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記事 26件
  • ソーシャルネット時代のリアリティと「イスラム国」――日本人は"ヤツら"とどう向きあうべきなのか(軍事評論家・黒井文太郎インタビュー)(PLANETSアーカイブス)

    2019-05-31 07:00  
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    今朝のPLANETSアーカイブスは、軍事評論家・黒井文太郎さんの「イスラム国」についてのインタビューです。90年代からビンラディンをはじめとしたイスラム過激派を追ってきたという黒井さんは、「ネットを有効活用して過激思想を広める恐ろしいテロ組織」とされる彼らのリアルをどう見ているのでしょうか――?(聞き手:中川大地、葦原骸吉+編集部、構成:葦原骸吉) ※この記事は2015年4月10日に配信された記事の再配信です。
    ■ バックパッカーからインテリジェンス研究へ
     
    ――黒井さんには、『PLANETS Vol.9』Dパートで、東京五輪に向けての治安・軍事面でのセキュリティホールを検証していただきました。その上で、本誌座談会ではポリティカル・フィクションとしてテロの可能性を検討したのですが、先進国社会が抱える共通したリスクとして、いわゆる「イスラム国(ISIS)」のような存在が、現在の社会に希望を持てない不満層にとっての駆け込み先になる可能性が無視できないのではないか。そんな話題が出ていた矢先に、例の邦人拘束殺害事件が起きたわけです。
     そこで、今回は本誌での議論のフォローアップとして、『イスラム国の正体』という著書も上梓されている黒井さんに、イスラム国が出てくるに至った背景や、よく指摘されるインターネット普及との関連性、日本人がこの現象をどういう距離感で受け止めたらいいのかといったお話をうかがえればと思います。
     まず、そもそも黒井さんはどのような経緯で国際インテリジェンス(情報機関・諜報活動)関係の仕事に就かれて、中東の武装集団に興味を持たれたのでしょうか?
    ▲『PLANETS vol.9 東京2020 オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト』
    黒井 もともと僕は、学生時代にバックパッカーをやっていて、その延長ですね。藤原新也さんとかが人気だった1980年代の中ごろで、『地球の歩き方』とかH.I.S.とかが出はじめたころです。それで、中南米のエルサルバドルやニカラグア、中東のイランとイラクの国境地帯などをよくうろうろしていました。当時、シリアの首都のダマスカスで安宿に泊まったら、何ヶ月も中東各地で現地調査している年上の日本人の大学生がいて、「これからちょっとPLOの事務所行くんだけど、黒井くんも来る?」という感じで、PLO事務所や難民キャンプなどに連れて行ってもらったんです。
     この人は清水勇人さんという人で、すごい行動力があって、帰国後は政治家になって、今はさいたま市長をしています。僕は日本に帰ってから一度お会いしただけですけど、彼に出会わなければこういう道には入っていなかったですね。
    ――なるほど。冷戦時代の1970年代くらいまでは、それこそミュンヘン事件を起こした「黒い九月」と連携して日本赤軍もロッド空港での乱射事件を起こしたりとか、現在よりも日本人が中東のテロ組織と接点なりシンパシーを持つ土壌が強かったと思います。1980年代のバックパッカー文化の場合は、そういう政治的な意味でのシンパシーみたいな動機はあったのでしょうか?
    黒井 あんまりないと思いますね。そこはもっと興味本位というか、秘境を旅しようという冒険心に近い感じです。当時は、アジアや中南米などで資源の買い付けをやってる現地採用の商社員にも、戦前の大陸浪人みたいな変な人がいましたよ。向こうの沈没組みたいなのが大手商社とかの名刺を持って、腰にピストルなんか下げて「飲みに行こう」とか言ってる。今はコンプライアンスの時代なので、そういう人は使わないで、情報収集や交渉は地元のコンサルタントや弁護士事務所に丸投げですけど......。
     それで、僕は講談社の週刊『フライデー』編集部に入って、そこを辞めたあとフリーのライター兼カメラマンのような形で海外の紛争地の取材をしてました。冷戦も終わった1990年代の前半に日本に帰ってきたんですが、もう地域紛争が世界を変えるという時代でもなかったし、「次は何がテーマかな?」と考えたとき、当時はCIAなどのインテリジェンスやテロ問題は日本では他の人があまりカバーしていない世界だったので、興味を持ったんです。それで、イスラム過激派のテロなどを研究して、1998年に『世界のテロと組織犯罪』という最初の本を書きました。2000年からは『軍事研究』という雑誌の専属ライターになってます。
    ――インテリジェンスの専門家といえば、外務省出身の佐藤優や公安調査庁出身の野田敬生など政府機関のOBが多いですが、黒井さんの情報源はまったくの私的な人脈なのでしょうか?
    黒井 僕は基本的に、自前の取材ではなくオープンソースから情報を集めてます。海外のジャーナリストや研究機関をどれだけフォローできるかが勝負みたいなところで、独自の人脈で「こんなネタ拾ってきました」というのは、あまり参考にならないです。フリーで戦場カメラマンみたいなことをやっていたころの後期、地元のジャーナリストや研究者、人権団体の人などから、いろいろと資料をもらっていたんです。そこから漏れる分は自分で洋書を買って調べたりしました。今だとネットでこういう情報ってすぐに集められますけどね。
     当時、僕が調べていて、「これは面白いな」と思ったのが、アルカイダのビン・ラディンでした。9.11で注目される前ですね。『世界のテロと組織犯罪』では、その辺を詳しく書いていて、もともとたいして売れなかったんですけど、9.11後、すぐ売り切れました(笑)。
     
