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  • 一問一答「今までで一番嫌な気分になったのはどんな時ですか?」【感情利用の心理学】

    2021-07-06 12:00  
    330pt
    あなたが今までで一番嫌な気分になったのはどんな時ですか?
    嫌な気分を感じた時に、あなたはどんなことをするようにしていますか?

    生きていれば嫌なこともたくさんあると思いますが、誰でも嫌なことが起きないように頑張っているわけです。
    とはいえ、人と付き合っていれば嫌なことがあるのもどうしても仕方ないものです。

    大事なのは、嫌なことをなくすということではなく、どのようにしてその嫌なことを乗り越えていくことができるのか、そして、前に進むことができるかということです。
    今回は、ひどい反芻思考に悩む方からの相談をもとに、このような嫌なことが起きた時に、どうすればそれを乗り越えて前に進んでいけるのかということについてまとめてみたいと思います。

    Q. 「失敗するとひどい反芻思考に陥って抜け出すことができません。運動や瞑想に取り組んでいますが、他にも改善に役立つものやコツがあれば教えて下さい。」

    自分の反芻思考を止めるためには、事実を考え抜くということが大事になります。
    おすすめとしては記録することです。
    自分が失敗した時も成功した時も同じですが、常に記録するようにしてみてください。
    そして、自分が反芻思考に陥りそうになった時には、その記録を見返すようにしてください。
    それにより、自分が考えていたことは思い込みであり実際には違うということに気づけるはずです。

    反芻思考に陥らないためには、嫌な気分が湧き上がる前に、自分からそれについて考えに行くようにします。
    例えば、誰かとのトラブルが引っかかっているとしたら、大抵の場合、反芻思考に陥る人はそれを見て見ぬふりしようとします。
    嫌なことがあったら、それを忘れよう忘れようとします。
    しかし、仕事をしていたり他のことをしている時に、ふとそのことが思い浮かんできてずっとそれについて考えてしまいとらわれるわけです。

    ですから、自ら詳細に思い出すことが重要です。
    その時に、相手はどのようなことを言って自分は何を言ったのか、自分はどのような感情を感じて、客観的に見て相手はどのような感情を感じていただろうか、そして、自分の声のトーンはどんな感じだったか、そんな細かいところまで思い出して記録してください。

    別に正確でなくても構わないので、細かいところまで思い出して記録することによって、その感情をコントロールできるようになります。
    人はアウトプットすることによって感情をコントロールできるようになるので、ぜひ試してみてください。

    以上が、DaiGo師匠のアドバイスでした。

    体とメンタルの相互の関係

    今回の相談者のように、誰でも反芻思考に陥らないまでも嫌なことが頭から離れなかったり、嫌な気分になったりイライラすることもあると思います。

    ピッツバーグ大学の研究で、人間の体とメンタルのつながりについて調べた研究があります。
    よく病は気からだと言われますが、落ち込んでいたり嫌な気分になっている時には風邪をひきやすくなったり体調を崩しやすくなるということもあると思います。
    このように心の状態が肉体や体の健康に影響を与えるのではないかということがよく言われますが、それが本当に起きるのかということについて調べて、さらに、逆の関係性もあるのかということについて調べています。

    脳とストレスを司っている副腎のつながり

    この研究では、人間の脳がストレスを司っている副腎とどのようにつながっているのかという事を調べたら、脳の大脳皮質の神経が副腎に繋がっていました。
    この副腎はストレスのコントロールやメンタルの状態と深く関わっている場所で、人間の体の様々な反応を司っている部分です。

    ですから、人間がストレスを感じたら脳はそれを検知するのは当然ですが、この逆が起こり得るということです。
    脳がストレスを想像したり思い出したりするだけで、大脳皮質から下垂体、下垂体から副腎へと伝わり体に対してストレスが実際の反応として発生するということです。

    つまり、過去の失敗を思い出したり嫌な出来事を思い出して嫌な気分になることもあると思いますが、この思い出したことによって実際に体内でストレスが発生しているということです。

    ストレスをコントロールするために

    そのストレスをコントロールするためのポイントとしては、頭の中や心やメンタルをコントロールしたいという時には体を使ってください。
    逆に体をコントロールしたいという時にはメンタルからアプローチするというのが基本です。

    副腎ともうひとつ繋がっているものがあります。
    体の特にバランスを保つ時に使われる脳のエリアが、どうやら副腎の働きに影響を与えているということが分かっています。

    体のバランス感覚が必要となる作業をしたり、体のバランスを保つために必要な筋肉を使うような運動をすることによって、それがいい影響を与えてくれて実際にストレスホルモンを減らしてくれたり、ストレスに強い体を作ってくれるという可能性が示されています。

