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記事 20件
  • ちろうのAKB体験記:第4回 初めての青春ガールズ公演

    2013-05-31 12:00  
    第4回  初めての青春ガールズ公演 青春ガールズ公演はその時すでに、ネット上で評判を呼んでいた。
    ぼくにとっての唯一の情報源は2chの地下アイドル板であったが(本スレと各メンバースレ、最強ヲタ決定戦なるスレも存在していた笑)かなりの盛り上がりを見せていた。新公演はとにかくすごいらしい。といってもずっと情報を追っていたわけではない。数日に1度、思いついたときに覗く程度。何しろAKBヲタではなかったのだから。
    2ヶ月ぶりの劇場公演は、抽選は何順だったか覚えていないが、下手側の2列目か3列目に座ったと記憶している。(補足として説明をすると、座席は最前列を除けば、当然の様にセンターブロックが早々に埋まるのだが、センター3列目くらいまでが埋まれば、上・下の2~3列よりも立ち最前を好む人が多かった。だから抽選が遠方枠【※1】の前(遠方枠は10~12順目あたりに挿入された)であれば確実に上手・下手の2~3列には座れた。さらに上手・下手でも明確な違いがあり、上手には古参ヲタが、下手には新規客が集まりがちだった。その理由は劇場の構造をいかに熟知しているかという話であり、劇場入口が下手側にあるため上手側の状況を確認するより先に下手側の前の方が空いていればすぐに席を確保したくなるという心理と、そうなれば当然上手側の席が埋まるのが遅くなり、それを熟知しててかつ仲間内で連番したがる古参ヲタは上手側を好んだ。そのような住み分けがされていたことは後に知ることになる。)
    つまりはセンターブロックであることよりも、距離の近さを重視した席取りだったというわけだ。 
  • 今週の宇野コレクション:カールじいさん(メーカーなど不明)

    2013-05-29 12:00  
    第9回  カールじいさん(メーカーなど不明)▼今回紹介するのはピクサーのアニメ映画『カールじいさんの空飛ぶ家』からカール爺さんのフィギュアです。僕はこのアニメがピクサーの中でもいちばん好きで、思わずフィギュアまで買ってしまいました。▼あんまり知られていませんけど、僕はピクサー作品には結構詳しくて、何度かまとまった文章も書いています。最近忘れられがちですけど、僕は何の評論家かというと創作物に登場する性的イメージ(と社会との関係)についての分析を専門というか、それを得意とする評論家です。だからヒーローやロボットやアイドルについてよく考えている。そして『ゼロ年代の想像力』『リトル・ピープルの時代』『母性のディストピア』と主だった仕事(というか主著)は全部この問題がテーマになっている。そしてピクサー作品はこうしたテーマを考える上で、とても面白い素材です。▼この映画、その名の通り老人男性が主人公なんですが、ファミリー向けアニメでこれは珍しい。そしてアニメにとって「老人」をどう描くか、というのはとても深い問題です。だって考えてみてください。高橋留美子がたとえばおじいちゃんやおばあちゃんを出すと、途端にマスコットキャラクターになってしまうでしょう? あれは要するに「人間」じゃなくなってしまうわけです。彼女の世界観、つまり成熟もなければ老いもないるーみっくわーるどの中で人間は「歳を取れない」ことを示している。▼じゃあピクサーではどうか。ピクサーと言うのは僕に言わせればディズニー本家が目を背けがちだった「歳を取るキャラクター」というものに挑戦している人たちです。 
  • 今週のお蔵出し:『ヘルタースケルター』と「あの頃」の消費社会

    2013-05-28 12:00  
    【今週のお蔵出し】『ヘルタースケルター』と「あの頃」の消費社会              (初出:「サイゾー」2012年9月号) 映画『ヘルタースケルター』を観た。本作は、基本的には沢尻エリカという「変人」を観るための映画だ。ヒロインと沢尻のスキャンダラスな人生を重ね合わせ、そのユニークなキャラクターの魅力を強調する。私見では、蜷川実花はこの「最低限の仕事」はできている。しかし全体的に練り込みが甘い。沢尻を見せるためだけの映画なのだから、尺はこの半分でよかったはず。中途半端に映画への意志を見せているせいで、冗長な映像体験になってしまっているのだ。 さて、それとは別に僕が考えたのは、この原作を今映像化するなら、他にどんな手があるだろうか、ということと、ひいてはバブル前後の消費社会観が今日の情報環境下でどれくらいの射程を持っているか、ということだ。 
