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長谷川リョー『考えるを考える』 第12回 “分身ロボットの父”吉藤オリィ氏はいかに「孤独」を捉え、その解消に挑むのか
2018-11-15 07:00
編集者・ライターの僕・長谷川リョーが(ある情報を持っている)専門家ではなく深く思考をしている人々に話を伺っていくシリーズ『考えるを考える』。今回は、“分身ロボットの父”とも称されるロボット開発者である、オリィ研究所所長の吉藤オリィ氏にお話を伺います。「孤独の解消」をテーマに、分身ロボット「OriHime」の研究開発、体験イベント「オリィフェス2018」の開催など、幅広い活動に取り組む吉藤氏。「孤独の解消」を追究している理由から、「我慢強さ」を美徳とする時代遅れの教育システムまで、我慢“弱さ”を武器にワクワクを追求し続けている吉藤氏の思考に迫ります。(構成:小池真幸)
「孤独=ひとりでいること」ではない。孤独の解消に寄与する、コミュニケーションテクノロジー
――まずは、分身ロボット「OriHime」の研究開発から体験イベント「オリィフェス2018」まで、多岐に渡っている吉藤さんの活動内容についてお伺いできますか?
吉藤 一言でいうと、「孤独の解消」をテーマに研究活動を行なっています。ここでいう「孤独」とは、「ひとりでいること」ではなく、「自分は誰からも必要とされていない」「自分は誰の役にも立てない」「誰も自分の理解者がいない」と自覚して苦しむこと。そして、こうした苦しみを生み出す大きな要因として、「外出できない」「言葉を話せない」「目が見えない」といった身体的な「不可能」が挙げられます。そのハードルを乗り越え、人びとが前向きな人生を送れるようになるために支援することが、私の研究活動の目的です。
――孤独を生み出してしまう「不可能」を、「可能」にするための活動をされていると。逆に言えば、「孤独」につながらない「不可能」は関心対象ではない?
吉藤 はい。たとえば、私は空を飛べるようになりたいとは思いません。仮に飛べるようになっても、空に他の人間はいないので、「孤独の解消」にはつながりませんからね。「他の人は空を飛べるのに、自分だけが飛べないから孤独だ」といった状況や、人のいる場所に移動するために空を飛ぶ方がよいとなったら、考えも変わってくるかもしれませんが。
吉藤 私が取り組んでいるテクノロジーやイベントは、すべて孤独を解消するためのツールなんです。「外出できないから、人びとが集まる場に参加できない」という「不可能」を解決しようと、家に居ながら外の場への参加を可能にしてくれるOriHimeを開発しました。オリィフェスのようなオフラインでのイベントも、「そもそも居場所だと感じられる場がない」「友人がいない」という問題を解決するために開催したものです。オリィフェスに来れば、「オリィ研究所の取り組みに共感してくれた」という共通項で、他の人とつながることができますからね。
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