     
    ■冷戦後のリアリティを変えたアルカイダの台頭
     
    ――ビン・ラディンに興味を持たれたのは、どういう経緯だったのでしょうか。
    黒井 90年代の半ばに僕は一時、カイロに住んでいたんですけど、「TIME」の記事で知りました。当時はエジプトですごいテロがあったんですが、その前から現地の研究機関やジャーナリストに話を聞いて、アフガニスタンのゲリラを支援しているサウジの大金持ちが居るという噂は何度か耳にしていてんです。
     最初に「エコノミスト」というイギリスの雑誌で、五行情報くらいでその話が出たんですね。それで、あの噂ほんとうだな、と思って。どこかで誰か知らないかなと思ったんですけど、みんな具体例を知らなくて。そうこうしている間に、「TIME」の欧州版エディションにビン・ラディンのインタビューの記事が出たんですね。そこで初めて具体的なことを知りました。あれはアメリカ版とかアジア版には載ってないんですよ。当時は誰もビン・ラディンがどれだけ大物かは気づいてなかったので。
    ――その時点では、アルカイダっていう存在はどれだけの勢力だったんですか?
    黒井 当時のアルカイダは、サウジアラビアを追われたビン・ラディンともどもスーダンのバシル政権というイスラム原理主義の政権にかくまわれていました。アフガニスタンにも仲間が残っていて、国際グループみたいなのを作っていましたが、勢力としては小さいです。
     そこで農場をやったり工場をやったりして、元のアフガン義勇兵の連中を呼び集めて、会社を作って、仕事していたんですよ。みんなを食わせなきゃいけないので。そういう時期だったと思いますね。当時、彼が動かせる人は200人とか300人も居なかったと思います。
    ――なるほど……当然、僕らのような一般的な日本人がアルカイダを知ったのは9.11以後のことでした。ただでさえ映画みたいな衝撃的な事件で呆然としている間に、ブッシュ政権は瞬く間にビン・ラディンを指名手配して、またたく間にアフガンに攻め込んだという印象だったので、多くの日本人は戸惑うばかりだったと思います。あれはアメリカの自作自演だったのではないかという陰謀論まで、当時はしきりに囁かれました。
     しかし今、黒井さんたちのような形で情報を追っていた人たちからすると、すでにその時点で感じているリアリティの違いがあったのではないかと。9.11が起きたときに、ビン・ラディンが特定されていく経緯というのは、黒井さんたち的には納得だったんでしょうか?
    黒井 テロを追いかけてる人から見れば、あれがアルカイダの仕業だろうなっていうことは一発でした。1998年にケニアとタンザニアでテロをやって、最終的にアメリカを狙っているのはみんなわかってましたから。在韓米軍が狙われるんじゃないか、みたいな噂はけっこう出てて、どこかの国で、アメリカ大使館とかを狙ったりっていうのをそろそろまたやるだろうっていうのは、みんな思ってたんですね。
     ただ、アメリカ本土でああいうハイジャック型の大規模な事件になったことには、意表を突かれました。だからあの事件が起きたときには、これはもうアルカイダ以外にないな、というのはすぐにみんなが考えることでした。当時、DFLPっていうパレスチナのゲリラがやったんじゃないかっていう第一報が流れたんですよ。そういう問い合わせが僕も新聞社から来たんですけど、「それはありえないです。アルカイダで間違いありません」って言ったのは覚えています。
    ――つまり、90年代の時点ではわずかな勢力でしかなかったけれど、2001年の時点では、そこまで確信を持てるほど急速な盛り上がりがあったわけですね。
    黒井 1996年にアフガニスタンに戻って、タリバンと手を組んだのが転機ですね。ちょうど僕の最初の本が出た頃に、アルカイダはあちこちのイスラム過激派と連携して、十字軍と戦う世界イスラム軍だみたいな旗揚げをして、これからアメリカをやるぞって宣言したんですね。そのときに僕らの間では注目度が高まったんです。当時は、アルカイダって言い方はあまりしてなくて、ビン・ラディン派の連中はこれからどんどんやるぞという雰囲気が、98年くらいから盛り上がっていた。
    ――逆にそういう情報に対して、日本でのニーズはどうだったんでしょう。
    黒井 ないですよ。だから、軍事雑誌でしか扱ってくれないんですね。
    ――つまり、赤軍派の時代とは違って、日本人にとってはテロという自分の生活とは基本的には関係のない、マニアックな趣味の情報としてしか捉えられていなかった時期が長く続いていた、と。
    黒井 日本だけじゃないですけどね。9.11後にアメリカが調査委員会を作って検証しているんですけど、おもしろいなと思ったのは、アメリカの情報機関ですら冷戦の終結後はテロへの警戒をやめてしまっているんですね。90年代にはCIAやFBIなんかも「テロ対策はもういいだろう」と、麻薬組織関係に人員をシフトしていったりだとか。CIAの「テロ対策センター」という本丸の組織でも、ビン・ラディン班なんて10人とかそこらの規模です。そこの人たちはさすがに「これからこいつらが危ないぞ」と声を大にして言ってたんですけど、CIAの中で誰も話を聞いてくれず、傍流の傍流あつかいをされていました。アメリカはニューヨークの貿易センタービルの地下駐車場を爆破されたり(1993年)とか何度かやられてるんですが、それでも大して動いてないです。
      なんとなく冷戦終わったし、もうこれからあまり危ないことないんじゃないか、という油断はアメリカの中でもありました。そういう背景があったので、9.11はアメリカにとっても晴天の霹靂でした。
    ――とはいえ、中東地域では、紛争はずっと続いていたと思うんですね。
    黒井 でも、ちっちゃかったですね。前は、大きな紛争がいくつもあって、イスラエルの話もそうでしたけども、戦争も起こったし、それぞれバックにソビエトとアメリカが居て、イスラエルが動いてみたいなガチンコだったんですけども、冷戦が終結してからあのへんもけっこうフラットになったんですよ。
     その後には湾岸戦争があって、それが終わった頃からは、ここからもう大きな戦争はないだろうっていうような空気で、やっぱりシリアとかイラクとか、カタフィーのリビアとかもそうですけども、90年代以降になってから、わりとみんな大人しくなるんですよ。もう冷戦が終わってソビエトが助けてくれないから、アメリカと喧嘩してもしょうがないだろうということで、戦争ないし平和だよねみたいな空気が、アラブでも90年代以降には主流でした。
    ――それは、今の空気とはまったくちがうことですよね。やっぱり9.11がきっかけだったという理解で良いのでしょうか。
    黒井 そうですね。ただ、9.11はアルカイダが突出しすぎたので、あれの模倣犯はけっこう出たんですけども、アラブ世界があれで反米になったというわけではなかった。「アメリカが悪い」というよりは「テロの人すごいね」みたいに、アラブの中でもちょっと他人事みたいなところがあって。  反米ブームが一気に来たのは、むしろ2003年のイラク戦争以降のことでした。
     
     
    ■ イスラム過激派は「幕末の志士みたいな意識高い系」?
     
