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猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第15回「アートの力で、歴史に人間をつなげたい!」【毎月第1水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.749 ☆

チャンネル会員の皆様へお知らせ PLANETSチャンネルを快適にお使いいただくための情報を、下記ページにて公開しています。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar848098 (1)メルマガを写真付きのレイアウトで読む方法について (2)Gmail使用者の方へ、メルマガが届かない場合の対処法 (3)ニコ生放送のメール通知を停止する方法について を解説していますので、新たに入会された方はぜひご覧ください。 猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第15回「アートの力で、歴史に人間をつなげたい!」【毎月第1水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆ 2016.12.7 vol.749 http://wakusei2nd.com 今朝のメルマガは、チームラボ代表・猪子寿之さんによる連載『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』の第15回です。今回は、猪子さんが地元・徳島市で、自然や街をそのままアートにしたという「デジタイズド・ネイチャー」シリーズの新作と、シンガポール国立博物館で展示される「デジタルな自然」を作り上げた新作について語っていただきました。都市の自然や歴史と人前の関係に、アートはどのようにアプローチできるのか? 「ブラタモリ」や『Pokemon GO』と比較しながら考えました。最後に、大阪で開催する新しいミュージックフェスについての情報も! ▼プロフィール 猪子寿之(いのこ・としゆき) 1977年生まれ。2001年東京大学計数工学科卒業時にチームラボ設立。チームラボは、様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート、サイエンス、テクノロジー、クリエイティビティの境界を越えて、集団的創造をコンセプトに活動している。 47万人が訪れた「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。他、「ミラノ万博2015」の日本館、ロンドン「Saatchi Gallery」、パリ「Maison & Objet」、5時間待ち以上となった「DMM.プラネッツ Art by teamLab」など。2月からシリコンバレー、イスタンブールでの個展を開催中。また3月からシンガポール、8月から韓国で巨大な常設展開催中。今後、ロンドンや北京、台湾などで開催予定。 http://www.team-lab.net ◎構成:稲葉ほたて 本メルマガで連載中の『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』配信記事一覧はこちらのリンクから。 前回:猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉 第14回「アートの力で、人間が気づけない自然の美しさを可視化したい!」 ■地元・徳島での『徳島ライトシティアートナイト - チームラボ 光る川と光る森』 猪子 前回の連載で、「とりつかれたようにデジタイズド・ネイチャーの作品をつくっている」という話をしたけれど、今回はその延長で、街をまるごとデジタル化するアート作品を、地元・徳島でつくったんだよね。 3年に1回のペースで「徳島LEDアートフェスティバル」というアートの祭典をやっているんだけど、その3回目にあたる今回はチームラボがメインで関わることになったんだよね。 宇野 徳島における猪子さんの権力を感じるね(笑)。 猪子 いやいや(笑)。徳島には青色LEDでノーベル物理学賞をとった中村修二さんが在籍していた日亜化学っていう世界的にLEDを製造している会社もある関係で、地元を盛り上げる意味も込めて、LEDを使って街を光のアートに包み込む作品をつくったんだよ。 ▲『徳島ライトシティアートナイト チームラボ☆光る川と光る森』 2016年12月16日から12月25日にかけて、徳島市中心部にて開催。 宇野 徳島かあ。学生の頃旅行で行ったっきりだなあ。あんまり印象なかったけど……。 猪子 いやいや! 実は徳島って、市内に138つも川がある、めちゃくちゃ川が多い「水都」なんだよ。昔はしょっちゅう洪水が起きていたらしくて、僕のおばあちゃんとかは、家中が水浸しになった話とか、隣の文具屋の紙がダメになったみたいな話を、超嬉しそうに話したりするんだよね(笑)。 そんな洪水にもめげず、地元市民は川をものすごく愛しているの。昔、那賀川というところにダムを作ろうという計画があったんだけど、30年以上地元市民が反対し続けて、全国的にも有名な、建設事業を中止した例になったりしたんだよね。 今回作品をつくったのは、徳島駅のある中心市街地なんだけど、ここにはそんな川がまさに交差しまくっていて、「ひょうたん島」と呼ばれる巨大な中州になってるんだよ。 ▲「ひょうたん島」の景色(出典) 宇野 完全に川に囲まれているんだ。 猪子 その真ん中には徳島中央公園があって、さらにその真ん中には、室町時代から明治がはじまるまで城があった城山があって、その城跡の山が全国でも超珍しい、市街地にある原生林なんだよね。原生林自体がすごく珍しいのに市街地にある原生林ってのはほぼないと思うんだ。野鳥が80種類いたり、樹齢600年の、「竜王さんのクス」というRPGに出てきそうな名前のクスノキとかがある。ちなみに、ここのふもとには僕の通っていた小学校があって、月に1回は、この山の上の城跡で朝会をしていたんだよ(笑)。 ▲「竜王さんのクス」と呼ばれる古木。推定樹齢600年。(出典) 猪子 今回、これらの川と森につくった作品は、フェス全体の「シンボルアート作品」という位置づけになってる。川に浮かんだ球体や森の木が、近くを通った人の存在や動きに反応してインタラクティブに光って、まわりに連続的に呼応して広がっていくようになってるんだよね。 ▲『呼応する球体のゆらめく川』(新町川水際公園にて) ▲『城跡の山の呼応する森』(徳島中央公園にて) 【ここから先はチャンネル会員限定!】 PLANETSの日刊メルマガ「ほぼ日刊惑星開発委員会」は今月も厳選された記事を多数配信します! すでに配信済みの記事一覧は下記リンクから更新されていきます。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/201612  

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第15回「アートの力で、歴史に人間をつなげたい!」【毎月第1水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.749 ☆

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉 第14回「アートの力で、人間が気づけない自然の美しさを可視化したい!」【毎月第1水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.724 ☆

