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記事 22件
  • 月曜ナビゲーター・宇野常寛 J-WAVE「THE HANGOUT」2月22日放送書き起こし! ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.530 ☆

    2016-02-29 17:00  
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    月曜ナビゲーター・宇野常寛J-WAVE「THE HANGOUT」2月22日放送書き起こし!
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.2.29 vol.530
    http://wakusei2nd.com


    大好評放送中! 宇野常寛がナビゲーターをつとめるJ-WAVE「THE HANGOUT」月曜日。前週分のラジオ書き起こしダイジェストをお届けします!

    ▲先週の放送は、こちらからお聴きいただけます!
    ■オープニングトーク
    宇野 時刻は午後11時30分を回りました。みなさんこんばんは、宇野常寛です。今はじめて告白するんですけれど、じつは僕、この週末ぶっ倒れていました。すっごい熱出して寝込んでいたんですよ。僕は意外と体が丈夫で風邪もめったにひかない人なので、熱出して何日も寝込むのってすごくひさしぶりなんですよね。この番組の放送後にやっているニコニコ生放送の延長戦を観てくれてる人は知っていると思うんですが、先週の放送が終わったときから若干具合が悪かったんですよね。たぶん、そのときゲストに来てくれていた横山由依ちゃんの熱い視線と、彼女が体現する絶対的な美のオーラに僕の老いた肉体が耐えられなかったんだと思うんです。横山由依ちゃんという絶対的な価値が1メートルくらい先にあったわけですよね。それを前にして、僕の肉体という現世における仮初めの、相対的な存在がもろくも崩れ去ったと思っています。これはたぶん間違いないです。
    まあ、それはともかくこれはまずいなと思って、翌日の火曜日にすぐ病院に行って1日寝ていたんですよ。それで水曜には、けっこう元気になったかなと感じて、木曜の朝に「スッキリ」に出たんです。でも収録が終わって帰ってきたら、めちゃくちゃぶり返してきて。もう立ってられないぐらいフラフラするので、体温を計ったら38度6分もあったんですね。「平清盛が死ぬ直前ってこんな感じだったのかな」と思ったぐらい、もう全身が熱いんですよ。それで、これは本格的に寝込まないとダメだなと思って、近所のコンビニに向かったんですが、もう胃のテンション的にとても固形物を入れられる状態じゃなかったので、飲料コーナーに行って大塚製薬のポカリスウェットイオンウォーターっていう電解質成分に特化したあの、ちょっと水色のラベルのやつをガーッとカゴに入れて、バナナとヨーグルトを同じようにあるだけ買い占める勢いでもうひとつのカゴに入れて、レジにドンと積んだんですよ。

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  • 脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第14回「男と男3」【毎月末配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.529 ☆

    2016-02-29 07:00  
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    脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第14回「男と男3」【毎月末配信】 
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.2.29 vol.529
    http://wakusei2nd.com


    今朝のメルマガは平成仮面ライダーシリーズの脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』第14回です。井上青年とジョセフィーヌ(仮名)のカップルを破局に追いやった、映画プロデューサーSのとんでもない仕打ちとは……?

    【発売中!】井上敏樹 新作小説『月神』(朝日新聞出版)
    ▼内容紹介(Amazonより)
    「仮面ライダーアギト」「仮面ライダー555」をはじめ、
    平成ライダーシリーズの名作を送り出した脚本家による、
    荒唐無稽な世界を多彩な文体で描き出す、異形のエンターテインメイント! 
    (Amazonでのご購入はこちらから!)
    PLANETSチャンネル会員限定!入会すると視聴できる井上敏樹関連動画一覧です。
    (動画1)井上敏樹先生、そして超光戦士シャンゼリオン/仮面ライダー王蛇こと萩野崇さんが出演!(2014年6月放送)
    【前編】「岸本みゆきのミルキー・ナイトクラブ vol.1」井上敏樹×萩野崇×岸本みゆき
    【後編】「岸本みゆきのミルキー・ナイトクラブ vol.1」井上敏樹×萩野崇×岸本みゆき
    (動画2)井上敏樹先生を語るニコ生も、かつて行なわれています……!仮面ライダーカイザこと村上幸平さんも出演!(2014年2月放送)
    【前編】「愛と欲望の井上敏樹――絶対的な存在とその美学について」村上幸平×岸本みゆき×宇野常寛
    【後編】「愛と欲望の井上敏樹――絶対的な存在とその美学について」村上幸平×岸本みゆき×宇野常寛
    (動画3)井上敏樹先生脚本の「仮面ライダーキバ」「衝撃ゴウライガン!!」など出演の俳優、山本匠馬さんが登場したニコ生です。(2015年7月放送)
    俳優・山本匠馬さんの素顔に迫る! 「饒舌のキャストオフ・ヒーローズ vol.1」
    (動画4)『月神』発売を記念し行われた、敏樹先生のアトリエでの料理ニコ生です!(2015年11月放送)
    井上敏樹、その魂の料理を生中継!  小説『月神』刊行記念「帝王の食卓――美しき男たちと美食の夕べ」
    ■井上敏樹先生が表紙の題字を手がけた切通理作×宇野常寛『いま昭和仮面ライダーを問い直す』もAmazon Kindle Storeで好評発売中!(Amazonサイトへ飛びます)
    これまでPLANETSチャンネルのメルマガで連載してきた、井上敏樹先生によるエッセイ連載『男と×××』の記事一覧はこちらから。(※メルマガ記事は、配信時点で未入会の方は単品課金でのご購入となります) 
    ▼執筆者プロフィール
    井上敏樹(いのうえ・としき)
    1959年埼玉県生まれ。大学在学中の81年にテレビアニメの脚本家としてのキャリアをスタートさせる。その後、アニメや特撮で数々の作品を執筆。『鳥人戦隊ジェットマン』『超光戦士シャンゼリオン』などのほか、『仮面ライダーアギト』『仮面ライダー龍騎』『仮面ライダー555』『仮面ライダー響鬼』『仮面ライダーキバ』など、平成仮面ライダーシリーズで活躍。2014年には書き下ろし小説『海の底のピアノ』(朝日新聞出版)を発表。
    男 と 男 3
                井上敏樹
     さて、クラブ通いと焼肉とをこよなく愛する大手映画会社のプロデューサーSの話の続きである。当時、私にはジョセフィーヌ(仮名)なる彼女がいた。そのジョセフィーヌ(仮名)との出会いもSのおかげだった。Sがいつも連れて行ってくれるクラブでホステスのバイトをしていたのである。当時の私は二十代前半、ジョセフィーヌ(仮名)も同じぐらいだったから気が合ったのだろう。私はなんとなく言いだしにくく彼女との付き合いをSには黙っていたのだがちょっとした事でばれてしまった。ジョセフィーヌ(仮名)が水割りを作る際、マドラーでグラスを掻き混ぜる回数が、Sよりも私の方が多いというのである。そんな事でなにが分かる、と言いたい所だが、Sは野獣の勘の持ち主だった。問い詰められた私は白状した。嘘をつかれる事に異常に敏感なSである。この際本当の事を言った方がいい。
    『お前、調子に乗るなよ』とS。『別にお前がモテるわけじゃない。ただ若いから店では珍しいだけだ』
    『はい。分かってます』と私。
     別にジョセフィーヌ(仮名)に気があったわけではないと思うがSは事あるごとに私に絡んだ。
    『お前、今幾ら持ってる?』
    『五千円です』
    『ぴったりか?』
    『四千八百円です』
    『そうだろう。大雑把に答えるな。大体お前は雑なんだよ。脚本も雑だ。神経が行き届いていない』
    『………………』
    『そんなお前がジョセフィーヌ(仮名)と付き合えるのは誰のおかげだ?』
    『Sさんのおかげです』
    『様だ』
    『S様のおかげです』
    『大体女を口説きたければ自分の金で飲みに行け。人の金で女作りやがって。お前はおれの金で女を口説いた。つまりおれの金を盗んだと同じだ。言い方を変えればジョセフィーヌ(仮名)はおれの女だ』
    『………………』
    『それにな、おれにこんな事を言わせるお前が気に食わない。まるでおれの器が小さいみたいじゃないか』
    『いえ、そんな事は………』
    『いや。お前はおれをケチで器の小さい嫌な男だと思っている。そうだな』
    『決してそんな………』
    『おれには分かるんだよ。け。飼い犬に手を噛まれたようなもんだ』
     Sは絡み方もSらしい。
     そんなある日、突然、Sが私の家に現れた。

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  • アニメーションは日本の戦後をどう描いたか──「理想」と「虚構」の時代の終焉と、ロボットアニメが描いたもの・前編(宇野常寛の対話と講義録)【毎週金曜日配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.528 ☆

    2016-02-26 07:00  
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    アニメーションは日本の戦後をどう描いたか──「理想」と「虚構」の時代の終焉と、ロボットアニメが描いたもの・前編(宇野常寛の対話と講義録)【毎週金曜日配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.2.26 vol.528
    http://wakusei2nd.com


