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【総集編】あなたは心や体が疲れたら何をしていますか?【自然の力】
あなたは心や体が疲れたら何をしていますか?
今回は自然の力を日常生活に活かすための科学的な方法について解説させてもらいます。
やる気がなくても3ヶ月で人生変わる自然習慣
人は、同じ体験をしても、そこからどれくらい幸せを感じることができるのか?ということも、同じ人に出会ったとしても、その人と良い関係を作ることができるか? ということも皆さんのメンタル次第です。
結局、人生に大きな影響を与える部分は精神的な影響が大きいわけです。
この精神的な部分を変えようと思うと結構大変です。
認知行動療法やマインドフルネス、様々なセラピーやメンタルトレーニングなど色々とありますが、それも難しいという人が結構います。
では、毎日一生懸命メンタルトレーニングをしたり、何時間も瞑想のトレーニングを行なったりしなくても、あるいは、全くやる気がなくても人生が変わる方法はあるのでしょうか?
結論としては、そんな方法もあります。
それが自然習慣です。
古代ローマ以前から続く、天才たちの習慣:逍遥(しょうよう)
これは古代ローマ以前から続くもので、天才たちの習慣として取り入れられたりしていました。
例えば、逍遥(しょうよう)という習慣は、ソクラテスやアリストテレスの時代からありました。
現代でも、偉人たちや天才たちが取り入れています。
ビジネスでもどんなことでも同じですが、今まで通りの方法を続けていてはうまくいかなくなるときが必ずあります。
このようなときは、創造性を高めて今までとは違う方法を試していくしかありません。
創造性は鍛えることもできますが、それを鍛えた人も創造性のスイッチを入れてあげないとクリエイティブなアイデアは出てきません。
どんなクリエイティビティの高い人であっても、面白いアイデアをひらめくことがなければ何も始まりません。
実は、サクッと創造性を高める解決思考習慣というものもあります。
ここでも自然が大きな力を発揮します。
逍遥は簡単に言うと散歩ですが「そぞろ歩き」です。
目的を持たないで歩くことです。
例えば 、何か考え事があったとしたらそれを考えて、ぼんやりと考えながらひたすら森の中をうろうろするような感じです。
目的もなく自然の中を歩くことを逍遥と言います。
公園に行くとか駅まで行ってみるとか、目的地や目的があっては逍遥ではありません。
これでは創造性が発揮されません。
目的がないと常に状況が変わっていくので脳に新しい刺激が入ってくるようになります。
これによって創造性が発揮されて新しいことを思いついたりします。
古代ローマの時代から、天才たちや偉人たちは、この逍遥を好んで、歩きながら議論を行っていたという話もあるぐらいです。
それが現代になって失われつつあるという残念な話です。
逆に、最近では立って会議をしたり、スタンディングデスクで仕事をするという人も増えてきています。この効果を古代ローマの天才たちはその頃から取り入れていたということです。
問題が起きたら歩くことが大事で、それによって解決すると昔から言われていました。
例えば、ニーチェも「偉大な思考は散歩の賜物だ」と言われていました。
散歩することによって偉大な新しい思考が生まれてくると言っていました。
ルソーも「足を止めると思考は停止する」と言われていました。
自分の脳は歩いている時にしか働かないと、科学的にも完全に正しいことを当時言っていました。
蒸気機関を発明して世界を大きく変えたワットも、歩いている時に思いついたアイデアによって蒸気機関を発明したそうです。
真面目にずっと机にしがみついて思いついたことで発明されたものは実は少ないです。
エジソンを超える天才だと言われていたニコラテスラも、公園を散歩している途中にエンジンの構造を思いついたそうです。
世界中の偉人たちは逍遥を日常生活に取り入れています。
凡人はこれをしません。
皆さんも目的もなく歩いたりしていないのではないでしょうか?
ですが、それが実はとても重要だということが様々な研究からも指摘されています。
スマホの電源を切って街中を目的もなく歩いてみてください。
行き先も曲がる方向もただぼんやりと考えて決めて歩いてください。
そうやって歩きながら、なんとなくぼんやりと考え事をして、何かいいことを思いついたらポケットに紙とペンを入れておいてメモしておいてください。
もちろん、これは森の中で行うとより効果は高いですが、一定時間歩いてもし帰り道がわからなかったら帰り道だけ Google マップを使ってください。
いいアイデアを作り出したいとか、今自分の中にないものを手に入れたいと思うのであれば、目的のない行動が必要になります。
目的があるときには、自分が今見えている視点の中だけで物事を考えています。
目的のある行動の中にイノベーションは生まれません。
ですから、目的のない行動をとる時間を1日の中で必ず作る必要があり 、おすすめはこの逍遥です。
これは最低でも30分から40分はした方がいいです。
歩くことは脳に送る血流を増やしてくれて、歩いている時の方が良いアイデアは出やすくなります。
森の中を散歩した場合と都会の中を散歩した場合を比べた研究がいくつかあります。
都会であっても散歩しないよりは散歩した方がいいのは間違いありませんが、森の中を散歩すると、都会の中を散歩するときよりもコルチゾールの値がマイナス16%になるという研究があります。
人間が興奮していたりストレスが高まっている時に活発になる交感神経はマイナス4% 、血圧もマイナス1.9% 、心拍数はマイナス4% 少なくなり、さらに不安も減少するということが千葉大学をはじめとする様々な研究で示されています。
歩く時間としては、もちろん全く歩かないよりは5分とか10分でも良いのは間違いありません。
ストレス発散の効果だけを考えるのであれば、森が見える場所や公園などに5分だけ行って帰ってくるということでも十分に効果があります。
ぶっ通しで40分でなくても構わないので、1日40分の散歩をする習慣を作ってみてください。
これによって認知機能が改善したり、自分をコントロールして物事を計画的に進める力である実行機能が改善します。
それだけでなく、記憶力も判断能力も行動力もアップします。
これだけの力が変わると人も人生も大きく変わります。
さらに、1日40分の散歩は、損傷した遺伝子が体に悪影響を与えることを防いでくれます。
損傷した遺伝子が溜まっていくと、人間は癌になったり様々な病気になってしまいます。
これを綺麗に掃除してくれるという効果もあります。
なかなか答えが出ないような知的難題に向き合う力も与えてくれます。
仕事でも人間関係でも、皆さんがずっと向き合うことができていなかった難題はあるのではないでしょうか?
そんな問題にも向き合うことができるようになります。
人付き合いもうまくいくようになります。
共感能力が下がっていたり頭の回転が悪いと、人付き合いでも余計な問題を抱えてしまいます。
そんな人付き合いの問題も散歩によって解決します。
そして、自然の中を歩くことのメリットとしては「新規性効果」もあります。
自然の中は四季折々でその時によって状況が変わります。
天気によっても全く違います。
これが自然の素晴らしいところで、毎日同じ場所でも姿や状況が違います。
都会の悪いところは毎日姿が変わらないところです。
通勤電車は毎日混んでいるし微妙に変わっていても興味もありません。
人間が興味を引くような新しい経験や新しい体験が常に生まれてくれるので、自然の中の散歩というものは最強です。
人間は新しい体験を経験すればするほど気分が明るくなるというのが新規性効果です。
ここ数十年では自然欠乏障害という病名もあるぐらいです。
動植物や自然と触れ合うことの少ない子供ほどADHDになりやすかったり、多動症やうつ病になりやすいともいわれています。
小さな自然でも結構です。そこに目を向けていることが大事です。
信頼される人になりたいなら5分間のグリーンエクササイズを!
