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  • Vol.170 結城浩/数学ガールの特別授業(ICUHS編)(2)/学ぶときの心がけ/仕事の心がけ/

    2015-06-30 07:00  
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    Vol.170 結城浩/数学ガールの特別授業(ICUHS編)(2)/学ぶときの心がけ/仕事の心がけ/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年6月30日 Vol.170
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    新刊の話。
    先日刊行をアナウンスした結城の最新刊、
     『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』
    の話題です。先週末から早くもアマゾンで予約が始まりました。

     ◆『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797382228/hyuki-22/
    ありがたいことに、予約開始早々に、 暗号理論カテゴリでランキング第一位となりました! みなさんの応援に感激です。
    原稿の大半は編集部に渡っており、 これから校正作業に入るという状況です。 最後まで気を抜かずがんばりますので、どうぞご期待ください!
     * * *
    まちがいの話。
    先日、国語の教科書に「まちがい」があったため、 出版社が自主的に一万冊を回収するというニュースがありました。
     http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150623/k10010124651000.html
    小学校一年生の国語の教科書のイラストで、 下書きを消し忘れて、手が三本あるように見えるのだそうです。
    教科書がまちがっているのは確かによくないことだし、 出版社としても恥ずかしいことなので回収する気持ちはわかります。 出版社が自主回収することが悪いわけではありません。
    でも、その一方でふと思うこともあります。 「人はまちがうものだし、国もまちがうものだ」 ということを伝えるいいチャンスだったのではないかということです。
    国語で言葉のまちがいがあったわけではないし、 美術でイラストのまちがいがあったわけではない。 「まちがいましたけど、資源を大切にしたいので、回収しません。 すみませんでした」という解決法ではだめなのかな、と思いました。
    まあ、もちろん、まちがいがあるのに「まちがいじゃない」 と抗弁するよりはずっといいと思うのですけれど。
     * * *
    Twitterの話。
    結城はまだ試していないのですが、 Privatter(プライベッター)というサービスに興味があります。
     ◆Privatter  http://privatter.net/
    これは、Twitterのフォロー関係を利用して、 「Twitterのフォロワーさんにだけ見られるテキスト・画像」 を公開できるようにするサービスのようです。
    「全体公開・ログイン限定公開・フォロワー限定公開・ 相互フォロワー限定公開・リスト限定公開・パスワード限定公開・非公開」 という七段階の公開範囲が設定可能らしいですね。
    テキストや画像を限られた人だけに見せたいという気持ちは確かにあるので、 Twitterのフォロー関係や、ログインの有無などを使うというのは名案です。 そのうち試してみたいものです。
    ただ、結城は基本的に「限定公開」に依存した公開方法はとらないようにしています。 その理由の一つは「管理が複雑になるから」です。 「これは誰に見せるか」というのを考え始めると、 複雑なことを覚えておかなくちゃいけなくなります。 頭はできるだけクリアにしておきたいので、 限定公開を使うことは少ないのです。
    別の理由として「誰かのミスやバグで公開されると困るから」もあります。 限定公開するということは、 そのサービスに依存して何かを守っているわけですよね。 でもどんなサービスも万全ではない。だから、 万一そのサービスが破綻したとしてもひどいことにならないようにしたい。 そういう気持ちが働くのです。
    なので、結城としては「公開なら公開」「非公開なら非公開」 という管理方法がいちばんいいバランスかなと思っています。
     * * *
    素朴な疑問。
    アマゾンの電子書籍(Kindle本)って、 Kindleの機械を買わなくてもスマートフォンやタブレットで読めますよね。 つまり、スマートフォンやタブレットに「Kindleアプリ」があるので、 それをインストールすればふつうに読めます。