チャンネル会員の皆様へお知らせ PLANETSチャンネルを快適にお使いいただくための情報を、下記ページにて公開しています。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar848098 (1)メルマガを写真付きのレイアウトで読む方法について (2)Gmail使用者の方へ、メルマガが届かない場合の対処法 (3)ニコ生放送のメール通知を停止する方法について を解説していますので、新たに入会された方はぜひご覧ください。 猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第14回「アートの力で、人間が気づけない自然の美しさを可視化したい!」【毎月第1水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆ 2016.11.1 vol.724 http://wakusei2nd.com 今朝のメルマガは、チームラボ代表・猪子寿之さんによる連載『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』の第14回です。今回は、猪子さんが最近取り憑かれたように作品づくりに挑んでいるという、「デジタイズド・ネイチャー」シリーズの新作について語っていただきました。猪子さんが「今までの人生で見た中で一番感動した」とまでいう、山奥の秘境で生まれた作品も登場。「リアルな自然」と「デジタルな自然」が融合する「デジタイズド・ネイチャー」とは? そして、アートが介入することで初めて人間が知覚できる”時間性”とは? ▼プロフィール 猪子寿之(いのこ・としゆき) 1977年生まれ。2001年東京大学計数工学科卒業時にチームラボ設立。チームラボは、様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート、サイエンス、テクノロジー、クリエイティビティの境界を越えて、集団的創造をコンセプトに活動している。 47万人が訪れた「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。他、「ミラノ万博2015」の日本館、ロンドン「Saatchi Gallery」、パリ「Maison & Objet」、5時間待ち以上となった「DMM.プラネッツ Art by teamLab」など。2月からシリコンバレー、イスタンブールでの個展を開催中。また3月からシンガポール、8月から韓国で巨大な常設展開催中。今後、ロンドンや北京、台湾などで開催予定。 http://www.team-lab.net ◎構成:稲葉ほたて 本メルマガで連載中の『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』配信記事一覧はこちらのリンクから。 前回:猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉 第13回「ロジックがわからなくても“居心地の良い世界”をつくりたい!」 ■ 故郷・徳島の秘境につくった新作 猪子 徳島県の山奥に、「大歩危・小歩危」と呼ばれている渓谷があるんだけど、今日はそこで発表した新作の話をしたいな。 これはこの連載で前にも触れた、「デジタイズド・ネイチャー」という自然そのものをアートにするプロジェクトなんだけど、今このシリーズの作品をつくりまくっているんだよね。で、今回作品をつくった場所は、日本三大秘境にもなっている祖谷(いや)という地域の一部なんだけど、そこがもう、すっごい美しい場所なの! ▲夏の「大歩危」の風景(画像出典) 宇野 へえ、本当に美しい場所だね。普通に観光に行きたいな……(笑)。 猪子 この祖谷の里というのは、壇ノ浦で自決したはずの平教経と安徳天皇がひっそり逃れて平家再興の望みをつないだという伝説がある土地なんだよね。 あともうひとつ、祖谷には「かずら橋」という、いかにもすぐ壊れそうな橋があるんだよ。この橋は、いつ源氏が来ても大丈夫なように原始的なつくりにしたという説があるんだよね。 ▲「かずら橋」(画像出典) 宇野 そもそも猪子さんは、なんでこんな山奥で作品をつくろうと思ったの? 猪子 去年、阿波踊りで徳島に行ったのがきっかけだったんだよね。徳島には、人間よりもかかしの数が圧倒的に多い、通称「祖谷かかし村」というヤバい村があるんだけど、そこにどうしても行きたくて、そこに行く途中にこの大歩危小歩危を通ったの。それでこの場所で作品をつくりたいと思ったんだけど、いざやろうと思ったら、いろんな許可がすごく難しかった(笑)。それで、最終的には川岸に土地を持っている人にお願いして、イベント会場もプロジェクター設置用の場所も全て私有地を使わせてもらったんだよね。 それが、今回の新作『溪谷に咲く花、流れ込む滝 - 大歩危小歩危』という作品なんだ。川には花の映像を、崖の部分には滝の映像を写したりもしたんだよ。 ▲チームラボは、10月8日〜10月10日にかけて、小歩危峡  白川橋付近にて『溪谷に咲く花、流れ込む滝 - 大歩危小歩危』の展示会を開催。 【展示会の詳細】 【作品解説】 【YouTube動画】 宇野 そりゃ国有地でやるなら許可取りだけで大変だもんね(笑)。 猪子 もう大変でさ、車とかも置けないから、徳島市内から汽車で1時間半近くかかる阿波池田というところまで来てもらって、そこから会場までバスを出したの。 だから、1日で来れる人数はマックスで600人まで(笑)。でも、タクシーで来る人がいたりとか、近所のホテルが自主的にバスを出したりなんかもしたから、こんな辺境の山奥でやったのに3日間で2500人くらい来てくれたんだよね。 【ここから先はチャンネル会員限定!】 PLANETSの日刊メルマガ「ほぼ日刊惑星開発委員会」は今月も厳選された記事を多数配信します! すでに配信済みの記事一覧は下記リンクから更新されていきます。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/201611  

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉 第14回「アートの力で、人間が気づけない自然の美しさを可視化したい!」【毎月第1水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.724 ☆

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉 第13回「ロジックがわからなくても“居心地の良い世界”をつくりたい!」【毎月第1水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.704 ☆

チャンネル会員の皆様へお知らせ PLANETSチャンネルを快適にお使いいただくための情報を、下記ページにて公開しています。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar848098 (1)メルマガを写真付きのレイアウトで読む方法について (2)Gmail使用者の方へ、メルマガが届かない場合の対処法 (3)ニコ生放送のメール通知を停止する方法について を解説していますので、新たに入会された方はぜひご覧ください。 猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉 第13回「ロジックがわからなくても“居心地の良い世界”をつくりたい!」【毎月第1水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆ 2016.10.5 vol.704 http://wakusei2nd.com 今朝のメルマガは、チームラボ代表・猪子寿之さんによる連載『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』の第13回です。今回は、「パリが居心地よかった!」という猪子さんが、現地で発表した新作について解説します。“動的であることを前提とした空間のありよう”を模索したその作品が、「世界に関与している実感」を得やすくなった理由とは。そして森美術館の新作『カラス』や下鴨神社の『呼応する木々』などの作品と比較する中でみえた、“世界に対しての感度”が鑑賞者に与える影響とは――? ▼プロフィール 猪子寿之(いのこ・としゆき) 1977年生まれ。2001年東京大学計数工学科卒業時にチームラボ設立。チームラボは、様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート、サイエンス、テクノロジー、クリエイティビティの境界を越えて、集団的創造をコンセプトに活動している。 47万人が訪れた「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。他、「ミラノ万博2015」の日本館、ロンドン「Saatchi Gallery」、パリ「Maison & Objet」、5時間待ち以上となった「DMM.プラネッツ Art by teamLab」など。2月からシリコンバレー、イスタンブールでの個展を開催中。また3月からシンガポール、8月から韓国で巨大な常設展開催中。今後、ロンドンや北京、台湾などで開催予定。 http://www.team-lab.net ◎構成:稲葉ほたて 本メルマガで連載中の『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』配信記事一覧はこちらのリンクから。 前回:猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第12回「自分と〈世界〉を一体化させたい!」【毎月第1水曜配信】 ■リオデジャネイロ・オリンピック閉会式の感想 宇野 この間、リオデジャネイロ・オリンピックの閉会式があったけど、ぶっちゃけ猪子さんはどう思った? 猪子 ほぼ100パーセントに近い民意を得られてて、すごいと思った。 宇野 俺はね、まずは「最適解、つまりベストのものが出てきたな」と素直に思った。だって本来だったら、もっと事故ってもおかしくない状況だったわけじゃない。 猪子 そうだね。 宇野 ただ、その一方で、あのクロージングの出来のよさって、今の日本の限界がすごく低い地点にあることを露呈させてもいるんだよね。 だって、あそこで使われた「ドラえもん」「キャプテン翼」「ハローキティ」「マリオ」って、主に80〜90年代のノスタルジーでしかないわけでしょ。まあ、南米で人気のあるネタを選んだのだろうけど、つまり同時にアレは、バブル前後の一番良かった頃の日本の魅力を最大公約数的に見せるということが、今の日本の精一杯だったとも言える。 もちろん、あのスタッフたちは100パーセントの力を出し切ったと思うんだけど、それでも「あれがベストだった」というのは、今の日本が未来のビジョンを描けないことを逆説的に証明してしまっていると思う。 猪子 ザハの新国立競技場案(以下、ザハ案)をみんなでつぶして、世界ではなくて、民主主義的に日本の全員が喜ぶものが正解になる。ソフトバンクのCMの犬とか、ああいうものがみんな好きだよね。 宇野 だからさ、ここは猪子さんが「俺は未来をもっと見せたい」って言うべきなんじゃないの(笑)? だって、あの完成度って、未来を見せることを最初から諦めることで、初めて成り立ってるわけじゃない。でも、「すでに好きなものを確かめる」ということの先に進まないと、未来はない。俺としては、猪子さんと一緒にオリンピックの本も作ったわけで、オリンピックは猪子寿之に関わって欲しい。 【参考】 ▲『PLANETS vol.9 オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト』では、猪子寿之&チームラボPresents「参加型オリンピック計画」と題して、開会式や競技中継など、様々な提案を行っている。 【ここから先はチャンネル会員限定!】 PLANETSの日刊メルマガ「ほぼ日刊惑星開発委員会」は今月も厳選された記事を多数配信します! すでに配信済みの記事一覧は下記リンクから更新されていきます。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/201610  

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉 第13回「ロジックがわからなくても“居心地の良い世界”をつくりたい!」【毎月第1水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.704 ☆

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第12回「自分と〈世界〉を一体化させたい!」【毎月第1水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.684 ☆