  • 哲学の先生と人生の話をしよう★最終回★:「好きな女性が進路に悩んでいます」

    2013-05-27 12:00  
    「好きな女性が進路に悩んでいます」相談者:うらさむさん(神奈川県在住・25歳男性・学生)Q. 初めて投稿させていただきます。今、好きな女性がいます。その彼女は同じ大学で、アルバイト先で知り合いました。中国文学を学ぶ為に大学進学をしたようなのですが 自分が元々夢見てた道を捨てきれず、そもそも大学というシステムに馴染めず成績不良で二留目を迎える事になるそうです。このまま大学を辞めるか、それとも語学系の専門学校に進むorフリーターになるか悩んでいます。彼女曰わく、社会に貢献するような仕事につくこと(就職すること)は諦めた、とのこと。私は二浪で二留の大学四年生です。精神的に不安定さが原因で、他人との摩擦を恐れ所 謂引きこもり生活を繰り返してしまい、現在に至ります。目下9月卒業を目標に就活やアルバイト生活をしながら日々暮らしています。二人で学生生活を楽しんでるのを想像しながら今後の糧に就職まで精進しようと思ってたのですが、それは自己満足であることもわかっています。相談内容は、1これからのモチベーションをどのように維持したらいいのか。2今後の彼女との付き合い方。3もし彼女の考えを変えれるチャンスがあればどんな言葉で諭すべきか。正直この状況で付き合えても、あまり嬉しくはありません。これじゃない感は拭えないです。自分は二人の関係性が良好であれば大学を卒業しアルバイトを辞め就職しても9月以降付き合いを続けたいと思っています。と言うか、言い換えれば彼女と長く一緒にいれる努力をしたいと思っています。何卒ご回答の程よろしくお願いします。A. ご相談ありがとうございます。 何か胸がときめく想いです。人を好きになるのはとても素敵なことですね。まずそれを忘れずにいてください。つきあうといろいろあります。はっきりいって苦しいことがたくさん出てきます。相手に対する気持ちは絶えず変化していきます。でも、一つ、最初のあの素敵な想いというのは大切にしておいていいと思います。それを思い出すと、相手のいいところが見えてきたりするものです。 彼女の状況がいまいち見えないので、アドヴァイスが難しいですね。よく分からないのは、主として、 1)なぜ「社会に貢献するような仕事につくこと」=「就職すること」なのか? 2)中国文学を大学で学ぶことと彼女の元々の夢はどういう関係にあるのか?です。 3)捨てきれない「夢」と大学を辞めることはどういう関係にあるのか?ですね。 どうも、うらさむさん自身がよく分かってないのではないかという気がします。 
  • ちろうのAKB体験記 第3回:初めてのKチーム公演

    2013-05-24 20:44  
    第3回  初めてのKチーム公演AKB48の第2期生、Kチームなるものが存在しているということを知り、ひとまずは見ておくことにした。このときは友人を誘うことなく、平日にふらりと訪れることにした。平日公演は11時チケット販売開始で、19時開演。相変わらずやることがなく暇だし、チケットの売れ行きに関してもよくわからなかったので15時頃にチケットを買いに行った。すると当然の如く余裕でチケットを購入することができた。チケットを買ったはいいものの、公演までの時間を潰すのに苦労した。何しろぼくは東京でたった一人ぼっち。どこに何があるかも分からず、アニメグッズを見て回るでもなく、秋葉原で小さなブームとなっていたメイド喫茶というものに行ってみるという勇気もなく(後にぼくはメイド喫茶ヲタクとして華々しくデビューするわけだが、それは別章で)、ヲタ友達のひとりもいない。無駄に電気街を歩いてみたり、喫茶店で時間を潰してみたり。チケットを買ってから開演までの時間を潰すのにはその後も幾度もなく苦労したものだ。そして開演時間が近づき、ドンキホーテ8階に向かった。ぼくはアイドルを見るときにおいて、予習はしない。