    ――そこでアルカイダが、反米グローバル・ジハードの急先鋒という権威を獲得して、それまでになかった世界的な象徴性を帯びていったと思うんです。そこには、国境を超えるネット利用の効果が大きかったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
    黒井 そもそもアルカイダは、ネットで人を集めていたわけではなくて、イスラム教の説法や軍事訓練風景などのビデオCDなんかを直接配ってました。今のイスラム国のものに比べればずっと手づくり感満載のものです。中東やヨーロッパなど各国のモスクにアジーテーターみたいな人がいて、人脈ネットワークでオルグしていくのがほとんどでしたね。それで「お前、やる気ならパキスタンに行ってみろ」と言われた人がビン・ラディンに会って「がんばれ」とか言われて帰ってくるみたいな感じです。あとは「俺の友だちがメンバーにいるから、お前も集会に来いよ」といった口コミによる紹介で人を集めて、そこで急にテロをやろうと決めたりする。それで終わったら「じゃあね」って言って、次の友だちに会ったら別のグループに行ったりとか、そういうのが普通にある。
    ――口コミから国際的なネットワークになっていくのが、日本人の感覚からすると意外ですよね。
    黒井 日本人のイメージするテロ組織、たとえば、赤軍派やオウム真理教はガチっとした規律があって構成員が決まってる感じですけど、中東はもっとゆるいんですよ。パレスチナ人のグループもいっぱい派閥があって、アラファト派とアブ・ニダル派がケンカしてたりしたんですけど、アブ・ニダル派の人が明日からアラファト派に行くって言っても、「おお、そうか、がんばれよ」と言われるような雰囲気なんですよ。彼らは、なんとか解放戦線とかいう組織名もほとんど知らないで、ボスの名前でグループを呼んでるんです。自民党の宏池会とか清和会とか言ってもよくわかんないけど、安倍派とか言ったらわかるみたいな感覚に近いんですよね。だから、アラブの過激派のメンバーは、自分の所属組織の政策とか綱領なんか誰も気にしていません。それも自民党と似てますね。
     9.11テロのプロットを考えたのはハリド・シェイク・モハメドという男で、彼は若いときからテロをやりたくてやりたくて、1993年に起きたアメリカの世界貿易センタービル爆破事件などを仕掛けた人物ですが、ビン・ラディンにすごいライバル意識を持っていたんですね。行動力はあるんだけども、お金も子分も持ってないから、世界じゅうを渡り歩いて「お前ら一緒にやらないか」みたいにオルグをしてる。それでも自前では限界があって、最終的に9・11テロの計画をビン・ラディンに売り込みに行って、ビン・ラディンをある意味で“引きずり込む”のに成功するのです。それこそ、長州や薩摩の尊皇攘夷志士の間で顔つなぎ役をしてた坂本龍馬みたいな感じですよ。 
     

    ▲ハリド・シェイク・モハメド
    画像出典:The Long, Brutal Interrogation of Khalid Shaikh Mohammed - NationalJournal.com 
     
    ――それは面白い表現ですね。そういった「テロ浪人」のようなイスラム過激派というのは、もはや貧困ゆえのテロというより自己実現的な意識なんでしょうか。
    黒井 彼らは悪い意味で、非常にロマン派ですよ。テロリストの人たちは、承認欲求がすごい強くて、イスラム教徒全般にウケることをしたいというモチベーションが高い。評価されたいんですよ。それを命がけやってます。それで、たとえばアフガニスタンのキャンプに世界中から賛同者を集めて軍事訓練をして、「あっちこちでアメリカ人殺したらすげえ楽しいぜ」みたいな感じで世界に散らしてる。昔の幕末志士や、世界革命を唱えていた左翼もそういう面があったでしょう。
    ――ネットの普及がそれを後押しするようになった面はあるでしょうか?
    黒井 ツールとしてはあると思います。ただ、よく勘違いされていると僕が思うのは、イスラム国もネットを使ってますけど、ネットありきで始まった運動ではなくて、ただ便利だから使ってるっていうことなんです。ヨーロッパあたりからイスラム国に行ってる連中には「ネット見ました!」という人もいますが、実際は、EU圏内で「イスラム国はいいぞ」とアジってる過激なイスラム説法師などの紹介で来る人の方が多いです。どうもイスラム国報道ではネットが誇張されている気がしますね。
    ――もしイスラム国が片付いても、そういう、かつての志士気取りのようなテロ志願者の受け皿は別の場所にまた現れると思いますか?
    黒井 イスラム過激思想自体はなくなりはしないです。ただ、時々こういう感じでテロの流行はくるでしょうけれど、集まってきた人たちも、上手くいかないとだんだん現実に適応していくんですね。かつての左翼もそうです。学生運動がバーッと盛り上がって、その内のいくつかの勢力がテロに走りましたけど、「どうせ社会は変えられない」と、おおかたの人は就職して辞めていってしまう。でも、辞めない少数派がまた違う形で始めたり......それの繰り返しですね、テロは全部そうです。
     
     
    ■ イスラム国のネット利用はむしろ下手だった?
     
    ――アルカイダは明確な拠点がない国際ネットワークのまま転々と活動していましたが、そこから影響を受けながら勢力を伸ばしていったイスラム国が、領域的に浸透したのはなぜでしょうか?
    黒井 それはやっぱり、2011年の「アラブの春」以降のシリア内戦と、イラクからの米軍撤退で、この両国がぐちゃぐちゃになったからですね。本当に偶然ですよ。
    ――まさに「アラブの春」では、インターネットが独裁打倒に寄与しましたが、皮肉にもそれがイスラム国の台頭を招いてしまった。軍事的なリアリズムから見ると、テクノロジー環境の進歩自体は社会の改善につながらないのでしょうか?
    黒井 でも、ネットがなければ「アラブの春」は起こってないですよね。昔であれば反政府運動を唱えてもすぐ弾圧されちゃうけど、それが、携帯などで連絡を取り合って動いたとか、彼らを支える自由な言論空間が出現したとかいう点はやっぱり大きい。情報化が進んだので一方的な統制みたいなものが効かなくなってますから、独裁が崩れていくのは歴史的な必然なんだろうなと思います。僕はシリアで反政府運動を仕掛けた人たちを知ってますが、彼らは最初のデモのときから、ネットを使えば世論が盛り上がるし、世界も見てるから民主化されるだろうという戦略で、隠しカメラも使って撮ってるんです。それで、アサド政権による虐殺などの情報をたくさん流して、国際社会が自分たちを助けてくれると期待した。実際には裏切られてしまったわけですが。
     けれども、そうして現地の情報が世界に流れたことで、イスラム国ができる前の早い段階から「シリア人を助けよう」という義勇兵がいっぱい来てるんですよ。そもそもはそういう人道的な動機で来た人たちがイスラム国に流れてるんですね。今後は、たとえばウクライナなど、どこかで紛争が起こったらネット経由で「世直し義勇兵」みたいな意識で参加する人は間違いなく増えると思いますね。
    ――ネットの利用がそうした人道的な動機に合致することもありますが、一方でイスラム国は斬首映像をYouTubeにアップしたり、残虐性を強調していますね。あれは実際に宣伝効果が高いのでしょうか?
    黒井 僕は逆効果だと思うんですよ。ああした残虐性は、戦略として洗練されているとは思えません。普通だったら残虐な面を出さずに「自分たちは正義の味方だ、ホラ、捕虜も改心して仲間になってるから、一緒に戦おう」なんて感じのプロパガンダの方がよいはずです。昔の中国共産党がそれが上手かったですね。
     
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  • 脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第48回「男と食 19」【毎月末配信】