チャンネル会員の皆様へお知らせ PLANETSチャンネルを快適にお使いいただくための情報を、下記ページにて公開しています。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar848098 (1)メルマガを写真付きのレイアウトで読む方法について (2)Gmail使用者の方へ、メルマガが届かない場合の対処法 (3)ニコ生放送のメール通知を停止する方法について を解説していますので、新たに入会された方はぜひご覧ください。 猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第12回「自分と〈世界〉を一体化させたい!」【毎月第1水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆ 2016.9.7 vol.684 http://wakusei2nd.com 今朝のメルマガは、チームラボ代表・猪子寿之さんによる連載『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』の第12回です。今回は『Pokemon GO』や『シン・ゴジラ』などのヒットコンテンツを分析しながら、チームラボ作品がいかにしてそれらの作品と闘えるかについて話しました。新作『カラス』や表参道の展示を通じて考えた、「展示方法」と「作品」の概念の拡張とは――? ▼プロフィール 猪子寿之(いのこ・としゆき) 1977年、徳島市出身。2001年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業。チームラボは、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、絵師、数学者、建築家、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、編集者など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート・サイエンス・テクノロジー・クリエイティビティの境界を曖昧にしながら活動している。 47万人が訪れた「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。他、「ミラノ万博2015」の日本館、ロンドン「Saatchi Gallery」、パリ「Maison & Objet」など。2月からシリコンバレー「teamLab: Living Digital Space and Future Parks」、イスタンブール「Borusan Contemporary」、5月はバンコク「Central World」、また3月からシンガポールで巨大な常設展「FUTURE WORLD: WHERE ART MEETS SCIENCE」開催中。 http://www.team-lab.net ◎構成:稲葉ほたて 本メルマガで連載中の『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』配信記事一覧はこちらのリンクから。 前回:猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第11回「身体でアートへ没入し、世界との境界を無くせ!」 ■ジョン・ハンケと猪子寿之の違い 宇野 猪子さん、『Pokemon GO』やってる? 僕はまだレベル8くらいで止まっているんだけど。 猪子 いや、リリースされた直後は超やってたんだけどね……。宇部市ときわ公園で「呼応する森」という展示をしてて、ちょうどその出張中に始めたの。 ▲山口県宇部市ときわ公園で開催された「呼応する森」 宇部市って彫刻が多い街なんだけど、『Pokemon GO』をやっていると「あ、こんなところに彫刻が!」という発見がたくさんあってすごく楽しかった。それで、東京に帰ってきてからもその勢いでやっていたんだけど、よくよく考えたら俺の東京の生活って自宅と会社の往復ばかりで、本当につまらないわけ(笑)。もはや『Pokemon GO』がつまらないのか俺の人生がつまらないのか……という問題に直面してしまったわけだよ。 宇野 俺は『Ingress』のときもハマってたんだけど、やっぱり2〜3か月でやめちゃったんだよね。奇しくも『Ingress』のおかげで「こういうものに気をつけて歩くと面白いスポットが見つけられる」という散歩のコツがわかってきて、要するにゲームという支援装置が要らなくなってしまったんだよね。 でも、『Ingress』と『Pokemon GO』を作った元Google副社長のジョン・ハンケは「ゲームの力で人を外で歩かせることが目的なんだ」というようなことを言ってて、両作ともそれ自体は達成されてはいるんだよ。 ▲『Ingress』プレイ画面 【参考】 宇宙の果てでも得られない日常生活の冒険――Ingressの運営思想をナイアンティック・ラボ川島優志に聞く ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.246 ☆ 猪子 でも、その後が続かないってことだよね。『Pokemon GO』はひたすらアイテムやポケモンをとるのみで、街とか全く見なくなっちゃった。周りを見ていても、みんな途中からAR機能は切っているしね。 宇野 へー、僕はまだ切っていないけどね。あのビジュアルはやっぱりいいと思うから。 猪子 それは珍しいね。結局ゲームって、ある種の報酬制度を使った中毒性でできていると思うんだけど、それが目的化しちゃうとパチンコと一緒でひたすらその報酬を求めるのみになっちゃうんだよ。ただの中毒患者としてやらされてる感じで、今はプレイするのが嫌だもん(笑)。 宇野 ただ、まずは世界中のゲームとか全くやったことのないおばちゃんとかにARゲームをやらせるということが彼らの目的だったと思うんだよ。『Ingress』は敷居が高くて、暇なインテリしかやってなかったけれど、『Pokemon GO』でその敷居を下げることには成功したとは思う。この先、封印していた機能もどんどん解放されるだろうしね。プレイヤー同士のモンスター交換とか。 なんで『Pokemon GO』の話をしたかというと、最近のチームラボの作品って、ジョン・ハンケとは違うかたちで、テクノロジーの力を使って「人間が世界を眺める視線」に介入していると思うんだよね。 猪子 どういうこと……? 【ここから先はチャンネル会員限定!】 PLANETSの日刊メルマガ「ほぼ日刊惑星開発委員会」は今月も厳選された記事を多数配信します! すでに配信済みの記事一覧は下記リンクから更新されていきます。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/201609  

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第12回「自分と〈世界〉を一体化させたい!」【毎月第1水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.684 ☆

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第11回「身体でアートへ没入し、世界との境界を無くせ!」【毎月第1水曜配信】☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.658 ☆

チャンネル会員の皆様へお知らせ PLANETSチャンネルを快適にお使いいただくための情報を、下記ページにて公開しています。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar848098 (1)メルマガを写真付きのレイアウトで読む方法について (2)Gmail使用者の方へ、メルマガが届かない場合の対処法 (3)ニコ生放送のメール通知を停止する方法について を解説していますので、新たに入会された方はぜひご覧ください。 猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第11回「身体でアートへ没入し、世界との境界を無くせ!」【毎月第1水曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆ 2016.8.3 vol.658 http://wakusei2nd.com 今朝のメルマガは、チームラボ代表・猪子寿之さんによる連載『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』の第11回です。今回は、この夏公開のチームラボの作品を次々に見ながら、猪子さんの最近の問題意識の主題を探ります。作品の中で境界を消滅させようとしたとき、それでも私たちの頭の中で働いてしまう境界をめぐる想像力。それをいかにして猪子さんは「破壊」しているのでしょうか――。 ▼プロフィール 猪子寿之(いのこ・としゆき) 1977年、徳島市出身。2001年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業。チームラボは、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、絵師、数学者、建築家、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、編集者など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート・サイエンス・テクノロジー・クリエイティビティの境界を曖昧にしながら活動している。 47万人が訪れた「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。他、「ミラノ万博2015」の日本館、ロンドン「Saatchi Gallery」、パリ「Maison & Objet」など。2月からシリコンバレー「teamLab: Living Digital Space and Future Parks」、イスタンブール「Borusan Contemporary」、5月はバンコク「Central World」、また3月からシンガポールで巨大な常設展「FUTURE WORLD: WHERE ART MEETS SCIENCE」開催中。 http://www.team-lab.net ◎構成:稲葉ほたて 本メルマガで連載中の『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』配信記事一覧はこちらのリンクから。 前回:猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第10回「〈外部〉のない世界へ!」 ■DMM.プラネッツはバカでかい! 猪子 いまハンパない展示をしてるんだよね。 実は、フジテレビの「お台場みんなの夢大陸2016」で、DMM.comとコラボした「DMM.プラネッツ Art by teamLab」というのをやっているんだよ。3000平米の完全閉鎖の巨大テントを立てて、そこで4作品だけ展示する。もう二度とこんなすごいことはできないかもしれない(笑)。 宇野 僕も内覧会で体験したけれど、文句なしにすごかったね。規模的にもそうだけど、内容的にもこれってチームラボがこの2、3年やってきたことの集大成だと思うよ。 ▲7月16日から8月31日まで、チームラボは、フジ「お台場みんなの夢大陸2016」DMM.プラネッツ Art by teamLabにて、超巨大なデジタルアート作品群を展示している。 猪子 このテントに入るときまずは、靴をぬいで、みんな裸足になってもらうんだよね。テントの中は、迷路みたいになっていてその中に作品が展示されている。 最初に通るのは、「やわらかいブラックホール - あなたの身体は空間であり、空間は他者の身体である」(以下、「ブラックホール」)という作品。ふわふわで、とてもやわらかい素材のうえを、まるで沈み込みながら歩いていく。 ▲「やわらかいブラックホール - あなたの身体は空間であり、空間は他者の身体である」 「人が触れることができるところのすべてが、沈み込むほど、やわらかい空間。空間は真暗で、床と壁の境目はない。人々が作品空間に入ると、空間自体が、人々の身体の重さに影響を受け変化する。そして、人々の身体は、変化する空間に影響を受ける。人々は、互いに作品空間を通して、それぞれの影響を受け合う。 あなたの身体は空間を変化させ、そして、その空間は他者の身体を変化させる。」 宇野 入るといきなりこれだもんね(笑)。みんな面食らうと思うのだけど、実はこの時点で、猪子さんが観客に通常とは異なる論理で構成された空間と、あたらしい他者像を体験させようとしていることが宣言されているわけだね。 猪子 そう。この「ブラックホール」の後に続く3作品についても、アプローチは違うにしろ、同じコンセプトを持っていて、アート作品そのものの中に身体で完全に没入してもらいたいと思っているんだ。これまでは、絵画や彫刻に代表されるように、作品と人間には境界があって、境界がある上で、対峙して鑑賞していたと思うんだ。空間型のインスタレーションは、作品を体験をするけれども、やはり人間がいる場所は空間だったと思う。でも、今回は、作品そのものに、身体ごと没入していくという体験にしたかった。でも、現代人は、頭が全てみたいになっているでしょ? テレビやスマートフォンも頭で理解してわかったつもりになっているし、そもそも自然界にはない硬い平面で構成された都市で生活していると、身体を忘れてしまう。だから、エントランスで裸足になって、水の中を通って、この全くちゃんと歩けない、全身を使わないと転んでしまう空間を通ることで、無意識に、無理やり身体を思い出してもらおうと思ったんだ。人間は、しょせん、身体の塊であると。 さらに「Crystal Universe」という作品を、2015年に銀座(ポーラ ミュージアム アネックス)で展示したときの約6倍の大きさにして、「Wander through the Crystal Universe」という名前で展示しているんだよ。 宇野 ああ、あの作品は絶対に広い方がいいね。あの作品はさ、それこそ宇宙のようにどこまで奥行きがあるかわからない空間に入り込んでしまったかのような錯覚を、観客の脳に与えることが大事だからね。 【ここから先はチャンネル会員限定!】 PLANETSの日刊メルマガ「ほぼ日刊惑星開発委員会」は今月も厳選された記事を多数配信します! すでに配信済みの記事一覧は下記リンクから更新されていきます。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/201608  

