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記事 21件
  • 脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第15回「男と男4」【毎月末配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.553 ☆

    2016-03-31 07:00  
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    脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第15回「男と男4」【毎月末配信】 
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.3.31 vol.553
    http://wakusei2nd.com


    今朝のメルマガは平成仮面ライダーシリーズの脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』第15回です。豪腕プロデューサーSにより愛するジョセフィーヌ(仮名)と別れるはめになった井上青年。しかしそれはさらなる悲劇のはじまりに過ぎなかった――今回は井上青年を苦しめた「フグと女子大生」のエピソードを語ります。

    【発売中!】井上敏樹 新作小説『月神』(朝日新聞出版)
    ▼内容紹介(Amazonより)
    「仮面ライダーアギト」「仮面ライダー555」をはじめ、
    平成ライダーシリーズの名作を送り出した脚本家による、
    荒唐無稽な世界を多彩な文体で描き出す、異形のエンターテインメイント! 
    (Amazonでのご購入はこちらから!)
    PLANETSチャンネル会員限定!入会すると視聴できる井上敏樹関連動画一覧です。
    (動画1)井上敏樹先生、そして超光戦士シャンゼリオン/仮面ライダー王蛇こと萩野崇さんが出演!(2014年6月放送)
    【前編】「岸本みゆきのミルキー・ナイトクラブ vol.1」井上敏樹×萩野崇×岸本みゆき
    【後編】「岸本みゆきのミルキー・ナイトクラブ vol.1」井上敏樹×萩野崇×岸本みゆき
    (動画2)井上敏樹先生を語るニコ生も、かつて行なわれています……!仮面ライダーカイザこと村上幸平さんも出演!(2014年2月放送)
    【前編】「愛と欲望の井上敏樹――絶対的な存在とその美学について」村上幸平×岸本みゆき×宇野常寛
    【後編】「愛と欲望の井上敏樹――絶対的な存在とその美学について」村上幸平×岸本みゆき×宇野常寛
    (動画3)井上敏樹先生脚本の「仮面ライダーキバ」「衝撃ゴウライガン!!」など出演の俳優、山本匠馬さんが登場したニコ生です。(2015年7月放送)
    俳優・山本匠馬さんの素顔に迫る! 「饒舌のキャストオフ・ヒーローズ vol.1」
    (動画4)『月神』発売を記念し行われた、敏樹先生のアトリエでの料理ニコ生です!(2015年11月放送)
    井上敏樹、その魂の料理を生中継!  小説『月神』刊行記念「帝王の食卓――美しき男たちと美食の夕べ」
    ■井上敏樹先生が表紙の題字を手がけた切通理作×宇野常寛『いま昭和仮面ライダーを問い直す』もAmazon Kindle Storeで好評発売中!(Amazonサイトへ飛びます)
    これまでPLANETSチャンネルのメルマガで連載してきた、井上敏樹先生によるエッセイ連載『男と×××』の記事一覧はこちらから。(※メルマガ記事は、配信時点で未入会の方は単品課金でのご購入となります) 
    ▼執筆者プロフィール
    井上敏樹(いのうえ・としき)
    1959年埼玉県生まれ。大学在学中の81年にテレビアニメの脚本家としてのキャリアをスタートさせる。その後、アニメや特撮で数々の作品を執筆。『鳥人戦隊ジェットマン』『超光戦士シャンゼリオン』などのほか、『仮面ライダーアギト』『仮面ライダー龍騎』『仮面ライダー555』『仮面ライダー響鬼』『仮面ライダーキバ』など、平成仮面ライダーシリーズで活躍。2014年には書き下ろし小説『海の底のピアノ』(朝日新聞出版)を発表。
    前回:脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第14回「男と男3」
     男 と 男 4   井上敏樹
    さて、クラブ通いと焼肉とをこよなく愛する大手映画会社のプロデューサーSのせいで愛する彼女と別れるはめになった私だがそれでもSとの付き合いは続いていた。なにしろ私は脚本家デビューしたばかりの二十歳そこそこの未熟者だったので、他に選択肢はなかったのである。それに、なんだかんだ言って私はSとの付き合いを楽しんでいた。クラブや焼肉だけではなく他のスタッフを含めて旅行に行ったりホテルのスイートを借りて宴会をしたりと時代はまさにバブル真っ盛りである。生まれて初めてフグを食べたのもこの頃だった。
    『お前、この世にはフグというとんでもなくうまいものがある、食った事あるか?』ある日の打合せで私の本を途中で放り出してSは私の顔を覗き込んだ。
    『いえ。噂には聞いていますが』と私。
    『だろうな。お前ごとき青二才に手が出せる代物ではない。食いたいか?』
    『は、はい。それはもう』
    『いいだろう。なら女子大生を用意しろ』
    『は?』
    意味が分からない。なぜ、ここで女子大生なのか?
    『分からないのか?、馬鹿め。いいか、よく聞け。おれはお前に仕事を教え飯を奢り酒を飲ませてやっているがおれ的にはなにもいい事がない。楽しいのはお前ばかりだ。使えないんだよ、お前は』
    『すいません』
    『だが、たったひとつ、お前にもいい点がある。それはお前がまだ大学生だということだ。回りには女子大生がうじゃうじゃしてるだろう。おれも女子大生と知り合いたい。だから………』
    『分かりました』
    要するにフグを食わせてやるから女子大生を紹介しろと言うわけである。言われてみれば分かりやすい。
    そこで私は翌日、大学に行ってフグを食べたい有志を募った。約束の日、私は女子大生と共に待ち合わせの場所に向かった。やって来るなりSは私を手招きして私の耳元で叱責した
    。『この馬鹿! なんだって8人も連れて来るんだ。お前、フグが幾らするのか分かってんのか?』
    『はあ。末広がりでいいかな〜って』
    『なにが末広がりだ。フグ食って死ね』
    『じゃあ、剪定しますか? 好きなのを選んでください。残りはこのまま帰しましょう』
    Sはジロジロと8人の女子大生を観察した。

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    PLANETSの日刊メルマガ「ほぼ日刊惑星開発委員会」は今月も厳選された記事を多数配信します! すでに配信済みの記事一覧は下記リンクから更新されていきます。
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  • 体育学者・中澤篤史インタビュー『AmazingでCrazyな日本の部活』第1回:外国にも部活はあるの? ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.552 ☆

    2016-03-30 07:00  
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    体育学者・中澤篤史インタビュー『AmazingでCrazyな日本の部活』第1回:外国にも部活はあるの?
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.3.30 vol.552
    http://wakusei2nd.com


    PLANETSメルマガでは今回から3回にわたって、体育学者・中澤篤史さんへのインタビューをお届けします。
    近年、子どもに理不尽を強いたり、顧問教師に多大な負担をかける「ブラック部活」の問題が取り沙汰されています。一方、ベネッセ教育総合研究所「放課後の生活時間調査 第2回」によると、中学1〜2年生の部活加入率は9割、そのうちスポーツ系部活に所属している割合は7割を超えており、多くの人が「学校の部活でのスポーツ」を経験していることが伺えます。サブカルチャーの世界では今も部活をテーマにしたアニメや漫画が大人気ですが、それは多くの人が身近に経験していて、題材として取り上げやすいからなのかもしれません。
    日本の部活は、なぜこれほどまでに大規模化したのか。そこにはどのような問題があり、どうやって解決していったらいいのか。運動部活動の歴史や諸外国の事情に詳しい中澤さんに、様々な観点からお話を伺いました。

    ▼プロフィール

    中澤篤史(なかざわ・あつし)
    1979年、大阪府生まれ。東京大学教育学部卒業、東京大学大学院教育学研究科修了、博士(教育学、東京大学)。一橋大学大学院社会学研究科准教授。専攻は体育学・スポーツ社会学・社会福祉学。主著は『運動部活動の戦後と現在:なぜスポーツは学校教育に結び付けられるのか』(青弓社、2014)。他に、『Routledge Handbook of Youth Sport』(Routledge、2016、共著)など。