    この事実は、知っている人にとっては「あたりまえ」のことですけれど、 意外と知られていないようです。 つまり、Kindleの機械を買わないと読めないと思っている人は意外に多い。
    アマゾンが積極的にこのことを宣伝しないのは、 Kindleの機械を売りたいからなんでしょうかね。
     * * *
    イノベーションの話。
    会社でも社会でも、本当に有効なイノベーションを起こす人って、 多数から嫌われたり疎まれたり非難されるんじゃないだろうか。 そんなことをふと思った。
    イノベーションというのは見方を変えると、 「既存の何か」を壊すわけだから、その「既存の何か」 を頼りにして生きている人は必死で抵抗するはずだ。
    会社や社会をちょこっと改善するならみんなニコニコしてくれるかもしれないが、 本気で会社や社会を変えようとする人は多数の抵抗にあう、と想像できる。 みんなから嫌われているから正義の人だとはいえないが、 みんなから嫌われているから悪い人だとも言えない。
    大きな改革を行なう人と、 単に破壊だけして終わる人を見分けるのはかなり難しいはずだ。 改革が失敗したらきっと「ほら、やっぱりね」と言われるだろうが、 そう言っている人の反対がなかったら成功していたかもしれない。
    紙、印刷機、電話、自動車、インターネット。 何を想像してもいいけど、きっとそれらが世に出始めるとき、 大きな抵抗があったはずだ。
    新しいものが常に善とは限らない。 言いたいのは、あとから考えるとあたりまえのものでも、 変化の最中には抵抗があるだろうということ。
    イノベーションは良いものとみなされることが多いが、 総論賛成各論反対にあうことも多いはずだ。 多くの人は、そんなに変化を求めていない。
    会社や組織で「イノベーションを求める」を掲げるところは少なくないが、 ほんとうにイノベーションを求めているのだろうか、と思うことがある。
     * * *
    さて、それでは今週の結城メルマガを始めましょう。
    今回は、
     「数学ガールの特別授業(ICUHS編)」
    の第二回目をお送りします。 先日結城が国際基督教大学高等学校(ICUHS)で行った講演を、 読み物形式にしたものです。 「問題と解答」という概念を軸にして、 数学に限らない「考えること」や「学ぶこと」の意味を問いかけます。
    では、どうぞごゆっくりお読みください!
    目次
    はじめに
    数学ガールの特別授業(ICUHS編)(2)
    《問いかけ》について - 学ぶときの心がけ
    《問いかけ》を言葉にする意味 - 仕事の心がけ
    おわりに
     
  • Vol.169 結城浩/フロー・ライティング - 「作業としての執筆」と「夢中になれる執筆」と/数学文章作法のスケッチ/

    2015-06-23 07:00  
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    Vol.169 結城浩/フロー・ライティング - 「作業としての執筆」と「夢中になれる執筆」と/数学文章作法のスケッチ/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年6月23日 Vol.169
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    新刊の話。
    もう少しで、
     『第3版 暗号技術入門 秘密の国のアリス』(2015年)
    が刊行されます。これは結城が以前刊行した、
     『新版 暗号技術入門 秘密の国のアリス』(2008年)
    の大幅な改訂版となります。第3版が出ることで、 「新版」の方が古くなってしまいましたが、 今度刊行される「第3版」の方が新しいものです。 ややこしくてごめんなさい。
    これで『暗号技術入門』の大きな改訂は二回目になります。
     2003年『暗号技術入門』  2008年『新版 暗号技術入門』  2015年『第3版 暗号技術入門』
    本書は、たいへんありがたいことに、 暗号技術の入門書として多くの方に親しまれてきました。
    暗号というとスパイやアングラなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、 現代のネットを支えているのはまさに本書に登場するような暗号技術です。 URLが http: ではなく https: で始まるとき、 本書にも登場する暗号技術の一つ SSL/TLS が使われます。 ネットで買い物をするとき、この恩恵を受けない人はいません。
    暗号技術は非常に重要なのですが、複数の技術が絡み合っているため、 Webで個々のニュースや細かい解説を読んでも全体像はなかなか見えません。 本書を読むと大ざっぱ過ぎず、細かすぎず、 暗号技術の全体像がつかめるはずです。
