• このエントリーをはてなブックマークに追加

記事 3件
  • 一問一答「あなたが今まで最も心を動かされた言葉はどんなものですか?」【超文章力】

    2022-01-22 12:00  
    330pt
    あなたが今まで最も心を動かされた言葉はどんなものですか?

    文章を書くことが得意だと自信を持って言える人は少ないと思います。
    ですが、文章を書くことを仕事にしている人以外でも、伝わる文章を書く力は今の時代とても必要になる力です。

    何か商品やサービスを売る場合のキャッチコピーを作ったりセールスレターを書く場合でも、LINE のやりとりでも SNS の投稿でも伝わる文章を書く力は欠かせなくなっています。
    LINE でメッセージを送る時も、伝えたいことをコンパクトにまとめることができず、だらだらと長い文章を書いて結局伝わらなかったというようなことも起きてしまいます。

    今回は報告書を上手に書ける方法についての相談を元に、相手に伝わる文章力についてまとめさせてもらいます。
    Q. 報告書などの文章がうまくなる方法はありますか?
    オーディオブックなども活用して、長い文章の論理構造をたくさん頭に入れるということが大切になると思います。それにより自然と文章力もついてくると思います。
    『人を操る禁断の文章術』も読んで頂ければ、うまい文章は書けるようになります。
    業務上の綺麗な言葉を書けるようになりたいというのであれば、論理展開がしっかりしているような本を読むようにした方がいいとは思います。
    日本語の字幕を出しながら英語の映画や動画を見てみるのもいいと思います。
    英語は論理が結構しっかりしているので、よほど翻訳がおかしくない限りは、接続詞などもしっかりしていると思います。字幕を追いながら見るようにすると、論理展開もしっかりしてくると思います。

    以上がDaiGo師匠のアドバイスです。


    人を操る禁断の文章術

    心を動かす文章の3つの原則

    『人を操る禁断の文章術』でも詳しく解説していますが、人の心を動かす文章には3つの共通点があります。
    「あれもこれもと書きすぎない」
    「きれいな文章を書こうしない」
    「自分が書きたいことを書かない」

    心を動かすということは、相手に何かしらの行動を起こさせたい状態にさせることです。

    あれもこれもと書きすぎてしまい、自分でも後から読み返すとよくわからない文章になっていることがありませんか?
    これは意味が伝わらないのは問題外ですが、そもそも文章にはあえて余白を残して相手に想像させる部分も必要です。
    相手がイメージできるだけのシンプルさが必要になるということです。

    いくら一生懸命文章を書いたとしても、論理的なだけの綺麗な文章では相手の感情は動きません。
    想像力だけでなく感情も刺激するような文章が必要です。

    そして、当然ですが自分の伝えたいことを書くだけでは相手の心が動くはずがありません。
    自分が誰に向けてどのような思いを伝えたいから文章を書くのかよく考えてください。
    これはメールやメッセージひとつでも同じです。
    相手の気持ちや状況を推測することなく一方的に自分の考えだけを書いては伝わるはずがありません。

    LINEでの連投ってどうなの?

    LINE やメッセージで相手にわかってもらいたいと思って、短い文章を何度も連投したりしていませんか?

    短いメッセージを何度も連投した場合と長いメッセージでまとめた場合でどちらの方が相手への影響力が高まるのか調べた研究があります。

    やたらと長いメッセージを送られると面倒に感じるような気もしますが、これについて調べてみると、長い文章でまとめて送って相手に考える余地を与えた方が影響力が高まるそうです。

    これは Twitter でも使えます。
    短い文章の投稿よりも長めの文章の投稿の方がリツイートが増える傾向もあります。
    これは YouTube も同じですが、価値がある情報であれば基本的にはコンバージョンも高くなります。

    これはキャッチコピーやセールスレターでも言えることで、短いコピーの方が読んではもらえるけれど、ある程度の長さがあった場合の方が読み終わった後に購入してくれる可能性が高くなったりもします。

    これは長ければいいということではありません。
    長くても相手が読んでくれるような文章の組み立てが重要だということです。
    LINE やメッセージでは相手が思わず読んでくれるような長めの文章を一度にまとめて送った方がいいです。
    文章はしっかり考えてください。
    1行目は2行目を読ませるためにあります。2行目は3行目を読ませるために、3行目は4行目を読ませるために、そして、すべての文章は一番最後の皆さんが相手に行動を起こしてもらいたい内容のために存在します。

    読み進めることにより人間は説得されやすくなるので、しっかり計算して作った場合に関しては、長い文章で1回にまとめて送る方が効果的だということです。
    これが思わず読んでしまう文章です。

    スティーブン・ピンカーの文章術4つのポイント

    ハーバード大学の心理学教授でスティーブン・ピンカーさんという非常に有名な方がいて、この方の本は文章以外も非常に面白いです。
    『暴力の人類史』『心の仕組み』などかなり面白い本も出されています。


    暴力の人類史 上
     

    心の仕組み 上 (ちくま学芸文庫)
     
    そんな面白い本も色々と出されている方がより良い文章を書くための方法について心理学と言語学の両方の観点からまとめてくれています。
    これをもとに皆さんがより良い文章を書くための方法について解説していきます。
    顔を出して解説するような人でなければ、皆さんがビジネスで成果を上げる最も良い方法は文章力を高める方法だと思います。
    文章力やキャッチコピーを作る力を鍛えること、これはネットで商品やサービスを売ろうと思った場合には特に重要になります。
    文章力は稼ぐ力だと言っても過言ではありません。