    今朝の「宇野常寛の対話と講義録」では、宇野常寛の講義の内容をお送りします。テーマは戦後日本とアニメーションです。アメリカから輸入された技法をローカライズする過程で生まれた日本独自のサブカルチャーについて、ロボットアニメを題材に読み解きます。
    毎週金曜配信中! 「宇野常寛の対話と講義録」配信記事一覧はこちらのリンクから。
    ■ 戦後サブカルチャーの変遷
     今日の授業のテーマは、「戦後のアニメーションは何を描いてきたか」です。今となってはニュアンスを伝えることが難しいのですが、かつて、若者のサブカルチャーについて語ることは、なによりまず「音楽」について語ることと同義でした。まず欧米圏のジャズやポップスがサブカルチャーの中心にあって、その周辺に国内の音楽や演劇といった周辺のジャンルがあった。しかし今、国内でサブカルチャーといえば、アニメやボーカロイド、ニコニコ動画などの国内のオタク系ネットカルチャーを想像する人が多いと思います。この傾向は、ここ15年から20年くらいの間に生まれたものです。僕が思春期の頃は、もうちょっとオシャレな文化がサブカルチャーの中心でした。一応、アニメや漫画も含まれてはいましたが、メインはやはりあくまで音楽や演劇です。映画は昔からメインカルチャーとサブカルチャーの中間にありましたが、その中でも若者向けのジャンクな映画が、ぎりぎりサブカルチャーに属している、という状況でした。
     それが90年代後半から2000年代初頭になると、日本のアニメが「ジャパニメーション」と呼ばれて海外で流行っているらしいということに日本人が気付くわけです。あまり好きな言葉ではありませんが「クールジャパン」という呼称も生まれ、メディアで報道される機会も多くなりました。
     さらに、屈託なくアニメや漫画を好きと言える人が増えました。以前はアニメや漫画が好きというだけで、クラスの中で「何だコイツ」という目で見られていたのが、僕の5歳〜10歳くらい下の世代では「普通じゃん」と思われるようになりました。
     その結果、いつしかサブカルチャーの中心は、音楽や演劇からアニメや漫画になりました。そういった変化を背景にして、僕のような人間が、若者向けサブカルチャーを語る評論家として世に出てきたという歴史があります。
    ■ アメリカ発祥の双子──自動車と映像
      以上のように、サブカルチャーと言ってもいろいろあるわけですが、今回、なぜアニメにこだわって授業をするのかというと、アニメを語ることによって戦後日本の社会をきちんと語れるのではないか、と考えているからです。
      戦後の70年間で、日本が世界への輸出に成功した二大巨頭が「アニメ」と「日本車」です。戦後日本が、「ものづくり」の分野で成功したのが自動車なら、文化的側面での成功を象徴するのがアニメであるとも言えます。
      現在においても、自動車が日本の製造業の代表であることに異論を挟む人はいないでしょう。日本にはトヨタという世界的な巨大企業がありますし、ここに入社すれば一生安泰と考えている人も多いでしょう。それに対してアニメは、50代以上の世代からはいまだに「え、アニメ?」みたいな扱いを受けがちですし、海外での日本アニメの人気も、一部のマニア層に支持されているに過ぎず、自動車と比べるとまだまだ成功しているとは言えません。
     しかし、この両者は非常によく似た存在だと言えます。まず、どちらもアメリカ文化のローカライズです。最初に車が発明されたのはヨーロッパですが、人々の日常の足として普及したのはアメリカです。つまり、自動車文化とはもともとはアメリカ文化なのです。アメリカは国土が広く、自動車がないと生活できない地域も多いですからね。
      それが日本に入ってきたことで別物に進化します。あまりかっこよくはないけれど、燃費がよくて使いやすい、明らかにアメリカの車とは別の思想に基づいて作られた自動車。この「日本車」は、1980年代に世界中を席巻します。
      1985年公開の映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』では、主人公のマーティ・マクフライが1955年にタイムスリップして、当時のアメリカ人に「日本製が一番だよ!」と言うシーンがありますが、それを聞いた1955年のアメリカ人は驚いて信じようとしません。当時の日本製品は粗悪品の象徴とされていました。それが、わずか30年で劇的な進化を遂げ、世界中を席巻するようになった。その象徴と言えるのが日本車でした。
     アニメについても同様です。アニメーションの大衆化に成功した米国のウォルト・ディズニーに憧れた手塚治虫から、日本のアニメの歴史は始まります。既に漫画家として名を成していた手塚は制作会社を設立し、『鉄腕アトム』を皮切りに、国産アニメーションの製作に着手します。

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  • これから映画はオペラ・歌舞伎化していく――『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が示す「自己参照の時代」の到来(森直人×宇野常寛)【月刊カルチャー時評 毎月第4水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.526 ☆

    2016-02-24 07:00  
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    これから映画はオペラ・歌舞伎化していく――『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が示す「自己参照の時代」の到来(森直人×宇野常寛)【月刊カルチャー時評 毎月第4水曜配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.2.24 vol.526
    http://wakusei2nd.com


    今朝のメルマガは、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』をめぐる森直人さんと宇野常寛の対談をお届けします。J.J.エイブラムス監督の手による本作の「出来の良さ」から見えてくる、映画を中心とした映像文化の変容とは?(初出:「サイゾー」2016年2月号(サイゾー))

    (出典)公式サイト
    ▼作品紹介
    『スター・ウォーズ/ フォースの覚醒』
    監督/J.J.エイブラムス 脚本/J.J.エイブラムス、ローレンス・カスダンほか 出演/ハリソン・フォード、マーク・ハミル、デイジー・リドリーほか 配給/ウォルト・ディズニー・モーション・ピクチャーズ 公開/15年12月18日
    エピソード6で描かれたエンドアの戦いから30年後が舞台。姿を消したルーク・スカイウォーカーを探しながら、レイアたちはレジスタンスを結成して銀河帝国の残党「ファースト・オーダー」と戦っていた。砂漠の惑星に住む少女レイは、レジスタンスのメンバーがルークの所在地図を託したBB-8と出会い、その戦いに参加してゆく。途中、ファースト・オーダーから逃げ出したストームトルーパーのひとりフィンとも行動を共にすることになる。エピソード4~6の旧三部作、1~3の新三部作に次ぐ新たな章の幕開けとなるエピソード7。
    ▼対談者プロフィール
    森 直人(もり・なおと)
    1971年生まれ。ライター/映画評論家。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、共著に『ゼロ年代プラスの映画』(河出書房新社)など。
    『月刊カルチャー時評』過去の配信記事一覧はこちらのリンクから。
    【お知らせ】本メルマガで『現代アニメ史講義』を連載中の批評家・石岡良治さんが月イチのレギュラーニコ生番組「石岡良治の最強☆自宅警備塾」でスター・ウォーズを語ります! 『フォースの覚醒』から放映中の最新アニメシリーズ『反乱者たち』、その他スピンオフまで幅広く扱います。今週木曜放送予定。番組ページはこちらから。
    宇野 僕は全然『スター・ウォーズ』マニアではないんですよ。さらに言うと、J.J.エイブラムス【1】も世間ほど高く評価していなかった。『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(13年)がそうだったように、脚本のギミックで勝負しようとする作品が多くて、どうにも小賢しく感じていた。映画的な快楽を全然信じていないし使えない人なんだな、と。唯一好きだったのが『SUPER8/スーパーエイト』【2】で、あの作品に現れていた、映画史的なものに対するノスタルジックな視線のほうが、エイブラムスのオタク性が有効に働くと思っていた。今回も彼の二次創作作家としての才能がプラスに働いたんじゃないか。こんなこと言ったらファンに怒られるかもしれないけれど、単純に1本の映画として観た時、シリーズ全7作の中で一番「出来が」いいと思う。これはこれで褒め言葉に聞こえないかもしれないけど(笑)。

    【1】 J.J.エイブラムス:1966年アメリカ生まれ。高校・大学時代から映画音楽や脚本に携わり、98年に『アルマゲドン』の脚本に参加。2000年代は『エイリアス』や『LOST』など人気テレビドラマシリーズの脚本を手がけ、05年には『ミッション:インポッシブルⅢ』、その後『スター・トレック』等の監督を務める。
    【2】『SUPER8/スーパーエイト』:監督・脚本/J.J.エイブラムス製作/スティーヴン・スピルバーグほか 公開年/11年
    79年、オハイオ州で自主制作のゾンビ映画を撮ろうとしていた少年たちは、夜中に線路で貨物列車の炎上事故を偶然撮影する。貨物に積まれていたのは宇宙人であり、彼らの周囲と街全体は恐慌に陥ることに。スピルバーグ監修、エイブラムス監督による『未知との遭遇』『E.T.』へのオマージュ的作品とされる。