    本書は、セキュリティの資格を取る人の一冊目として読まれるだけではなく、 技術的な読み物として一般の人にも広く読まれてきました。 今回の第3版では、これまでの基本構成はそのままに、 情報をアップデートし、新しいトピックも追加しました。
    刊行は2015年の8月/9月ころになる予定です。 あと二ヶ月くらいありますが、どうぞご期待くださいね。
    詳細は、
     『第3版 暗号技術入門 秘密の国のアリス』  http://www.hyuki.com/cr/
    のWebページを参照してください。
    また、今回の「フロー・ライティング」では、 今回の改訂作業にまつわるエピソードをお話しします。
     * * *
    コーヒーの話。
    先日、非常にめずらしく一晩中眠れないというときがありました。
    次の日も一日中ふつうに活動できたので、 もしかしたら知らないうちにうとうとしていたのかもしれませんが、 少なくとも主観的には一晩中起きていたのです。
    原因はたぶんコーヒーの飲み過ぎ。 前の日、朝昼晩夕夜とコーヒーを飲み過ぎました。
    結城はふだん、寝付きが非常に良い方です。 横になるとすぐに眠れます。眠れないときでも、 頭の中で適当な計算をしたり、 プログラムや数式のことを考えるといつのまにか眠っています。
    しかし、眠れなかったその夜はつらかった。 眠れないというのはほんとうに苦しいものですね。 なんというんでしょうか、中途半端なところに吊されている感じ。 ちゅうぶらりんです。
    しっかり目覚めていれば、 起きて仕事をしたり本を読んだりして、 それなりに時間を過ごせる。 逆に眠気がやってくれば、それこそ素直に眠ればいい。 でも「眠れない」という状況はそのちょうど中間です。 起きることも眠ることもできなくて、 何もできないまま時間が(ゆっくり)過ぎるのを待つ。 これは苦痛でした。
    なので、次の日からコーヒーの摂取量には十分注意して、 飲み過ぎないようにしています。 コーヒーを飲むと頭がしゃんとして仕事もはかどるので、 つい調子にのって飲み過ぎたんですね。
    注意注意。
     * * *
    英語の話。
    三重大学の奥村先生が、2012年にノーベル経済学賞を受賞した Lloyd S. Shapleyの論文(1962年)をお薦めしていました。 タイトルは College Admission and the Stability of Marriage (大学選抜と結婚の安定性)というもの。 数式もなく、予備知識も要らず、 短くて高校生でも読めるけれど応用範囲が広いとのこと。
     ◆College Admission and the Stability of Marriage  http://www.eecs.harvard.edu/cs286r/courses/fall09/papers/galeshapley.pdf
    大学選抜はさておき「結婚の安定性」というのは、 初めて聞いた人には聞き捨てならない用語に思えるかもしれませんね。
    これは、たとえば男性A,B,Cと女性a,b,cがいて、 男性と女性で結婚するようなシチュエーションを想定しています。 男性と女性にはそれぞれパートナーに対する好みがあるので、 「あの人よりはこちらの人がいい」という状況になります。 でも、いくら自分が好きでも、相手は別の人の方が好きかもしれませんよね。
    いざ結婚したときに、
     ・男性Aが「妻のaより、bの方が好き」  ・女性bが「夫のBより、Aの方が好き」
    という状態というのは「不安定な結婚」といえるでしょう。
    上の論文では、「不安定な結婚」の部分の説明はこうなっています。
     ... there are a man and a woman who are not  married to each other but prefer each other  to their actual mates.
    確かに「男性Aは結婚相手aより好きな女性bがいて、 しかもその女性bも結婚相手BよりAの方が好き」 ということになったら、結婚は不安定になりそうです(苦笑)。 さてこのような「不安定な結婚」を防ぐ方法はあるのでしょうか。 これは現在では有名なアルゴリズムとなっています。
    こういう問題は結婚や大学選抜に限らず、 マッチングを行う場面でたくさん応用がありそうですね。
     * * *
    さて、それでは今週の結城メルマガを始めます。
    今回は、フロー・ライティングのコーナーで、
     「作業としての執筆」と「夢中になれる執筆」と
    という読み物をお送りします。 先ほども書いた「書籍の改訂作業」に関連したお話です。 文章を書く人には思い当たる部分も多いかもしれない話題です。
    では、どうぞごゆっくりお読みください!