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第11回「身体でアートへ没入し、世界との境界を無くせ!」【毎月第1水曜配信】☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.658 ☆

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第10回「〈外部〉のない世界へ!」【毎月第1火曜配信】☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.635 ☆

チャンネル会員の皆様へお知らせ PLANETSチャンネルを快適にお使いいただくための情報を、下記ページにて公開しています。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar848098 (1)メルマガを写真付きのレイアウトで読む方法について (2)Gmail使用者の方へ、メルマガが届かない場合の対処法 (3)ニコ生放送のメール通知を停止する方法について を解説していますので、新たに入会された方はぜひご覧ください。 猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第10回「〈外部〉のない世界へ!」【毎月第1火曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆ 2016.7.5 vol.635 http://wakusei2nd.com 今朝のメルマガは、チームラボ代表・猪子寿之さんによる連載『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』の第10回です。今回は、シリコンバレー出張版の特別回。本メルマガ編集長の宇野が、チームラボがシリコンバレーで開いている展覧会に足を運びました。世界初公開の新作を現地で批評しながら、これまでのチームラボ作品の変遷と、その先に見えてきた「新たな空間表現の可能性」について語り合いました。 ▼プロフィール 猪子寿之(いのこ・としゆき) 1977年、徳島市出身。2001年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業。チームラボは、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、絵師、数学者、建築家、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、編集者など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート・サイエンス・テクノロジー・クリエイティビティの境界を曖昧にしながら活動している。 47万人が訪れた「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。他、「ミラノ万博2015」の日本館、ロンドン「Saatchi Gallery」、パリ「Maison & Objet」など。2月からシリコンバレー「teamLab: Living Digital Space and Future Parks」、イスタンブール「Borusan Contemporary」、5月はバンコク「Central World」、また3月からシンガポールで巨大な常設展「FUTURE WORLD: WHERE ART MEETS SCIENCE」開催中。 http://www.team-lab.net ◎構成:稲葉ほたて 本メルマガで連載中の『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』配信記事一覧はこちらのリンクから。 前回:猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第9回「混沌を混沌のまま進化させたい!」 ■Pace Art + Technologyの現地評 宇野 今日はこの連載の第7回でも触れた、シリコンバレーにあるPace Art + Technologyで開催中の、チームラボの展覧会に来てるわけだけど、せっかくだし今日見た新作を中心に話していきたいね。ちなみに以前の話では、この展覧会は”超ウェルカム”で受け入れられたという話だったよね。現地の批評家たちからはどんな評価をもらったの? (参考)第7回「ウォーホルのように〈美の基準〉を変えることで、世界を変えたい!」 猪子 今回、超大御所のBen Davisという批評家がこの展示の批評を有名なアートメディアに書いてくれたんだよね。その人が長い批評を書いたことだけですごいんだけど、内容としても概ね絶賛! だから、こちらとしては超ラッキーという感じだったけど、もちろん批判的な部分も多少はあった。 (参考)How teamLab's Post-Art Installations Cracked the Silicon Valley Code/artnet news 宇野 なんて書かれていたの? 猪子 まずは、「この展覧会が大ヒットしてるのは、ここがシリコンバレーだからなんじゃないか」みたいに書かれていたね。つまり、シリコンバレーのクリエイターたちは自分たちのことをアーティストだと思っていて、だから自らがアーティストになれるこのチームラボの展示はシリコンバレーではウケている、みたいな話だった。 宇野 なるほどね。どちらかといえばこの展示を、西海岸発の新しいアート運動の可能性というよりは、既存の西海岸カルチャーの枠内で回収したいという感じなんだね。カリフォルニアの人たちははしゃぎたがりだから、的な。個々の作品に関してはどんなリアクションだったのかな。 猪子 「チームラボアイランド -学ぶ!未来の遊園地-」の作品たちが絶賛されている一方で、「追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして分割された視点 ‒ Light in Dark」(以下、「カラス」)に関しては批判的な書かれ方もされていたね。「チームラボスタイルのアートは現代の文化的な現象。スーパーヒーローが登場したり派手な特殊撮影を使ったり、大雑把なテーマで作ったハリウッドの大作映画のひとつを思わせるかもしれない」って書いてある。 宇野 ああ……あの作品が単に『トランスフォーマー』の戦闘シーンと変わらないものに見えてしまってるわけね。 でもさ、これはあまりにもったいない批評だね。チームラボの作品はハリウッドの劇映画を中心に発展してきた、物語を用いた感情移入とは異なる回路での映像表現、平面表現への没入を追求してきたわけで、そこには人間の視覚情報の認識や感情移入のメカニズムについての深い洞察と繊細なコントロールがある。そこをぜんぜん分かってないな。僕も批評家としてがんばらないと……。 ■なぜ「Black Waves」は飛ぶように売れたか 宇野 それはそうとして、「カラス」以降のチームラボの作品は次のステージに行ったことも間違いないと思う。ひらたく言えば二次元の視覚体験から、三次元の空間体験へ対象が移ってきている。それこそ、初期作品の「Nirvana」や「Flower and Corpse / 花と屍」から、比較的最近手掛けることが多い空間系のインタラクティブな作品との間に、「カラス」があると思う。あれはターニングポイントだったんじゃない? 猪子 確かに「カラス」以降、「平面にいかに没入させるか」というテーマ以外の作品を多くつくっている。そういう意味では、今回展示している新作「Black Waves」という作品が、その系統としては久しぶりにつくったものになるかな。 ▲「Black Waves」 【YouTube動画】 猪子 これは「Universe of Water Particles / 憑依する滝」のシリーズにあたるような作品で、三次元上の水の動きをシミュレーションすることによって波を構築して、さらにその波の表層に線を描いたの。でも、純粋に軌跡を空間に描いちゃうと波だってことがよくわからなくなっちゃうから、それを3次元上の波の表面に描いてこういう作品に仕上げた。 宇野 これ、実は今日見たものの中で一番いいと思った。 「カラス」は初期のチームラボの「平面にいかに人間を没入させるか」というテーマの集大成だよね。「超主観空間」のレイヤー的構造をパネル分割で表現して、そこに板野サーカス的な視線誘導を加える。これまで培ってきたテクニックがてんこ盛りになっている。 【ここから先はチャンネル会員限定!】 PLANETSの日刊メルマガ「ほぼ日刊惑星開発委員会」は今月も厳選された記事を多数配信します! すでに配信済みの記事一覧は下記リンクから更新されていきます。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/201607  