何より「体験」が重要だと思っているからだ。ネットやあるいはチラシの写真を見て「(推せそうなのは)この子かな?」と当たりを付けて臨んだって、実物を見たらそうでもないこともあるだろうし、逆に全くノーマークだった子に目を惹かれることもある。ならば予習など全くの無意味だ。そして逆に、どれだけ写真が残念で、ヲタ評判が悪くとも、一度は現場に足を運ばなければ判断はできないだろうと思っている(これは特にAKBのことではなく、AKBブレイク以降のアイドルブームにおいても変わらず実践していたこと。そしてそもそも予習が面倒ということの言い訳)。これはいかにも地下アイドルヲタ的発想だと思う。いつでも始まりは「現場」なのだ。 
  • ☆ メルマガPLANETS vol.35 ☆ ~プレ『母性のディストピア』連続イベント開講~

    2013-05-24 07:00  
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                 ☆ メルマガPLANETS vol.35 ☆          ~プレ『母性のディストピア』連続イベント開講~           発行:PLANETS  2013.5.24 (毎週金曜日発行)                  http://wakusei2nd.com━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━こんにちは。PLANETS編集部・秘書A子です。今週の金曜日も、「メルマガPLANETS」をお送り致します。今日は2つ、大きな告知があります。最近はイベントも出版物も情報社会系のものが多かった印象の弊誌ですが、6月は久しぶりに?がっつりコンテンツ批評いきます!★6/21(金)宇野常寛最新刊『原子爆弾とジョーカーなき世界』発売!ダ・ヴィンチで好評連載中の評論「THE SHOW MUST GO ON」が遂に単行本化します!「気になりつつも、飛び飛びにしか読んでなかったな~」という方、まとめて読むチャンスです。扱っている作品は下記の通り。・『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』、・「カーネーション」・堀江貴文『刑務所なう。』・川上弘美『七夜物語』・『巨神兵東京に現る』/「館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」・木皿泉「すうねるところ」・「平清盛」・『ヱヴァンゲリヲン  新劇場版:Q』・「最後から二番目の恋」・「So long!」映画・音楽・小説・エッセイ・ドラマ・特撮・演劇からアニメまで、幅広い、しかし重要作品ばかり集めたラインナップ。「文化時評アーカイブス2012-2013」を読んで、個々の作品についてもっと深く知りたいと思った人は必読!仕様も良い意味で評論集ぽくない、洋書のような素敵な作りです。▽確実に入手されたい方は予約がお薦めです◎http://www.amazon.co.jp/dp/484015211XAmazon予約も始まっていますので、お楽しみに。「6/21とか超先じゃん…待ちきれないわー」という方は、その前にイベントもあります!その名も……★「プレ『母性のディストピア』連続講義」開講!宇野の単著というと、今年はそう……『母性のディストピア』も控えております。年末の刊行に向けて、ここだけにこっそり同書のエッセンスを公開する「プレ『母性のディストピア』講義」を10°CAFEで開講致します!今回の連続講義は全4回。月に一人ずつ、今のオタクカルチャーの礎を使った4人の作家を取り上げます。スケジュールは下記の通り。第1回テーマ:押井守6/13(木)20:30~22:00第2回テーマ:高橋留美子7/11(木)20:30~22:00第3回テーマ:宮崎駿8/1 (木)20:30~22:00第4回テーマ:富野由悠季9/5 (木)20:30~22:00各回3,000円(1ドリンク付き)、お得なセット券は4回で10,000円になります。更に!今回はかねてより要望が多かった、学割セット券もご用意しました!学生の方は、身分証提示で8,000円になります。→→→イベント詳細・チケット予約はこちら←←←以上、告知でした。