    目次
    はじめに
    フロー・ライティング - 「作業としての執筆」と「夢中になれる執筆」と
    ゲームと文章 - 文章を書く心がけ
    数学文章作法のスケッチ(11) - 文章を書くときに二番目に大切なこと
    おわりに
     
  • Vol.168 結城浩/数学ガールの特別授業(ICUHS編)(1)/どんなふうに生きていこうか/いつもと違う選択をする週/

    2015-06-16 07:00  
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    Vol.168 結城浩/数学ガールの特別授業(ICUHS編)(1)/どんなふうに生きていこうか/いつもと違う選択をする週/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年6月16日 Vol.168
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    講演会の話。
    先週の結城メルマガで「国際基督教大学高等学校(ICUHS)」 で講演会をした話をちょっと紹介しました。
    今週から、そのときの講演を文章に起こして、 結城メルマガで連載いたします。題して、
     「数学ガールの特別授業(ICUHS編)」
    です。数回に分けてお届けすることになります。 どうぞお楽しみください。
    なお、過去の「数学ガールの特別授業」は、 以下のページにまとめてあります。
     ◆数学ガールの特別授業  http://www.hyuki.com/girl/lesson.html
     * * *
    未来大の話。
    講演会といえば、 結城は三年前に「公立はこだて未来大学」で講演会をしました。
    ちょうど先日、以下のビデオを教えていただいたのでご紹介。 公立はこだて未来大学のバーチャルツアーです。 ご存じない方はぜひご覧ください。 まるでSF映画みたいなキャンパスですね。
     ◆公立はこだて未来大学バーチャルツアー  https://www.youtube.com/watch?v=FIVITZaZen8
    ここでの講演会は、
     ◆『数学ガールの誕生』  http://www.hyuki.com/girl/birth.html
    という書籍になりました。
     * * *
    組み合わせの話。
    結城は見ていないのですが、テレビで、 「四桁の暗証番号の組み合わせは十万通り以上ある」 なんてことを言っていたそうだ。
    もちろんこれは計算違い。 暗証番号の一桁が0,1,2,3,4,5,6,7,8,9の十通りあるとすると、 四桁なら、
     10×10×10×10 = 10000
    とちょうど一万通りになる。十万通りは多すぎます。 掛け算の理屈がわからない人でも、
     0001, 0002, 0003, 0004, ...
    と順番に暗証番号を作っていけば、 最初の0001から9999までで九千九百九十九通りあって、 もう一つ 0000 があるので全部で一万通り作れることがわかるでしょう。
    と、ここまで考えて、簡単な算数の問題を作ってみました。
     【問題】  ある星の暗証番号は数字四桁で「104976通り」  の組み合わせがあるという。  この星の数字一桁は何通りか。
    つまり、もとのニュースを誤りだというのではなく、 もとのニュースの説明を「正しい」と仮定した場合、 数字一桁は十通り以上あるはず。それは何通りか。 と、そういう問題ですね。
    答えは目次の前に!
     * * *
    Web連載の話。
    先日、結城がCakesで行っているWeb連載「数学ガールの秘密ノート」が、 第120回を迎えました。みなさんの応援を感謝します! 連載が10回を迎えるたびに数週間のお休みをいただいており、 次回の更新は2015年の7月3日になります。
    連載が10回を迎えるたびにお休みをいただいているのは、 頭のリフレッシュのためもありますし、次の10回のテーマ探しの意味もあります。 このWeb連載は10回分で一冊の単行本にしていく予定なので、 だいたい10回ごとにまとまるように構成しているのです。
    先日終了した第111回〜第120回までは「行列が描くもの」というテーマでした。 高校から行列が外されるということもあって、どうかなあと思っていましたが、 想像よりも反響が多かったので、やってよかったと思いました。
    次の10回のテーマはいくつか考えているのですが、 まだ「これ」とは決まっていません。 もしなにかよいアイディアがあったら教えてくださいね。
     * * *
    書籍刊行の話。
    そのWeb連載は毎年二冊のペースで書籍化しています。 これまでに五冊書籍化しており、今後の予定と題材は次の通りです。
     2015年秋「ベクトル」  2016年春「場合の数」  2016年秋「指数と対数」  2017年春「踊る曲線」  2017年秋「不等式」  2018年春「ビットとパターン」  2018年秋「行列が描くもの」
    と書き上げていつも思うのですけれど、 Web連載のペースが書籍刊行のペースよりも早いために、 だんだんストックが多くなってしまっていますね。 それに「来年のことをいえば鬼が笑う」というのに、 「2018年秋」なんて話をしていていいのでしょうか。 ともあれ、一冊一冊ていねいに作っていきますよ〜!
    本編(数学ガール6)もがんばって書いていますが、 「数学ガールの秘密ノート」シリーズもよろしくお願いします!
