぞれに。
    しかも、何かを買いたいと思ってやってきている。 その人の興味関心ににぴったりの本を並べておくというのは、 うまいアイディアだと思うのです。
    本を買うためには本屋さんに行く、 というのは本という商品を中心にした発想といえます。 でも、この「ことりつぎ」が考えている書店スペースの発想は、 お客さんが欲しいと思うようなものを売る(そして、 それがたまたま本である)という形になっているのです。
    さらには、「本」というものが持つ雰囲気やメッセージ性もいいですよね。 「自分の店ではこういう本に象徴されるものをお客さんに提供している」 という主張をさりげなく演出することができるからです。
    この「ことりつぎ」というサービスが現実的にどのように機能するのか、 採算が取れるように回るのかは私にはわかりませんが、 その発想はとてもいいものであると感じました。
    「自分が本屋さんをするとしたら、どんな本を並べて、 どんなスペースを作るだろう」
    そう考えるだけでも、何だか楽しくありませんか。
     ◆ことりつぎ  http://kotoritsugi.jp
    なお、Twitterで #ktr2g というハッシュタグで検索すると、 「こんな本屋を作ってみたい」というツイートが見つかるらしいです。
     * * *
    「お大事に」の話。
    TwitterやFacebookで、体調が悪いようなツイートを見かけたら、 何はともあれ「お大事に」と返信するように心がけています。
    返信前に、
     「声を掛けたら、煩わしく思われるかも」  「そっとしておいてほしいかも」  「機械的にリプしていると思われたくない」
    などという思いがチラッと頭をかすめるのですけれど、 多くの場合、まずは「お大事に」と言ってしまいます。 それは、自分がつらいとき、 返信してもらうのがうれしかったからです。
    もちろん、 ケース・バイ・ケースで状況は変わるものですし、 人に強制することではありませんけれどね。
    せっかくSNSをやっているのですから、 自分が「よいかも」と思うことは、 一歩、踏み出してみたい。
     * * *
    ハロウィンの話。
    先日10月31日はハロウィンとのことで、 渋谷のスクランブル交差点の混雑ぶりが報道されていました。 マリオとルイージが歩いてたり、白雪姫とゾンビが手を繋いでたり。
    ところで、たまたまではありますが、 少し用事があって結城は妻と二人でまさにその日、 東京は渋谷のスクランブル交差点を通っておりました。
    (スレッドお化け坊やのスタイルで歩いたわけではありません)
    まだ早い時間帯だったので人混みはそれほどではなかったのですが、 それでもやはり人にぶつからずには歩けないほどの混み具合ではありました。
    何しろ人が多いので、普通の仮装(?)ではあまり目立たず、 よっぽど趣向を凝らさないと注目は浴びないようです。 結城が見た中でいちばん「なるほど」と思ったのは、 映画上映前に放映される「映画泥棒」に出てくる、 カメラ男とパトランプ男の二人連れでしたね。
    ネットには批判記事などもあるようですが、 結城は単純に「おもしろかった」という、 小学生並の感想を抱いて帰宅しました。 妻は、歩行者の半分以上が仮装している状況を想像していたらしく、 「仮装している人、少ないのね」と期待外れだったようですけれど。
     * * *
    それでは今週の結城メルマガを始めます。
    今回は「結城浩ミニ文庫」のコーナーで、
     「賞について」
    という文章をお送りします。 この文章は、村上春樹の自伝的エッセー 『職業としての小説家』を読みつつ書いたものです。
    それから「仕事の心がけ」のコーナーでは、 「自分がユーザになるツール」として、 先日Tweeterというツールを作ったときの体験をお話しします。
    どうぞごゆっくりお楽しみください!
    目次
    はじめに
    『賞について』 - 結城浩ミニ文庫
    自分がユーザになるツール - 仕事の心がけ
    おわりに
     
  • Vol.186 結城浩/村上春樹『職業としての小説家』を読みながら/焦りを抑える工夫/わかりやすい文章/

    2015-10-20 07:00  
    220pt
    Vol.186 結城浩/村上春樹『職業としての小説家』を読みながら/焦りを抑える工夫/わかりやすい文章/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年10月20日 Vol.186
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    新刊の話。
    ちょうどいま、カバー画像が到着しました!
     ◆『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』カバー画像より
    秋の雰囲気でいいですよねえ!