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第10回「〈外部〉のない世界へ!」【毎月第1火曜配信】☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.635 ☆

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第9回「混沌を混沌のまま進化させたい!」【毎月第1火曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.612 ☆

チャンネル会員の皆様へお知らせ PLANETSチャンネルを快適にお使いいただくための情報を、下記ページにて公開しています。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar848098 (1)メルマガを写真付きのレイアウトで読む方法について (2)Gmail使用者の方へ、メルマガが届かない場合の対処法 (3)ニコ生放送のメール通知を停止する方法について を解説していますので、新たに入会された方はぜひご覧ください。 猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第9回「混沌を混沌のまま進化させたい!」【毎月第1火曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆ 2016.6.7 vol.612 http://wakusei2nd.com 今朝のメルマガは、チームラボ代表・猪子寿之さんによる連載『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』の第9回です。今回は、5月27日に公開された新作「Graffiti Nature」について。この連載で話してきたことの集大成とも言える作品の内容とは、どんなものなのでしょうか。議論は近代の表現とは違う、人間のコントロールを離れて動きまわる作品の世界観が生む楽しさについて踏み込んだものとなりました。 ▼プロフィール 猪子寿之(いのこ・としゆき) 1977年、徳島市出身。2001年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業。チームラボは、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、絵師、数学者、建築家、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、編集者など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート・サイエンス・テクノロジー・クリエイティビティの境界を曖昧にしながら活動している。 47万人が訪れた「チームラボ踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。他、大河ドラマ「花燃ゆ」のオープニング映像、「ミラノ万博2015」の日本館、ロンドン「Saatchi Gallery」、パリ「Maison & Objet 20th Anniversary」など。2016年はカリフォルニア「PACE」で大規模な展覧会を予定。 http://www.team-lab.net ◎構成:稲葉ほたて 本メルマガで連載中の『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』配信記事一覧はこちらのリンクから。 前回:猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第8回「新しい音楽の遊び方!」 ■3月からシンガポールではじめた常設展 猪子 今年の3月12日から、チームラボは、シンガポールの「アートサイエンス・ミュージアム」という場所で「FUTURE WORLD: WHERE ART MEETS SCIENCE」(以下、FUTURE WORLD)という常設展をはじめたんだよね。そこで5月27日に「Graffiti Nature」という新作を公開したので、今日はその話をするね。 ▲2016年3月12日より、チームラボは、シンガポールの「アートサイエンス・ミュージアム」で常設展「FUTURE WORLD: WHERE ART MEETS SCIENCE」をオープン。 ▲同年5月27日、同常設展にて新作「Graffiti Nature」を公開。 基本的には「お絵かき水族館」と同じで、お客さんにワニやカエル、蝶や花を描いてもらって、それをプロジェクションするものなの。 ただ、これまでの作品には、その作品が飾られる明確な「場所」があったんだけど、今回はその明確な範囲がないんだよね。特定の場所に絵が出るのではなくて、通路とか床とか「FUTURE WORLD」の全体の他の作品に使われていない場所に自分の描いた絵が出て行く。 宇野 面白いね。展示スペースの大きさはどのくらいなの? 猪子 「FUTURE WORLD」全体は、1500平米くらいだから、かなり広いんだよ。でも、現実的にはまだ「FUTURE WORLD」の真ん中辺り中心に広がっているんだけど、いずれ範囲を全体まで広げていきたいし、ミュージアムの外までも広げていきたい。 宇野 これって「Flutter of Butterflies Beyond Borders / 境界のない群蝶」みたいに、鑑賞者の振る舞いに反応するようになっているのかな。 猪子 そうだね。動物たちは基本的に、人にぶつかると逃げていくんだよ。でも例えば、じっとしていると、周囲に花が咲き始めたりして、逆に、踏むと散っていくの。花が咲くと、そこに蝶が集まってきて増殖し始めたりもするのね。つまり自分が描いた絵の蝶が増えていく。で、またその蝶を、カエルが食べて増殖する。食べられると自分の絵の蝶はいなくなってしまう。さらに同じように、そのカエルをトカゲが食べたりする。 宇野 その世界の中に食物連鎖があるんだね。この世界に存在するものは全部お客さんが描いたものなの? 猪子 クジラ以外の動物は、花も含めて全部そう。そうやって、自分の描いた絵が食物連鎖の中で捕食されることもあれば、繁殖することもあるわけ。たぶん僕は個体より、状態とか現象が好きなんじゃないかな。 【ここから先はチャンネル会員限定!】 PLANETSの日刊メルマガ「ほぼ日刊惑星開発委員会」は今月も厳選された記事を多数配信します! すでに配信済みの記事一覧は下記リンクから更新されていきます。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/201606  

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第9回「混沌を混沌のまま進化させたい!」【毎月第1火曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.612 ☆

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉 第8回 新しい音楽の遊び方!【毎月第1火曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.580 ☆

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猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉 第8回 新しい音楽の遊び方!【毎月第1火曜配信】  ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.580 ☆

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第7回「ウォーホルのように〈美の基準〉を変えることで、世界を変えたい!」【毎月第1火曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.556 ☆