    森 僕も感想をひと言でまとめるなら「すごく上手」に尽きる。まったくストレスを感じずに楽しみました。とはいえ基本的にそれは想定内で、もしルーカスが監督するんだったら「今度は何をしでかすのか?」と皆ドキドキしていたと思うんですけど(笑)、J.J.がやるとなった時、誰もがある程度安心したんじゃないかな。宇野さんのおっしゃることもよくわかるんですけど、J.J.に対する世間の評価は『スター・トレック』のリブートを優等生的に成立させた時点でかなり固定したと思うので、今回も確実に80点を取ることは予想できていた。でもエピソード7は「無難以上の出来」だったと思う。
    宇野 きっちり現代風にアップデートされていましたね。今初期三部作を観ると、恥ずかしくなるくらいストレートに、少年の社会化の物語から始まって父殺しの神話に接続していくというのをやっている。それが今回は、物語構造はほぼエピソード4を踏襲し、主人公格を黒人の青年と若い女の子に分散していて、政治的な配慮と共感のアイコンの分散として非常にうまく機能していた。キャラクター消費として旧来のファンの欲望を満たしつつ、現代の新しい神話として再提示するという役割を果たしていた。その時点でこの映画は、我々の期待しているものをクリアしていたと思う。
     もともと『スター・ウォーズ』って、ストーリーは省略が多くて繋がっていないし、ドラマ性もとってつけたような薄っぺらさがあって、脚本・演出共に出来がいいとは言いがたかった。でも発想が新しくてエポックメイキングだからそれでいい、というものだったと思う。新三部作(エピソード1~3)は逆に、現代の技術で世界観を拡張することが望まれていたにもかかわらず、旧三部作と同じテンションで展開されてしまったためにどこか焦点がぼやけていたように思う。今回はその反省から、しっかりとマーケットの要請を押さえていましたよね。加えて、単純に現在の技術で『スター・ウォーズ』をしっかりやると、絵面はそんなに変わらないのにものすごくレベルアップしている。その快楽と、ヒロインの女優がものすごくいいというプラスアルファがあった。まさかエイブラムスの撮った『スター・ウォーズ』で、普通に役者がいいと思うなんてことがあると思っていなかった(笑)。ただ、往年の『スターウォーズ』ファンはこういう「過不足のないつくり」はすごく嫌がるかもしれませんね。まったく「らしくない」とも言えるので。
    森 ルーカスは ILM【3】を立ち上げただけあって、デジタルジャンキーな側面があるでしょう。そのせいで新三部作はVFXの進化の過渡期をそのまま表していた。特にエピソード1『ファントム・メナス』(99年)はまだデジタルとフィルム撮影が交じっていて、どこか映像の実験に走っている印象です。でも今作は、シリーズで初めて3Dカメラで撮られたものなんだけど、同時に「旧三部作への回帰」がテーマにあって、映像もアナログの特撮と最新のCGを絶妙に組み合わせている。役者も活きているし、模型フェチ心をくすぐる物質感もあって、最適解と言っていいほどバランスがいい。観賞後は思わずトミカのおもちゃとか買っちゃいますよね(笑)。
     J.J.は66年生まれで、エピソード4(77年)をリアルタイムで観ている世代。つまり『スター・ウォーズ』は彼の文化的原体験のひとつです。だからファン目線で批評的に作ることができていて、オールドファンの欲望のツボを突いてくるし、同時にビギナーも感染させる力がある。物語の途中から観てもハマるようにできているのは、J.J.がテレビドラマの仕事で培った話法が大きいのかもしれませんね。
     『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15年)について対談した際に宇野さんは、15年は大作シリーズのリメイクやリブートが多くて、20世紀生まれのキャラクターを消費する段階に入っているという話をされてました。それはさらに進んで、20世紀のキャラクターやコンテンツを21世紀の技術で強化するやり方が本流になりつつある。そういう意味で今作は、破天荒な天才オリジネーターより、“使えるヤツ”的な最優秀フォロワーが重宝されがちな時代の象徴的な成功作であり、J.J.はフォロワータイプの代表選手だと明らかにしたんじゃないかな。

    【3】ILM:ルーカスが立ち上げた特殊効果・VFXのスタジオ。「インダストリアル・ライト&マジック」の略。ルーカスフィルム買収により、現在はディズニー傘下にある。

    宇野 今回、エピソード7への評価とは別に、このSW現象を見ていて、僕らの映画に対する欲望自体の変化を感じた。実際、エピソード7を観てそこそこ満足している自分を顧みたときに、映画に対する欲望がオペラに対するもののようになってしまっているんですよね。映画というのは究極的には20世紀のもので、特に大衆娯楽映画をグローバルに拡大する動きは戦後のものだった。そして今、グローバルな映像産業においては、20世紀のビッグタイトルを温め直す娯楽が興行の中心に来ている。もちろんそうでない映像産業はローカルかつミニマムに移っていくんだけど、少なくともハリウッドはそうなってしまっている。結果、ある程度の規模以上のグローバルな映画はオペラや歌舞伎のように、20世紀のノスタルジーで駆動する名作への二次創作的なアプローチとして、再解釈の精度とユニークさを競う自己参照の時代になっていくんだと思う。

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  • 落合陽一自身が読み解く『魔法の世紀』 第1回「魔法の世紀」のためのコンピュータ史(毎月第4火曜配信『魔法使いの研究室』) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.525 ☆

    2016-02-23 07:00  
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    落合陽一自身が読み解く『魔法の世紀』第1回「魔法の世紀」のためのコンピュータ史(毎月第4火曜配信『魔法使いの研究室』)
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.2.23 vol.525
    http://wakusei2nd.com


    今月から『魔法の世紀』を落合陽一さん自らが読み解く自著解説が始まります。今回は「第1章 魔法をひもとくコンピュータヒストリー」です。クロード・シャノンやバネーバー・ブッシュといった、『魔法の世紀』では簡単にしか触れられなかった科学者たちの知られざる業績。さらに『魔法の世紀』に大きな影響を与えた、暦本純一氏や石井裕氏といった日本人研究者についても紹介します。
    ▼『魔法の世紀』第一章の紹介
    「第1章 魔法をひもとくコンピュータヒストリー」では、第二次大戦末期に誕生したコンピュータの歴史を追いかけます。1960年代に「究極のディスプレイ」を考案したアイバン・サザランドと、その4人の弟子たち(アラン・ケイ、ジェームズ・クラーク、ジョン・ワーノック、エド・キャットムル)の活躍。さらに1990年代にマーク・ワイザーが提唱した「ユビキタスコンピューティング」の概念を経た後で、サザランドが夢見たコンピュータが物理世界をコントロールする世界、つまり「魔法の世紀」へと至る必然性について論じています。

    【発売中!】落合陽一著『魔法の世紀』(PLANETS)
    ☆「映像の世紀」から「魔法の世紀」へ。研究者にしてメディアアーティストの落合さんが、この世界の変化の本質を、テクノロジーとアートの両面から語ります。
    (紙)http://goo.gl/dPFJ2B/(電子)http://goo.gl/7Yg0kH
    取り扱い書店リストはこちらから。http://wakusei2nd.com/series/2707#list
    ▼プロフィール
    落合陽一(おちあい・よういち)
    1987年東京生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程を飛び級で修了し、2015年より筑波大学に着任。コンピュータとアナログなテクノロジーを組み合わせ、新しい作品を次々と生み出し「現代の魔法使い」と称される。研究室ではデジタルとアナログ、リアルとバーチャルの区別を越えた新たな人間と計算機の関係性である「デジタルネイチャー」を目指し研究に従事している。
    音響浮揚の計算機制御によるグラフィクス形成技術「ピクシーダスト」が経済産業省「Innovative Technologies賞」受賞,その他国内外で受賞多数。
    『魔法の世紀』という本は、技術論からプラットフォーム、マーケティングの話までを含めて、デザインとコンピュータがどうやって進歩してきたのかを抽象的にまとめた本でした。そこで、まずは簡単に「映像」の復習から始めましょう。

    『魔法の世紀』における「映像」の概念は「皆で同じものを見る道具だ」ということにあります。
    そもそも最初の“映像装置”と言われる、エジソンが作ったキネトスコープは中にサナダムシみたいなフィルムが入っていて、それを一人の人間が覗きこむだけの道具でした。ところが、リュミエール兄弟の作ったシネマトグラフは違います。光源を焚いてクルクル回して、皆で見るものでした。
     
    商売として強かったのは、シネマトグラフのほうです。キネトスコープは、いわば観光名所にある望遠鏡のようなビジネスモデルで、サロンの片隅などに置いてありました。しかし、シネマトグラフは構造上、暗い部屋に複数人が集まって、身動きがとれない状態になりながらも、同じ映像を共有して、集中して見るような装置として現れたのでした。興行と結びつくことで、シネマトグラフは大きく発展していきました。
     
    ここからわかるのは、シネマトグラフがキネトスコープに勝ったのは、単なるコストの問題でしかなかったのです。シネマトグラフは当時の資本主義市場において優位性のある発想でした。
    実際のところ、現在のデジタルファブリケーションの技術であれば、キネトスコープの発想は決して悪いものではありません。現代人はスマホで各々違った映像を見ているわけで、キネトスコープに二つレンズをくっつけてスマホで見たら、最近話題のOculus Riftそのものです。
     
    すでに現在の我々は、テレビを見ている時間よりも、スマホで各々の世界に入っている時間のほうが長かったりするわけです。つまり、キネトスコープ的なメディアの方にお金を落としているわけです。でも、当時の技術ではそれは不可能でした。
     