    ですから、普段から姿勢を良くすることを心がけて、できたらダンスやヨガをしてもらい、それが苦手であれば体幹トレーニングをするようにしてください。
    どうしても難しければ腹筋運動だけでもするようにしてもらえたら、それによりストレスに対抗するための力が身につくということです。
    過去の嫌なことを思い出してしまってストレスを抱えやすいという方はこれらをぜひ試してみていただけたらと思います。

    自己肯定感を高める:感情を定期的に紙に書き出す

    自己肯定というのは自分を受け入れるために最低限の自分を肯定することです。
    例えば、自己肯定がある人の場合であれば、「今回は失敗してしまったけれど、チャレンジとしてはいい経験だった」「学べたこともあるし、そんな中でもできたこともあるので次はうまくいくのではないか」「これはうまくいかなかったけれど別のことならうまくいくのではないか」というように、自分のチャレンジや行動を肯定することができます。
    正しい自己肯定感を保つことによって、失敗からちゃんと学ぶことができるし失敗にめげずに前に進むこともできます。

    そんな正しく自分を信じて前に進むための方法については、こちらの一問一答でもまとめていますので参考にしてみてください。


    科学的根拠に基づいた知識の実験、実践コミュニティ!〜メントレラボ〜
    一問一答「自分を信じて進む事ができていますか?」【心が強くなる自己効力感の鍛え方】


    そんな自己肯定感を高めるためには、嫌な気分になることがあったりしても、その感情をある程度自分でコントロールできるようにならなければなりません。

    そのためには、DaiGo師匠も勧めていた記録する方法が役に立ちます。
    これは、嫌な気分に陥った時だけでなく定期的に行うようにしてみてください。

    人間には気分一致効果というものがあり、嫌な気分の時には全ての事が嫌に見えてしまいます。逆に、気分がいい時には全てがいいことのように見えるものです。

    感情の浮き沈みと自分の行動が良かったのか悪かったのかという自分の行動の肯定否定は全く関係がありません。
    その思考からまず逃れて、自分自身を冷静に見ることが必要になります。
    自分がネガティブになっている時にはポジティブにコントロールするようにして、ポジティブになりすぎている時にはクールダウンさせるようにするべきです。

    筆記開示:エクスプレッシブ・ライティング

    これは自分の感情をただひたすらに思いつく限り紙に書き出すだけです。
    ネガティブな感情もポジティブな感情も、悩みや苦しみも後悔も全ての感情を紙に書き出します。深く考えず思いつくままに書き出します。
    その時に考えていることをそのまま紙に書きます。

    この筆記開示を8分から20分ぐらい行なってください。
    これは8分以上で4日間以上続けないと効果は出ません。

    2日に1回とか週に1回でも結構ですが、できれば毎日1日に8分だけその時間を設けることによって、メンタルが強くなったり自分自身の行動を受け入れやすくなったり、夫婦関係やカップルの関係が良くなるとか、面接にも通りやすくなるなどの様々な効果が確認されています。

    ネガティブな感情のコントロールが上手な人とは?

    朝のうちや午前中に起きてしまったネガティブなことを引きずって、1日を無駄にしてしまう人もいると思います。
    ネガティブな出来事もどうしても時にはあるものですが、その嫌な感情を抑えるというのではなく、それが他のことに影響しないような技術を身につけておくことが重要です。
    人はネガティブな感情を否定したり避けようとしがちですが、ネガティブな出来事はある意味交通事故のようなものですから、それを否定している人は万が一遭遇した場合に逃れようがなくなってしまいます。

    カリフォルニア大学バークレー校などが行った研究で、感情のコントロールが上手で、その感情の揺れ動きで怒りにとらわれたり悲しみにとらわれたりする事が少ない人は、ネガティブな感情に対して否定的ではなかったということが分かっています。

    つまり、イラッとするような出来事があったとしても、嫌な感情を感じているという自分を認識して、そんなこともあるだろうと自分の感情に否定的な態度をとらない人ほど感情のコントロールがうまい傾向が確認されたということです。
    そうなれば、1日を無駄にしづらくなりますし余計なトラブルも起こりにくくなります

    別の実験では、ネガティブな感情に否定的で、自分が感じている緊張やプレッシャーに対して否定的に考え、自分は緊張もしていないしプレッシャーなんて感じていないと考えてしまうと、余計にストレスが増えて失敗しやすくなったという傾向も確認されています。

    ですから、これらの結果をまとめると、自分の感情に振り回されることなく上手にコントロールしたいと思うのであれば、自分の感情を否定しないということがまずは必要です。
    これは別に無理やり肯定する必要はありません。その感情に対して判定や判別をしないということがとても重要です。