チャンネル会員の皆様へお知らせ PLANETSチャンネルを快適にお使いいただくための情報を、下記ページにて公開しています。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar848098 (1)メルマガを写真付きのレイアウトで読む方法について (2)Gmail使用者の方へ、メルマガが届かない場合の対処法 (3)ニコ生放送のメール通知を停止する方法について を解説していますので、新たに入会された方はぜひご覧ください。 猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第7回「ウォーホルのように〈美の基準〉を変えることで、世界を変えたい!」【毎月第1火曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆ 2016.4.5 vol.556 http://wakusei2nd.com 今朝のメルマガは、チームラボ代表・猪子寿之さんによる連載『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』の第7回です。チームラボがシリコンバレーで開いている展覧会が現在、大盛況。アメリカでは「“文化砂漠”のはずのシリコンバレーでなぜ?」という声があがっているそうです。Googleの経営陣やNetscapeの創業者などのシリコンバレーの伝説的な起業家、さらにはスティーブ・ジョブズの奥さんまでが足を運んできたというその展覧会。なぜチームラボの作品はそれほど熱狂的に受け入れられたのでしょうか。 ▼プロフィール 猪子寿之(いのこ・としゆき) 1977年、徳島市出身。2001年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業。チームラボは、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、絵師、数学者、建築家、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、編集者など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート・サイエンス・テクノロジー・クリエイティビティの境界を曖昧にしながら活動している。 47万人が訪れた「チームラボ踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。他、大河ドラマ「花燃ゆ」のオープニング映像、「ミラノ万博2015」の日本館、ロンドン「Saatchi Gallery」、パリ「Maison & Objet 20th Anniversary」など。2016年はカリフォルニア「PACE」で大規模な展覧会を予定。 http://www.team-lab.net ◎構成:稲葉ほたて 本メルマガで連載中の『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』配信記事一覧はこちらのリンクから。 前回:猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第6回「もう一つの“体育”で、『身体的知』(身体を固定しない“知性”)を鍛えたい」 ■ チームラボ、シリコンバレーに乗り込む 猪子 チームラボは今、シリコンバレーのPACE ART + TECHNOLOGYっていう新しいギャラリーで展覧会をやってるんだよね。今年の2月にスタートして7月までやっているんだけど、僕は宇野さんに一度来て欲しいと思っているんだよ。 ▲2016年2月6日から7月1日にかけて、チームラボは、Pace Art + Technology(シリコンバレー)のオープニングエキシビジョンとして大規模個展を開催している。新作含む全20作品を展示。(参照1)(参照2) このPACE ART +  TECHNOLOGYっていうのは、ニューヨークを拠点とするPACEというアートギャラリーがはじめた新しい試みなんだけど、今回の展示はそのオープニングエキシビションにあたるのね。2014年からペースギャラリーがチームラボを取り扱うようになったんだけど、チームラボの活動を見てはじまった試みなんだ。だから、向こうとしてもめちゃくちゃ力が入っている企画なんだよね。 で、チームラボの展示は「Living Digital Space and Future Parks」というタイトルで、内容としては去年東京でやった「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」の超バージョンアップ版みたいな感じだと思えばいいかな。この連載でも以前触れた「境界のない群蝶+増殖する生命II+花と人、コントロールできないけれども、共に生きる」とか、「クリスタルユニバース」も、会場が大きくなったぶん超巨大な空間になってて、とにかくスケール感がすごいのよ。あと、新作も3つくらい増えてるの。 ▲「Light Sculpture of Flames」(参照) 人に反応して火がリアルタイムで動く立体作品。 【動画(YouTube)】 ▲「Black Waves in Infinity」 (参照) 水の動きをシミュレーションして波の動きを再現し、それを線の集合で表現した作品。 【動画(YouTube)】 ▲「Black Waves」(参照) 宇野 なるほどね。生放送の仕事が抜けられなくて……と思って先日は行かなかったけど、そう聞くと行きたくなるね。というか、J-WAVEにかけあって、いっそシリコンバレーで猪子さんとラジオ収録しても面白いかもしれないね。 猪子 なにせ『ウォール・ストリート・ジャーナル』では「シリコンバレーが初めてアートを買った」という記事を書いて、事件として扱っているんだよ。 しかも、『ガーディアン』なんて凄くて、The cultural desert――つまり、「文化的な砂漠」とシリコンバレーのことを呼んでいて、その彼らがチームラボのデジタルアートを受け入れたことを驚いている。そのほかにも、『ニューヨーク・タイムズ』なんかでも記事になった。 ▲”Silicon Valley’s Wealthy Finally Buy Art (When Not for Sale)”(THE WALL STREET JURNAL, Feb 10, 2016)(参照) ▲”The 'cultural desert' of Silicon Valley finally gets its first serious art gallery”(THE GARDIAN, Feb 6, 2016)(参照) ▲”A Very Different Kind of Immersive Art Installation”(THE NEWYORK TIMES, Feb 4, 2016)(参照) 宇野 それ、すごい話だと思うんだけど、こういうチームラボの動きは日本国内ではほとんど報道されないよね。もしかして猪子さん、嫌われてるの? 猪子 いや、嫌われてないと思うんだけど……最近、話が難しいからじゃないかなあ。 宇野 今の話って、第二次世界大戦後になって、それもかなり政治的な都合で生まれたニューヨークのギャラリーを頂点とするアートマーケットに対して、まったく違うヒエラルキーが西海岸を中心にして生まれていく可能性を示唆していると思うんだよね。 猪子 例えば、オフィスのエントランスにウチらのアートを飾ってるのは、マーク・アンドリーセンという、まさにインターネット(モザイクやNetscape)を創った人なんだよね。 宇野 なるほどね。興味深いね。 