人は相手の疲労度で相手を信用することができるかどうかということは判断しているという研究があります。
人の信用と疲労というものは密接に関わっていて、疲れている人は信頼されないということです。
誤解されやすい人や信用してもらいたいけれどなかなか信用してもらえないという人は、大事な人と会う前や大事な仕事のプレゼンなどをする前に散歩をすることをお勧めします。
5分間のグリーンエクササイズをお勧めします。
自然のある公園などで構いませんので、そのような場所に行ってスマホを触ったり余計なことをせず、緑を眺めながらゆっくりと5分間だけ散歩してみてください。
この5分間だけ緑の中での軽い運動をするグリーンエクササイズをすると、僕たちのストレスや疲れのレベルというものはかなり低下するという効果があります。
たった5分でも効果がありますのでこれは最低でも行った方がいいです。
それで一時的に自分の中に溜まっているストレスや疲れを一旦リリースして、それから大切な人に会ったり商談に臨むようにすると、相手から信用してもらいやすくなる可能性が高くなります。
自分の恋人やパートナーとケンカした時に、信用してもらいたいからといって、自分が仕事で疲れている時に一生懸命弁明したり誤解だと訴えるような人もいると思いますが、それも出来れば疲れていない時にした方がいいわけです。
夜よりは朝の方が疲れていないので受け入れてもらえる可能性も高くなるということです。
ちなみに、大事な仕事や用件がある日には、朝に少し激しめの運動をすることをお勧めします。
HIITで20秒間全力で動いて10秒間休むというのを繰り返すような運動を行うことによって、人間はこれによりドーパミンやエンドルフィンなどが分泌されて、疲れを感じづらい状態になります。
このように運動することによってホルモンバランスを調整して疲れを感じづらくするというのもいいと思います。
自然は人間の感情を最適な状態にしてくれる
様々な研究で、自然というものは人間の感情システムを正しいバランスに戻してくれるということがわかっています。
皆さんは肉体的な疲労や精神的な疲労を感じたときにどんなことをしていますか?
僕たちが疲労を取ろうと思うと、副交感神経を活性化させる必要があります。
イライラしたりソワソワしたりしているような時は交感神経が活発になっています。動物で言うならば戦闘態勢に入っているような状態です。これをリセットするために、スマホなどは置いておくか機内モードにして、自然の中に行くことがとても効果があります。
自然の効果について調べてくれたメタ分析では、様々な疲労回復やリラックスに使えるとされているマッサージや自律訓練法などと比べて、自然にどれくらいリラックス効果があるのかということを調べてくれていますが、その結果、自然の効果量がおよそ0.71でした。
効果量が0.5を超えると効果が大きいと言えるぐらいです。
マッサージや自律訓練法もかなり効果はあるものですが、それでも効果量は0.57ぐらいです。自然の力はこんなにも高いということです。
人間の感情システムというものは、脳内で分泌されている様々な物質やホルモンでコントロールされていて、これを一番いい状態に戻してくれるのが自然ということです。
例えば、やる気やモチベーションを作ってくれるドーパミンがありますが、このドーパミンが興奮という感情を作ってくれますし、リラックスしている時や他人に親切にしたりされたりした時に感じるようなポジティブな感情を作ってくれるオキシトシンが、人間関係に関する満足感や安心感を作ってくれます。
逆に、不安や警戒といったネガティブな感情を作って自分の身を守ろうとするのがアドレナリンやコルチゾールです。
そんな様々な人間の感情を最も良い状態に戻してくれるということです。
日常的に自然に触れることによって、自然に触れていない時も集中力も保ちやすくなり、自己コントロール能力も上がります。
肉体的に疲れたときのためにも、精神的に疲れた時のためにも、自然と触れ合うことを大事にしましょう。
実際に皆さんも旅行などに行った時に、「星空が綺麗だ」「海は広い」「滝がすごい」というように、自然に対して圧倒的な力や壮大さを感じることはあると思います。
このような美しい大自然などによって引き起こされる感情は基本的には畏敬の念や畏怖の念と言われますが、この感情について調べられた研究は数多くあります。
誰でも大自然の風景に対しては感情を引き寄せられると思います。圧倒されるような感覚が畏怖の感覚ですが 、この感覚を覚えることで、僕たちの集中力やストレスレベルは最適化されます。
ストレスが最適化され減ることによって引き起こされることとしては、時間の流れがゆっくりに感じるということがあります。
この畏怖の感情というものは、アンチエイジングにも使うことができるということもわかっています。
例えば、カリフォルニア大学の研究を参照してみると、日々畏怖の感情を感じる人ほど、体内の炎症レベルが低かったということが確認されています。
体内の炎症レベルが低かったということは老化が少なかったということです。
実際に、いろいろな感情を感じる人は老化が少ないということもわかっています。
ですから、感動したり涙もろかったり、ドラマや映画などを見るとすぐ心が動いてしまうという人もいますが、これは若々しい証拠だとも言えます。
喜びや楽しさや憐れみ、愛や満足感、誇りや畏怖の感情の7つの感情を感じる人は老化しづらくなるということが示唆されています。
この中でも特に効果が高いのが畏怖の感情になります。
壮大な自然やすごい芸術作品などを見た時に、圧倒されるような感情になることはあると思いますが、その感情を感じている時に、皆さんの体内の炎症は抑えられているかもしれないということです。
畏敬の念や感嘆という感情は、炎症物質であるサイトカインのレベルを抑えてくれて、健康的なレベルに戻してくれるということがわかっています。
ですから、ストレスや焦りだけでなく、体内の炎症レベルを抑え体調を整えてくれる効果さえもあるということです。
畏怖の感情がよくわからないという人もいると思いますが、これは自分が知らないものや未知のものを知りたいと感じる好奇心や、そのような時に感じる感動のことを畏怖の念や畏敬の念と言います。
人間というものは、新しいものを避けてリスクを取らずに生きることが多いものですが、これは僕たちの体の炎症を進めてしまう原因のひとつでもありますので、日常の中で定期的に畏怖の念や畏敬の念を感じる習慣を作っておくということが、僕たちの体を炎症から守ってくれて体調を整えてくれる事にもなります。
ですから、できれば畏敬の念や雄大さを感じる大自然の中に出かけるのが一番ですが、それが出来ない場合には、そんな感情を感じる映像や作品に触れてみるのも良い方法です。
そんな作品を見ていると、自然というものは凄いなあとか人間はちっぽけなものだと感じると思いますが、その感覚が集中力を最適化してくれます。
自然欠乏症テスト:自然とのつながり尺度
14の質問に以下の要領で直感で答えていただき、それぞれ採点してください
全くそう思わない=1点
そう思わない=2点
どちらでもない=3点
そう思う=4点
強くそう思う=5点
1.私はよく自分の周りの自然との一体感を感じる
2.自然は自分が属するコミュニティだと感じる
3.他の生物の知性を認め、素晴らしさを評価している
4.自然から切り離されていると感じることが多い★
5.自分の人生はより大きなプロセスの一部であると感じる
6.動物や植物に親近感を覚えることが多い
7.私が地球に所属しているように地球も私の一部だと感じる
8.自分の行動が自然にどんな影響を与えるかを理解している
9.私はしばしば生命の広がりの一部であると感じる
10.人間も人間でない生物も、地球上のすべての生物が共通の「生命力」を共有していると感じる
11.木が森の一部であるように、自分をより広い自然に組み込まれていると感じる
12.地球上で、自分は自然界の順位の上位に位置すると感じる★
13.自分は周りの自然界のほんの一部に過ぎず、地面の草や木の上の鳥よりも重要ではないと感じることがよくある
14.私の個人的な幸福は、自然界の幸福とは関係がない★
それぞれ採点できたでしょうか?