     * * *
    さて、それでは今週の結城メルマガを始めます。
    今回の結城メルマガは「数学ガールの特別授業」シリーズの第三弾として、
     「数学ガールの特別授業(ICUHS編)」
    の第一回目をお送りします。 先日結城が国際基督教大学高等学校(ICUHS)で行った講演を、 読み物形式にしたものです。 「問題と解答」という概念を軸にして、 数学に限らない「考えること」や「学ぶこと」の意味を問いかけます。
    どうぞ、ゆっくりお楽しみください!
    あ、そうだ。先ほどのクイズの答え。
     【問題】  ある星の暗証番号は数字四桁で「104976通り」  の組み合わせがあるという。  この星の数字一桁は何通りか。
     【解答】  18通り。  18×18×18×18 = 104976通り
    もともと、10通りより多いのはすぐ分かりますし、 あとは順番に11, 12, 13 ,... で試せばいいことです。
    直接計算したければ、4乗して104976になる数を求めるので、 電卓を使って、
     104967 √ √
    と入力すれば求められますし、 Googleの検索窓に、
     sqrt(sqrt(104976))
    と入力しても求められます。
    ある方は、104976は偶数で3の倍数だから、 結局6の倍数だけ試せばいいと考えて、 すばやく18にたどり着いたようです。
    ちょっとした問題でも、いろんな解き方ができるものですね。
    では、結城メルマガをどうぞ!
    目次
    はじめに
    数学ガールの特別授業(ICUHS編)(1)
    他人を馬鹿にする心理
    どんなふうに生きていこうか - 仕事の心がけ
    五つのパンと二ひきの魚
    いつもと違う選択をする週 - 仕事の心がけ
    おわりに
     
  • Vol.167 結城浩/踏切と金庫とブレーカーに見る「再発見の発想法」/高校での講演会/

    2015-06-09 07:00  
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    Vol.167 結城浩/踏切と金庫とブレーカーに見る「再発見の発想法」/高校での講演会/
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年6月9日 Vol.167
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    最近は、気温の変化が激しいですよね。 つい先日「暑い暑い5月」だと思ったら、 ここ数日は急激に冷えたりして。
    私のまわりでも体調を崩しているような方が多いようです。 あなたはいかがですか。
     * * *
    先日行った講演会の話。
    結城浩の日記にも少し書きましたが、 先日(2015年6月3日)東京都小金井市にある「国際基督教大学高等学校」で、 高校生向けに講演をしました。
     ◆結城浩の日記  http://www.hyuki.com/d/201506.html#i20150603120000
    高校生(主に2年生)に向けて「考えること、生きること」 という演題で話しました。
     あなたたちはふだん「問題」を解くことが多いでしょうけれど、  問題というものはどこから来ると思いますか?
    という問いかけに始まって、具体的な問題を体験しつつ、 「問題というもの」を掘り下げてお話ししました。
    もちろんこの題材は、この結城メルマガでよく触れている、
     ・学ぶこと  ・伝えること  ・考えること
    というテーマに深く関わっています。
    結城はそんなに頻繁に講演を行うことはありませんし、 一般の参加者が聴講するようなオープンな場で講演会をすることはありません。
    最近(2013年と2014年)の講演会については、 「数学ガールの特別授業」という形で結城メルマガに書きました。
     ◆数学ガールの特別授業  http://www.hyuki.com/girl/lesson.html
    それ以前(2012年)に行った二回の講演会については、 『数学ガールの誕生』という書籍になっています。
     ◆数学ガールの誕生  http://www.hyuki.com/girl/birth.html
    このたび国際基督教大学高等学校で行った講演会についても、 読み物としてまとめ、 結城メルマガの読者さん向けに連載したいと思います。
    どうぞお楽しみに!