    ここからは、この「映像」とは違った、21世紀の「魔法」を実現するコンピュータ開発の歴史の話をしていきます。この連載では『魔法の世紀』ではあまり語ってこなかった人たちに絞り込んで紹介しようと思います。
     
     
    クロード・シャノン~コンピュータにおける“アインシュタイン”
    そもそもコンピュータは、いつ生まれたのでしょうか。
    そこで一つ重要になるのが、クロード・シャノンという人物です。

    イケメンですね。このクロード・シャノンという人が、コンピュータの研究において一番偉い学者だと思ってください。物理学の世界で言えば相対性理論のアインシュタインのようなものです。
     
    なぜかといえば、彼は電気回路のスイッチをブール代数の演算で解けると提唱したからです。ブール代数というのは、スイッチが開いている状態を0、閉じている状態を1として、未知の値で真偽の演算をするための約束事です。彼が1937年頃にこのアイディアを考案するまで、計算機はアナログな歯車の組み合わせで動いていました。
    ここで彼が行ったのは、いわば効率的に数字を記録して計算をするための方法です。例えば、言葉を数字に置き換えたとして、歯車ではさほど多くの表現はできません。しかし、電気回路を用いれば、0と1の二進法で数字を表現できます。桁数を増やしたければスイッチの数を増やせばいいし、0から1への変換も単に電圧をかけるだけで表現できてしまいます。何よりも、電気が通っているか通っていないかというシンプルな表現なので、情報にエラーが出にくいのです。
    この論文「継電器及び開閉回路の記号的解析」はシャノンの修士論文であり、この時期から、電気回路を使った計算はメジャーなトレンドになっていくのではないかと注目されるようになりました。
    この時点でシャノンはまだ23歳です。以降、彼はひたすらコンピュータの基礎を作っていきました。その後、彼がベル研究所にいたとき書いた論文が「通信の数学的理論」で、これをきっかけに「情報理論」という学問分野が確立されました。
     
    少し歴史をさかのぼって考えてみましょう。
    人間が情報を体系的に記録して集め、それをやり取りするようになったのは、アレキサンドリアの図書館の頃のことです。巻物を並べて、その上に書いてある文字列、つまりプロトコルでやり取りをしていたのですが、かさばるし、なかなかに不便です。紙が西洋に伝来してからはそこそこ使いやすくなりましたが。
     
    当時のメディアはパピルスなんですが、あれは最低で、湿気るとすぐ壊れるんですね。自分で作ってみると分かりますが、本当に適当なものです。パピルスという植物をギュッとつぶして、それを乾かしておく。すると、発酵して糊みたいにベチャっとくっつくんですね。そうすると表側だけは平らになるわけですよ。裏側はボコボコしてて何も書けないんですけどね。
    こういう感じで、片面筆記しかできないわ、草をひっつけてるだけだからビリって破けちゃうわで、実に厄介です。それでも図書館が生まれて、大量の情報が蓄積されるといいことがある、ということはわかってきたんです。
     

    結局、シャノンが出てくるまでは圧倒的に物理世界に情報量がありました。しかも、アナログで記録されているから、年々劣化していく。グレースケールだったらどんどん濃度が下がっていくし、パピルスだったら破けちゃうかもしれない。
    でも、0・1のデジタルデータとして保存されていれば、いわば穴が開いてるか開いてないかだけで判断するようなもので、文字が擦れたりすることはない。二値でしか記録しないということは、情報として強いんですよ。記録媒体が発明されるのはもっと後ですが、ここから徐々に物理世界にあった情報が計算機データに向かって流れていきます。
     
    その流れが本格的に来たのは1970年頃ですね。最初に話したリュミエール兄弟が映像を発明した頃から、ちょうど一世代くらい後です。当時20歳くらいで結婚した人の孫くらいの世代ですね。万博で映画を見ていた人の子どもが、第二次世界大戦に行って戦い、その下くらいの世代がコンピュータが当たり前の世の中を生きることになったわけですね。
     
    バネーバー・ブッシュ~後世に影響を与えたメメックス
     
    さて、次に取り上げたいのがバネーバー・ブッシュです。
    『魔法の世紀』では、彼の「メメックス」は簡単にしか取り上げませんでしたが、とても重要です。

    (引用元:http://www2s.biglobe.ne.jp/~cedar/root/edu/ala/history/MEMEX0L.jpg)
     
    1945年に「As We May Think」という論文をブッシュは書きました。彼が論じたのは、おでこにクルミくらいの大きさのカメラを付けることで、人間が作業したカードや帳簿の情報を自動的に記録していくシステムです。そこでは音声入力のタイプライター、さらには人間の脳神経に直接情報を伝達するアイディアまで出てきます。しかし、当時としてはあまりに先進的すぎる内容であり、またブッシュ自身も頭の固い人だったこともあって、「バネ―バー」の名は「技術に関する長期的な予測が外れる」という意味のスラングとして、科学者の間で使われたりもしました。
    でも、バネーバー・ブッシュに影響された人は本当に多いのです。
    この1940年代の時点で、コンピュータが登場して、情報のタグ付けやハイパーテキストが重要になり、情報を脳に直接的に出力できるようになるという発想はすでにあったんですね。ですから、現在もその概念に囚われているのは発想が貧困だと思います。僕としては、コンピュータで脳に情報を直接出力するよりも、もっと面白いことができるのが今の時代だと思います。
     
    ここで重要になるのが、バネーバーの「メメックス」です。
    そこで彼は、記憶と記憶をひも付けて、情報の出力と人間の関係性をどう作っていくかを考えました。当時から、どうも情報はほかの情報とひも付きたがるし、またひも付いてこそ初めて人間にとって使えるものになるということもうっすらとわかっていました。
     
    この考え方は、ハイパーテキストの概念に結びつきます。
    ウェブページのクリックを飛んで、サイトを次々に見ていくあの発想ですね。リンクによって情報をひも付けておくことでと、今までにないような情報操作環境を作ることができるわけです。この技術は、情報が爆発的に増えて全体を見通せる人がいなくなったとき、ひも付けた状態で置いておかないと必要な情報の発見が難しくなることから、インターネットの基礎技術として広く普及して現在に至ります。
     Googleのページランクはこの考え方にほぼ等しいものです。
    80年代までは、論文の後ろに引用やリファレンスをつくって、Googleのページランクと同じ仕組みを人力で図書館の人間たちが研究していました。トムソン・ロイターが発表する、論文の引用ランキングなんかもそうやっていて、ウェブにその考え方を応用したのがページランクです。
    実際のところ、僕は一時期、首からカメラを下げて30秒に1回くらい写真を撮る生活をしていたのですが、そうやって大量のライフログを画像で記録したときに、どう重み付けの計算をしていくのかはかなり重要です。情報同士をいかにひも付けて整理するかは、現在でも重要な問題であり続けています。 
     
    ダグラス・エンゲルバート~現在のコンピュータの原型の発明
     
    さて、次は一気に時間を飛ばして、ダグラス・エンゲルバートの話をします。
    ニコニコ生放送のようなテレコミュニケーション・システムやハイパーテキスト、あるいはマウスやキーボードをしっかりと考えたのがエンゲルバートという人です。
     

     
    例えば、1968年に彼は「NLS(oN-Line System)」というオンラインシステムを作りました。このシステムでは、まず第一にハイパーテキストが実装されています。1945年にバネ―バー・ブッシュがメメックスで考案したアイディアが、20年越しで実装されたというわけです。さらに入力機器としてマウスとキーボードという概念が存在しました。さらにGUI、グラフィカルユーザーインタフェースの走りのようなものまであり、対象をマウスのポインタで指示することができました。つまり、いま我々が使っているコンピュータの原形がここにあるわけです。
     
    ちなみに、僕の前の指導教官は暦本純一先生ですが、彼はiPhoneの入力にも使われているマルチタッチ技術を発明しています。当時のことを暦本先生に聞いたら、「あまりに自然だったので、たぶんこっちになるような気がしました」と言っていて、とても面白かったです。
    そのとき、彼は「ポインタがすごく変な感じがした」とも言っていました。というのも人間の指は10本あるのに、それを1本に集約して対象をぐりぐり動かすのがマウスなんですね。「仮想世界に指1本だけを突き立てて、マウスカーソルでモノを動かすって非効率的じゃないですか?」と暦本先生が言っていて、「おお、確かに。頭いいなあ」って思った記憶がありますね。確か僕がM1の頃の思い出です。
     
    人間は「身体性や知能をいかに効率化できるか」「身体とどう最大限にカップリングができるか」という方向でインタフェースを進化させてきました。平面ディスプレイの進化が、マウスのポインタ操作から手でつかむようなマルチタッチに変化していく背景には、そういう流れがあります。

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  • 月曜ナビゲーター・宇野常寛 J-WAVE「THE HANGOUT」2月15日放送書き起こし! ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.524 ☆

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    月曜ナビゲーター・宇野常寛J-WAVE「THE HANGOUT」2月15日放送書き起こし!
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    大好評放送中! 宇野常寛がナビゲーターをつとめるJ-WAVE「THE HANGOUT」月曜日。前週分のラジオ書き起こしダイジェストをお届けします!

