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記事 23件
  • 本日20:00から放送!宇野常寛の〈木曜解放区 〉 2019.2.28

    2019-02-28 07:30  
    本日20:00からは、宇野常寛の〈木曜解放区 〉

    20:00から、宇野常寛の〈木曜放区 〉生放送です!〈木曜解放区〉は、評論家の宇野常寛が政治からサブカルチャーまで、既存のメディアでは物足りない、欲張りな視聴者のために思う存分語り尽くす番組です。今夜の放送もお見逃しなく!
    ★★今夜のラインナップ★★メールテーマ「気になる人」今週の1本「ROMA」アシナビコーナー「ハセリョーPicks」and more…今夜の放送もお見逃しなく!
    ▼放送情報放送日時:本日2月28日(木)20:00〜21:45☆☆放送URLはこちら☆☆
    ▼出演者
    ナビゲーター:宇野常寛アシスタントナビ:長谷川リョー(株式会社モメンタム・ホース 代表)
    ▼ハッシュタグ
    Twitterのハッシュタグは「#木曜解放区」です。
    ▼おたより募集中!
    番組では、皆さんからのおたよりを募集しています。番組へのご意見・ご感想、宇野に聞いて
  • 脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第46回「男と食 17」【毎月末配信】

    2019-02-28 07:00  
    540pt

    平成仮面ライダーシリーズなどでおなじみ、脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』。今回のテーマは「おふくろの味」。料理が得意で、強烈な性格の持ち主だったという敏樹先生のお母さん。悪童だった敏樹少年がきつい折檻を受けたエピソードをはじめ、母親との印象深い思い出を語ります。
    男 と 食  17      井上敏樹 
    おふくろの味、というものがある。よくある質問で、人生最後の食事はなにがいいか、と問われ、『おふくろが作ってくれた味噌汁』とか『おふくろが握ってくれたおにぎり』とかの答えが多いが、私はこういうのがどうも苦手だ。感傷的、偽善的な感じがする。私が最後に食べたいのは卵白だけで仕上げた河豚雑炊である。別に私の母が料理下手だったわけではない。母は料理が好きだったし、またなかなかの腕前であった。電子レンジが発売された当時、母は購入を迷っていたが、まだ温め機能しかない電子レンジを、あんな物はつまらないと結論し、代わりにオーブンを買っていた。このオーブンを使って、母はパンを焼き、ケーキを焼き、様々な料理を作った。中でも得意だったのは『豚肉のリンゴソース』で、敢えて言えばこれが私にとってのおふくろの味、と言える。随分お洒落のようだが、味噌汁やおにぎりだけがおふくろを象徴するわけではない。さて、『豚肉のリンゴソース』だが、これは比較的簡単で見た目も派手で大変旨い。ちょっとしたホームパーティに出せば、お客たちは狂喜乱舞する事請け合いである。まず、豚肉のロースの塊りを一キロほど用意する。強めに塩胡椒して、型崩れしないように出来ればたこ糸で縛り、フライパンで肉に焼き色をつける。肉を取り出し、休ませている間にバターとオリーブオイルを半々くらいフライパンに引いてタマネギを炒める。タマネギは大体一個分ほどだ。タマネギ臭さが飛んだら、やはり一個分のリンゴを厚さ二ミリ程度の銀杏切りにして一緒に炒める。リンゴがしんなりと半透明になったら、大さじ一杯分のケッパーを加え、先の豚肉にかけるようにしてアルミホイルで包み込む。後は210度ほどのオーブンで焼けばいいのだが、豚肉は加熱し過ぎると固くなるので要注意だ。肉塊に鉄串を刺して唇に当て、中まで火が通っていれば大丈夫。出来上がった物を二センチほどに切りわけ、ふにゃりとなったタマネギとリンゴをソース代わりに絡めながら食べる。白ワインに合うだろう。■PLANETSチャンネルの月額会員になると…・入会月以降の記事を読むことができるようになります。・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。
     