猪子 それなのに、ガーディアンはシリコンバレーを「The cultural desert=文化砂漠」だと書くわけだよ。つまり、彼らは本気で「シリコンバレーの連中は文化に興味がないんだ」と思っていたんだと思う。 ところが、実際に蓋を開けてみたら、オープニングにすごい来てくれた。展覧会には社長の奥さんも、Googleの経営陣や社長の奥さんも、家族を連れてやって来てくれたからね。Vimeoの共同創業者はツイッターで絶賛してくれているし。 しかもさ、僕が会場で歩いてたら、「私、これ二回目なのよ!」とか叫んでる凄いテンションの高いお姉さんに会ったんだよ。僕に会うなり「あなたは天才だわ!」とか言いだすもんだから、僕も「お、おう。僕たちは天才なんだ」みたいな感じになっちゃって(笑)。で、「もう一回見に行くわ!」と言うから「楽しんできてねー」と見送ったの。 ところが、それから一時間くらいして「ジョブズの奥さんが来ているから紹介する」という話が来て、会いに行ったら――さっきのテンションの高いお姉ちゃんが立ってるんだよ(笑)。「いやいや、あなたの隣には真に偉大な天才がいたでしょう」と、なんだか複雑な気持ちになっちゃった。 宇野 猪子さん、珍しくちょっと照れながら話してるね。 猪子 まあね(苦笑)。でも、あの人たち、みんなオープンでフラットだから、なんか、いいよね。 ■ シリコンバレーは本当に“文化砂漠”なのか? 宇野 でもさ、ああいう西海岸の人たちは、どれくらい明白に自分たちの世界を構築するために文化、ないしはアートが必要だという意識があるのかな。例えば、もうちょっと単純にミーハーな気持ちでやっている可能性もあるわけだよね。 猪子 まさにさっきの『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、「今まではどんなにお金を持っていてもアートに興味なかった」という前提には立っているけど、やはりみんながアートを購入したことそのものはニュースとして衝撃を持って受け止めているんだよね。 ただ、そのときの『ウォール・ストリート・ジャーナル』の分析は、「ギャラリーでは異例のチケット制で、買うつもりがなくても自由に見られる状態を作ったからこそ、彼らも買い始めたんだろう」みたいな感じで、心理学的な切り口の説明なんだよね。 宇野 その記事を書いた人って、たぶんシリコンバレー的な価値観に共感していないんじゃないかな。つまり、東海岸の人が「あいつらがなんか美術っぽいことに興味を持ちだしたけど、やっぱりちょっと違くない?」みたいな感じで取り上げた記事なんでしょ。 猪子 うーん、どうなんだろうか。『ウォール・ストリート・ジャーナル』も展覧会に対してはすごく評価してくれていて、でも、衝撃的な事件に対して、何か彼らなりに解明して解説を書きたかったんじゃないかな。 宇野 結局、そういう「距離感の表明」にすぎない文章のように見えるな。 猪子 でも、そこで起こっていることはそうじゃないと思う。 きっとシリコンバレーの連中は、自分たちの新しい生き方とか信念とか、そういうものを表現するアートとして受け容れてくれたんじゃないかな……と思ってる。 だってさ、彼らがお金を持ったからといって、彫刻なんかを買うとは思えないじゃない(笑)。たまたま、これまで存在してきた文化に対して興味がなかったというだけで、当たり前だけど、彼らが文化やクリエイションに本質的に興味がないわけではなかったと思うんだよ。 宇野 今、猪子さんはとても大事なことを言っているね。 よく「カリフォルニアン・イデオロギーには文化がない」みたいな批判をしてくる人は多いじゃない。たしかにその劣化コピーである意識高い渋谷・六本木のITベンチャーの経営陣の人にはそういう批判が当てはまるひとが多いのかもしれない(笑)。でも、その大体は誤解なのであって、単純に歴史的な経緯を知らなかったり、「文化を理解しない人々だ」というふうに思いたがっているだけなんだよね。 でもさ、単純に西海岸の人たちは、既存のアートシーンにある「彫刻」や「絵画」を美術館に収蔵することが、本当に自分たちの世界観を表現することだとは、どうしても思えないというだけなんだと思うんだよね。 猪子 そう、そう! 宇野 でもさ、これって「歴史は繰り返す」でしかないんだよ。 だってさ、ハッキリ言ってしまうと、第二次世界大戦後にニューヨーク中心のアートシーンができた理由そのものが、当時のヨーロッパから見たときに「文化がない」とバカにされていた、アメリカのある種のコンプレックスの裏返しだったわけじゃない。 当時のアメリカは、ついに西側諸国の、いや世界のリーダーになって、圧倒的な経済力と軍事力を持つことになった。そのときに彼らはナチスを倒して集めてきた美術品をニューヨークのギャラリーに全部入れて、「ここがアートの中心で、文化の発信源です」と言い張ったわけだよね――ざっくりと言うと。 それってつまり、70年前にはこういう海外の彫刻や絵画を集めて美術館に入れることが、彼らのいわば歴史の終着点としての「パックス・アメリカーナ」の物語を作ることと深く結びついていて、彼らのアイデンティティーの記述たりえていたということだと思うんだよね。 猪子 なるほどね。 宇野 でも、それから70年経った西海岸には、もう当時の東海岸の文脈は残っていない。彼らはまったく新しい自らの世界観の表現を必要とした。そこで彼らが辿りついたものの一つがチームラボだった――ということなんじゃないかな。 でね、そのときに実はチームラボの作品が美術館に収蔵したり、ギャラリーで売られたりするような、伝統的なアートの形式に必ずしも則っていなかったことこそが、とても重要だった気がするんだよね。 猪子 まあ、買ってくれた人もいたからね(笑)。 ただ、確かにすごく単純に言ってしまうと、僕たちがデジタルによる新しいアートの可能性を模索していたところに、そういう本質的な部分まで含めて賞賛してくれたところはあると思ってる。 宇野 実際、そういう印象を受けた場面はあったの? 猪子 もう超“ウェルカム”な状態だもん! だって、ある意味でチームラボのために建造物をみんなで建ててくれたようなもんなんだよ。 実は、普通は建物を建てるときって、先に消防法を取ってから展示の内装を行うんだけど、スケジュールが遅れてしまって、今回は両方を同時進行しなきゃいけなくなっちゃったの。でもさ、そうなると消防法の審査に入る頃には、もう建物はLEDだらけ。それでは、通らないんだよね。たぶん、10回くらい審査やり直しをしたんじゃないかな。 ペースギャラリーも、今回の展覧会に過去最大にお金をかけてくれたらしいんだよね。 宇野 いやあ、猪子さん惚れられてるね。 猪子 というよりも、賭けに出てみたんだよね。シリコンバレーには元々ギャラリーがなくて、「絶対にギャラリービジネスなんて上手く行かない」と言われていた。でもペースギャラリーは「チームラボと共にシリコンバレーに行くんだ」と言って、ギャラリーを建てちゃったのよ。 宇野 単純な疑問なんだけど、ギャラリービジネスが西海岸で上手く行かないと思われていた理由ってなに? 猪子 いやあ、シリコンバレーの人たちはアートに興味がないと思われていたんだと思うよ。「文化砂漠」とか書かれるくらいだしね……でも、実際には興味があったということだと思う。 宇野 つまりは、彼らの古い感覚からすると「文化砂漠」に見えていただけなんだということだよね。 【ここから先はチャンネル会員限定!】 PLANETSの日刊メルマガ「ほぼ日刊惑星開発委員会」は今月も厳選された記事を多数配信します! すでに配信済みの記事一覧は下記リンクから更新されていきます。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/201604  