★の付いている質問だけ点数を逆転して、それぞれの点数を合計して最後に14で割って平均点を出します。
平均点は3.65点
平均点は3.65ということですから、これを下回ると自然欠乏気味だと考えてください。
この場合には、これから紹介する自然からの様々なメリットを得ることができていない可能性が高いです。
もっと意識して自然に触れる時間を作るようにしないと、様々な問題が出てくるかもしれません。
自然の力というものは本当に大きなものです。
自然に触れてからわずか0.2秒でポジティブになれたりネガティブなことが気にならなくなります。
これ以外にも人生に大きなインパクトを与えるさまざまなメリットがあります。
これらの効果を知った上で実際に自然に触れていただければ、通勤途中にある公園の木々を眺めたり、週末に海や山に出かけた時も、やはりそこから得られる効果は高くなります。
28のバイオフィリア効果
①速効性:0.2秒でポジティブ、幸福に敏感、ネガティブに鈍感
人は自然に触れるとわずか0.2秒でポジティブ感情が湧いてきます。
人間には自分の感情と近い感情を周りから集める習性があります。
そのため、嫌なことがあったら嫌なことが続くし、良いことがあったら良いことが続くと感じるわけです。
ネガティブな感情を持った人が、どんどんネガティブな状況になっていくことを断ち切ってくれるのが自然です。
わずか0.2秒でポジティブな感情が湧いてきて、人間関係でも幸せな人と付き合う確率が高くなります。
さらに、ネガティブなことに鈍感になります。
つまり、心理的に嫌なものと距離を置いて、ポジティブなものとの距離を近づけることができます。
自然に触れるだけでこれができるということです。
②幸福度:自然=孤独と友人の差、趣味へ没頭
都会で暮らす人の幸福度と自然の中で暮らす人の幸福度の違いは、たくさんの友人に囲まれた人と孤独な人の幸福度の違いに匹敵します。
それぐらい自然に触れない生活というものは、人生に強烈なダメージを与えるということです。
さらに、自然の中にいるだけで、皆さんが大好きな趣味に没頭しているときと、病院の待合室で待たされているような退屈なとき、この幸福度の差とも同じぐらいだと言われています。
ですから、特に趣味がないという方も多いと思いますが、そんな人も特に何かをするわけでなくとも、自然の中で過ごす時間を増やした方がいいということをサセックス大学の研究が示してくれています。
③創造性:3日のハイキングで1.5倍
新しいアイデアを思いつきたい時や煮詰まった時には自然に触れましょう。
クリエイティビティも上がるので、考え事をする時には森の中が一番です。
3日間のキャンプやハイキングをすることによって、人間の創造性が1.5倍にまで向上するという研究があります。
ということは、ビジネスで新しいアイデアを考えるためにも、人生における逆境を乗り越えるためにも自然の力を使った方がいいのではないかということになります。
④DMN:自然で活性化する脳の癒し、脳の3つのNetwork
DMNは、脳を回復させるぼんやりしているときだけ機能する脳のネットワークで、自然の中にいるときに活性化します。
脳が持つ3つのネットワークは、
・実行:集中作業、刺激への反応と抑制
・空間:自分の位置を把握
・DM:他のネットワークがオフの時に起動
基本的にはどれかひとつしか起動しません。
ですから、集中力を発揮する場所や仕事に専念する場所と同時に、自分の脳を癒す場所が定期的に必要で、そんな自然に触れる場所を大切にするようにしてください。
⑤ART:注意回復理論、短時間で認知&実行機能改善
自然に触れることによって短時間で注意力が回復します。
認知機能や自分をコントロールする実行機能が改善します。
なんとなく頭がぼんやりしてケアレスミスが増えたり、仕事や勉強をしていて集中力が途切れたりすることもあると思います。
そんな時は自然に触れるようにしてください。
すぐ近くに森はないという人も多いとは思いますが、多少の自然や川の流れを感じられる公園ぐらいでも構いません。
スマホなどを触らない状態で、5分間のんびりとグリーンエクササイズをするだけでも、人間の集中力や注意力は回復します。
自己コントロール能力も高まるので、大人だけでなく子供にも役に立ちます。
ですから、週末には自然に触れてもらいたいとは思いますが、それ以外の日には自宅でテレビやスクリーンに自然の映像を流しておいてください。
あるいは、夫婦や家族の間で小言を言いたくなった時には、5分間自然の映像を見てから口に出すというルールを作っておいてもいいと思います。
⑥SRT:ストレス低減理論、血圧、気分、不安、ストレス改善
自然に触れることによって血圧が低下したり、気分が改善したり不安が軽減するという効果もあります。
仕事や人間関係など様々なストレスを改善してくれます。
例えば、残酷な映像を見せて強いストレスを参加者に与える研究がありますが、そんな強いストレスを与えられた参加者に森林の映像を5分間見せたところ、実際に自然に触れるわけでなくともストレスから回復していたということです。
ですから、人間関係のストレスでイライラしたり、勉強や仕事のストレスを感じたら、少し手を止めて5分間だけ自然の映像を見るというのも良い方法だと思います。
⑦注意散漫改善:自然が認知機能を回復、注意力最適化
集中力や注意力は人によって違いますが、低下してしまいやすい人はいます。
そんな人も、集中力が下がったら回復させればいいだけです。
集中力を回復させて最適化するために自然の力が役に立ちます。
集中力が切れてきたら、公園に散歩に行くとか、自然音を聞いて瞑想するというように決めておくのもいいと思います。
⑧ワーキングメモリ:乗り気でなくても森散歩でUP
ワーキングメモリは人間の脳の作業机だと考えてください。
その作業机が広い人は、そうでない人よりも作業がはかどりますし、同時に複数のことをこなしたりすることも可能になります。
ですから、ワーキングメモリが低い人は、仕事でも勉強でも効率が悪くなりますし、ちょっとしたことでもパニックになったりしやすくなります。
このワーキングメモリも自然に触れることによって改善してくれます。
シカゴ大学の研究で、とても寒い日に植物園を無理やり散歩させるという実験があります。
その結果、参加者たちは、乗り気ではなくても自然の中を散歩することでワーキングメモリが向上していました。
ですから、なんとなくやる気が出ないという時も自然に触れるようにしてください。
⑨快感:島皮質と前帯状皮質の血流↑伸び伸びした思考
自然に触れると、人間の脳の島皮質と前帯状皮質の血流がアップして、その結果、快感を感じやすくなったりすっきりとした気分になります。
さらに、のびのびとした思考ができるようにもなります。
例えば、風邪を引いて気分が悪い時に新しいアイデアが出たりはしないと思います。
これは不快感が人間の思考を停止させているからです。
それを防いで、逆に快感を作り出してくれるのが自然だということです。
⑩共感力:人間関係とウェルビーイング改善
自然の中にいることによって人間は共感力が高まり、結果的に人間関係も改善されます。
共感能力が高まることによって、他の人が何を求めているのかということを理解できたり、大きな問題になる前に気づくことができて人間関係が良好になります。
さらに、いわゆるウェルビーイングですが、人生を通じた質の向上にも役に立ちます。
⑪運動習慣化:心身の負担が軽減、運動継続しやすくなる
運動を習慣化しやすくなるという効果も実は自然にはあります。
自然の中で運動することによって、運動の強化も上げやすくなりますし、運動から得ることができる喜びも増えて、運動がしんどいとか辛いという感情も減ります。
運動による心身の負担が自然によって軽減されます。
その結果 、運動を継続できる可能性が高くなります。
ですから 、HIITやバーピーをしている人も多いと思いますが、これは家の中でするよりも自然の中でした方がいいということになります。
⑫性格:自然との接触が人間関係の8%>収入+年齢+性別+教育=わずか3%
犯罪発生率の4%を占める自然に触れることによって性格も良くなる上に人間関係まで改善します。
自然との接触が、人間関係の良し悪しの8%を決めているという研究があります。
この8%の影響というものは、収入や年齢、性別や教育レベル、これら4つの要素を全て合わせても、人間関係の良し悪しの3%を決めているだけだと言われていますので、これら全てを超えるレベルでの大きな影響があるということです。
自然に触れるということは誰でも今すぐできることです。
ですが 、収入を上げるとか年齢や性別、教育レベルというものは、当然ですが簡単に変えることはできません。
大きく人間関係を改善したいのであれば自然に触れるべきです。
ちなみに、犯罪発生率も4%が自然に触れるかどうかが決めていると言われています。
ということは、家庭の中でも職場でも、人間関係を良くしたいというのであれば自然を増やすようにしてください。
自然に触れる頻度を増やせば、人間関係に悩む人は少なくなるはずです。
自然の効果はまだまだあります。
あまりにも多すぎて数えきれないぐらいですが、全部で26の効果と気軽にできる対策について、ここから先で解説させてもらいます。
続きを知って、自然の効果を生活に取り入れて人生を変えたいという方は、ぜひ続きもチェックしてみてください。
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【総集編】あなたが続けられれば、きっと人生が変わる行動は何ですか?【超習慣術】
あなたが続けられれば、きっと人生が変わる行動は何ですか?
