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記事 24件
  • 脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第20回「男とペット2」【毎月末配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.679 ☆

    2016-08-31 07:00  
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    脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第20回「男とペット2」【毎月末配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.8.31 vol.679
    http://wakusei2nd.com


    今朝のメルマガは平成仮面ライダーシリーズの脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』第20回です。今回のテーマは「男とペット 2」です。井上家の最初のペットになった、賢いイケメン犬「トナ」。しかし、そこにヒヨコの「ピヨ」というライバルが出現します。ピヨと敏樹先生の出会いとは……?

    【発売中!】井上敏樹 新作小説『月神』(朝日新聞出版)
    ▼内容紹介(Amazonより)
    「仮面ライダーアギト」「仮面ライダー555」をはじめ、
    平成ライダーシリーズの名作を送り出した脚本家による、
    荒唐無稽な世界を多彩な文体で描き出す、異形のエンターテインメイント! 
    (Amazonでのご購入はこちらから!)
    PLANETSチャンネル会員限定!入会すると視聴できる井上敏樹関連動画一覧です。
    (動画1)井上敏樹先生、そして超光戦士シャンゼリオン/仮面ライダー王蛇こと萩野崇さんが出演!(2014年6月放送)
    【前編】「岸本みゆきのミルキー・ナイトクラブ vol.1」井上敏樹×萩野崇×岸本みゆき
    【後編】「岸本みゆきのミルキー・ナイトクラブ vol.1」井上敏樹×萩野崇×岸本みゆき
    (動画2)井上敏樹先生を語るニコ生も、かつて行なわれています……!仮面ライダーカイザこと村上幸平さんも出演!(2014年2月放送)
    【前編】「愛と欲望の井上敏樹――絶対的な存在とその美学について」村上幸平×岸本みゆき×宇野常寛
    【後編】「愛と欲望の井上敏樹――絶対的な存在とその美学について」村上幸平×岸本みゆき×宇野常寛
    (動画3)井上敏樹先生脚本の「仮面ライダーキバ」「衝撃ゴウライガン!!」など出演の俳優、山本匠馬さんが登場したニコ生です。(2015年7月放送)
    俳優・山本匠馬さんの素顔に迫る! 「饒舌のキャストオフ・ヒーローズ vol.1」
    (動画4)『月神』発売を記念し行われた、敏樹先生のアトリエでの料理ニコ生です!(2015年11月放送)
    井上敏樹、その魂の料理を生中継!  小説『月神』刊行記念「帝王の食卓――美しき男たちと美食の夕べ」
    ■井上敏樹先生が表紙の題字を手がけた切通理作×宇野常寛『いま昭和仮面ライダーを問い直す』もAmazon Kindle Storeで好評発売中!(Amazonサイトへ飛びます)
    これまでPLANETSチャンネルのメルマガで連載してきた、井上敏樹先生によるエッセイ連載『男と×××』の記事一覧はこちらから。(※メルマガ記事は、配信時点で未入会の方は単品課金でのご購入となります) 
    ▼執筆者プロフィール
    井上敏樹(いのうえ・としき)
    1959年埼玉県生まれ。大学在学中の81年にテレビアニメの脚本家としてのキャリアをスタートさせる。その後、アニメや特撮で数々の作品を執筆。『鳥人戦隊ジェットマン』『超光戦士シャンゼリオン』などのほか、『仮面ライダーアギト』『仮面ライダー龍騎』『仮面ライダー555』『仮面ライダー響鬼』『仮面ライダーキバ』など、平成仮面ライダーシリーズで活躍。2014年には書き下ろし小説『海の底のピアノ』(朝日新聞出版)を発表。
    前回:脚本家・井上敏樹書き下ろしエッセイ『男と×××』第19回「男とペット」
      男 と ペ ッ ト 2  井上敏樹
    さて、ペットである。私が子供の頃、家の庭に迷い込んで来た子犬はトナと名付けられ我が家の最初のペットとなった。私がまだ5、6歳の頃である。この初代トナは私がこれまでに飼った中でも最も優秀なペットだった。まず、イケメンである。そしてなによりも頭が良かった。ペットを飼った事のある方なら分かると思うが、頭が良いと言うのはなによりも大事な事なのだ。犬であれ猫であれ、頭の悪いものはただ甘えるだけである。女と同じだ。しかも誰彼なく甘え、節操も義侠心もない。これも女に似ている。頭が良いペットは主人の気持ちに敏感である。要するにわきまえている。それがいい。ちなみにペットと言っても爬虫類となると頭の良い悪いは関係なくなる。頭の良い蛇やらトカゲやらはあまり聞かない。ここらあたりは飼う事自体に意味があるのだろう。昆虫もそうだ。頭脳明晰なカブトムシには会った事がない。いたら怖い。さて、わが家のトナがどれぐらい賢かったかと言うと、野球のルールを理解していた。法螺ではない。マジだ。私が子供の頃の遊びと言えばまず野球だった。トナは守備につけば相手チームの打球を口でキャッチし、攻撃に回ればバッターボックスで尻尾を振った。それにしてもいい時代だった。なにしろ今のように犬の散歩をする必要がなかった。放し飼いが出来たのである。

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  • 井上明人『中心をもたない、現象としてのゲームについて』第8回 ゲームとは楽しいものでなければならないのだろうか?【不定期配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.678 ☆

    2016-08-30 07:00  
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    井上明人『中心をもたない、現象としてのゲームについて』第8回 ゲームとは楽しいものでなければならないのだろうか?【不定期配信】 
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.8.30 vol.678
    http://wakusei2nd.com



    今朝のメルマガは井上明人さんの『中心をもたない、現象としてのゲームについて』の第8回です。
    ゲームの本質とは人間の「快楽」の追求に過ぎないのか。娯楽性の追求を本義に掲げながら、そこに留まらない余剰を抱え込んでしまうゲームという表現。震災の跡地に痕跡を残す『Ingress』や『Pokemon GO』、FPSの虐殺表現の是非を巡る議論を踏まえながら、ゲームのあり方について考えます。