    さて、来月2015年11月に刊行される『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』 ……と毎回この結城メルマガに書いています。
    ここまで書けました……レビューアさんのメール読んでます…… 脱稿しました……初校ゲラを読んでます……そんなことをずっと書いています。 そして、現在は再校ゲラを待っている状態です。再校ゲラは、 この結城メルマガが届く火曜日には、出版社から結城へ送られていることでしょう。
    今週は再校ゲラを読む週です。 一冊の本ができあがるまでには、たくさんの行程があり、 そこを通過していくうちに、少しずつではありますが、 本は確かに良くなっていきます。
    最初はあちこちにアラが目立つ。 でもそれを一個一個直していくうちに、 いつのまにか「けっこういい」状態に仕上がってきて笑みがこぼれる。 そのプロセスはいいものです。
    今週は再校ゲラを読み、来週には(なんと、もう10月も終わりです!) 再校の読み合わせがあります。そこでいったん私の手から離れます。 あとは11月に入ってサイン本を作り、出版です!! 待ち遠しい!
     ◆『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』  https://bit.ly/girlvector
     * * *
    そうだ、サイン本!
    刊行直前に販売される《サイン本》とは別に、 結城は個人的に《サイン本無料プレゼント》の企画を行っています。 今回のベクトル本もいつも通り《サイン本無料プレゼント》を行います。
    〆切は2015年11月3日ですが、早めにお申し込みくださいね。 詳しくは以下に書きましたのでお読みください。
     ◆『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』《サイン本無料プレゼント》  https://bit.ly/vector2015
     * * *
    リサージュ図形の話。
    『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』にはリサージュ図形の章が出てきます。 いろんなリサージュ図形を描くプログラムを @norioc さんが作ってくださいました。 感謝です。楽しい!
     ◆実行例画像(アニメーションGIF)
     ◆p5.js リサージュ図形(解説)  http://qiita.com/norioc/items/442a1cf4c170a081e5fa
     ◆実際に試すサイト  http://noriok.sakura.ne.jp/p5js/lissajous-curve.html
     * * *
    パソコン教室の話。
    阿部和広先生(@abee2)が、 パソコン教室の「現実」について書いていらしたのでご紹介。 「不幸なパソコン教室が生まれていること」についての現実と考察です。
     ◆幸せなパソコン教室のために(PDF)(情報処理2014年6月号)  https://www.ipsj.or.jp/magazine/9faeag0000005al5-att/5506.pdf
     * * *
    積分の話。
    Web連載「数学ガールの秘密ノート」は10月になってから「積分」がテーマとなりました。 秘密ノートシリーズは「やさしい数学」を扱うので、 積分といってもやさしい内容にするつもり……で、始めたのですが、 実際に書いてみると、なかなか思うとおりにはいかないようです。
    「どうしても難しくなってしまう」という意味ではありません。 「やさしい内容を語っていたつもりが、 深い内容まで自然と入り込んでしまう」という意味です。
    たとえば、先週金曜日に公開された第133回のこと。
     ◆第133回 はさみはさむ(前編)  https://bit.ly/girlnote133
    積分を学ぶ話として面積を求める話をし、 面積を求めるために区分求積法という方法の話をする。 それはまあよくあることなんですが、 区分求積法で極限の概念を説明していると、 数学ガールの一人、中学生のユーリが「グラフにスキマがある」と言い出しました。 スキマがあるから面積は正しく求められてないと。
     ◆グラフと長方形のあいだにスキマ(スクリーンショット)
    もちろんそこが極限のキモになるのですけれど、 《お兄ちゃん》の「僕」がユーリにていねいに説明していると、 いつのまにか、大学で登場するεδ論法の一部が自然に登場してきました。 さらには「面積というのはいったい何だろう」 という深い議論にもちょっぴり入りかけたりして。
    結城は二人の会話を書き留めながら、 「なるほど!」と感動することしきりです。 数学っておもしろい。学ぶっておもしろい。 そんなふうに思う瞬間です。
    第133回の記事がWebで公開されて、 何人かの方は、結城が感動したのと同じことに気付き、 たいへん楽しまれたようでした。
    中学生・高校生の数学だからといって、あなどることなく、 きちんと考えたり説明したりすることはとても大事なんだな…… とそんなふうに思えた体験でした。
     ◆Web連載「数学ガールの秘密ノート」  https://cakes.mu/series/339
     * * *
    ゆきのさん( @sequen_11235813 )が、 プラ板で数学ガールのロゴ(恋の冪級数)を作ってくださいました。 ありがとうございます!