  • “kakkoii”の誕生──世紀末ボーイズトイ列伝 第二章 ミニ四駆(5)「マグナムに叫ぶようにアレクサを呼ぶ」

    2019-02-27 07:00  
    540pt

    デザイナーの池田明季哉さんによる連載『"kakkoii"の誕生ーー世紀末ボーイズトイ列伝』。自動運転車は、なぜ「カッコいいもの」として社会に受け入れられないのか。マシンを手動で操作したい欲望と、AIによる自動運転技術。未来の自動車が抱える矛盾と、それを乗り越える想像力を、ミニ四駆に宿る物語性から考えます。
    「かっこいい」自動運転車は可能か?
    工業技術によって身体を拡張することで、主体と社会を短絡させる「乗り物」──その代表たる自動車こそが、20世紀における成熟の象徴として、男性的な美学の器として機能してきたことを、ミニ四駆のデザインを通じて確認してきた。
    だとすれば、情報化した21世紀における理想の男性的な成熟のイメージを考える上で、自動車の情報的なアップデートである自動運転車、および完全自動運転の分割的実装であるところの各種の運転支援技術について論じることは、避けて通れないだろう。
    自動運転技術は、それがごく近い将来かやや遠い未来であるかに議論はあるものの、やがてレベル5と呼ばれる完全自動運転を実現させることはほぼ確実と見られている。しかし自動運転車は、20世紀的な自動車の進化の形として期待されているにもかかわらず、美学を宿す器として、少なくとも「手動運転車」であるところの20世紀的な自動車と同等に「かっこいい」存在としては認められていない節がある。
    これはある意味では当然のことといえなくもない。たとえば20世紀初頭において、個人が所有できる乗り物の主流は馬車であった。この時代に登場した新しい乗り物であるところの自動車に対しても、同様の戸惑いと抵抗があったことは想像に難くない。手動運転車が20世紀の100年をかけて蓄積した美学に比肩するためには、ごく素朴に考えて21世紀の100年という厚みが必要になるはずだ。
    しかし同時に、20世紀初頭における「未来の乗り物」としての自動車への期待と美学が、その後100年の自動車文化を育んだこともまた確かだ。ゆえに21世紀初頭の本連載では、来るべき自動運転車にどのようなかっこよさを見出すことができるかを考えてみたい。
    もちろん、そのヒントになるのは、20世紀末にG.I.ジョーから変身サイボーグとトランスフォーマーを経てミニ四駆に宿った「魂を持った乗り物」という想像力だ。
    文化的に相容れない「自動車」と「自動運転」
    そもそもなぜ、自動運転車は20世紀的な自動車文化の文脈において「かっこいい」と思われていないのだろうか。そこには単純な嗜好の保守性やテクノフォビア以上の、自動車文化の美学に深く関わる問題がある。
    自動車の美学の中心に主体の拡張があると考えるとき、自動車が「直接操作できる」という感覚は極めて重要だ。たとえば20世紀でも、いわゆるATとMTを比較したとき、一般的に言ってMTの方が格が高い──「かっこいい」と考えられているのは、こうした自動車の位置づけを背景にしているといっていいだろう。
    こうした美学の上では、情報技術による運転支援技術は、たとえ機能として事故を防ぐ効果があるとしても、むしろ邪魔なものになってしまう。あらゆる判断を正確に行う完璧な主体であることを確認することでナルシシズムを記述する自動車文化と、ドライバーが不完全なことを前提に支援を行う自動運転技術は、美学の上で相性が悪いのだ。
    叫んでも加速しないから、ミニ四駆をやめる
    手動運転自動車の美学と自動運転技術、そしてミニ四駆の関係をわかりやすくするために、少しだけ個人的なエピソードを紹介したい。
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  • 與那覇潤 平成史ーーぼくらの昨日の世界 第2回 奇妙な政治化:1991-92

    2019-02-26 07:00  
    540pt

    今朝のメルマガは、與那覇潤さんの「平成史」お届けします。第2回では、1991年に始まった『批評空間』と『ゴーマニズム宣言』から、平成初期の言論状況ーー〈子供〉であり続けることと、〈父〉を擬制することが、奇妙に共存する日本のポストモダンについて。さらに、同時期に進行していたアカデミズムの制度的変化がもたらした影響について考えます。
    「運動」し始める子供たち
     平成3~4年にあたる1991~92年に、平成思想史を描く上で欠かせないふたつのメディアが発足します。91年4月に柄谷行人さん(文藝批評家)と浅田彰さん(哲学者)が創刊した『批評空間』(~2002年)と、漫画家の小林よしのりさんが92年1月から『SPA!』で連載を開始した『ゴーマニズム宣言』(ゴー宣。95年からは「新」を附して『SAPIO』に移籍)です。
     だいぶ年長の世代にあたる柄谷さん(1941年生、改元時に47歳)については後に触れますが、当時の浅田さん(57年生、同31歳)と小林さん(53年生、同35歳)には、自覚的に「子供っぽさ」を強調して自分のイメージを作っていったという共通点があります。昭和の終焉期に行った柄谷氏との対談で開口一番、浅田さんが言い放った「連日ニュースで皇居前で土下座する連中を見せられて、自分はなんという『土人』の国にいるんだろうと」[1]のような一節(『文學界』89年2月号)が典型ですね。
     1983年に『構造と力』をベストセラーにして登場した浅田さんは、当時「ニュー・アカデミズム」(ニューアカ)のスターと呼ばれていました。ものごとを本質ではなく「構造」に還元して分析する構造主義の手法を使えば、一見するとバラバラな研究対象(たとえば国際政治と性的欲望とサブカルチャー)を自由に横断して論評できる。そうしたスタンスを武器に、論文とエッセイの中間的な文体で、学会や専攻の枠にとらわれない活動を展開したのが「新しかった」わけですね。
     専門をひとつに絞り、長期の徒弟修業のようにじっくり研究することで、その分野に成熟していく――こうしたオールドなアカデミズムのあり方からすると、ニューアカは「子供っぽく」にみえます。浅田さんはそうした批判に、ドゥルーズとガタリらのポスト構造主義(のうち特に精神分析批判)を使って、あらかじめ応えていました。『構造と力』のエッセンスをより平易に描いた、1984年の『逃走論』の一節にそれが表れています。
    「言うまでもなく、子どもたちというのは例外なくスキゾ・キッズだ。すぐに気が散る、よそ見をする、より道をする。もっぱら《追いつき追いこせ》のパラノ・ドライヴによって動いている近代社会は、そうしたスキゾ・キッズを強引にパラノ化して競争過程にひきずりこむ」[2]
     資本主義、およびそれとパラレルなものとして成立した近代家族は、「勤めてお金を稼がなくてはならない」「家庭でそれを支えなければならない」といった特定の規範に人間を押し込めて「大人」を作ってきた(パラノイア=偏執狂的である)。しかし近代が終わりつつあるいま、むしろ単一の成熟イメージに捕らわれずスキゾフレニア(分裂症)的に、子供っぽくふるまう方がクリエイティヴだという発想ですね。この言い回しは大流行し、「スキゾ・パラノ」は1984年の第1回新語・流行語大賞に入賞するほどでした。
     若い方だと、2017年に堀江貴文さん(実業家)がヒットさせた『多動力』にある「永遠の3歳児たれ」を連想したかもしれません。平成末期からふり返るならある意味で堀江さんや、もう少しフレンドリーだと古市憲寿さん(社会学)のような、「自分が『頭がいい』と見られていることを知っていて、『だから許される』ことを前提に炎上発言をする人」の先駆者として、1980年代の浅田氏を位置づけることもできます。
     いっぽうギャグマンガ家時代の小林さんの出世作は、1976~79年に『週刊少年ジャンプ』に連載された『東大一直線』。なにがなんでも東大に入ろうとするおバカな生徒の異様な行動が惹起する笑いを通して、パラノ的に「受験戦争の勝者」になることに固執する日本人を風刺した作品です。86~94年に『月刊コロコロコミック』に掲載された代表作『おぼっちゃまくん』も、オノマトペ(茶魔語)を連呼するお子ちゃまなのにお金の力にしがみつく財閥の跡取り息子を露悪的に描くコメディでした。「スキゾなくせにパラノ」な人間が、一番気持ち悪いというメッセージを受けとることも可能でしょう。
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  • 宇野常寛 NewsX vol.20 ゲスト:井上岳一「MaaSの正体」【毎週月曜配信】