    ▲中澤篤史『運動部活動の戦後と現在: なぜスポーツは学校教育に結び付けられるのか』青弓社、2014年
    ◎聞き手・構成:中野慧
    ■ いま体育はどうなっている?
    ――中澤先生は著書『運動部活動の戦後と現在』で、「運動部活動」という文化の日本特殊性について分析されています。今回は、その日本の部活文化について色々とお話を伺ってみたいと思いインタビューをお願いしました。
     PLANETSはもともとカルチャー批評を出発点としているのですが、昨年の2月に出した『PLANETS vol.9 東京2020 オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト』という本で、スポーツに関しても今までのスポーツジャーナリズムとは違う角度から考えていく記事をいくつか作っています。サブカルチャーという点では、最近の漫画・アニメで『ハイキュー!!』『弱虫ペダル』『ダイヤのA』といったスポーツ系部活をテーマにした作品が大人気になっていたりするのですが、そういった一見爽やかなスポーツや部活の裏にある様々な問題について、一般にはそれほど理解が進んでいるわけではないと思います。現実の「スポーツ文化」「部活文化」を形作っているものについて、ぜひ色々な角度からお話を伺っていきたいと思います。
     最初に少しだけ、今回のメインテーマである部活からは外れてしまうのですが、学校の体育では2012年度から中学校で武道が必修化されました。こういった動きがなぜ起こったのか、現在の体育が抱えている問題についても簡単に伺ってみたいのですが。
    中澤 よろしくお願いします。武道の必修化については、2006年に教育基本法が改正され、教育の目標で「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」と、いわゆる愛国心に触れたことが追い風になりました。武道関係者は、学校を介して普及できるので好意的に受けとめていますが、教育や体育が保守化することに懸念の声もあります。一方で教育現場では、道場がなかったり剣道の用具がなかったりと、困っています。で、剣道の用具を揃えるのは大変なので、多くの学校では柔道をするようになる。しかし、学校の柔道では多くの生徒が亡くなっていたことが明らかになりました。名古屋大学の内田良先生(教育社会学者)が2013年に『柔道事故』という本を出して、警鐘を鳴らしました。メディアは「そんな危険な柔道が授業で必修化されたら大変だ」と飛びついたのですが、内田先生の調査結果が示していたのは「柔道の授業よりも、柔道の部活で死亡事故が起こっている」ということでした。つまり、柔道の危険性と柔道を必修授業で行うことの危険性は、直接には結びついていません。
    ――そうだったんですね。その武道の必修化と合わせて、ダンスも必修化されましたよね。これにはどのような背景があったんでしょうか?
    中澤 武道は保守的なイメージがある一方で、ダンスには「モダン、リベラル」というイメージがあるので、抱き合わせで入ったとも言われています。またダンスによって、「表現をする」「コミュニケーションをする」という内発的な、あるいは自分の身体を使って他者とつながることが期待されています。最近の教育界で「生きる力」「コミュニケーション能力」が重視されているのはよく知られていることだと思いますが、体育の領域ではダンスがその象徴かもしれません。ただ、指導経験のある先生が少ないので、やはり現場は困っています。iPadを片手に持って、画面を見ながら、「ああかな、こうかな」とドタバタでダンス指導が行われるような状況もあります。
    ――素朴な質問になってしまうのですが、「体育の時間にベーシックな知識として習いたいものってなんだろう?」と考えたとき、「心身ともに健康な生活を送るためにはどうすればいいか」というノウハウであったり、女性であれば「正しいダイエット知識」のようなものがあるといいんじゃないか、とも思ったりするのですが。
    中澤 健康という部分は保健体育科の保健分野がカバーしていて、食生活という部分は技術・家庭科の家庭分野がカバーしています。運動という部分はもちろん体育で、ヨガやピラティスなどの実践が広がっているわけではありませんが、色々やっています。いま小中高の体育では、「体つくり運動」がはじまりました。これは競技をするのではなくて、自他の心や体を見直すことを目指しています。たとえば、二人一組でストレッチ体操をする。体が固いと痛かったり、自分が痛いことは相手も痛かったりする。そうして、身体と意識が結び付いていることを学び、その結び付きは自然的なメカニズムであり普遍的なものであることも学んだりする。人間の身体の不思議を実践的に学習する、と期待されたわけです。でも、これも実際にカリキュラムに落とし込んで50分の授業として実施する際に混乱しています。ねらいは面白いが、実践するのは難しい。
    ■ アメリカの部活事情
    ――ここからはメインテーマである部活の問題についてどんどん深掘りして伺っていきたいと思います。中澤先生の著書『運動部活動の戦後と現在』では「日本ではスポーツが教育になぜか結び付けられてしまう」という状況を詳細に描かれていました。改めてお聞きしたいのですが、こういった状況は世界的に見ても日本特殊な現象なんでしょうか?
    中澤 「スポーツは教育に役立つ」とか、「スポーツは人格を形成する」という言説は世界中にあります。しかし、ただ言うだけでなく、実際に、学校教育とスポーツがこれほど大規模かつ強く結びついているのは日本だけです。たしかに、アメリカやイギリスにも部活はありますが、日本とは違う。日本とアメリカの違いで言うと、日本は「教育のための部活」で、アメリカは「スポーツのための部活」。より正確に言うと、アメリカの部活は「少数エリートの競技活動」と特徴づけられます。アメリカではアメフト部などが人気ですが、「トライアウト」という選抜試験制度があって、上手い人しか部活に入れません。
    (参考リンク)運動部活動は日本独特の文化である――諸外国との比較から / 中澤篤史 / 身体教育学 | SYNODOS -シノドス-
    ――そもそもアメフトって、アメリカのスポーツ文化のなかでは一番象徴的な位置にあるものなんですよね?
    中澤 そうですね。アメリカでは、高校アメフト部の州大会がすごく盛り上がります。日本の甲子園野球のようなものです。「高校でアメフト部に入って、1軍のクォーターバック(編集部注:司令塔的ポジションで、アメフトの花形とされる)になってタッチダウンを成功させる」というのが、アメリカの子どもたちが抱く典型的な夢の一つです。『フライデー・ナイト・ライツ(邦題:プライド 栄光への絆)』という、アメリカの高校アメフト部を描いた小説・映画があります。タイトルは「金曜の夜にスタジアムの光が輝いている」という意味ですけど、要はアメリカの田舎町ってあんまり娯楽がない。だけどどんな田舎町でも高校はあるし、そこにスタジアムがある。アメリカのアメフトは秋に行われますが、金曜は高校生の試合、土曜は大学の試合、日曜はプロのNFLの試合……というふうに、秋の週末は大盛り上がり。地方都市には大学は無いかもしれないし、NFLもやってこない、しかし高校のアメフトの試合は見られる。金曜の夜は、光り輝くスタジアムに、みんな駆けつけるわけです。

    ▲『FRIDAY NIGHT LIGHTS(プライド 栄光への絆)』ビリー・ボブ・ソーントン (出演), ティム・マッグロウ (出演), ピーター・バーグ (監督) 
    ――新国立競技場の問題が話題になっているなかで、アメリカのスタジアムの収容人数ランキングを調べた記事を書いていらした方がいたのですが、トップ10がすべて大学のフットボールスタジアムで、しかもすべて10万人規模なんですよね。日本人には想像もできないほど、アメリカ人にとってアメフトは大きな存在感を持っているわけですね。
    (参考リンク)8万人でも26位!アメリカのスタジアム収容人数ランキングがスゴすぎる 
     しかし、高校でアメフト部に入って活躍するためには、入学後のトライアウトにまず合格しないといけないわけですよね。そのためには高校入学前までに何か準備をしたりするんでしょうか?
    中澤 アメフトは危険も伴うスポーツなので、基本的には高校生から始めることになっています。しかし、その準備として、中学段階で、タッチフットボールのような簡易化した競技をやって鍛えておくことが一般的になっていたりする。さらに、その中学のクラブに入るのにもトライアウトがあったりするので、小学生のうちからクラブに入らなければいけなかったりもする。だから子どもが高校のアメフト部に入るまでには保護者の支援がかなり必要になります。
    ――「ステージママ」(子どもを芸能界に入れるために、膨大な時間と労力を投入しマネージャー的役割をも担う親のこと。子どもをサッカー選手や野球選手、フィギュアスケート選手等のスポーツエリートに育てようとする親たちのことを指す場合もある)という言葉もありますが、日本の少年スポーツと似た構造がアメリカのアメフトでもあるわけですね。
    中澤 アメリカの高校アメフト部は、1軍、2軍、3軍と分けられていたりと、高度に組織化されています。たとえば、私が見学に行ったカリフォルニアの高校では、2軍がグラウンドで実践練習をしている間に、1軍の選手は専用のウェイトリフティングルームで、アメリカのロック音楽をガンガンかけながらノリノリでウェイトトレーニングをしている。それが終わったらグラウンドに出て、交代して実践練習に入る、というようにすごく組織化されている。高校生たちにとっては憧れでやりがいもあるし、保護者や学校、地域社会からの期待も大きい。
    ――日本の部活では最近特に「顧問教師が土日も駆り出されたりして負担が膨大で、手当もわずかしか出ない」ということが問題になっていますが、アメリカの高校ではアメフトの指導はどのように行われているんでしょうか?
    中澤 アメリカは全然違うかたちになっています。教師がコーチに付く場合は、手当が出ます。また学校が公募を出して、専門のコーチが雇用されます。先ほどのカリフォルニアの高校の事例だと、もともとアメフト部の卒業生の方が、コーチとして雇われていました。その後、そのコーチは歴史科の教師としても採用され、いまは、あらためて教師かつヘッドコーチとして指導にあたっています。その場合、この人は教師としての給料だけでなく、ヘッドコーチとしてのプラスαの手当を貰っています。そして、さらにそのヘッドコーチのまわりに7人のアシスタントコーチと1人のトレーナーが付いていました。アシスタントコーチやトレーナーは、教師ではなく地域の人だったり、OBだったり、プロコーチだったりします。そうして高校のアメフト部が魅力的なスポーツチームとして組織され、その試合は学校全体にとって大切なイベントになっています。
     このように海外の部活文化を知ることは、それ自体とても興味深いことですが、日本の部活文化を見直す上でも役に立ちます。日本の部活って「問題も課題も多いし大変だ」ということで国内では騒がれていますが、それを相対化するような視点をもつことが、問題の解決に必要です。だから、海外の事情や歴史を調べて今の日本の部活を相対化する試みはどんどんやっていきたい。そうして初めて、今のがんじがらめになっている状況を乗り越えるための方策を考えることができます。
     一つ論点を出してみましょう。良くも悪くも、日本ではスポーツができることが当たり前になっています。しかし、アメリカの学校では、スポーツはやるべきことをやった後に与えられる特権と考えられています。たとえば学業成績が一定基準以上でないと部活に参加させなかったりします。日本では逆に、勉強ができない生徒ほど、部活に入れられて、しごかれたりする。
    ――日本のトップアスリート校の場合は本当に、運動のできる子に対して「お前は授業は寝ていてもいいから部活だけ頑張れ」という特別扱いをしてしまっていたりしますね。
    中澤 アメリカでは、部活の参加にトライアウトや学業成績以外にも、医師による健康な状態のチェックや、親の同意書も必要だったりと色んな条件を設けています。したいことをするための条件チェックであり、特権を行使するための土台の確認です。ある意味で、スポーツの素晴らしさや楽しさを、とても尊重していると思います。だから、「お前に、スポーツをする資格があるのか?」と問うわけですね。日本とアメリカのどちらが良いとは一概に言えませんが、アメリカと対照することで日本の部活の特徴が見えてきます。
    ■ スポーツ系部活とスクールカースト
    ―― 疑問に思ったのは「部活をやっていないアメリカの高校生ってなにをやっているんだろう?」ということなのですが、そのあたりはどうなっているのでしょうか。
    中澤 先ほどアメリカの部活は「少数エリートの競技活動」と言いましたが、要は下手な子どもは入れないし、加入率も30%くらいで低い。日本の加入率は50%〜70%で高く、多くの子どもが経験するものですから、ちょっと意味合いが違います。他方で部活といっても運動部活動ばかりではなく、もちろん、アメリカにも文化部があります。グリー・クラブ(合唱部)もブラスバンドもあるし、私が調査に行ったカリフォルニアの中学校には、ハリーポッタークラブがありました。ハリーポッターが好きな中学生が集まって、ハリーポッターを語ったり、衣装をつくって楽しんだりしているようです。
    ――日本でいう漫画研究部のようなものかもしれないですね。
    中澤 そうかもしれないです。ちなみに、日本ではサッカー部員はサッカー部でしか活動しないですが、アメリカのスポーツはシーズン制なので、秋にアメフトをやって、冬にバスケットをやって、春に野球をやったりする。部活ごとにトライアウトがありますが、全部が上手ければ全部のスポーツをプレイすることもできます。アメフトのクォーターバックがバスケットボールのエースになって、野球では4番でピッチャー、みたいなことになる。学校中の大スターになって、チアリーディング部で一番可愛い子をゲットして、幅を利かせたりもする。
    ――アメリカではアメフト部員のような体育会系で学校内で幅を効かせる人たちを「ジョック」、チアリーダーなどのように学校内地位の高い女子生徒を「クイーン・ビー」と呼ぶんですよね。1999年に起きたコロンバイン高校銃乱射事件で、学校内の地位格差(スクールカースト)に恨みを持った犯人たちが「All the jocks stand up !」と叫んでジョックの生徒たちを撃ち殺したとされていて、それ以来スクールカーストが大きな社会問題としてクローズアップされるようになったと聞きます。

