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子どもたちに伝えたい「仕事がなくなる時代」のドラッカーのマネジメント:第27回(1,764字)
2019-11-14 06:00110pt1すぐれたアイデアを生み出すためには、その前提となる知識が必要だ。そして知識は、本から得るのが最も効率がいい。読む本は、尊敬する人や参考とする人、趣味が合う人から教えてもらったり、その人たちが読んでいるものを読んだりすればいいだろう。
そこで、次にだいじになってくるのは「読み方」である。というのも、本というのは読もうと思ってもなかなか読み進められないという難しさがあるからだ。それには技術や工夫が必要である。そのため、読み方についてのさまざまな技術書が出ているくらいだ。
そのためここでも、本の読み方について一つの技術をお伝えしたい。それは、本を読む以前にまず「ページをめくる」という方法だ。
俗に「積ん読」という言葉もあるが、本というのは、そう簡単には読み進められない。ぼくも長年、そのことに悩んできた。読みたくても気が進まない本は、仕方がないから手元に置いておくこととなる。すると、それがどんどん -
子どもたちに伝えたい「仕事がなくなる時代」のドラッカーのマネジメント:第26回(1,819字)
2019-11-07 06:00110ptすぐれたアイデアを生み出すためには、それを下支えする知識が必要だ。そして、その知識を蓄えるためには本が最適である。
では、本はどのように探せばいいのか?
また、どのように読めばいいのか?
ここからは、それらについて概説していきたい。
まず「本の探し方」であるが、これの有効な方法はほとんど一つといってよい。それは、「誰かの意見を参考にする」ということである。誰かが「読んで面白かった」と言う本を読んでみることだ。
この方法自体は、至って簡単である。ただ誰かに聞けばいいだけだからだ。
そのため、焦点はその「誰か」をどう見つけるか――ということになる。
これについては、時間をかける必要があるし、またどんどんと変遷させたり、拡張させたりしていくことが必要だろう。
例えば、ぼくが最初に見つけたのは「母親」だった。母親が、幼い頃からいろいろな本をすすめてくるので、それを手当たり次第に読んでいたのだ。
そ -
子どもたちに伝えたい「仕事がなくなる時代」のドラッカーのマネジメント:第25回(1,762字)
2019-10-31 06:00110ptアイデアは、自分を飢餓感に置くことによって湧き出てくる。自分を飢餓感の中に置くと、最も重要な「欲望」が可視化され、目的がはっきりするのだ。いうなれば「ビジョン」が顕在化する。
そのビジョンが顕在化したら、今度はそれを具体的なアイデアに結びつけることが必要となる。そのときに欠かせないのが「知識」だ。それも、「広範で豊富な知識」が必要となる。
アイデアは、種となる「ビジョン」がないと生まれないが、それを具体的な形にしていく上では「知識」がとても重要になる。例えば、「地球環境を破壊しないクリーンエネルギーを生み出したい」というビジョンがあったとき、まずはエネルギーについての知識が必要となるのは言うまでもないが、それ以外の分野の知識もできうる限り身につけていく必要があるだろう。
例えば、エネルギーは社会の経済活動と密接に関連している。だから、経済のことを知らなければならない。また、そこには当然社会 -
子どもたちに伝えたい「仕事がなくなる時代」のドラッカーのマネジメント:第24回(1,777字)
2019-10-24 06:00110ptすぐれたアイデアというのは、必ず飢餓感の中で生み出される。そのため、まずは物をはじめ、いろんなものを捨て、自分自身を飢餓感の中に置く。
その上で、心の奥から沸き立ってくる感情をとらえる。自分自身が何が好きかということを観測する。
例えば、ぼくの場合だったらそれは「野球」だった。恥ずかしい話なのだが、30歳の頃に離婚して、身も心も疲れ果て、何もかもがどうでも良くなった。そうして生きる気力さえ失った。その頃は、死ぬことばかりを考えるようになった。生きる望みが全くなくなってしまった。
しかし死ぬこともできず、夜になると眠れずに一人悶々としていた。そんなとき、仕方がないからぼくは野球のことを考えた。なぜなら、野球のことだけは、何もかもが嫌になってもまだ好きでいられたからだ。
だから、野球のことを考えていると落ち着いていられた。特に、高校野球のことを考えていると嫌なことも忘れられた。
そのため、眠る -
子どもたちに伝えたい「仕事がなくなる時代」のドラッカーのマネジメント:第23回(1,498字)
2019-10-17 06:00110pt2ここからは、「すぐれたアイデアの生み出し方」について、具体的に見ていきたい。
ここまで見てきたように、まずは審美眼を鍛え、不必要なものを捨てる。このとき、思い切ってばっさりと、いっそ不安になるくらい多くのものを捨てる。
すると、そこで得られる「視点」がある。それは、「足りない」という視点だ。不安だったり、不満足だったり、そういう状態を味わえる。
これは、おなかがすいている状態と似ている。おなかがすいていると、食べたいものをイメージしやすい。また、何を食べても美味しく感じる。
しかしおなかがいっぱいのときには、「食べたいものは?」と聞かれてもなかなかイメージしづらいし、実際に食べても美味しくない。
それと同じで、物が満ち足りている状態だと、なかなかすぐれたアイデアは生まれてこない。むしろ何かが足りなかったり、それによって不便だったりする状態のときにこそ、すぐれたアイデアは生まれてくる。
