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記事 28件
  • 【2月第1週号】PLANETSチャンネルの配信予定のお知らせ

    2021-01-31 09:00  
    いつもPLANETSチャンネルをご視聴いただき、ありがとうございます。
    今週は人間拡張研究の第一人者である情報工学者の暦本純一さんをお招きした遅いインターネット会議をはじめ、独自の角度と既存のメディアにはできない深度でお届けしていきます。 また、今週の傑作選アーカイブは、慶応義塾大学 医学部教授の宮田裕章さんをお招きした「データサイエンスで共創するニューノーマルの世界」です。こちらは1週間の期間限定公開ですので、お見逃しなく!
    ------------------------------------------ 【2月第1週のスケジュール】 ------------------------------------------ 2/2(火)19:30〜 『発明の条件』を考える | 暦本純一 配信はこちら▶︎ https://live2.nicovideo.jp/watch/lv330
  • 【重要】2月から過去のブロマガがすべて読み放題になります!

    2021-01-30 09:00  

    いつもPLANETSチャンネルをご視聴いただき、ありがとうございます。
    2012年からお届けしてきた「Daily PLANETS」が、2021年2月1日から入会月によらず読み放題になります。現在連載中の落合陽一「マタギドライヴ」をはじめ、これまでお届けしてきた1800本以上の記事が対象です。
    気になる連載や記事は、STAY HOME期間にぜひ一気読みしてみてください!
    ▼これまでのブロマガ一覧は以下よりご確認ください▼https://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga
    なお、読み放題サービスへの切り替えに伴い、2/1(月)9時〜15時の間、サイトメンテナンスを行います。そのため、該当時間はPLANETSチャンネルへはアクセスいただけなくなります。 また、読み放題サービス開始に伴い、これまで不定期に配信していたPLANETSアーカイブスは終了となります。
  • 男と髪|井上敏樹

    2021-01-29 07:00  
    550pt

    平成仮面ライダーシリーズなどでおなじみ、脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』。今回はずばり、髪の話。薄毛の話から、美容院、床屋にまつわるエピソードを綴ります。
    「平成仮面ライダー」シリーズなどで知られる脚本家・井上敏樹先生による、初のエッセイ集『男と遊び』、好評発売中です! PLANETS公式オンラインストアでご購入いただくと、著者・井上敏樹が特撮ドラマ脚本家としての半生を振り返る特別インタビュー冊子『男と男たち』が付属します。 (※特典冊子は数量限定のため、なくなり次第終了となります) 詳細・ご購入はこちらから。
    脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第62回 男 と 髪     井上敏樹 
    五十過ぎの男が何人か集まると、大体ふたつの事柄が話題に登る。インポテンツとハゲである。『最近おれの王子は自律神経失調症だ』『それはそれで楽でいいではないか』だの『お前、最近額が後退して来たな』『そう言うお前は天辺が寂しいぞ』だのとお決まりの会話が繰り返される。頭と股間では位置が遠いが、この両者の関係は実に深い。たとえば飲む育毛剤なるものがあって、これを服用すると股間がショゲる。頭髪は立つが珍宝はうなだれるわけだ。飲む育毛剤が男性ホルモンを抑制するせいである。男性ホルモンは頭髪の大敵なのだ。胸毛となると逆に男性ホルモンが栄養になる。胸毛のある男にハゲが多いのはそのためだ。頭髪と胸毛では、ホルモンが逆の作用を及ぼすのが面白い。
    王子の問題はさておき、私も頭髪の方が最近あやしい。ハゲというのではないが、髪の毛が細くなって力がない。透けている。若い頃は思ってもみなかった事である。父や祖父も死ぬまでハゲる事はなかったので、安心していたのだが、数カ月前に美容院に行ったら、『少し薄くなって来ましたね』と美容師に言われた。不快である。
    ■PLANETSチャンネルの月額会員になると…・入会月以降の記事を読むことができるようになります。・PLANETSチャンネルの生放送や動画アーカイブが視聴できます。
     