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  • 「ゲームとは何か」をめぐる交わらない答えたち (井上明人『中心をもたない、現象としてのゲームについて』第4回)【不定期配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.551 ☆

    2016-03-29 07:00  
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    「ゲームとは何か」をめぐる交わらない答えたち (井上明人『中心をもたない、現象としてのゲームについて』第4回)【不定期配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.3.29 vol.551
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    今朝のメルマガは井上明人さんの『中心をもたない、現象としてのゲームについて』の第4回です。「ゲーム」と「遊び」。幼少期から慣れ親しむ人間にとって最も身近な行為でありながら、厳密な定義はほどんと不可能という、あまりに不可思議なこれらの現象を前にして、私たちは何を語りうるのかについて、改めて考えます。
    ▼執筆者プロフィール
    井上明人(いのうえ・あきと)
    1980年生。関西大学総合情報学部特任准教授、立命館大学先端総合学術研究科非常勤講師。ゲーム研究者。中心テーマはゲームの現象論。2005年慶應義塾大学院 政策・メディア研究科修士課程修了。2005年より同SFC研究所訪問研究員。2007年より国際大学GLOCOM助教。2015年より現職。ゲームの社会応用プロジェクトに多数関っており、震災時にリリースした節電ゲーム#denkimeterでCEDEC AWARD ゲームデザイン部門優秀賞受賞。論文に「遊びとゲームをめぐる試論 ―たとえば、にらめっこはコンピュータ・ゲームになるだろうか」など。単著に『ゲーミフィケーション』(NHK出版,2012)。
    本メルマガで連載中の『中心をもたない、現象としてのゲームについて』配信記事一覧はこちらのリンクから。
    前回:ルールのないゲームたち ――ゲームにルールはどのように必要なのだろうか?――(井上明人『中心をもたない、現象としてのゲームについて』第3回)
    ■「遊び」と「ゲーム」をどう区分するか?
     「真剣にゲームをしているのに、教師が率先してふざけて遊ぶとは何事か」
     と、校長から叱られた先生がいた。これは筆者が中学生のときの体育祭直後のことだ。
     何があったのかというと、生徒によるリレーではなく担任教師による学年対抗リレーという催しがあった。正直なところ、誰もこれといって本気にしているものではないが、毎年恒例のイベントだった。
     普段、偉そうな顔をしている担任教師が必死で走るというのを見せるという意味では悪いイベントではないのだが、他の学年の教師のキャラがいまひとつよくわからないので、つまらないとも面白いともいえない微妙なイベントなのだが、このリレーのバトンが英語教師のM先生にバトンが渡ったところで、M先生がやってくれた。
     M先生は最初のうち、普通に校庭の楕円トラックに沿って走っていたのだが、20Mほどしたところで、トラックの楕円形を無視して、ゴールまで最短距離で走り始めた。他の教師たちと、校長は目を丸くしたが、生徒たちには大いにウけて、微妙なイベントが一転して盛り上がった。
    図1:M先生の疾走ルート

     だが、校長先生はこれをよしとせず、後日に呼びつけてこの教師を叱りつけ、ゲームの場でふざけて遊ぶのはよくない、という趣旨のことを説いたわけだ。
     M先生の行為が現代日本の学校教育の枠内で肯定されるべきことかどうか、ということはさておくことにする。本連載は、「ゲーム」という現象がどういったものかを論じるものなので、本題に入りたいと思うが、この校長先生の怒りは、「遊び」と「ゲーム」と日本語で名指される二つの領域の性質を端的に表している。
     校長先生本人も意識はしていないだろうが「ゲーム」をしているのに「遊ぶな」といっている。すなわち、校長先生はここでは、「ゲーム」と「遊び」という概念を別々のものとして区別している、ということだ。
     「ゲーム」をめぐる現象をとらえようとするとき、「ゲーム/遊び」あるいは「Game/Play」という区別の付け方はしばしば最初に問題とされやすい区別の一つだ。この区別の付け方には、さまざまなバリエーションがあるが、一つのメジャーな立場にはこのようなものがある。楽しまれる行為のうち「遊び」や「Play」を、必ずしも組織化されない様々な行為全般のことを指し、そのうちの一部が「ゲーム」と呼ばれ、組織化されルールなどの定まった野球やチェスなどのことを指すという仕方がある。
     たとえば、幼児の遊びなどに特徴的だが、家の中にある様々なものをひっくり返して遊んだり、ティッシュをドバドバと箱から引っ張ることに楽しみを覚えたり、とらえどころがない。幼児はおそらく、自分のまだ知らない世界のあらゆるものに触れるということ自体を楽しんでいるのだろうと思われるが、その行為にはあまりはっきりとした形式はない。
     これが成長するにつれて、好まれる遊びの傾向に変化が生まれてくる。表1は4歳から10歳にかけての子どもの好きな遊びがどう変化していくかを調べたものだ。まず、ティッシュ箱をひっくり返すような遊びをしていた幼児は少し育つと、ままごとや、人形遊びといった行為の虚構性を理解しなければ、そもそも遊ぶことができないような遊び(表1の薄い灰色部分)を好みはじめる。さらに、小学校に入るかどうかぐらいの5歳~7歳ぐらいの年齢の子どもになると、野球やサッカー、トランプやデジタルゲームなど、かなり複雑なルールをもち、組織化された遊び(表1の濃い灰色部分)を遊びはじめる。バットでボールを打つという行為は、それ自体では完結した遊びではなく、攻守・点数・ヒット・ホームランなど、その遊び全体を構成する一連の行為の一部として理解される必要がある。
    表1:子どもの遊びの変化
    質問文:今、好きな「遊び」はどれですか。いくつでも教えて下さい。

     こういった、楽しみをめぐる行動が組織化されていくプロセスをもとに、行為がまだ十分に秩序だった複雑な構造をもっていないものを「遊び」と呼び、虚構性や行為の多層性といった状態を備えたものを「ゲーム」と呼ぶという用法がある。
     このような区別がなされるとき、論者によって多少のバラつきはあるが、基本的には、行為の最初にまず「遊び」ありきであるという図式があり、そのうちの一部が徐々に秩序形成されていく、という図式になっている。とくに発達心理学などの領域で「遊び」が論じられる場合、実際の子どもの行動変容にあわせて、こういった議論構造になるのは、ごく自然な観察といってもよいだろう[1]。ゲームとされる行為にはしばしば、「これは虚構の行為である」現実感覚の階層性の理解や、各々の行為間のネットワークが複合的に組み合わせて理解することが要請され、確かにそれは幼児の遊びよりも、いくつかの意味で複雑だ。ティッシュ箱をひっくり返す幼児は、ゲームを経験することができない。ゲームを遊ぶとためには一定の「成熟」を必要とする側面がある。
     ただ、このように遊びの複雑に発達した過程としてのみ「ゲーム」を捉えると、いくつかの問題が出てくる。たとえば、さきほどの校長先生の「ゲーム」と「遊び」を区別するお叱りを理解することができなくなる。
     M先生の暴走は、実際のところ、幼児の遊びよりも、かなり複雑なことをやっている。①まず、幼児には理解できない、リレーのルールを(当たり前だが)M先生は十分に理解している。②その上で、リレーのルールを破り、周囲から期待されている行動をあえて裏切ることで、生徒の笑いをとりにいっている。
     これは単に複雑さの程度問題だけでいえば、幼児の遊びとは全く異質なものだ。だが、これを校長先生はゲームとは違う「遊び」として名指した。ここでは、遊びがゲームの発達前の段階としてみなされているのではなく、遊びを「ルールからの逸脱行動」としてみなすというやり方である。一方でゲームは「ルールに沿った行為」としてみなされている。この校長先生の区分は、理解可能なものだと言っていいだろう。これはそこまで難しい話ではない。
     少し話が難しくなるのはここからだ。

