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2026年1月の記事 1件

“kakkoii”の誕生――世紀末ボーイズトイ列伝 “kakkoii”の誕生(前編)

  デザイナー/ライター/小説家の池田明季哉さんによる連載『"kakkoii"の誕生──世紀末ボーイズトイ列伝』。今回は、「サイボーグ性」と「成熟」のイメージからスマートフォンが社会にもたらした影響について考えます。 池田明季哉 “kakkoii”の誕生──世紀末ボーイズトイ列伝 “kakkoii”の誕生(前編) ■スマートフォンとサイボーグ  スマートフォンとは、2007年に発売されたアップル社のiPhoneによって爆発的に普及した、携帯型の情報端末である。スマートフォンという言葉そのものが発生した瞬間にはおそらくもっと多様な可能性が存在していたはずだが、実際の歴史においてスマートフォンとは、静電容量型のタッチパネルディスプレイによって入力と出力を一体化させることで高度に汎用化し、無線通信によって常時ネットワークに接続されている、板状の通信端末を意味している。スマートフォンを通して提供されるさまざまなアプリケーションやサービスは巨大な市場を形成し、ユーザーの可処分時間の苛烈な奪い合いが行われている―― この連載に登場した玩具については、その一般的な知名度から厚い説明が必要だったが、スマートフォンについて2025年現在このような説明を改めてする必要はほとんどなく、こうした解説は20世紀人に対するSF的な文章にすら聞こえるだろう。  スマートフォンというデバイスが社会にもたらした影響はあまりにも大きいが、ここではサイボーグ性と成熟のイメージという観点からその意味について考えたい。  まず、スマートフォンは情報論的な意味で人間をサイボーグ化している。そのわかりやすい例は、Google Mapをはじめとした地図アプリケーションだろう。我々は現在こうした地図アプリケーションに接続されることでその能力を拡大しているが、こうした能力を支援していたのは20世紀においては地図というアナログデバイスであった。しかし人間が地図に接するとき、常に意思決定の主体は人間側にある。地図によって目的地と現在地を把握したとして、どのルートを選択すべきで、自分が現在どの地点にいるのかという認識は、人間側のオリエンテーション能力にかかっている。一方、地図アプリケーションによるナビゲーションは、こうしたプロセスを自動化している。我々が目的地を入力することで、自動的にルートは算出され、それに従うだけでゴールに辿り着くことができる。そこではナビゲーションが主体を一時的に肩代わりし、部分的に意思決定を行っている。  

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