    2019-02-25 07:00  
    540pt

    宇野常寛が火曜日のキャスターを担当する番組「NewsX」(dTVチャンネル・ひかりTVチャンネル+にて放送中)の書き起こしをお届けします。1月29日に放送されたvol.20のテーマは「MaaSの正体」。日本総研の井上岳一さんをゲストに迎え、海外で運用が始まっているMaas(モビリティ・アズ・ア・サービス)の実例と今後の可能性、そして日本でのライドシェアとも合せた導入までのハードルについてお話を伺いました。(構成:籔 和馬)
    宇野常寛 News X vol.20 「MaaSの正体」 2019年1月29日放送 ゲスト:井上岳一(日本総研) アシスタント:大西ラドクリフ貴士
    宇野常寛の担当する「NewsX」火曜日は毎週22:00より、dTVチャンネルで生放送中です。 番組公式ページ dTVチャンネルで視聴するための詳細はこちら。 なお、弊社オンラインサロン「PLANETS CLUB」では、放送後1週間後にアーカイブ動画を会員限定でアップしています。
    MaaSが都市生活にもたらす移動の自由
    大西 NewsX火曜日、今日のゲストは日本総合研究所創発戦略センター シニアマネージャー、井上岳一さんです。井上さんの専門分野は地域社会デザインの研究。その中でも、次世代交通に注目して活動していらっしゃいます。
    井上 僕は元々農林水産省にいて、ずっと田舎の問題をやっていて、交通の専門家では全然なかったんです。この国のいろんな場所に人が住める社会をつくりたいなと思っていたとき、足(交通)の問題があって、自動運転に取り組み始めたのが5年前です。たった5年間の活動で、自動車の素人の僕が『MaaS』という本を書いたりできるのは、それだけ今の自動車業界が大きく変わっているんだと思うんですよね。今日はそのことについて話したいと思います。
    大西 そして、今日井上さんとともに考えさせていただくテーマは「MaaSの正体」。
    宇野 井上さんが先日出版された『MaaS』という本を、僕も通読させていただいて、非常に勉強になりました。今、都市開発や次世代交通を考えたときに、「MaaS」はある種のバズワードとして、メディアによっては見ない日がないくらいだと思うんですよ。実際にMaaSがどのように進行していて、将来的にどういう存在になっていくのかという具体像を描ける人って意外といないと思うんですよね。なので、今日は井上さんにあらためてMaaSについてレクチャーしてもらいながら、これからの都市生活がどうなっていくのかという話をあらためてしたいと思っています。
    ▲『MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ』
    大西 では、今日もキーワードを三つ出していきます。まず一つ目のキーワードは「MaaSとはなにか」です。
    宇野 最初にMaaSとはなにかをしっかりと視聴者のみなさんと共有した上で、議論に入っていきたいので、井上さん、教えてくださいコーナーから入っていこうかと思います。