    ▼執筆者プロフィール
    井上明人(いのうえ・あきと)
    1980年生。関西大学総合情報学部特任准教授、立命館大学先端総合学術研究科非常勤講師。ゲーム研究者。中心テーマはゲームの現象論。2005年慶應義塾大学院 政策・メディア研究科修士課程修了。2005年より同SFC研究所訪問研究員。2007年より国際大学GLOCOM助教。2015年より現職。ゲームの社会応用プロジェクトに多数関っており、震災時にリリースした節電ゲーム#denkimeterでCEDEC AWARD ゲームデザイン部門優秀賞受賞。論文に「遊びとゲームをめぐる試論 ―たとえば、にらめっこはコンピュータ・ゲームになるだろうか」など。単著に『ゲーミフィケーション』(NHK出版,2012)。
    本メルマガで連載中の『中心をもたない、現象としてのゲームについて』配信記事一覧はこちらのリンクから。

    前回:概念の中心性――分けることとつなぐこと(井上明人『中心をもたない、現象としてのゲームについて』第7回)【不定期配信】

     2012年、震災から一年と少し経ったころに友人らと東北をみてまわった。
     石巻を見て、気仙沼を見て、陸前高田を見てきた。津波によって飲み込まれた町をみてまわった。テレビでも、何度も観ている風景だったし、現地に行くことに何かテレビと違った意味があるのか、自分でもよくわからない気持ちを抱えながら、行くことにした。
     不思議な光景だった。普通の街並みが展開していたと思ったら、丘一つまたいだところで、風景が一転する。なにもない場所が広がっている。建物がすべて波にさらわれた跡だった。ニュースで見せられた風景は、普通の街並みのすぐ後ろ側に広がっていた。
     石巻にはじめて訪れた私にとって石巻の町の記憶はない。今、立っている場所がどのような場所であるかがわからなかった私にとって、そこはかつてそこにあった建物が削り取られたという跡だけがむき出しになっている場所だ。
     この場所を、どのように弔い、どのように記憶すればいいのかがわからなかった私は、スマートフォンを取り出し、YouTubeを見ようと思った。YouTubeの中に、石巻の街並みは記憶されているかもしれない。石巻の、いま、ここで私が立っている場所の風景は、残されているかもしれない。
     そう思って、YouTubeを検索したら、想像通り、1年前の石巻の町はYouTubeの中に、記録されていた。震災の前の風景も、震災の日の風景も、そこで見ることができた。石巻だけでなく、気仙沼も、陸前高田も見ることができた。私は何をしているのだろうか、とも思った。だが、この方法は、この場所の悲しみを知るためにできる数少ない方法の一つだろうとも思った。おそらく、似たようなことをした人は私以外にもいたのではないか、と思っている。
     そして、私が訪れた二年後の2014年に、いま『Pokemon GO』を展開しているNiantic社は、かつての町のスポットを、Pokemon GOの元となった『Ingress』のポータル(ポケストップ)として登録した。ゲームをすることで、町の記憶を見る経験を与える、ゲームはそのためのツールとなった。『Ingress』のために登録されたポータルは、いまも『Pokemon GO』のためのポケストップとして生きているはずだ[1]。
     *
     かつての町の記憶として、実空間に重ねあわされた情報たちは、いま私の立っている場所はどこであるのか、ということを知らせてくれる。そして、それは2011年の3月のことを思い出させる。
     2011年の3月ごろ、ゲーム業界以外の人はもうほとんど記憶をしていないかもしれないが、大量のゲームが発売延期を発表し、ゲーム関連企業のいくつかは臨時休業した。ゲーム業界の何人かの友人たちは「こういうとき、ゲームというのは不要不急のものなんだな、ということを思い知らされる」ということを嘆いていた。
     私はといえば、その陰鬱なムードを横から眺めつつ、田端さんと一緒に節電のゲームを作っていた。節電はゲームのように楽しめる要素がある、とそう思った。私と田端さんが、緊急にこしらえた節電のゲームは、それほどたいそうなものではなかったけれども、ゲーム業界関係のニュースで積極的にとりあげたいと思えるようなニュースがほとんどなくなっていたそのタイミングで、数少ないポジティヴなニュースとして、多くの人に取り上げてもらった。
     それはそれで嬉しかったし、取り上げてくれた人々や協力してくれた人々には今でも感謝をしている。だが、その一方で、なぜ自分ごときの不完全なゲームがこれだけ取り上げられてしまうのか、ということを何かふがいなくも思えた。多くのゲームが発売延期を発表し、尊敬するゲーム業界の友人たちが落ち込んでしまったその風景は、何か、私がとても長い時間をかけてきた、ゲームという文化が敗北した瞬間でもあるように思えた。なぜ、私が尊敬してきたゲームの開発者たちは、もっと素晴らしい節電のゲームを、もっと素晴らしい、震災のいま、必要とされるゲームを作ってくれないのか。なぜ、みんな沈黙したままなのか、と思った。
     当時の状況下において、そういったことを、ゲームにかかわる企業の中の人間がそういう動き方をすることに難しいところがあることはわかっていた。だから、私が感じていたそれは、わがままな感情の一種だと言われればそういうものだというのも、わかっていた。だが、ふがいなく感じたということは事実だ。
     「ゲームというものは、楽しいものでなければならない」
     これは、ゲームにかかわる人々の矜持であるのと同時に、呪縛のようなものでもあるように思う。
     多くのゲームというのは、確かに楽しいものだ。だが、「ゲームとは楽しいものだ」という想像力が、ゲームを通じて弔いをしたり、ゲームが社会的な問題提起をしたりする多様なプラットフォームとして機能しうる想像力を奪うものにもなっているのではないだろうか。
     つまらないゲームをみんなが作るべきだとか、無理やり前衛的なゲームを作ることが素晴らしいとか、そういう話ではない。ゲームというのものが、単に「快楽」の問題として語られ続ける限り、「快楽」であることによって、社会のさまざまな場所へとゲームが立ち入ることが禁止される、という問題が起こることになる。