     ◆ゆきのさんのツイート  https://twitter.com//status/652440805030780928
     ◆ゆきのさんのツイート(スクリーンショット)
    私も何となく手書きしてみました(iPhoneのZenBrushというアプリ)。
     ◆結城のツイート(スクリーンショット)
    そうしたら、ゼルプスト殿下(@tenapyon)が、「計算しました!」とツイート。
     ◆ゼルプスト殿下のツイート  https://twitter.com/tenapyon/status/652475101628076032
     ◆ゼルプスト殿下のツイート(スクリーンショット)
    こういうやりとりは楽しいですね。
     * * *
    先月末の話。
    月末から月初めにかけては有料メルマガ発行者にとってはどきどきの時期です。 なぜなら課金は月単位なので、何人が新たに購読解除するだろうかと思うからです。
    でも、よく考えてみると、そんなにどきどきする必要はないともいえます。 というのは、購読解除する読者さんというのは、 配信されているメルマガを継続して読みたくはない気持ちを持っているわけですから。 それを無理に継続してもらっても、不満が募るばかりでしょう。
    そこで試しに、9月末に何回かこんなツイートをしてみました。
     --------  結城メルマガを購読している方で、  購読ストップしたい方は今日のうちに解除忘れずに!  逆に、今月分を読みたい方も今日のうちに購読登録を!  --------
    つまり明示的に「月末ですよ」というリマインドをしたのです。 その結果、どうなったか。
    いつもとほとんど変わりはありませんでした。 むしろいつもより少し購読者数が増えたくらいです。
    もう少し詳細に見てみると、単純に購読者数が増えたわけではなく、 購読解除した人と、新規購読した人の両方が増えたようです。 そのプラスマイナスした結果として、 購読者数が微増したということのようです。
    これをどのように理解すればいいのかは、 まだよくわかりませんけれど。
     * * *
    TeXの話。
    今月(2015年10月)の始めに、 使っているMacBookのOSをEl Capitanにアップグレードしました。 たくさんの方に教えていただき、 何とかEl CapitanにTeX Live 2015をインストールできました。 その経緯と要約は以下に書きました。
     ◆OS X El Capitan に Homebrew を使って TeX Live 2015 をインストールする手順  http://snap.textfile.org/20151006085255/
    結城は何かやったわけではなく、 TeX関係の方々が解決してくださった結果を享受しているだけです。 どんなことがなされたのかは、id:doraTeXさんの以下の記事をごらんください。
     ◆TeX界の El Capitan 迎撃戦記  http://doratex.hatenablog.jp/entry/20151008/1444310306
    id:acetaminophenさんのこちらの記事も合わせてごらんください。
     ◆「TeX 界の El Capitan 迎撃戦記」のコメントに対する回答と本質  http://d.hatena.ne.jp/acetaminophen/20151010/1444491444
     * * *
    自宅で働くという話。
    台風が来るたびに「風雨にも関わらずがんばって出社」という話がTwitterに流れる。 結城も若い時代に満員電車で会社勤めしていたことを思い出し、 事故など起きませんようにと思う。
    海外でプログラムの仕事をしたときがちょっとあって、 そのときに知人が "WFH" という表現を使っていた。 WFHというのは "Work From Home" の略で、 要するに「今日は出社せずに家で仕事するよ」という意味である。
    日本のIT企業でこの "Work From Home" は、 どのくらい自由に使えるのだろうか、とよく思う。 毎日自宅で仕事できるとまではいかなくていい。 毎日とはいわなくても、
     今日は打ち合わせもないし、来客予定もない。  つまり、物理的にオフィスに行く必要はない。  通勤時間分をがっつり作業にあてた方が絶対はかどる。
    という場合はあると思うのだ。 その場合でも出社しなければならないか、という問題である。
    台風などの悪天候のときに出社するのは体力を消耗する上に、 時間も無駄になることがある。電車が乱れていると駅で待たされて無為な時間を使ったり、 振替輸送で別の路線に乗り換えるためにまた時間を使ったり。
    ふだんから人に会うことが仕事になっていると難しいけれど、 開発系ならば比較的WFHはやりやすいんじゃないかな。 そういう働き方で、生産性が上がるのはいいことだと思う。 職種や、会社の状況や、各人の性格などでいちがいには言えないけれど、 WFHの方が生産性が高くなることが多いんじゃないだろうか。
     * * *
    ビデオの話。
    結城は映画館でたまに映画を観るけれど、 DVDをレンタルして家で観ることはほとんどない。 家で観ていると割り込みがいろいろ入って集中できないからだろうと思う。
    先日からAmazonのプライムビデオというサービスが始まった。 Amazonのプライム会員になっている人向けのおまけ(?)サービスで、 ビデオが見放題になるサービスである(すべてのビデオではない)。
    ふーんと思って眺めていたら『舟を編む』があったので試しに観ることに。 辞書を編纂するお話で、松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョーらが出ている。 この映画は2013年に夫婦で映画館に観にいった。なつかしい。
    AmazonのプライムビデオはiPhoneでも観られるので、 電車の中やベッドの中など、細切れの時間で観ている。 でも、あまり興ざめではない。雰囲気のいい映画なので、 一シーンをちょっと観るだけでも心に新しい風が吹くみたい。
    なるほどなあ、こういう映画の見方もあるのか、と思った。
     ◆『舟を編む』  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00GCHGF72/hyam-22/
     * * *
    それでは今週の結城メルマガを始めます。 今回は「結城浩ミニ文庫」のコーナーで、
     「資格について」
    という文章をお送りします。 この文章は、村上春樹の自伝的エッセー『職業としての小説家』を読みつつ書いたものです。
    では、どうぞごゆっくりお楽しみください!