今回は、人生を変えるために必須の習慣術について纏めさせてもらいます。
習慣を作ると楽になる
習慣を作るのは面倒でしんどいものだと思われがちですが、実際は習慣を作った方が楽になります。
作るのは大変ですが、長期的に見れば作った後はとても楽になります。
脳科学的には人間の脳が最も疲れるのは、「決定疲れ」です。これは意思決定をすればするほど脳が疲れていくという考え方です。
ですから、人間は基本的には朝起きたときが最も物事に集中することができたり自分をコントロールすることができます。
夜になるにつれて自己コントロールができなくなるということです。
1日の間にいろいろなことを意思決定して脳が疲弊していくことで、いざというときに自己コントロールが効かなくなることが起きるわけです。
ではどうすればいいのかと言うと、意思決定を行わなければいいわけです。
つまり、習慣的な行動にまとめてしまえばいいということです。
仕事で疲れやすいとか、人間関係で疲れやすいという人は、自分の習慣やルールを決めておいてください。
例えば、人に誘われたときも事前に決めたチェックリストに当てはまった場合にはきっぱりと断るというようにしておきます。
悩んだり考えることなく決断できるようにしておくことで、脳が疲れなくなり本当に大事なことに集中できるようになります。
スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグが同じ服装をいつもしているのも同様で、この決定疲れを防ぐためです。
習慣的な行動は一度作ってしまえば楽になり、続ければ続けるほどますます楽になっていくものです。
周りから見て意志が強いと思われている人は、実際には意志の力を使わないで習慣の力を使って他の人たちよりも楽に生きている人達です。
習慣作りは最初は面倒かもしれませんが長期的に考えればとても楽になるものだということを覚えておいてください。
これで習慣を作りやすくなります。
習慣化を行うには最初は意思の力があった方が有利ではありますが、それ以降は意思の力を必要としません。
ですから、習慣化というものは技術で学んで身につけることができます。
逆に、習慣を身に付けることで意思の力が強くなるという研究もあります。
つまり、意志の力が弱い人は習慣を身につけることができないかと言うとそんなことはなく、習慣化の技術を学び小さな簡単な習慣から身につけていくことで意志の力が強くなります。
意志の力があるから習慣が身につくのではなく、小さな習慣をコツコツとたくさん身につけていくことで意思の力が鍛えられていくということです。
3つの習慣化のステップ
習慣化のテクニックは、ひとつでも明確な戦略が見つかれば基本的には大丈夫です。
色んな習慣化のテクニックを使うよりも、自分にとってしっくりとくるテクニックを見つけたり、コツを身につければ、それをベースに積み上げていった方がいいです。
まずは心理学者が見つけた3つの習慣化のステップについて解説させてもらいます。
習慣化が得意な人は無意識にこれをしているようです。
習慣化のテクニックは色々とありますが、結局のところ、どんなテクニックを使ったとしても、この3つのステップで成り立っています。
この3つのステップを理解しておいていただけると、大きな間違いを犯したり遠回りすることはありません。
物事を続けていると飽きてくる場合もあります。
今回の内容を理解すれば、飽きを防ぐ方法までわかっていただけると思います。
3つのEの法則
今回参考にしているのは、心理学者ケネス・ノーワック氏の研究によるもので、3つのEのステップを踏めば誰でも強固な習慣を身につけることができるというものです。
①Enlighten(認識)
自分の状態や身に付ける習慣がどれくらいできるか、自分の現在地の確認です。
②Encourage(促進)
自分の現在地を確認したら、次は促進するステップです。
③Enable(有効)
最後が実行可能にするステップです。
①Enlighten(認識)
習慣化のテクニックは、まずは身につけたい習慣が今どのような状態なのか認識します。
どこまでできて、どこでつまずいているのか、あるいは、どんな時であれば上手くいくのかということを客観的に認識します。
この自己認識のフェーズで習慣化のプランを作ります。
その習慣を身につけることでのメリットにも目を向けて、それを確実に身につけるためには何に気をつけるべきなのかということまで考えます。
その習慣化の邪魔になってしまう障害についても考えておきます。
このプランや障害についても最初のステップで考えておきます。
習慣を身につける際にはやみくもに行動しても身につきません。
その行動が今まで続かなかったのであれば、まずはそれが続かなかったという事実を認めてください。
何が原因で続かなかったのかということを知ることが重要です。
②Encourage(促進)
習慣を身につけるためにはプランが必要です。
これを知らない人が多いです。
プランを考えずに、ただ闇雲に行動すればいいと多くの人が考えています。
例えば、毎日30回の腹筋もできない人が、腹筋50回・腕立て50回・スクワット50回をしようとしてもできるはずがありません。
習慣を続けることが一番難しいです。
1回だけなら頑張ればできます。
ですから、まずは今自分ができることを確実にできるようにするにはどうすればいいのか考えて、今できることからスタートします。
その上で、徐々に増やしていきます。
例えば、スクワットを1日5回であればできるというのであれば、5回から始めればいいわけです。スクワット5回から始めて、それをどうすれば30回50回と増やしていくことができるのかを考えて、それができるプランを作らなくてはなりません。
ですから、習慣を身につけるには、スタートは本当に簡単なものでなければなりません。
絶対にできることから始めなければ続きません。
それなのに、多くの人は最初から頑張ってしまいます。
それを増やしていくためには、そのプランが本当に実行可能なのか検討しておく必要もあります。
人は必ず壁にぶつかることがありますので、その度に修正しなくてはなりません。
それができるかをチェックして、その壁にぶつかったらそれを乗り越えるための余裕を作っておく必要もあります。
そこまで考えてプランを立てておくのが、2つめのステップです。
そこまで考えると、習慣をエスカレートさせる方法が見えてきます。
簡単なことから始めていると、時にはその行動をする時に余裕があったりします。
それがなぜなのか考えて、習慣をエスカレートさせる方法を考えるのが2つ目の促進のステップです。
③Enable(有効)
最終的には3つ目のステップとして、習慣化のテクニックを使いながら計画的に進めて、その習慣が何パーセント身についているのかチェックしていきます。
一定の確率で習慣を続けることができるようになったら、少しずつ回数や難易度を上げていきます。
とはいえ、それがあまりも続かなくなると人はやる気がなくなってしまいます。
成功率が一定以下に下がったら、その習慣自体を見直して改善する必要があります。
回数や難易度を見直して、どのくらいならできるかを改めて考えます。
この成功率をチェックしている人が少ないです。
多くの人がなんとなく続けていて、ダイエットでも運動習慣でも、自分の身につけようとしている習慣の成功率を考えている人はほとんどいません。
あなたの習慣の成功率は何パーセントですか?