     たとえば、『Pokemon GO』をめぐって先月(2016年7月)に起きた多くの「禁止」事例はまさにそのようなものだった。
     アウシュビッツ・ビルケナウ国立博物館、アーリントン国立墓地、グラウンド・ゼロ、広島の平和記念公園などさまざまな場所で、「この場所はPokemon GOを楽しむのにふさわしい場所ではない」ということが問題となりPokemon GOが禁止された。
     これは、土地をめぐる権利者の異議申し立てプロセスとしては、当面は妥当な手続きといってもよいものだろうし、問題が起こった場合の対応に対する費用負担者の問題からしても一定の妥当性がありうる。そのため、特にこれらの禁止措置を申し立てた人々が偏狭だとか、そういうことを言うつもりはない。
     ただ、これらの禁止措置の理由の一つとして挙げられたのは、いずれも、ゲームをするという行為が、「快楽」のためのものであるという見立てに従っているということだ。

     別の例を挙げよう。
     1999年4月に米コロラド州のコロンバイン高校で起きた銃乱射事件をモデルにして、犯人たちの虐殺を体験できるゲーム『Super Columbine Massacre RPG!』(2005)は「不謹慎だ」として数多くの反感を買った。
     しばらくして、『Call of Duty Modern Warfare 2』(2009)(以下、『CoD:MW2』)という世界的な人気ゲームタイトルでも、マフィアに潜入捜査を行い、潜入捜査の過程でマフィアと共に、ロシアの民間人を虐殺する、というシーンがゲームに登場した。これは、日本でローカライズされて発売された際には「警察官には発砲できるが、民間人を殺したらゲームオーバーになる」という改変が行われ、民間人を虐殺するという良心を試すような行為は予め禁止されてしまった。
     これらは、いずれもゲームのなかで「虐殺を経験する」ということが不謹慎だとみなされた例だ。実際には、いずれのゲームでも、ゲームプレイヤーは虐殺の経験を単なる「快楽」として経験させることに主眼が置かれているわけではない。ゲームをすることはプレイヤーにとってどちらかと言えば、気分の悪い、良心を試されるような行為として心に残るような、そのようなものとして演出されてきた[2]。
     『CoD:MW2』の日本語版での改変については、少なくない数のゲーマーたちが、ありえない改悪だ、ゲームという文化を馬鹿にしている、として不快感を示した。
     その不快感は当然のものだと思うその一方で、このような批判を生み出す一因をゲーマーたち自身が作り上げてきたという側面もある。これらのゲームで民間人を殺すことが「不謹慎」だと思われる理由は、ゲームが何よりも快楽のためのものだということが社会的に強力なイメージとして想定されているからだ。そして、ゲームの開発者や、ゲームプレイヤーは、ゲームとは何よりも楽しいことが第一だということを、ゲームという文化のプライドとして築き上げてきた。
     ゲームに対して怪訝な視線を向ける人々のそれと、ゲームプレイヤーの文化的プライドは、ゆるやかな共犯関係にあるのではないか?「こんなに楽しいものは他にない」「楽しくなければゲームじゃない」といったことを言う、ゲームファンは、数多くいることだろうと思う。そしてこういった発言は、ゲーマーの日常感覚としては、とてもよく理解のできるものだ。
     だが、ゲームという文化が奥深く、多様なものだという主張をしたいのであれば、「楽しくなければゲームじゃない」と言うことは、ダブルスタンダードになってしまう。
     「ゲームは楽しいものでなければならない」という言辞は、プライドでもありうるし、呪縛でもありうる、というのはそういうことだ。
     「ゲーム」という現象の全体を記述しようと試みた時、確かに「楽しさ」という要素は、とても重要な役割を果たしている。しかし、それだけがゲームというものを規定するわけではない。
     本連載はそのようなこともまた、問題の一つとしている。

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  • 月曜ナビゲーター・宇野常寛 J-WAVE「THE HANGOUT」8月22日放送書き起こし! ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.677 ☆

    2016-08-29 07:00  
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    2016.8.29 vol.677
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    大好評放送中! 宇野常寛がナビゲーターをつとめるJ-WAVE「THE HANGOUT」月曜日。前週分のラジオ書き起こしダイジェストをお届けします!

    ▲8/22の放送はアーカイブがございません。今夜のYouTube Live視聴はこちらから!


    ■オープニングトーク
    宇野 時刻は午後11時30分を回りました。みなさんこんばんは、宇野常寛です。そして松岡茉優さん、今夜も生放送お疲れ様でした! 今、松岡さんは「AVALON」にゲストで来ていた℃-uteの鈴木愛理ちゃんとのおしゃべりに夢中で僕に関心を払っていません。ちょっと傷つきますね。でも僕も同じドルオタなので気持ちはわかります。卒業発表の直後に、こうやってメンバーがやってきてくれるなんて、ドルオタ冥利に尽きますよね。僕はAKB派ですが、℃-uteの偉大さを心に刻みつけていきたいと思います。
    ところで松岡さん、オリンピックは観ていましたか? 僕は1秒も観ていないんですよ。よって非常に残念ですが、今日の絡みはここまでです! もうね、僕はマジでオリンピックが終わってよかったと思っているんですよ。世間がオリンピックオリンピック言いすぎていて、個人的にちょっと気まずい空気になってしまっていたんですよね。


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  • 中川大地『現代ゲーム全史――文明の遊戯史観から』序章【全文無料公開】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.676 ☆

    2016-08-26 07:00  
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    中川大地『現代ゲーム全史――文明の遊戯史観から』序章【全文無料公開】
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    2016.8.26 vol.676
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    今朝のメルマガは、8月24日に発売された中川大地さんの著書『現代ゲーム全史――文明の遊戯史観から』の序章を無料公開します。
    第二次世界大戦後に登場した〈
  • 『月刊少女野崎くん』に現れた深夜アニメ表現の現代的射程(『石岡良治の現代アニメ史講義』10年代、深夜アニメ表現の広がり(4))【毎月第4木曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.675 ☆

