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Vol.094 結城浩/数学ガールの特別授業/仕事が手に付かない/ScanSnapを子供に教える/
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Vol.094 結城浩/数学ガールの特別授業/仕事が手に付かない/ScanSnapを子供に教える/

2014-01-14 07:00
    Vol.094 結城浩/数学ガールの特別授業/仕事が手に付かない/ScanSnapを子供に教える/

    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年1月14日 Vol.094

    はじめに

    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

     * * *

    結城は毎朝ひげをそりながら本を読みます。

    いま読んでいる本は数学の専門書で、私のレベルよりもずっと難しいことが書かれています。 ですから本来はノートとペンを持って書きながら読むべき本のひとつです。

    でも、たぶんそういう読み方をしたらすぐに飽きてしまって読み切れないだろうな、 とも思っています。毎朝ひげをそりながら読み、とにかくページの文字を追い、 ひげをそり終えたら本を閉じる。そんなやり方だから続けて読めるのだと思います。

    そんな読み方をして何の役に立つんだろう、と思われるかもしれませんが、 これが意外に役に立ちます。その分野のことがおぼろげにわかるのです。 細かい議論はさっぱり追えなくても、

     ・この数学の分野ではこういうことが関心事なのか
     ・これを調べるためにこういう計算をするのか
     ・こんな用語が登場するのか

    ということは何とかつかめるからです。

    ノートとペンを持って「さあ!」と正面から立ち向かって最初の数ページで挫折するのと、 ひげをそりながらといういい加減な態度で全ページをめくるのと、 どちらがよいかはいちがいにいえないと思っています。

    特に、何日か経って一冊をめくると、意外なほどの達成感があります。 「この本、恐くない」と思うのです。必要に応じて再読することになるのですが、 それもおっくうにならない。人間の感覚って不思議ですね。

    結城はよく、紙の本を一通り読んでからPDFに変換する(いわゆる、自炊ですね)ということをやります。 最初からPDFにしちゃうと何となく全体像がつかめないのですが、 いったん紙の状態で一通り読む(少なくとも全ページめくる)ということをやってからPDFにすると、 「あれはあのへんに書いてあったな」という土地勘が出るように感じています。

    あなたには、毎日規則的にやっていること、何かありますか?

     * * *

    自炊といえば。

    先日、中学二年生の子供に裁断機とScanSnapの使い方を教えていました。 つまり、紙の本を切ってスキャンしてPDFを作る手順ですね。 これは、私と子供にとって非常に楽しく、有意義な時間でした。

    まず、裁断機は大きな刃が動くものですから、扱いに注意しなくてはいけない。 そこをきちんと教えると子供は真剣になって聞きます。

     「刃の下には絶対に手を入れてはいけないんだよ」
     「わかった」
     「下に紙の切れ端がひっかかったら、指ではなくて本の背の切れ端を使って片付ける」
     「わかった」
     「うっかり手を入れると……」
     「うわあ! わかったって!」

    そして、実際に本を裁断してみせる。 裁断したあと出てくるごみの後始末のやり方を教える。 そういう一連のプロセスを一つ一つ教えます。

    ScanScapでPDFになった本は、子供に先日与えたKindle fire HDに入れます。 子供は自分でUSB接続とドキュメントへのコピーは会得していたので、 手順の話は早く済みました。

     ◆Kindle Fire HDを子供用の電子書籍(PDF)端末専用機にする方法
     http://d.hatena.ne.jp/hyuki/20131215/kindle

    でも、大事なのは手順の話ではなく、コンテンツの扱いの説明です。

     「スキャンしたPDFを友達にあげちゃいけないよ」
     「?」
     「よく考えればわかる。本は買ったものだろ?」
     「あ! そうか! どろぼうじゃん!」
     「わかった?」
     「わかった」

    ひとしきり自炊の手順を教えてから、後片付けも教えた次の日。 子供はひとりでせっせと自分の本をPDF化していました。

    さらに後日には、嬉々としていろんな本や資料をPDF化していました。 漫画や参考書、学校のプリントなども。 ああしろこうしろとは言ってないのだけれど、 自分でそんなふうにスキャンすると、 自分で整理してまとめようという意識が出るみたいですね。

    以上のようなことを家内に話したところ、家内から、

     「あなたはすばらしい父親ですね」

    とほめられました。「できることをたまにちょこっとするだけだよ」と答えたけれど、 その日ずっと気分がよかった。ほめてもらうのって大事ですね。 いまでも思い出すとにこにこしてしまいます。

     * * *

    別の話。

    最近「インクリメンタルな環境改善」に興味があります。 つまり、ちょっぴりずつ自分の作業をやりやすくしましょうということ。

    先週おこなった「インクリメンタルな環境改善」はこんなものです。

    (宣伝メール解除) 自分宛に届いていた宣伝メールのうち、 登録解除できそうなものを何通かきちんと登録解除しました。 これは、自分で送るように登録したけれどまったく読んでいなかったものです。 まとめて全部解除するのではなく、気づいた日に一通解除、 別の日にまた一通解除……という感じで、インクリメンタルにやりました。

    (USBのシール張り) 外付けハードディスクのUSBケーブルをコンピュータに繋ぐとき、 いつも表裏を逆に入れて失敗してしまいます。 そこで片側にシールを張って間違えないようにしました。

    (RSSリーダの整理) 二つのサイトに分散していたRSSリーダの内容を一つにまとめました。 あっち見たりこっち見たりするのが、ずっと気になっていたんです。

    (Web参照自動化) 毎日Webサイトを見にいって得ていた情報を、 自動的に毎日メールでとどくようにした。 これは自分でPerlのプログラムを書きました。

    (LaTeX実行スクリプトの改善) 結城はLaTeXを動かすときに自作のスクリプトを使っているのですが、 使い勝手が悪いところがありました。 それは(細かい話になりますが)索引を作成するかどうかで、 起動オプションを変更しなければならないところ。 よく考えるとそんなことはユーザである私が判断するのではなく、 エラーメッセージを読んで自動的にスクリプトに判断させればよかったのでした。 ということで、修正。

    ……こんな具合で、とっても些細で泥臭い改善ばかりですが、 少しずつ自分の日常が良くなっていくのを感じています。

    せっかくコンピュータを使っているのですから、 できるだけ自動的にものごとが進むようにと改善していきたいです。 でも、いっぺんに全部改善しようとすると息切れしたり、 途中で尻切れになったりします。 これ、私がよく陥るパターンなのです。

    そこで今年は「少しずつ少しずつ」改善していきます。 というわけで「インクリメンタルな環境改善」というわけです。

    あなたは、毎日気になってることってありませんか?

     * * *

    新春ということなのか、SBクリエイティブさんとあちこちの大学生協さんが 「結城浩フェア」のような企画をやっているようです。 お店によっては結城浩の本が15%引きで買えるとのこと。 ツイッターでもときどき喜びの声が上がっておりました。

    大学生協で書籍が割引になるというのは、 本をたくさん読む必要がある大学生にとってはよい制度ですよね。

    社会人になってから特にそれがうらやましく思えます……

     * * *

    さて、そろそろ結城メルマガを始めましょう。 今日は結城が高校で行った授業の様子を読み物にした「数学ガールの特別授業」をお送りします。 不定期で書き続けてきましたが、おそらく次回で終わりになります。 それから「仕事が手に付かない」という質問に回答します。

    どうぞお楽しみください!

    目次

    • はじめに
    • 数学ガールの特別授業
    • Q&A - 仕事が手に付かない
    • 次回予告
     
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