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きみは勉強ができないんじゃない、勉強の仕方を知らないだけなんだ」第36回(1,827字)
2017-11-16 06:00110pt人間と水とは、切っても切れない関係にある。特に日本人だったら、ほとんどの人が毎日お風呂に入るのではないだろうか。また世界中の人々も、お風呂には入らずとも、毎日水を飲むはずだ。そういうふうに、水は人と非常に縁が深い一方、身近な凶器でもある。なぜなら、人は水の中では息ができないため、潜ったままだとものの数分で窒息してしまうからだ。それは、身体の損傷を通り越してすぐに死につながってしまうのである。実際、今でも水の事故で命を落とす人は多い。つまり水は、それそのものが極めて危険なのである。だからこそ、それで遊ぶことによって脳内麻薬が豊富に分泌されるのだ。水遊びのいいところは、死の恐怖というものが段階を追って迫ってくるところだろう。これがスピードや高いところの危険だと、身体が傷つくのは一瞬なので、その恐怖はほとんと一種類しかない。すなわち、「危険のそばにある」ということの恐怖だけだ。しかし水の場合は、 -
[Q&A]一人旅をするならどこへ行くか?(1,537字)
2017-11-15 06:00110pt[質問]
11月下旬から12月下旬までの約1ヶ月間、自由な時間が出来たので海外にでも行こうと思ってますが、オススメの国や地域はありますか?
予算は100万円以内で考えてます。
アラサー男子の一人旅です。
[回答]
ぼくだったら、まずギリシアに行きます。パルテノン神殿で人類の文明の源流に触れるのは、大きな視点を得られるきっかけになるかと。
第二案はパリです。
パリは、街自体が巨大なテーマパークのようなもので、いたるところが観光施設なので、行って損はないかと思います。
第三案はニューヨークです。ニューヨークは、なんだかんだいって世界経済の中心なので、そこでこれからのビジネスについて考えるのも悪くないと思います。
第四案は、バハマに行ってカジノでのんびり散在するのも悪くはないと思います。
[質問]
私はよく人から「変わっている」と言われます。家族からは「宇宙人」、先日は妹から「レゴの人」みたいと -
お金の話:第18回「友だちとお金の関係」(1,787字)
2017-11-14 06:00110pt2お金と上手につき合うためには、一定の金銭感覚が必要だ。
そして、その金銭感覚にとって一番の弊害となるのは「友だち」である。
実は、お金と友だちはトレードオフの関係にある。お金が増えれば友だちが減るし、お金が減れば友だちは増える。植木等の有名な「だまって俺について来い」は、このような歌詞から始まる。
ぜにのないやつぁ
俺んとこへこい
俺もないけど 心配すんな
みろよ 青い空 白い雲
そのうちなんとかなるだろう
実際、お金がない人間にとって一番大切なのは友だちである。友だちがないと生きていけない。
しかしこれは、逆に言えば友だちさえあれば生きていけるのである。そのため、友だちが多ければ多いほど、お金を稼ぐことのモチベーションは下がる。お金が必要となる度合いが下がる。
そうなると、金銭感覚を研ぎ澄ませようがない。それは、もはや必要ないからだ。
かつて、多くの人々が貧乏であった。それも「絶対的貧乏 -
今の人手不足の正体(2,152字)
2017-11-13 06:00110pt今年、企業の内部留保は最高に増えた――つまり景気は上がっているが、従業員の給料は上がっていないという統計結果が出ている。
あるいは昨年、人手不足で潰れた企業が史上最も多かったという。人手不足でどんどんと会社が潰れているというのだ。
普通は、会社の業績が上がれば人手不足になる。人手不足になれば、社員の給料も上がる。
しかし、社員の給料は上がっていない。
これは一体、どういうことなのか?
大昔は、資本家がたくさんの情報を持ち、なおかつそれを秘匿していたので、不当に多くの財産を得て、労働者との格差が激しかった。それに怒った労働者たちが、組合を作って資本家と戦い、その戦いは功を奏して、だんだんと労働者の待遇は改善されていった。
それと同時に、労働者はその多くが社会主義や共産主義を思想的なバックグラウンドとしていた。しかし、社会主義や共産主義は20世紀に社会システムとしてはほとんど機能しないというこ -
現代の成功するマネジメントはみなFANGーMANT的(1769字)
2017-11-10 06:00110pt例えば、今から自動車を開発したとする。すると、発売するまでにはだいたい4年かかる。つまり、開発期間は4年だ。
そうなると、4年先のトレンドを読んで設計しないと、その車は売れないということになる。
しかしこれは、大変に難しい。昔だったら――例えば1987年だったら、1991年の自動車のトレンドはある程度予想がついた。しかし今、2021年の自動車のトレンドを予測するのはとても難しいだろう。もしかしたら、もう自動運転が実現しているかもしれない。東京ではますます車に乗る人が少なくなり、地方ではますます車への依存度が高くなっているかもしれない。不確定要素が多すぎて、それらを真面目に分析すればするほど、バカバカしくなって投げ出したくなる。
そういう時代に、どういう人材が求められているか?