    ■ 複数の「遊び」と「ゲーム」区分は両立するか?
     さて、さきほど、子どもの発達過程のようなものを想定したときに、さまざまな無秩序な行為が好まれるところから、次第に複雑な行為間のネットワークをもつような行為へと移行していくという複雑化・秩序化のプロセスをもって、遊びをゲームの前段階としてみなすという観察はごくまっとうなものだと述べた。
     一方で、遊びはゲームの前段階ではなく、ルールからの逸脱か、それに沿った行為かという区分もまた理解可能なものだと述べた。
    仮に前者を「複雑/単純分類」、後者を「遵守/逸脱分類」と名付けることにしよう。この複雑/単純分類と、遵守/逸脱分類はともに理解可能な分類ではあるが、この二つの分類はそれぞれに対応する術語として、「ゲーム/遊び」という言葉を選んでしまう場合、これはちょっと理解しがたいケースが出てきてしまう。すなおに、この二つの分類のペアから、次の四つのケースを導出することができる。
    A)     複雑なルールを遵守すること
    B)     複雑なかたちで逸脱を果たすこと
    C)     単純なルールを遵守すること
    D)     単純なかたちで逸脱を果たすこと
    「A)複雑なルールを遵守すること」は、野球やチェスの標準的なプレイを想定すればよいだろう。これはどちらの分類を採用していても、文句なしに「ゲーム」らしい行為だと言ってよさそうだ。また「D)単純なかたちで逸脱を果たすこと」は、たとえば先ほどから述べている赤子がティッシュをひっくり返すことや、食卓でスープに汚れた手を突っ込んで遊ぶような行為はこれにあたるだろう。
    問題は、B)と、C)だ。「B)複雑なかたちで逸脱」を果たしたのは、さきほど例に挙げたM先生の暴走のようなものだ。これは、逸脱という意味では間違いなく「遊び」だが、赤子のような行為の単純さがあるかといえば、その点ではこの行為は「遊び」ではない。M先生は、うまくタイミングを見て生徒の笑いをとりにいくという高度な目標を掲げそれを見事に達成するための行為をなしとげた。その意味では、<行為-目標>という階層性をもった「ゲーム」を試みている。M先生の行為は、ある意味でゲームであり、ある意味で遊びである。
    「C)単純なルールを遵守すること」は、たとえば、「握っているボールを床に落とせ」というルールを遵守した場合に、ボールの挙動を楽しむことなどがこれにあたるかもしれない。これは誰かが自分の手を抑えこんでいるとか、そういった制約がないのであれば、行為自体が単純であるのみならず、目的の達成にかかわる困難がない。行為することと目的の達成が完全にイコールになるようなことだ。これは逸脱をしていないという意味では、「遊び」ではない。しかし、行為に一定の複雑性が成立していないという意味では「ゲーム」とも呼びがたいような、「楽しさ」の経験だとしか言いようがない。
     つまり、複雑/単純分類と、遵守/逸脱分類と名付けたこの二つの分類方式は重なるところもあるが、常に両立可能な分類方式ではない、ということだ。ゲームや遊びといったものを対象とした議論として、それぞれの分類はその分類自体では一定の整合性のもつことができるが分類間には矛盾が生じる。
     これは、遊び/ゲームをめぐる分類でなくても、遊びやゲームをめぐる単純な二分法がしばしば抱えがちな問題だ。カイヨワであれば、ルドゥスとパイディアという分類が似たような分類となっている。[2]

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  • 月曜ナビゲーター・宇野常寛 J-WAVE「THE HANGOUT」3月21日放送書き起こし! ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.550 ☆

    2016-03-28 07:00  
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    月曜ナビゲーター・宇野常寛J-WAVE「THE HANGOUT」3月21日放送書き起こし!
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.3.28 vol.550
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    大好評放送中! 宇野常寛がナビゲーターをつとめるJ-WAVE「THE HANGOUT」月曜日。前週分のラジオ書き起こしダイジェストをお届けします!

    ▲先週の放送は、こちらからお聴きいただけます!
    ■オープニングトーク
    宇野 時刻は午後11時30分を回りました。みなさんこんばんは、宇野常寛です。じつは今、「特撮オタク側につくか、それともアイドルオタク側につくか」ですごく悩んでいるんです。先日、日本でも3番目に大きい「東映」っていう映画会社の記者会見がありまして、それが仮面ライダーの新作発表だったんですよ。新作のタイトルは『仮面ライダーアマゾンズ』です。これ、年配のリスナーさんはピンときたかもしれないけれど、昭和の仮面ライダーの中でも一番の異色作と言われた『仮面ライダーアマゾン』のリメイク作なんですよね。Amazonプライム・ビデオっていうサブスプリクションサービスのオリジナル企画で、たぶんこの配信元の会社のAmazonと引っ掛けて、『仮面ライダーアマゾンズ』っていうタイトルになっているんだと思うんですよ。サブスプリクションサービスって要するにネット配信なので、大人向けのコアでマニアックな内容でやってくれると。なんでも、タイプの違う二人の仮面ライダーが出てくるらしいんですね。だからアマゾンじゃなくてアマゾンズなんです。
    その2人のアマゾンの俳優さんの名前を見たときに、ちょっと引っかかったんです。「藤田富くんって、どっかで聞いた名前だな」と思って検索したら、なんと、僕が何年も応援している某アイドルグループの主力メンバーと、過去にスキャンダルがあったっぽい人なんですよね。いや、僕個人はあんまりアイドルのスキャンダルとか気にする方じゃないんですよ。こっちは結婚9年目の38歳おじさんだし、むしろ向こうに彼氏ができて、はじめて対等に近い条件になったなぐらいにしか思わないんですよ。でも、自分の推しメンにこういうスキャンダルがあると、まあいわゆるガチ恋系の中高生とかは結構ショックを受けると思うんですよ。ネットで検索かけてみると、やっぱり微妙にザワついてるんですよね。「えっ、今度の仮面ライダーアマゾンってあいつなの?」的なね。
    この藤田富くん、なんかすごい人なんですよ。歯科大学に在学中みたいで、まず頭がいいんですよね。しかもモデルの仕事も当然バリバリやってるわけですよ。彼はいきなり仮面ライダーのオーディションを受けて世に出てきたわけじゃなくて、すでにモデルとして結構売れてる人なんですよね。これ、スペック高すぎじゃないですか? 歯医者の卵で、かつモデル、かつ仮面ライダーですよ。これ、やばいですよね。若いアイドルオタクにはキツイだろうなと思いますね。某博多の支配人ちゃんみたいに、その辺のファンとくっついたっていうなら「もしかしたら自分も」って思えるじゃないですか。でも「歯科医でモデルで仮面ライダーとかにならないと、アイドルとは付き合えない」っていう現実をつきつけられたら、もう絶望するしかないですよね。

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  • 井上敏樹×白倉伸一郎 緊急対談 映画〈仮面ライダー1号〉公開記念 変身し続ける男たち・後編(宇野常寛の対話と講義録・毎週金曜配信) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.549 ☆

    2016-03-25 07:00  
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    井上敏樹×白倉伸一郎 緊急対談映画〈仮面ライダー1号〉公開記念変身し続ける男たち・後編(宇野常寛の対話と講義録・毎週金曜配信)
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.3.25 vol.549
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    今朝のメルマガでは、3月26日から公開になる新作映画『仮面ライダー1号』の脚本を手掛けた井上敏樹さんと、プロデューサーの白倉伸一郎さんの対談の後編をお届けします。お二人が手掛けた平成ライダーシリーズ製作時の裏話や、特撮ヒーローものの理想と本質について、存分に語っていただきました。