    2019-05-30 07:00  
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    平成仮面ライダーシリーズなどでおなじみ、脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』。今回のテーマは「味覚」です。食に一家言ある食通にとって、「味が分かる」ことは至上の価値とされます。舌に自信のある食道楽たちの、味覚をめぐるエピソードを語ります。
    男 と 食  19      井上敏樹 
    今年も花粉症がひどかった。私は多くの花粉のアレルギーだが、中でも杉花粉が一番ひどい。以前は医者に通っていたが、さほど効果がないのでやめてしまった。最近では市販の薬で誤魔化している。それも複数の抗アレルギー薬を一辺に飲む。薬剤師には止められるが、そうしないと効かないのだから仕方がない。薬にせよ、サプリメントにせよ、私は飲む事に躊躇いがない。これは母譲りである。母は自分で薬を飲む事も子供に飲ませる事もほとんど考えなしだった。なにしろ赤ん坊の私と電車に乗る際、泣かれるのが面倒なので睡眠薬を飲ませたというのだからひどいものだ。さて、先日、友人と食事をしていて、少々思うところがあった。この友人というのが、私から見ても食にうるさい、そして口の悪い奴なのだが、彼が人を評する時、『奴は味が分からない』というのが最大級の悪口になる。当然、『奴は味が分かる』と言えば最大級の褒め言葉だ。どうやら彼にとって、味の分かる分からないは舌の評価を越え、人間の本質に係わる重要な事らしい。気持ちは、分かる。私だって自分の馬鹿舌を棚に上げ、そういう面があるのであって、『味が分からない』→『感受性が鈍い』→『人の気持ちが分からない』→『犯罪者である』とわけの分からない判断を下す。しかし、当然、ここで疑問が生じる。味が分かるとは一体どういう事なのか? そんなに偉い事なのか?一般的には味がわかる、とは舌の鋭敏さと同義である。私は実際に会った事はないが、昔は超人的な味覚の持ち主がいたらしい。グルメ漫画に登場する『絶対味覚』の持ち主である。
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  • 【インタビュー】阪田典彦(BANDAI SPIRITS)プライズフィギュアは「重層的な物語」を媒介する(前編)

    2019-05-29 07:00  
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    本日のメルマガは、BANDAI SPIRITSのフィギュアプロデューサー・阪田典彦さんへのインタビューの前編をお届けします。ゲームセンターのアミューズメント景品であるプライズフィギュアを手がけてきた阪田さん。「造形天下一武道会」「造形王頂上決戦」といった、普段は裏方的役割を担う造形師にフィーチャーした企画や、「ワールドコレクタブルフィギュアシリーズ」「CREATOR×CREATOR(造形師×写真家)シリーズ」「Q posketシリーズ」など、ジャンルとメディアの壁を越えた数々のフィギュアシリーズを世に送り出してきました。そこに込められた、重層的な物語構築のアプローチに迫ります。(取材・構成:柚木葵・中川大地)
    「フィギュアプロデューサー」をつくった原体験
    ――アミューズメント機の景品として提供されるプライズフィギュアの世界って、すごく独特ですよね。制限がある中で商品開発をしなければいけないので、販売品のフィギュアとは違ったアプローチが必要じゃないですか。 だからプライズフィギュアの動向には以前から注目していたんですが、「美少女戦士セーラームーン」や「ディズニープリンセス」を扱った「Q posket」シリーズが出てきたときは衝撃的でした。非常に造型クオリティが高いのと、むしろドール文化に近いデフォルメ手法で、普段はフィギュアに関心がなさそうなユーザーたちがファンになっていて、びっくりしました。 特に、私が阪田さんのお名前を意識したのは、2018年2月のJAEPO内で開催されていた叶姉妹の「Q posket」の公開監修イベントだったんですが、プライズフィギュアには物販品のようなシリーズ商品が少ない中で、「ワールドコレクタブルフィギュア」のようなコレクションタイプのシリーズ商品を出されてたり、普段は表に出てこない原型師さんにスポットを当てた大会を開かれてたり、非常に意欲的な企画をたくさん阪田さんが手がけられていると知って、ぜひお話を伺いたいと思ったんです。 まず、そもそもフィギュアプロデューサーになられたきっかけから教えていただけますか?
    阪田 はい。大学生の頃、子供時代に買えなかったおもちゃを買い集めていたんですが、メーカーに入ってしまえばもう買う必要がなくなるんじゃないかと思ったんです。「自分で好きなおもちゃやフィギュアを作る職業っていいよね」いうのが、入社の動機ですね。
    ――子供時代のおもちゃというと、どういったものがお好きだったんですか?
    阪田 僕はいま39歳で、子供の頃のおもちゃが「キン肉マン消しゴム」や「ビックリマンシール」、「ミニ四駆」にファミコンと、おもちゃの歴史を語る上でめちゃくちゃ熱い時代を過ごしてきたんですね。でも親の方針で、小さい頃に全然おもちゃを買ってもらえなかったんです。ミニ四駆も誕生日に買ってもらった1台だけで、ビックリマンチョコも月に1個。年間で12枚くらいしか集まらない。そんな、おもちゃに飢えていた幼少期でした。 それで、大学生の頃に子供時代に買えなかったおもちゃを買い集めていました。大学は新潟だったんですけど、タウンページで玩具店を探して、車でそこのおもちゃ屋さんまで行っていました。当時はYahoo!オークションがすごく流行っていた頃で、昔のおもちゃが高値で取引されていて、資産集めと昔の思い出の保管を兼ねて買っていたんだと思います。ファミコンのソフトとかもたくさん買い集めていて、当時500本くらい持っていました。
    ――まさにポスト団塊ジュニア世代的なホビー黄金期の記憶と、そこでのコレクション熱の不全感から始まっているわけですね……。ちなみに、阪田さん世代の人気ホビーだと、当時のガンプラブームとかはいかがでしたか?
    阪田 そっちには全然行かなかったです。もちろん『ガンダム』は流行ってましたけど、小さいころからロボットものアニメは苦手で。藤子不二雄ものとか『ゲゲゲの鬼太郎』、『ビックリマン』のアニメや『ルパン三世』とか、わかりやすい作品が理解しやすく好きでした。いまだに伏線張りまくってる映画などは全然理解ができないので、そういうアニメを通ってこなかったんですよね。 あと、『ウルトラマン』とか『仮面ライダー』シリーズみたいな特撮ものは怖くて見なかったです。5才くらいのころ、怪人が怖くて階段の横からちらっと覗くことしかできなかったらしいですよ。だから苦手意識で通ってこなかったですね。
    ――逆に、阪田さんに最も刺さったコンテンツは何でしたか?
    阪田 『スラムダンク』です。「『スラムダンク』でバスケ始めました!」みたいな、当時よくいたミーハー的ファンの代表的な例ですね。当時からかっこいいと思っていました。 だから人物にフィーチャーされてるものやロボットの出ないものに嗜好が偏っていて、「ジャンプ」などをずっと読んでいたのが、今の仕事につながってるんじゃないのかなという感覚ですね。
    ――なるほど、すごく納得がいきました! その原体験からすると、確かに前世代の男児カルチャーで優勢だった特撮ヒーローやメカへのフェティッシュではなく、「ジャンプ」系漫画のドラマツルギーに即したキャラクターフィギュアが天職という感じがします。阪田さんはフィギュアプロデューサーとしては、ずっとプライズ一筋なんですか?
    阪田 はい、今年で入社17年目になるんですが、基本的にはずっと一開発者としてプライズフィギュアの企画・開発をしています。入社当時は「あいつはずっとサボっているっていうイメージがある」と言われるくらい会社にいなくて(笑)、その間、原型師さんたちとずっと話していて、ときには深夜や朝方になることもありました。。原型師さんの性格や技術を知って、どんなものを作れるんだろうと考えて、また他の原型師さんを紹介してもらって……というのを7年目くらいまでずっと続けていました。 だから、僕の場合は「こういう細かい造形ができる人だったらこういうフィギュアが作れるはずだ」というところから企画を出しています。0を1にするという発想はなくて、いろんな人を繋いで、1を10に、100に……としていくことが僕の職能なのかなと思っています。
    ――原型師さんとの密なコミュニケーションを通じて、企画を着想されている感じなんですね。特に、プライズフィギュアの原型師さんはあまり名前を出さないといいますか、ユーザーがTwitterで探さないと出てこない印象があります。メーカーのツイートをリツイートしているとかで知ることが多く、どちらかというと職人さんのような存在で、あまり表に出てきませんよね。なので、「造形天下一武道会」、「造形王頂上決戦」では原型師さんの顔と名前が出ていて驚きました。
    阪田 そうですね。知り合いの原型師さんが増えたことで、みんなで競い合うかたちにしたら面白いんじゃなかろうかということで原型師さんにフィーチャーしたのが、「造形天下一武道会」、「造形王頂上決戦」の企画です。 この企画はもう10年目になるんですが、当時は2ちゃんねるの掲示板で、誰が作ったどのフィギュアがかっこいいのかを盛り上がっているのをよく見ていました。これだけ盛り上がりが生まれるのであれば、それを大会にしてしまえば一気に解決じゃなかろうかと。本人が作ったフィギュアと一緒にお名前も載せているので、本気を出さないと叩かれてしまいますよ……、みたいな(笑)。

