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ほとんどの若者が理解していない賢い老後の備え方(2,200字)
2015-10-16 06:00110pt「老後破産」というのが話題だという。
「天地真理」が激白! 「柳沢きみお」も瀬戸際! 誰でも危ない「老後破産」の共通項を検証する
また、この記事に言及した、こんな記事もあった。
キミは天地真理さんを笑えるか? 他人の苦労を笑う者ほど「明日はわが身」の怖さがわかっていない
これらの記事がどういうことを書いているかというと、「今の時代はさまざまな理由で、あるときから急に収入がなくなったりする。そうして資産がなくなる。それでいながら、体はまだ健康だ。そのため、老後を鬱々と過ごす羽目になる」というものだ。
この記事を読んだある若者が、自分の老後が不安になったという。そして、「貯金でもしようか」と考えたのだそうだ。なにしろ、今は全く貯金がないのだという。
しかしながら、貯金はけっして賢い選択とはいえない。なぜならお金は、資産の中でも最も減りやすく、そのためすぐになくなる危険性が高いからだ。数億円とい -
教養論その9「面白がり方」(1,712字)
2015-10-15 06:00110pt面白さの見つけ方――つまり「面白がり方」というのが、哲学的な感度、引いては教養の高さにつながる。面白がり方が上手くなればなるほど、哲学的な感度が磨かれ、教養が高まる。
赤瀬川原平氏の本に「印象派の水辺」というものがある。
印象派の水辺
印象派の画家の絵を見ながら、彼らが描いた「水」の表現がいかに面白いか――を解説している。
この本の面白いところは、それまでは抽象的だった「絵の面白さ」に、はっきりと言葉が与えられていることだ。その意味では、これも一つの「命名」といえる。言葉が与えられていなかったものに言葉を与えることこそ、命名の本質なのである。
この本を読むと分かるのだが、赤瀬川原平氏は印象派の画家たちが描く絵の中に、普通では気づかないような「面白さ」を見つけ出している。それは面白さを「えぐり出す」という表現がぴったりくる。仏師は、木を見るとその中に埋まっている仏像の姿が「幻視」できるという -
[Q&A]疎遠になった人とよりを戻す方法(874字)
2015-10-14 06:00110pt[質問]
長年喧嘩別れやその時の都合上疎遠になった知人にまた会いたいと話したいと思った時、
気まずさや気恥ずかしさカッコ悪さを感じながらもなに食わぬような感じで会いにいく連絡するとして何かしらありますか?
[回答]
連絡をしないのが一番です。古い人間関係をほじくり返したって上手くいきません。全く知らない人との新しい人間関係を模索するべきです。
[質問]
連休中に関西に行ってきました。帰りの1日は京都にいたのですが、子ども連れだったので清水寺だけしか行けませんでした。しかも大半の時間は土産物屋です。
もしハックルさんが子ども連れだとして、京都で一カ所だけ行くとしたらどこを選びますか?
[回答]
ぼくは建築が好きで、子供にも味わわせてあげたいと思うので、昼間だったら二条城に行くと思います。あの廊下が九十九折りになっているのは、体験として悪くないと思うからです。
夜だったら知恩院に行くと思います -
ライトノベルの書き方:その38「自分の中にあるリビドーの見つけ方」(1,812字)
2015-10-13 06:00110pt物語にいい意味での破綻をもたらすためには、自分の中にあるリビドーをそこに入れ込めばいい。
では、「自分の中にあるリビドー」とは何か?
それを見つけるにはどうすればいいのか?
自分の中にあるリビドーを見つけるためには、まずは自分の日常生活を見つめる。それも、なるべくフラットに見つめる。
「フラットに見つめる」というのは、「客観的に見つめる」ということだ。たとえていうなら、自分の脳内にビデオカメラを設置し、それを再生しながら見るような感覚である。そういうふうに、少し距離を置いて見るようにする。
ところで、自分が運転している車にドライブレコーダーを設置して、その映像を後で見返すと、見覚えのない景色がたくさんあってびっくりするらしい。そこで、「自分が運転中にいかに周囲の景色を見ていないか」が分かるというのだ。
もちろん、運転中は道路や周囲の車に集中しなければならないから、周りの景色が見えていないの -
論理に対するかまえの浅さ(1,821字)
2015-10-12 06:00110pt「言論の自由」を声高に叫ぶ人は、みんな、「言論の自由」を本当に信奉しているのだろうか?
「本当に信奉している」というか、本当にその意味するところが分かっているのだろうか?