それでは、今号のコンテンツはこちら↓┌───────────────────────────────┐├○    メルマガPLANETS  vol.35:2013.5.24├○                                ├○  01.【特別掲載】堀潤×宇野常寛├○  「ニッポン開発委員会2013――社会のOSをアップデートするために」├○├○  02.【人生相談】國分功一郎├○  哲学の先生と人生の話をしよう ★最終回★├○  第34回 「好きな女性が進路に悩んでいます」├○├○  03.【批評】中川大地├○  中川大地の現代ゲーム全史[日本編]├○  第4回  在来種たちの伸長├○├○  04.【ルポルタージュ】稲垣知郎+濱野智史├○  ちろうのAKB体験記├○  第20回  脳内パラダイス公演千秋楽~チームKの終わり├○├○  05.【ノンフィクション】武本弦├○  震災離婚├○  第8回  家庭内ファシズム├○├○  06.【過去原稿】今週のお蔵出し├○  5/21のお蔵出し:〈中間の言葉〉の生存戦略├○           (初出:「中央公論」2013年1月号)   ├○                                                                ├○  07.【食べ歩き】├○  秘書A子の馬場ランチグルメ├○  馬場グルメ八軒目:Al's Cafe├○                                ├○  08.【リアルタイムレビュー】中川大地├○  じぇじぇじぇ!!('jjj’)『あまちゃん』日記├○  第7週  「おらのママに歴史あり」├○ ├○  09.【告知】今週のスケジュール  ├○                                 ├○  10. 編集後記&次回予告        ├○├○                                                       └───────────────────────────────┘※一部の連載記事については、「メルマガPLANETS vol.34」からの続きとなっております。▼「vol.34」へのリンクはこちらです。http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar231531未読の方は併せてお楽しみ下さい!┏┓----------------------------------------------------------┗■  01.【特別掲載】堀潤×宇野常寛      「ニッポン開発委員会2013――社会のOSをアップデートするために」--------------------------------------------------------------4/13(土)の夜、高田馬場の10°CAFEにて、連続講座「P8その後」vol.1 堀潤×宇野常寛「ニッポン開発委員会2013 ――社会のOSをアップデートするために」が開講されました!今号では、その全文起こしを特別掲載!3週に分けてお送り致します。■後編:エゥーゴ発足!(宇野)  基本的にインターネットって、今まで見えなかったものを見えるようにする力なので、その力をどんどん使って、メッセージを発するようなことを仕事にしている人間があけすけな自分のお金の話だとか、時間の使い方の話だとか、自分がこれからやりたいことだとかをアイディアの出し惜しみとか変な見栄を全部捨てて介していくことでいろんな問題提起ができると思うんだよ。そのことによって、今までは獲得できなかった読者とか、支持者ともつながる回路を作っていく事が出ると思うんだよね。(堀)  それだったら一人一人でもどんどんやっていけそうですよね。みんなでちょっと投げ銭してください、おねがいしますって。笑(宇野)  堀さんのマネタイズの話ももちろんそうなんだけど、僕が何でこんな話しをしたかというと意外と堀さんみたいな立場の人、多いと思うわけ。(堀)  と言うのは?(宇野)  堀さんみたいに組織と大揉めして、ツイッターで大炎上しながら実質クビになった人っていうのはさすがになかなかいないと思うけど、笑。でも自分がそう意図したわけではないんだけれど結果的に昼の世界から零れ落ちてしまったと。