  • 公式ストアで書籍を買うとお好きなオンライン講座の回を視聴できます!【三宅陽一郎『人工知能が「生命」になるとき』】

    2021-01-28 08:00  
    ゲームAI研究者・三宅陽一郎さんの新刊『人工知能が「生命」になるとき』(PALNETS)が引き続き、好評発売中です!
    こちらの書籍を、PLANETSの公式オンラインストアからお求めいただくと、刊行を記念して開催したオンライン講座のうち、お好きな回を一つ選んでご視聴いただけることになりました。
    書籍とあわせて、ぜひお楽しみください。
    オンライン講座の概要
    三宅さんが、これまで開催してきたイベントシリーズ「人工知能のための哲学塾」の特別版として、人工知能にまつわるさまざまな立場のゲストをお招きし、本書の刊行を記念したオンライン講座を行いました。
    PLANETS公式オンラインストアから本書をご購入いただくと、全4回のこの講座のうち、お好きな回を一つ選んで、ご視聴いただけます。
    詳細は書籍のページをご覧ください。
    第一夜 哲学編──東西哲学の叡智が融合する場としての人工知能
    ゲスト:大山匠(哲学研
  • VCDと情報誌が育んだ中国アニメ・ゲーム文化|古市雅子・峰岸宏行

    2021-01-28 07:00  
    550pt

    北京大学助教授の古市雅子さん、中国でゲーム・アニメ関連のコンテンツビジネスに10年以上携わる峰岸宏行さんのコンビによる連載「中国オタク文化史研究」の第4回。1995年の外貨兌換券の廃止前後、中国国内にも市場経済の恩恵が行き渡り、一般家庭にビデオCD(VCD)デッキが爆発的に普及します。そこから映画やアニメを中心とした大量の海賊版コンテンツが流通するようになるなか、日本産のゲームやアニメを紹介する情報誌が次々と創刊。現在に続く中国オタク文化の礎を築いていきます。
    古市雅子・峰岸宏行 中国オタク文化史研究第4回 VCDと情報誌が育んだ中国アニメ・ゲーム文化
     1990年代は日本アニメの黄金期の一つで、国際的にも多くの作品が注目を集め、ブレイクしていった時期にあたります。そして中国では、外貨兌換券が廃止され、家電製品が普及するなか、ビデオCD(VCD)を通して大量の日本のアニメとゲームが流入した時期でもあります。また、挿入歌やBGMを収録したCD、キャラクターグッズ、プラモなども多数販売されました。大量のコンテンツから好きな作品を見つけるために、また、アニメやゲームについて論じるために、情報誌が続々と創刊され、大きな影響力をもちました。
    1.兌換券の廃止
     1995年、中国の消費を変える大きな出来事が起きます。1月1日をもって、15年続いた兌換券が廃止されたのです。  中国では、物資の不足と外貨管理を理由に、1980年から通常の人民元とは別に兌換券を使用していました。そもそも主食や油、肉などは配給制で、「糧票」と呼ばれる主食用チケットに代表される様々なチケットと引き換え制でしたが、まずそれが徐々に地方から廃止されていき、1993年に正式に全廃となります。しかし兌換券は95年までかかりました。  兌換券とは、正式名称を外貨兌換券(外汇兑换券)といい、人民元と等価値で、外国人が中国で消費活動を行う際に使用する紙幣を指します。中国銀行しか発行できない紙幣で、外貨はすべて人民元ではなくこの兌換券に換金し、国内で使用します。この時代、中国では外国人と中国人ははっきりと区別されており、列車のチケット、観光名所の入場料などにはすべて外国人向けの高い価格と中国人向けの安い価格、時には2倍以上の差がある二つの価格が存在し、外国人が宿泊できるホテルも限られていました。外国人向けの場所では基本的に兌換券しか使用することはできません。価格が違うということは設備やサービスも異なるため、中国人にとっては兌換券をもち、そうした場所に出入りすることは大きな憧れでした。そして当時、この兌換券でしか購入できないものがありました。洋酒や高級たばこ、テレビや洗濯機、冷蔵庫などの家電製品、高級腕時計などは、今も存在する友誼商店と呼ばれる外国人向けの商店にしかなく、そこでは兌換券でしか買い物ができませんでした。