    伝わるいい文章とは、複雑でわかりにくい文章ではなく 、わかりやすいけれど内容が損なわれていない文章と定義します。
    わかりやすいだけで内容が適当では意味がありませんし、含蓄のあるいいことを言っているけれど何を言っているのかわからなければ意味はありません。

    この微妙なバランスを取らないと、特にビジネスの場合には見てもらえません。
    小説であれば読んでもらえるかもしれませんが、セールスレターなどでは読んでもらえないということが前提になります。
    その前提で文章を書くには、よほどわかりやすく書く必要があります。

    ビジネスで使える文章の作り方やキャッチコピーについてはおすすめの本がいくつかあります。
    キャッチコピーを学ぶのであればこれは絶対に読まなくてはいけない本です。
    僕もいつも読み返している本です。人は誰でも時々読み返したりしていないと知識の実践は難しくなります。


    ザ・コピーライティング――心の琴線にふれる言葉の法則
     
    文章に関しては以前に本も出させてもらっていて、こちらはメールなどでも使える文章のテクニックを紹介しています。


    人を操る禁断の文章術
     
    ストーリーの作り方について考えるのであればこちらの本が役に立ちます。


    ベストセラー小説の書き方 (朝日文庫)

    人の心を動かすという点では、そのための影響力を学ぶことも重要です。
    こちらは Amazon の Audible であれば全部無料で聞くことができるキャンペーンの対象になっています。


    超影響力~歴史を変えたインフルエンサーに学ぶ人の動かし方 (単行本)

    まずはハーバード式の文章を書くときの4つのポイントを紹介させてもらい、その後に、逆ピラミッド法と呼ばれる昔から使われるジャーナリズムの基本にもなる方法についても紹介させてもらいます。
    日常的なやり取りに使えるものから、難しい内容を解説したいとか相手を説得したいという時に使える方法まで解説していきます。
    日常使いとしてはハーバード式の文章術で十分に役に立つと思います。

    文章術のポイント1 ・視覚的であれ、会話的であれ

    人類の進化の観点から見ると、人類の長い歴史からすると文字の発明はわりと最近のことです。
    人間は文字を読むのではなく、生き物や物体を観察して認識していた時代が長かったわけです。
    文章よりも先に視覚や会話がありました。
    目で見て物事を判断していた人類は、後に会話することを手に入れて、その会話でのやり取りをしていた期間がかなり長く続いています。

    口伝と言いますが、物語の形式にして親から子供へ、子供から孫へと語り継いだストーリーが世の中にはたくさん残っています。
    それが文字が発明されて以降に残されるようになりました。人類の歴史の中では、文字として残っていない歴史の方がはるかに長いわけです。

    そう考えると、人間の脳はそもそも文章を理解するようにできていないと言えます。
    文章よりも、目で見てわかる絵などに反応しやすいし会話の方に反応しやすいのが人間です。
    だから、マンガは誰にでも読みやすいわけです。

    ですから、相手に自分の文章を読んでもらいたいと思うのであれば、視覚と会話に訴えることが重要です。
    これが「視覚的であれ、会話的であれ」というアドバイスです。

    人間の脳の1/3が視覚に使われています。
    ですから、まるで目の前でビジュアルを見ているかのような文章を書くか、耳で声として聞いているかのような文章を書くことが大きなポイントになります。

    スティーブン・ピンカー博士は、「哺乳類は基本的に脳の1/3を視覚に使い、触覚・聴覚・動作・空間認識などに使っている。そのため理解したと思うという感覚から、自分が完全に腑に落ちたという感覚に移行するには、自分の視覚と動きで体感する必要がある」と言われています。

    ですから、会話調の言葉遣いで文章を書かないと相手に読んでもらえる可能性は減ります。
    文章を書く時にも会話として口に出しながら書くようにしてください。

    人間の脳の視覚を司っている部分や言語を司っている部分など、様々な役割がありますが、これは完全に区別されているわけではなく上手に組み合わせて使われています。
    ですから、具体的な言い回しや目の前に風景が広がるような表現が文章の中でできると、相手は文章を読んでいるけれど風景を見ている時と同じように脳が働いて理解を助けてくれます。

    会話的であれ=「頭がいいフリをするな」

    難しい研究をしていたり普通の人にはわからないような本を書いている人でも、日常生活では普通にわかりやすい会話をしているものです。
    普通に話したらわかりやすく会話をすることができているのに、文章になった途端難しい表現を使ったりわかりにくい言葉を使う人が結構います。

    自分のことを頭が良く見せたいために、ややこしい文章を使ってしまう人がいますが、これは余計に頭が悪く見えてしまいます。
    自分の印象を良くしようと思い難しい表現を使うというのは、相手からの印象はかえって悪くなり伝わるものも伝わらなくなってしまいます。

    その文章を読んでいる人に語りかけるようなわかりやすい文章にしてください。
    これによって読んでいる人の脳の負担が減ります。
    書いている人に対しての好感度が増して文章に対する信頼性も上がります。