    毎週金曜配信中! 「宇野常寛の対話と講義録」配信記事一覧はこちらのリンクから。
    ▼ニコ生放送時の動画はこちらから!
    http://www.nicovideo.jp/watch/1457359602
    放送日:2016年2月28日◎構成:有田シュン
    前編はこちらから。
    ■もう一つの見どころ・新旧ショッカー対決
    宇野 白倉さんはプロデューサーとして、お話以外だとここがポイントだとか、ここで苦労したとかありますか?
    白倉 真面目な話、完成してくると苦労って飛んじゃうんですよね。何年か経って見返すと「あー、あの時はなあ……」ってなっちゃうんだけど(笑)。ベタな話だけど、一番苦労したのはスケジュール関係です。
    井上 俺のところに依頼来た時も結構ギリギリだったよね。すごい切羽詰ったスケジュールで、彼は映画を作るに当って色々調整してたけど、こっちは全然知らなかったんだよ。突然電話かかってきてプロットを出すんだけど、いつまでに仕上げろっていう締め切りがないのよ。締め切りがないのって一番怖いんだよね(笑)。
    宇野 プロットから脚本にはスムーズに行けた感じですか?
    井上 今回脚本を書くのに結構体力を使った。一番苦労したのは、全体の構造かな。当然ゴーストも出るわけじゃない? 新しいライダーとどういうふうに接点を持つかとか、ヒロインとの関係とかのバランス。そして構造、全体の雰囲気を整えるのが大変だった。
    白倉 最初の頃、プロットになる前に冒頭のシーンとか地獄大使のこととか、思いついたことをご相談させていただきました。
    井上 地獄大使には思い入れあるんだよ。俺の中では本郷猛って言えば地獄大使なわけよ。本郷猛が出るんだったら地獄大使も出そうと(笑)。何十年ぶりに出会って、ただの敵じゃつまらないじゃない? 両者の触れ合いみたいなものも含めて、最後にうまく集約するような構造になっていて、そのいいポイントに地獄大使がいるみたいなね。(地獄大使は)いい味付けになってるよね。
    白倉 味付けというか、ひとつの大きい幹になってると思います。地獄大使を演じる大杉漣さんは、『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』にも地獄大使役で出られたことがあって、(ディケイドとは)全然つながりはないんだけど、今回はすごく大事な役だからお願いすることにしました。大森プロデューサーが「地獄大使役なんですけども」って電話したら、まだ内容とか台本とかそういうの説明する前に「出る出る、出る出る」って(笑)。
    井上 本人も楽しんだんだろうな。
    白倉 大杉さん本人からは、「こういう役柄は願っても得られない役」「他では絶対できない役だから絶対やりたかったし、すごく楽しい」と言ってもらえた。楽しいって言いながら、毎日朝から晩まで拘束されるんだけども(笑)。藤岡さんとそう大きくは年齢は変わらないけど、現場では(藤岡のことを)「先輩」って呼んでます。初共演だったみたいです。大杉さんとしては、藤岡さんと共演できるというのも大きなモチベーションだったようです。
    井上 悩んだところと言えば、ショッカーで結構悩んだかな。1号の時、ショッカーの目的って世界征服じゃん。でも、今「世界征服」ってなんだって話じゃない。
    宇野 そうですね。そこに意味があるのと。
    井上 だから今回、ショッカーを新勢力と旧勢力に分けたんだよ。そこも見所だな。
    白倉 そうですね。『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』で、なんとなくライダー側の世代間対立みたいなものは描かれているんだけど、今回はショッカー側でそういうのが描かれるというのが新しい趣向。新ショッカーの言うことも、もっともなんだよね。「これからは経済だ!」って(笑)。皆、拍手喝采して新ショッカー側に付くっていうね。
    井上 そこで地獄大使が出てくるわけよ。「そんなこと言っちゃいけないよ、君たち」って。
    白倉 旧ショッカーって言うと語弊があるけど、にわかに世界征服っていう錆付いた言葉を振りかざしてるのが可愛く見えてくる。いつまでも少年の夢を追い続けてそのまま大人になったような(笑)。
    井上 そうそう。しかも、世界征服って地球を征服するということだから環境を大事にしてるんだよな。穢れた地球は嫌なわけじゃない? だから地獄大使たちは環境を守る派なのよ。綺麗な地球が欲しいわけ。
    白倉 それ以上言うとネタバレだけども(笑)、今回のショッカーさんたちは、戦闘員に至るまで大変に魅力的です。
    井上 戦闘員同士の喧嘩もあるのよ。旧ショッカーと新ショッカーの罵り合いもあるんだけど、言葉が「イーッ!」「キーッ!」で何を言ってるかわかんないの。
    白倉 ここは見所ですよね。ただ元々ショッカーという一枚岩の組織の中にいた知り合いがふたつの派閥に分かれたという設定だから罵り合って殴り合いになるんだけど、その一方で「殴ってごめん!」みたい気持ちもあってすんごい面白い。「お前こっちに来いよー」「何言ってるんだ! ショッカーに対する忠誠はどうしたんだ?」ってことを「イーッ!」「イーッ!」って言ってる(笑)。
    井上 飲み屋の親友同士の喧嘩なんだよね。俺、このときがシナリオ書いてて一番楽かった。
    白倉 いいですね。ものすごい感情移入しちゃう。逆に言えば、楽しいシーンってあそこぐらいまでかな。最初は緩いんだけど、段々ハードになっていきます。徐々に真剣味を増してくという流れは素晴らしい。近年の作品の中では、すごく映画らしい映画になってると思います。
     
  • Adobe以降の「特撮」と「怪獣」の可能性とは? ――15年の試行錯誤が辿り着いた 『ウルトラマンX』の達成 【月刊カルチャー時評 毎月第4水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.547 ☆

    2016-03-23 07:00  
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    Adobe以降の「特撮」と「怪獣」の可能性とは?――15年の試行錯誤が辿り着いた『ウルトラマンX』の達成【月刊カルチャー時評 毎月第4水曜配信】

    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.3.23 vol.547
    http://wakusei2nd.com


    今朝のメルマガは、『ウルトラマンX』をめぐる切通理作さんと宇野常寛の対談をお届けします。平成ウルトラマンシリーズの集大成的な作品となった『ウルトラマンX』。本作を成功に導いた「怪獣」そして「特撮」の、現代的な捉え直しについて論じます。(初出:「サイゾー」2016年3月号(サイゾー))

    (出典)公式サイト
    ▼作品紹介
    『ウルトラマンX』
    監督/田口清隆、坂本浩一ほか 脚本/小林雄次、小林弘利ほか 出演/高橋健介、坂ノ上茜ほか 放映/テレビ東京毎週火曜18:00~18:30(15年7月~12月)
    謎のオーパーツ「スパークドールズ」が怪獣化する怪事件が続き、対抗手段として特殊防衛チームXioが結成されてから15年。Xioの隊員であり、怪獣との共存を夢見る青年・大空大地は、怪獣との戦いのさなかに神秘の光=ウルトラマンXと出会い、一体化。怪獣化したスパークドールズや、宇宙や平行世界から襲来する異星人や怪獣と戦いを繰り広げる日々に身を投じていく──。3月12日からは劇場版が公開予定。
    ▼対談者プロフィール
    切通理作 (きりどおし・りさく)
    1964年生、東京出身。和光大学人文学部卒。編集者経験を経て1990年代前半から文筆活動に携わる。『ウルトラマン』『仮面ライダー』シリーズをはじめとする特撮作品、その他の映像作品のスタッフインタビューや作品解説をはじめ、幅広く世相やサブカルチャーを網羅し、「キネマ旬報」「特撮ニュータイプ」「宇宙船」「わしズム」など数多くの媒体で活動。代表的な著書に、歴代ウルトラシリーズの脚本家に取材した『怪獣使いと少年』(宝島社)、写真家・丸田祥三との共著『日本風景論』(春秋社)、『特撮黙示録1995‐2001』(太田出版)、『山田洋次の〈世界〉』(ちくま新書)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』(洋泉社)ほか。『宮崎駿の「世界」』(ちくま文庫)で第24回サントリー学芸賞を受賞。
    ◎構成:隅田亜星
    『月刊カルチャー時評』過去の配信記事一覧はこちらのリンクから。
    切通 『ウルトラマンX』(以下『X』)は、平成ウルトラマンシリーズにおける『ウルトラマンコスモス』(01年)以降の集大成だったな、というのが全体の感想です。それから、今までウルトラマンって、特に平成になってからは、『ウルトラマンマックス』(05年)のように、エピソードごとに豊かなものを作る代わりにシリーズ構成をある程度緩くするか、反対に『ウルトラマンネクサス』(04年)のようにシリーズ構成をあくまで活かして連続性を重視するかのどちらかに寄っていた印象があったけれど、『X』は両方ちゃんと立っているという意味で、かなりうまくいったシリーズだと思った。全22話しかないのにシリーズ構成だけで4人いて、脚本家は10人もいる。最初はそれが不安だったんだけど、一話一話のテイストの違いとシリーズのうねりが連動していて、良い効果を生んでいた。
    宇野 平成ウルトラ3部作(『ウルトラマンティガ』96年、『ウルトラマンダイナ』97年、『ウルトラマンガイア』98年)以降のウルトラシリーズがやってきたことの総決算的に作られていましたね。『コスモス』からは怪獣との共存というテーマを持ってきて、『ネクサス』からは変身の再定義というところを持ってきていた。さらに『マックス』から始まって『大怪獣バトル』【1】(07年~)につながる昭和怪獣の再利用という要素も入っていて、『ウルトラマンギンガ』(13年)からはスパークドールズ【2】ものという流れが入っている。60~70年代の怪獣ブームの頃に比べて、今は決して放映枠も良くはないし、話数も半端な中ですごく健闘していたと思う。『X』があったおかげで、正直何をやっても中途半端な感じがあった「ポスト平成ウルトラ3部作」の作品たちの位置づけがようやくはっきりした。それも単に整理するためだけじゃなくて、しっかりエピソードとして、映像作品として昇華することによってまとめられていたのが良かったかなと。

    【1】『大怪獣バトル』(07年~):アーケードカードゲーム『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS』を中心に展開されたメディアミックス作品。歴代のウルトラ怪獣同士のバトルが題材になっていた。
    【2】スパークドールズ:謎の太陽フレア「ウルトラ・フレア」によって眠りから覚め、怪獣に変化するオーパーツ。主人公・大地の父はこれを研究していた。なお、『ギンガ』にも同名のものが登場するが、設定が微妙に異なっている(『ギンガ』では自我を持たないが、『X』では感情を有するなど)。

    ■「怪獣」の捉え直しと「特撮」の捉え直しの成功
    宇野 ウルトラマンシリーズが苦戦している理由として、怪獣の意味合いがかつてと全然変わってしまったことがあると思う。まさしく切通さんが『怪獣使いと少年』で書いたように、かつて怪獣は社会のひずみのようなもの、なかなか言葉にならないし社会的なイデオロギーでも消化しきれないようなものが結晶化して出てきた存在だったけれど、そういう形ではもう機能しなくなっている。それには社会の変化や情報環境の変化とかいろんな理由があるけど、日本の怪獣映画はその中ですごく苦戦していた。円谷でいえば、この15年は怪獣とどう向き合っていいのかわからない15年だったと思う。
    切通 もともと怪獣ってお話の中では悪役でも、造形的には可愛いところがある。でも平成になると洋物のクリーチャー描写に影響され、可愛さを否定して、完全に怖い存在にしたほうがいいのかなという揺れが見えだした。その一方で、怪獣を保護動物として扱うことで、牙を抜いてしまうような方向性もあった。『X』はその間でバランスが取れている。保護動物みたいな扱いではなくて、主人公の大空大地【3】は怪獣と共存したいと第一には思っているんだけど、それは必ずしもうまくいかないというところを入れていて、お話の緊張感を手放さない。怪獣が害を与えるんだったら攻撃するという決断を主人公たちXio【4】のメンバーが引き受けないとならない形に落とし込んでいた。それが現代性を出していたと思う。

    【3】大空大地:本作の主人公・大空大地。Xioの研究開発セクション・ラボチームの研究員であり、特捜班の一員。15年前のウルトラ・フレアの影響で、考古学者の父と宇宙物理学者の母と生き別れになっており、2人を探すために研究員になった。
    【4】Xio:スパークドールズから目覚めた怪獣や、宇宙人に対抗する防衛部隊。