兌換券を持つ外国人は、まさに特権階級でした。  そのため、人々はなんとか兌換券を手に入れようと必死になります。闇ルートができ、等価ではない高い値段で兌換券を入手できたり、兌換券で買うよりも高い値段で家電製品をこっそり販売したりする人が出てきます。貴重な海外出張の機会を持てた人は、親戚や友人を総動員してお金をかき集め、家電製品をまさに背負って帰国しました。90年代になると、兌換券は徐々に形骸化し、テレビや冷蔵庫を入手する人も増えてきます。  1995年、製造業が軌道に乗り物資の供給にも余裕があらわれ、外貨準備高も少しずつ増えてきたため、兌換券はようやく廃止されます。つまり中国は、95年になってようやく、お金があれば誰でも自由にテレビを購入できる時代になったのです。95年以降、テレビを始めとする家電製品は販売台数を増やしていき、2000年前後には、中国の90%以上の家庭にテレビが普及することとなりました。
    2.VCDの登場
     1990年代に入り、カラーテレビは沿岸部を中心に少しずつ普及していきました。そして上海や広州等南方の沿岸部にVHSデッキが登場しますが、空テープが一本100元以上と中国でも非常に高価で、広がりませんでした。100元は当時の一般的な家庭収入の1/3に相当し、18インチテレビとVHSレコーダーを購入すると総額5000元にもなります。VHSテープの国産化により価格が30元まで下がると、VHSも普及し始め、VHSレンタル屋が登場し、限られた一部の裕福な層の娯楽として定着していったようです。1995年にはガイナックス作品の『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(1987年)の海賊版VHSが発売されていたことから、一定数は普及していたのではないかと考えられます。日本でもおなじみのレーザーディスクは、中国ではVHS以上に高額で6000元もしたため普及には至りませんでしたが、ハリウッド映画『トゥルーライズ』(1994年)、『ザ・ロック』(1996年)等何本かがLDで発売されています。
     そして1993年、万燕(Wyan)という電子機器メーカーが「活動図像光盤播放機」としてVCDデッキを発売します。VCDとは、MPEG1かMPEG2で制作されたCD-ROMです。
    ▲世界で初めてのVCD機器 (参考記事:https://m.zol.com.cn/miparticle/5206782.html)
     アメリカに留学していた中国人研究者、姜万勐、孫燕生の両氏が1992年にアメリカで発表されたMPEG形式の映像を収めたCDを再生する機器から着想を得たといわれています。両氏は安徽に会社を作り、巨額の投資を行って中国市場にVCDを流行らせようとしました。93年に1000台を発売しますが、これらは国内メーカーの買い占めにより即完売。買い占めたメーカーはデッキを分解して構造を研究,そもそも単純な構造の機械だったので、多くのメーカーが模倣してVCDデッキを製造、より安い値段で販売をはじめました。万燕はVCDデッキを開発したにもかかわらず、投資額が大きかったがために販売価格を高くせざるを得ず、さらに特許の申請もしていなかったため、すぐに埋没していきました。今ではその名を知る人も多くありません。当時の中国人の知的財産に対する知識の無さ、市場経済に不慣れな様子がよくわかる出来事です。この事例は、中国は模倣ばかりでイノベーションは起きないと言われていた2010年頃までは中国でもイノベーションはできるという事例として評価され、それ以降は市場経済に対する知識と経験のなさを反省する事例として取り上げられています。
     VHSやレーザーディスクは庶民には価格が高く、日本をはじめとする先進国はDVDの開発が視野に入っていたためVCDには手を出さず、結果としてVCDはアジア諸国を中心に爆発的に広まりました。しかしそれだけが理由ではありません。VCDがここまで広がったのは、万燕がVCDデッキを販売するにあたり、11の映像出版社から版権を購入し、97種類のカラオケのVCDを同時に販売したからです。VCDは、カラオケができて映画も見れる電化製品として大ヒットしました。