    良い文章は読んでいる人に理解を生んで自分は天才かもしれないと思わせます。
    悪い文章は読んでいる人に自分はバカだと思わせてしまいます。

    そのためには、読み手は自分の気の合う友達だと思ってください。
    自分と同じぐらいの知性を持っている仲の良い友達を想像してください。
    「ある程度頭が良くて自分をリスペクトしている読み手に対して、彼らが知らないつもりで書く」というのが博士がおすすめしている方法です。

    要するに、読み手の人をバカにするわけでも、読み手に対して自分が凄いというところを見せるわけでもありません。
    同じぐらいの頭の良さの友達に対して、自分が凄いということを見せる必要もありません。
    それぐらいのイメージで会話的に説明するようにしてください。

    自分の中で自問自答しながら文章を書いてみるのが良いと思います。
    説明したい事柄についてどういう意味なのか質問する人と、それをわかりやすく説明しようとする人の一人二役が自分の中にいるつもりで、会話としてやり取りをしながら文章を書いていくと筋が通る文章になります。

    人は自分1人で文章を考えていると論理を保つのが難しくなりますが、聞いている人がいることを想像すると、その人がちゃんと付いて来てくれているかどうかを確認しながら文章を考えることができます。
    これだけで論理的な文章が書けるようになります。

    ポイント2 :知識の呪いに注意せよ

    人間というものは、自分の知識を他人が持っていないということを想像することがなかなかできません。
    このバイアスを知識の呪いと言います。

    人は自分が知っていることを相手も知っていると思い込んで喋ります。
    これではちゃんと指示をしていないのに「常識で考えればわかるだろ!」と怒る上司です。

    人類はみんな考え方も違うし望むものも違うし守りたいものも違います。全てが違って普通なんてありません。
    特に知識においてはその差は結構あり、自分が持っている知識を相手が持っていないことは珍しくありません。
    それなのに、人は気づかないうちにこれを排除してしまいます。
    自分は社会の一員だから、自分が思っていることは皆も思っているに違いないし、自分が知っていることは皆も知っているに違いないと思い込んでしまいます。

    人は自分の知っている知識を常識だと思い込んでしまい、文章を書く時にもそれを省いてしまいます。
    そうなると、読み手に対して何も伝わらないことになります。

    この知識の呪いを打ち砕く方法はかなり少ないです。
    少ない中でも効果がありそうな方法としては、自分にとっての読者に近いであろう人に自分の文章を見てもらい、ちゃんと意味が伝わるかチェックしてもらうのが一番です。
    書いた文章を第三者に読んでもらうだけで、かなり感覚は変わります。

    どんなに上手な文章が書ける作家さんやプロのライターでも必ず編集者が必要となる理由がここにあります。
    知識の呪いによって読者が置いてきぼりにされてしまう可能性があるからです。
    自分以外の誰かに文章を見てもらうというのは重要なポイントです。

    ここから先の残りの2つのポイントと逆ピラミッド法について知りたい方はぜひ続きはチェックしてみてください。
    文章力を身につけると、ビジネスや副業に活かすことができるだけでなく、自分で文章を書いたり本を読むのも楽しくなります。
    そんな方法について学んでいただけたらと思います。
     
  • 一問一答「あなたは得た知識を実践で活かすためにどのような工夫をしていますか?」【理解を深めるトレーニング】

    2022-01-20 17:50  
    330pt
    あなたは得た知識を実践で活かすためにどのような工夫をしていますか?

    皆さんは日々いろいろなことに取り組み学んでいると思います。
    ますます時代の変化が激しくなっている今、今までの常識とは違うことが次々出てきていて、僕たちはそれについて学んだり理解を深める必要があります。
    そういう意味では天才もそうでない人も同じようにスタートラインに立たされています。

    であれば、どうすればより効率的に理解を深めることができるのか。
    読書でも勉強でもビジネスでも、より深い理解ができているからこそ人に解説することもできます。人に伝わる解説ができるということは、それだけ深い理解をすることができているということです。
    今回は、本の要約アプリについての相談をもとに、前回も解説させてもらった解説力の実践的なトレーニングについてまとめておきます。

    Q. 毎日読書をしていますが、本の要約アプリは効果があるのでしょうか?

    読書好きからすると超絶邪道だと思っています。

    本は情報を頭に入れるものではありません。
    本というものは、そこに書いてある情報を人に伝えようと思って自分の頭の中で要約することで初めてその内容が頭に入ります。

    ですから、本の要約アプリで本を読んでいる人は内容が頭に入っていないはずです。
    ある程度情報として入っていても、それを人に伝えたり日常生活で使えるレベルになっていません。
    流行りの本の話題にはついていけると思いますが、自分の人生に大きな影響を与えるような深い思考はできません。

    本の要約アプリで100冊読むのであれば1冊の本を読んだ方がいいと思います。
    その方が経験としても思考としてもより深くなります。本を読むのはインプットするためではなく、向き合って考えるためです。

    以上がDaiGo師匠のアドバイスでした。

    解説力を高めるトレーニング

    解説力を高めるために日常的に行えるトレーニング方法について紹介させてもらいます。
    前回紹介したような、どのようにして相手に納得してもらうかという伝わる解説のためのメソッドも重要ですが、普段から自分の表現力を磨くトレーニングもあります。
    日常の中で誰かに何かを説明するときにも、それは自分にとってトレーニングだと思ってすれば、失敗しても大丈夫と思えるようにもなり、そのモチベーションも上達のスピードも全く違ってきます。