    ▲2/15の放送はアーカイブがございません。今夜の放送はこちらからお聴きいただけます!
    ■オープニングトーク
    宇野 時刻は午後11時30分を回りました。みなさんこんばんは、宇野常寛です。週末に用事があって2,3日ほど香港へ行ってきました。これまでにも何度か仕事で行ったことがあるんですが、最後に行ってからはもう3年ぶりぐらいになりますかね。僕が香港に行く度に、むこうでけっこう有名な香港中文大学という大学の社会学者で、張彧暋(チョー・イクマン)っていう、僕の1歳上の先生が仕事のコーディネートをしてくれているんです。彼は僕の本とかを中国語に翻訳してくれていて、同世代の僕の友人にしてアカデミシャンなんです。
    張さんは本当にいい人で香港に行くたびにとても歓迎してくれるんですよ。仕事も世話してくれるし、夜は絶対に歓迎会も開いてくれるしね。その中で大学関係の人も紹介してくれるのだけれど、特にすごいのが張さんのオタク仲間たちなんですよね。僕のことを「日本からオタク文化の専門家が来た」とすごく歓迎してくれるんですよ。彼のオタク仲間は本当に濃いメンツが集まっていて、香港一の模型オタクの人や、アイドルオタクの人で「なんでそんな固有名詞知ってるの?」というくらい僕なんかよりも東京のアイドル事情に詳しい女性のオタクの人がいるんです。他にも「香港のシャア・アズナブル」と呼ばれているガンダムオタクのイケメン俳優の人とかが集まってくれるんです。最初に僕が彼らと交流したのはもう5年前で、香港に行く度に会って、いまではFacebookとかLINEとかでもつながってるんですよ。すっかり顔なじみなんですよね。

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  • ライフスタイル化するランニングとスポーツの未来 『走るひと』編集長・上田唯人×宇野常寛・後編(毎週金曜配信「宇野常寛の対話と講義録」) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.523 ☆

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    ライフスタイル化するランニングとスポーツの未来 『走るひと』編集長・上田唯人×宇野常寛・後編(毎週金曜配信「宇野常寛の対話と講義録」)
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.2.19 vol.523
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    今朝は、雑誌『走るひと』編集長の上田唯人さんと宇野常寛の対談の後編をお届けします。ランニングが持つシンプルさと間口の広さ、「ライフスタイルスポーツ」人口の増加とその背景、そして新しいホワイトカラーの生活とテーマコミュニティ化するランニングの今後について、語りました。(前編はこちら)
    毎週金曜配信中! 「宇野常寛の対話と講義録」配信記事一覧はこちらのリンクから。
    ▼雑誌紹介
    雑誌『走るひと』
    東京をはじめとする都市に広がるランニングシーンを、様々な魅力的な走るひとの姿を通して紹介する雑誌。いま、走るひととはどんなひとなのか。プロのアスリートでもないのになぜ走るのか。距離やタイム、ハウツーありきではなく、走るという行為をフラットに見つめ、数年前とはひとも景色もスタイルも明らかに異なるシーンを捉える。 アーティストやクリエイター、俳優など、各分野で活躍する走るひとたちの、普段とは少し違った表情や、内面から沸き上がる走る理由。もはや走ることとは切っても切れない音楽やファッションなど、僕らを走りたくてしようがなくさせるものたちを紹介。
    待望の第3弾となる『走るひと3』(2016年1月16日発行)は、発売後まもなくAmazonカテゴリー新着「1位」、総合「19位」をつけるなど、大変な好評を博している。
    https://instagram.com/hashiruhito.jp
    https://twitter.com/hashiruhito_jp

    ▼プロフィール
    上田唯人(Yuito Ueda)
    走るひと編集長 / 1milegroup株式会社 Founder CEO。早稲田大学在学中にアップルコンピューター(現Apple Japan)にてipodのプロモーション、上場前のDeNAで新規事業に携わる。卒業後、野村総合研究所に入社、企業再生・マーケティングの戦略コンサルタントとして、主にファッション・小売業界のコンサルティングを行う。その後、スポーツブランド役員としてファイナンス・事業戦略・海外ブランドとの事業提携などを手がける。
    2011年7月、1milegroup株式会社を設立。『走るひと』の前身となるWEBメディア・クリエイティブ組織を立ち上げ、様々なブランドのクリエイティブ、ブランディングプロジェクトを実施。2014年5月、雑誌『走るひと」創刊。
    現在、ひととカルチャーに関わる領域にて様々な制作・メディア事業を手掛ける。
    http://instagram.com/yuito_ueda
    https://twitter.com/yuito_ueda
    ◎構成:望月美樹子
    ■「走ること」の持つシンプルさが間口を広げている
    上田:2020年のスポーツ文化を考える時に、もっとこういう視点で読み解いたらいいのにと思うところや、他のカルチャーから学ぶことはありますか?
    宇野:他のカルチャーから学べることで言うと、エンターテインメントジャンルのノウハウを取り入れることで、スポーツをアップデートできると思うんですね。まさにeスポーツ学会が実践していることです。近代スポーツや近代体育のロジックが画一的な身体観に基づいている一方で、エンターテインメントは個々のプレイヤーの個性や多様性を使って盛り上げていく特性を持っているので、それを取り入れることでスポーツというゲームの更新ができるはずです。
    もう一つはライフスタイルでしょうね。現在のランニング文化の変化は、適度な運動が健康管理の上でポジティブな効果を持つという認識がようやく浸透して、運動がカジュアルなライフスタイルとしてしっかり根付いてきた結果ですよね。その中で、身体を動かすことを含んだ生活を、多様性を帯びつつどうポジティブに見せていくのかということです。運動することが特別ではなくなるのが大事だし、勝手に変わっていくとも思います。
    上田:これまで取材をしてきた中で、面白いと思っているのが、ロックバンドのアーティストにめちゃめちゃ走る傾向があることなんです。特に、ボーカルとドラムの人がすごく走っているんですよ。
    宇野:へえー。ギターやベースのひとはあんまり走らない(笑)
    上田:走ってる人もいるんですけど、気付いたらボーカルとドラムが一緒に走っている。理由の一つはボーカルとドラムが特に体力を使うことです。アーティストにとって、今はCDを売ってどうこうよりも、ライブツアーをしていかに食っていくかが重要だから、それに耐える体力が必要になったということです。
    でも、それ以外の背景があるような気もしているんです。ロックの表現が衝動的なことや、有り余ったエネルギーを表現のモチーフにしていることと、走ることの間に関係があるのかなという想像もしていて、『走るひと2』でロックの精神性のようなテーマを少し紐解いてみたんですよ。
    例えば、AKB48のまりやぎちゃんが走ったというので、その理由を聞いたんですけど、喘息を患わっていたぱるるの快気を祈って走ったと言うんです。「祈って走る」というのは、論理的に因果関係がないですよね。でも、彼女にとっては、走るという方法で祈りを示すことが、ぱるるを勇気付ける手段になっている。これはどういうことなのかと疑問に思ったんです。
    宇野:まりやぎ結構いい奴ですね(笑)。
    上田:良い奴なんですよ。クールに見せて、割とそういう人間ぽいところがある。話を聞いているとすごく家族思いだったり、近しい人間への愛情がある人だなというのをすごく感じました。そういうふうに、『走るひと』では人が走ることをいろいろな捉え方でやっているんです。
    宇野:面白いですね。変な例えですけど、僕の中で長距離ランナーといえば村上春樹なんです。趣味でずっと走っていて、マラソンまで出ちゃう。ああいう人って、イメージとしては草食動物で穀物を食べている感じなんですよ。一方で、ロックバンドとか短距離ランナーの人たちは、朝まで飲んで喧嘩するような、肉食のイメージがある。だから今のアーティストの話を聞いて思ったのは、もともと草食な人たちのものだったランニングが、肉食の人たちまで巻き込もうとしてるということです。ランニングが多様になってメジャー化していく中で、本来ならコツコツ走ることが性に合わないタイプの人も巻き込みつつある。この比喩で言うと、僕自身はお酒を飲まなくて甘いものが好きなので、お菓子の人間なんですよね。
    上田:お菓子の人間かわいいですね(笑)。
    宇野:だから僕は歩いて適当にカフェに入って、本読んだりお菓子つまんだりする。僕みたいに、酒飲まなくて甘いモノが好きでオタクで、というようなお菓子型の人間も、ロッカーのような肉食型の人間も、ランニングは同時に包摂しようとしている。僕はランニング史には詳しくないのですが、ガジェットが充実してきたことや、ランニングが都市部のライフスタイルとして定着してきているといった背景があって、間口がどんどん広くなっている。それで、本来なら対象外にあるタイプの人間まで巻き込もうとしている感触があるんですよね。

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  • キッズアニメはなぜ「シュール系コメディ」として機能するのか(『石岡良治の現代アニメ史講義』キッズアニメーー「意味を試す」〈2〉)【毎月第3水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.521 ☆