分かっていない――というのが、ぼくの見たところである。多くの人が、「言論の自由」をだいじだといいながら、「何でもかんでも言っていいわけではない」と思っている。例えば、他者を差別したり、誹謗中傷したりする言論は、言ってはいけないと思っている。
これは、極めて純粋な意味での「ダブルバインド」だ。そして彼らは、それをほとんど無自覚にしていて、自分でダブルバインドだと気づいていない。だから、指摘されるとすぐに論破されてしまう。そうして、結局有益な話し合いにならない。そういう有益な話し合いにならない人の意見というのは、社会に何の益ももたらさない。
「言論の自由」を信奉することは、とても難しい。「言論の自由」についての有名な故事に、 -
人気について(2,312字)
2015-10-09 06:00110pt「人気」というものがある。ぼくはこれまで、『もしドラ』が出てから6年間、いろいろな活動をしてきたけれども、その中で分かったのは、ぼくには人気がないということだ。それが分かったときは、「では、人気を得るためにはどうすればいいか?」ということを考えてみた。そして、戦略的にそれを身につけようとした。あるいは、立てた戦略をもとに、いろいろ実践もしてみた。しかし、そこで最終的に得た結論は、「ぼくには無理」というものだった。人間には、向き不向きがある。それは一見、当たり前で、理解するのが簡単なことのように思えるが、しかしぼくは、これまでの人生の中で、その無理をなんとか通そうとしてきたところがあった。諦めが悪いというのもあるが、戦略を立てるのも得意だったから、どんなことでも「なんとかなるのではないか」という甘い考えがあったのだ。努力すれば道は開けると、子供のように考える癖がずっと抜けなかった。しかしなが -
教養論その8「赤瀬川原平氏について」(2,117字)
2015-10-08 08:00110pt「教養」は、「哲学的感度の高さ」と言い換えられる。
そして哲学的感度の高い人は、「ちょっとした隙間やズレ」を見つけるのが得意だ。
「ちょっとした隙間やズレ」を見つけるのが得意な人といって、ぼくが真っ先に思いつくのは赤瀬川原平氏である。それに続くのは、佐藤雅彦氏か。
そこで今日は、赤瀬川原平氏について考えてみたい。
赤瀬川原平氏は、世の中の隙間やズレを見つけるのがとても得意だ。彼が残したものはいくつもあるが、まずは「トマソン」が有名だろう。
「トマソン」というのは、「街中にある建築的な無用の長物」のことである。例えば、「登った先に何もない階段」などがその典型だ。「トマソン」で画像検索すると、実例がいくつも出てくる。
https://goo.gl/dHn9Sn
「登った先に何もない階段」というのは、まさに「この世の隙間やズレ」といえるだろう。それは、おそらくいろんな理由で誕生するのだろうが、そ -
[Q&A]どういう呼び方で呼ばれたいですか?(3,068字)
2015-10-07 06:00110pt[質問]
ハックルさんも、「ハックル」さんはもちろんのこと、生まれてから今まで、「岩崎」「夏海」「岩崎さん」「岩崎君」「夏海さん」「おい」「お前」「あなた」「キミ」「そこの」またこれは悪口かもですが「ハゲ」「一発屋」など名前、名字、アダ名、ニックネーム、愛称、悪口、誹謗中傷、様々な呼称を言われてきていると思いますが、呼ばれ方で感情の動き方は変わりますか? 言われて気持ちのいい呼ばれ方ってありますか? やっぱり嫌な呼ばれ方はありますよね?
○○さんから○○ちゃんなどの愛称に変わるのはどのタイミングでしょうか? いきなりでもOKですかね?
[回答]
ぼくは、さまざまな名前で呼ばれたことがありますが、だいじにしているのは「それにこだわらないようにする」ということです。「それにこだわらないことにこだわる」という感じでしょうか。
よく、プロスポーツ選手で縁起を担ぐ人がいます。靴紐は必ず右足から結ぶ、 -
ライトノベルの書き方:その37「リビドーのパターン」(2,049字)
2015-10-06 06:00110pt今回は、リビドーが的確に込められた古今の名作について見ていきたい。
例えば、「新世紀エヴァンゲリオン」というアニメがあるが、この作品には分かりやすく、「息子の父親に対する愛憎」が描かれている。そして、「息子の父親に対する愛憎」は、「リビドー」の最も古典的なものといえるかもしれない。最も有名なギリシャ悲劇である「オイディプス」も、「息子の父親に対する愛憎」が込められているからだ。
「ハムレット」にも、「息子の父親に対する愛憎」が込められているが、同時に「男性の女性不信」もリビドーとして込められている。男性のほとんどが持つ女性への不信感や侮蔑の感情がこの作品には横溢しているが、だからこそ、見る者の感情を刺激し、興奮させられる。
「差別」というのもまた、リビドーの一つだろう。例えば「ドン・キホーテ」や「ハックルベリー・フィンの冒険」には、愚者に対する侮蔑の気持ちが、隠しようもなく込められている。 -
優秀な人間としかつき合わないか無能な人間を説得するか(1,763字)
2015-10-05 06:00110ptこれから、ますます難しい話をしなければならない時代が来る。考え方を高度に洗練させなければならない。そうしないと勝てない。
そのときに、一人で戦うわけではないから、周りに説明しなければならない。しかしながら、そこで周りの理解が得られないと、せっかく有効な解決方法があるにもかかわらず、それを実行できないという事態に陥る。
「マージン・コール」という映画を見た。Amazonビデオで見た。300円でレンタルできる。
初めて使ったが、思い立ったらすぐに見られるのは便利だと思った。ただ、300円は街のレンタルビデオ店と同じ値段なので、高いような気もした。
映画の内容はというと、リーマン・ショック前夜の話だ。とある投資銀行のリスク管理部が、サブプライムローン危機が発生することを事前に予測した。それに伴う金融不安も、どうやら避けられそうにないとの結論に達する。
そのときに登場人物たちは、信用を失ってでも
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