     1995年に60万台だった販売数は96年には600万台、97年には1000万台を超えました。その裏には膨大な量の海賊版VCDがあります。万燕のデッキをいち早く分解し、真似して組み立てた機器の販売をはじめたのは広東省の人たちだったといわれています。海賊版VCDも香港経由のものが多かったのでしょう。そのためか、まだあまり海外作品やホラー映画の上映が多くなかった中国で、ジャッキー・チェンやチャウ・シンチーを始め、キョンシー映画や、アーノルド・シュワルツェネッガーやシルベスター・スタローンの作品にVCDで触れた人が数多くいました。  VCDは中国全土の一般家庭、それからレストランなどで、カラオケができるビデオデッキとして受け入れられ、マイクもセットで販売されていました。映画はもちろんですが、実はこのカラオケの他に、VCDを普及させたコンテンツが3つあります。アニメ、ゲーム、そしてポルノです。ポルノについては表立っては語られませんが、当時香港には海賊版AVが大量に出回っていました。それが入ってきたのだと思います。デッキの購入には父親が積極的で、夜になると暗い部屋からテレビの明かりがぼうっと漏れていて、なかをのぞくと父親が一人テレビの前に座っていたという幼少の記憶がある人は数多くいます。  次に、アニメです。テレビで放送されるよりもはるかに多くのアニメが海賊版VCDとして出現しました。TVアニメだけではなく、劇場版などもありました。VCDは容量が少ないため最大74分程度しか収まらず、映画1本につき2〜3枚は必要になります。TVアニメのVCDは1話だけを収めたものや、劇場版アニメや映画には、映画館に行ってスクリーンを撮影したものまでありました。枚数が多いので、一度に数枚をセットして順番に再生できるプレイヤーなども出現します。最も人気のあった機能は、「エラー修正」です。そもそも粗悪な海賊版を読み込むため、クリーニングキットは必須でした。ディスクを読み取るレーザーヘッドもすぐに汚れます。新しいVCDを再生するには、まずクリーニングキットなどでディスクの汚れを取らなければいけません。傷がついてないか、購入する時にしっかり確かめることも必要です。筆者の経験からいうと、食器用洗剤でディスクをなで洗いするのが一番効果的でした。それでも読み込めなかったり、途中で詰まることがあります。「エラー修正機能」がついているデッキは詰まることが少なく、必須の機能となりました。2002年のお正月映画『ハッピー・フューネラル』では、お正月映画の顔、国民的人気俳優、葛優が皮肉交じりにこんなセリフを言っています。「スーパーエラー修正とはつまりスーパー海賊版だ。正規版は修正なんか必要ない」。
     数少ない正規版VCDは、日本で一般的に使われるプラスチックのケースに入れられて書店で数十元から100元と高い値段で売られていましたが、海賊版VCDは薄いビニールの袋に滲んだ印刷のカバーとともに入っていて、路地裏の小さな店で1枚10元前後で売られていました。レコードを1枚1枚めくってほしいものを探すように、VCDを1枚1枚めくってほしいタイトルを探していると、指先が黒く汚れます。カバーのコピーだけがファイルに収められ、ファイルをめくってほしいものを探し、店員に伝えてVCDを出してもらう形式の店もありました。しかし1枚10元と言ってもそうたくさん買えるわけもなく、レンタルVCD屋もあちこちにありました。      もう一つ、VCDの爆発的な普及の後押しとなったのが、ゲームです。VCDデッキの競争が激化し、エラー修正機能など各メーカーがしのぎを削るなか、高性能をうたうデッキが出現します。98年に裕興というメーカーが、「パソコンVCD」なるものを発売しました。このVCDデッキには通常のリモコンのほかにキーボード、マウス、ゲーム用コントローラー二つ、より高価なラインにはフロッピーディスク・ドライブがついたものまであり、「勉強、インターネットにゲーム」という触れ込みで学習用として販売されました。
    ▲裕興「電脳VCD」351D型(『裕兴电脑VCD : 游戏机在中国走过的另一条路』より)
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  • 「マヂカルラブリーno寄席」で感じた苦悩|高佐一慈