これに答えられない人は習慣が続きません。
なぜかと言うと、今自分がどこにいるのかがわからないからです。
当然ですが、ただ繰り返すだけでは習慣化はできません。
ゴールを理解した上で、今自分がどこにいるのか常に把握しておく必要があります。
そして、意味のある習慣と意味のない習慣もあります。
それによって自分のスキルが上がったのか、その習慣を身につけることによって自分にどんな変化があったのか、このような変化を知っておかないと、それを続けることのメリットが見えなくなります。
自分にとってのスキルが上がったり経験が身についているかチェックする必要があります。
最後に、「継続と変化」の検討のフェーズに入ります。
皆さんが作った習慣をそのまま続けていくべきなのか? それとも、多少の変化を加えたり、むしろやめるべきなのか? ということを検討します。
これがちゃんとできると、どんなに小さく始めた習慣であっても、いずれ大きくしていくことができると確信できるようになります。
これらの大きく分けて3つのステップによって、人は習慣を身につけることができます。
これを理解した上で物事を始めると、習慣化の成功率は9割を超えます。
もちろん挫折もありますが、安心して習慣を始めることができるので、「3つのE」の考え方を押さえておくことは重要です。
習慣が1度途切れたらやる気がなくなってしまう、ついつい始めから無茶な目標を立ててしまい、結局挫折して自己嫌悪に陥る、そんな経験をした人も多いと思います。
習慣を身につける成功率が3割以下の人は、今回の方法を身につければ間違いなく人生が変わります。
習慣を身につけるまでは面倒ですし、コスパも悪いかもしれませんが、一旦身についてしまえば、それ以降は永久に自動的にできるのでとてもコスパが良くなります。
ほとんどの人はそのボーナスステージに入る前にやめてしまっているので、無駄に労力を使うだけで終わっているわけです。
習慣的行動を操る5つの超習慣術
いつも習慣を身につけようと思っても三日坊主で終わってしまう、そもそも、どうすれば習慣を身につけることができるのかもわからないという方に、人生の50%を占める習慣的行動を操る5つの超習慣術を紹介します。
人生が大きく変わりますので、まずは、この5つを完全にマスターしてください。
知っているかどうかではなく、実際にできているかどうかが重要になります。知っているだけで実際にしていないととても損をしています。
①20秒ルール
ショーン・エイカーさんの20秒ルールです。
僕たちが新しい習慣を身につける時には、その習慣的な行動をやりやすくすることが重要になります。
習慣的な行動は意志の力で頑張ってしようとすると続かないものです。無意識で行うことができるぐらいに、手間を減らすことが重要になります。
皆さんが習慣化したい行動があるとしたら、その行動を20秒だけ早く取り掛かれるようにしてください。
例えば、ジムに通う習慣を身につけたいと言うのであれば、いざ行こうと思った時にウェアを取り出して準備をするのではなく、事前に必要なウェアをバッグに入れておいて、そのバッグさえ手に取ればあとは行くだけというようにしておきます。
逆に、やめたい悪い習慣がある場合には、20秒だけいつもより手間がかかるようにしてください。
20秒ルールを知っている人も、20秒手間を減らして満足しないでください。
もっと習慣化したいのであれば、さらに20秒・・・と続けて極限まで手間を減らしていくように心がけてください。
例えば、読書習慣を身につけたいのであれば、本はしおりを挟んで本棚にしまうのではなく、しおりすら挟まず開いたままの状態でテーブルに置いておくぐらいにすれば、これだけでも本を読み始めるまでの手間が減り、実際に本を読む時間が増えるということがわかっています。
ついついスマホを触ってしまうという人は、20秒ぐらい時間がかかるところに充電器と一緒に置くようにしてみてください。
使うのを控えたいアプリがあるのであれば、スマホのフォルダの奥底の方にしまっておくようにしてください。
瞑想の習慣を身につけたい場合であれば、瞑想のための座布団を部屋の真ん中に置いておくとか、部屋に帰ってすぐにストレッチやトレーニングをする習慣を身につけたいのであれば、部屋の真ん中にヨガマットを敷いておくというように、少しずつで良いので手間を減らしてください。
仕事でも常にもうひと手間減らす方法はないかということを考えるようにしてください。
当然ですが、手間を減らせば減らすほど習慣は続きやすくなりますので、手間を減らして楽をすることがとても大切です。
②マジックナンバー「4」
習慣を身につけるためには4という数字がとても重要になります。
週に4回以上行う行動を8週間続けると、楽にそれを継続することができるようになるということがわかっています。頻度や回数がとても重要だということです。
この繰り返しの重要性を調べてくれたビクトリア大学が行った研究でわかったものですが、ジムに入ったばかりの男女111人を対象に12週間にわたって彼らがどれぐらいジムに通っているのかということを観察しています。
その結果、最もジム通いの習慣が身につくことと相関していた要素は頻度でした。
週に4回以上ジムに通った場合に、運動の習慣が身に付く確率が週に3回までと比べて急激に高くなるという結果が確認されています。
そして、多くの人が挫折しやすいのが6週間ぐらい経った頃です。
この実験でも、週に4回以上ジムに通った人たちと4回未満の人たちを比べると、6週間目ぐらいまではどちらの人たちも同じようにジム通いを続けていました。
ところが、ジムに通っている回数が週4回に満たない人たちは、6週間目を過ぎたあたりから徐々にさぼりがちになっていきます。
そして、12週間経つとその習慣を始める前の状況まで戻ってしまうということです。
この6週間目の罠を乗り越えるためには、週に4回は続けるということが必要だということです。
そして、それを8週間以上続けてください。
これにより習慣が身に付く確率が大きく上がります。
ロンドン大学の研究で、96人の学生を対象に実際に習慣を身につけるまでの時間を調べてくれています。
これによると、始めて25日目ぐらいまでは習慣は身につかないので、続けるのもしんどいかもしれませんが、50日から60日ぐらい続けると、その習慣は楽になっていくということがわかっています。
ですから、行うことに抵抗感を感じるような難しい習慣であっても、8週間程度続ければ身につくということが言えるわけです。
そして、1日や2日サボったからといって習慣の形成には悪影響はありません。
ただし、そのサボった自分を責めると挫折してしまうので、それだけはしないようにしてください。
③朝起きてからの時間を使う
習慣を身につけたいのであれば起きてからの時間を使いましょう。
習慣化したいことは朝起きてから行なった方が楽にその習慣を身につけることができるということがわかっています。
2017年のニース・ソフィア・アンティポリス大学が48人の学生を集めて、2つのグループに分けて実験を行っています。
朝15分のストレッチを習慣にするようにお願いしたグループと夜15分のストレッチを習慣にするようにお願いしたグループです。
全員が習慣を身につけるために何日ぐらいかかったのかということを調べたものです。
その結果、朝ストレッチを行った人たちは105日で完全に習慣化していましたが、夜ストレッチを行った人たちは154日もかかりました。
夜に行っただけで1.5倍も習慣を身につけるために時間がかかったということです。
この原因はコルチゾールによるものでした。
朝起きる前後にはストレスホルモンであるコルチゾールの値が大きく上がります。コルチゾールの値を高めることで目を覚まさせてエネルギーを出そうします。
このコルチゾールの値が高まっているときは脳が覚醒していて、目の前のことに適応するための能力が高まっているときです。
ですから、そのタイミングに新しい習慣に取り組むようにすれば、身につきやすくなるということです。
ちなみに、上司に怒られたりしたときなど、突発的なストレスホルモンが分泌されたときは使わないようにしてください。
あくまで自然な生活リズムの中でコルチゾールの値が高まったときが習慣化の能力が高まるということであって、ストレスをたくさん受けているときに習慣化の能力が高まるわけではありません。
④スモールステップとビッグエリア
習慣を身につけるためには、身につけるまでのステップを小分けにする必要があります。
ひとつの身につけたい習慣がある場合には、それが身につくまでに必要なものを考えて、さらにそれを細かく分解しチェックリスト化してください。
そして、それをひとつずつクリアしていき、自分が今全体の何%ぐらいの進捗状況なのかということを考えてください。
肥満の女性を対象に6週間介入する実験を行なった研究によると、目標体重までのステップを出来る限り細かく刻みサブゴールをたくさん作った被験者ほど、健康的な食事の量も増え体重も何もしなかった人たちに比べて20%も体重が減ったということがわかっています。