    2016-08-25 07:00  
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    『月刊少女野崎くん』に現れた深夜アニメ表現の現代的射程(『石岡良治の現代アニメ史講義』10年代、深夜アニメ表現の広がり(4))【毎月第4木曜配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.8.25 vol.675
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    今朝のメルマガは『石岡良治の現代アニメ史講義』をお届けします。2010年代に入って「難民アニメ」を数多く手掛け、男性視聴者を中心に支持を拡大したスタジオ「動画工房」。今回は、動画工房アニメのなかでも例外的に男女双方からの支持を獲得し、最大のヒット作となった『月刊少女野崎くん』の現代性を考察します。
    ▼プロフィール
    石岡良治(いしおか・よしはる)
    1972年東京生まれ。批評家・表象文化論(芸術理論・視覚文化)・ポピュラー文化研究。東京大学大学院総合文化研究科(表象文化論)博士後期課程単位取得満期退学。青山学院大学ほかで非常勤講師。PLANETSチャンネルにて「石岡良治の最強☆自宅警備塾」を放送中。著書に『視覚文化「超」講義』(フィルムアート社)、『「超」批評 視覚文化×マンガ』(青土社)など。
    『石岡良治の現代アニメ史講義』これまでの連載はこちらのリンクから。

    前回:「難民アニメ」から見えてくるコミュニケーション型消費の現在(『石岡良治の現代アニメ史講義』10年代、深夜アニメ表現の広がり(3))

    ■ポスト京アニ的な身ぶり表現を展開するスタジオ「動画工房」
     ゼロ年代以降の深夜アニメにおいて制作スタジオの「シャフト」「京アニ」が象徴的存在となったことは広く知られており、この『現代アニメ史講義』でも独立して扱いましたが、2010年代に入り存在感を見せているスタジオに動画工房があります。動画工房は前回扱った「難民アニメ」すなわち「きらら系」原作ものを得意としており、近作では『三者三葉』や『NEW GAME!』がそのカテゴリーに当てはまります。実際には様々なタイプのアニメの元請をしていますが、現在アニメファンが「動画工房的」と聞いて思い浮かべる作風は、『ゆるゆり』(2011年)以降のものになり、監督としては太田雅彦や藤原佳幸を挙げることができます。
     動画工房の作風について、明確な特徴を挙げることは難しいのですが、京アニが得意としているキャラクターの身ぶり・しぐさの作画を、「きらら系」のデフォルメされたデザインに乗せつつ洗練させている、と言えば良いかもしれません。『未確認で進行形』(2014年)や『NEW GAME!』(2016年)のOP動画を見るとある程度明らかだと思います。京アニの『けいおん!』(2009年)は原作絵のデザインを変えることで、やや寸胴にすら見えかねない体型のキャラたちのしぐさを半ばリアル寄りに描いていましたが、動画工房の場合は、特にきらら系原作アニメでは、キャラクターデザインを原作絵に近付けつつ、ポスト京アニ的な身ぶり表現を手堅く展開しています。
     このような作風のアニメは、現在ではもっぱら男性向けとみなされる傾向があります。だいたい二昔前ぐらいまでは、男性キャラ中心の作品=男性向け、女性キャラ中心の作品=女性向けという了解がありましたが、今では完全に逆になっています。例えば、『黒子のバスケ』や『ハイキュー!!』のようなスポーツマンガや『おそ松さん』のキーヴィジュアルを目にすると、現在のアニメファンは「これは腐女子などに受けそうだ」と考えずにはおれないはずです。ですがもちろん赤塚不二夫の『おそ松くん』は、もともとは1960年代の週刊少年サンデーに掲載された少年マンガで、当時は男性が主要なターゲットでした。また逆に、きらら系難民アニメに典型的な女性中心のヴィジュアルイメージを見た時、現在のアニメファンの多くは、まず男性向けアニメと考えると思われます。
     『ゆるゆり』が「ゆるい百合」から取られているように、深夜枠で多く見られる女性キャラ中心のアニメでは、純然たる友情よりは若干恋愛感情寄りでありつつも、現実のレズビアンと比べるとかなりデフォルメされた関係性がしばしばみられます。この事情はBL作品と現実のゲイ男性とのズレとも似ていて、一般に、現実のセクシャルマイノリティと、オタク文化に現れるセクシャルマイノリティの表象にはしばしばズレが見られます。BLにしろ百合にしろ、ときに性差別的な表現も現れるので、考察には一定の慎重さが求められますが、それでもここで少し考えてみたいのは、なぜ現在の男性向けアニメに女性キャラ中心のものが多いのかという問題を、性的な表現の観点から検討していくことです。
    ■深夜アニメに典型的な性的モチーフの変容
     深夜アニメでは、今でも「水着回」「温泉回」(いずれも観光リゾートの基本であることは注目されます)が定番となっていますが、少し前のアニメではよく見られた、男性が女性の着替えや裸を直接覗きに行くようなセクハラエピソードは、現在では激減しています。代わってしばしばみられるようになったのが、男性が男性、女性が女性の裸体に関心をもつという仕方での、形を変えた「セクハラ」モチーフです。ここには同性愛差別的な要素が皆無とはいえず、また性的な表現の妥当性の感覚はいつの時代でも決して安定しているとは言いがたいので、はっきりした根拠で断定できる事柄は残念ながら多くありません。けれども、例えば1960-80年代ぐらいまでのアニソンに顕著に見られた「男らしさ」「女らしさ」を強調するタイプの歌詞が現在激減しているように、性規範的な役割についての規定が流動的になる傾向は明らかでしょう。
     しばしばオタク文化は性差別的と非難されますが、私は一定の留保が必要だと考えています。それは今述べたように、過去と現在のアニメ表現を比較すると、時代ごとの諸々の規範の変化に伴い、性的な表現に関する許容可能性の感覚も変化していること、そして、深夜アニメでは性的な表現が一つの売りとなっていることが無視できないと思うからです。『ドラゴンボール』の亀仙人のような振る舞いは、今ではゴールデンタイムで許容されることはほぼなく、深夜アニメでも即座に撃退されるネタキャラであることが通例でしょう(ジャンプ系で言うなら『To LOVEる』の校長が典型です)。