    2021-01-27 07:00  
    550pt

    お笑いコンビ、ザ・ギースの高佐一慈さんが日常で出会うふとしたおかしみを書き留めていく連載「誰にでもできる簡単なエッセイ」。今回は、元旦に開催されたお笑いライブ「マヂカルラブリーno寄席」について。コロナ禍でお笑い界でもオンライン配信が一般化するなか、17483枚という驚異的な売り上げを記録したイベントで高佐さんが陥ったジレンマとは……?
    高佐一慈 誰にでもできる簡単なエッセイ第13回 「マヂカルラブリーno寄席」で感じた苦悩
     1月1日。元日。お笑い芸人の配信ライブにとって、超異例のモンスターコンテンツが誕生した。それがタイトルにある、マヂカルラブリーno寄席である。  PLANETSの読者の何割くらいがお笑いに興味があるのかわからないが、マヂカルラブリーの名前は聞いたことがあるのではないだろうか。そう、昨年のM-1グランプリ2020のチャンピオンだ。吉本興業所属。  吉本では毎年1月初旬に「○○no寄席」というタイトルで各芸人が自分たちの名前を冠に、好きな芸人を呼んでネタライブをするというのが通例になっている。僕たちザ・ギースもASH&Dという別事務所ではあるが、毎年誰かの寄席ライブに呼んでもらっていて、そのうちの一つであるマヂカルラブリーno寄席にはなぜか毎年呼んでもらっている。主催のマヂカルラブリーの野田クリスタルくんとは、15年以上も前、僕らがまだフリーの(事務所に所属していない)頃にインディーズのライブでたまに一緒になっていたからだ。その時の野田くんはまだピン芸人で、ガリガリの体に白いタンクトップ、長髪という今とは全く異なる出で立ちで奇想天外なネタをやっていた。  17483枚。このライブ配信のチケット売上枚数である。聞くと、吉本さんの配信ライブでは歴代1位とのこと。平均どのくらい売れるとペイできるのかはそのライブによって異なるが、このライブを行なった会場のキャパは300席弱。2ヶ月間毎日満席にしたのと同じくらいの動員数である。昨年から続くコロナ禍によって、お笑いライブの形式も配信スタイルが普遍的になり、この状況にもう飽き飽きしてきている中での目が覚めるような爆発的売れ行き。まだまだ配信ライブにも可能性があるんだと思わされたライブ。なぜここまでチケットが伸びたのかは様々な要因がある。一つは主催のマヂカルラブリーがM-1で優勝したこと。また一つは、無観客配信をいいことに、出演する芸人も客席に座りながら、ネタをやってる芸人に対して言いたい放題ヤジを入れるスタイルになったこと。普通、無観客生配信だと、客席にスタッフさんや芸人が座ったとて、配信画面の向こう側でネタを楽しみに見ている視聴者の邪魔をしないように、笑い声こそあげれどおとなしく見ているのがマナーというもの。そのタブーを破り、ネタをしている芸人にヤジを飛ばし、そのヤジを聞いたネタ中の芸人が笑ってしまい、もっと言ってやれの空気になるという相乗効果。他にも、出ているメンバーだとか、ヤジのクオリティの高さだとか、細かい要因を挙げればキリがないのだが、もともと700枚ほど売れていたチケットが、さらに口コミに口コミを呼び、結果17483枚販売というお化け配信になった。ちなみにそのうちの2枚は僕と僕の奥さんだ。  今回僕が言いたいのは、何もこんな歴史的快挙の配信に僕らも携わっていましたよ!と声高に自慢したいわけではない。その時の僕自身の振る舞い方、身の置き方について、これがなかなかどうして難しいなあと思ったのだ。
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  • 『花束みたいな恋をした』── 恋の終わりは苦いもの、だけじゃない|加藤るみ

    2021-01-26 07:00  
    550pt

    今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第12回をお届けします。今回ご紹介するのは『東京ラブストーリー』『最高の離婚』『カルテット』などで知られる脚本家・坂元裕二脚本の『花束みたいな恋をした』です。終電を逃し、偶然出会った大学生ふたりが、恋に落ち、同棲し、社会人になっていく、その過程を丁寧に描いた本作。20代前半に新宿ルミネのお笑いライブに足を運び、映画を愛し、部屋でレコードを聞く日々を過ごしていたるみさんには深く深く突き刺さったそうで……?
    加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage第12回 『花束みたいな恋をした』── 恋の終わりは苦いもの、だけじゃない
    あけましておめでとうございます。 加藤るみです。
    年々、1年が過ぎるスピードが凄まじく速くなっている気がします。
    こんなことを言うようになり、なんだか歳を取ったなぁとしみじみ思いますが、この前、旦那とふと年齢の話になったときに、「アラサーのるみちゃん」というワードが出まして。 現時点で25歳なので、アラサーっちゃアラサーなんですが、アラサーという言葉の存在感に胸をズキズキさせられました。アラサーという言葉は遠い日のことだと思っていたのに……。
    でも、なんだかしっくりくる、ラジオネームのような「アラサーのるみちゃん」。
    まあ、年齢なんて数字に過ぎないと思っているので、アラサーだろうがなんだろうが今年もアンチエイジングに励みつつ、楽しく生きれたらなと思います。 さて、そんなアラサーのるみちゃん(結構気に入っている)が2021年一発目に紹介するのは、こちらの作品。
    坂元裕二さん脚本、菅田将暉さん×有村架純さんのW主演で贈る、2020年の東京を舞台にしたラブストーリー『花束みたいな恋をした』です。