    「造形天下一武道会」
    「造形王頂上決戦」

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  • 【早割は5/31まで】石山アンジュ×門脇耕三×長谷川リョー×南章行×宇野常寛×得能絵理子 これからの「衣食住」の話をしよう シェア時代のライフスタイル(6/19開催)

    2019-05-28 12:00  

    渋谷ヒカリエで定期的に開催しているトークショー「渋谷セカンドステージ」、最新回の開催が決まりました! テーマは「衣食住」。
    大量消費からシェアの時代へと経済・社会をとりまく環境が移り変わる現在、あたらしいホワイトカラー層・都市部の現役世代をめぐるライフスタイルはどのように変化しているのでしょうか? 様々な業界のトップランナーとともに、これからのライフスタイルはいかにアップデートされるべきか、議論します。
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    ◎イベント情報◎
    Hikarie +PLANETS 渋谷セカンドステージ vol.21 これからの「衣食住」の話をしよう シェア時代のライフスタイル
    ▼スケジュール 2019年6月19日(水) 18:30 open / 19:00 start
    ▼会場 渋谷ヒカリエ 8階 8/0
  • 御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記 第27回 雨傘運動以来の大規模デモ、逃亡条例改定反対運動のゆくえ

    2019-05-28 07:00  
    540pt

    香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。香港は今、大きく揺れています。中国の司法介入を認める逃亡犯条例の改定案が審議されているからです。13万人が街頭に出た、雨傘運動以来という反対運動の様子を語ります。(翻訳:伯川星矢)
     いま、香港人がもっとも話題にしている「逃亡犯条例改定」については、3月の連載でお話しをしました(参照)。  この逃亡犯条例が立法会を通過すると、将来的には香港人、もしくは香港に入境しただけの人でも、香港当局に容疑者として拘束された場合、中国へと引き渡される可能性があります。  中国は公平な法制度や基本的人権が存在しない場所です。過去にも多くの人権活動家が政府の意に反する発言をしたがために、投獄されたり、あるいは「消されたり」しています。

     4月末、民間団体による逃亡犯条例反対デモが行われました。このデモはの参加者は約13万人にもなり、雨傘運動以来、最多の動員数となりました。  もちろん、香港衆志とわたしもそのデモに参加し、銅羅湾(コーズウェイベイ)から金鐘(アドミラルティ)にある政府本庁へと向けて行進をしました。  出発前には、すでに銅羅湾の街道2、3本分を占める参加者が集まっていました。あまりに人数が多かったことから警察から開始時間を早めるよう要求があったほどです。  参加者の中には、大人から子供まで一家そろって参加している人たちもいました。彼らは中国と香港の司法制度、その公平性には大きな違いがあることを深く理解していて、今後、香港人が中国側に引き渡されるようになることを危惧していました。

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  • 宇野常寛 NewsX vol.31 ゲスト:石破茂「こんな日本をつくりたい2019」【毎週月曜配信】