    世の中には皆が理解できないような難しい概念を説明することで成功した人もいます。
    彼らが使っていた解説方法をベースにして、皆さんが日常の中で使えるトレーニング方法を紹介させてもらいます。

    天才物理学者リチャード・ファインマンの解説力
    リチャード・ファインマン博士はとんでもない天才で、大学院在学中にマンハッタン計画に参加したほどの人です。
    彼の授業はとてもわかりやすかったそうですが、本当に物理が好きすぎて物理以外は全く興味がありませんでした。
    名誉もある団体の代表や理事などの依頼も多かったそうですが、それらは全て断っていたそうです。

    大きなことを成し遂げたり、他の人が出来ないことを成し遂げたりするためには、余計な約束や余計な業務は抱えられません。
    だから、まわりにそれを発言しなければならない。無責任だから・・・と言っておく必要があります。

    これは、リチャード・ファインマン博士の名言です。
    彼は、自分のことを「社会的無責任論者」と呼んでいました。

    自分は無責任だから責任ある仕事は出来ないと言い切ることによって、余計なものを全て放棄し、自分のやるべきことに集中することができて、初めて大きなことが成し遂げられるということです。

    そんな事を言うと、会社にいられないという人もいると思いますが、それは自分で選んでそこにいるのですから仕方ないです。
    過去の自分の選択は、今の自分が選択しなおしさえすればいくらでも変えることは出来ます。
    変えるならば今です。

    自分で選択したことで今がある。そこに不満があるとしたら、今自分が決断すれば、いくらでも未来は変えられると考えることが大事です。

    「社会的な責任は一切取れない。そうでもしないと物理に集中できないから。」
    このように言われていて、実際に、物理の世界で歴史に名を残す発見なども数多くされました。

    「ファインマン・テクニック」
    そんな間違いない天才物理学者のファインマンさんが実践していた解説力を高めるためのトレーニング方法があります。
    これは何かを学習する時と誰かに物事を説明する能力を鍛えたい時、この両方で高い効果を発揮するということが分かっています。
    非常にシンプルな構成でできていますが、何か新しい知識を自分の頭に入れる時にも説明力を使うことができます。

    説明力の高い人は、新しいことを学んだり本を読む時にも「それをどのようにしたらわかりやすく説明できるだろうか?」ということを常に考えています。
    説明力が低い人は、自分の言葉に言い換えたりわかりやすく表現を変えたりすることなく、見たものをそのままインプットしようとしてしまいます。
    そうなると、当然説明はヘタになりますし自分の理解も進まないわけです。

    ですから、このファインマンさんのテクニックは、自分の勉強の効率も上げてくれますし他人に物事を説明する能力もあげてくれる素晴らしいテクニックです。
    インプットとアウトプットの両方の能力を高めてくれる方法です。

    これは全部で3つのパートで構成されています。
    1. 子供に教えるつもり
    2. レビュー
    3. 整理とシンプル化

    この3つの要素についてマスターするだけです。
    物理学というものは非常に難解な理論に基づいています。それをインプットするためにもアウトプットするためにも役に立っていたテクニックです。

    ちなみに、ファインマンさんの本は非常に面白いです。
    読み物としてとても面白いのでチェックして下さい。


    ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

    ファインマン・テクニックその1 :子供に教えるつもり
    勉強中にノートを取ったりする時に、ただ箇条書きにしたり覚えるべきことをそのまま書く人が多いと思います。
    それは今日からやめてください。
    まるで子供に教えるかのような言葉遣いでノートをとってください。

    ノートを開いたら、まず一番上に自分が学習(説明)したい項目について、できるだけ短い文章で書いてください。
    これはタイトルのような感じです。
    例えば、「デフレの影響とは」「量子力学とは」など、短くタイトルやキャッチコピーのように書いてください。

    そして、その下に「その内容を子供に教えるにはどうすればいいだろうか?」と考えて、その項目について知っていることを全て書き出していきます。
    本を読んだり勉強している場合には、その中から必要な項目をすべて書き出していきます。
    ノートをとる時の一番のポイントは「それを子供に教えるにはどうすればいいか?」ということを考えながらノートをとることです。

    これは本を読む時にも新しい知識を学ぶ時にも使ってください。
    子供に教えるつもりで考えていると難しい部分を省くことができるだけでなく、自分が本当に理解していない部分が見えてきます。
    子供に教えることができるぐらいの内容にするには完全に理解する必要があります。
    それができていないとシンプル化した瞬間に意味を損なってしまいます。

    子供に教えるつもりで考えることで、自分の理解度を高めることもできますしアウトプットも上手になります。
    これを常識を超えるレベルの天才が考えていたということがすごい気がします。
    ファインマンさんは皆が理解できないような難しい理論や概念を理解していた人です。そんなレベルの天才が子供に教えるつもりで常に考えていたわけです。
    ということは、ファインマンさんほどの天才ではない僕達はもっとこれを意識するべきです。

    この子供に教えるつもりで考える時には、その子供を具体的に想定してください。
    原因と結果というような基本概念を理解するために十分な語彙と注意力を持っている12歳ぐらいの子供の設定が望ましいそうです。
    そういう意味では、真面目でいい子な中学1年生ぐらいの子供に説明する時に、それをどのように説明するだろうかと考えると非常にわかりやすい説明になるということです。