    宇野 平成3部作はすごい挑戦だったと思うけど、「怪獣とは何か」というのを問い直すところまでは行きそびれた。『ティガ』は「ウルトラマンとは何か」を問い直すのが主眼だった一方で、『ガイア』は「怪獣とは何か」をまさに問い直す作品として始まったのだけど、うまく描けずに人間ドラマにシフトした。それ以降は怪獣「保護」をテーマにした『コスモス』や、怪獣を中心に置かなかった『ネクサス』みたいな試行錯誤があった。その結果、商業的な要請から、つまり「ポケモン」要素の導入としてたどりついたのが「大怪獣バトル」だったと思うんです。これは「ポケモン」のルーツが「カプセル怪獣」にあることを考えると面白いですね。『大怪獣バトル』以降、昭和ウルトラシリーズの怪獣が持っていたある種の愛らしさ、単に怖いだけではない怪獣というものの意味を読み替えていくようになったのだけど、そうした流れと、新しいウルトラマンの物語を作ることをあまりうまく両立できていなかったのが、『X』でやっと昇華できたところがある。
    切通 『X』の9話「我ら星雲!」【5】では等身大の宇宙人をコミカルに描いていた一方で、16話の「激撮!Xio密着24時」【6】では彼らが“ヤバいもの”として出てくる。9話の時は笑わせてもらいながらも、そっちに行きすぎて大丈夫かなと思ったけど、16話では、これから移民の時代になっていく日本も思わせるドキュメント性があって、その振幅が良かった。

    【5】「我ら星雲!」:日本ラグビーフットボール協会とのコラボ企画としてつくられ、ババルウ星人やイカルス星人ほか有名星人が一堂に会してラグビーで戦うというパロディ色の強い回。星人と人間が共にチームを組んでまた別の星人たちとラグビーの試合をするという、本作のテーマ「共生」が通奏低音として流れている。タイトルは、74年のラグビードラマ『われら青春!』から。
    【6】「激撮!Xio密着24時」:タイトルからわかる通り、『激撮!密着警察24時!』の完全パロディ回。物質縮小機で女子大生を誘拐しようとした宇宙人が職質されて逮捕・取り調べされたり、ダダの潜む人間標本工場が突入を食らったりする。

    宇野 『大怪獣バトル』以降やってきた怪獣の意味論の捉え直しの中で拡大してきた怪獣というキャラクターの持つ表現の幅を、やっと『ウルトラマン』本編のシナリオワーク上で活用できるようになってきたんだと思うんですよね。この15年くらいの迷走は無駄ではなかったんだなと、初めて思えたようなところがあった。
    切通 各エピソードで「これが好きだ」といえるものになっていたのは大きいですよね。20話のネクサス客演回【7】は“神回”でした。

    【7】ネクサス客演回:ウルトラマンシリーズの常として、過去作の主役だったウルトラマンがポイントで登場することがよくある。一種のファンサービスでもあり、『X』ではネクサスのほかゼロやマックス、ギンガなど多くの過去の戦士たちが登場した。

    宇野 あれはこの先、傑作として語り継がれていくでしょうね。

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  • 落合陽一自身が読み解く『魔法の世紀』 第2回 エジソンはメディアアーティストである(毎月第4火曜配信『魔法使いの研究室』)☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.546 ☆

    2016-03-22 07:00  
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    落合陽一自身が読み解く『魔法の世紀』第2回 エジソンはメディアアーティストである(毎月第4火曜配信『魔法使いの研究室』)
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.3.22 vol.546
    http://wakusei2nd.com


    先月から始まった、『魔法の世紀』を落合陽一さん自らが読み解く自著解説。今回は「第2章 心を動かす計算機」を扱います。『魔法の世紀』で触れられたメディアアートの歴史に加えて、“ツクバ系”のアーティストを紹介。さらに本の中で書かれた「原理のゲーム」について、さらに一段と深まった思索が語られます。
    ▼『魔法の世紀』第2章の紹介
    「第2章 心を動かす計算機」では、マルセル・デュシャンを始祖とするコンテンポラリーアート、さらにナム・ジュン・パイクら20世紀後半に力を持ったメディアアーティストたちの作品の足跡を辿ります。なぜいま「文脈のアート」は衰退したのか。そして、21世紀のアートを駆動する新しいルール「原理のゲーム」は、どのような表現を可能にするのか。20世紀の前衛芸術の歴史を踏まえつつ、その先にある「魔法の世紀」が刷新するアートのポテンシャルを予見します。

    【発売中!】落合陽一著『魔法の世紀』(PLANETS)
    ☆「映像の世紀」から「魔法の世紀」へ。研究者にしてメディアアーティストの落合さんが、この世界の変化の本質を、テクノロジーとアートの両面から語ります。
    (紙)http://goo.gl/dPFJ2B/(電子)http://goo.gl/7Yg0kH
    取り扱い書店リストはこちらから。http://wakusei2nd.com/series/2707#list
    ▼プロフィール
    落合陽一(おちあい・よういち)

    1987年東京生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程を飛び級で修了し、2015年より筑波大学に着任。コンピュータとアナログなテクノロジーを組み合わせ、新しい作品を次々と生み出し「現代の魔法使い」と称される。研究室ではデジタルとアナログ、リアルとバーチャルの区別を越えた新たな人間と計算機の関係性である「デジタルネイチャー」を目指し研究に従事している。
    音響浮揚の計算機制御によるグラフィクス形成技術「ピクシーダスト」が経済産業省「Innovative Technologies賞」受賞,その他国内外で受賞多数。
    『魔法使いの研究室』これまでの連載はこちらのリンクから。
    前回:落合陽一自身が読み解く『魔法の世紀』 第1回「魔法の世紀」のためのコンピュータ史(毎月第4火曜配信『魔法使いの研究室』)
    ▼放送時の動画はこちらから!
    http://www.nicovideo.jp/watch/1456813219
    放送日:2016年2月17日

    今回は、『魔法の世紀』第二章に当たる「心を動かす計算機」をテーマに放送します。
    なんだかよくわからないタイトルかもしれないですが、基本的にはメディアアートの話です。今回は、コンピュータや「魔法の世紀」の価値観を基軸に、現代アートからメディアアートへとつながっていく展開を整理し直していこうと思います。

    ■20世紀に台頭した「芸術を問いかける芸術」
    日本では西周という哲学者が、英語のリベラルアーツを「芸術」と訳したのですが、この芸術という言葉が何を指しているのかはなかなか難しいです。例えば、美術と芸術はやっぱり少しニュアンスが違います。美術は主にビジュアルアート、視覚芸術を指す言葉ですし、実際、社会の要請としては「美術」という言葉は最近「デザイン」としての意味合いの側面が強くなっていると思うんです。どうすれば人間が美しいと感じるかの最大公約数的な部分を探ったり、人間が美しいと思える漸近線のあたりを狙ったり、という試みをしているようなところがあります。
    一方で、「芸術」の方はといえば、より文化的活動全般を指すような言葉になりだしています。例えば、マルセル・デュシャンの作品は今、「美術」という呼び方にはそぐわないけど「芸術」ではある。そんなような感じがします。また、近頃では視覚の枠組みの中に閉じた作品も少なくなっているので、芸術という方がジャンルを回収しやすいのではないかと思います。
    とすれば、「芸術」という文化的な枠組みは一体何なのか――この禅問答のような問いかけに、どう答えていくかが重要になってきます……というところで、まずは二人のアーティストを紹介します。一人は、ジョン・ケージ(画像右)。「4分33秒」という無音の音楽を作曲した人です。
    もう一人は、先ほど名前を挙げたデュシャン(画像左)です。

    この二人は、ともに「メタ」的な発想で芸術をしていた20世紀の芸術家です。
    まずデュシャンの作品といえば、男性用小便器を横にした、俗に言う『泉』が有名です。本当に和訳すると『噴水』なのですが、これが俗に言うレディ・メイドというものです。

    レディ・メイドというのは、端的にいうと「既製品に文脈をつけることで、芸術作品として評価することが出来るんじゃないか」という試みです。逆に言えば、「このトイレが芸術作品ではないとすれば、それはなぜか?」と問いかけているということでもあります。
    これ、なんとなく「アートでしょ?」と言われたら、アートな気がしますよね。「いや、お前が作ったわけじゃないだろ」とツッコミを入れる人もいるかもしれないですが、じゃあ「アートは誰かがつくるのが本当に重要なのか」と改めて言われたら、確かに作者が重要ではない気もしてきませんか? まるで一休さんの頓智話のようです。
    ただ、こういう「何を芸術にするのかを問いかけるのが芸術である」という発想は、現代芸術における一つの潮流になったものです。ジョン・ケージの『4分33秒』も同じ考え方ですね。オーケストラでこれを演奏するときには、4分33秒間、みんな黙ったままです。一応楽譜はあるので、ページをめくる音などの音は聞こえてくるし、わざと咳をする人もいたりする。

    ▲ジョン・ケージ『4分33秒』
     (動画:https://www.youtube.com/watch?v=Oh-o3udImy8)
    これも「誰だってできるじゃないか」というものですが、20世紀のケージが活躍した時代にはとても重要なことでした。結局、これも「音楽とは何かを問いかける音楽」というところが重要で、その頃はこういう、まさに「メタ」な表現が芸術の最先端だったのでした。
     
    ■「日本画」の文脈から見る国内現代アート作家
    こういうふうな考え方から、日本の現代アート作家を見ていくことも出来ます。
    例えば、僕の大好きな作家に村上隆さんというアーティストがいます。彼は、日本の古典的なアニメーションや春画に見られたような「日本画」的な二次元表現を、どう現代風に置き換えるのかを考えてきた人です。

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  • 月曜ナビゲーター・宇野常寛 J-WAVE「THE HANGOUT」3月14日放送書き起こし! ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.545 ☆

    2016-03-21 07:00  
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    月曜ナビゲーター・宇野常寛J-WAVE「THE HANGOUT」3月14日放送書き起こし!
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.3.21 vol.545
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    大好評放送中! 宇野常寛がナビゲーターをつとめるJ-WAVE「THE HANGOUT」月曜日。前週分のラジオ書き起こしダイジェストをお届けします!