    2019-05-27 07:00  
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    宇野常寛が火曜日のキャスターを担当する番組「NewsX」(dTVチャンネルにて放送中)の書き起こしをお届けします。4月16日に放送されたvol.31のテーマは「こんな日本をつくりたい2019」。自民党衆議院議員の石破茂さんをゲストに迎えて、2012年刊行の宇野との共著『こんな日本をつくりたい』からの7年で、日本はどのように変わったのか、あるいは変わらなかったのかを、平成の政治の総括を交えつつお話を伺いました。(構成:籔和馬)
    NewsX vol.31 「こんな日本をつくりたい2019」 2019年4月16日放送 ゲスト:石破茂(自民党衆議院議員) アシスタント:得能絵理子
    宇野常寛の担当する「NewsX」火曜日は毎週22:00より、dTVチャンネルで生放送中です。 番組公式ページ dTVチャンネルで視聴するための詳細はこちら。 なお、弊社オンラインサロン「PLANETS CLUB」では、放送後1週間後にアーカイブ動画を会員限定でアップしています。
    昭和の敗戦と、来るべき2020年東京五輪の関係
    得能 NewsX火曜日、今日のゲストは自民党衆議院議員、元地方創生担当大臣の石破茂さんです。石破さんと宇野さんは7年前に共著『こんな日本をつくりたい』で対談をされていますが、会うのは久しぶりなんですか?
    (▲『こんな日本をつくりたい』
    宇野 TOKYO MXの番組「激論!サンデーCROSS」で、何ヶ月か前に共演していますよね。総裁選のちょっと前ぐらいですかね。
    石破 そうね。ただ宇野さんがいろんなところで活躍しているのは常に知っているから、そんな久しぶりという感じはないんだよね。(前のコーナー「impulse buy」で、宇野さんが紹介した『アルキメデスの大戦』を手に取って)これは面白いね。
    宇野 石破さんに読んでほしくてですね。
    得能 今日はあえて狙って持ってきたところがあるんじゃないでしょうか。
    石破 大和をつくって、武蔵を作って、3番艦(信濃)は航空母艦になったからね。それで試験航海中に沈んじゃったからね。死なないと言ってね。
    宇野 人間って合理性だけでは動かないんだなということを思い知らされる漫画なんですよね。
    石破 でも、善かれ悪しかれ、大和って日本国そのものじゃないですか。大和について知ることは、日本とはなんなのかを考えることに直結すると私は思っているんですけどね。
    宇野 否応なく大和に惹かれてしまう日本の国民性を、鼻で笑うんじゃなくて、直視するしかないと思うんですよね。
    石破 それはそうだと思う。昭和20年4月、大和が鹿児島沖で沈んだんだよね。飛行機だけではなくて、戦艦が特攻で突っ込む。桜満開の呉を出航していくんです。戦果は何も得られないことを分かった上で、突っ込んでいく。それは日本しかしない発想。ある意味、日本というのは、そういう国。そうやって美学に酔いしれるところがある。それで失われるものって何なんだろうね。大和の生き残りの吉田満の『戦艦大和』という本があるでしょ。「何のために俺たちは行くんだ」という議論が士官達の中であった。「一回日本は滅びる。それでいいじゃないか」「そこから新しい日本が生まれるんだ。俺たちはその先駆けになるんだ」ってね。さて、そういう日本になったかな。
    宇野 このままだと、2020年の東京オリンピックは「小さい大和」になると思うんです。誘致したときは、国民が湧いたかもしれないけど、いざ実行していく段になると、なんのグランドデザインもない。国家百年の大計もない。それで予算の押しつけ合いを自治体同士でやっている。東北の復興五輪もお題目だけで、みんな忘れてしまっている。まさに第二の敗戦としての2020年になりかねないと思うんですよ。
    石破 そうならないようにするのが我々の仕事であってね。昭和39年に東京オリンピックをやり、45年に大阪万博をやり、47年に札幌で冬季オリンピックをやったんですよね。今度も東京オリンピックをやって、大阪・関西万博と、いろんなイベントを打つことになりました。そのこと自体を否定はしないが、東京でオリンピック、大阪で万博。首都一極集中をどう是正し、人々がどのようにそれを考えるのか。そういう視点が私は必要だと思っているんですけどね。
    宇野 オリンピックの誘致が決まったときに、この国は東北のことを一回忘れることを選んだんだと僕は思ったんですね。どれだけ復興五輪だと旗を振っても、実際に建築資材も人員も東京に集まって被災地は割りを食った。
    石破 それを批判すると「国民を挙げての行事にお前は反対するのか」みたいな話になるでしょ。私もそう批判されることが多い。だけど批判を一切認めない社会は、どういう社会なんだろうね、と思うんですね。  太平洋戦争をはじめるときも、猪瀬さんの『昭和16年夏の敗戦』にあるように「こんな戦争は絶対にやってはダメだ」「なにをやっても絶対に勝てない」というシミュレーションの結果は、昭和16年の夏に出ていたんです。だけどそれは公にされなかったし、政府に聞き入れられることもなかった。批判や反対を許さないと、そのときはいいかもしれないけれど、結局、不幸になっていくのは国民全体ではないですか。昭和16年の夏に日本の叡智、官庁、陸軍、海軍、同盟通信、日本銀行などから、30代の最も出来る人間を集めて、シミュレーションをやった。それで、絶対にこの戦争は勝てないという結論が出たのに、それは封殺された。そして日本は決定的な敗戦を迎え、国土は灰燼に帰した。そのときの政治にとっていいこと、国民の気分が高揚することでも、その結果、待っているものはなんなんだろうと考えなきゃいけない。
    宇野 70年前とまったく同じ轍を今、この国はゆるやかに歩もうとしているようにしか僕には見えないんですよ。今年は陛下が退位されるということで、時代が移り変わるタイミングなんです。石破さんと僕の共著『こんな日本をつくりたい』は、ちょうど東日本大震災が起きてから、東京オリンピックが決まるまでの間に出した本なんですよね。あれから7年、この国の状況は大きく変わりました。7年のブランクも含めて、この国のこれからのあり方を今日は考えていこうかなと思っています。
    失われた30年の反省から学べること
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  • 統計学者・鳥越規央インタビュー(後編)「ゲームデザインはポピュリズムとどう向き合うか――スポーツからAKBまで」(PLANETSアーカイブス)