    中田敦彦さんのYouTube はわかりやすくて定評がありますが、確かに中田さんは子供が見てもわかるようにされています。
    ですから、実際に子供達も見ていますし受験生も参考にしていることも多いようです。

    この子供に教えることを意識することで、より物事を深いレベルで理解することができて、その物事の間の関連性やつながりについてシンプルに認識することができるようになります。
    僕たちが知識を覚えてもなかなか役に立たないのは、この作業を行っていないからです。
    子供にも説明できるようにするには、その物事をかなり深いレベルで理解する必要があります。子供にも説明できるぐらいまで理解することができていれば、それを実生活でも役に立てることができます。

    そして、それぞれの物事がとても複雑で難しいものであっても、子供に説明できるぐらいまでブレイクダウンすることができていると、その本質的な部分の類似点や共通点も見えてくるようになります。
    それによって知識がつながり、実践でより使うことができるようになるわけです。

    例えば、今微分積分の問題を出されてさっと答えることができるでしょうか?
    数学がよほど好きな人でなければおそらく忘れていると思います。

    この微分積分を中学1年生の子供に分かりやすく説明できるぐらいまで理解することができていれば、日常生活でもこの微分積分の考え方は使えるようになります。
    12歳の子供に物事を教えるつもりで、知識を学んだり勉強したり理解するようにしてください。
    これだけでもかなり変わります。

    もちろん、いくら頑張っても子供にわかりやすく教えることを優先すると物事の正確性が失われる場合もあります。
    多少物事の本質がずれてしまう場合もありますが、それはそれで問題ないと思います。
    本質とはずれているけれどこの説明や認識がわかりやすいと考えてそうしている場合には、自分がその違いを理解していれば問題ありません。

    元の意味を損なうことなく目的をもって情報を変えるのは誰でもすることです。
    例えば、皆さんがレストランに行って、シェフが「素材の味を大切にしている」と言って食材がそのままテーブルの上に出てきたらさすがに腹が立つはずです。
    素材の風味を多少損なったり形は変わったりするけれど美味しい料理を作るのがシェフの仕事です。
    シェフは元々の食材の特性を理解しているからそれができます。
    それを理解していない人が形を変えるとただの失敗料理です。

    とかく今の世の中では、少し説明が違ったり間違ったりするだけで批判されたり叩かれたりしますが、それを分かった上で子供にわかりやすく変えるのであれば問題ないと思います。

    ちなみに、ノートの取り方についても勉強した方がいいと思います。
    これについては、こちらを参考にしてみてください。
    DaiGo師匠も実際に学生の頃から使っているインプットのためのノート術なども紹介させてもらっています。


    あなたの知識を驚くべき結果に変える 超戦略ノート術

    ファインマン・テクニックその2 :レビュー
    先ほど本質を損なってしまう場合があるという話をしましたが、それを補ってくれるのがこのレビューというテクニックです。

    子供に教えるつもりで学習したり理解を深める時には、以下の3つのポイントに留意してください。

    ①重要なのに忘れていた知識は何だろうか?
    ②スムーズに説明できなかったパートはどこだろうか?
    ③変数がどのように相互作用しているのか、うまく説明できなかったパートはどこだろうか?

    変数の相互作用というのは、A が変われば B が変わり、B が変われば C が変わるというように物事には相互作用が必ずあります。
    それらの物事がどのように関わっているのか、うまく説明できなかった部分はどこかということです。

    この3つのポイントに注意を向けていくと、自分の知識のギャップが見えてきます。
    その知識のギャップが見えてきたら、基本的な言葉で説明できるようになるまで元の資料を読み直してください。

    重要なのに忘れていた知識があれば当然復習すると思います。
    説明したり理解する時に、自分の理解が曖昧なところに気づくことがあるかもしれませんが、そこでお茶を濁すことはしないでください。
    あえて省略しているのとわからないから省いているのでは全く違うので、それは必ず相手にバレてしまいます。
    スムーズに説明できなかった部分に注目しておくと、自分の理解を深めることができます。

    物事の関連性についても重要です。
    相互作用や物事や知識の関連性まで分かっていなかった部分も理解が深まっていないということになります。
    それをレビューしてください。

    ここまでしていただけると、物事や概念に対する理解の境界線が特定されて、自分の理解している部分がはっきり見えるようになります。
    人が知識を理解しているかしていないかというのは結構曖昧なものです。
    自分がそれを理解しているかしていないかという境界線がはっきりしてくるので、理解が足りない知識に対しては、それはあと何度復習することで理解することができるのかということも見えてきます。
    そうすると、いつ理解できるようになるのかということがわかるようになり勉強のモチベーションにもなります。

    ファインマン・テクニックその3 :整理とシンプル化
    子供に教えるつもりでノートを作って、それに対するレビューも行いました。
    自分にとって足りなかったところや繋がりが分かっていない部分が見えてきました。

    その後に、まずはもう一度専門用語を間違えていないかチェックして下さい。
    ここでもう一度専門用語をチェックすることで、気づくことができなかった意味の取り違えなどに気づけることが結構あります。
    ここで改めて専門用語だけチェックしておくと理解が深まります。