    ▲先週の放送は、こちらからお聴きいただけます!

    ■オープニングトーク
    宇野 時刻は午後11時30分を回りました。みなさんこんばんは、宇野常寛です。あの、ちょっと宣伝とかしちゃっていいですか? マジで時間がないので。このラジオをたまたま聞いた人は、僕が何者なのかよくわかってないと思うんです。単に、アラサーOLの自分探しメールに対してズバズバものを言う人だとか、中学生の恋愛相談に「今すぐLINEを送れ!」とか言っている人だと思っている人が多いと思うんですよ。実際そうなんですけど……ちょっと告白してもいいですか。僕ね、じつは評論家なんですよ。物書きなんです。本を書いて生活しているんですよね。もうちょっと告白してもいいですか。実は僕、小さい出版社を経営しているんですよ。
    このラジオを最近聞き始めた人、特に若い人は知らないと思うんですけれど、そもそも僕は自分の雑誌を自分のお金で作って、それがネットで評判になって売れて、世に出てきた人間なんですよね。今も「PLANETS」という小さな出版社を経営していて、そこでずっと自分の雑誌を作ってきているんです。そして去年の年末、うちの出版社から初めて普通の単行本を出したんですよ。誰の本かというと、この番組にも何回か遊びに来てくれた落合陽一くんの本なんです。日曜朝のTV番組「サンデージャポン」にも最近よく出ていたり、「現代の魔法使い」と言われている、黒づくめの格好をしている若い科学者ですね。実際に国内外でいろんなすごい賞をもらっていて、いま全国のとりわけ工学系の理系男子の間でスターのような存在ですね。彼がなんの研究をしているかというと、ちょっと難しいんですけれど、映像の次のビジュアルイメージというものを作ろうとしてるんですよ。音波で物を浮かせたり、触れるレーザーを作ったりして、「映像の次のモノ」を発明しようとしている男なんですよね。その自分のテクノロジーを使ってアート作品もいっぱい作っていて、いま20代で一番勢いのあるメディアアーティストでもあるんですよ。
    そんな落合君と僕は昔からちょっとした知り合いで、その彼の初めての本を、僕が編集して作ったわけなんです。それが去年の年末に初めてうちの会社で出した『魔法の世紀』という本です。20世紀って「映像の世紀」といわれるんですけれども、これは映画やテレビの「映像」が社会を作っているということなんですね。特にテレビがあることによって、これだけの規模の社会が維持されているのが現代社会なんですよ。それがインターネットが生まれてから少しずつ崩れてきた。さらにデジタルテクノロジー、つまりコンピューターのテクノロジーがこの先どんどんと進んでいくと、その状態も変わってくるだろうと。映像が社会を作らなくなって新しい社会が生まれるというふうに落合君は考えていて、その21世紀の社会の姿を自分の研究を例にして説明したのがこの本なんです。発売したのは3か月ぐらい前なんですけど、おかげでかなり話題になってるんですよね。いま、いろんな大学の若手研究者たちがこっそり読んでカンニングしてるぐらいです。なんでそんなことがわかるかというと、僕ってこの本の出版社の社長じゃないですか。だから「◯◯大学の生協から取り寄せが1部ありました」みたいなデータを知ってるんですよね。だから「この大学で買っていそうなのは多分こいつだな」というところまでわかるんですよ。そんな注文がけっこうたくさんあって、全国の研究者が相当カンニングしているような本なんです。
    ちょっと真面目な話をすると、本当に今の出版社のビジネスモデルはもう崩壊していて、1冊あたりの出版物にかけられる手間が、もう昔の何分の1になってるんですよ。実際に物書きとしていろんな出版社と付き合っているからよくわかるんですが、本当にお金がないし、1人あたりの編集者のノルマもすごくたくさんあるし、出版の編集も営業も1冊の本に手をかけていられないんですよね。僕は本が好きでこういう仕事してるから、そのことがもう本当に嫌なんです。もうこうなったら「自分の会社で自分が納得がいく手間と暇をかけたクオリティの高い本を作れるようにするしかない」と思ったんですね。実際、ビジネス的には賭けだったし、勇気が必要だったんだけれど、「自分の会社で若い人の本を出そう」と決めたんですよ。

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  • 井上敏樹×白倉伸一郎 緊急対談 映画〈仮面ライダー1号〉公開記念 変身し続ける男たち・前編(宇野常寛の対話と講義録・毎週金曜配信) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.544 ☆

    2016-03-18 07:00  
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    井上敏樹×白倉伸一郎 緊急対談映画〈仮面ライダー1号〉公開記念変身し続ける男たち・前編(宇野常寛の対話と講義録・毎週金曜配信)
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.3.18 vol.544
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    今朝のメルマガでは、3月26日から公開になる新作映画『仮面ライダー1号』の脚本を手掛けた井上敏樹さんと、プロデューサーの白倉伸一郎さんの対談の前編をお届けします。45年ぶりに復活を遂げた藤岡弘、さんの仮面ライダー1号、その復活にお二人がかけた想いとは。
    毎週金曜配信中! 「宇野常寛の対話と講義録」配信記事一覧はこちらのリンクから。
    ▼ニコ生放送時の動画はこちらから!
    http://www.nicovideo.jp/watch/1457359602
    放送日:2016年2月28日◎構成:有田シュン
    宇野 PLANETSチャンネルプレゼンツ、映画『仮面ライダー1号』公開記念特別番組「変身し続ける男たち、特別緊急対談 井上敏樹VS白倉伸一郎」のお時間がやってまいりました。
    白倉 緊急なんですね。
    宇野 緊急対談です。新年会の席で急に決まったっていう謎の企画です。
    井上 この三人で飲んでたんだっけ?
    宇野 そこで「やりましょう」と。
    井上 そうだ。思い出した。
    宇野 そんな事情で始まった緊急対談ですが、来たるべき3月26日に仮面ライダー45周年記念映画『仮面ライダー1号』が公開されます。それを記念して、スペシャルなお二人の対談をお届けしたいと思います。トレーラーが公開され、ネットでも話題になっている新作映画『仮面ライダー1号』について余すことなく、無礼講で喋っていただければと思います。
    井上 とりあえず乾杯しよう。おつかれ~。(宇野に)お前は飲まないのか?
    宇野 僕は飲まないつもりなのですが……。
    井上 お前も一杯飲め。俺と同じ酒を飲め。
    宇野 は、はい。分かりました。敏樹先生と同じお酒をお願い致します。(自分は)この放送のセーフティネットのつもりでいるんですけど、お酒を投入されるとは……。
    白倉 この放送、のっけから何だか失敗の香りがムンムンしてるんだけど、大丈夫ですか(苦笑)。
    井上 じゃあ乾杯しよう。世界平和に!
    白倉 よろしくお願いします。
     
  • 大人気女児アニメ『プリパラ』に見る「性差モチーフの撹乱」(『石岡良治の現代アニメ史講義』キッズアニメーー「意味を試す」〈3〉)【毎月第3水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.542 ☆

    2016-03-16 07:00  
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    大人気女児アニメ『プリパラ』に見る「性差モチーフの撹乱」(『石岡良治の現代アニメ史講義』キッズアニメーー「意味を試す」〈3〉)
    【毎月第3水曜配信】 
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.3.16 vol.542
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    今朝のメルマガは『石岡良治の現代アニメ史講義』をお届けします。今回はシュール系キッズアニメの始祖としてのサンリオの画期性、そして2010年代女児アニメの覇者『プリパラ』が切り拓いた新境地について解説します。
    ▼プロフィール
    石岡良治(いしおか・よしはる)
    1972年東京生まれ。批評家・表象文化論(芸術理論・視覚文化)・ポピュラー文化研究。東京大学大学院総合文化研究科(表象文化論)博士後期課程単位取得満期退学。跡見学園女子大学、大妻女子大学、神奈川大学、鶴見大学、明治学院大学ほかで非常勤講師。PLANETSチャンネルにて「石岡良治の最強☆自宅警備塾」を放送中。著書に『視覚文化「超」講義』(フィルムアート社)、『「超」批評 視覚文化×マンガ』(青土社)など。
    『石岡良治の現代アニメ史講義』これまでの連載はこちらのリンクから。
    前回:キッズアニメはなぜ「シュール系コメディ」として機能するのか(『石岡良治の現代アニメ史講義』キッズアニメーー「意味を試す」〈2〉)
    4.現代キッズ・アニメの射程(2)シュール系コメディの宝庫
    ■サンリオの重要性
     私がある意味、現代キッズ・アニメの良さと感じているのがシュール系コメディの宝庫である点です。「サンリオの偉大」と言ってよいかもしれない事態です。例えばハローキティは「仕事を選ばない」スタンスで様々なものとコラボしています。ハローキティの超合金が発売されましたが、マイメロディの超合金も発売されています。

    ▲今年(2016年)初頭に発売されたマイメロディの超合金(出典)
     私は子どもの頃に手塚治虫『ユニコ』の映画を観に行っているんですが、これもサンリオ作品だったんですね。そのとき『いちご新聞』を買っています。わりと私の原点にはサンリオがあって、他にもやなせたかし原作の『チリンのすず』という絵本が、サンリオアニメになっていますが、ストーリーには富野アニメ的な感覚もあるので、ぜひ絵本を読むなりアニメを見るなりしてください。『チリンのすず』は超いいですよ。ひつじのチリンが両親の復讐のために狼に弟子入りして…という話ですね。