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第7回「ウォーホルのように〈美の基準〉を変えることで、世界を変えたい!」【毎月第1火曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.556 ☆

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第6回「もう一つの“体育”で、『身体的知』(身体を固定しない“知性”)を鍛えたい」【毎月第1火曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.531 ☆

チャンネル会員の皆様へお知らせ PLANETSチャンネルを快適にお使いいただくための情報を、下記ページにて公開しています。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar848098 (1)メルマガを写真付きのレイアウトで読む方法について (2)Gmail使用者の方へ、メルマガが届かない場合の対処法 (3)ニコ生放送のメール通知を停止する方法について を解説していますので、新たに入会された方はぜひご覧ください。 猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第6回「もう一つの“体育”で、『身体的知』(身体を固定しない“知性”)を鍛えたい」【毎月第1火曜配信】 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆ 2016.3.1 vol.531 http://wakusei2nd.com 今朝のメルマガは、チームラボ代表・猪子寿之さんによる連載『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』の第6回です。なぜ猪子さんは平面の表現にこだわるのか。そんな問題提起から始まった議論は、近代の椅子に固定された知性とは異なる、身体を動かしている情報量が多い状況での知性としての「身体知」という概念にたどり着きました。そんな「身体知」を鍛えたいという猪子寿之氏の考える新しい”体育”とは? ▼プロフィール 猪子寿之(いのこ・としゆき) 1977年、徳島市出身。2001年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業。チームラボは、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、絵師、数学者、建築家、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、編集者など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート・サイエンス・テクノロジー・クリエイティビティの境界を曖昧にしながら活動している。 47万人が訪れた「チームラボ踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。他、大河ドラマ「花燃ゆ」のオープニング映像、「ミラノ万博2015」の日本館、ロンドン「Saatchi Gallery」、パリ「Maison & Objet 20th Anniversary」など。2016年はカリフォルニア「PACE」で大規模な展覧会を予定。 http://www.team-lab.net ◎構成:稲葉ほたて 本メルマガで連載中の『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』配信記事一覧はこちらのリンクから。 前回:猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第5回「アートには正しさがないから、人類を新しい方向に“導ける”」 ■ 「超主観空間」とこれからの平面 宇野 猪子さんが、よく自分たちの作品のコンセプトを説明するときに使っている「超主観空間」という言葉があるよね。超主観空間という日本的な絵画の平面性が、西洋近代的な意味での二次元のパースペクティブとは違って、コンピュータの作る多次元へのアクセスと親和性が高い、というのはよく分かるし、説得力もあると思う。  そこで聞いてみたいのは、そんな「新しい平面」の像をアートが打ち出すことの意味なんだよね。 猪子 いや、僕は普通に「超主観空間が圧倒的に優れている」とかは思ってないんだよ。ただ、今まで捨てられていて、特に映像的なジャンルだとあまり使われてなかったけど、それがデジタル時代には可能性がある……みたいなことを示したいだけなんだよ。 宇野 だからその先をちょっと聞いてみたいと思うんだよ。要するに西洋近代のパースペクティブは、実際にはピントも合っていなければ統合もされていない人間の、三次元の視覚体験を二次元に整理して共有しやすくする、という意味で「人類を前に進ませた」わけじゃない。同じように超主観空間はどう「人類を前に進ませる」のかなって思うわけ。 猪子 なるほど、宇野さんの質問の意図が分かってきた。  あのね、超主観空間の良いところは、むしろ空間的なものでの体験との相性の良さにあるんだよ。そういう平面を壁に貼ったりすると、その空間における体験が面白いものになるんだよね。  その理由をこれから順番に話していこうと思うのだけど……まずいきなり一つ凄いことを言うと(笑)、パースペクティブで把握された世界には、自分がいないんだよね。  実際、写真や映像のような実写の画面には、そのカメラの視点で眺めている自分は存在できないよね。でも、超主観空間では、自分がその中にいるものとして、その世界を捉えられる。 宇野 そもそもパースペクティブというのは、自己と世界を一度切り離して視点を獲得する発想だからね。 猪子 だから、西洋では客観的な「観察」という発想が生まれて、サイエンスが発達したんだとは思うよ。でも、その代わりに、見えている世界から自分が疎外されているような気分をもたらしてしまった。それに対して、超主観空間と僕らが呼んでいる空間認識の論理構造で近代化以前の日本の人々は世界を見ていたんじゃないかと思っていて、そのように世界が見えることによって、自分は世界の一部であると強く感じていたような気がするんだよね。  とすれば、超主観空間のような認識が広まることで、より人類が自分を世界の一部として見ていくようになるんじゃないかと期待しているんだよ。 宇野 確かに、猪子さんの考える「やさしく、うつくしい世界」というのは、自分と世界が切り離されていないこと、自分が世界の一部であることへの肯定のイメージが打ち出されているよね。 猪子 しかもその一方で、超主観空間の鑑賞者は、絵画の中に入り込みながら、同時に客観的に絵画を見ることができる、つまり、絵画の中に入りながら、現実空間を認識できる性質があるんだよね。そして、視点の移動が自由になる。  たとえば、お台場で巨大な若冲の作品を展示したけど、プロジェクションマッピングみたいにパースを前提とした平面を巨大化すると、視点が固定されるんだよね。それに対して『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして分割された視点』(https://www.team-lab.net/jp/works/crows_dark)なんかは、日本でもシリコンバレーでも子供が飛びまわりながら見るんだよ【1】。でも、そのときに子供は壁にぶつからずに動き回れるし、カラスの前で飛び回るくらいに没入もできる。これは空間を活かした現代的な表現と超主観空間の相性の良さだと思うね。 宇野 それも面白いところだよね。これは雑談として聞いてほしいんだけど、30年前に吉本隆明という思想家が『ハイ・イメージ論』という本で、デジタルテクノロジーが発達していくと、人間の視線は地面に立つ自分自身の主観で把握していく視線と、衛星画像のように自分の位置を客観的に把握していく視線の二つを同時に得ていくようになる、ってことを論じているんだよ。 【1】2016年2月6日から7月1日にかけて、チームラボは、Pace Art + Technology(シリコンバレー)のオープニングエキシビジョンとして大規模個展を開催している。新作含む全20作品を展示。 http://www.team-lab.com/news/living_digitalspace_and_future_parks2016 http://exhibition.team-lab.net/siliconvalley/ ▲『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして分割された視点 – Light in Dark』 https://www.team-lab.net/jp/works/crows_dark https://www.youtube.com/watch?v=tjfDZP9YOcs ▲『ハイ・イメージ論』吉本隆明 猪子 へえー。 宇野 吉本隆明はそれを臨死体験としてよく語られる「自分が肉体から離脱して横たわる自分を眺めている」状態に例えていて、生者と死者の世界の混在というイメージで捉えているけれど、ここもチームラボのモチーフに近いものがあると思う。だから僕は猪子さんの超主観空間の話を聞くたびに、この人の話を思い出すんだよね。吉本隆明という人は80年代に、情報技術が人間の世界の捉え方のようなものを変えていくんじゃないかと論じたんだけど、猪子さんはそれをアートで表現しているように見えるんだよね。だから、今度二人を並べて論じた本を書こうかなと思ってるんだよ(笑)。  猪子さんも同じように、情報技術が世界の見え方を変える、つまり”人間の認識のあり方そのものの変容”に興味があるわけだからね。 猪子 そう。さらに言ってしまうと、超主観空間ではそういう自分の意識を保ちながら没入した人たちが、同時にいろんな場所に存在できるというのが重要なんだよ。というのも、超主観空間の平面は、パースペクティブが固定されてないからね。 宇野 なるほどね。 猪子 美術館や映画館で人間が立ち止まって、自分を一箇所に固定して鑑賞するのは、絵画や映画がそういうメディアだからというより、一つの視点から風景を眺めるパースペクティブを前提としているからなんだよ。つまり、人間を移動できなくしているのは、パースペクティブの存在にあるんだと思う。  でも、超主観空間は違う。さっきのカラスのアニメーションで、走り回りながらでも踊りながらでも見ることができるのは、まさに超主観空間だからなんだよ。子供たちがそういう鑑賞をしてくれるのは、彼らは大人と違って常識に凝り固まってないから、すぐに適応してくるからだと思う。 ▲『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして分割された視点 – Light in Dark』の中を走り回る子供たち 宇野 つまり、パースペクティブが鑑賞者の位置を固定する性質を持つのに対して、超主観空間は鑑賞者の位置を固定しない。 猪子 しかも、超主観空間は各々の鑑賞者を中心に絵の中に入ることができるから、特権的な鑑賞者がいないんだよね。どの位置にいる人間でもその絵画の世界に、その人中心に入り込んでいけるような、平等な世界なんだよ。 もうちょっとだけマニアックなことを言うと、たとえばさ、巨大なアートにすごく近づいたとするじゃん。そうするとアートの一部分しか見えなくなるけど、超主観空間の場合は、そこだけ切り取っても空間として成り立つのね。切り取った部分を再変換して空間に戻せる。 でも、パースで構成された写真を大きくして一部分だけ見たとしても、それは空間には戻せないんだよね。  超主観空間は一部を切り取ってそこだけを空間に戻せる。だから一部しか見なくてもいい。つまり、すごく近づいて見てもいいし、すごく離れて見てもいい。鑑賞者がどう動こうが、その人に見えている世界の中心には常に自分自身がいる。で、その作品がインタラクティブになったとき、複数の鑑賞者たちは、ほかの鑑賞者たちの行動によって自分の世界が影響を受けて変わっていく、という体験をするんだよね。  それでも、その人が見ている世界の中心にいる、という状態は変わらない。つまり、みんながいろんな場所で一つのアートを見てるんだけど、みんな自分が中心でいられる。それが超主観空間ってこと。これって絵画の世界に見えてる範囲だけで入り込んでいるとも言えるんだよね。同時にいろんな人がその作品にインタラクションをしていたとしても、鑑賞者たちの間で優越なく、自分中心に作品の内部に入り込める。まわりの人たちの変化が間接的に自分の見えてる世界に影響を与えているような、そういう特徴があると思っているのね。 宇野 パースペクティブのように遠近法的な整理がされていない、つまり中心がないということは、どこから作品を眺めて、どの部分に感情移入しても自分が主役になれるということだもんね。しかも、それって、コンピュータが可能にした多次元なアクセスを前提にしていて、それが猪子さんの考える「秩序なきピース」と深く結びついている気がするな。 ■椅子に固定されない身体の知性 猪子 そういう意味で、僕は最近「身体的知」という概念を考えているんだよね。  たとえば、これまでの学校や知的な訓練って、身体を固定して、もっと具体的に言えば椅子に座って働かせる知性なんだと思うんだよ。 宇野 なるほどね。 猪子 「図書室は静かに」というじゃない。この言葉に象徴されるように、従来の知性というのは、まさに美術館でパースペクティブのある絵画を見るときのように身体を固定して、他者も意識していなくて、インプットの情報量がほとんどない中で大脳をフル回転させる知性なんだよね。そもそも文章や記号というもの自体が、情報量としてはバイト数のほとんどないものだしね。でもさ、一方でたとえば、「IQよりも社会性のほうが社会的成功には関連性がある」みたいな主張の論文なんかがあるんだよ。  それって、「社会性」がバズワードになっているだけで、要は椅子に座っていなくて、図書館みたいな特殊な状況ではない――外部からのインプット情報が極めて多くて、目も耳も感覚を全て使っているような――状態での、人間の能力のことなんじゃないかな。  とすれば、その「社会性」というのも、僕は絶対に「知性」の一種だと思うんだよね。そして、その状況での「知性」というのが意図的に訓練されていない気がしてるんだよ。 【ここから先はチャンネル会員限定!】 PLANETSの日刊メルマガ「ほぼ日刊惑星開発委員会」は今月も厳選された記事を多数配信します! すでに配信済みの記事一覧は下記リンクから更新されていきます。 http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/201603  

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