    これは……とんでもない映画でした。 11月初旬に試写で観たんですが、かれこれ3ヶ月くらいずっと頭の中にこの映画が残っています。 多分、10代後半〜20代前半にどんな恋をしてきたかとか、どんな環境にいたかとか、人によってこの映画の刺さり方は変わってくると思うんですが、(それはどんな映画でもそうですね)少なくとも、20代前半を東京で過ごし、ヴィンテージチャンピオンを着て中野周辺を徘徊し、月1くらいで新宿ルミネのお笑いライブに行き、映画を愛し、サブカルにまみれた部屋でレコードを聴いていた私には刺さりすぎました。いや、突き抜けました。
    この物語の既視感は、もはや「私の再現ドラマでは?」と思うほど。 めちゃくちゃ恥ずかしくて、見ていられない気持ちになりました。
    思い出したくもない過去なのに、思い出されて仕方がない。 そんな矛盾した感情に掻き乱されながら、ラストでは爽やかに泣けるという、 私と同じ今20代くらいのサブカル民の仲間たちには、覚悟して観てもらいたい映画です。
    舞台は東京。 京王線明大前駅で終電を逃したことから偶然出会った大学生の麦(菅田将暉)と絹(有村架純)。 好きな映画や音楽がほとんど同じという、似たもの同士の二人はあっという間に恋に落ち、二人が大学生からフリーター、同棲、社会人になるまでの事細かな日常のリアルを描いています。 出会いから別れという物語の流れは、爽やかさをプラスしたカップル版『マリッジ・ストーリー』のような作りになっています。
    ©2021『花束みたいな恋をした』製作委員会
    前半は、菅田将暉さん×有村架純さんが贈る『ときめきメモリアル』。 愛おしすぎる、ごく普通の日常を切り取っていて、それも日本を代表する若手俳優の二人がとびっきり、ありったけの演技をするのだから、良くないわけがないんですよ。 これを見たらきっと、男性は有村架純さんが元カノに見えて、女性は菅田将暉さんが元カレに見えてくると思います。現に、私は菅田将暉さんが元カレだったんだと思い込んでいます(笑)。 女子同士で観に行ったら、「菅田将暉、私の元カレだ!」論争が起きること間違いなし。
    麦と絹の何気ないデートの内容は、the大学生な感じなんですが、ポップな演出が効いていていちいちサブカル女(私)のツボを抑えてくるんですね。
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  • 1/29(金)放送!『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を観ながら実況します

    2021-01-25 19:30  

    1/29(金)の夜に、宇野常寛がAmazonプライムビデオで『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を観ながら実況をする生放送を行います。
    『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開延期となり寂しいこの頃ですが、『Q』を観ながらこれまでの新劇場版について振り返りましょう。
    ※同時間帯に、「金曜ロードショー」で『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q TV版』が放送されていますが、本番組で視聴するのはAmazonプライムビデオで配信されているバージョンです。
    ご自宅でステイホームしながら、二窓で一緒に映画を視聴してください。
    ご視聴はこちらからhttps://live.nicovideo.jp/watch/lv330190885
    ▼放送日時 1/29(金)20:40〜 (映画は21:00頃から視聴開始します)
    ▼出演者 宇野常寛(評論家・PLANETS編集長) ほか
    ▼『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』Amazo
  • サッカー人気が過熱する中で始まった野球漫画『H2』| 碇本学