その結果、昼の世界の住人を中心に作られた社会保障システムだったりとか、社会的信用の外側に置かれて、そういった人たちが世の中につながっていく感覚ってうまく得られない事がすごく多いと思うんだよね。特にインターネットの人たち、若者には多いと思うわけ。戦後的な体制がしっかり残ってる大企業やお役所に勤めてる人たちとは福利厚生から保険から、何から何まで違うと。そういった中でどうやって結婚して子供を育てて、どうやって老後の生活を考えていったらいいか分からない人たちがいっぱいいるわけ。だからそういった人たちと連帯していくことが大事だと思うわけ。昼の世界・夜の世界っていうのは、イデオロギーや趣味性の違いである以上に、労働環境や社会のつながり方の違いであることが大きいと思うんだよね。夜の世界の住人の中には、戦後日本が築き上げてきた社会保障だとか身分保障の外側にいる人たちがすごく多いと思うんだよ。だからそういった人たちを集めて組合みたいなものを作って擬似的な保険みたいなものを作って、生活を支えあう共同体をつくりながらそれを政治勢力に育てていくとか、そういったビジョンっていうのは真剣に検討してもいいと思うんだよね。 
  • 今週の宇野コレクション:バンダイ S.I.C. VOL.63 仮面ライダーギルス&アナザーアギト

    2013-05-22 12:03  
    第8回  バンダイ S.I.C. VOL.63 仮面ライダーギルス&アナザーアギト(のアナザーアギトのみ) 今回紹介するのはバンダイの S.I.C.という大人向けの高額(といっても数千円ですが)フィギュアシリーズから、僕のお気に入りのキャラクター「アナザーアギト」です。 あちこちで書いて/話していますが、僕が平成仮面ライダーシリーズに興味を持ったのは2001年放映のシリーズ第二作「仮面ライダーアギト」からです。(要潤がわき役ライダーの仮面ライダーG3役でデビューしたことで有名ですね。) もちろん、子どもの頃は特撮ヒーロー番組が大好きだった僕ですが、この番組が放映されていたころ(大学生)にはあまり興味をもっていませんでした。もちろん、当時からサブカルチェック男子だったので(笑)、平成仮面ライダーシリーズのことは知っていました。前作「仮面ライダークウガ」(オダギリジョーが主役のやつ)も何度か見て、普通に良くできているな、と感心した記憶があります。 そんな僕が、その日の朝たまたまこの作品に「出会った」のです。 たぶんその日は夜通し友達の家で遊んでいて、そして明け方に牛丼屋で朝ごはんを食べて、そして朝早く下宿に戻って……そんな感じだったと思います。 そしてたまたまテレビをつけたら、この番組をやっていた。僕の人生は間違いなく、この瞬間に変わったと思います。その後、僕は長年忘れていた仮面ライダーへの情熱を取り戻し、10年以上にわたるライダーグッズ収集の戦いに挑んでいくことになります(笑)。 しかしそれ以上に、この作品は僕の人生に強い影響を与えています。1978年生まれの僕は10代をほぼ90年代に過ごしているのですが、はっきり言って同時代のサブカルチャーにまったく乗れなかった少年でした。 
  • 今週のお蔵出し:玩具としての架空年代記――日本人にとっての〈ガンダム〉

    2013-05-21 15:32  
    【今週のお蔵出し】玩具としての架空年代記――日本人にとっての〈ガンダム〉(初出:「BRUTUS」2012年5月号  Book in book)  世の中には二通りの人間しかない。ひとつの歴史を生きるしかない人間と、もうひとつの歴史を生きる術を知っている人間だ。――と、いうのはいささか冗談にすぎるだろう。しかし〈ガンダム〉という文化現象について考えていると、あながちそうとも思えなくなる。  宮崎アニメ、ドラゴンボール、ウルトラマン、仮面ライダー、ポケットモンスター……日本の漫画、アニメ、ゲーム、特撮といったいわゆるオタク系文化の生んだ作品、そしてキャラクターたちは国際的にもきわめてユニークなサブカルチャーとして、広く厚い支持を受けている。そんな中で、独特の位置を占めているのが「ガンダム」シリーズだ。  〈ガンダム〉シリーズは、国内最大級のキャラクター産業であり文化現象だ。1979年のテレビアニメ版第一作(『機動戦士ガンダム』)がその後の再放送などを通じてヒットし、折からのアニメブームの主役に躍り出た。