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  • 【対談】犬飼博士×中川大地『Pokemon GO』から考える近未来の社会――Nianticが設計するヒューマン・コンピュテーションの可能性 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.674 ☆

    2016-08-24 07:00  
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    【対談】犬飼博士×中川大地『Pokemon GO』から考える近未来の社会――Nianticが設計するヒューマン・コンピュテーションの可能性
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.8.24 vol.674
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    今朝のメルマガは、評論家/編集者の中川大地さんと、eスポーツプロデューサーの犬飼博士さんの対談をお届けします。『Ingress』に深くコミットし、『ポケモン』の全作品をプレイし続けてきたという犬飼さんと、本メルマガで「現代ゲーム全史」を連載し、その書籍が本日発売になる中川大地さん。ゲームの文化・歴史に精通する二人が、『Pokemon GO』ブームと今後の可能性について語り合いました。
    本メルマガで連載されていた中川大地さんの『現代ゲーム全史』の単行本が、本日、発売になります。ファミコン以前の時代からスペースインベーダー、マリオ、ドラクエ、FF、パズドラ、Ingress、さらにはPokemonGOまで――。"文化としてのゲーム”のすべてを一望できる大著です。ぜひともお買い求めください!
    『現代ゲーム全史−−文明の遊戯史観から』
    (紙)/(電子)
    ▼プロフィール
    中川大地(なかがわ・だいち)

    1974年東京都墨田区向島生まれ。ゲーム、アニメ、ドラマ等のカルチャー全般をホームに、日本思想や都市論、人類学、生命科学、情報技術等を渉猟して文化と社会、現実と虚構を架橋する各種評論の執筆やコンセプチュアルムック等を制作。批評誌『PLANETS』副編集長。著書に『東京スカイツリー論』、編書に『クリティカル・ゼロ』『あまちゃんメモリーズ』など。
    犬飼博士(いぬかい・ひろし)

    1970年愛知県生まれ。ゲーム監督、eスポーツプロデューサー。IT(ゲーム)とスポーツの間に生まれた情報社会のスポーツ「eスポーツ」や、空間情報科学をテーマとした展示「アナグラのうた 消えた博士と残された装置」、「未来逆算思考」、「eスポーツグラウンド」、「スポーツタイムマシン」など、身体的コミュニケーションを誘発するフィジカルな作品を制作。近年は運動会を次世代ゲームプラットフォームととらえる「未来の運動会プロジェクト」を進行。「超人スポーツ」委員としても活動中。
    ◎構成:長谷川リョー

    ■『妖怪ウォッチ』への米国からの応答としての『Pokemon GO』
    中川 日本での配信開始から1ヵ月、『Pokemon GO』はすっかりコミュニケーションインフラとして定着しました。それによって、一定のプレイ文化の形成も徐々にされてきている印象があります。犬飼さんは、本作の前身にあたる『Ingress』でも地域ベースのプレイヤーコミュニティの運営に深く関わっていらっしゃいましたが、両者を比べてみた印象はいかがですか。
    犬飼 『Ingress』が出たときよりも興奮していますね。初めて『Ingress』をプレーしたときは、初めてのことが多すぎて何が何だか分からなくて、面白さを発見するまでに時間がかかったんですよね。じわじわと興奮がやってきた。一方もともと『ポケットモンスター』シリーズは大好きで、新作が出る度に買っているんですが、今回の『Pokemon GO』の最初の感触も、新作をプレイするときの興奮に近かったかもしれない。『Ingress』と『ポケモン』の新作が合体してやってきたので興奮しています。
    中川 アメリカで先にリリースされて騒ぎになっていたことも期待感を高めましたよね。日本でのリリース日がなかなか決まらないので、かつてのドラクエの発売日前のワクワクがいつまでも続いているような、ゲームにまつわる懐かしい空気を多くの人に味わわせてくれた感があります。
    このメルマガで連載していた「現代ゲーム全史」は2014年までが最終章になるので、最終回では『Ingress』と対比させて『妖怪ウォッチ』を取り上げたのですが、『Pokemon GO』は『妖怪ウォッチ』が『ポケモン』から取り込んで進化させた部分――目に見えない妖怪が近づいてくると反応して、覗くと妖怪が見える、というAR的な機構を、再び奪還したような関係になっている。9月に発売が予定されている「Pokemon GO Plus」にしても『妖怪ウォッチ』のコンセプトそのままですよね。つまり、アメリカ産のAR技術と、アニメ『電脳コイル』でもモチーフになっていましたが、日本の妖怪という想像力が融合することで、『Pokemon GO』というコンテンツが生み出されたわけです。しかし、それがアメリカであそこまで熱狂的な盛り上がりをみせるのは意外でした。