それ -
子どもたちに伝えたい「仕事がなくなる時代」のドラッカーのマネジメント:第22回(1,717字)
2019-10-10 06:00110pt審美眼を鍛えるためにする行動の三つ目は「美しさについて勉強する」だ。
これは一見当たり前のように思えるかもしれないが、実はそうではない。どういうことかというと、多くの人が「審美眼は生まれつきのもので、鍛えることができない」と思っている。だから、勉強すれば審美眼が鍛えられることを「当たり前」と思っていないのだ。
しかしそれは大きな誤りである。審美眼を持つ人は、一つの例外もなくそれを子供の頃から鍛えてきたし、また審美眼が鋭い人ほど、普段からそれを鍛えている。
つまり、審美眼は生まれ持った才能ではなく、努力によって獲得するものなのである。
ただし、この言い方は正確ではない。より正しく言うなら、人は誰でも生まれたときには素晴らしい審美眼を持っている。赤ちゃんは、全く曇りない目で美醜を判断できる。
ところが、人は大人になるに連れ、その審美眼が曇っていく。そうしてやがて、美醜の判断がつかなくなってしま -
子どもたちに伝えたい「仕事がなくなる時代」のドラッカーのマネジメント:第21回(1,547字)
2019-10-03 06:00110ptイノベーションにおいては、すぐれたアイデアを生み出すことが欠かせない。
しかしながら、「すぐれたアイデアを生み出す」というのは、言うのは簡単だが、実現させることはなかなか難しい。
ただし、方法がないわけではない。それは、「何かを捨てる」ということだ。現状行っている何かをやめる、ということでもある。
そうすれば、その捨てたりやめたりしたことが、すぐれたアイデアのきっかけになる。ドラッカーは、このことを「イノベーションの第一歩は、まず捨てることからスタートする」と説いた。
では、捨てるとは何か?
何を捨てたらいいのか?
どう捨てたらいいのか?
そこでヒントとなるのが、ジョブズが発明したiPhoneである。iPhoneは、ジョブズが電話のボタンを捨てたことから始まった。その理由は、彼が電話のボタンを「醜い」と感じたからだ。
つまり、捨てるためにはまず何かを「醜い」と思うことがだいじなのである。そ -
子どもたちに伝えたい「仕事がなくなる時代」のドラッカーのマネジメント:第20回(1,732字)
2019-09-26 06:00110ptイノベーションには三段階ある。
一、考えること
二、すぐれたアイデアを生み出すこと
三、実行すること
今回は、このうちの「二、すぐれたアイデアを生み出すこと」について見ていきたい。
まず、「すぐれたアイデア」とは何か?
それは、テーゼとアンチテーゼを踏まえつつ、その両方の願いを叶えるもの――ジンテーゼ――のことだ。みんなが満足する方法のことである。これこそがすぐれたアイデアだ。
では、すぐれたアイデアはどのように生み出せばいいのか?
その最初のステップは、「捨てる」ということである。「捨てる」というのは、イノベーションにおいて最も重要な概念といえるだろう。
これを、簡単な例で説明したい。
まず、行き詰まっている状況というのは「部屋が汚れている」ようなものだ。
このとき、最初に「部屋をきれいにしたい」という欲求がある。これがテーゼである。
次に、部屋をきれいにするには手間がかかる。そのため「 -
子どもたちに伝えたい「仕事がなくなる時代」のドラッカーのマネジメント:第19回(1,339字)
2019-09-19 06:00110pt自分の遊びたいものが、周囲や大人の理解を得ないときがある。そういうときに、人はたいてい遊びを諦めたり、あるいは周囲や大人を無視してその遊びを無理やりやり通そうとしたりするが、そのどちらもしないように工夫するという考え方もある。相反する価値観のどちらか一つを選ぶのではなく、その両方の価値観を満たすやり方を作り出す。実は、その行為こそイノベーションなのである。
イノベーションとは、つまるところ「発明」のことである。何かがうまくいかないとき、それがうまくいく方法を考え出すことこそイノベーションの本質だ。そのため、マーケティングが「知る」ということだったのに対応すると、イノベーションは「考える」ということができるだろう。
ここでドラッカーの提唱したマネジメントをあらためて振り返りたい。
ドラッカーは、マネジメントとはつまるところ二つのことをすることだと言った。その二つとは、「マーケティング」と「イ -
子どもたちに伝えたい「仕事がなくなる時代」のドラッカーのマネジメント:第18回(1,758字)
2019-09-12 06:00110ptこれからの仕事がなくなる時代には、生きることの困難さが予想される。そうした状況では、マネジメントが重要になってくる。とりわけ、ドラッカーのマネジメントが重要になってくる。なぜかといえば、マネジメントの力がないと、「仕事がなくなる」という困難な状況を打開することは難しいからだ。逆にいえば、「仕事がなくなる」という困難な状況を打開するものこそ、マネジメントなのである。では、マネジメントの力を身につけるにはどうすればいいのか?マネジメントはどうやって学べばいいのか?その最も有効な方法が、「遊ぶこと」だ。なぜなら、遊びはこれからの仕事がなくなる時代に、仕事に替わってどんどん増えてくるからだ。同時に、遊びにはマネジメントが欠かせないので、自然とマネジメントも身につく。では、どのような遊びをすればいいのか?それは、最初はなんでもいい。ただし、そこで重要なのが「飽きる」ということだ。飽きて、何か新しい遊