同作はその後数年の間に劇場版三部作と劇中に登場するロボット兵器(モビルスーツ)のプラモデルのヒットを通じて社会現象化することになる。いわゆる「団塊ジュニア」世代には、特にアニメファンという分けでもない層にも(初代)〈ガンダム〉がある種の共通言語として機能しているのはこのためだ。  しかし私見では〈ガンダム〉シリーズがあれから国内最大級の文化現象として成長していった理由は、むしろブームが沈静化に向かう中で備わっていったいくつかの特徴にあると考えている。そのうちの最大の要素が、「宇宙世紀」と呼ばれる架空年表の設定だろう。0001  宇宙移民開始をもって宇宙世紀に移行。地球総人口90億人突破。0010  木星エネルギー船団が再編され、木星開発事業団発足。0016  連邦政府、フロンティア開発移民移送局を設立。0027  初の月面恒久都市、フォン・ブラウン市完成。0034  連邦政府、宇宙引越事業団を再編。NGOとして宇宙引越公社設立。0035  サイド3建設開始。0040  総人口の40%(約50億人)宇宙への移民完了。0058  サイド3独立宣言。共和政体を樹立。国防隊発足。0073  公国軍、新型兵器1号機完成。モビルスーツ(MS)と名づける。0079  一年戦争勃発。公国、連邦政府に対し、独立を宣言。 
  • 哲学の先生と人生の話をしよう:「抑え難い復讐心があります」

    2013-05-20 19:01  
    「抑え難い復讐心があります」相談者:小谷さん(東京都在住・23歳男性・学生)Q.私は現在二回目の大学4年生をやっている23才の小谷といいます。私は2年前に大学のある文化系のサークルに入っていましたが、そこでいじめにあいました。まず二年の時に、ある同学年の女性(以下Sとします)と本の貸し借りをするようになり、一緒に映画に行こうと私が誘い、二人で会いました。しかしSは待ち合わせ場所に非常に不機嫌な表情でおり、二人でいる間はずっと険しい表情でした。そして私に対してひたすらその不機嫌な感情をぶつけてくるのです。 私の話には全くと言っていいほど反応せずに、「この前は同じサークルのYと映画を観にいって楽しかった」と言って映画のチケットを目の前に出してきたり、「別な大学の男にいい顔してたら飲みに行きたいと言われている。私はまた「同じ過ち」を繰り返した」、と何度も言ってきました。これは彼女を映画に誘った私を揶揄してのことだと思います。「昨日何で電話に出なかったの?」と聞いたら、同じサークルのAと電話で話していた、と言われました。また映画が始まり、近くの席に座ろうとしたら、蝿を払うような仕草で手を振られ、離れた席で映画を鑑賞しました。その直後、Sはサークルの飲み会に参加して、私との事を笑い話として披露していたそうです。そしてSはなぜか携帯電話を机の上に置いており、それを他のサークルの男性が操作して、その携帯から私の事を嘲笑うようなメッセージが送られてきました。「まだまだだな」とか「そんなことよりも俺の事を見ろ!」などです。これはSが私と映画に行っている間に別な男性の話ばかりをしていた事を聞いたからだと思います。Sはこの件に関して後日サークルの中の男、女一名ずつに相談をしたのですが、何故か自分が被害者であるように言っており、完全に私の立ち位置が悪くなってしまいました。Sが相談した男と、私はサークル内であるイベントをやることになっていましたが、その男はメーリングリストで「今度の会は僕一人でやる事になりそうです。だから皆協力してくれ!」とメールを一斉に流しました。彼女が相談した先ほどの女性と話す機会がありましたが、「○○っていうメール送ったんでしょ」と言われ、自分が送ったメールの内容(非常にプライベートな性格のものでした)を揶揄されました。その時は本当に死にたかったです。後日、Sは私にメールを何通も送ってきました。始めは謝ってきていたのですが、私が泣き寝入りをしているのを好い事に「いつまでもあなたの本が手元にあっても困る」という様な威丈高なメッセージを送って来るようになりました。サークル内の力関係で強い立場にある男女一名づつを味方につけた事が手伝ったのだと思います。Sはサークルの男性Aを伴って私が貸していた漫画を直接、私の一人暮らしの家まで届けに来ました。