達成したいゴールである大きな習慣だけを意識した人たちは、この研究ではかえって体重が増えてしまいました。
嘘でもいいので前に進んでいる感覚が人間のモチベーションを作ってくれます。
ですから、習慣化をするときのスモールステップは、これ以上細かく刻めないぐらい細かく刻んでください。
これをまず最初に行なってください。
ただし、細かくしすぎることで自分の目標を見失ってしまう人もいます。それによりモチベーションが下がってしまう場合もあります。
週に1回とか3日に1回など定期的に、そもそも自分は何を目指してその習慣を身につけようとしたのか、その小さく分けたステップを踏んでいるのかということを考えるようにしてください。
寝る前や週末に自分が行なっている行動の意義を考え直すことが大切です。
人間は多くの場合、お金(経済的な目的)・人間関係(社会的なつながり)・健康の3つを最終的な目的として選ぶことが多いとされています。
自分が身につけたい習慣のビッグエリアがはっきりしない場合には、この3つを考えていただけるといいと思います。
つまり、この習慣を身につけたらどれぐらい儲かるのか? この習慣を身につけたらどんな新しい友達や関係ができるだろうか? この習慣を身につけたらどれくらい健康になれるのだろうか? ということを自分に問いかけてみてください。
⑤ if-thenルール
「もし〇〇な状況になったら〇〇の行動をする」という方法です。
if-thenルールはアレンジが色々とできるものです。
そんな中からみなさんが使いやすいものをひとつ紹介します。if-thenルールは、効果量としては最大で0.99までにもなる最強のテクニックで、この習慣化の帝王であるif-thenルールの徹底解説は次回行います。
例えば、「1日に腹筋を30回する」ではなく、行動をその状況とセットにすることを考えないと習慣化しづらくなります。
「want」を「should」に結びつける
自分に対してご褒美を設定することがあると思います。
外発的動機づけは内発的動機づけよりも弱いので、ご褒美を与えることでかえってやる気がなくなってしまうのではないかという人もいますが、習慣化に関しては若干違ってきます。
習慣化に関しては、ご褒美が設定されている方が習慣化される確率が高まるということがわかっています。
では、どのようにご褒美を設定すれば良いのでしょうか。
「want」を「should」に結びつけると僕たちのモチベーションは大きく上がります。
例えば、「チョコレートをひとかけら食べたい」のであれば、「ジムに行かなければならない」と決める方法です。
自分が欲しいと思うものと自分がやるべき事を達成した後の行動とを結びつけるということです。
このようにしてif-thenルールを設定すると、モチベーションが大きく上がるということがわかっています。
ご褒美を設定するのであれば、ただ〇〇を達成したらご褒美がもらえるではなく、「〇〇を求めるならば、〇〇をしなければならない」と条件を設定してください。
7つの3日坊主防止テクニック
①自己効力感
自分がやればできるという感覚、つまり、自分の未来や自分がこれからしようと思っていることは、自分の努力次第でいくらでも結果を変えることができるという自己効力感が高ければ高いほど、習慣化の成功確率は上がるということがわかっています。
2018年にベルリン自由大学が、カップルのどちらかが最近禁煙を始めている85組のカップルを対象に行なった研究があります。
かなり難しいであろう悪い習慣をやめて新しい習慣を身につけることに挑戦する際に、パートナーの協力による影響はどれぐらいあるのだろうかということを調べようとしたものです。
研究チームはすべての被験者に対して、タバコを吸った本数や自己効力感のレベルなどを調べました。
その結果、自己効力感が高く、やればできるという感覚が強い被験者ほど、やはり、禁煙に成功する確率は高くなるということが確認されています。
この被験者たちの自己効力感がどのように決まっていたかというと、なんと、パートナーの自己効力感にかなり影響を受けていたということがわかっています。
この実験では、被験者の自己効力感はパートナーの自己効力感と連動していることが確認されていて、禁煙に成功できるかどうかということは、被験者自身の自己効力感に影響を受けていましたが、その被験者の自己効力感はパートナーの自己効力感に影響を受けていたということです。
ですから、何か悪い習慣をやめようとか新しい習慣を身につけようとするときに、自分の近くにいる人の自己効力感によって僕たちの自己効力感も変動します。
その変動によって、やめたい習慣をやめることができるか、新しい習慣を身に付けることができるかということが決まってくるということになります。
実際に、被験者の自己効力感とパートナーの自己効力感は連動していて、一方の自己効力感が高まれば、もう一方の自己効力感も高まりますし、逆に、一方の自己効力感が下がれば、もうひとりも下がるということです。
パートナーの自己効力感が下がると、被験者の自己効力感も下がり、タバコに手を出してしまう確率も上がったということです。
この自己効力感というものはパートナーから伝染する働きを持っていて、結局、習慣化がうまくいくかどうかというのは、パートナーや恋人や夫婦だけでなく、家族や仕事上の仲間など、皆さんが密接に触れ合う人たちの自己効力感によって左右されるということです。
ですから、皆さんが新しい習慣を身につけたいと思うのであれば、習慣を身につけるのがうまい、もしくは、やればできるという感覚が強かったり有言実行のタイプの自己効力感の強い人と頻繁に会うようにしたり、こまめにやり取りするようにして、その人との心理的な距離を近づけておくようにしてください。
自分の自己効力感を高めるために、自己効力感の高い人との接触頻度を高めておきましょう。
そうすると、それだけで習慣が挫折しにくくなり、苦しい習慣でもやり遂げ続けることができる可能性が高くなります。
②習慣強度と習慣形成
習慣強度と習慣形成という考え方があり、僕たちが習慣を身につけるために初期の段階に必要なものと、中期以降にその習慣を長続きさせるために必要なものは違います。
習慣を身につけるのは得意だけれど、途中で挫折することが多い人もいると思いますし、逆に、なかなか習慣が身につかないけれど、一度身についたらずっと続けることができるという人もいると思います。
この習慣を作るのが上手い人と習慣を続けるのが上手い人の違いは何なのかということを調べてくれた研究があります。
2005年のエラスムス大学の研究で、521人の男女を集めて全員に対してフルーツを食べる習慣があるのかということを調べました。
その上で、習慣強度が高いグループと習慣強度が中程度のグループ、習慣強度が低いグループの3つのグループに分類し、習慣強度と持続に関する調査を行っています。
この習慣強度とは、要するにその習慣を実行する頻度と確率のことです。
ただし、習慣強度が高い人というのは完全に習慣ができている人ということではありませんので、この実験で言うと、習慣化には至っていないけれど、フルーツをたくさん食べる人とほどほどに食べる人とあまり食べない人に分けたということです。
5週間にわたって全員の行動を観察したところ、習慣強度が低いグループと中程度のグループは、フルーツを食べようとする自分の決意や自意識の強さが実際のフルーツの消費量と相関していました。
つまり、習慣の強度が低いかまだ中程度の人は、自分に言い聞かせて意志の力を発揮させた方が、その習慣を実行する行動につながりやすくなるということです。
習慣の強度が低いかまだ中程度の場合には、自分に言い聞かせるということがとても大事で、意志の力にある程度頼った方が習慣が身に付く可能性は高くなるということです。
ところが、習慣強度がすでに高いグループは、意識の強さとフルーツの消費量に相関がなかったということです。
習慣というものは最初は意思の力である程度まではその強度を高めることができますが、ある程度の習慣強度までなると、意志の力に頼っても効果はないということになります。
では、習慣強度が高いグループがその習慣を行うことができたかどうかというのが何と比例していたのかというと、なんとフルーツを手軽に手に入れることができたかどうかということだけでした。
要するに、習慣の初期にはリマインダーを用意しておいたり、定期的に自分に言い聞かせることを準備しておきます。
習慣がある程度身につきつつある段階では、手軽さを最重要視してください。
残りの3日坊主防止テクニックについても学んで、やるべきことを楽に継続できるようになってください。
ぜひ続きもチェックしてください。
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【総集編】あなたの理想の人生を邪魔するものは何ですか?【幸せのためのバイアス対策】
あなたの理想の人生を邪魔するものは何ですか?