     * * *
    Webアプリの話。
    先日は「連ツイ」というWebアプリを作って楽しんでいましたが、 最近は別の「memo.textfile.org」というWebアプリを作っています。
     ◆結城浩の連ツイ  http://rentwi.textfile.org/
     ◆memo.textfile.org  http://memo.textfile.org/
    といっても、あまり変哲のないただのメモ用アプリです。
     ◆memo.textfile.org(メモ一覧画面)
    Markdownという形式で書くとそれっぽくフォーマットしてくれます。
     ◆memo.textfile.org(Markdownで書く練習)
    MathJaxを使って数式も書けるようにしています。
     ◆memo.textfile.org(数式練習)
    メモ用アプリといっても、書くことができるのは結城一人で、 ログイン画面でパスワードを知らないと、書いたり編集したりはできません。
     ◆memo.textfile.org (ログイン)
    変哲のないメモ用アプリなんですが、 なぜこんなのを作っているかというと、 純粋にプログラミングの練習です。
    ずいぶん以前はPerlでWebアプリを書いていたけれど、 最近はたいていRubyで書くようになりました。 といっても、むかしながらのCGIとして、ですね。
    Railsもここしばらくいじっていたのですが、 何だか自分がやりたいことの割には覚えることや調べることが多すぎです。 先日、長男から「RailsよりSinatraがいいんじゃない」と言われ、 Sinatraで遊び始めた次第。
     ◆Sinatra  http://www.sinatrarb.com
    ついでにというわけではありませんが、 最近さっぱり使っていなかったHerokuを使うことにしました。
     ◆Heroku  http://heroku.com
    シンプルだけど、いまふうのWebにするために、 テンプレートエンジンにはerbを使い、 Bootstrapを使っています。Readableというテーマを当てています。
    ということで、Heroku + Sinatra + erb + Bootstrap + Readableという構成。
    シンプルなメモ用アプリですけれど、 こういう構成で一つ手元に作っておくと、 いざ何か作りたいときに便利かなと思っています。
     * * *
    校正の話。
    ある校正の本を読んでいたら、二重表現の例として、
     「もっとも最近の話」  「かならず必要になる」  「あらかじめ予約する」
    などが出てきました。この三つとも良くない表現ですね。
    たとえば、「最近」というのは「最も近い」ということですから、 「もっとも最近」というのは重複した表現ですね。 「必要」は「必ず要る」という意味だし、 「予約の予」は「あらかじめ」という意味です。
    ここまでは異論はありません。
    異論はないのですが……結城は自分で、
     「うわ、『あらかじめ予約する』なんてうっかり書きそう!」
    と思ってしまいました。
    あなたはいかがですか。
     * * *
    さて、それでは今週の結城メルマガを始めます。
    今回の結城メルマガは、「再発見の発想法」のコーナーで、 「フェール・セーフ(Fail-Safe)」という読み物をお送りします。 踏切と金庫とブレーカーに共通する発想法とは何でしょうね。
    どうぞ、ゆっくりお楽しみください!
    目次
    はじめに
    再発見の発想法 - フェール・セーフ(Fail-Safe)
    会計処理のプログラムを書きながら - 仕事の心がけ
    講演を終えて
    講演を引き受けるときに考えていること
    過激な言葉
    革命が起きて、王族はみな殺された
    おわりに
     
  • Vol.166 結城浩/『不安について』 - 結城浩ミニ文庫/仕事の心がけ/未来につながる仕事/

    2015-06-02 07:00  
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    Vol.166 結城浩/『不安について』 - 結城浩ミニ文庫/仕事の心がけ/未来につながる仕事/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年6月2日 Vol.166
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    歴史的に暑かったという2015年の5月が過ぎ、 早いもので今年ももう6月なのですね。 日付は進むけれど、仕事はなかなか進みません(涙)。
    先週末には個人的にいろいろとありまして、 今週の頭はちょいとお疲れ気味です。
    しかし! そんなことも言っていられませんので、 気持ちをさくっと切り換えて、 今日もていねいに進みましょう。
    そうそう、今週は高校生向けの講演会があるのです! 若い人に向けておしゃべりできるのは、とても楽しみ。 私自身がそのプロセスの中で学ぶことが多いからでしょうか。 しっかり準備し、備えていきたいと思います。
    なお、この講演会はその学校内のクローズドなイベント…… というか特別授業のようなものですから、一般参加はできません。 講演内容については、うまく読み物という形にまとまりましたら、 この結城メルマガで配信したいと思います。
     * * *
    画像の話。
    Unsplash.comというサイトが気に入っています。
     ◆Unsplash  https://unsplash.com
    このサイトは、
     ・高画質の美しい写真を、  ・無条件で利用できるようなライセンスで公開し、  ・定期的に更新する
    という特徴を持っています。
    通常の画像サイトですと、画像を使うときにクレジットを提示したり、 サイトへのリンクが必要になったりするのですが、 この Unsplash.com は違います。
     ◆Unsplash License  https://unsplash.com/license
    "do whatever you want"というとおり、 何でも自由に好きにして良いというライセンスです。 クリエイティブコモンズのCC0というものですね。
    定期的に更新(10日間に10枚ずつ)していますので、私も定期的にチェック。 お気に入り画像として保存し、 ちょっとした雰囲気を出したいときに使っています。
     * * *
    わからなくなったときの話。
    学んでいて、わからなくなったときに、
     あああっ!  だからオレはダメなんだあああっ!  こんなこともわからなくてえええっ!  オレは!ダメッ!ダメなんだああああっ!