私が居留守を使っていると、Sはインターフォンを何度も押して、ふざけた口調で「ほんとにすみませんでした?」などと私を馬鹿にするような言葉を何度も吐きました。殺してやろうと思いましたが、思い留まりました。その辺りの時期から心身の状態が非常に不安定になっていきました。夜中に全くと言っていいほど眠れなくなっていき、体力が極端に低下していきました。Sはその後すぐに留学に行き、私は一年くらいそのサークルに居続けましたが、体調不良が元で活動にあまり参加できなくなっていきました。出席に厳しいサークルであったため、次第に白い目で見られ始め、幹事長から睨まれたり、頼んでいた仕事を前日になって「知らない」と言われたり、仲良くしていて自分のバイト先にも遊びにきたような関係の先輩から話しかけても、「俺がお前の話を聞く必要がない」と言われたりしました。サークルのOB(33才)からも「君さ?女の子(Sの事)に〈ロスト〉したんだってぇ??聞いたよ?」と後輩の前で言われました。自分がやる事になっていた企画が知らない間に別な人がやることになり、告知のメーリングリストでそれを知る、という事もありました。サークルの会議の時に「小谷君の○○の仕事はどうなってますか?」と私に直接言えば済むような事をわざわざ皆の前で言われるという、吊るし上げの様なこともされました。そして三年の夏に私はそのサークルを辞めました。サークルの活動費の一部を私が立て替えていましたが、今もって返済を彼らはしません。 現在も四六時中、頭、体が重く、室内にこもりがちです。また急に泣き出してしまったり、恐怖心にとらわれて不安で仕方なくなったり、部屋で急に怒鳴り声をあげたり、壁を殴ったりしてしまいます。落ち込んでいる事が非常に多く、体調不良もずっと続いています。自分がこんなにも弱い人間だとは思いませんでした。そのせいで、大学からも足が遠のき単位が全然取れなくなり留年を致しました。現在は一応通院をしておりますが、良くなる気配は一向になく就職活動も全く出来ていません。心の中でいじめてきた連中に対する復讐心が日毎に大きくなっていっています。そのサークルは大学の学生棟で禁止されている飲酒をしたり、普段の飲み会で一気飲みの強要や未成年の飲酒をしています。手元にその画像や動画がありますので、このネタを脅しに使ってやろうかと日々思ってしまっています。そして、呼び出して、自分をいじめてきた奴らをめちゃくちゃに殴っているところや、お金を脅し取る事を空想しては、自己嫌悪になったり、虚脱感に襲われたりしています。既に元サークル幹部の人間に、脅しのようなメッセージ、(「学生生活課に言いに行く」、というようなものです)を送りつけ、彼らからは返信が来ましたが、まだ見れていません。この件に関して、私にも落ち度は様々にあると思いますが、ここまで理不尽かつ陰湿にいじめられるようなことはしてはいないと思います。私が彼らに復讐をすることは許されるのでしょうか。また、自分自身の気持ちにどう整理をつければいいのでしょうか。國分先生の意見をどうしてもお伺いしたいです。どうか取り上げて下さい。本当にお願いします。A. ご相談ありがとうございます。 端的に言いますと、小谷さんの相談は大変長文でしたが、それにも関わらず、ほぼ間違いなくいくつかの事実が隠蔽されています。 まず、なぜ女性Sはあなたとのデートに応じたのか? それが全く謎めいています。あなたとのデートに大した期待もなかったのになぜ断らなかったのか? 当日不機嫌な気持ちになるほどの不満を抱えていたのに、なぜ事前にデートの約束を反故にするわけでもなく、当日待ち合わせ場所に現れたのか?  これはこのケースに関わっている人物であれば、簡単に説明ができることであるはずです。そしてこれは小谷さんのケースの出発点にある重要な事項です。しかし、なぜそれが書かれていないのか? 小谷さんはもしかしたらそれに気付いているのに、わざと書き落としているのではないでしょうか? あるいは、そこから無意識に眼をそらしているのではないでしょうか? そのように想像されるのには理由があります。 このケースは単純化すると…… 
  • ちろうのAKB体験記:第2回 「会いたかった」公演

    2013-05-17 14:24  
    新連載「ちろうのAKB体験記」。「どこにでもいるオタク青年」だったちろうさんが初体験した公演は、実は超プレミア公演だったことが明らかに!?