    ▲「Pokemon  GO  Plus」(出典)
    (参考)『妖怪ウォッチ』と〈拡張現実〉的想像力の未来(中川大地の現代ゲーム全史・最終回)
    犬飼 日本の場合は、ゲームに触れるより先に、マスメディアによって煽られてしまった部分が大きいと思います。「『Pokemon GO』という面白いゲームが出るらしいぞ」ということが、広告や宣伝ではなく、社会現象として世間に広がって、ニュースで大々的に報じられたり、リリース前なのに内閣府から「注意せよ」とお達しが出るなど、ありえない現象が起こっていった。
    これはアメリカ在住の友人から聞いた話ですが、向こうでは最初から劇的な盛り上がりがあったわけではなく、街中で遊ぶ人が少しずつ増え始めて、それが取材されてマスメディアに乗り、YouTubeで拡散されて社会現象化していった。その過程で起きていた現象は、単純に人が集まっただけです。「パーティーをやってるらしいぞ!」と噂になったけど、何のパーティーなのかよく分からない。音楽も流れていないし、ただスマホを持った人がウロウロしているだけ。こんな風に街中に人が集まる現象を、これまで誰も体験したことがなかった。
    中川 これまでも風景にタグがついたり特定の場所にチェックインするとバッジがもらえる仕組みのARアプリはありましたが、「見えないもの」を見たい、という動機があって初めて一般の人々が衝き動かされて、社会現象として可視化されたということですね。
    ■『ポケモン』に伏在するアメリカ文化への幻想
    犬飼 アメリカでは『Pokemon GO』のプレイヤーを狙った強盗が現れたり、プレイ中に死体が発見されたりといった事件が起きていますね。
    中川 『Pokemon GO』で遊んでいて死体を見つけてしまった話は、すごく象徴的だと思います。『ポケモン』は『MOTHER』の強い影響下にあることが知られていますが、もともと『MOTHER』というゲームは、映画『スタンド・バイ・ミー』のような、アメリカの田舎の少年の成長物語にインスパイアを受けている。要するに「幻想としてのアメリカ」をモチーフとしているんです。
    映画『スタンド・バイ・ミー』は、子供たちが現代人にとって他者性のある「死体」を探しに行くという、一種の通過儀礼を描いた作品ですよね。つまり、『Pokemon GO』は「死体を発見する」という『ポケモン』の原点にあたる風景を、もう一度、逆輸入する形でアメリカに現出させたわけです。こういった、危険も含めた原体験のようなものは、さんざん注意喚起された後にリリースされた日本では味わえないので、正直、羨ましささえ感じます。

    ▲1989年発売のRPG『MOTHER』。糸井重里、宮本茂が手がけたことでも有名。(出典)

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  • 『トットてれび』――テレビドラマの死への祝福と哀しみを込めて――『あまちゃん』演出家が送るレクイエム(松谷創一郎×宇野常寛)☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.673 ☆

    2016-08-23 07:00  
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    『トットてれび』ーーテレビドラマの死への祝福と哀しみを込めて――『あまちゃん』演出家が送るレクイエム(松谷創一郎×宇野常寛)
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.8.23 vol.673
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    今朝のメルマガは、『トットてれび』をめぐる松谷創一郎さんと宇野常寛の対談をお届けします。黒柳徹子の半生と、名優・渥美清や森繁久彌、脚本家・向田邦子らとの物語を描き、ドラマファンから熱心な支持を集めた本作。そこに漂っていた「死の匂い」が表していたこと、そして、テレビドラマの終わりについて語り合いました。(初出:「サイゾー」2016年8月号(サイゾー))

    (出典)
    ▼作品紹介
    『トットてれび』
    放送/NHKにて4~6月毎週土曜日、全7回 プロデューサー/訓覇圭、高橋練 演出/井上剛ほか 脚本/中園ミホ 音楽/大友良英ほか 出演/満島ひかり、中村獅童、錦戸亮、吉田鋼太郎、ミムラ、濱田岳、松重豊ほか
    NHKの専属女優としてデビューした黒柳徹子と、彼女が立ち会ってきた昭和のテレビの草創期、そこで共に活躍した渥美清や向田邦子といった戦友や先輩たちの生きざまを重ねて描く。毎話エンディングが、スタジオ生演奏の音楽に乗せたミュージカル仕立てになっているのも話題に。1話30分。
    ▼対談者プロフィール
    松谷創一郎(まつたに・そういちろう )
    [ ライター/リサーチャー] 
    1974年生まれ。著書に『ギャルと不思議ちゃん論』(原書房)、『どこか〈問題化〉される若者たち』(共著 /恒星社厚生閣)など。
    ◎構成:橋本倫史
    『月刊カルチャー時評』過去の配信記事一覧はこちらのリンクから。
    松谷 単刀直入にまず言ってしまうと、すごく面白かったんだけど、同時に非常に問題作だとも思いました。なぜなら、このドラマが描こうとしていたことは、テレビ放送というパラダイムの終焉だと受け取ったからです。その最大の理由はあのラストシーン。あれを観たときに、『崖の上のポニョ』(2008年)を連想した。『ポニョ』のラストシーンは大洪水の後の世界で、あそこに出てくる人たちは死後の世界にいる、と解釈できる。宮崎駿の中では人間と自然は地続きで、それを彼なりの死生観で描いたのが『ポニョ』だった。『トットてれび』のラストは、いろんな解釈ができるように作られていて、普通に捉えるならばカーテンコール。
     それで「よかった、よかった」と観てもいいのだけど、森繁久彌(吉田鋼太郎)とか渥美清(中村獅童)とか向田邦子(ミムラ)とか、亡くなった人がぞろぞろ出てくるわけですよ。しかも、子役が演じる黒柳徹子と満島ひかりさんが演じる黒柳徹子、本物の黒柳徹子の3人が出てきて、それぞれに「私は今日の私です」と言う。そこでは、死んだ人と生きている人が地続きになっている。ただ、死者のほうが多いことを考えると、黒柳徹子の遺書のようにも見えましたけどね。
    宇野 その演出の原型は、『トットてれび』演出の井上剛【1】さんが昨春に撮ったドラマ『LIVE! LOVE! SING! 生きて愛して歌うこと』【2】にあったと思う。これは神戸と福島をつなぐロードムービーで、被災してバラバラになっていた福島の学生たちが再集結して、タイムカプセルを掘り起こしに地元へ戻るという話だった。地元に帰ったヒロインが、夜中に見た夢か現実かわからない光景として、無人の街で生者と死者が一緒に歌って踊っている祭りが描かれていた。あれが『トットてれび』の演出プランの原型になっていて、井上さんは確信犯的にあの世とこの世を混在させる演出をしていいる。『LIVE! LOVE! SING!』では被災地とそれ以外という断絶したものをつなぎ得るものとして、あの世とこの世の境界を融解させる虚構の機能がピックアップされていたのだけど、それが『トットてれび』に応用されることで別の意味が加わっている。
     それは要するに、テレビも、テレビが象徴する戦後日本も、これから先はこうやって過去の記憶を温め直すことしかできないっていう宣言と、そこに開き直って最高の葬式をしてやろうっていうこと。その手段として、メタフィクション的なアプローチと音楽の力で生者と死者を混在させている。
     もっとはっきり言ってしまえば、テレビも戦後日本ももう死んだも同然で、僕らはリスペクトを込めてそれを弔う段階に来てしまっているってことを描いているんだと思う。