人間の意思決定は様々なバイアスを帯びています。
今回は、人が変わり成長していくためのバイアス対策を纏めさせてもらいます。
失敗しないための2つの力
以前にDaiGo師匠も「直観力」という本を出させてもらったこともありますが、直観は頼るのではなく、疑って飼い慣らさないといけません。
直観が正しい場合が往々にしてありますが、それは経験豊富な領域のみです。
その領域で経験に裏打ちされている直観であれば意味はありますが、経験もないのに、なんとなくの直観に頼るのは危険です。
つまり、直観は根拠はなくても構いませんが、直観を入手できる可能性があるだけの経験を積んでいないのであれば、それは単なる思い込みに過ぎません。
その場合には、むしろクリティカル・シンキングで多角的な視点を持ったり、バイアス解除をすると正しいインスピレーションを得ることができます。
DaiGo師匠が直観に頼りそうになったときには、クリティカル・シンキングとバイアス解除を必ず行います。
直観で上手くいきそうな気がしたときは、一旦クリティカル・シンキングとバイアス解除を行うと、自分がハマりそうだった罠に気づいて大きな失敗を防ぐことができます。
直観だけに頼る人は、根拠もない「次こそは大丈夫」という直観で、次もまた同じ失敗をしてしまいます。
クリティカル・シンキングとバイアス対策は欠かせません。
人が変われない理由
まず、大抵の人が変わろうと思った時に気をつけなくてはいけないのは「無駄な仕事をなくす」ということです。
自分でビジネスをしている場合でも企業で働いている場合でもこれは同じです。
日常生活の無駄な作業や無駄な仕事に追われないことがとても重要になります。
ところが、人間にはむしろ無駄な作業に追われやすい性質があります。
この人間がもともと持っている性質を理解して、まずは「無駄な仕事に追われる」バイアスへの対策をする必要があります。
人間には元々の変化を嫌う性質があります。
それだけでなく、人間は「努力しない」のに「挑戦もしない」ということもあります。
意味があることに対しては挑戦しないのに、うまくできても意味のないことに対しては何故か時間とお金を使います。
自分の人生を左右する本当に大事なことに、人はなかなか手をつけないのに、それをやらなくても誰も困らないようなことに対して時間やお金を費やしてしまいます。
人生にとって本当に重要なことに手をつけるべきなのに、なぜか1年もずっと触っていなかった棚の整理を始めたりします。
これは挑戦や変化を嫌がる人間の性質があるからです。
このようなバイアスによって影響を受けた時に、どのように対策して自分を奮い立たせればいいのかということも考えておく必要があります。
今回はそんなバイアス対策について大切な13のポイントを纏めています。
ポイント1 :「単純緊急性効果」目の前の仕事に追われすぎる
人間には目の前の仕事に追われやすく重要な仕事に手をつけにくくなる性質があります。
人は重要なことから手をつけるのではなく、時間が迫っている緊急なタスクの方が重要だと考える性質があります。
これが「単純緊急性効果」と呼ばれるもので、人はシンプルに緊急性があることに重要性を感じて手をつけやすくなるということです。
研究者によると、大抵の人間は締め切りが短いだけでタスクを選ぶバイアスがあると言われています。
簡単なタスクはとりあえず手をつければ容易に達成感を得ることができます。
ですが、大きな仕事はインパクトは確かに大きくてもどうしても時間がかかります。
だから、今やらなくてもいいと考えてしまい、いつまでたっても自分を変えることができません。
このバイアスに対する対策はかなり難しく、そのためには「自分の価値観をはっきりさせる」ということ以外にはないと言われています。
それをしない限りはこのバイアスは逃れられないと研究者は言っています。
「自分は何のために仕事をするのか?」
「結果を手に入れたことによりどんなメリットがあるのか?」
このようなことを考えてみてください。
いつまでも変わらない人はやらなくてもいいことにたくさん手をつけています。
それで忙しくなってしまい人生が変わらないだけです。
本当に毎日毎日忙しくて何もできないのであれば、1年それが続けば人生での目標や夢にかなり近づいているはずです。
そうでないのであれば、これまでの自分の選択が全て間違っていたということです。
それをもたらすのが単純緊急性効果の影響です。
ポイント2 :「情熱バイアス」不利な仕事を任される
ブラック企業ややりがい搾取の問題がよくありますが、このようなところで働いている人は一生懸命働く人が多いです。
情熱があって頑張っている人ほど、なぜブラック企業にこき使われたりやりがい搾取の標的になってしまうのでしょうか?
これは人間のバイアスが原因です。
やりがいや情熱を感じている人は、多少無理をさせてもいいと周りに思われてしまいます。
人はその人には情熱があるのだから自分よりも働くのが当然だと考えてしまいます。
だから、このような雰囲気が周りに伝わっている人はブラック企業ややりがい搾取のターゲットになりやすくなります。
その結果、自分がやらなくてもいい無駄な仕事に追われていつまでも変われないということになります。
大抵の人は酷い環境で働くことと情熱を結びつけて考えてしまいます。
あまり情熱をアピールしないようにしてください。
仕事を早くこなしたり完成度を求めるのはいいですが、 情熱をアピールするのではなく割り切って仕事をするようにしてください。
そうしないと搾取されている状況も変わらないし、周りから搾取されても当然だと思われてしまいます。
よほどいい環境であったりいい上司に恵まれれば別ですが、そうでないのであれば効率的に割り切って仕事をしているだけと周りに感じさせた方がいいです。
ポイント3 :「現状維持バイアス」結局何も変わらない
人間は変化を嫌うものです。
特に今うまくいっている人はそうですが、今うまくいっていない人でさえも変化を嫌います。
例えば、今仕事がうまくいっていなくて生活もギリギリという人に、転職に挑戦したりリスクを取る話をすると、「これ以上悪くなったら困る」と大抵の場合答えます。
失うものがない人ほど現状維持してしまいます。
これは仕事だけでなくあらゆる場面で影響を受けます。
今の人生や環境、仕事や人間関係、恋愛関係などの現状がとても悪い状況だったとしても、できるだけ今のままを維持しようと思ってしまう残念な生き物です。
恋愛でも、悪い恋人だとわかっているのにその関係から抜け出せないという人が結構いると思います。
これも現状維持バイアスに陥っている人です。
研究では、自分が悩んでいることを実行に移した人の方がその半年後の幸福度は高かったということです。
結局、悩んでいるのであれば行動した方がいいということになります。
さらに、自分の悩みのレベルが高ければ高いほど、それを実行した方が幸福度は高くなりやすいということもわかっています。
つまり、悩んでいるのであれば実行した方がいいし、その悩みが大きいものであればあるほど実行した方がいいということになります。
僕たちが人生における重要な変化につながる決断や新しい判断をするときに、それはやめておいた方がいいのではと思った時には、一度それを疑ってみてください。
その判断はただ現状維持をしようとしているだけなのではないかと考えてみてください。
人間が狩猟採集民だった頃に、今いる環境や群れの中だけでも十分に生きていけるという状況の中で、わざわざ誰も入ったことがない怪しい森に入ってみようとか誰も思わないわけです。
冒険心を持ってそこに突入すると、それにより謎の病気にかかってしまったり野獣に食べられたりもしたはずです。
ですから、「今の現状で生きていくことができるのであれば、今のままでいいのではないか」と思ってしまうのが人間にもともと備わっている心理であり、それが現状維持バイアスです。
例えば、悪い恋人だとわかっているのにその関係から抜け出せないという人が結構いると思います。
これも現状維持バイアスに陥っている人です。
人間の脳というものは、自分が慣れ親しんだものや、今までと同じ結論になるものに対しては、その結論が悲劇になるものであったとしてもなぜかそちらに進んでしまいます。
人間関係だけでなく、人生における重要な変化につながる決断や新しい判断をする時に、それはやめておいた方がいいのではと思った時には、一度それを疑ってみてください。
「この判断はただ現状維持をしようとしているだけなのではないか?」と考えてみてください。
この現状維持バイアスを振り払うためには、わかりやすく何かを変えるというのがいいと思います。
住んでいる場所や服装の選び方、人間関係などわかりやすい部分を変えるのがいいと思いますが、人間の性格というものは半分以上が付き合う人間関係からの影響を受けるものですから、特に、自分の付き合う友達を変えることによってかなり現状を突破することに繋がりやすくなると思います。
まずは仕事などの自分の生存に関わるものではなく、付き合う友達やよく行く場所などを変えてみるのがいいと思います。
例えば、今までインドア派だったというのであればアウトドアな過ごし方をしてみるなどするのが、現状維持バイアスを突破するためには効果的なのかもしれません。
ポイント4 :「平均以下バイアス」ほとんどの人が挑戦しない理由
人には自分が平均以上だと思い込むバイアスがあります。
それなのに、世の中から見て難しいと判断されやすいタスクに対しては、多くの人が自分は平均よりも下だろうと思い込んでしまう「平均以下バイアス」というバイアスがあります。
普段は大抵のことに対して自分は平均より上だと考えているのに、難しそうな内容だと思った瞬間に、自分は平均よりも下だろうと考え始めるわけです。
だから多くの人が挑戦できません。
心理学でも絶対的に正しいことなんてありません。
人間の心がどこにあるのかなんて誰にもわかりませんし、今正しいとされていることも時代が変われば覆ることも珍しくありません。
ですが、絶対的に正しいことがないのであれば、今暫定的に正しいとされていることから手をつけた方が成功する可能性は高いはずです。
何も見えない中で手探りで進んでいくよりも、優秀な人たちが調べてくれた結果をもとにして、その方法を使って試した方がうまくいく可能性は高くなります。
人間には難しいタスクに対して自分の能力を過小に判断する性質があるということを忘れないでください。
「みんながしないこと」は自分にはできないと思い込んでしまいます。
独立して起業するとか、副業で成功するとか、周りにあまり実践している人がいない行為に対しては、手を付ける前から自分にはできないと思い込んでしまいます。
ポイント5 :「利用バイアス」人の見積もりは甘すぎる
人間には頭の中に真っ先に浮かんだものを発生確率が高いと思い込んでしまう性質があります。
交通事故で死ぬ確率と飛行機事故で死ぬ確率ではどちらの方が大きいと思いますか?