それは、4年後の未来を正確に見通せる人物――ということは確かなのだが、しかしそんな人物はなかなかいない。それは極め -
「きみは勉強ができないんじゃない、勉強の仕方を知らないだけなんだ」第35回(1,568字)
2017-11-09 06:00110pt「勉強」というのは、目の前の小さな困難を乗り越えることによって、その後に大きな利益を得る、という構造になっている。そのため、必ず「苦労」が障壁として立ち上がる。勉強ができるようになるためには、この障壁を乗り越える必要があるのだ。障壁を乗り越えるには、その先に待っている利益を「予感」しなければならない。有り体に言うと、「この道を進むといいことがありそうだ」という「勘」を養う必要がある。そして、そういう勘は「遊び」をする中で養われる。遊びは、さまざまな理由から勉強よりも誘惑が大きい。またそこには、勉強と同じように目の前に小さな困難が立ちはだかる。だから、遊びの誘惑に負けてその困難を乗り越えると、先に待っている大きな喜びを経験できる。この経験を通じて、人は「小さな困難の先には大きな喜びが待っている」という法則を知る。そうして「勘」が磨かれ、小さな困難を厭わなくなるのだ。その先に待っている大きな利 -
[Q&A]日本シリーズにおけるDeNAの敗因は?(1,305字)
2017-11-08 06:00110pt[質問]
私は会社内で上司や後輩に対して、いつも正直に自分の意見や考えを伝えるように心掛けておりますが、他の人はすごく周りに気を遣って空気を読んで言いたい事を言わなかったり、上司の顔色ばかり見て仕事したり、忖度ばかりしています。
私は30代前半になり、出世の事を考えると他の人のように上手く空気を読んだり、上司に言いたいことを言わない方がよいのかと考えたりすることがあるのですが、この会社で出世したいと考えた場合、どのように対応したら良いでしょうか? このままの自分でいいでしょうか?
性格的に、自分の考えや主張は大事にして生きていきたいです。
[回答]
まず、「この会社で出世したい」という考えは良くないかと思います。
これからはどんどん会社が潰れる時代ですので、どの会社でも生きていける実力を身につけることが一番かと。それが結局今の会社のためにもなると思います。
言いたいことを言うことと、空気を -
お金の話:第17回「なぜ友だちの価値は下がったのか?」(2,285字)
2017-11-07 06:00110pt金銭感覚を研ぎ澄ますためには、美的感覚を取り戻す必要がある。なぜなら、お金にはある一定の「無駄遣い」というものが必要なのだが、その無駄遣いにもいい無駄遣いと悪い無駄遣いとがあって、両者を見分けるには美的感覚が欠かせないからである。美的感覚があれば、無駄遣いの良し悪しを見分けることができ、結果的に金銭感覚も取り戻せる。実際、お金にルーズな人は美的感覚が狂っている場合が多い。例えば借金を踏み倒す人などは、服装に独特の乱れがあるという。それは、単純に汚れているという場合もあるが、たとえ清潔でも、美的感覚の不協和音などが起きていたりするため、他者にぬぐいがたい違和感を与えるのである。だから、金融関係の人は、お金を貸すときにそういう部分をチェックしたりするくらいだ。このように、金銭感覚と美的感覚とは深い相関関係がある。では、その金銭感覚にとって大切な美的感覚はどのように取り戻せばいいのか?「取り戻す -
『HUNTER×HUNTER』を読み解くことで「70年代マンガがなぜ面白かったのか?」を解明できるのではないだろうか(1,851字)
2017-11-06 06:00ぼくは、子どもの頃――つまり70年代に、夢中になってマンガを読んでいた。
おかげで、「70年代マンガの面白さ」になかなか気づけなかった。
どういうことかというと、70年代のマンガは読むものがだいたい面白かったので、「マンガというジャンルそのものが面白いのだ」と認識しまったからだ。マンガの面白さに「絶対性」のようなものを感じていた。
しかし、それは誤りだった。マンガ自体が絶対的に面白かったわけではなく、70年代マンガがたまたま特異的に面白かったのだ。その頃のマンガはちょうど市場が急拡大していく時期で、乗りに乗っていた。ぼくは、上手い具合にその時代を子どもとして過ごすことができたのである。
そう気づけたのには、一つのきっかけがある。それは『HUNTER×HUNTER』の34巻で、冨樫義博氏が巻末に自作の解説をしていたのだが、そこにこんな記述があったからだ。
「私は主人公の敵同士が戦うという話が -
『ブレードランナー2049』についてネタバレありで書いてみる(1,757字)
2017-11-03 06:00月曜日に『ブレードランナー2049』についてネタバレなしで書いたところ……
『ブレードランナー2049』の感想(1,634字)
ネタバレありでも書いてもらいたいとの要望があったので、今回はそれについて書いてみたい。
というわけで、ここから先は内容についてのネタバレがあります。
『ブレードランナー2049』は、主題がとても分かりやすかった。映画の内容はすぐには分かりにくいのだが、主題はとても分かりやすくできている。
それは、差別についてだ。特に「人間とは何か?」ということへの問いと、平等性についてである。
主人公は、まず被差別的な立場に置かれている。彼は、人間ではなくレプリカントなのだ。「レプリカント」とは、アンドロイドのような人間が造った生命体のことである。
そのため、人間からは一段下に見られている。また、人間に奉仕するという立場にも置かれている。その意味で、「奴隷」のメタファーだ。
ここ
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