    と思うのはやめたほうがいい。
    わからなくなったときは、 特に、わからなくなって泣きそうなときは、 ぐっと、涙をこらえて、
     どこまでは、わかるか。  どこから、わからなくなったか。
    を見極めるのがいい。
    それはときに厳しい現実を見ることになるけれど、 幻想の中に生きるよりはいい。
    ……と、夜中に勉強しているときによく自分に言い聞かせます。 難しくてわからないときって、何というか、 ちゃぶ台をひっくり返したくなることがあるんですよね。 そして攻撃を自分に向けてしまう。
    でも、冷静になってみると、そうやっても話は進まない。 だから、ぐっとこらえて《見極める》ことが大事なんだと思う。
     * * *
    確率の話。
    確率1/2で当たるクジを2回引いたとします。 そのとき、一度も当たらない確率はいくら?
    二回とも外れる確率ということだから、 もちろん、1/4 = 0.25です。
    では、確率1/100で当たるくじを100回引いたとき、 一度も当たらない確率はいくら?
    確率1/100なんだから、100回引いたら1回くらいは当たりそうなものですよね。 でも一度も当たらない確率は意外に高い。 外れる確率0.99の100乗なので、 計算すると約36.6%の確率で一度も当たらないんです(!)
    さらに一般化すると、1/nの確率で当たるクジをn回引いたときに 一度も当たらない確率の極限は1/eに収束するようです。
     ◆数学メモ  http://mathmemo.textfile.org/?20150516222106
    確率は直観を裏切ることが多いもの。
    同じように統計も難しい。 たとえば「あるコインを2500回投げたとき、表が1300回出た」とします。
    コインが偏っていなければ、 表が出るのは1250回ぐらいでしょう。 でも、やってみたら表が1300回出たとする。 表が1300回ということは、1250回より50回も多い。 では、「このコインは偏っている!」と言えるのだろうか。
    実は、偏っていないコイン(表が出る確率が正確に0.5であるコイン)でも、 《2500回投げる》という試行を行ったとき、 《表が1200回〜1300回の範囲に入る確率》は約95%であることが計算からわかります。
     ◆数学メモ  http://mathmemo.textfile.org/?20150518124157
    難しいものですね。
     * * *
    理解する話。
    結城が「群の定義」を初めて明確に理解したのは、 それを「自分の本」に書いたときである。
    自分が理解していないことを自分の本には書けない。 自分が理解して初めて書くことができる。
    文章を書くときにはいつも、
     この文章の内容を、  自分は理解して書いているか?
    という問いかけを行う。 問いかけながら文章を書いているといってもいい。
     この文章の内容を、  自分はほんとうに理解して書いているか?
    理解しているはずの内容を文章に書く。 文章を読み返して意味が通じるかを考える。 文章を読みつつ複雑な構造物を作り直し、 それが正しいかを確認する (そしてできれば、美しいかどうかも確認する)。
    いわば、執筆は「一人で行うゼミ」なんだね。
     * * *
    さて、それでは今週の結城メルマガを始めます。
    今回の結城メルマガは、仕事に関する読み物が多めです。 全体として何となく矛盾をはらんでいるような、 通常通りのような、そんな一通となっています。
    どうぞ、ゆっくりお楽しみください!
    目次
    はじめに
    『不安について』 - 結城浩ミニ文庫
    経営者のなすべきこと - 仕事の心がけ
    どの仕事をいつ行うか - 仕事の心がけ
    あなたのこと、大好き!
    未来につながる仕事
    おわりに