    【1】井上剛:NHKディレクター。1968年生まれ。『クライマーズ・ハイ』『ハゲタカ』、朝ドラの『ちりとてちん』や『てっぱん』を手がけ、NHKドラマにこの人あり、と注目され、『その街のこども』『あまちゃん』で一躍広く知られるようになった。
    【2】『LIVE! LOVE! SING!生きて愛して歌うこと』:福島で被災し、神戸に移住したヒロインが、恋人の教師と、元同級生らを巻き込んで母校の小学校を目指すロードムービー。15年3月にNHKで放送され、16年1月から再編集された劇場版が公開された。


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  • 月曜ナビゲーター・宇野常寛 J-WAVE「THE HANGOUT」8月15日放送書き起こし! ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.672 ☆

    2016-08-22 07:00  
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    月曜ナビゲーター・宇野常寛J-WAVE「THE HANGOUT」8月15日放送書き起こし!
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.8.22 vol.672
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    大好評放送中! 宇野常寛がナビゲーターをつとめるJ-WAVE「THE HANGOUT」月曜日。前週分のラジオ書き起こしダイジェストをお届けします!

    ▲先週の放送はこちらからご覧いただけます!
    ■オープニングトーク
    宇野 時刻は午後11時30分を回りました。みなさんこんばんは、宇野常寛です。そして松岡茉優さん、今夜も生放送お疲れ様でした! なになに? 「宇野さんはUFO見ました?」なるほど、今日の「AVALON」はUFO特集だったんですね。僕はUFOは見ていないですね。というか、UFOなんてパーフェクトに嘘ですよ。本当に。番組の前提を覆すようなことを言っちゃって申し訳ないんですけれど、僕は嘘だと思っていますね。ただ、そもそも世の中って基本的に嘘だらけなんですよ。嘘だらけなんだけれど、松岡さん、僕のあなたに対しての愛だけは本物です。それだけは覚えておいてください。
    ということで、もしかしたら、この番組を聴いているティーンエイジャー、ひょっとすると大学生でも分からないかもしれませんが、90年代の前半、バブルの後ぐらいまでは、オカルトって結構メジャーな趣味のひとつだったんですよ。この場合のオカルトは、心霊とかUFO、埋蔵金、超能力とか、そういうのを全部ひっくるめての「オカルト」です。おそらく21世紀の日本人には、埋蔵金とUFOと「ユダヤの血脈」みたいな陰謀史観などを、同じジャンルとして捉える感覚はないと思うんですよ。でも当時は全部同じジャンルで、学研の『ムー』のような専門誌で特集が組まれていたんですね。今のこの社会はニセモノであって、マスコミが報道しない本当の世界があるんだ、ということを信じたい若者たち、まあ今で言うところの中二病ですよね。そういった人たちの受け皿になっていたんです。


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  • 【特別寄稿】門脇耕三「リオデジャネイロ・オリンピック 都市・建築の舞台裏」 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.671 ☆

    2016-08-19 07:00  
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    【特別寄稿】門脇耕三「リオデジャネイロ・オリンピック 都市・建築の舞台裏」
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.8.19 vol.671
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    今朝は建築学者の門脇耕三さんによる、リオデジャネイロ・オリンピックの都市と建設をテーマにした寄稿をお届けします。民間での再利用を前提とした競技施設が注目を集めていますが、実際に現地ではどのような建造物が建てられているのか。リオ五輪の建築的側面を、ブラジルの都市計画の歴史を踏まえながら解説していきます。
    ▼プロフィール

    門脇耕三(かどわき・こうぞう)
    1977 年生。建築学者・明治大学専任講師。専門は建築構法、建築設計、設計方法 論。効率的にデザインされた近代都市と近代建築が、人口減少期を迎えて変わりゆく姿を、建築思想の領域から考察。著書に『シェアの思想/または愛と制度と 空間の関係』〔編著〕(LIXIL 出版、2015 年)ほか。
    過去のリオ五輪関連記事はこちらから。
    日本人はリオ五輪から何を学ぶべきか――『オリンピックと商業主義』著者・小川勝氏インタビュー
    『PLANETS vol.9 東京2020 オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト』好評発売中です!

    『PLANETS vol.9』は2020年の東京五輪計画と近未来の日本像について、気鋭の論客たちからなるプロジェクトチームを結成し、4つの視点から徹底的に考える一大提言特集です。リアリスティックでありながらワクワクする日本再生のシナリオを描き出します。
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    連日のオリンピック関連の報道で、リオデジャネイロ(以下、リオと略す)の街並みや建物を目にする機会が多くなってきた。夏季オリンピックはこれまで、ヨーロッパで16回、北米で6回、アジアで3回、オセアニアで2回開かれてきたが、南米での開催は今回が初めてであり、その重責を負ったリオは、メキシコシティやサンパウロと並ぶ、南米屈指のメガ・シティでもある。リオは観光地としても世界的に有名だが、地球上での裏側に住まうわれわれにとっては、馴染みがある都市とは言いがたい。そこでこの記事では、リオ・オリンピックをさらに楽しむために、リオの都市計画とオリンピック施設の特徴を解説してみることにしよう。