    2016-02-17 07:00  
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    キッズアニメはなぜ「シュール系コメディ」として機能するのか『石岡良治の現代アニメ史講義』キッズアニメーー「意味を試す」〈2〉
    【毎月第3水曜配信】 
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.2.17 vol.521
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    今朝のメルマガは『石岡良治の現代アニメ史講義』をお届けします。今回は、2010年代のアイドル系女児アニメ『アイカツ!』『プリパラ』を取り上げつつ、キッズアニメがなぜ「シュール系コメディ」としても機能するのかを考察します。
    ▼プロフィール
    石岡良治(いしおか・よしはる)
    1972年東京生まれ。批評家・表象文化論(芸術理論・視覚文化)・ポピュラー文化研究。東京大学大学院総合文化研究科(表象文化論)博士後期課程単位取得満期退学。跡見学園女子大学、大妻女子大学、神奈川大学、鶴見大学、明治学院大学ほかで非常勤講師。PLANETSチャンネルにて毎月のレギュラー番組「石岡良治の最強☆自宅警備塾」を放送中。著書に『視覚文化「超」講義』(フィルムアート社)、『「超」批評 視覚文化×マンガ』(青土社)など。
    『石岡良治の現代アニメ史講義』これまでの連載はこちらのリンクから。
    前回:「キッズアニメ」と「非キッズアニメ」の落差(『石岡良治の現代アニメ史講義』キッズアニメーー「意味を試す」〈1〉)
    3.現代のキッズ・アニメの射程(1)アイドル系女児アニメについて
     今世紀を代表する女児アニメは『プリキュア』シリーズ(2004〜)でしょう。
     『プリキュア』は1990年代の『セーラームーン』モデルを更新し、バトルアクションを強調したシリーズです。『Yes!プリキュア5』(2007-08)以降はセーラームーンの要素を取り入れたりするなど、長寿シリーズということもあり作風は様々ですが、私がシリーズ中一番だと考えているのは『ハートキャッチプリキュア!』(2010-11)で、いくつかのモチーフについては『魔法少女まどか☆マギカ』よりも優れていると考えています。けれどもこのシリーズにも近年は翳りが見えていて、『ハトプリ』を強く意識した『ハピネスチャージプリキュア!』(2014-15)がシリーズ中最も低評価に終わり、存続が危ぶまれていました。続く『GO!プリンセスプリキュア』(2015-16)は、個人的にはプリンセスモチーフを現代の女性像とどう折り合わせていくのかについてやや疑念もあったのですが、危機意識もあってか、シナリオ面でもかなり力が入っており、総じてかなり良い作りでした。
     『プリキュア』シリーズを考える上で、EDのダンスCG(『フレッシュプリキュア!』2009年以降)は重要です。近年の『プリキュア』に翳りが見えていた理由は、明らかに他のアイドル系女児アニメとの競合によるものなのですが、淡々と進化を続けるCG技術は他の追随を許していません。一年の長期シリーズ作品なので、全話見るのが厳しいという人は、CGの変遷だけでも見てみるとそのことがわかると思います。そもそも、『プリパラ』や『アイカツ!』のようなアイドル系女児アニメのCGモデルが、『プリキュア』EDを手本としているところがあります。現代のセルルック3DCGを考えるならば、OPやEDでしばしば見られるダンスCGの系譜をたどる必要があります。初期作の印象もあって、『プリキュア』はゼロ年代アニメであるという印象をもつ人が多いと思います。現在放映中の『魔法つかいプリキュア!』も、原点回帰の上、魔法学校という舞台が若干『ハリーポッター』めいていますが、EDのダンスCGにおいては10年代型のアニメであり、この点には今後も注目したいと思っています。
     『アイカツ!』(2012〜)と『プリパラ』(2014〜)が担う「アイドル系女児アニメ」については、私がこれまで定点観測的に何度か語ってきたことを改めてまとめ直して語りたいと思います。特に先行する深夜系アイドルアニメ(『THE IDOLM@STER(アイマス)』『ラブライブ!』)との差異を語ります。もちろん深夜系アイドルアニメは重要なのですが、私自身はキッズ枠アイドルアニメのポテンシャルに惹かれます。さて、『アイマス』はもともとアーケードゲームとして出て、Xbox360に移植されて、その後プレイステーション3に移植されます。当初から男性オタクがターゲットで、メディア展開とともにファンを広げていきました。他方『アイカツ!』と『プリパラ』は、アーケードカードゲームとしての面を持ち、かつターゲットが女児であるのはもちろんですが、実在アイドルをモデルとしていないことがポイントだと考えています。『アイカツ!』はキャラクターの声優とシンガーは別の人を起用しており、対して『プリパラ』は声優とシンガーが同一人物なのですが、既存のアイドルグループとの類似はあまりみられません。
     『アイマス』の初期にはかなりの程度ハロプロ的な感触がありました。けれども『アイドルマスターシンデレラガールズ(デレマス)』はイロモノ系の登場人物が増えており、ハロプロから少しずつ遠ざかっていき、まさに『アイマス』としか言いようのない世界へと発展していきました。『ラブライブ!』にも似たところがあって、初期はあからさまにAKB48『ギンガムチェック』のPVなどの参照から始まっていますよね。劇場版の『SUNNY DAY SONG』の場面も、そこはかとなくAKB48の『恋するフォーチュンクッキー』のPV風味でした。けれどもスマホアプリ『スクフェス』の独自の存在感などを含め、「ラブライバー」にまつわるイメージが独自に広がっている現在では、そうした関連性は見えにくくなっていると思います。このように『アイマス』も『ラブライブ!』も、一見すると実際のアイドル界と関係のないように見えて、接点を持っています。「二次元vs三次元」のような対立がときに煽られるのは悲しいことです。2015年末にはμ’sの紅白歌合戦出場もあり、『ラブライブ!』は10年代を代表するアニメの一つになりました。
     近年のアイドルアニメについて興味深い事実としては、『アイカツ!』と『ラブライブ!』の両作にサンライズが関与していて、数々のロボットアニメを差し置き、すでに主力シリーズとなっていることでしょう。それに加えて、『アイカツ!』と『プリパラ』は、ゼロ年代のカードゲーム『オシャレ魔女♥ラブandベリー(ラブベリ)』(2004~2008)の継承という面があります。セガの開発した『ラブベリ』は『甲虫王者ムシキング』の女の子版として作られ、結果的には短命に終わりました。今見るとローポリゴン感満載で懐かしさすら感じます。この話をもう少し展開させて言うなら、任天堂がDSや3DSで展開しているセレクトショップシミュレーションゲーム『わがままファッションガールズモード』シリーズと関連付けることができるかもしれません。『アイカツ!』と『プリパラ』はプレイアビリティが高い、つまりカードゲームのプレイ経験と直結しているからこそ、実在のアイドル世界から離れていてもかまわないのだと考えられます。両作ともカードゲームとの連動が特徴的で、ターゲットの女児以外のプレイヤーである「〜おじさん・おばさん」を大量に生み出しています。
     もう一つのポイントはアイドルおなじみの「ダンス」や「ポーズ」でしょう。男性女性問わず、子どもをターゲットにする時「ごっこ遊び」との結びつき方が重要になってきます。変身バンクがポーズを生み出す側面ですね。「ダンス」と「ポーズ」そして「着せ替え」が3DCGモデルに結びついているところが、これらの女児アイドルアニメの特徴になります。『アイカツ!』は最初期にカクカクだった動きがどんどん改善されていきました。『プリパラ』もシーズンごとに3DCGモデルを改良しています。このようなことはアイドル系女児アニメが長丁場であるからできることです。つまり話数の多さに優位点があるということです。話数が多いからこそ、CGモデルを随時更新し続けていけるわけです。
    ■ 長期シリーズであることがシュールさをもたらす
     キッズアニメの重要な特徴として、ワンシーズンが基本の現代アニメにおいて珍しく、長期シリーズ中心ということがいえます。だからみなさんも「とても全話は観られないな」と考え、そもそも視聴しないことも多いでしょう。ですが、キッズアニメはそもそも子どもが想定視聴者なので、ある程度適当に観ていい作りになっていることが多いんですね。もちろんシナリオ上重要な話を飛ばすと若干厳しいときもありましが、少なくともワンシーズンアニメと比べれば、途中からでも入れるように作ってあるので、たまに気が向いた時に見てみると良いと思います。私もいくつかのシリーズは途中から見て、あとから遡ったりしています。

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  • オリジナリティは「テーマ×仕組み×書き手」がコツ――企画コンセプトに「エッジ」を立てる(粟飯原理咲『ライフスタイルメディアのつくりかた』第3回)【毎月第3火曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.520 ☆

    2016-02-16 07:00  
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    オリジナリティは「テーマ×仕組み×書き手」がコツ――企画コンセプトに「エッジ」を立てる(粟飯原理咲『ライフスタイルメディアのつくりかた』第3回)【毎月第3火曜配信】
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.2.16 vol.520
    http://wakusei2nd.com


    本日は、アイランド株式会社代表の粟飯原理咲さんによる連載『ライフスタイルメディアのつくりかた』の第3回をお届けします。
    前回までが粟飯原さんの経験にもとづくライフスタイルメディア立ち上げの心構えなら、今回はもっと構造的に、立ち上げ時の企画や戦略について語られた回となります。いま話題のウェブメディアの運営論を、すでに10年以上も前に先取りして実践し続けてきた粟飯原さんに、そのエッセンスを書いていただきました。