    井上 こちらの図をごらんください。従来の交通サービスでは、ユーザーが真ん中にいて、いろんな交通サービスを使っています。最近はカーシェア、配車サービス(ライドシェア)、自転車シェアのような新しい交通サービスも増えてきました。今はこういうものを個別に予約したり、決済したりして使っています。これがMaaSになると、スマホひとつあれば一括して予約から決済までできるようになるんですね。MaaSはモビリティ・アズ・ア・サービスという意味です。モビリティは「移動できること」で、車という意味ではありません。モビリティをサービスとして使う。スマホひとつあればどこにでも行ける、どこでもドアを手に入れたのと一緒だぜ、というのがMaaSになります。こういうものが最近流行っています。まず、これが基本ですね。
    宇野 Googleマップで路線検索をすると、電車やタクシーなど用途に合わせて、いろんな交通手段が出てきますよね。徒歩で行くと40分、車で行くと20分、電車で行くと15分とかね。ああいうものの超ウルトラパワーアップバージョンですよね。
    井上 そういうものが路線検索だけじゃなくて、たとえば、予約や決済などもできるようになる。ちょっと見てもらいたい動画があるんです。

    井上 これはドイツ鉄道がやっている「Qixxit」。MaaSアプリなんですけれども、非常にわかりやすくなっています。スマホひとつあればどこにでも行ける。今の場所からどこかに行きたいときに、一秒あれば、行くための方法がわかる。友達のところに行きたいんだったら、友達を目的地指定の枠に乗せれば、そこに行くための交通手段が出てくる。交通手段だけだったら、今のジョルダンやYahoo!やGoogleでもできるんです。でも、Qixxitはユーザーインターフェースが非常にわかりやすいし、画面の下に価格も出ていて、予約・決済ができるんだよね。その予約・決済も、タクシーと鉄道を別々にやるんじゃなくて、一括して予約ができるようになっています。この、決済までできてしまうというところが、MaaSのひとつの特徴になっています。

    井上 MaaSは2014年頃から言葉としては使われ始めるんですが、2016年にフィンランドで「Whim」というアプリが出てきて、これで一気にバズりました。ユーザーインターフェースとしてははさっきのドイツ鉄道のほうがよくできていて見やすいのですが、検索ができて、いろんな交通サービスが選べるという基本の点は変わりません。では、何が新しいかというと、Whimの最大の特徴は「定額制」を導入したことです。月額499ユーロでヘルシンキ市内の公共交通に乗り放題。タクシーも1回5キロまで乗り放題。月額の定額のプランを買っておけば、定期のように見せるだけでなんにでも乗れる。スマホひとつあれば、なんでもできるというものなんですね。

    井上 実はMaaSの定額制は、インターネットのアナロジーとして構想されたものです。昔のインターネットはモデムで接続している間だけウェブが見られる。その接続時間に課金されていて、最初は従量制だったものが、ブロードバンドになって定額制になった。そうすると様々なコンテンツがパッケージ化されて、AmazonやGoogleなどが出てきて、現在のインターネットのようになっていったんです。同じようなことが交通サービスでもできないかということで、定額制というサブスクリプションモデルを取り入れたのが、モビリティ・アズ・ア・サービスの特徴になっているんですね。
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  • 【インタビュー】坂本崇博「〈仕組み〉に乗っかり〈仕方〉を変える」後編(PLANETSアーカイブス)