    専門用語は、それが何度も必要になる言葉だから専門用語を使って文章を短縮化するためのものです。
    ですから、専門用語の意味と専門用語がどのように使われているのかということをチェックするだけで、意外と全体の内容を追うことができます。

    これは読書でも使えます。
    読書をする時には、その中でよく使われる専門用語を表紙を開いたあたりの書き込むことができるページに、10個から20個ぐらいの専門用語を箇条書きにしておいてください。
    読み返す時に、その専門用語だけを折ったりその意味について考えるだけで、読書の効率的な復習になります。

    これは新しいジャンルを勉強する時にも使うことができて、最初に専門用語だけをまとめた本などで専門用語の意味だけを勉強しておきます。
    そうすると、新しいジャンルの本でも内容を理解しながら読み進めることができます。

    子供に教えるつもりでノートを作ってレビューを行い、専門用語をチェックしたら、そこから一連のストーリーとして解説していくための準備に入ります。

    ここでは、自分がまとめた内容を必ず声に出してください。
    もしその説明が単純ではないとか、自分で喋りながら複雑さや混乱している感じがしたら、さらにシンプルにできないかということを考えてください。

    ここでの注意点としては、わかりにくいと感じても情報を加えることはしないようにしてください。
    基本的にはシンプル化です。
    増やすことは誰でもできます。減らすというのは理解しているということです。
    シンプルにしながら情報を損なわないようにしましょう。
    シンプルにするために元の本やテキストを参考にするのはいいですが、情報を追加することはしないようにしてください。

    これを何度も繰り返していくと、様々なテーマが書き込まれたノートが出来上がります。
    これができたら、年に2回とか3回でいいので全てのノートを読み返す時間を作りさえすれば、全ての知識が確実に記憶に定着してきます。

    ですから、ファインマン・テクニックによるノートは、物事をとことん煮詰めたほんの数行しかない本質の概念を作っていくことが目標です。
    そこまでシンプルにすることができていたら、年に何回も復習することができるので、頭の中に確実に知識を定着させることができるわけです。
    頭の中に確実に記憶として定着しているから例えもすぐ出てくるし、日常の中で知識を実践として活かすことができます。

    ここから先は更に実践的な知識を身につけるためのトレーニング方法を解説していきます。
    読書や学習を効率的に行い、実生活で使える知識にしていきたい方はぜひ続きをチェックしてみてください。
     
  • 一問一答「あなたが大切な人に納得してもらいたいことは何ですか?」【超解説力】

    2022-01-18 13:20  
    330pt
    あなたが大切な人に納得してもらいたいことは何ですか?

    人間関係の充実を考える上でもビジネスをする上でも、相手に納得してもらうことが重要になります。
    今回は、要約力や説明力を身につけたいという相談をもとに、相手に納得をしてもらうための解説テクニックについてまとめさせてもらいます。
    Q. 要約力や説明力を身につけたいのですがどうしたらいいでしょうか?
    おすすめは、3パートリストを仕事でもプライベートでも自分に染み込ませてください。
    まず結論から話して、大事なポイントが3つあると伝えます。必ず話をする時に3つのパートに分けるということを心がけてみてください。

    大事なポイントが3つありますということでもいいですし、序盤と中盤と終盤の3つに分けても構いません。どんな分け方でもいいので3つに分けるようにしてください。
    人間は、2つでも4つでもなく3つの時が一番頭に入ってきやすくなり説得力も上がります。

    以上がDaiGo師匠のアドバイスでした。

    相手に納得してもらうためには、当然ですが、自分の意図していることが正しく伝わることが必要となります。
    相手に納得してもらう前に、相手に正しく伝えるということが必要になりますが、ここで相手との間に誤解が生まれることもあります。

    この時の問題点としては以下の3つが考えられます。
    解説力と理解力により伝わっていない
    不信感によって信じてもらえていない
    記憶違い
    人間の記憶というものは結構適当なものです。
    だからこそ、記憶力を高めることも重要になり、努力していないと記憶は簡単に消えてなくなり相手との間に記憶違いというものが起きてしまいます。

    DaiGo師匠のアドバイスの3つのパートに分けて説明する方法を紹介したのも、わかりやすい喋り方によって記憶に残りやすくなるというメリットがあるからです。
    記憶に残るから誤解されることも少なくなり、自分が伝えたい内容も伝わりやすくなります。

    ですから、
    相手に理解してもらいたいとか納得してもらいたいと思うのであれば、まず心がけておくポイントは3つです。
    ポイント1 :記憶に残りやすい喋り方をする
    ポイント2 :相手に信頼感を感じさせる
    ポイント3 :相手の理解を深める解説力を身につける
    記憶に残りやすい喋り方としては、わかりやすいジェスチャーも重要です。
    ジェスチャーを使った方が、相手の理解度が高まるだけでなく具体的な話題が伝わりやすくなるということが分かっています。
    さらには、ジェスチャーを使っている人の方が信頼されやすいし誤解もされにくいということも分かっています。

    誤解されたくない、正しく相手に納得してもらいたい、そう思うのであれば3つのポイントにまとめるということとジェスチャーを上手に使うということを覚えておいてください。