    ▼プロフィール
    粟飯原理咲(あいはら・りさ)
    アイランド株式会社代表取締役。国立筑波大学卒業後、NTTコミュニケーションズ株式会社先端ビジネス開発センタ勤務、株式会社リクルート次世代事業開発室・事業統括マネジメント室勤務、総合情報サイト「All About」マーケティングプランナー職を経て、2003年7月より現職。同社にて「おとりよせネット」「レシピブログ」「朝時間.jp」などの人気サイトや、キッチン付きイベントスペース「外苑前アイランドスタジオ」などを運営する。美味しいものに目がない食いしん坊&行くとついつい長居してしまう本屋好き。
    本メルマガで連載中の『ライフスタイルメディアのつくりかた』配信記事一覧はこちらのリンクから。
    前回:始まりは一人の熱狂から――メディア運営の逆境に強いのはマーケット志向よりも「自分志向」(粟飯原理咲『ライフスタイルメディアのつくりかた』第2回)
     前回までは、私のレシピブログでの経験を語ることで、ライフスタイルメディアとは何か、そしてその立ち上げに必要なものは何か、について考えてきました。今回は、そうした立ち上げの中で私が自分なりに見つけてきた企画の作り方について話してみたいと思います。
     皆さんも会社で企画などの立ち上げに関わることがあるのではないでしょうか?
    私も、プロデューサーとしてサービスを立ち上げるときにとどまらず、キャンペーン企画やブログの書籍化などの様々な場面で企画を立てることが必要になります。
     このとき、私がとても大事にしていること――それはコンセプトに「エッジを立てる」ということです。
     コンセプトにエッジを立てることによって、その企画にはオリジナリティが生まれて、多くの人を惹きつけるものになります。例えば、単純に日本酒のキャンペーンや、チョコレートのキャンペーンをやっても、同じようなキャンペーンが多ければさほど目立つことはありません。しかし、少しエッジを立てて「日本酒を使ったチョコレート」のキャンペーンであれば、どうでしょうか。意外な取り合わせに、急に興味が湧いてくるのではないでしょうか。



    ▲アイランドスタジオで、募集後すぐに満席になった"日本酒×チーズのマリアージュ"イベント
     とはいえ、このコンセプトに「エッジを立てる」というのは、なかなか難しいものです。
     意外な取り合わせでエッジを立てるにしても、あまりに奇をてらっても層は狭まってしまいますし、逆に当たり前すぎても目立つことはなくなります。どこにちょうど良いバランスがあるかを見きわめるのは、とても難しいところがあるのです。
     この辺は、まさに「企画」における永遠のテーマと言えるかもしれません。
     ただ、この「企画」を考える際にとても大事なことが一つあります。
     それは、「個性」を一つだけにする必要はないということです。どんどん二つ、三つと掛けあわせていくことで、エッジが立つことがあるのです。
     もちろん、それはサービスを考える企画の際にも同じことがいえます。今回は、ライフスタイルメディアに限らず、新しいメディアを立ち上げる際にとても重要になってくる三つのエッジのかけ方をお話しします。
     私たちのような小さな会社が新しいサービスをつくるときには「オリジナリティ」が求められます。後追いの企画で成功するのは、すでに多くのユーザーを抱える大手のサイトでなければ、なかなか難しいのです。これは私が自分でサービスを作る中で見つけた、オリジナリティを高めるための一種の「方程式」ですが、自分でメディアを作りたいと考えている読者の方に、なにかしらお役に立つのではないかと思います。
    ■ オリジナリティは「テーマ×仕組み×書き手」で生まれる
     オリジナリティを高めるための方程式の一つ目は「テーマ」です。
     たとえば、私が手掛けた企画の一つに、「朝時間.jp」というサービスがあり、2006年からウェブサイトを運営しています。
     これは一日のはじまりである「朝の時間」を楽しく過ごすアイデアを提案するサービスで、まだ「朝活」という言葉が生まれる前に始まったものです。
     このサービスは、リリースを発表しただけでメディアが取り上げてくださいました。初期のユーザーさんも、コンセプトの面白さに惹かれて、サイトが正式にオープンする前のプレオープンサイトの時点から、サイトを覗いてくれていました。私としても、当初からこのテーマにワクワクしていたのを覚えています。しかも発表前に調べた時点で、女性向けのメディアとして「ファッション」や「料理」を扱うものはあれど、「時間」を切り口にしたものは一つもないとわかっていたので、テーマそのものに強いオリジナリティを感じていました。
     でも、このようにテーマ一本だけで、引きがあるようなものはなかなかありません。それは探すのも難しく、また前回までに書いたような「自分が本心から情熱を傾けられるもの」であるとも限りません。
     ですから、多くの場合には、さらにオリジナリティを掛けあわせていく必要が出てくるのです。
     そんなとき、メディアサービスにおいて二つ目のエッジの掛けどころとなるのが「仕組み」です。
     レシピブログの場合には「レシピ」をまずテーマに定めましたが、やはりこれ自体は決してオリジナリティがあるものではなかったです。その時点ですでにクックパッドなどの先行サービスが存在していて、また各ブログに「料理」のカテゴリーが存在していたからです。
     しかし、私たちはそこに、さらに当時はまだ最新の技術だったRSSフィードを用いて、「プラットフォーム横断でブログ記事を集約したポータルサイト」というシステム上の特徴を付け加えました。このとき、レシピブログには明らかに「これは今までにない“仕組み”の料理サービスだ!」というオリジナリティのエッジが立ったように思います。
     そして、それは当時の私たちの強い「想い」をあらわした仕組みでもありました。
     各々のサービスで活躍しているブログユーザーの皆さんを、自分たちの中に囲い込むのではなくて、彼女たちがそのままで繋がり合える方法を提供したかったのでした。料理ブログのファンとして、個性的で素敵なライフスタイルを送るユーザーさんたちが、そのままに多様な個性を発揮して活躍し続けてもらいたいという思いがあったからです。
     そういう想いから生まれたレシピブログは、やがて様々なブログのハブとなって機能していきました。現在では例えば、クリスマスをテーマにした記事のキャンペーンを行うと、それに呼応した16000個の様々なサービスのブログからどんどん口コミで情報が伝わっていき、そのテーマに共感したブロガーの方たちが素敵な記事を書いてくださるようになっています。
     それは、まさに「ハブ」となることを大事にしたレシピブログだからこそ可能な、料理ブロガーさんとの関わり方なのだと思っています。
     ちなみに、こういう仕組みでの工夫の仕方は、「おとりよせネット」でも機能しています。おとりよせネットでは、当時では珍しかった「おとりよせ」のテーマに加えて、一般ユーザーがモニター審査員として実際に試食をする「審査員制度」というものを設けたのでした。今では、全国に約4万名ものモニター審査員の方々にサービスを登録していただいています。
     テーマを思いついたときに、どういう仕組みでオリジナリティを出すかというのは、サービスを考える際の一つ重要なポイントなのです。実際、「Retty」と「食べログ」の違いなどは、やはり大きくはシステムの部分にあると思います。
     次に、三つ目のエッジである「書き手」について続いてお話します。
    ■ “書き手”選びでメディアの個性が決まる
     さて、この二つ目の「仕組み」に加えて、メディアにはさらに三つ目のエッジの掛けどころがあります。それが、「書き手」の選定です。まったく同じテーマ、まったく同じ仕組みであっても、極論「書き手」が違えばメディアの個性も違ってくるのが、企画者としては面白いところです。
     ウェブサービスの運営として見ると、この「書き手」の部分はとても泥くさいものです。前回も書いたように、私たちはレシピブログを始めるときに、ひとり一人の書き手の方に“ラブレター”のメールを送りました。一つのメールを書くために何時間もの時間を掛けて、一緒に立ち上げた川杉と文章を互いに確認しては表現一つ一つを丁寧に話し合って、著者の方にご連絡したのです。
     この作業はとても大事なものです。
     というのも、テーマやシステムだけでそのサービスの「色」や「質」が自動的に決まることはないからです。むしろそういう部分は、「最初にどんな人がやってきたか」が強く影響を与えるのです。
     広告やなんらかの報酬などでユーザーを集めることは可能ですが、そのときのコミュニティは、そういうものに惹かれて集まったユーザーを見て、自分も登録してみようと思うような人たちの集まりになってしまいます。レシピブログの場合は、何よりもまず私たちの考える「素敵な料理ブログ」がたくさん集まってくる場所にしたかったので、まずは私たちが「素敵!」と思えるブログに声をかけていきました。その際、「料理写真がビジュアル的に素敵であること」のような要素を、確かにメディアとして意識していたりもしたのですが、やはり何よりもまず私たちの「素敵!」という感覚を大事にしました。
     このように懸賞や広告を用いずに、自分たちが理想であると考える著者を一本釣りすることから始めたのは、レシピブログの成功のとても大きな要因だったと、振り返って考えています。
     ちなみに、この書き手集めの際に、一つ考えどころになるのが「多様性のバランスをどこまで取るか」だと思います。
     レシピブログの場合には、変に「高級路線で行こう」などの尖らせ方は考えずに、あくまでも、広く料理ブログを眺めてきた自分たちの視点で、素敵なブログを集めたことが最初から広くバランスを取ることに繋がりました。そのことは、編集部の側で「こういう料理ブログが良いものだ」という価値判断をしないという方針とも相まって、とてもよく機能したように思います。
     ただし、最初のユーザーを徹底的に絞り込むことでエッジを立てて、かえって上手くいく事例もあるはずです。そこはケースバイケースで、一概に言えることではありません。
     例えば、「おとりよせネット」のときには、最初のユーザーとして著名人の方を強くフィーチャーさせていただきました。数々のテレビ番組に出演している、「おいしゅうございます!」のセリフで有名な食生活ジャーナリスト岸朝子さんや、料理研究家の飛田和緒さんに「おとりよせ」を取材したコーナーは、当時の大人気コンテンツでした。まだ「おとりよせ」が広まっておらず、多くの人が足踏みしていたその時代には、何よりもまず「おとりよせ」のある「ワンランク上の生活」への憧れを抱いてもらい、そのロールモデルを見せることが必要だったのでした。
     一方で、「朝時間.jp」の立ち上げ期には、当時「朝活」(この言葉はまだありませんでしたが)をしていた、三つの層のメインユーザーをバランスよく獲得することをとても大事にしていました。
     この三つのユーザー層というのは、一つは「ロハス系」のユーザーの方々です。朝早く起きて湘南でサーフィンをしてから出社したり、寝起きにメディテーションをするような人たちです。もうひとつは、「バリキャリ系」で、朝早くランニングをしたあとに丸の内に出社していくようなOLの人たちです。そして、最後は子供や夫のために朝早く起きる必要のある「ママの朝時間系」でした。
     正直なところ、この三つのどれかにフォーカスしたほうが伸びが早かった可能性もあるとは思います。ただ、バランスをしっかりと最初から取ったことのメリットはあると思います。というのも、女性の場合はライフステージによって、生活の仕方がガラリと変わるのです。バリキャリをしていた人が、あるとき旦那さんを見つけて家庭に入り、ママになるのは珍しいことではありません。でも、そういう場合でも、「ママの朝時間」についてのコンテンツを用意しておくことで、彼女たちがサイトを卒業せずに残ってくださるのでは、と考えています。
     ちなみに、「朝時間.jp」はその後も、「朝活」が話題になるにつれて、どんどんコーナーが増えて、コンセプトも変わり続けています。最初は「一人で過ごす」朝時間だったのが、徐々に早朝ヨガのスタジオが登場したり、朝から勉強会が開かれたりというように、「みんなで過ごす」朝時間に変化し始めています。当初の書き手から時間が経つにつれて方針をどう変化させていくのかというのも、今後この連載で扱ってみたいテーマです。また、オープン当時こそ「朝」という時間軸をテーマにしただけで目新しかったものの、「朝活」が普及してきた今後は、テーマの目新しさだけではなくて、さらにエッジが立つ「仕組み」の導入も必要になってくるとも感じています。
    ■ 優れたアイディアの種は「地に足の着いたミーハー」から生まれる
     さて、こんなふうに企画の「エッジの立て方」を考えてきましたが、そもそもこういう企画はどんなふうにして見つければいいのでしょうか。最後に、そのことを考えてみたいと思います。
     私はよく、優れたアイディアの種は「地に足の着いたミーハー」から生まれる、という言い方をします。まずはミーハーに自分の生活の中で起きていることを体験して、「こんなのが欲しい!」と思う。それが最初の視点としても、そしてすべてを動かす「熱狂」の始まりとしても大事です。  
     レシピブログについて言えば、まずは私が料理ブログの読者であったことは書きましたが、ひとりのインターネット好きとして、その頃に話題になっていた「Web2.0」の考え方にワクワクしていたのも大きいと思います。当時は、双方向性の高いサービスや、ブログのパーマリンクのように記事単位でコンテンツが流通していく仕組みが次々に現れて、それらが「Web2.0」と総称されていたのです。
     このWeb2.0の考え方は、私自身の嗜好性にも合っていました。一人ひとりが個性的なサイト同士がリンクで繋がり合って、それが普通のポータルのように一つの色に染められず多様なままにありながら、でも一つの切り取り方が提示できる――そういう発想が私はとても好きでしたし、システムでエッジを立てるときにRSSでハブポータルを作ろうと思えたのも、そういう部分での興味があったのだと思います。
     また、自分でミーハーに新しい場所に飛び込んでいると、自分以外のユーザーたちの姿が見えてきます。すると、あるときに最初はポツポツと「点」で存在していた人々が、その熱意のままに繋がり合いだして「面」としてコミュニティを作り出す瞬間が訪れることがあるのです。
     サービスを始めるビジネス・チャンスは、まさにこの「点」が「面」になっていきそうなタイミング、いわば流行の半歩先を行くようなあたりにあります。特に、私たちのように大手企業のような経営体力のない小さな会社では、このくらいの「時代の流れ」「時代の空気」というタイミングをしっかりと逃さずに始めるのが大事になります。
     こういうことは自分自身が好奇心を持って接していなければ、なかなかわからないのではないかと思います。
     ちなみに、私は自分で少しでも興味を持った事柄は、まずはドメインを取得する習慣がありました。これは現在のように会社を経営する前からやっていたことで、古くからのネットユーザーには多い習慣だと思います。昔は、なぜか阪神ファンでもないのに「tigarsfan.jp」みたいなドメインを取得していたりして、結果的に「これは伸びそう」というものを予測する訓練ができていたのかもしれません。
     自分の周囲を見ても、企画が得意な“ミーハーな”人は普段から自分以外のユーザーの動きも観察していて、流行について予測するような習慣がある人が多いように思います。
     一方で、こういう色々なことに興味を持つ「ミーハーさ」だけでは、長く続くサービスを作るのは難しいと思います。
     そういう「自分志向型」の視点だけでなく、より客観的にその現象を見た「マーケット志向型」という「地に足の着いた」視点も必要になるのです。客観的に市場規模を見積もったり、その行動がどの程度続く類のものなのか、などをしっかりと見抜く視点も同時に持つ必要があるのです。