    2019-02-22 07:00  
    540pt

    今朝のPLANETSアーカイブスは、コクヨの社員として「働き方改革」をコンサルティングしている坂本崇博さんのインタビューの後編です。日本の企業の「働き方」を変えるためのさまざまな試みや、45歳での「社会的な死」と、その先にある第二の人生。さらに、実践的な「働き方改革」の方法、今あるリソースをフル活用する発想について伺いました。(構成:鈴木靖子)※この記事の前編はこちら。
    別の世界への想像力が自立を促す
    宇野 組織は変えられなくても、自分の「働き方改革」を始めようと考えている人は多いと思います。彼らに対するアドバイスや、上手くいくコツみたいなものはありますか? 
    坂本 基本的には、何でも試してみる精神が大事です。最初から成功させようと思うと萎縮するし、失敗したときはヘコみます。でも、お試しだと思えば、「このやり方では上手くできないという検証結果を発見できた」となる。つまり、失敗ではなくなるのです。  あとは、あまり大きなことから始めない。0から1はそう簡単に生み出せないので、ほかの人がやっていることを取り入れるところから始める。ただし、その中に少しだけ自分のエッセンスを加えるんです。例えば、私は会議や営業ノウハウ本を読んで、少し批判的に捉えて、その本を反面教師に「自分だったらこうする」という一人壁打ちをしています。だから、まず一度は本を読め、セミナーを聴きに行けという話でもありますが、その時常に「自分ならどう話すか、どうやるか」の視点で半分批判的に、つまりアウトプットを想定しながらインプットをすることが大事だと思います。
    宇野 お上は「働き方改革だ!」と旗を振っていますが、それに対して「実態とはかけ離れている」という現場からの批判の声もあります。そこについてはどうお考えですか?
    坂本 「今、流行っているから、とりあえず早く帰れ」というのは改革ではなくて「横並び」であり、それでは従来の働き方と同じです。現状の改革は、全てを一律的に解決しようとしていて、それを受けた従業員の働き方も一律的になってしまう。従業員一人ひとりに、もっと個性を持って動いて欲しいんです。個性を前面に出すことを好まない日本の文化の影響もあると思いますが……。  なぜ、私がそんなことを考えるようになったのかといえば、多分オタクだからです。これまで触れてきた虚構の数が違います。日本の現実社会にはない多様な個性や歴史、思想に触れてきました。現実とは違う世界に自分を置いたり、そのことで自分を客観視してきた経験がある。だから私は、日本人は全員オタクになればいいと思っているんです。どれだけ虚構に触れてきたか、子供の頃にそういう精神世界を持っていたかで、自分自身を確立できるかどうかが、ずいぶん違ってくる。
    宇野 この現実とは別の世界があると思えるか、思えないかですよね。
    坂本 最近「東京イノベーターズ」という異業種交流会を立ち上げたんです。企業内のイノベーターは独立してしまう人が多いんですが、大きな企業に所属しながら頑張っている人もいる。そういう人たちを集めて、「シリアル・イノベーターはなぜ育つのか」を考えていこうという会です。
     実際に社内で改革・新事業創造を進めたことのある10名ほどのメンバーがいて、定期的に「どんな環境でどんな経験をすればイノベーターは育つのか」をテーマにだべっています。面白いことに、メンバーの経歴を聞いてみると、大手メーカー勤務者の場合、6〜7割が労働組合の役員経験者なんですよ。大企業だと一般社員が会社経営に関わるシーンはほとんどありませんが、労働組合の役員になると労使協議会に呼ばれるので、若くても経営陣と話ができる。数字を見せられて会社の経営状態や他部署の状況を知ったり、組合というコミュニティに参加することで、自分の世界はひとつではないことを知る。そういう経験が何かを芽吹かせるんだと思います。  あと、3割の人が何らかの形で死を意識した経験があるんです。地震とか事故とかで。そういう人たちには「人生はめっけもの」「生きてさえいれば何でもできる」「生きているうちに何かやりたい」という感覚があるので、大胆にリスクを取れるのかもしれません。
    宇野 労働組合の役員経験というのは面白いですね。今の労働組合は形骸化していて、昔のようなバリバリの左翼はほとんど残っていませんよね。少額だけど手当が出るとか、たまたまバトンが回ってきたとか、その程度の動機で参加する人が多い。しかし、その機会が、結果的にライフスタイルデザインを自覚的に考えることを促しているわけですね。  今、30代以下の都心のホワイトカラーは、発想や考え方の面では新しいソフトウェアに更新されている人が多い。しかし、会社組織や官僚機構、社会的インフラといったハードウェアは古いままです。そして、彼らはスペック的には優秀であるにも関わらず、なかなか能力を発揮できずにくすぶっている。それは特に大企業に多い印象があって、彼らの中から「自分が変わろう」という人たちがたくさん出てくると面白くなると思います。
    坂本 宇野さんがおっしゃるように、仕組みはそう簡単には変わらないんです。長年の苦労によって、すぐには変化しない構造が作られてきたわけで、簡単に変わるようなら仕組みとはいえない。それは回り続ける巨大な鉄球のようなものです。だったら、その鉄球に乗っかってうまくコントロールすればいい。私の働き方改革のポイントは「今、動いている仕組みに乗っかりなさい」ということです。乗っかるほうが、起動するためのパワーがいらない分、効率的なんですよ。
    宇野 坂本さんは徹底的にハックの思想ですよね。一方で、坂本さんたちの活動の最大の障害、働き方改革の一番の論点は、比喩的に言うと「会社に長く残っていたい人たち」がいることでしょう。会議とは名ばかりの取引先の悪口大会に時間を費やして、生産性は上がらないし問題は1ミリも解決していないんだけど、なんとなく絆が深まった気がする。そういった不毛な時間の使い方が好きな人たちが、この国には多い。これは、正しさの問題ではなくて欲望の問題なので、ここを変えることは難しいと思うんです。
    坂本 まさにそうで、会社に社会を求め過ぎているんですよ。取引先の愚痴なんて、居酒屋で町内会の人たちとしていればいいのに、そういったコミュニティを持っていないから、会社内でやらざるを得ないんです。会社という仕事の場なのに「私事」の部分が多いんだと思います。見方によってはワークとライフの融合と言えるのかもしれませんが、それが今は悪い方に働いていますよね。要は、サラリーマンの「生き様」をもう少し変えないといけないということです。
    45歳の「社会的な死」で第二の人生を生きる
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  • 本日20:00から放送!宇野常寛の〈木曜解放区 〉 2019.2.21