    相手に信頼感を感じさせるという点では、傾聴のテクニックやアサーションも重要になります。
    ちなみに、この信頼感の為にもジェスチャーは重要です。
    ゆっくりした動きで、かつ、開放的な大きな動きをしている人に対して外向的な人だと判断されるということが分かっています。
    さらに、信頼感も高くて性格としては優しいイメージを持たれます。
    ですから、ビジネスでも面接でもゆっくりとした開放的なジェスチャーは重要になります。

    そして、何よりも重要になるのが解説力です。
    今回はこの解説力について掘り下げていきます。

    解説と説得と大衆煽動

    相手にとってわかりやすい解説が重要です。
    わかりやすい解説があった上で、そこにさらに説得力を合わせることができれば、相手の心を動かすこともできます。

    ただ、わかりにくい解説の場合には、そもそも話を聞いてもらえなくなります。
    特に現代ではどんなものでも良いものがあふれています。
    そうなると、皆さんが何か新しいことを始めようと思っても、それがどれだけの価値があるのかということを伝えることができないので、相手の行動を変えることはできません。

    この相手の行動を変えてもらいたいと思った時に、一生懸命説得しようとする人がいます。
    例えば、怪しいビジネスの勧誘をされる時に、一生懸命言われれば言われるほど話が早く終わらないかと思うようになるはずです。

    相手を説得するということを考えると、説得力や大衆煽動についても学んでみるのもいいと思います。


    プロパガンダ:広告・政治宣伝のからくりを見抜く

    影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
     
    国や政治家が人を動かすために使ってきた大衆煽動、DaiGo師匠の人生を変えてくれた本でもある『影響力の武器』をはじめとする説得力に関する研究もありますが、そこまで行かなくても相手の態度を柔らかに変えたいという時に必要なのは「解説力」です。

    わかりやすい解説は相手に納得を生みます。
    人を説得することが苦手な人でも、解説する力を身につければ相手を納得させることはできます。
    納得させることができれば、相手は勝手に行動を変えてくれます。

    DaiGo師匠はほとんど案件は受けることがなく自分が本当に良いと思った本やワインを紹介して多くの人が買ってくれますが、これは説得というよりは解説する力によるものだと思います。

    わかりやすい解説をして、それが本当に良いものであれば勝手に相手の行動が変わります。
    相手にとって都合が悪いことや相手が損をするようなことで、相手に条件を飲ませなくてはいけないとなると説得力が必要になります。
    あるいは、それがおかしなことであっても相手に信じ込ませたい場合には大衆煽動まで学ぶ必要があります。

    ですから、皆さんが本当に良いものだと信じているものを相手にわかってもらいたいのであれば、この解説について学ぶだけで十分です。
    人を言葉で動かすという点では同じですが、それぞれ使い分ける必要があります。

    オックスフォードが教えてくれる解説力

    そんな説得について、オックスフォード大学が学生に向けて説得に必要な科学的な要素をまとめてくれています。
    これは2011年のものですが、解説の基礎として非常に重要な8つのポイントをまとめてくれています。
    解説を考える上で必要な要素をほぼ網羅してくれていると思えるぐらい分かりやすいものです。

    オックスフォード大学では、優秀な経営者やソーシャルなリーダーを多数輩出していて、人前に立ってスピーチをしたり何かしらの説明をする立場にいる人たちが非常に多くいます。
    オックスフォードによる解説というのは、僕たちが学んでも非常に有益なものだと思います。

    わかりやすい解説の8つの必要要素
    必要要素その1 :実践的な例を使いましょう
    人は何かを説明するときに例を出しますが、「例え」が下手な人がいます。
    大抵の場合、気の利いた例えをしようと思いながら失敗しています。
    ですから、気の利いた例えを使おうとしないでください。

    ただ実践的な例えが必要になります。
    要するに、実践的で使える例えということです。

    例えば、あるあるネタの芸人さんがウケる理由もここにあります。
    多くの人が理解できて「確かによくある話だ」と思えるからです。

    何かを説明するときも同じです。
    難しいことを説明するときにはできるだけ短くしてください。
    一言で簡単に伝えて、その上で、誰でも共感できるようなよくある内容で例えてください。
    誰でも使ったことがある内容に例えるのがベストです。

    この時には、相手が体験したことがある内容が使えるならそれがいいと思います。
    例えば、相手が以前会話した時に話していた内容などが使えると、相手はより理解がしやすくなります。
    相手が独自に持っている例を使うことができればより強力になります。

    例えば、論文では「レジャー」という言葉がよく使われます。
    これはそのまま伝えると具体的なイメージが湧きません。
    これは「学校や仕事を離れて行なっていること」となりますので、このような場合はそれは相手に質問してもいいと思います。
    それによって、相手にとってのレジャーの具体的な例が分かれば、それ以降はその具体的な例に例えて話をするようにしてください。
    「サングラスひとつの商品を2000万本?!」

    シュガーマンのマーケティング30の法則 お客がモノを買ってしまう心理的トリガーとは
    この本の著者のジョセフ・シュガーマンという方はとても有名な人ですが、 アメリカで初めて800というフリーダイヤルを使って注文を取る仕組みを作った人で、クレジットカードで決済すると電話代が無料になるというサービスを作られた方です。
    今では当たり前のようなサービスではありますが、そのようなアイデアが何もなかった時代にそれをカタチにした人です。
    他にも、1986年にブルーブロッカーというサングラスをテレビショッピングなどを使い大々的に販売して、なんと2000万本以上を販売しているそうです。
    たったひとつの商品を2000万本以上も売上げたということです。