    2019-05-24 07:00  
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    今朝のPLANETSアーカイブスは、日本における「セイバーメトリクス」の第一人者、統計学者・鳥越規央さんへのインタビュー後編をお届けします。前編ではセイバーメトリクスの日本ローカライズ事情について語ってもらいましたが、今回はセイバーメトリクス的な思想を応用した先にある、普遍的な「ゲームデザイン」とマスメディア的公共性の関係について聞きました。※前編はこちらのリンクから。 ※この記事は2051年2月17日に配信された記事の再配信です
    ■ゲームデザインはポピュリズムとどう向き合うか
    宇野 鳥越さんは48グループのペナントレースの設計にも関わられていますよね。セイバーメトリクスの歴史は、可視化できない、しにくいものをどんどん可視化、数値化していったことでその射程距離を伸ばして来た歴史だと思うのですが、ああいった主観的な評価がからむ演技や表現を評価するというのは、まだまだ難しいんでしょうか。
    鳥越 誰もが納得できる採点基準を作れるかという意味で大変難しいと言わざるを得ない。いい例がフィギュアスケートでしょう。昨年のソチオリンピックのフリーで浅田真央は6種類8回の3回転ジャンプを飛び、ファンのみならず世界のフィギュア関係者からも絶賛を受けたのですが、そんな彼女でも技術点は全体の2位。そのからくりはGOE(Grade of Execution)という各演技要素に対して、その技がきれいに決まったかどうかを審査員がプラス3からマイナス3までの幅で加減点するポイントにあります。技術点は基礎点とGOEで構成されていまして、難しい技を組み込めば基礎点は上がります。浅田の基礎点は全選手の中で最も高く、次に高い選手よりも5点以上差がついていました。ご存知のとおり、浅田はフリーをノーミスで演技を終えました。しかし浅田の12個ある演技要素に対するGOEでプラス1を超える評価は2つしかありませんでした。それに対し技術点1位の選手のGOEは11個。過去5人しか成功させたことないトリプルアクセルに果敢にチャレンジし、結果成功させても「それきれいじゃない」と判断されたら高得点が期待できないシステムなんです。このGOEがプラスに評価される基準ですが、正直ガイドラインには抽象的な表現が多く客観性があるとは言いづらい。
     さらに言えば、演技構成点(いわゆる芸術点)に関してはもう何が何やらです。だって選手ですらどうすれば高得点になるかわかってないようですし。
     先程宇野さんもおっしゃったように、私はAKB48グループのペナントレースの設計に携わりまして、AKBに関してどんなものが数値化できるかということに関して運営のみなさんと議論を重ねてきました。残念ながら諸事情があってペナントは中止となってしまいましたが、私の中ではAKBに限らず、アイドルを評価するための基準を作るために必要なデータって何だろうってことを常々考えていました。そこで提案なのですが、『朝までオタ討論!』で論客の皆さんに自分の知っている色んなデータを挙げてもらい、それについて議論してみたいと思っていまして。
     いま、『クイズいいセン行きまSHOW!』っていうボードゲームが巷で来ているらしいんですが、これはまず――例えば「48グループの卒業適正年齢は何歳?」っていうお題を出したとします。それに対して5人、もしくは7人の回答者に答えてもらい、その中央値をそのお題の適正とするという遊びです。
     平均値だと、各人のポイントにものすごく格差がある場合、その極端な数値に引っ張られるという特性があるので、感覚的にどうかな?と思うものが出てしまう場合があります。でも中央値ってそういうことが起きにくいので、この方が「代表値」として我々にしっくりくる値になることがあるんです。で、ゲームとしては、その中央値を出した人に100ポイントを与え、最大値と最小値の人はマイナス50ポイント。これをいろんなお題で何回か繰り返していって、ポイントが最も多い方がAKBマイスターの称号を得られるというルールにしてみる。そんな感じで「AKB48グループに関する事象の数値化」というのを、ゲーム性を織り込んで議論してみると面白いんじゃないかと思っています。
    宇野 情報技術の発展が生んだものの一つとして、コミュニケーションや「空気」といったこれまで数値化できなかったものの数値化が可能になったことが挙げられると思うんです。たとえばFacebookの「いいね!」数やTwitterのリツイート数だったり、トラフィック数だったりと色んなものが数値化されている。ああいった情報化以降に新しく生まれた数値を使うのも、セイバーメトリクス的な思想の延長線上の可能性としてあるんじゃないかと思うんです。
    鳥越 いわゆる「テキストマイニング」というものですね。Twitterとかウェブ上に流布してる大量のテキストデータから、情報を取り出していくわけですよね。ただ問題は、取り出した情報が、人気や実力にどれだけ寄与するものかを判断する術をどうするかってことですよね。天気予報を例に挙げれば、昔は気圧や風の変化といった地上で取れるデータで行っていたものが、今は衛星からの画像だったり、上空の気温だったりとさまざまなデータから推測していくわけです。テクノロジーが増えるごとに見るべきデータも増えていって、より予測性能が上がっていく。だから、どういうテクノロジーを開発すればより精度が高くなるのかを考えていかないといけない。
    宇野 この議論でいちばん出てきやすいのって、選挙制度だと思うんですよね。データをどう活用すれば、より民意に近いものを選挙結果に反映させることができるのか。でも、選挙制度を考えるときにこういったアプローチってあんまり聞かないですが、これはなぜなんでしょうか?
    鳥越 だって民意を反映させることによって、政権与党が不利になるような制度にしないでしょう(笑)。ドント式(日本の比例代表選挙で用いられている議席配分の方式)ですら大政党に有利なゲームデザインですし。
    宇野 つまり、民意を反映させようと思ったらもっと公平性のあるゲームデザインが可能なんだけど、それだと政権与党にとって不都合になりかねないという問題が大きいということですか。
    鳥越 いちばん良いのは、比例代表で自民党が18%取ったら、100議席の18%だから18議席を配分する、とやれば簡単ですけど、おそらくそれでは最大政党に不利ですよね。少数政党でも議席が獲得しやすくなりますし、今のように選挙のタイミングでの趨勢で議席が大きく動くようなことにはなりにくいですから。
    宇野 つまり今のやり方は、おそらくプレイヤーの側の充実感や納得感を優先して、現実的なフェアネスを犠牲にしているような仕組みになっている、と。
    鳥越 あとゲームデザインを考える上で、テレビの存在は非常に大きい。たとえば今年度のJリーグがまた2ステージ制に変わることになって、ファンの多くは「それはゲームデザインとして悪すぎるんじゃないか」と大反対している。でもJリーグ側が2ステージ制にこだわったのは、結局プロ野球のクライマックスシリーズが興行的に大成功しているからですね。
    ――クライマックスシリーズは12球団のうち6チームが出場できて、リーグ戦の3位でも日本一になれるという明らかにダメなゲームデザインですけど、興行としては上手くいっていますよね。
    鳥越 そう、Jリーグも2ステージ制にすれば、「チャンピオンシップ」でお客さんをたくさん集められるし、テレビの放映権料もしっかり入ってくる。リーグ戦だけだとどの試合で優勝が決まるかわからないけど、チャンピオンシップがあればそこで優勝が決まるので、テレビ的な注目を集めやすいわけです。
     テレビを意識するという意味では野球やサッカーだけでなく他の競技も同じ問題に直面していて、たとえば今のバレーボールは実はあんまり良いデザインではないんです。バレーボールってサーブを受ける側のほうが点数を取りやすい。だから昔はサーブ権を持っているチームがラリーに勝ったら一点というルール(=サイドアウト制)だったんですが、そうなると試合時間が4時間とかかかってテレビサイズに合わなくなってしまう。だから今のようにラリーポイント制(サーブ権の有無に関わらず、ラリーに勝ったチームに点数が入る)になったんです。
     でもそうなると、24対21ぐらいになった時に勝っているチームがサーブ権を持っていると、わざとサーブを外して24対22にしてからサーブを受けたほうが先に25点を取れる確率が高くなる。実際にラリーポイント制になった当初はそれをやっているチームが多かったですね。本当はサーブ側と受ける側で得点の重み付けを変えたりできたらいいんですが、そうなると別の問題も出てくるし、何よりわかりづらいルールになるでしょう。
     
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  • 長谷川リョー 考えるを考える 第16回 “オープンソース”にインセンティブ文化を根付かせる。横溝一将の、あえて“自分で考えない”思考法

    2019-05-23 08:00  
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    編集者・ライターの僕・長谷川リョーが(ある情報を持っている)専門家ではなく深く思考をしている人々に話を伺っていくシリーズ『考えるを考える』。今回は、オープンソースプロジェクトのための報賞金サービス『IssueHunt』を開発・運営する、BoostIO株式会社のCo-founder/CEO・横溝一将氏にお話を伺います。同社は2019年4月、オープンソース開発者を支援するためのプログラム開始を発表し、ソフトバンク、マイクロソフト、LINEをはじめ、多数の国内大手IT企業が参加を表明しています。約1400名がslackに所属するBoostnoteコミュニティの内実から、「金銭インセンティブが存在せず、サステイナブルでない」オープンソースコミュニティの現在地、そして「あえて、自分では“考えない”」オープンソース的思考法にまで迫ります。(構成:小池真幸)
    170ヶ国へ拡大。IssueHuntは、「無名だけど、素晴らしい」プロダクトに光を当てる
    長谷川 まずは、IssueHuntについて気になる点を質問させてください。“報奨金”というのは、どのくらいの金額感なのでしょう?
    横溝 具体的な額はオープンにできないのですが、IssueHuntの貢献だけで生活していけるくらいのお金を稼いでいるユーザーも、ちらほら現れはじめていますね。
    長谷川 人気のプロジェクトにユーザーが集中してしまったりはしないのですか?