    2019-02-21 07:30  
    本日20:00からは、宇野常寛の〈木曜解放区 〉

    20:00から、宇野常寛の〈木曜放区 〉生放送です!〈木曜解放区〉は、評論家の宇野常寛が政治からサブカルチャーまで、既存のメディアでは物足りない、欲張りな視聴者のために思う存分語り尽くす番組です。今夜の放送もお見逃しなく!
    ★★今夜のラインナップ★★メールテーマ「雪の日の思い出」今週の1本「ファースト・マン」アシナビコーナー「加藤るみの映画館の女神」and more…今夜の放送もお見逃しなく!
    ▼放送情報放送日時:本日2月21日(木)20:00〜21:45☆☆放送URLはこちら☆☆
    ▼出演者
    ナビゲーター:宇野常寛アシスタントナビ:加藤るみ(タレント)
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  • 碇本学 ユートピアの終焉ーーあだち充と戦後日本の青春 第4回 あだち充と少女漫画の時代(前編)

    2019-02-21 07:00  
    540pt

    ライターの碇本学さんが、あだち充を通じて戦後日本の〈成熟〉の問題を掘り下げる連載「ユートピアの終焉――あだち充と戦後日本の青春」。劇画全盛の時代に適応できず、少女漫画誌へと移籍したあだち充ですが、週刊少女コミックは偶然にも、一時代を築いた大御所たちと才能煌めく若手作家たちが交差する場所でした。
     連載自体はあだち充論ではあるが、今回は「少女漫画」の歴史にも触れていく。その理由としては、1975年にあだち充が移籍した形になった週刊少女コミックで、どんな作品が連載されていたのかを知っておくことで、当時の漫画界がどんな状況だったのかがわかるからだ。また、『ナイン』が少女漫画のテイストを持ち込んだことで評価されたという部分を理解するために必要だと考える。  もうひとつは、現在の私たちが知っているサブカルチャーは、当然ながら脈々と続いている歴史の上に成り立っていて、今や当たり前になっている「萌え」や「BL」の始まりに、少女漫画や当時の女性読者たちがいたことを知っておくことは決して無駄なことではないと思うからだ。この時代の少女漫画について知っておくことで、現在の漫画・アニメカルチャーの想像力の始まりの地点にあったものを、多少なりとも理解できるのではないだろうか。
     余談になるが、2年前の2017年3月初旬に、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で日本文学について講義をしていた小説家・古川日出男氏を訪ねたことがあった。授業には参加できなかったが、校内で開催された詩人の管啓次郎氏が教えている学生のワークショップの発表と古川氏と学生たちによる(日本語と英語と中国語の三ヶ国語での)小泉八雲『怪談』の朗読パフォーマンスに呼んでもらった。その際に、古川氏をUCLAに呼んだマイケル・エメリック氏や彼の学生たちとわずかだか交流することができた時に感じたことが大きい。  UCLAの大学院で日本文学を学んでいるような学生は当然ながらエリートであり、いろんな国籍の人がいたが、彼らは日本語で小説を読み、私が英語をがんばって話すこともなく、日本語でのやりとりができた。日本国外で日本文学となると、川端康成、井伏鱒二、谷崎潤一郎、大江健三郎、三島由紀夫などを基礎教養として持っていないと会話にならないという現実がある。そこをわかっていないと、現在の作家へと続く議論はできないと強く感じた。  ちなみに2018年12月に明治大学中野キャンパスで特別シンポジウム「古川日出男、最初の20年」というものが開催され、古川氏をはじめとし12名が登壇した。シンポジウムにはUCLAから来たマイケル・エメリック氏も登壇したが、会場でUCLAを訪れた時に話した生徒の一人と再会をした。彼を含め数名が来日して早稲田大学で日本文学を学んでいるということだった。こういう交流こそが本当の意味での文化交流であり、文化を発信する上で重要なことだと思う。  これは文学の話に限らない。『なぜ日本は<メディアミックスする国>なのか』を書いたカナダの研究者であるマーク・スタインバーグは、80年代の角川書店などを題材にメディアミックスの研究をしている。彼以外にも海外の様々な大学でメディアミックスについて研究が行われているし、そこには当然ながら、日本の漫画・アニメカルチャーの歴史が大きく関わっている。  そして、日本のメディアミックスの歴史を紐解いていくと、そこには第二次世界大戦があり、国民の動員として使われていていた事実がある。「クール・ジャパン」という戦略で完全に抜け落ちていたのは、そういう部分を理解した上で、日本のサブカルチャーが海外でどう受容され、どう影響を与えたのかのきちんとした分析や、海外でそれらが好きな人と話す際に必要な最低限の歴史の認識や理解だったのではないだろうか。  日本文学に興味がある海外の人とコミュニケーションを取る際に、村上春樹作品だけの話をしても当然ながら通じない。戦後日本文学なら最低限、大江健三郎や三島由紀夫についてのバックボーンを理解していないといけない。これから漫画やアニメに関しても、同じようなことがもっと頻繁に起きてくるのではないかと思う。「クール・ジャパン」はコンテンツを売るだけではなく、歴史を含めたサブカルチャーの総体を、海外に広めると同時に、国内にもきちんと伝えるべきだろう。自分が好きな文化の歴史を最低限、知っておくことが、今より大きな意味を持つ時代になってくるはずだ。
    少女漫画はどこから来たのか
     話を本題に戻そう。少女漫画の歴史を遡っていくと、戦前の少女雑誌に行き当たる。まだ少女漫画というメディアがない時代、女学生たちが夢中で読んでいたのは雑誌小説だった。  1899年に高等女学校令が公布され、各県に女学校が設立されたことで「女学生(少女)」という新しい概念が生まれ、出版社にとってはその「少女」は新しい読者層として商売のターゲットになった。この頃の少女雑誌の小説には必ず挿絵がついていて、彼女たちは「読む」ことと「見る」ことを雑誌で楽しんでいた。  現在、ラノベと一般文芸の中間に位置する小説をライト文芸(キャラノベ)と呼ぶが、私たちの祖母や曾祖母の時代から小説には挿絵が描かれ、そこに描かれていたキャラクターを小説に投影して読んでいたと考えることもできるかもしれない。  アール・ヌーヴォーを代表する、現在ならグラフィックデザイナーと呼ばれる仕事をしていたアルフォンス・ミュシャの挿絵やポスターを、与謝野鉄幹と与謝野晶子が刊行していた文学雑誌『明星』(1900~1908年)において、挿絵を担当していた藤島武二が盛んに模倣していたことも知られている。また、彼が手がけた与謝野晶子の歌集『みだれ髪』の表紙もアール・ヌーヴォーを取り入れたものになっている。
    ▲ミュシャ『黄道十二宮』(1897)と『明星』表紙(1902)
    ▲与謝野晶子『みだれ髪』表紙(1901)
     ミュシャと藤島武二の挿絵やポスターを見比べると、少女漫画の絵柄の源流がここにあることがよくわかる。日本において鳥獣戯画が漫画に、浮世絵が少女漫画に大きな影響を与えていると流布されていることが、いかに的外れであるかということは、明治や大正時代の文化を見るとわかるはずだ。  愛国者だと言いながらも、フェイク・ヒストリーを作ることに必死な人たちはどうしてもそういうものを結びつけ、日本の漫画を「クール・ジャパン」と呼んで海外に喧伝したがっている。日本の漫画は明らかに近代以降に諸外国からの文化の影響を強く受けているという事実を、どうしても認めたくないのだろう。大正デモクラシーとそこから派生した文化の影響、手塚治虫が戦時下に自らも投稿した「大政翼賛会」というメディアミックス、手塚がディズニーに出会ったことによって日本の漫画の歴史が大きく動き出したというのは、まぎれもない事実である。これらに関して詳しく知りたい人は大塚英志氏の著作である『まんがでわかるまんがの歴史』『手塚治虫と戦時下メディア理論 文化工作・記録映画・機械芸術』『大政翼賛会のメディアミックス』などを読んでみることをオススメします。
    戦前と戦後の少女漫画
     戦前の少女たちに人気があった挿絵家の筆頭は、中原淳一だった。竹久夢二の抒情画の伝統を引き継ぎながら、西洋風の雰囲気を加えることで、新しい独自の世界観を作り出していた。中原の描く少女は長い手足に、大きな潤んだ瞳、そしてリボンを頭に添えていた。ここから現在に至る少女的なイメージの原型が共有されていくことになった。
    ▲『中原淳一の女学生の服装帳』。現在でも企画展が開催されたり、LINEスタンプが発売されるなど、根強い人気がある
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  • 御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記 第24回 香港の春節と日本の大晦日