    ▲リオデジャネイロ(出典)
    ■リオの成り立ちと発展
    リオはポルトガル人によって1502年に発見され、港町として整備されたが、都市としての発展は18世紀前半に内陸部で金鉱が見つかったことが契機となる。金の積出港として栄えだしたリオは、1763年にはブラジルの植民地政庁の所在地(首都)となり、1822年にブラジルがポルトガルから独立したあとも、長らくブラジルの首都として発展する。しかし19世紀中頃までのリオは、まだ小規模な都市に過ぎなかった。当時の人口構成は大半が奴隷で、ごく一部の自由労働者のさらに一部が支配エリート層をなすピラミッド型の社会階層であったが、リオは長い年月をかけて浸食された巨大な奇石がそびえ立ち、低地が丘陵や山で分断される特殊な地形をしているため、すべての社会階層が比較的近接して居住していたという。

    ▲リオのシンボルでもある奇石、ポン・ヂ・アスーカル(出典)
    19世紀末になると、ブラジルの工業化とともに、リオも巨大な労働市場を形成しはじめる。加えて、コーヒー産業の衰退に伴う農村部からの人口流入、帝政ロシアの支配地域で頻発したポグロム(流血を伴う反ユダヤ暴動)から逃れた移民の移入などにより、1872年に27万人だったリオの人口は、1900年には81万人にまで膨らむこととなる。そこで1902年に第5代大統領に就任したロドリゲス・アルヴェスは、都市計画家フランシスコ・ペレイラ・パソスをリオ市長に任命し、リオの都市改造を大規模に進めた。当時採用されたのはフランス式の都市計画であり、旧市街(セントロ)のシネランデア広場とその中心には、パリのオペラ座を模したという市立劇場や、リオ市庁舎、連邦司法文化センター(旧高等法院)など、パソスの主導により整備された新古典主義の建築が軒を連ねている。

    ▲リオデジャネイロ市立劇場(出典)
    当時のリオの人口増加は、1888年の奴隷制廃止も大きな要因のひとつであるが、これを契機に誕生したのが、大量の都市貧困層である。20世紀初頭のブラジル経済は好調であり、この時代には政府主導型の都市政策が数多く実施されたが、その目的は、都市貧困層が不法に立てた小屋が建ち並ぶスラムである「ファヴェーラ」を解消することであった。しかし実際には、貧困層を遠隔地に追いやり、富裕層を優先する都市整備が行われたため、以降のリオには、インフラが充実した富裕層の居住地域である南地域と、インフラが未発達で貧困層が住まう北・西地域に社会階層が分断された都市構造が定着することとなる。

    ▲リオのファヴェーラ(出典)


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  • 加藤るみの映画館(シアター)の女神 2nd Stage ☆ 第3回『ショート・ターム』『マン・アップ 60億分の1のサイテーな恋のはじまり』【毎月第3木曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.670 ☆

    2016-08-18 07:00  
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    加藤るみの映画館(シアター)の女神 2nd Stage 第3回『ショート・ターム』『マン・アップ 60億分の1のサイテーな恋のはじまり』【毎月第3木曜配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.8.18 vol.670
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    今朝のメルマガは、加藤るみさんの連載『加藤るみの映画館(シアター)の女神 2nd Stage』第3回をお届けします。今回取り上げるのは、人の温かさに包まれるヒューマンドラマ『ショート・ターム』、るみさんが久しぶりに映画館で大笑いしたという『マン・アップ 60億分の1のサイテーな恋のはじまり』の2本です。
    ▼執筆者プロフィール
    加藤るみ(かとう・るみ)
    1995年3月9日生まれ。岐阜県出身。サンミュージックプロダクション所属のタレント。映画鑑賞をはじめ、釣り、世界遺産、料理、カメラ、アニメと多趣味を活かしてマルチに活躍中。インターネットラジオK'z Station『おしゃべりやってま~すRevolution』にレギュラー出演中。雑誌『つり情報』でコラムを連載中。

    本メルマガで連載中の『加藤るみの映画館(シアター)の女神』、過去記事一覧はこちらのリンクから。

    前回:加藤るみの映画館(シアター)の女神 2nd Stage ☆ 第2回『遠い空の向こうに』『裸足の季節』『羊たちの沈黙』



    どうも! 加藤るみです。
    今回は、「とにかく観てほしい!! とにかく観てくれ!!」という私の想いが詰まった 、
    加藤るみゴリ推し作品を紹介します!!(笑)
    人の温かさに包まれる珠玉のヒューマンドラマ『ショート・ターム』と、
    「恋愛したい!」「笑いたい!」という大人に届けたい、
    ハチャメチャラブコメディー『マン・アップ 60億分の1のサイテーな恋のはじまり』。
    痛い映画とイタイ映画、それぞれ“いたい”の意味は違うけれど、
    どちらも素晴らしい2作品をお届けします。
    ~痛いけど優しい
    人を想う映画~
    『ショート・ターム』

    (出典)
    「心が痛むのに、なんでだろう? すごくスッキリする。後味が良すぎる」
    ……そんな映画に出会いました。
    今、一番オススメしたいほっこりムービーです。
    物語の舞台は、心に傷を負ったティーンエイジャーをケアする短期保護施設“ショート・ターム12”。
    痛みを抱えた子供たちと施設の大人たちが、それぞれ全力で生きる姿に涙がこぼれました。
    ★るみの注目ポイント
    ①人を想うことは簡単。だけど難しい。
    『ショート・ターム』は観終わった後に、
    そばにいる誰かにそっと寄り添いたくなるような、優しさに溢れた作品でした。
    周りの人に思いやりや優しさを持って接することはもちろん大切だけど、
    単にそれだけでいいわけではない、ということに気づかされます。
    「相手に“何を”“どうして”あげればのいいのか?」
    「優しさの形ってなんだろう?」
    と、何度も問いかけられているような気がしました。
    特に、この作品に登場する子供たちは
    10代というとても過敏な時期である上に、
    家庭の事情で心に傷を負っていて、
    それによって苦しんでいる姿が映し出されるから、とにかく胸が痛む。
    でも、よくあるお涙ちょうだい感は全くないんです。
    特に私が印象に残ったシーンは、マーカスという少年の、
    母親へ向けた憎しみや恨みが詰まったラップ。
    それを聞いた時には、胸が張り裂けそうな気持ちになりました。

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