    この本の中に出てくるリンキングというテクニックで、売りたい商品のメリットを伝えるよりも、「相手が既に知っていることと自分の商品を結びつける」ということをする方がはるかに効果が高いというようなことが解説されています。
    すでに相手が知っていることと結びつけることによって抵抗感を減らしたり理解を深めるというようなことが必要になります。

    この「相手が既に知っていること」と自分が解説したいことを結びつけるために「実践的で使える例え話」が効果的なわけです。
    相手が知っていることといかに結びつけるか、これを意識しながら上手に例え話を使うようにしてください。

    必要要素その2 :個人的な経験の共有
    自分の経験を例として使うというものです。

    ストーリーテリングというテクニックがあり、人に解説する時には論理と感情の両方を合わせて使うことができます。
    感情に対しても論理でも相手に訴える一番良い方法はストーリーとして伝えることです。

    ストーリーの中には時系列があり、人はこの時系列を論理として捉えます。
    その中の登場人物が論理的に会話をする場合もあれば、感情に任せて動いたり発言する場合もあります。
    だからストーリーは面白くて引き込まれます。
    感情に訴えるだけでもなく、論理で伝えるだけでもなく、感情と論理の両方がセットになっているのがストーリーです。

    とはいえ、このストーリーをゼロから作るのはかなり難しいものです。
    小説はだから売れます。
    小説は別に実践的な内容が入ってるわけでもありませんし、エンターテイメントにはなっても、そこで読んだ内容を自分の人生に実践的に使うにはなかなか難しいところがあります。
    それでも、僕たちはなぜ小説を読むのかというと、そこにストーリーがあるからです。

    そんなストーリーを小説家でもない僕たちが作ろうと思ってもまず無理です。
    ですから、自分の経験を使って説明するわけです。
    人間は自分の過去の経験を必ずストーリーとして記憶しています。
    自分の経験を上手に使うことができれば、簡単に相手にとって分かりやすい解説をすることができます。

    ただ、自分の経験を話す時に、自分の感情を極端に入れなかったり、逆に、自分の感情を極端に入れすぎて時系列が崩壊する人がいます。
    ここには気をつけながら、なんとか自分の経験を話している中で感情と時系列のバランスを考えてみてください。
    そうやって、自分で試しながら感情と時系列のバランスを磨き上げていきます。

    例えば・・・

    この文献にある「コード・スイッチング」という言葉の意味を理解するために私がよくやる例を出しましょう。
    私は同僚の人と話をする時には、ひとつの話の中で方言を切り替えながら話すことがあります。
    例えば、地元の友達と話す時には地元の方言が出たり、留学生と話す時には英語を使ったり、仕事の相手と話す時には標準語で話すようにする、使う言葉を切り替えることがあると思います。
    これが「コード・スイッチング」という言葉の意味です。


    このように話すと、具体的な概念としてはよくわからなくても、言葉を切り替えて使うという意味かと理解できるはずです。
    自分が普段していることや過去の経験からわかりやすい例を出すようにしてください。

    例えば・・・「コンフォートゾーンから抜け出す」という言葉の意味を伝えるためにDaiGo師匠がよく使う例えがあります。

    「コンフォートゾーンから抜け出す」ことは難しいものです。
    それは人は慣れ親しんだところから抜け出すことに強い抵抗を持つからです。
    例えば、僕がテレビをやめるという決断をした時の話をするのであれば、やはり、それによって今まで積み上げてきたものが失われる感じがしました。
    さらに、これから先に何が手に入るのかも分かりませんでした。
    誰に相談しても、もったいないしやめない方がいいと言われ、考えれば考えるほど恐怖感が募るばかりでした。


    このように話すと、相手も自分が何か新しいことに挑戦しようと思った時には手放すことを恐れるような気がすると感じるでしょうし、将来に不安を感じるというのも納得できると思います。
    このように自分の経験をベースに例え話をすることによって相手に伝わりやすくなります。
    これは当たり前のように思うかもしれませんが、実際に意識してしている人はほとんどいません。

    これにはさらにメリットがあり相手の共感を得ることもできます。
    特に、自分の経験の中でもつらかった経験や悩んだ経験を話すことができる人は相手に信用されやすくなります。
    その信用を獲得するという点でも、自分のストーリーを話すというのは結構重要になります。

    ストーリーテリングについては、これらの本がどれも参考になると思います。

    心に刺さる「物語」の力 ──ストーリーテリングでビジネスを変える (フェニックスシリーズ)


    「感情」から書く脚本術


    物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

    記憶に残りやすく喋ることが大切になります。
    そのためにできる方法としては、論理的な解説だけでなくストーリーも付け加えて話すことです。

    この力を鍛える方法としては、名言や逸話の本を読んでも結構ですが、映画やアニメのストーリーでも結構です。自分がそのストーリーに何かしらの感銘を覚えた時には、それをメモしておくことをおすすめします。
    そんなメモがたくさん溜まってくると、徐々に使いこなすことも出来るようになります。
    使いこなせるようになると、他人に何かしらの話をする時も説得力が上がりますし、人を自然と動かす解説力も身につきます。

    ここから先は解説の必要要素の残りについて具体的に説明していきます。
    ぜひ続きもチェックしてみてください。