    2019-02-20 07:00  
    540pt

    香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。日本の正月にあたる春節(旧正月)を迎えた香港。周庭さんたち香港衆志は歳の市に出店し、干支にちなんだイノシシのデザインのグッズを販売することで、政党の理念のPRに努めたようです。(翻訳:伯川星矢)
    春節おめでとうございます!
    日本の新年と同じように、春節は香港最大の祝日でもあります。 わたしたちはいつも通り、香港最大の歳の市ーーヴィクトリアパーク歳の市で出店をし、イノシシ年のグッズ販売しながら、わたしたちへの応援を呼びかけました。

    今年は、布バック、ハンカチ、Tシャツ、デコテープと、わたしたちの理念がプリントされている旗を販売し、とても良い売り上でした。 特に布バックは、今年の干支であるイノシシ年に合わせて、香港人にもっと社会や時事に関心を持ってもらいたいと思って作ったもので、「今年はもう“香港ブタ”にならない」をテーマとしています(「香港ブタ」とは最近流行り始めた単語で、社会に無関心、流されるままの香港人を意味しています)。

    わたしたちは毎年、社会に関するさまざまなテーマでグッズをデザインし販売しています。例えば今年のTシャツでは、泣いているイルカのイラストを印刷し、政府の埋め立て計画が海の生態を破壊していることと、香港の海域周辺に住むシナウスイロイルカが帰る場所を失ったことを表しています。 そして、デコテープには、わたしたちが幼い頃よく歌っていた「ゴジラ版国歌」(※注)の歌詞が印刷されています。政府がこれから進めようとしている「国歌法」では、国歌の歌詞の改変が違法となりますが、それが一般市民の表現と創作の自由を侵害していることを表しています。 「国歌法」はすでに立法会に提出され、審議中となっています。審議の初日(2019年1月末)に、わたしたち香港衆志は政府本庁前の「公民広場」に突入し、フラッグポールに「歌わない自由」と書かれた横断幕を掛け、国歌法によって表現の自由が制限されることに対して抗議しました。
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  • 『消極性デザインが社会を変える。まずは、あなたの生活を変える。』第9回 Google FormでSHYHACK(簗瀬洋平・消極性研究会 SIGSHY)