    2021-01-25 07:00  
    550pt

    ライターの碇本学さんが、あだち充を通じて戦後日本の〈成熟〉の問題を掘り下げる連載「ユートピアの終焉──あだち充と戦後日本の青春」。今回から、1990年代を代表する野球漫画となった『H2』の読み解きです。Jリーグ開幕でサッカー人気が過熱するなか、あえて国民的ヒット作『タッチ』以来の野球&ラブコメという王道テーマへの再挑戦となった本作の成立背景と作風の特徴に迫ります。
    碇本学 ユートピアの終焉──あだち充と戦後日本社会の青春第16回(1) サッカー人気が過熱する中で始まった野球漫画『H2』
    1990年代を代表する野球漫画『H2』
    『タッチ』以来となる野球漫画『H2』は、前作『虹色とうがらし』の連載が終了してから、わずか4ヶ月後に連載が開始された。『H2』は「少年サンデー」1992年32号から1999年50号まで連載され、コミックスは全34巻まで発売された。 コミックス全34巻中、高校一年生編は1巻の第1話「おれの青春だよ」から9巻「まァ、いいさ」まで、高校二年生編は9巻「スタート!」から28巻「絶好調」まで、高校三年生(夏まで)編は28巻「土をまいているの」から34巻最終話「最初からないのよ」までとなっている。 「ゲッサン」で連載中の『MIX』は、2012年6月号から現在まで連載が続いており、連載期間では『H2』よりも長くなっている。しかし、『MIX』は月刊連載(何度か休載している)であり、連載回数があだち充作品で最も多い作品は今のところ、『H2』となっている。
    1980年代には『タッチ』、1990年代には『H2』、2000年代には『クロスゲーム』、2010年代から2020年代には『MIX』。1980年代以降、あだち充はその時代の読者にとって、代表的な野球漫画を描き続けていることになる。それぞれの作品の合間には、あだちが好きなものを楽しんで描いた作品がいくつか存在する。あだち充が自らのコンディションやモチベーションを維持するという意味でも、合間の作品は必要不可欠なものだった。
    『H2』が長期連載になった要因のひとつは、前作にあたる合間の作品である『虹色とうがらし』を描いたことだった。『虹色とうがらし』から『タッチ』や『ラフ』の時とは違うピッチングフォームにガラリと変えたことで、いろんな意味でリセットをすることができたと、インタビューであだちは答えている。また、この連載の終わり近くになってからは、『タッチ』の担当編集者でもあった三上信一が「少年サンデー」に帰ってきて、再びあだちの担当編集者になったことも『タッチ』以来の野球漫画を描くことにも繋がったのだろう。

     当時サッカーJリーグが開幕した頃で、実はサッカー漫画にしたいという要望もありました。Jリーグの開幕戦も無理やり観に行かされました。でもやっぱり僕は、間のないスポーツがダメなんです。タイムアップがあるのもね。作風的にも合わなかった。それはいまだにそう思います。  だから、比呂が高校で野球を始める前にサッカー部に入るのは、完全に当てつけ。周りがあまりにもサッカーサッカーとうるさかったから。当時のサッカー熱は異常だった。〔参考文献1〕
     試合全体の結果については、最初に考えて始めることは一度もないんです。ここで三振を取ったほうが面白い。それなら次の打席ではどうしたらいいかなというくらいです。野球はスリーアウトを取るまでわからないんだから、どうにでも描ける。いくらでも逆転可能。そういう可能性が最後まであるスポーツは助かります。  サッカーは残り3分で5点差なら、そこでゲームは終わってますから。サッカーファンに嫌われると困るので細かいことは言いませんが。美意識や生き方で、やはり時代劇好きで、義理、人情好きの漫画家は、野球のほうが相性がいいみたいです。〔参考文献1〕
     前半の、千川高校のサッカー部と野球愛好会の野球の練習試合なんて、ほんとデッタラメだよね。でもこの試合のおかげで木根竜太郎というキャラクターが立ったし、この試合自体でちゃんと野球の面白さを描いてます。〔参考文献1〕