    横溝 いきなり斬り込んできますね! おっしゃる通り、人気が集中してしまうことはあります。有名な人が使っていたり、どこかでフィーチャーされたWebサービスが伸びていきやすいのと同じ現象ですが、我々はこれを大きな課題だと捉えています。
    当たり前ですが、無名の人でもすごく良いモノをつくっているケースはある。だからこそ、IssueHuntでオープンソースプロジェクトとコントリビューターのマッチングを推進し、「人気はないけど、優れている」プロダクトに光を当てていきたいんです。
    長谷川 他のサービスで、運営の参考にしているものはありますか? たとえばクラウドファンディングに近いものを感じるのですが。
    横溝 オンライン署名サービス『Change.org』ですね。「誰でも声をあげられる場所」というコンセプトからUX設計まで、大いに参考にしています。ただしChange.org以外は、特にベンチマークはいません。
    長谷川 他のサービスを真似るというよりは、走りながらどんどん自社サービスの改善サイクルをまわしていくイメージでしょうか。
    横溝 はい。毎週月曜の朝10時に、世界各国のメンバーとオンラインでMTGして、改善点を議論しています。
    長谷川 グローバルに開発メンバーがいらっしゃるのですね。全部で何人くらいの規模感ですか?
    横溝 10人いないくらいですね。主にアメリカ、韓国、フランス、ベトナム、そして日本にメンバーがいます。
    長谷川 役割はどのように分担されているのでしょう?
    横溝 基本的に全員がアイデアを出してくれるので、きっちりと役割を分担しているわけではないです。強いて言うなら、CTOがプログラムやサービスの設計、開発のディレクションを担ってくれています。
    長谷川 横溝さん自身はどういった役割を?
    横溝 何でもやっていますが、一番は「仲間を増やすこと」でしょうか。IssueHuntのユーザーはもちろん、株主やスポンサー企業まで、僕がコミュニケーションを取っていますね。
    いずれコードをオープンにする時代は必ず訪れる。「熱意」をベースに、“一億総オープンソース化”を推進

    長谷川 LINEやMicrosoftといった著名な企業からのスポンサードを受けられていると伺っています。純粋にすごいなと思ったのですが、どのように実現したのでしょう?
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  • 本日20:00から放送!宇野常寛の〈木曜解放区 〉 2019.5.23

    2019-05-23 07:30  
    本日20:00からは、宇野常寛の〈木曜解放区 〉

    20:00から、宇野常寛の〈木曜解放区 〉生放送です!〈木曜解放区〉は、評論家の宇野常寛が政治からサブカルチャーまで、既存のメディアでは物足りない、欲張りな視聴者のために思う存分語り尽くす番組です。今夜の放送もお見逃しなく!
    ★★今夜のラインナップ★★メールテーマ「休みの日の過ごし方」今週の1本「アベンジャーズ / エンドゲーム」アシナビコーナー「加藤るみの映画館の女神」and more…今夜の放送もお見逃しなく!
    ▼放送情報放送日時:本日5月23日(木)20:00〜21:30☆☆放送URLはこちら☆☆
    ▼出演者
    ナビゲーター:宇野常寛アシスタントナビ:加藤るみ(タレント)
    ▼ハッシュタグ
    Twitterのハッシュタグは「#木曜解放区」です。
    ▼おたより募集中!
    番組では、皆さんからのおたよりを募集しています。番組へのご意見・ご感想、宇野
  • 近藤那央 ネオアニマ 第2回 都市生活における「ネオアニマ」

    2019-05-22 07:00  
    540pt

    ロボットクリエイター・近藤那央さんの連載「ネオアニマ」。第2回目の今回は、近藤さんが手がけるコミュニケーションロボット「ネオアニマ」が目指す、未来の生物のかたちについて、都市生活における人間と生き物の関係から考察します。
    未来都市に「ネオアニマ」が必要な理由
     今回は私が手がけているコミュニケーションロボット「ネオアニマ」と、私たちのこれからの都市生活について考えてみたいと思います。
     この連載を読んでいるひとのほとんどが都市と呼ばれる空間に住んでいると思います。 現代の都市生活においては、たとえば野良猫とか野良リスといった動物を見かけることもあります。都市の野生動物は基本的にはコミュニケーション取れる相手ではありません。最悪の場合は感染症を媒介する存在ですらあります。
     一方で、人間はこうした動物の存在を求めているとも言えます。例えば都市での日常生活の中では、人懐っこい野良猫たちがアパートの駐車場に居着き、住民の癒しの存在になることもあります。あるいは、小鳥が巣を作りやすいように巣箱を置いたり、ツバメの巣が攻撃されないように保護したり……といった話は春先によく聞きます。
     こうした行為から読み取れることは、人間は自らの生活環境に、自分たちとまったく違う多様な存在が自立して生活し、固有の社会を形成していることに深い興味を抱き、かつそれらとポジティブなコミュニケーションを取れることを期待しているのではないか、ということです。このような関係は、人間の所有物として人間に頼りきった生活を送ることで“人間ナイズ”された動物になっているペットとの関係とは、根本的に違うものなのです。

     さらに、人間がペットではない動物を古くから求めていたことは、寓話や絵本、小説、映画、アニメなどから読み解くことができます。例えばグリム童話では狼や羊、豚などが擬人化されて主人公として登場したり、人間と対等な存在として描かれています。さらに、妖精や小人といった現実には存在しない生物が、物語の中でキーとなる場合も少なくありません。日本の昔話でも同様で、鶴や猫、亀といった動物と対等にコミュニケーションを取っていたり、カッパや座敷わらしなどの空想の生物である妖怪が人々の生活の中に入り込んでいる様子が数多く描かれています。
     また、一見ペットのような存在として描かれながらも、現実のペットと比べるとむしろ野生に近い生活が描かれている現代の作品もあります。例えばポケモンの場合は、現実世界の動物のように野生に生息している個体を捕まえてきて、個人の所有するペットのように扱います。しかし、その生活をよく見てみると、人間と対等にコミュニケーションを取っていたり、都市の中でポケモンが高度な仕事をしていたり、はたまた種類の違うポケモン同士が組織を構築していたりします。アニメ『とっとこハム太郎』や映画『ペット』で描かれているペットたちの場合は、人間の前では従順なペットを演じつつ、実は仲間のペットと高度な社会を形成しているという設定で描かれています。
     こうしたところから、私たち人間はペットのような存在には飽き足らず、野生的で時には高度な社会を形成し、それでいて自分たちの脅威にはならないような、好意的で意思疎通のできる存在を求めているのではないかと思うのです。実際、私は小さい頃からこういった物語にたくさん接してきた結果、物語の中の人間たちが様々な動物や空想の生物たちと関わり合って生きている社会に強く憧れを抱いたことが、現在の活動に繋がっています。
    ペットでも、野生動物でもない生き物
     さて、20世紀以降、人とロボットがコミュニケーションを取り合い共生する世界が、さまざまなフィクションで描かれてきました。中でも、家庭内で人間とコミュニケーションを取ることができるロボットは、「ペットロボット」「コンパニオンロボット」などという名前で、すでに市場に出ているものもあります。しかし、私たちの生活の中にコミュニケーションロボットが浸透する未来はまだ描かれていません。
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