    2019-02-19 07:00  
    540pt

    消極性研究会(SIGSHY)による連載『消極性デザインが社会を変える。まずは、あなたの生活を変える。』。今回は簗瀬洋平さんの寄稿です。ECシンポジウムで毎年恒例となっているオーガナイズドゲームでの昨年のチャレンジ。そして、講演依頼で発生する気を遣うやりとりを軽減する「講演依頼フォーム」のアイディアについて語っていただきました。
    オーナガイズドゲーム2018
     みなさんこんにちは。消極性研究会の簗瀬です。第2回メールマガジンからだいぶ時間が経ってしまいました。前回のメールマガジンでは学会を楽しくし、記憶に止めるための工夫としてゲームデザインの知見を使うことについてお話ししました。その最後にオーガナイズドゲーム2018の報告は次回、と書いていましたので早速その話に入りたいと思います。
     前回までのおさらいをすると、エンターテインメントの研究をしている学会なのだから、学会そのものを楽しませる仕組みにしようということで始まったのがオーガナイズドゲームです。それまでは講演者を殺した犯人を探す脱出ゲーム形式のもの、参加者同士でパーティを組んで強いチームを作り、最後に魔王と戦うRPG形式のものなどいろいろやってみましたが、消極性研究会の視点から見ると「積極的に情報交換をし、参加していかないと十分に楽しめない」という欠点がありました。そこで新しい試みをしてみようと考えたのがオーガナイズドゲーム2018でした。
     情報処理学会エンタテインメントコンピューティング (EC) シンポジウム2018は東京都調布市にある電気通信大学で行われました。今回のオーガナイズドゲームはシンポジウムのスポンサーである架空の大富豪を満足させるためにコインを集めるという体で、発表や質問、デモの体験など学会の基本的な活動に参加するとポイントが得られるというシステムを導入しました。最終的にポイント総量が一定を超えると目標クリア! と、いうことです。
    ▲情報処理学会エンタテインメントコンピューティング (EC) シンポジウム2018 オーガナイズドゲーム
     これだけではゲームに興味ない人が参加する動機が面白みだけになってしまうので、使用するアプリケーションにはそれぞれの発表に対して匿名で質問できるシステムや、良い質問に対していいね!がつけられるシステムも実装されています。このように、消極的な人たちだけを対象にするのではなく、誰もが便利に使えるようなシステムが積極的になれない人に対して効果を及ぼす、という形になっていればみんなに楽しく使ってもらえるはず……でした。
     結論から言うとこのシステムを使った盛り上がりは「まあまあ」というところでした。  それまでのオーガナイズドゲームはやはりゲームという形を使うことにより参加者に対してワクワクさせるものがありました。それを日常使うシステムの中に溶け込ませてしまうと、非日常感がなくなって実務的なソフトウェアとして目の前のシステムを見るようになります。このシステムそのものは電気通信大学の学生さんが短期間で作ってくれたものなのですが、やはり我々が日常的に使っているシステムのような完成度を持っているわけではありません。私自身はゲーム開発の経験から得てきた「楽しい、面白い」という感情が様々な技術の未熟さを隠してくれるということをよくわかっていたはずなのですが、その辺りを軽視してしまったのは大きな反省点です。
     積極的になれない人のためにちょっと変わったサービスやシステムを作る、というのはShyhackの中でも大きな仕事の部類ですが、当然それらは導入障壁が低く、使い続けやすいものでなければ多くの人に使ってもらうことはできません。大きな大義の前に当たり前のことを忘れないよう気をつけたいと志を新たにしています。
     なお、最近様々なカンファレンスで使われていますがイベント用のルームを作り、匿名で質問をするシステムがいくつか出てきていますね。例えばSli.doなどが代表的です。
     自力でシステムやサービスを作れることはそうそうありませんから、日頃からこういった外部のサービスを活用するShyhackの知見を積み重ねて行くのも良いですね。
     オーガナイズドゲーム2018のポイントは以下でした。
     ・システムを使って学会への参加をポイントとして評価する  ・ポイントを使った協力イベントを用意し一体感を高める  ・実用システムには一定以上のクオリティが必要  ・逆に「遊び」感を出すとクオリティの負担が下がる
    講演依頼に関するやりとりの労力を削減する
     私は講演や講義、学生発表の講評などであちこち呼ばれる事が多くあります。数えてみたところ2018年の1年間でおおよそ70回ほど様々なイベント、学校などに行って話をしたり聞いたりしています。多くは必要な情報を過不足なく送ってくれるのですが、中にはあまり依頼に慣れないのかやりとりに手間と時間がかかってしまうケースもあるわけです。  そこでこういった情報が欲しい、ということを簡単にまとめてTweetしたところ大きな反響がありました。
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