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    大好評放送中! 宇野常寛がナビゲーターをつとめるJ-WAVE「THE HANGOUT」月曜日。前週分のラジオ書き起こしダイジェストをお届けします!

    ▲先週の放送は、こちらからお聴きいただけます!
    ■オープニングトーク
    宇野 時刻は午後11時30分を回りました。みなさんこんばんは、宇野常寛です。2月も気がついたら後半に入っていますね。もう「早っ」って感じなんですけれども。……えっ?
    後半には入ってない? あれ、だって今日15日でしょ? あー、1週間勘違いしてた!
    マジで、まだ8日ですか。うわ、すごく得した感じがしますね(笑)。まだ後半入ってないんだ。いや、なんで僕がいま、今日が2月15日だと思い込んでたかというと、これはたぶんバレンタインチョコレートをもらったからですね。いつもメールをくれるリスナーの方からなんですけれども、この仮面ライダー、しかも僕の大好きな旧1号の頭のなかに丸いチョコが入ってるというものを、番組あてに送ってくださったんですよ。そうやって一足先にバレンタイン気分を味わっちゃったからか、完全に2月後半に入った気でいましたね……。
    あともうひとつ、僕が2月後半だと思った原因があるんですが、最近わりかし受験生に遭遇するんですよね。街を歩いていると、お母さんと一緒に願書を貰い来たっぽい人とか、その学校に受かったっぽい女の子とそのお母さんが校門でピースして写真を撮っている人がいたりね。それとFacebookとかを見ていても、「息子、娘の受験が終わりましたー」っていうのをよく見かけて、「ああ、もうそういう時期なんだ」と最近よく思うんですよね。一昨日の土曜日に、ちょっと買い物があってすごく久しぶりに池袋にいったんですよ。すると、予備校か塾だと思うんですが、そういう教育機関っぽいビルの入り口からお母さんに連れられて小学生か中学生の子が出てきたんですよ。たぶん中学受験か高校受験してる途中だと思うんですけれどもね。それを「あー、やっぱり受験シーズンなんだなー」と思って眺めていたんですけれども、いきなり僕の記憶の扉が開いたんですよ。そのとき、連想ゲーム的に20年以上忘れていた記憶を思いだしたんですね。
    あれは僕が高1か高2のときの話なので、1995年か96年の2月ですね。当時僕は函館の某L高校というミッション系の高校の寮に入っていたんです。僕の高校って入試がちょっと早くて、2月の中旬とかなんですよね。当然その日は校舎を入試会場としてつかうので、高校の授業が無いんです。それで、奥村くんという、当時すごく仲がよかった寮の友達と朝飯とかを食べていたときに、唐突に思いついて「なんか受験生からかいたくね?」みたいな話をしたんですよ。「受験生に化けて彼らの中に混じってちょっとビビらせてやろう」となったんですね。僕の通っていた某L高校って制服がないので、応援団のところに行って学生服を借りてきて、それっぽいカバンも友達をたずねてゲットしてきて準備して、受験生に完全に化けたんですよ。

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