    目次
    はじめに
    『資格について』 - 結城浩ミニ文庫
    焦りを抑える工夫 - 仕事の心がけ
    わかりやすい文章を書くには? - Q&A
    たった一つの心を抱えて
    おわりに
     
  • Vol.182 結城浩/村上春樹『職業としての小説家』を読みながら/広告ブロッカーとWebでのコンテンツ販売/

    2015-09-22 07:00  
    220pt
    Vol.182 結城浩/村上春樹『職業としての小説家』を読みながら/広告ブロッカーとWebでのコンテンツ販売/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年9月22日 Vol.182
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    ようやく穏やかな秋になってきたようです。
    とはいえ、先日の悪天候がらみで、 たいへんな思いをしていらっしゃる方には、 心よりお見舞い申し上げます。
     * * *
    電子書籍の話。
    いよいよ、 『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』の《電子書籍版》が、 配信開始になりました! ありがたいことに、 たくさんの方からご購入いただいているようです。
    なお、『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』の電子書籍版は、 図版が多い関係でリフロー型ではなく、固定レイアウト型になります。 ご了承ください。ご購入の前には、 必ず無料のサンプル版で使用感をお確かめくださいますようお願いします。
    電子書籍も応援してくださいね!
     ◆『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』  http://cr.textfile.org/
     * * *
    ベクトル本の話。
    先週、編集部とデザイナーさんとで、 『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』のカバー打ち合わせをしました。 現在はまだアマゾンでの書影はラフスケッチ状態になっていますが、 今回もすてきなカバーデザインになりますので、どうぞお楽しみに!
     ◆『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』  https://bit.ly/girlvector
    恒例のサイン本プレゼント企画も進めていきたいと思いますが、 恐らくは10月に入ってからになると思います。
    ご期待くださいね!
     * * *
    モバイルフレンドリーの話。
    Googleは、Webサイトが「モバイルフレンドリー」かどうかに関心があるようです。 つまり、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器でも 使いやすいWebサイトを優遇するということです。
    以下の「モバイル フレンドリー テスト」を使うと、 URLで指定したWebサイトが「モバイルフレンドリー」かどうかを調べることができます。
     ◆モバイル フレンドリー テスト  https://www.google.com/webmasters/tools/mobile-friendly/
    たとえば先日結城が作った log.textfile.org というサイトを調べてみると、 以下のようになります。
     ◆モバイル フレンドリー テスト(log.textfile.org)  https://bit.ly/1V5dZDO
     ◆モバイル フレンドリー テストの結果(スクリーンショット)
    あなたも、自分のWebサイトを持っているなら、 テストしてみてはいかがでしょう。
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    それでは今週の結城メルマガを始めます。 今回は「結城浩ミニ文庫」のコーナーで、
     「継続について」
    という文章をお送りします。 この文章は、村上春樹の自伝的エッセー『職業としての小説家』を読みつつ書いたものです。
    その他に「仕事の心がけ」として、
     「広告ブロッカーとWebでのコンテンツ販売」
    という話をしたいと思います。 これは先日iOS 9で導入された「コンテンツブロッカー」 という機能から始まって、文章を書くことや、 Webでコンテンツを販売することについて考えた文章です。
    どうぞごゆっくりお楽しみください!
    目次
    はじめに
    『継続について』 - 結城浩ミニ文庫
    広告ブロッカーとWebでのコンテンツ販売 - 仕事の心がけ
    ○○したら死ぬ病
    おわりに