    ▲チリンの鈴・ちいさなジャンボ・バラの花とジョー【やなせ・たかし原作】 
     サンリオの近作で興味深いアニメとして『SHOW BY ROCK!!』があります。サンリオが深夜アニメ市場を狙ったもので、男女両方の客層を目指しつつも、多くの女性ファンを獲得した作品です。セルルックではない3DCGアニメとしても興味深いアニメです。『SHOW BY ROCK!!』の卵のおじさんの声優がうえだゆうじなんですが、『デトロイト・メタル・シティ』のクラウザーさんをやっていたんですよね。いろいろな要素がみられることもあって、『SHOW BY ROCK!!』については今後の展開に注目しています。
     そうした事情もあって、いつかサンリオ論に取り組みたいと思っています。この「現代アニメ史講義」のフレームとは別の射程があるんじゃないかと思っているんです。サンリオって、70年代に『LYRICA 〜リリカ〜』という少女漫画雑誌をやっていたんです。手塚治虫の『ユニコ』はそこで連載していました。私は後追いで『LYRICA 〜リリカ〜』の初期の号を古本屋で集めようとしていたんですが、引っ越しの際に無くしちゃったんですね。まさに勿体ないという感じですが、何かの機会にまとめて考察したいと思っています。キッズアニメがシュール系コメディの宝庫となっていることについても、サンリオから考えることができると考えています。
    ■稲垣隆行『ジュエルペットサンシャイン』はシュール系キッズアニメの金字塔である
     2010年代のシュール系キッズアニメの金字塔は、みなさんの中にも観た方もけっこう多いと思うんですが、『ジュエルペットサンシャイン』と言っていいと思います。2011年から12年です。厳密に言えば「ジュエルペット」シリーズはその前年の『てぃんくる』がわりと良質な女の子向けのハートウォーミングなシナリオで感心していたんです。そうしたら、いきなり翌年すごくクレイジーな世界が全面展開された感じですね。このシリーズの頂点をどこに置くかによって、『てぃんくる』派と『サンシャイン』派がいて、私は『サンシャイン』派になります……コメントで「『サンシャイン』勢もくるぞー」って、なに言っているんですか。「『ハトプリ』勢もくるぞー」「『ジュエルペットサンシャイン』勢もくるぞー」ってぜんぶ俺一人じゃないですか(笑)。「ひとりでなんとか勢兼ねているぞ」って感じですよね。はい。TVアニメ枠としては最終作になってしまったのですが、『マジカルチェンジ』(2015)はサンシャイン魂があってわりと好きでした。

    ▲ジュエルペット サンシャイン DVD-BOX1
     『ジュエルペットサンシャイン』で何が笑えたかというと、例えばエアロスミスのような70-80年代ハードロックのネタをばんばんやっていて、DVDではぜんぶ曲が差し替えになっていました。つまり、テレビ放送では可能だけど、あとからの版権許諾では再現不可能なパロディをたくさんやっていたんです。あと、1983年の映画『フラッシュダンス』の完全再現ネタは、親世代向けですらなく、前回で語った加藤陽一さんのネタ振りと近いものがありました。
     考えてもみてください。『ジュエルペットサンシャイン』をリアルタイムで観ている人たちは、要するに2000年代に子どもができた世代ですよね。どう考えても親は30代くらいじゃないですか。だからこれは下手すると、いわゆる「じいじ、ばあば」の世代のネタなんですね。『フラッシュダンス』が話題になっていたのは私が小学生の時でしたので、その頃の大人だと50代になります。簡単に言うと、加藤陽一さんの金八先生ネタをさらに突き抜けて「ちょっとやりすぎなんじゃないか」というところまでやっていたわけです。
     これだけだと「ネタアニメ」のように見えてしまいますが、もうひとつ『ジュエルペットサンシャイン』でおすすめしたいのは、ヤギの八木沼くんです。基本はただのヤギがクラスメートというネタで、当然のように大事な紙をムシャムシャ食べたりしているんですが、24話では実写のヤギ画像が出てきたんですね。全話がつらい人も、ここだけ見てみると、ほとんど実験アニメーションのようにみえる絵面のおかしさがわかると思います。ここはアニメーション論的な意味でも、実写の強引な混ぜ方が興味深い回でした。
     ちなみに私は『プリパラ』の「パルプスの少女ふわり」登場回で、『アルプスの少女ハイジ』が元ネタということもあり、ヤギが出た瞬間に「ヤギキター!」ってなりましたね。私なりの基準では、キッズアニメに飛び道具じみた動物が来たらもうその瞬間に神回確定という感覚を持っています。この感覚はとっぴにみえるかもしれませんが、『ジュエルペットサンシャイン』を見た人はわかるはずです。「ヤギキタ! これは神でしかない」ってやつですね。深夜アニメで例えるなら、『ラブライブ!』のアルパカとか、『ソメラちゃん』の「メヌースー」のヤバさと言えばわかるかもしれません。
     『ジュエルペットサンシャイン』の稲垣隆行監督はすばらしいですね。深夜アニメでも、この人は音響をやっている人なので、水島努さんとかと同じような良さがあります……『ジュエルペット』もサンリオキャラクターとして一定の安定した需要があったところに、アニメで好き勝手に展開してもかまわないという形をとっていました。つまり、先ほど挙げた超合金マイメロとか、一連のハローキティコラボレーションのように、仕事を選ばない系のひとつとして『ジュエルペット』があったんですね。アニメがキャラのイメージを腹黒にしてしまったりしても、さほど気にしないというあり方です。
     その典型としては、沢城みゆきさんが演じている赤ちゃんシロクマ「ラブラ」のクズっぷりが挙げられます。なお、『ジュエルペット』シリーズは、沢城みゆきさんが何役も同時にこなしているところも注目ポイントで、赤ちゃんから少年少女、おばあさんと恐るべき幅の広さをみせています。稲垣監督の深夜アニメでは『聖剣使いの禁呪詠唱(ワールドブレイク)』も、作画リソースの乏しさをネタに昇華していて、かなり笑えるラノベアニメでした。といっても音響の面ではきっちり作られています。
     ただ、稲垣監督が手がけた『空戦魔導士候補生の教官』は、ちょっとイマイチなんですが、ロゴが素晴らしいので見てください。ロゴがどこぞの『とある科学の超電磁砲』みたいなロゴなんですけど、「お、英語かな?」と思って見ると「KUSEN-MADOUSHI-KOUHOSEI NO KYOUKAN」ってローマ字なんですよね。

    ▲『空戦魔導士候補生の教官』公式サイトより

    ▲タイトル部分の拡大図
     タイトルがいちばんシュールかもしれない。本編は残念ながら『ワルブレ』に比べると貧窮なんですけど、それでも大量のオブジェクトを主人公が剣で切りまくっているオープニング映像が、昔のゲーム「スペースハリアーかな?」という感じなんですね。3DCGを使わずに2Dで無理やり3次元を実現したような、昔のゲームのような空間を飛び回りながら、剣で斬りかかるところをみると、私なんかはちょっとアツくなるんですけど、それだけですかね。ちょっとパワーが落ちますね。
    ■シュール系コメディのひとつの理想は森脇真琴監督作品にある
     というわけで、加藤陽一さん、稲垣さんと挙げてきましたが、次にその集大成として、『プリパラ』の森脇真琴監督作品について考えたいと思います。大好評の『プリパラ』ですが、その前作「プリティーリズム」シリーズのほうが好きだという人もいるかもしれません。たしかに、『レインボーライブ』のりんねちゃんとか、ライバルとの和解展開とかは本当にアツかったので、私も過去に「定点観測」でまとめて語ったことがあります。要するにいい感じにドラマティックなんですね。近年の女児アニメとしては珍しく、男女の恋愛要素もかなり含まれていました。ここからは、男性アイドルグループを独立させた『キンプリ』も派生コンテンツとして生まれていて、そのぶっ飛んだ世界がかなり話題になっているので、今後が楽しみです。それに比べると『プリパラ』は初期はメロドラマ要素が少なめで、それは男性キャラが少ないからですね。とはいえ、一年目はファルル、二年目はひびきにかかわるシナリオでは、要所要所でドラマティックな展開も入っており、「プリティーリズム」の末裔としての性格もあります。

    ▲映画『KING OF PRISM by PrettyRhythm』(略称:キンプリ)公式サイトより。女児向けアーケードゲーム原作のTVアニメ「プリティーリズム」シリーズに登場した3人の男性キャラのサイドストーリーを描く。応援上映(ペンライト・サイリウムなどの応援グッズの持ち込みや声出しが可能)なども開催され注目を集めている。

    ▲『プリパラ』アニメ公式サイトより(※以後、『プリパラ』の登場人物については公式サイトのキャラクター紹介をご参照ください)
     私は森脇真琴監督の大ファンで、今回のメインテーマといってもいいんですが、中でも、ぜひ『おるちゅばんエビちゅ』を観てほしいと思っています。森脇真琴はこれが監督デビュー作なんですね。今世紀に入ってからかなり女性のアニメ監督が増えましたが、その先駆者のひとりといえる側面もあります。『おるちゅばんエビちゅ』は何がすごいって……三石琴乃さんがハムスターのエビちゅ役をやっているんですが、飼い主「ご主人ちゃま」の性生活を観察したり、女性器の名称をばんばん言いまくったりするハイテンションな下ネタアニメなんですね。しかも『とっとこハム太郎』がアニメ化される前なんです。つまり「汚いハム太郎」の方が先行していたわけです。『おるちゅばんエビちゅ』は原作者伊藤理佐の代表作でもありますが、なにしろWikipediaを検索すると「警告:この項目には性的な表現や記述が含まれます。免責事項もお読みください。」って書いてありますからね(笑)。要するにエロ4コマの世界をアニメ化したわけですね。企画:庵野秀明、監督:森脇真琴なんですね。これは隠れたガイナックスの神アニメですね。

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