冷静に考えれば、交通事故の方がはるかに確率は大きいわけですが、メディアの影響を受けやすい人は飛行機事故だと答えます。
飛行機事故の方がメディアで報道されやすいしインパクトが大きく感じます。
人は頭の中で想像しやすくて実際に起きる気がすることを事実だと思い込んでしまいます。
身の回りに交通事故にあった人が2人いると、自分も交通事故にあう確率がかなり高いと思い込んでしまうという研究もあるぐらいです。
人は想像しやすいものを実際に起きると思い込んでしまいます。
自分が今まで経験したこともなく想像できないような形で人生が変わると思うことができません。
自分の人生を正しく見積もることができていません。
これは誰にでもあるバイアスです。
DaiGo師匠もニコニコを始めた時には動画配信でこんなにうまくいくとは思いませんでした。
これも身の回りに動画配信をしている人がほとんどいなかったからです。
自分の身の回りで形にしている人がいなければ、ちょっとした好奇心でもない限りは手を付けません。
だから多くの人が変わらないわけです。
自分が興味を持っていることで成功している人が2人以上いないと、自分も成功できるかもしれないと思うことができません。
この対策としては逆の可能性を考えるようにしてください。
現実的な数値に目を向けるために、逆の確率を必ず考えるようにしてください。
「転職して失敗したらどうしようか?」と考えているのであれば、「転職で失敗しなかった人の確率」はどれくらいだろうかと考えてみてください。
そう考えると、結構多くの人が転職で成功しているし、少なくとも現状維持ぐらいの人がほとんどのはずです。
ほとんどの人が食えなくなるのであれば、転職サイトやサービスがこんなにも流行っているはずがありません。
ポイント6 :「後知恵バイアス」人が失敗から学べない理由
後知恵バイアスというのは、無意識のうちに自分の記憶を改ざんして、「こうなることは最初からわかっていた」と思い込むバイアスです。
これによってほとんどの人が同じミスを繰り返してもその失敗から学ぶことができません。
705人の起業家を対象に、自分の事業がうまくいく確率について質問した実験があります。
それによると、平均して77.3%もの確率で自分のビジネスはうまくいくと考えていました。
その後、事業に失敗した起業家だけを集めて、以前に自分の事業が上手くいく確率はどれぐらいだと見積もっていたか質問しています。
そうすると平均で58.8%の確率だったそうです。
つまり、8割近い確率で自分のビジネスはうまくいくと答えていたのに、結果的に失敗した起業家は、自分の記憶を改ざんして5割を超える程度の確率だと考えていたと答えました。
後知恵で自分の判断を記憶として改ざんしています。
この対策としては、後知恵バイアスが起きやすい2つのパターンを覚えておいてください。
①必然性
原因が容易に思いつきやすいものだった場合に後知恵バイアスが起きやすいです。
原因が簡単に説明できるものだった場合には、その原因が事実でなかったとしても、後知恵バイアスが起きてしまい人は失敗から学べなくなります。
簡単に原因を思いつきやすいことほど、それが原因だと決めつけて思い込みます。
決めつけてそれだけが原因だと考えてしまうと、それが本来の原因ではないことも多いので、失敗から学ぶことができずまた同じ失敗を繰り返します。
②予言性
実際に起きることがよくありがちな場合に後知恵バイアスが起きやすいです。
例えば、「治安の悪い地域を歩いていたら絡まれた」など、確かに起きる確率が高そうな気がすることに対しては、人はその理由をあまり深く考えません。
起業したことがない未経験の人がいきなり起業して失敗したと言われると、確かに当然なことのような気がします。
ですが、初めから経験がある人なんていません。
成功する人がいるわけですから、未経験だということが原因ではありません。
ポイント7 :努力と変化を避けてしまう「公平世界仮説」
このバイアスには多くの人がよく引っかかってしまいます。これは人がした行為に対してはそれにともなった結果が返ってくるというものです。
因果応報のような考え方です。
努力は絶対に報われるとか、逆に駄目な人は努力が足りないだけとか、世の中は公平であって、だから努力すれば報われるし、そうでない人は努力が足りないだけだとするものです。
例えば、社会心理学者のメルヴィン・ラーナーによる「ジャスティス・モチベーション理論」では、人が他人に対して行われる報いが公平であると信じることに強いモチベーションを感じると主張しています。
研究では、被験者は他人が受ける報いを目撃しました。報いが公平である場合と不公平である場合の2つの条件で実験が行われ、被験者の反応がチェックされました。
その結果、報いが公平な場合、被験者は報いを受ける人を支持し、その人の行動を肯定的に評価しました。
一方、報いが不公平な場合、被験者は報いを受ける人を非難し、その人の行動を否定的に評価しました。また、不公平な報いを受けた場合、被験者は自分自身を守るために行動を起こす傾向が見られました。
この研究から、人は自分自身や他人に対して行われる報いが公平であることを信じることで、社会の秩序を維持し、自己の安全性を守ろうとするとされています。
また、公平な報いを受けることによって、自尊感情や社会的なつながりが向上するとも考えられています。
これは社会や組織でチームワークを形成するためには役に立ちます。
ですが、実際には、全てのことがこのような単純なことではありません。
もちろん努力は報われないということでもないですが、自分の行為に対して結果が返ってくることと、そうでないことがあります。
それを分けて考えるようにすることがこのバイアスから逃れるための方法です。
全てをこの公平世界仮説で見てしまうと、そこには矛盾や偏りが生まれてバイアスとなってしまいます。
努力は報われるとは限りません。
だから努力しなくてもいいということではなく、だからこそ努力を続けるしかないということです。
公平でもなく努力が必ず報われるという世の中ではないからこそ、ひとつのことで諦めることなくあらゆる方向に努力を重ねていくしかないわけです。
残りのポイント8から13までも把握して、人生の可能性を最大化したい方はぜひ続きもチェックしてみてください。
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