    1991年11月に「社団法人 日本プロサッカーリーグ」(略称「Jリーグ」、2012年より公益社団法人に移行)が設立され、1993年の5月には初年度のリーグ戦が開始された。日本中が「Jリーグ」フィーバーに沸いた。 著者は当時小学生だったが、それまでサッカーに興味なかった同級生たちが、それぞれお気に入りのチームのアイテムを買ったり、下敷きなどの文房具を「Jリーグ」のチームのものにしたりしていたのを見た記憶がある。その流れはやがて、日本代表戦への過熱な応援にも向かっていき、初のW杯出場へと日本を導くことになった。 同時に、サッカー日本代表の応援が、少しずつ違う形となって日本の中でファシズム的なものを形成していく要因のひとつにもなったように感じている。
    話を戻すと、『H2』連載開始前には、あだちと「少年サンデー」編集長と白井康介と担当編集者の三上信一の4人で新連載の合宿を行ったもののなにも決まらなかった。編集部としては「Jリーグ」の人気にあやかって、あだちにサッカー漫画を描かせたがっていたようだが、あだちは次回作では野球漫画を描くと最初から決めていた。
    上記のあだちの発言にあるように、物語の序盤には主人公の国見比呂がサッカー部に入部する。物語の舞台となる「千川高校」には野球部はなく、「野球愛好会」がほそぼそと存在していたが、運動神経のいいものたちが集まっているサッカー部に馬鹿にされ、その存在を校内でさえ知られていないありさまだった。 ひょんなことから「野球愛好会」とサッカー部の野球対決が持ち上がる。その試合の途中で、比呂はサッカー部のメンバーたちの野球を馬鹿にする態度に苛立ちを覚え、試合中に突如退部して「野球愛好会」に入会する。 「野球愛好会」のメンバーとして、サッカー部のピッチャーである木根から満塁ホームランを打った比呂は、「タイムアウトのない試合のおもしろさを教えてあげますよ」と印象的なセリフを放つ。これは編集部からサッカー漫画を描くように言われたことによる、彼なりの反抗が込められていたはずだ。また、あだち充が考える美意識や生き方について、この『H2』で描くという宣言のようにもとれる。
    1986年に『タッチ』の最終回を迎えており、『H2』連載前には『タッチ』フィーバーの余波はほとんどなくなっていた。あだちも6年経った今なら、もう一度野球漫画を描いても大丈夫だろうという気持ちになっていた。 また、『タッチ』では野球の試合をすっ飛ばして描いていた(しっかりと野球を描いているのは地区大会の決勝戦の須見工戦だけとも言えなくもない)ことから、今度はしっかり野球をやろうという意識もあだちに芽生えていた。 そして、好き放題にやらせてもらった『虹色とうがらし』の次の作品では、ヒットする作品を狙わないとマズいということも強く認識していた。『みゆき』と『タッチ』は国民的な漫画となるほどの爆発的な売れ方をしたが、それに比べれば『ラフ』も『虹色とうがらし』もそこまで売れていなかった。 サッカー人気が出ているからと言っても、義理や人情のある時代劇が好きな彼の感性とサッカーという競技は合わないことも彼の中ではすでにわかっていた。だからこそ、あだち充流のラブコメ要素のある野球漫画を描いて、ヒットさせることが新連載の大きな目標となった。
    タイトルの『H2』は「ヒーロふたり、ヒロインふたり」という設定から取られており、すんなり決まった。 主人公であるエースピッチャーの国見比呂、比呂の親友でスラッガーの橘英雄、比呂の幼なじみであり英雄の恋人である雨宮ひかり、比呂が入学した千川高校の野球愛好会でマネジャーをしている古賀春華の4人がメインとなった。 比呂と春華、英雄とひかり、それぞれのカップリングは順調に進んでいくが、高校二年生の終わり近くでひかりの母が急死したことから、4人の関係性やバランスに変化が起こり、いびつな四角関係となってしまう。
    『H2』がヒーローとヒロインそれぞれふたりずつという設定は、ヒットさせたいというあだちの気持ちの現れだったのだろう。また、この四角関係の設定を作ることで、最後の最後まで比呂とひかりはどっちにいくかわからない展開になり、読者を強く惹きつけることになった。 あだち充のこれまでの作品では、主人公とヒロインが物語においていろいろあったとしても、最終的には一緒になるというのが当たり前だった。『H2』で言えば、幼なじみの比呂とひかりが最終的には一緒になるのではないか、という考えが大方の読者にはあった。このことは『みゆき』のラストにおいて、主人公の若松真人とヒロインの若松みゆきが一緒になり、ふたりそれぞれに振られたかたちとなった鹿島みゆきと沢田優一が旅先で出会って終わるという未来を感じさせるものだったことも影響していたはずだ。 比呂とひかり、英雄と春華、という組み合わせで終わる可能性が高いのではないか、と当時リアルタイムの読者だった私も思っていた。しかし、物語が進むにつれて、古賀春華の読者人気が高くなっていったことも関係し、その予想は見事に裏切られていった。
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    2021-01-24 09:00  
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