    自分の感情を採点する

    そのためにできる最も簡単な方法として、自分が今感じている感情に対して採点をするようにしてみてください。
    自分を一歩引いたところから見つめているかのように、目の前の嫌な出来事に対してイライラする感情が湧いてきているとして、さっきのそのイライラが100点満点だったとしたら、今は少し落ち着いてきて70点くらいだろうかというように観察する癖をつけておいてほしいと思います。
    自分の感情を否定することもジャッジすることもないような癖をつけておいてもらえると、怒りや悲しみ、他人からのストレスに巻き込まれづらくなります。
    自分の嫌な感情はジャッジしないで眺めるだけです。

    嫌なことがあっても立ち直るのが早い人

    人間の心には、その心が折れた時にそれを元に戻そうとするレジリエンスという力がありますが、シェフィールド大学の研究で、レジリエンスの力が強い人はどんなことをしているのかということを調べてくれています。

    301人の男女を対象に、シチュエーション・セレクションという行動をどれぐらいとっているかということをチェックし、ネガティブな感情や鬱の症状との相関関係を調べました。
    その結果、このシチュエーション・セレクションという行動をとっている人達は、ネガティブな感情に強くなり、その影響も少なくなり乗り越えるスピードも早いということが分かっています。

    「嫌なことがあったら楽しいことを計画する」

    シチュエーション・セレクションというのは、ただ嫌なことがあったら楽しいことを計画するというだけです。
    嫌なことがあったらそれを補って余りあるぐらいの幸せになりそうなことを考えるというのがシチュエーション・セレクションというものです。

    これを聞くと当たり前のことのように感じる人もいるかもしれませんが、多くの人がこれをしていないということも分かっています。

    名前は知らなかったとしても、誰でも考えそうなものにも関わらず、実際は、ほとんどの人が嫌なことが起きた場合にはそのまま感情を抑えたり、そのネガティブなことから意識をそらすことだけを考えたり、他人から言われたことを鵜呑みにしたり言われたままの行動に出るというような確率が高く、半数以上がこのような行動に出ていました。
    これらはネガティブな感情をむしろ増加させてしまうだけで効果はありません。

    繊細な人ほど忘れがち

    もともと神経症的傾向が強く他人からの感情に傷ついたり気にしてしまう人ほど、嫌な気分になった時にこのシチュエーション・セレクションを意識して行うようにしてください。
    感情的に繊細な人ほど、実際には、このシチュエーション・セレクションを忘れてしまい実践する確率が少ないということが分かっています。
    感情に振り回されやすい人や自分自身が感情的になりやすい人は、ネガティブなことが起きると視野が狭くなってしまいます。
    それにより本来は自分がしている対策や乗り越えるための具体的な方法を忘れてしまいがちになります。
    ですから、自分のシチュエーション・セレクションをあらかじめルールのように決めておいて、嫌な気分になったらこれをすると癖にしておくというのが良いのではないでしょうか。

    リアプレイザル 「怒りの再解釈」

    他人に怒りの感情を感じたり嫌な気分にされた時には、やはりこのリアプレイザルが欠かせません。
    怒りを爆発させそうになった時にはその怒りの原因を再解釈するというテクニックです。これは技術ですから練習さえすれば誰でも出来るようになるものです。

    例えば、電車の中でやたらとイライラしている人がいて皆さんが何かしら嫌な気分にさせられたとします。
    その嫌な気分をそのままにしておくとその感情が沸々と沸き起こることもありますが、想像でいいので、もしかしたらあの人は何かとても悲しいことがあったのではないかと考えてみてください。
    会社に出勤する前に疲れているのに奥さんに罵声を浴びせられたのではないかと想像して、あの人ももしかすると悲しい人で何かの犠牲者なのではないかというように考えて、怒りに対する解釈を全く違うものに変えます。
    このようにするだけで感情のコントロールというものはとても楽にできるようになります。

    上司に嫌がらせをされたり嫌な気分にさせられたとしても、その嫌な気分をただ溜め込むと良くありませんし他の人に言うわけにもいかないということもあると思います。
    このような場合はリアプレイザルで再解釈を行うことによって感情のコントロールをしやすくなります。

    もちろん、瞑想を行って感情を安定させるというのも良い方法です。
    瞑想は感情がぶれている時に行うととても落ち着くということもありますし、メンタルコントロールのための良いトレーニングにもなります。
    ですから、師匠もイラッときたような時には結構瞑想するようにもしています。
    そんな瞑想の科学についてはこちらの一問一答でまとめていますので、こちらも参考にしてみてください。


    科学的根拠に基づいた知識の実験、実践コミュニティ!〜メントレラボ〜
    一問一答「瞑想をしていますか?」【瞑想の科学】


    ここから先は、嫌な気分になった時のストレスに対する考え方の違いが与える大きな影響と、DaiGo師匠が実践して自由を手に入れたネガティブな感情の利用方法について解説していきます。
    嫌な気分を利用して人生を変えたいという方は続きをどうぞ。